JP6711485B2 - トラクション制御装置及びトラクション制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トラクション制御装置及びトラクション制御方法に関する。
従来、駆動輪を回転させる車両において駆動輪の滑りを抑制するトラクション制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
従来のトラクション制御装置900は、図7に示すように、駆動輪920において計測された車速Vaと従動輪922において計測された車速Vbとを比較することにより駆動輪920の滑りの状態を検出する滑り検出部940と、滑り検出部940によって検出された滑りの状態に基づいてエンジン910の出力を制御するエンジン出力制御部950とを備える。なお、従動輪922において計測された車速Vaは、従動輪922に設けられた車速センサ934によって計測されたものであり、駆動輪920において計測された車速Vbは、駆動輪920に設けられた車速センサ936によって計測されたものである。
従来のトラクション制御装置900によれば、駆動輪920において計測された車速Vaと従動輪922において計測された車速Vbとを比較することにより駆動輪920の滑りの状態を検出する滑り検出部940を備えるため、滑り検出部940によって検出された滑りの状態に基づいてエンジン出力制御部950がエンジン910の出力を制御することができ、その結果、駆動輪920の滑りを抑制することができる。
特開平4−72445号公報
ところで、近年、駆動輪をモータで回転させる車両であって、構成が比較的簡単な車両(例えば、クラッチレスである電動二輪車等)が普及してきており、このような車両の技術の分野においても、トラクション制御を簡便な構成で実現可能なトラクション制御装置が求められている。
そこで、本発明は、上記した状況に鑑みてなされたものであり、駆動輪をモータで回転させる車両のトラクション制御を簡便な構成で実現可能なトラクション制御装置及びトラクション制御方法を提供することを目的とする。
[1]本発明のトラクション制御装置は、駆動輪をモータで回転させる車両において前記駆動輪の滑りを抑制するトラクション制御装置であって、前記モータにおけるロータの回転位置に基づいて前記モータの実角加速度を算出する機能を有する実角加速度算出部と、前記モータの出力トルク値を含む情報に基づいて前記モータの推定角加速度を算出する機能を有する推定角加速度算出部と、前記実角加速度算出部によって算出された前記実角加速度の単位時間当たりの変化量と前記推定角加速度算出部によって算出された前記推定角加速度の単位時間当たりの変化量とを比較することにより前記駆動輪の滑りの状態を検出する滑り検出部と、前記滑り検出部によって検出された前記駆動輪の滑りの状態に基づいて前記モータの出力トルク値を制御する出力トルク値制御部とを備えることを特徴とする。
[2]本発明のトラクション制御装置においては、前記推定角加速度算出部において、前記情報は、転がり抵抗値、勾配抵抗値及び空気抵抗値のうちの少なくとも一つをさらに含むことが好ましい。
[3]本発明のトラクション制御装置においては、前記モータは、ベクトル制御を使用した三相モータであり、前記出力トルク値は、U相、V相及びW相の相電流値、前記モータに印加される電源電圧値及び前記モータにおけるロータの回転位置に基づいて算出されることが好ましい。
[4]本発明のトラクション制御装置においては、前記転がり抵抗値及び前記勾配抵抗値のうちの少なくとも一つは、前記滑り検出部によって検出された前記滑りの状態に応じて更新されることが好ましい。
[5]本発明のトラクション制御装置においては、前記出力トルク値制御部は、前記滑り検出部によって前記駆動輪の滑りを検出した場合において、前記駆動輪が滑っている状態の前記出力トルク値及び前記駆動輪が滑っている状態の前記実角加速度から算出された推定動摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き下げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引き下げトルク値まで引き下げることが好ましい。
[6]本発明のトラクション制御装置においては、前記出力トルク値制御部は、前記推定動摩擦係数から算出された推定静止摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き上げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引下げトルク地から前記引き上げトルク値まで引き上げることが好ましい。
[7]本発明のトラクション制御装置においては、前記出力トルク値制御部は、前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度と前記駆動輪が滑っている状態の前記推定角加速度との差分に基づいて算出された「単位時間当たりの前記出力トルク値の変化量」で前記出力トルク値を前記引き下げトルク値から前記引き上げトルク値まで徐々に引き上げることが好ましい。
[8]本発明のトラクション制御装置においては、前記滑っていない状態の前記推定角加速度は、前記滑り検出部によって前記駆動輪の滑りを検出したときより所定時間前の推定角加速度であることが好ましい。
[9]本発明のトラクション制御方法は、駆動輪をモータで回転させる車両において前記駆動輪の滑りを抑制するトラクション制御方法であって、前記モータにおけるロータの回転位置に基づいて前記モータの実角加速度を算出する実角加速度算出ステップと、前記モータの出力トルク値を含む情報に基づいて前記モータの推定角加速度を算出する推定角加速度算出ステップと、前記実角加速度算出ステップにおいて算出された前記実角加速度の単位時間当たりの変化量と前記推定角加速度算出ステップにおいて算出された前記推定角加速度の単位時間当たりの変化量とを比較することにより前記駆動輪の滑りの状態を検出する滑り検出ステップと、前記滑り検出ステップにおいて検出された前記駆動輪の滑りの状態に基づいて前記モータの出力トルク値を制御する出力トルク値制御ステップとを含むことを特徴とする。
[10]本発明のトラクション制御方法においては、前記出力トルク値制御ステップは、前記駆動輪が滑っている状態の前記出力トルク値及び前記駆動輪が滑っている状態の前記実角加速度から推定動摩擦係数を算出し、当該推定動摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き下げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引き下げトルク値まで引き下げる出力トルク値引き下げステップと、前記推定動摩擦係数から算出された推定静止摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き上げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引き上げトルク値まで引き上げる出力トルク値引き下げステップとをこの順序で含むことが好ましい。
本発明のトラクション制御装置によれば、モータにおけるロータの回転位置に基づいてモータの実角加速度を算出する実角加速度算出部と、モータの出力トルク値を含む情報に基づいてモータの推定角加速度を算出する推定角加速度算出部と、実角加速度算出部によって算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量と推定角加速度算出部によって算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量とを比較することにより駆動輪の滑りの状態を検出する滑り検出部とを備えるため、車両の駆動輪及び従動輪のどちらにも車速センサを設ける必要がなく、車両のトラクション制御を簡便な構成で実現することができる。
ところで、従来のトラクション制御装置900のように、駆動輪において計測された車速と従動輪において計測された車速とを比較することにより駆動輪の滑りの状態を検出する場合には、駆動輪に滑りが発生した場合でも、滑りの影響が車速差に反映されるまでに時間がかかり、滑りに対する追従精度が高いトラクション制御をすることが難しい場合がある。これに対して、本発明のトラクション制御装置によれば、モータにおけるロータの回転位置に基づいて算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量とモータが発生するトルクを含む情報に基づいて算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量とを比較することにより駆動輪の滑りの状態を検出する滑り検出部を備えるため、駆動輪に滑りが発生してから滑りの影響がモータの実角加速度に反映されるまでの時間が短く、滑りに対する追従精度が高いトラクション制御をすることができる。
また、本発明のトラクション制御装置及びトラクション制御方法によれば、モータにおけるロータの回転位置に基づいて算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量とモータが発生するトルクを含む情報に基づいて算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量とを比較することにより駆動輪の滑りの状態を検出する滑り検出部を備えるため、滑りが車速に反映されていない段階(場合によっては滑りがまだ発生していない段階)でも駆動輪の滑り(又は滑りの予兆)を検出することができ、その結果、滑りの影響が小さい段階で駆動輪の滑りを低減するトラクション制御や、まだ滑りが発生していない段階で駆動輪の滑りを防ぐことが可能なトラクション制御をすることができる。
また、本発明のトラクション制御装置及びトラクション制御方法によれば、モータの出力トルク値を含む情報に基づいてモータの推定角加速度を算出する機能を有する推定角加速度算出部を備えるため、刻々変化する路面や車両の状態を推定角加速度に反映することができ、滑りに対する追従精度がより一層高いトラクション制御をすることができる。
実施形態における車両1を説明するために示す概念図である。 実施形態における車両1を説明するために示すブロック図である。 実施形態に係るトラクション制御装置100を説明するために示すブロック図である。 出力トルク値制御部150により出力トルク値を回復させる様子を説明するために示すグラフである。 実施形態に係るトラクション制御方法を説明するために示すフローチャートである。 実施形態におけるトラクション制御装置100の効果を説明するために示すグラフである。図6(a)は、想定速度及び実速度の時間変化を示し、図6(b)は、想定加速度及び実加速度の時間変化を示し、図6(c)は想定加速度の単位時間当たりの変化量及び実加速度の単位時間当たりの変化量の時間変化を示す。なお、想定速度、想定加速度及び想定加速度の単位時間当たりの変化量は、予め想定された通常走行のパターンに沿ってトラクション制御を行わずに走行したときの速度、加速度及び加速度の単位時間当たりの変化量である。また、実速度、実加速度及び実加速度の単位時間当たりの変化量は、予め想定された「滑りが発生する」走行のパターンに沿ってトラクション制御を行わずに走行したときの速度、加速度及び加速度の単位時間当たりの変化量である。ちなみに、想定速度、想定加速度及び想定加速度の単位時間当たりの変化量は、本明細書中の推定速度、推定加速度、推定加速度の単位時間当たりの変化量に対応するものであり、実速度、実加速度及び実加速度の単位時間当たりの変化量は、本明細書中の実速度、実加速度、実加速度の単位時間当たりの変化量に対応するものである。 従来のトラクション制御装置900を説明するために示す図である。なお、図7中、符号932はスロットルセンサを示す。
以下、本発明のトラクション制御装置及びトラクション制御方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。
[実施形態]
1.実施形態における車両1の構成
まず、実施形態における車両1について説明する。
実施形態における車両1は、クラッチレスの電動二輪車である。実施形態における車両1は、図1及び図2に示すように、駆動力源であるモータ10と、駆動輪20と、従動輪22と、各種情報を取得する情報取得部30と、モータ10を制御するモータ制御部40、情報保管部50及びトラクション制御装置100を有するエンジンコントロールユニット60と、モータ10を駆動させる電源装置70とを備える。
モータ10は、ロータ(図示せず。)を回転させることにより、ロータに連結された駆動輪20を回転させる。モータ10は、図3に示すように、ロータの回転位置(具体的には、ロータに対するU相、V相及びW相の位置ω)を検出する位置センサ12、電源装置70から供給される電源電圧値Vを検出する電圧センサ14、及び、モータ10におけるU相、V相及びW相の相電流値i(具体的には、U相、V相及びW相の各相電流値iU、V、)を検出する電流センサ16を有する。モータ10は、各センサによって検出された、U相、V相及びW相の相電流値i、モータ10の電源電圧値V及びモータ10におけるロータの回転位置の情報をトラクション制御装置100に送信する。モータ10としては、三相モータ(例えば、三相交流ブラシレスモータ)を用いることができる。
駆動輪20は、図1及び図2に示すように、モータ10のロータに連結され、ロータの回転に合わせて回転する。従動輪22は、駆動輪20の回転に合わせて回転する。
情報取得部30は、車両1及び路面についての情報を取得(検出)する。情報取得部30は、運転者によるスロットル開度Sを取得(検出)するスロットルセンサ32、路面の勾配θを取得(検出)する勾配センサ34、車重Mを取得(検出)する車重センサ36を有する。情報取得部30は、スロットル開度S、路面の勾配θ、車重M及び各慣性モーメントの値をトラクション制御装置100へ送信する。なお、駆動輪20及び従動輪22には車速センサは設けられていない。
モータ制御部40は、後述するトラクション制御装置100から送信される制限トルク値τとに基づいて電源装置70(インバータ74)からモータ10へ供給される電源電圧を制御することによりモータ10を制御する。
情報保管部50は、図1〜図3に示すように、車両に対応した慣性モーメント(モータの慣性モーメント及びタイヤ/ホイールの慣性モーメント)の値を保管するとともに、実速度v1、実角加速度a1、実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1、推定速度v2、推定角加速度a2、推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2、出力トルク値τ及び推定動摩擦係数μの情報を単位時間ごとに保管する。情報保管部50は、図3に示すように、慣性モーメントの値を推定角加速度算出部130へ、推定動摩擦係数μを転がり抵抗算出部123へ、滑りを検知する所定時間前の出力トルク値τ’等(出力トルク値τ’、実角加速度a1、実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1、推定速度v2、推定角加速度a2及び推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2)を出力トルク値制御部150へそれぞれ送信する。
実施形態に係るトラクション制御装置100については後述する。
電源装置70は、バッテリ72及びインバータ74を有する。バッテリ72は、直流の電圧を供給する。インバータ74は、バッテリ72からの直流電流を交流電流に変換するとともに、モータ制御部40からの指令に応じた電圧(電源電圧)をモータ10へ印加する。
2.実施形態に係るトラクション制御装置100の構成
実施形態に係るトラクション制御装置100は、図3に示すように、実角加速度算出部110と、トルク・抵抗算出部120と、推定角加速度算出部130と、滑り検出部140と、出力トルク値制御部150とを備える。
実角加速度算出部110は、モータ10におけるロータの回転位置に基づいてモータ10の(ひいては、駆動輪20の)実速度v1、実角加速度a1、及び、実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1を算出する機能を有する。実角加速度算出部110は、実速度v1をトルク・抵抗算出部120の空気抵抗算出部122へ、実角加速度a1及び実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1を滑り検出部140へそれぞれ送信する。
トルク・抵抗算出部120は、出力トルク値算出部121と、空気抵抗算出部122と、転がり抵抗算出部123と、勾配抵抗算出部124とを有する。
出力トルク値算出部121は、U相、V相及びW相の相電流値i、モータ10に供給される電源電圧値V及びモータ10におけるロータの回転位置(ロータに対するU相、V相及びW相の位置ω)に基づいて出力トルク値τを算出し、算出した出力トルク値τを推定角加速度算出部130及び情報保管部50へ送信する。
空気抵抗算出部122は、実角加速度算出部110で算出された実速度v1に基づいて空気抵抗値Raを算出し、算出した空気抵抗値Raを推定角加速度算出部130へ送信する。
転がり抵抗算出部123は、勾配センサ34で検出される勾配θと、車重センサ36で検出される車重Mと、情報保管部50から送信される推定動摩擦係数μとに基づいて転がり抵抗値Rrを算出し、算出した転がり抵抗値Rrを推定角加速度算出部130に送信する。
勾配抵抗算出部124は、勾配センサ34で検出される勾配θと、車重センサ36で検出される車重Mとに基づいて勾配抵抗値Reを算出し、算出した勾配抵抗値Reを推定角加速度算出部130に送信する。
推定角加速度算出部130は、トルク・抵抗算出部120から送信された、モータ10の出力トルク値τ、転がり抵抗値Rr、勾配抵抗値Re及び空気抵抗値Raを含む情報と、情報取得部30から送信される各慣性モーメントの値とに基づいてモータの(ひいては、駆動輪20の)の推定速度v2、推定角加速度a2、及び、推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2を算出する機能を有する。推定角加速度算出部130は、推定速度v2及び推定角加速度a2及び推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2を滑り検出部140へそれぞれ送信する。
推定角加速度算出部130は、モータ10の推定速度v2、推定角加速度a2、及び、推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2を次のように算出する。
まず、トルク・抵抗算出部120から送信された「モータ10の出力トルク値τ、転がり抵抗値Rr、勾配抵抗値Re及び空気抵抗値Raを含む情報」と、加速抵抗値Rcとに基づいて運動方程式(下記(1)式)を導き出す。

(モータ10の出力トルク値τ)=Rc+Rr+Re+Ra ・・・(1)
但し、
Rc=(Jsω+Jsω+Msω
Rr=μMg・cosθ
Re=Mg・sinθ
Ra=λω
(J:モータの慣性モーメント、J:タイヤ/ホイールの慣性モーメント、sω:モータにおける単位時間当たりの角速度の変化量(角速度の時間微分)、sω:タイヤ・ホイールにおける単位時間当たりの角速度の変化量(角速度の時間微分)、M:車両の質量、Msω:車体加速抵抗、μ:(推定)動摩擦係数、g:重力加速度、λ:空気抵抗係数)
ここで、実施形態における車両1はクラッチレスの電動二輪車であることから、上記(1)式に、ω≒kω、ωv≒Lωを代入し、sωの式を導くと、下記の式(2)となる。このsωを推定角加速度a2とする。
Figure 0006711485
(但し、k:モータ軸変速定数、L:車速変換係数)
そして、単位時間前の推定角加速度a2との差分を算出し推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2を算出する。また、推定角加速度a2と単位時間との積から推定速度v2を算出する。
滑り検出部140は、実角加速度算出部110によって算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1と推定角加速度算出部130によって算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2とを比較することにより駆動輪20の滑りの状態を検出する(後述する図6(c)における破線Bで囲まれた領域参照。)。検出された滑りの状態は、出力トルク値制御部150に送信される。
具体的には、滑り検出部140は、単位時間ごとに、実角加速度の単位時間当たりの変化量saと推定角加速度の単位時間当たりの変化量saとの差分sa−saを算出し、当該差分sa−saが所定の範囲内にある場合には、滑り(又は滑りの兆候)が発生していないものとしてトラクション制御を行わず、当該差分sa−saが所定の範囲内にない場合には、滑り(又は滑りの兆候)が発生したものとして滑りの状態(当該差分sa−saに基づいた滑り率、そのときの実各加速度a1、推定角加速度a2、出力トルク値τ等)を出力トルク値制御部150に送信する。
なお、当該差分sa−saが所定の範囲内にない場合(滑りが発生した場合)において、当該差分sa−saが正のときは、加速時等に滑りが発生していることを示し、当該差分sa−saが負のときは(回生ブレーキ等の影響により)減速時に滑りが発生していることを示す。
出力トルク値制御部150は、滑り検出部140によって滑りが検出されたときは、駆動輪20の滑りの状態に基づいて制限トルク値τを算出し、モータ制御部40に当該制限トルク値τを送信することでモータ10の出力トルク値τを制御する。出力トルク値制御部150は、滑り検出部140から送信される滑り率が大きいとき(差分sa−saの値が大きいとき)には、モータ10の出力トルク値を大きく引き下げる。また、滑り検出部140から送信される滑り率が小さいとき(差分sa−saの値が小さいとき)には、モータ10の出力トルク値を小さく引き下げる。
具体的には、出力トルク値制御部150は、次のようにモータ10の出力トルク値τを制御する。まず、出力トルク値制御部150は、滑り検出部140によって駆動輪20の滑りを検出した場合において、駆動輪20が滑っている状態における出力トルク値τ1及び実角加速度a1から算出された推定動摩擦係数μと駆動輪が滑っていない状態の推定角加速度a2とに基づいて引き下げトルク値τ2を算出し、出力トルク値を引き下げトルク値τ2まで引き下げる(図4の「出力トルク値引き下げ期」参照。)。
すなわち、出力トルク値制御部150は、制限トルク値τとして、引き下げトルク値τ2をモータ制御部40に送信することでモータ10の出力トルク値を引き下げトルク値τ2まで引き下げる。なお、滑っていない状態の角加速度(実角加速度及び推定角加速度)は、滑り検出部140によって駆動輪20の滑りを検出したときより所定時間前の角加速度であり、情報保管部50から送信される。
出力トルク値制御部150は、モータ10の出力トルク値を引き下げトルク値τ2まで引き下げた後、推定動摩擦係数μから算出された推定静止摩擦係数μと駆動輪20が滑っていない状態の推定角加速度a2’とに基づいて引き上げトルク値τ3を算出し、出力トルク値τを引き上げトルク値τ3まで引き上げる。このとき、出力トルク値制御部150は、駆動輪20が滑っていない状態の推定角加速度a2’と駆動輪20が滑っている状態の推定角加速度a2との差分に基づいて「出力トルク値τの単位時間当たりの変化量」を算出し、当該「出力トルク値τの単位時間当たりの変化量」で出力トルク値τを段階的に引き上げる(図4の「出力トルク値引き上げ期」参照。)。
すなわち、出力トルク値制御部150は、制限トルク値τとして、「出力トルク値の単位時間当たりの変化量」で段階的に引き上げる出力トルク値τをモータ制御部40に送信し、出力トルク値τを引き上げトルク値τ3まで引き上げる。
出力トルク値制御部150は、出力トルク値を引き上げトルク値τ3まで引き上げた後、情報取得部30から送信されるスロットル開度Sの情報に応じた復帰トルク値τ4まで出力トルク値を徐々に引き上げる。すなわち、出力トルク値制御部150は、制限トルク値τとして、スロットル開度Sの情報に応じたトルク値をモータ制御部40に送信することで出力トルク値τを復帰トルク値τ4まで引き上げる(図4の「出力トルク値復帰期」参照。)。
なお、出力トルク値制御部150は、推定動摩擦係数μ及び推定静止摩擦係数μを情報保管部50へ送信する。情報保管部50は、転がり抵抗算出部123に推定動摩擦係数μを送信し、転がり抵抗の値を更新する。
3.実施形態に係るトラクション制御方法
次に、実施形態に係るトラクション制御装置100を用いたトラクション制御方法(実施形態に係るトラクション制御方法)を説明する。実施形態に係るトラクション制御方法は、図5に示すように、実角加速度算出ステップS10と、推定角加速度算出ステップS20と、滑り検出ステップS30と、出力トルク値制御ステップS40と、モータ制御ステップS50とを含む。
(1)実角加速度算出ステップS10
実角加速度算出ステップS10は、モータ10におけるロータの回転位置に基づいてモータ10の実角加速度を算出するステップである。実角加速度算出ステップS10においては、モータ10の位置センサ12でロータの回転位置を検出して実角加速度算出部110に送信する。次に、実角加速度算出部110において、実速度v1、実角加速度a1、実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1を算出する。
(2)推定角加速度算出ステップS20
推定角加速度算出ステップS20は、モータ10の出力トルク値を含む情報に基づいてモータ10の推定角加速度a2を算出するステップである。推定角加速度算出ステップS20においては、モータ10の出力トルク値τ、転がり抵抗値Rr、勾配抵抗値Re及び空気抵抗値Raを含む情報に基づいてモータ10の推定速度v2、推定角加速度a2、及び、推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2を算出する。
なお、実角加速度算出ステップS10と推定角加速度算出ステップS20の順番は、実角加速度算出ステップS10を実施した後に推定角加速度算出ステップS20を実施してもよいし、その逆でもよいし、実角加速度算出ステップS10と推定角加速度算出ステップS20とを並行して実施してもよい。
(3)滑り検出ステップS30
滑り検出ステップS30は、実角加速度算出ステップS10において算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1と推定角加速度算出ステップS20において算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2とを比較することにより駆動輪20の滑りの状態を検出するステップである。
(4)出力トルク値制御ステップS40
出力トルク値制御ステップS40は、滑り検出ステップS30において検出された駆動輪20の滑りの状態に基づいてモータ10の出力トルク値を制御するステップである。出力トルク値制御ステップS40においては、以下の5つの場合がある(図4参照。)。以下それぞれの場合について説明する。
(4−1)出力トルク値引き下げ期(すべり検出時t1〜出力トルク値引き下げ完了時t2)
滑り検出ステップS30において駆動輪20の滑りが検出されたときには、駆動輪20が滑っている状態における出力トルク値τ1及び実角加速度a1から算出された推定動摩擦係数μと駆動輪が滑っていない状態の推定角加速度a2とに基づいて引き下げトルク値τ2を算出し、制限トルク値τとして、引き下げトルク値τ2をモータ制御部40に送信することで、モータ10の出力トルク値を引き下げトルク値τ2まで引き下げる。なお、出力トルク値引き下げ期においては、滑り判定を行わない。
(4−2)トラクション回復期(出力トルク値引き下げ完了時t2〜出力トルク値引上げ開始時t3)
出力トルク値を引き下げトルク値τ2まで引き下げた後は、上記(1)〜(3)のステップを実施して滑り判定を行う。滑り判定を行った結果、まだ、滑りを検出した場合には、再び引き下げトルク値を算出して、制限トルク値τとして、新たに算出した引き下げトルク値をモータ制御部40に送信することで、モータ10の出力トルク値を新たに算出した引き下げトルク値まで引き下げる。
滑り判定を行った結果、滑りを検出しなかった場合には、トラクションを回復させるために一定時間、制限トルク値τとして、引き下げトルク値τ2をモータ制御部40に送信することで、モータ10の出力トルク値を引き下げトルク値τ2の状態で維持する。
(4−3)出力トルク値引き上げ期(出力トルク値引上げ開始時t3〜出力トルク値引き上げ完了時t4)
一定時間、出力トルク値τを引き下げトルク値τ2の状態で維持した後は、推定動摩擦係数μから算出された推定静止摩擦係数μと駆動輪20が滑っていない状態の推定角加速度a2’とに基づいて引き上げトルク値τ3を算出する。そして、駆動輪20が滑っていない状態の推定角加速度a2’と駆動輪20が滑っている状態の推定角加速度a2との差分に基づいて算出された「出力トルク値τの単位時間当たりの変化量」で段階的に出力トルク値τを引き上げトルク値τ3まで引き上げる。具体的には、制限トルク値として、「出力トルク値τの単位時間当たりの変化量」で段階的に引き上げるトルク値をモータ制御部40に送信することで、出力トルク値τを引き上げトルク値τ3まで段階的に引き上げる。なお、出力トルク値引き上げ期においては、滑り判定を行わない。
(4−4)トラクション回復期2(出力トルク値引き上げ完了時t4〜出力トルク値復帰開始時t5)
出力トルク値τを引き上げトルク値τ3まで引き上げた後は、上記(1)〜(3)のステップを実施して滑り判定を行う。滑り判定を行った結果、滑りを検出した場合には、再び引き下げトルク値を新たに算出して、制限トルク値τとして、新たに算出した引き下げトルク値をモータ制御部40に送信することで、モータ10の出力トルク値τを新たに算出した引き下げトルク値まで引き下げる。
滑り判定を行った結果、滑りを検出しなかった場合には、トラクションを回復させるために一定時間、制限トルク値τとして、引き上げトルク値τ3をモータ制御部40に送信することで、モータ10の出力トルク値を引き上げトルク値τ3の状態で維持する。
(4−5)出力トルク値復帰期(出力トルク値復帰開始時t5〜出力トルク値復帰完了時t6)
出力トルク値を引き上げトルク値τ3で維持した後、情報取得部30のスロットル開度Sに応じたトルク値(復帰トルク値τ4)まで出力トルク値τを徐々に引き上げる。
(5)モータ制御ステップS50
モータ制御ステップS50においては、出力トルク値制御ステップS40において出力トルク値制御部150から送信される制限トルク値τに従って、モータ10を制御する(具体的にはモータ10に電源装置70から供給する電源電圧値を制御する。)。
このようにして、駆動輪20の滑りを抑制することができる。
4.実施形態に係るトラクション制御装置100及びトラクション制御方法の効果
実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、モータ10におけるロータの回転位置に基づいてモータ10の実角加速度a1を算出する実角加速度算出部110と、モータ10の出力トルク値τを含む情報に基づいてモータ10の推定角加速度a2を算出する推定角加速度算出部130と、実角加速度算出部110によって算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1と推定角加速度算出部130によって算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2とを比較することにより駆動輪20の滑りの状態を検出する滑り検出部140とを備えるため、車両1の駆動輪20及び従動輪22のどちらにも車速センサを設ける必要がなく、車両のトラクション制御を簡便な構成で実現することができる。
ところで、図6からも分かるように、駆動輪において計測された車速と従動輪において計測された車速とを比較することにより駆動輪の滑りの状態を検出する場合には、駆動輪に滑りが発生した場合でも、滑りの影響が車速差に反映される(例えば、図6(a)における破線Aで囲まれた領域)までに時間がかかり、滑りに対する追従精度が高いトラクション制御をすることが難しい場合がある。これに対して、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、モータ10におけるロータの回転位置に基づいて算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1とモータ10が発生するトルクを含む情報に基づいて算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2とを比較することにより駆動輪20の滑りの状態を検出する滑り検出部140を備えるため(例えば、推定角加速度の単位時間当たりの変化量のピークとなる時点で滑りを検出する滑り検出部140を備える、図6(c)における破線Bで囲まれた領域参照。)、駆動輪20に滑りが発生してから滑りの影響がモータ10の実角加速度a1に反映されるまでの時間が短く、滑りに対する追従精度が高いトラクション制御をすることができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100及びトラクション制御方法によれば、モータ10におけるロータの回転位置に基づいて算出された実角加速度の単位時間当たりの変化量sa1とモータ10が発生するトルクを含む情報に基づいて算出された推定角加速度の単位時間当たりの変化量sa2とを比較することにより駆動輪20の滑りの状態を検出する滑り検出部140を備えるため、滑りが車速に反映されていない段階(図6(c)における破線Bで囲まれた領域参照。)や、場合によっては滑りがまだ発生していない段階でも駆動輪20の滑り(又は滑りの予兆)を検出することができ、その結果、滑りの影響が小さい段階で駆動輪20の滑りを低減するトラクション制御や、まだ滑りが発生していない段階で駆動輪20の滑りを防ぐことが可能なトラクション制御をすることができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100及びトラクション制御方法によれば、モータ10の出力トルク値τを含む情報に基づいてモータの推定角加速度a2を算出する機能を有する推定角加速度算出部130を備えるため、刻々変化する車両の状態を推定角加速度a2に反映することができ、滑りに対する追従精度がより一層高いトラクション制御をすることができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、情報は、転がり抵抗値Rr、勾配抵抗値Re及び空気抵抗値Raを含むため、路面及び車両の状態をきめ細かく反映させた推定角加速度a2を算出することができ、滑りに対する追従精度がより一層高いトラクション制御をすることができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、モータ10は、ベクトル制御を使用した三相モータであり、出力トルク値τは、U相、V相及びW相の相電流値i、モータ10に印加される電源電圧値V及びモータ10におけるロータの回転位置に基づいて算出されるため、出力トルク値τを含む情報に基づいて算出される推定角加速度a2も、モータ10の電流及び電圧を考慮して算出される。従って、実施形態に係るトラクション制御装置100は、モータ10の電流及び電圧を考慮したトラクション制御をすることができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、転がり抵抗値Rrは、滑り検出部140によって検出された滑りの状態に応じて更新されるため、転がり抵抗値Rrを含む情報に基づいて算出される推定角加速度a2も滑りの状態に応じて更新されることになる。従って、実施形態に係るトラクション制御装置100は、滑りの状態に応じたトラクション制御が可能となる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、出力トルク値制御部150は、滑り検出部140によって駆動輪20の滑りを検出した場合において、駆動輪20が滑っている状態における出力トルク値τ及び実角加速度a1から算出された推定動摩擦係数μと駆動輪20が滑っていない状態の推定角加速度a2’とに基づいて引き下げトルク値τ2を算出し、出力トルク値τを引き下げトルク値τ2まで引き下げるため、駆動輪20の滑りの状態に合わせて出力トルク値τを引き下げることができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、出力トルク値制御部150は、推定動摩擦係数μから算出された推定静止摩擦係数と駆動輪20が滑っていない状態の推定角加速度a2’とに基づいて引き上げトルク値τ3を算出し、出力トルク値τを引き上げトルク値τ3まで引き上げるため、駆動輪20の滑りの状態に合わせて出力トルク値τを引き上げることができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、出力トルク値制御部150は、駆動輪20が滑っていない状態の推定角加速度a2’と駆動輪20が滑っている状態の推定角加速度a2との差分に基づいて算出された「出力トルク値の単位時間当たりの変化量」で出力トルク値を引き下げトルク値τ2から引き上げトルク値τ3まで徐々に引き上げるため、急激に出力トルク値を引き上げることによって再び駆動輪20の滑りが発生することを防ぐことができる。
また、実施形態に係るトラクション制御装置100によれば、滑っていない状態の出力トルク値は、滑り検出部140によって駆動輪20の滑りを検出したときより所定時間前の出力トルク値τ’であるため、滑り検出部140は、実際の路面の状態に近い状態(例えば、路面の傾斜、砂利道か否か等の状態)における滑りが発生していない状態を基準に滑り判定をすることができる。その結果、実施形態に係るトラクション制御装置100は、実際の路面や車両の状態に応じたトラクション制御をすることができる。
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)上記実施形態においては、モータとして、三相交流ブラシレスモータを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。モータとして、ロータの回転位置及び電流値(U相、V相及びW相の相電流値)を検出できる適宜のモータを用いてもよい。
(3)上記実施形態においては、差分sa−saが所定の範囲を超えたときに滑りが発生したと判定したが、本発明はこれに限定されるものではない。差分sa−saが0でなくなったとき(すなわち、実角加速度の単位時間当たりの変化量と推定角加速度の単位時間当たりの変化量とに差が生じたとき)に滑りが発生したと判定してもよいし、差分sa−saの時間変化がピークとなったところで滑りが発生したと判定してもよい。
(4)上記実施形態においては、出力トルク値制御ステップS40において、出力トルク値引き下げ期と出力トルク値引き上げ期の間にトラクション回復期1を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。出力トルク値引き下げ期と出力トルク値引き上げ期の間にトラクション回復期1を設けなくてもよい。
(5)上記実施形態においては、出力トルク値制御ステップS40において、出力トルク値引き上げ期と出力トルク値復帰期の間にトラクション回復期2を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。出力トルク値引き上げ期と出力トルク値復帰期の間にトラクション回復期2を設けなくてもよい。
(6)上記実施形態においては、推定角加速度a2を算出する情報として、転がり抵抗値Rr、勾配抵抗値Re及び空気抵抗値Raの全てを含む情報を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。推定角加速度を算出する情報として、転がり抵抗値、勾配抵抗値及び空気抵抗値のうちのいずれかを含む情報を用いてもよい。
1…車両、10…モータ、20,920…駆動輪、22,922…従動輪、30…情報取得部、40…モータ制御部、50…電源装置、52…バッテリ、54…インバータ、100,900…トラクション制御装置、110…実角加速度算出部、120…トルク・抵抗算出部、121…空気抵抗算出部、122…出力トルク値算出部、123…転がり抵抗算出部、124…勾配抵抗算出部、130…推定角加速度算出部、140,940…滑り検出部、150…出力トルク値制御部、940…エンジン出力制御部、i…電流値、M…車重、Ra…空気抵抗値、Rc…加速抵抗値、Re…勾配抵抗値、Rr…転がり抵抗値、Va…駆動輪の車速、Vb…従動輪の車速、a1…実角加速度、a1’…(滑り検出時より所定時間前の)実角加速度、a2…推定角加速度、a2’…(滑り検出時より所定時間前の)推定角加速度、sa1…実角加速度の単位時間当たりの変化量、sa1’…(滑り検出時より所定時間前の)実角加速度の単位時間当たりの変化量、sa2…推定角加速度の単位時間当たりの変化量、sa2’…(滑り検出時より所定時間前の)推定角加速度の単位時間当たりの変化量、sω…角速度の時間微分、v1…実速度、v2…推定速度、θ…(路面の)勾配、τ…出力トルク値、τ’…(滑り検出時より所定時間前の)τ1…すべり時のトルク値、τ2…引き下げトルク値、τ3…引き上げトルク値、τ4…復帰トルク値、τ…制限トルク値

Claims (7)

  1. 駆動輪をモータで回転させる車両において前記駆動輪の滑りを抑制するトラクション制御装置であって、
    前記モータにおけるロータの回転位置に基づいて前記モータの実角加速度を算出する機能を有する実角加速度算出部と、
    前記モータの出力トルク値を含む情報に基づいて前記モータの推定角加速度を算出する機能を有する推定角加速度算出部と、
    前記実角加速度算出部によって算出された前記実角加速度の単位時間当たりの変化量と前記推定角加速度算出部によって算出された前記推定角加速度の単位時間当たりの変化量とを比較することにより前記駆動輪の滑りの状態を検出する滑り検出部と、
    前記滑り検出部によって検出された前記駆動輪の滑りの状態に基づいて前記モータの出力トルク値を制御する出力トルク値制御部とを備え
    前記出力トルク値制御部は、
    前記滑り検出部によって前記駆動輪の滑りを検出した場合において、前記駆動輪が滑っている状態の前記出力トルク値及び前記駆動輪が滑っている状態の前記実角加速度から算出された推定動摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き下げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引き下げトルク値まで引き下げ、
    前記推定動摩擦係数から算出された推定静止摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き上げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引き下げトルク値から前記引き上げトルク値まで引き上げることを特徴とするトラクション制御装置。
  2. 前記情報は、転がり抵抗値、勾配抵抗値及び空気抵抗値のうちの少なくとも一つをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のトラクション制御装置。
  3. 前記モータは、ベクトル制御を使用した三相モータであり、
    前記出力トルク値は、U相、V相及びW相の相電流値、前記モータに印加される電源電圧値及び前記モータにおけるロータの回転位置に基づいて算出されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラクション制御装置。
  4. 前記転がり抵抗値及び前記勾配抵抗値のうちの少なくとも一つは、前記滑り検出部によって検出された前記滑りの状態に応じて更新されることを特徴とする請求項2に記載のトラクション制御装置。
  5. 前記出力トルク値制御部は、前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度と前記駆動輪が滑っている状態の前記推定角加速度との差分に基づいて「出力トルク値の単位時間当たりの変化量」を算出し、前記出力トルク値を、当該「出力トルク値の単位時間当たりの変化量」で前記引き下げトルク値から前記引き上げトルク値まで引き上げることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトラクション制御装置。
  6. 前記滑っていない状態の前記推定角加速度は、前記滑り検出部によって前記駆動輪の滑りを検出したときより所定時間前の推定角加速度であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトラクション制御装置。
  7. 駆動輪をモータで回転させる車両において前記駆動輪の滑りを抑制するトラクション制御方法であって、
    前記モータにおけるロータの回転位置に基づいて前記モータの実角加速度を算出する実角加速度算出ステップと、
    前記モータの出力トルク値を含む情報に基づいて前記モータの推定角加速度を算出する推定角加速度算出ステップと、
    前記実角加速度算出ステップにおいて算出された前記実角加速度の単位時間当たりの変化量と前記推定角加速度算出ステップにおいて算出された前記推定角加速度の単位時間当たりの変化量とを比較することにより前記駆動輪の滑りの状態を検出する滑り検出ステップと、
    前記滑り検出ステップにおいて検出された前記駆動輪の滑りの状態に基づいて前記モータの出力トルク値を制御する出力トルク値制御ステップとを含み、
    前記出力トルク値制御ステップは、
    前記駆動輪が滑っている状態の前記出力トルク値及び前記駆動輪が滑っている状態の前記実角加速度から推定動摩擦係数を算出し、当該推定動摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き下げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引き下げトルク値まで引き下げる出力トルク値引き下げステップと、
    前記推定動摩擦係数から算出された推定静止摩擦係数と前記駆動輪が滑っていない状態の前記推定角加速度とに基づいて引き上げトルク値を算出し、前記出力トルク値を前記引き上げトルク値まで引き上げる出力トルク値引き上げステップとをこの順序で含むことを特徴とするトラクション制御方法。
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