JP6713295B2 - (メタ)アクリル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、下記〔1〕〜〔6〕を提供する。
〔2〕前記(メタ)アクリル系重合体(X0)が、(メタ)アクリル酸メチル単位を含む(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)、および炭素数2以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体である、〔1〕の製造方法;
〔3〕前記第二級アミンが、下記一般式(1)で示される化合物である、〔1〕または〔2〕の製造方法;
〔5〕前記ヒドロキシ基を有する化合物が、2−プロパノール、t−ブチルアルコールおよび炭素数1〜4の炭化水素基を置換基として有してもよいフェノールからなる群から選択される一種以上の化合物である、〔4〕の製造方法;および
〔6〕前記有機溶媒が、さらに溶解度パラメーターの値が8.0以上10.5以下の炭化水素(ただし、1つ以上のエーテル結合を任意の位置に有していてもよく、任意の1つ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい。)を含む、〔4〕または〔5〕の製造方法。
本発明の製造方法によれば、(メタ)アクリル系重合体(X0)からカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体(X)が得られる。なお、本明細書中で「(メタ)アクリル」とは「メタクリル」と「アクリル」との総称である。
本発明の製造方法によって得られるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体(X)において、カルボキシ基は、主に(メタ)アクリル系重合体(X0)中の(メタ)アクリル酸エステル単位が加水分解等により(メタ)アクリル酸単位に変化することにより生じるものである。ここで、(メタ)アクリル酸エステル単位のうち、立体障害の小さいアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(1)由来の単位は特に(メタ)アクリル酸単位に変化しやすく、これを利用して効率的にカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体(X)を製造することが可能であり、さらに、所望の箇所に選択的にカルボキシ基が導入された(メタ)アクリル系重合体(X)を製造することも可能である。前記の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(1)は、(メタ)アクリル酸メチルであることが好ましい。
ただし、本発明の製造方法によって得られる(メタ)アクリル系重合体(X)におけるカルボキシ基は、必ずしも(メタ)アクリル酸アルキルエステル(1)由来の単位が変化したものに限定されない。
なお、本明細書中において、MnおよびMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された標準ポリスチレン換算値を意味する。
そのような炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の第一級アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、1−メチルブチル基等の第二級アルキル基;t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基等の第三級アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の脂環式アルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;1−メチルベンジル基、1,1−ジメチルベンジル基等のアラルキル基;などが挙げられる。また、上記第二級アミンは、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン等の複素環式アミンであってもよい。中でも、ジメチルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンが好ましく、ジメチルアミン、N−メチルブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、ジエチルアミンがより好ましい。該第二級アミンは、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
上記炭化水素は、溶解度パラメーターの値が8.0以上10.5以下である限り、1つ以上のエーテル結合を任意の位置に有していてもよく、任意の1つ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい。
上記方法により計算できない場合においては、溶解度パラメーターの値が既知の溶媒に対し溶解するか否かの判定による実験法により溶解度パラメーターの値を算出し、それを代用する。
アミン:N−メチルブチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(全て東京化成工業株式会社製)
水:蒸留水(和光純薬工業株式会社製)
有機溶媒:2−プロパノール、t-ブチルアルコール、フェノール、トルエン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メタノール(全て東京化成工業株式会社製)
ポータブルリアクター(耐圧硝子工業株式会社製:TVS−N2)に、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)としてポリメタクリル酸メチルブロック−ポリアクリル酸n−ブチルブロック共重合体(クラリティ(登録商標)LA2140、株式会社クラレ製、メタクリル酸メチル単位28.5モル%)12.5g、2−プロパノール18.75g、トルエン18.75g、水0.53g、N−メチルブチルアミン1.03g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)を導入し、内部を窒素置換した。
ポータブルリアクター内の温度を220℃に維持し、5時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、1.3Pa、100℃にて溶媒を除去し(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z1)」と称する)を得た。
混合温度を180℃にした以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z2)」と称する)を得た。
混合温度を240℃にした以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z3)」と称する)を得た。
撹拌時間を1時間にした以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z4)」と称する)を得た。
撹拌時間を6時間にした以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z5)」と称する)を得た。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)10g、2−プロパノール20g、トルエン20g、水0.43g、N−メチルブチルアミン0.83g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)を導入した以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z6)」と称する)を得た。
N−メチルブチルアミンの添加量を0.26g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して10モルとなる量)とした以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z7)」と称する)を得た。
N−メチルブチルアミンに代えてジエチルアミン0.87g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)を導入した以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z8)」と称する)を得た。
N−メチルブチルアミンに代えてN−メチルシクロヘキシルアミン1.34g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)を導入した以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z9)」と称する)を得た。
N−メチルブチルアミンに代えてジメチルアミン0.53g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)を導入した以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z10)」と称する)を得た。
2−プロパノールに代えてフェノール18.75gを用いた以外は実施例7と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z11)」と称する)を得た。
2−プロパノールに代えてt-ブチルアルコール18.75gを用い、N−メチルブチルアミンの添加量を0.52g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して20モルとなる量)とした以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z12)」と称する)を得た。
トルエンに代えてジエチレングリコールジメチルエーテル18.75gを用いた以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z13)」と称する)を得た。
トルエンを使用せず、2−プロパノール37.5gを用いた以外は実施例7と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z14)」と称する)を得た。
2−プロパノールを使用せず、トルエン40gを用い、N−メチルブチルアミンの添加量を0.21g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して10モルとなる量)とした以外は実施例6と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z15)」と称する)を得た。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)に代えて、(メタ)アクリル系重合体(X0)としてメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルのランダム共重合体(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=97.5/2.5(質量比)、メルトフローレート:2、市販品)を12.5g用い、N−メチルブチルアミンの添加量を1.03g((メタ)アクリル系重合体(X0)中の(メタ)アクリル酸メチル単位100モルに対して9.5モルとなる量)とした以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系重合体(X)(以下、「(メタ)アクリル系重合体(X1)」と称する)を得た。
2−プロパノールに代えてメタノール18.75gを用いた以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z16)」と称する)を得た。
N−メチルブチルアミンに代えてシクロヘキシルアミン1.18g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)を用いた以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z17)」と称する)を得た。
水を添加しない以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z18)」と称する)を得た。
N−メチルブチルアミンに代えてN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン1.51g((メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)中のメタクリル酸メチル単位100モルに対して40モルとなる量)を用いた以外は実施例1と同様の方法で(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)(以下「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z19)」と称する)を得た。
上記の実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系重合体1.0gをテトラヒドロフラン49gに溶解させて溶液を調製した。この溶液に0.01M水酸化カリウムエタノール溶液を0.1mL/minで滴下して電位差滴定を行い、このとき添加した0.01M水酸化カリウムエタノール溶液の体積V〔mL〕から、下記式によって、(メタ)アクリル酸単位由来のカルボキシ基の含有量[α1]〔mmol/g〕を算出した。結果を表1に示す。
[α1]〔mmol/g〕=(0.01×V)/1.0
上記の実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系重合体について以下の条件でIRスペクトルを測定し、酸無水物構造に由来する吸収(1800cm−1、1760cm−1)およびアミド構造に由来する吸収(1640cm−1)の有無によって確認した。
測定器:Bio−Rad社製 赤外分光光度計 「FTS 3000MX」
測定法:ATR法
測定温度:25℃
上記の実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系重合体を粉砕し、80℃の熱水に72時間浸漬することで酸無水物構造をカルボキシ基に変換し、上記の方法(IR測定)によって酸無水物構造が残存しないことを確認した。固体を濾過にて取り出し、乾燥した後、上記カルボキシ基の含有量[α1]と同様に算出したカルボキシ基の含有量[α2]から、下記式によって、酸無水物構造の含有量[β]〔mmol/g〕を決定した。結果を表1に示す。
[β]〔mmol/g〕=([α2]−[α1])/2
その結果、比較例1で得られた(メタ)アクリル系重合体はアミド構造を有し、比較例2で得られた(メタ)アクリル系重合体は酸無水物構造を有することが確認された。
上記の実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系重合体について下記の条件にて1H−NMR分析を行った。例えば、上記実施例および比較例のように、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)としてポリメタクリル酸メチルブロック−ポリアクリル酸n−ブチルブロック共重合体を用いた場合、反応後に得られた(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)の1H−NMRスペクトルにおいて、(メタ)アクリル酸メチル単位中の酸素原子に隣接するメチル基のプロトン(以下、「プロトンγ」と称する。)に相当するシグナルが3.65ppm、アクリル酸n-ブチル単位中の酸素原子に直結する炭素原子上のプロトン(以下、「プロトンδ」と称する。)に相当するシグナルが4.1ppm、アクリル酸n-ブチル単位中のカルボニル炭素に隣接する炭素原子上のプロトンに相当するシグナルが2.35ppmに観測される。アクリル酸n-ブチル単位中のカルボニル炭素に隣接する炭素原子上のプロトンに相当するシグナルの積分値を100とした場合の、プロトンγに相当するシグナルの積分値を[γ]、プロトンδに相当するシグナルの積分値を[δ]とし、表1に示した。
本発明の製造方法により、(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)に由来する重合体ブロックにカルボキシ基が選択的に導入された(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)を製造することが可能であり、これによって用途に応じた複雑なポリマー設計が可能となる。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z)の中でいずれの重合体ブロックにカルボキシ基が導入されているかは、上記1H−NMR分析により判定できる。実施例および比較例で用いた(メタ)アクリル系ブロック共重合体(Z0)の場合、理論上、メタクリル酸メチル単位が全てメタクリル酸単位となる場合[γ]=0となり、メチル基が反応の前後で変化しない場合[γ]=119.5となる。また、アクリル酸n−ブチル単位中のブチル基が反応の前後で変化しない場合には[δ]=200となる。
ただし、メタノールが反応系中に存在する場合、アクリル酸n−ブチル単位の一部又は全部がメタノールとのエステル交換によりアクリル酸メチル単位に変化することがあり、この場合には[δ]は200未満となる。また1H−NMRスペクトルにおいてプロトンγ由来のシグナルとアクリル酸メチル単位中の酸素原子に隣接するメチル基のプロトン由来のシグナルを区別できないため、[γ]は119.5を超える可能性がある。例えばアクリル酸n-ブチル単位が全てメタノールとエステル交換した場合であって、重合体中の(メタ)アクリル酸メチル単位が全く(メタ)アクリル酸単位とならない場合には、[γ]=419.5、[δ]=0となる。
測定器:日本電子株式会社製 核磁気共鳴装置 「JNM−LA−400」
測定温度:25℃
測定溶媒:重水素化クロロホルム(試料が重水素化クロロホルムに溶解しない場合は、重水素化メタノールを使用した。)
上記の実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系重合体をテトラヒドロフランに溶解させて固形分濃度10質量%の溶液を調製し、該溶液を用いてキャスト法により厚さ約1mmのフィルムを作製した。得られたフィルムの色、透明性を目視で確認した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む重合体、第二級アミン、水および有機溶媒を混合する混合工程を含む、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法であって、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(1)由来の単位を含む(メタ)アクリル系重合体ブロック(a)、および炭素数2以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む(メタ)アクリル系重合体ブロック(b)からなる(メタ)アクリル系ブロック共重合体であり、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(1)由来の単位が(メタ)アクリル酸メチル単位である、製造方法。 - 前記有機溶媒がヒドロキシ基を有する化合物を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記ヒドロキシ基を有する化合物が、2−プロパノール、t−ブチルアルコールおよび炭素数1〜4の炭化水素基を置換基として有してもよいフェノールからなる群から選択される一種以上の化合物である、請求項3に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒が、さらに溶解度パラメーターの値が8.0以上10.5以下の炭化水素(ただし、1つ以上のエーテル結合を任意の位置に有していてもよく、任意の1つ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい。)を含む、請求項3または4に記載の製造方法。
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