JP6710927B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
従来、シリカを配合することでタイヤの低転がり抵抗性を改善する手法が提案されているが、同時に粘度が上昇して加工性が悪化し、加えて強靭性も悪化する傾向があった。
特許文献1には、共役ジエン化合物由来部分の含有量が40mol%以上である共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)と、共役ジエン系重合体(B)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)とを含むことを特徴とするゴム組成物が記載されており、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)は、セリウムを含む特定の化合物を重合触媒組成物として用いて、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させることが記載されている。
(1)天然ゴムおよび/または合成ポリイソプレンを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gであるカーボンブラックを30〜90質量部、酸化セリウムを1〜30質量部、熱硬化性樹脂を5〜20質量部含む、タイヤ用ゴム組成物。
(2)前記酸化セリウムが、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることを特徴とする、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3)さらにシリカを含み、硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、上記(1)または(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をビードフィラーに用いた空気入りタイヤ。
本発明は、天然ゴムおよび/または合成ポリイソプレンを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gであるカーボンブラックを30〜90質量部、酸化セリウムを1〜30質量部、熱硬化性樹脂を5〜20質量部含む、タイヤ用ゴム組成物である。
このようなタイヤ用ゴム組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは、天然ゴムおよび/または合成ポリイソプレンを50質量%以上含む。すなわち、前記ジエン系ゴムが含む天然ゴムと合成ポリイソプレンとの合計含有率は50質量%以上である。この合計含有率が低すぎると、破断物性が悪化する傾向がある。
ジエン系ゴムとしてスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を用いる場合には、ジエン系ゴム中、SBRが5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。この範囲内であると、加硫後のゴム組成物の一般的物性がより良好なものとなる。
本発明の組成物が含有するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gであり、40〜90m2/gであることが好ましく、70〜90m2/gであることがより好ましい。
なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217−2に準拠して求めた値である。
本発明の組成物が含有する酸化セリウムは特に限定されず、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることが好ましく、20〜50nmの微粒子であることがより好ましい。
本発明の組成物が含有する熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。中でも、フェノール樹脂、メラミン樹脂がビードフィラー用ゴム組成物としての特性および耐久性において良好である。
また、フェノール樹脂が好ましく、アルキルフェノール樹脂または変性フェノール樹脂を使用してもよい。変性フェノール樹脂としてはカシュー変性フェノール樹脂、オイル変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノール樹脂、アニリン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂等が例示され、とりわけカシュー変性フェノール樹脂が好ましい。
カシューナッツ変性フェノール樹脂は、カシューナッツ殻油由来の天然フェノール類と化石燃料由来のフェノール類とをアルデヒド類で架橋した重量平均分子量1500〜5000のフェノール樹脂であることが好ましい。
本発明の組成物はシリカを含有することが好ましい。
本発明の組成物がシリカを含有する場合、シリカは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
本発明の組成物は硫黄含有シランカップリング剤を含むことが好ましい。
硫黄含有シランカップリング剤は特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意の硫黄を含有するシランカップリング剤を用いることができる。
本発明の組成物には、上記の成分の他に、芳香族性テルペン樹脂、シリカおよびカーボンブラック以外のフィラー、上記の硫黄含有シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、酸化亜鉛、軟化剤(オイル)、老化防止剤、可塑剤等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられている各種のその他添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
加硫促進剤または架橋促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることが好ましく、1.0〜2.5質量部であることがより好ましい。
酸化亜鉛の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.2〜10.0質量部であることが好ましく、0.4〜5.0質量部であることがより好ましい。
軟化剤(オイル)の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましい。
老化防止剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.2〜4.0質量部であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記の各成分を混合・混錬することによって製造することができる。
上記の成分のうち、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分を混合および混練してマスターバッチを作成し、このマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合し、オープンロール等を用いて混練してゴム組成物を製造することが好ましい。このように、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分からなるマスターバッチを作成し、そのマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合・混練すると、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合してからの混練時間を短くすることができ、不均一な加硫(架橋)が生じることによる加硫(架橋)ゴム組成物の物性低下を防止することができるうえ、加硫(架橋)の制御が容易となる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造した空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をビードフィラーに用いて製造した空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
<標準例、実施例1〜8、比較例1〜5>
第1表および第2表の標準例の欄、実施例の欄および比較例の欄に示すとおり、標準例1、標準例2、実施例1〜8および比較例1〜5に係るゴム組成物は、第1表および第2表に示す各成分を、第1表および第2表に示す配合量で配合して製造した。
具体的には、まず、下記第1表および第2表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
製造したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
<加工性>
JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計にてL型ロータ(38.1mm径、5.5mm厚)を使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、100℃、2rpmの条件で測定した。
結果を第1表および第2表に示す。結果は標準例を100として指数で示した。この値が低いほど粘度が小さく加工性が優れる。
JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。
結果を第1表および第2表に示す。結果は標準例を100として指数で示した。この値が低いほど低燃費性能に優れる。
上記のように作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度100℃、引張り速度500mm/分の条件で100%モジュラス(M100:100%変形時の応力)、破断伸びおよび破断強度(EB:破断時の応力)を測定した。そして、M1000.75×EBを算出し、これを強靭性の指標とした。
結果を第1表および第2表に示す。
強靭性の測定結果は、標準例の値を100とし、指数表示した。数値が大きいほど強靭性に優れることを意味する。
表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム TSR20
・SBR:日本ゼオン NIPOL 1502
・カーボンブラック:新日化カーボン(株)製 ニテロン♯200H、N2SA=75m2/g
・シリカ:ニプシルAQ 東ソーシリカ(株)製
・酸化セリウム1:Nanotechnology社製 Nano−D CEP 平均粒子径=25−45nm
・酸化セリウム2:トライバッハインダストリー社製 FG−50 平均粒子径=0.6−2.0μm
・酸化亜鉛:正同化学工業(株)製 酸化亜鉛3種
・硫黄含有シランカップリング剤:ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド(TESPT)、Evonik社製Si69
・フェノール樹脂:住友ベークライト製 PR−YR−170
・ステアリン酸:日油(株)製ステアリン酸YR
・老化防止剤:FLEXSYS(株)製 SANTOFLEX 6PPD
・硫黄:鶴見化学工業社製 金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24重量%)
・加硫促進剤:FLEXSYS社製SANTOCURE CBS
・メチレン供与体:ヘキサメチレンテトラミン 三新化学工業(株)製 サンセラー HT−PO
<実施例1〜8>
実施例1〜8では低燃費性能、加工性および強靭性を改善することができた。
酸化セリウムを含まないか、その量が少ない態様である。この場合、強靭性または加工性が悪化した。
酸化セリウムの量が多い態様である。この場合、強靭性が悪化した。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (5)
- 天然ゴムおよび/または合成ポリイソプレンを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜90m2/gであるカーボンブラックを30〜90質量部、平均粒子径が20〜60nmの微粒子である酸化セリウムを1〜30質量部、熱硬化性樹脂を5〜20質量部含む、タイヤ用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムが、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、およびアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1以上を含む、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムが、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムを5〜40質量%含み、且つ前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記酸化セリウムを5〜15質量部含む、請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- さらにシリカを含み、硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物をビードフィラーに用いた空気入りタイヤ。
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