JP6713842B2 - 裏込注入装置を有するシールド掘進機およびトンネルの止水方法 - Google Patents
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Description
一般的に裏込材を注入する方法として、即時注入方式と同時注入方式とがある。即時注入方式は、セグメントの内周側から外周側に貫通した注入口から裏込材を注入するものである。同時注入方式は、シールド掘進機に設けられた裏込注入装置から裏込材を注入するものである。同時注入方式の方が、掘進しながらシールド掘進機から裏込材を注入できるため、テールボイドに何も充填されていない時間が短くすることができ、地盤沈下等の影響の抑制に効果的である。
図9(A)は、シールド掘進機110を後方から見た図である。裏込注入装置120は、シールド掘進機110のスキンプレート101の外周面の上部2箇所に設けられている。そして、裏込注入装置120から、セグメント102と掘削された地山との間のテールボイド103に裏込材が注入充填される。
図9(B)は、裏込注入装置120を拡大した図である。裏込注入管121、圧力計122はハウジング123で覆われている。ハウジング123は、スキンプレート101の外周面に突出して設けられている。このように、裏込注入装置120はスキンプレート101の外周面に設けられているので、ハウジング123の分だけテールボイド103が大きくなるテールボイド拡大部103´が発生する。
図10は、図9(B)の縦断図である。この例では、テールシール131が、スキンプレート101の内周面に3段設けられている。テールシール131によって、土砂、地下水や裏込材等がセグメント102とスキンプレート101との間から浸入することが防止される。
そのような場合には、凍結工法や薬液注入工法によりセグメントの外側に止水ゾーンが設けられる。
これらの工法は、シールド掘進工程とは別の設備や工程となり、工期やコストがかかってしまう。
請求項2に係る発明は、前記シールド掘進機は、複数列のテールシールを有しており、前記スペーサは、前記複数列のテールシールにそれぞれ対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機である。
請求項3に係る発明は、前記スペーサ間の空間を閉塞する閉塞部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシールド掘進機である。
請求項4に係る発明は、前記シールド掘進機は、複数列のテールシールを有しており、前記ハウジングの後端部には、最後列のテールシールが内周面に設けられるとともに裏込材の通路となる開口を有するスペーサが、前記スキンプレートの内周面全周に連接して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のシールド掘進機である。
請求項5に係る発明は、裏込注入管と、前記裏込注入管を覆うハウジングとを有する裏込注入装置を備えたシールド掘進機であって、前記裏込注入装置は、スキンプレートの内周面の周方向の一部に固定して設けられており、前記スキンプレートの内周面全周には、スペーサがリング状に設けられており、該スペーサの内周面全周にテールシールが設けられ、前記スペーサは、裏込材の通路となる開口を備えていることを特徴とするシールド掘進機である。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のシールド掘進機を用いて、テールボイドに裏込材を注入するトンネルの止水方法である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
別発明1は、裏込注入管と、前記裏込注入管を覆うハウジングとを有する裏込注入装置を備えたシールド掘進機であって、前記裏込注入装置は、スキンプレートの内周面に固定して設けられており、前記ハウジングの内周面には、テールシールが設けられていることを特徴とするシールド掘進機である。
図2は、本発明に係るシールド掘進機の後胴部の図1(A)の縦断図である。図2の上側の図は、裏込注入装置20が配置された部分についての縦断図である。図2の下側の図は、裏込注入装置20が配置されていない部分の下部についての縦断図である。
なお、通常は、シールド掘進機のカッターで掘削される地山は、スキンプレートの外周面より少し大きくなり、地山の掘削面とスキンプレートの外周面とは同一ではない。しかしながら、本明細書では、説明の便宜上同一として説明している。
ハウジング23は、その内部に土砂、地下水および裏込材等が浸入しないようになっており、シールド掘進機のスキンプレート後端部11(図3)において、図示しないエンドプレートを備えており、このエンドプレートから裏込注入管21の排出口や圧力計22の検知部がテールボイド3に露出するように構成されている。これによって、裏込注入管21や圧力計22の露出した部分以外を、土砂、地下水および裏込材等から保護することができる。
また、裏込注入装置20をスキンプレート1の内周面に設けているので、裏込注入管21等に不具合が生じた場合にも、最後列のテールシール31よりも前方において、ハウジング23を取り外し可能にしたり、ハウジング23の内周面に開閉蓋を設ける等しておけば、スキンプレート1の内側で、安全にメンテナンス作業が可能となる。
さらに、裏込注入装置20を、内側がすべて掘削されることになるスキンプレート1の内周面に設けているので、裏込注入装置をスキンプレートの外周面に突出して設けることに比較して、裏込注入装置の部分による掘進抵抗を減らすことができる。
裏込材の止水性能は、求められる止水性にあわせて選定される。
本実施の形態では、スキンプレート1の板厚はテールシール31を設ける部分は12mmで薄く、テールシール31を設けない部分は40mmで厚く形成されている。スキンプレート1のテールシール31が設けられる部分は、リング状に組み立てられたセグメントが存在するため、このセグメントによっても外部からの土水圧を受けることができる。よって、この部分のスキンプレート1を薄くすることができる。
スペーサ30は、H鋼、プレート、ブロック等どのようなものでよく、テールシール31を固定でき、テールシール31とともに止水性が確保できるものであれば良い。
逆流防止羽根4は、スキンプレート1の外周面に取付けられる。本発明では、裏込注入装置20がスキンプレート1の内周面に設けられているので、逆流防止羽根4をスキンプレート1の外周面に取付ける際の支障にならず容易取付けることができる。また、従来技術のように、突出して設けられた裏込注入装置を有するスキンプレートの外周面に、その突出した形状に沿って逆流防止羽根を取付けたとしても、その突出した形状のために逆流防止羽根が複雑な形状となる。しかしながら、本発明では、スキンプレートの外周面に裏込注入装置による突出した部分が存在せず、逆流防止羽根4が複雑な構造とならず、切羽への裏込材が回り込み防止効果を向上させることができる。
注入管とその開口部との間は充分な止水対策を行う。また、スペーサ30の開口そのものを裏込材の流路としても良い。
シールド掘進機10のカッターヘッドを回転させ地盤を掘削しながら、シールドジャッキを伸長させることにより、シールド掘進機10を前進させる。次に、シールド掘進機10のシールドジャッキを適宜縮小させながら、スキンプレート1の内部の後胴部でセグメント2をリング状に組み立てる。これらの工程を繰り返すのが、基本的なシールド工法の流れである。
本発明の裏込注入装置によって注入充填された裏込材は、充分な厚さと充填となり、止水ゾーンとして高い効果を発揮する。これによって、セグメントが切削されたり欠損するような条件下でも止水性を確保することができる。
本実施の形態では、セグメントが切削されたり欠損するような場合における止水ゾーンを形成することを想定しているが、このような場合だけでなく、セグメントが切削されたり欠損せずセグメントが主な止水ゾーンとなるような場合にも、補助的な止水ゾーンとしても適用できる。また、凍結工法や薬液注入工法等の地盤改良工法と併用した止水ゾーンにも適用できる。
図7(A)および図7(B)は、地中GにRCコンクリート等の隔壁構造物Cを構築し、内部Nに比較的大きな空間を構築する際の断面の一部を拡大した図である。隔壁構造物Cは、平行なシールドトンネルを連結した空間に構築される。図7(A)は、従来の凍結工法を用いて施工するもので、図7(B)が、本発明による止水ゾーンを適用したものである。図面の上方向が地上方向で、下方向が地中方向である。
所定の間隔を空けて先行シールドトンネルS1を構築する。先行シールドトンネルS1を構成するセグメントは、後行シールド掘進機が切削可能な材料のものとする。先行シールドトンネルS1を構成するセグメントには、凍結工法で使用する凍結管Pが取付けられている。
先行シールドトンネルS1内に流動化処理土Rを充填する。流動化処理土Rは、後行シールド掘進機が先行シールドトンネルS1を切削する際に、安定して切削させるために充填されるものである。流動化処理土Rも後行シールド掘進機が切削可能となるように調整されている。
先行シールドトンネルS1と後行シールドトンネルS2に取付けられた凍結管Pを用いて、凍結工法を行い、周囲に凍土Tを形成する。
連結した先行シールドトンネルS1と後行シールドトンネルS2との内部にRCコンクリート等の隔壁構造物Cを構築する。
この施工では、先行シールドトンネルS1と後行シールドトンネルS2の施工で、本発明による裏込め注入によって、充分な厚さの止水ゾーン51、52を形成して、先行シールドトンネルS1と後行シールドトンネルS2との境界部から地下水Wの浸入を防ぐものである。
先行シールドトンネルS1を構築した際に止水ゾーン51が形成されて、その後、後行シールドトンネルS2を構築した際にも止水ゾーン52が、図7(B)に示すように形成される。そして、後行シールドトンネルS2の止水ゾーン52は、先行シールドトンネルS1のセグメントと止水ゾーン51と接着されて、先行シールドトンネルS1と後行シールドトンネルS2との境界部から地下水Wの浸入を防ぐことができる。よって、安全に後行シールドトンネルS2のセグメントの一部SXを取り外し、先行シールドトンネルS1内に充填された流動化処理土Rを撤去する作業が可能となる。
図8は、地中GにRCコンクリート等の隔壁構造物Cを構築し、内部Nに比較的大きな空間を構築する際の断面の一部を拡大した図である。隔壁構造物Cは、平行なシールドトンネルを連結した空間に構築される。この例では、凍結工法を併用している。図面の上方向が地上方向で、下方向が地中方向である。
先行シールドトンネルS1の一部SXを撤去して、先行シールドトンネルS1を連結して、内部空間を形成し、RCコンクリート等の隔壁構造物Cを構築する。先行シールドトンネルS1の一部SXを撤去した際には、後行シールドトンネルS2の止水ゾーン52は、先行シールドトンネルS1の止水ゾーン51と接着されていることと、凍土Tも存在するため、先行シールドトンネルS1と後行シールドトンネルS2との境界部から地下水Wの浸入を防ぐことができる。
2 セグメント
3 テールボイド
4 逆流防止羽根
5 セグメント落下防止装置
10 シールド掘進機
11 スキンプレート後端部
20 裏込注入装置
21 裏込注入管
22 圧力計
23 ハウジング
23a ハウジング本体部
23b ハウジング傾斜部
23c ハウジング補強部
24 裏込材A液注入管
25 裏込材B液注入管
26 洗浄水管
27 バルブ
28 油圧配管
30 スペーサ
31 テールシール
32 閉塞部材
51、52 止水ゾーン
S1 先行シールドトンネル
S2 後行シールドトンネル
Claims (6)
- 裏込注入管と、前記裏込注入管を覆うハウジングとを有する裏込注入装置を備えたシールド掘進機であって、
前記裏込注入装置は、スキンプレートの内周面の周方向の一部に固定して設けられており、
前記ハウジングの内周面には、テールシールが設けられており、
前記スキンプレートの内周面であって、前記裏込注入装置が固定されていない部分には、スペーサが設けられており、該スペーサの内周面にテールシールが設けられていることを特徴とするシールド掘進機。 - 前記シールド掘進機は、複数列のテールシールを有しており、
前記スペーサは、前記複数列のテールシールにそれぞれ対応して複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。 - 前記スペーサ間の空間を閉塞する閉塞部材が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシールド掘進機。
- 前記シールド掘進機は、複数列のテールシールを有しており、
前記ハウジングの後端部には、最後列のテールシールが内周面に設けられるとともに裏込材の通路となる開口を有するスペーサが、前記スキンプレートの内周面全周に連接して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のシールド掘進機。 - 裏込注入管と、前記裏込注入管を覆うハウジングとを有する裏込注入装置を備えたシールド掘進機であって、
前記裏込注入装置は、スキンプレートの内周面の周方向の一部に固定して設けられており、
前記スキンプレートの内周面全周には、スペーサがリング状に設けられており、該スペーサの内周面全周にテールシールが設けられ、
前記スペーサは、裏込材の通路となる開口を備えていることを特徴とするシールド掘進機。 - 請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のシールド掘進機を用いて、テールボイドに裏込材を注入するトンネルの止水方法。
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