JP6710645B2 - シリコーン樹脂用帯電防止剤 - Google Patents
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Description
本発明は、
下記の一般式(1)又は一般式(2)で示されるイオン性化合物(A)、エチレン性不飽和結合及びポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)並びに有機金属化合物(C)を含有するシリコーン樹脂用帯電防止剤組成物である。
[一般式(1)において、R1は、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カ
ルボキシル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の
基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、または水素原子を表
す。R2〜R5は、それぞれヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキ
シル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水
素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。R1〜
R5の一部または全てが相互に結合して環を形成していてもよい。X1−はアニオンを示
す。]
[一般式(2)において、R6は、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カ
ルボキシル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の
基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す
。R7〜R10は、それぞれヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキ
シル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水
素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R6〜R10の一部
または全てが相互に結合して環を形成していてもよい。X2−はアニオンを示す。]
プロトン酸とルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸及び六フッ化タウリン等が挙げられる。
化合物(B)は1個又は2個以上のポリオキシアルキレン鎖を有し、当該ポリオキシアルキレン鎖が合計p個のオキシエチレン基とq個の炭素数3〜4のオキシアルキレン基とを有し、pの割合がpとqの合計数に対して好ましくは25〜100%であり、より好ましくは80〜100%、特に好ましくは100%である。
化合物(B1)が2官能の活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド付加物であって、当該アルキレンオキサイド付加物の2個の水酸基の水素原子がエチレン性不飽和結合を有する1価の炭化水素基で置換された化合物(B11)であることが好ましい。
本発明において、エチレン性不飽和結合及び/もしくはヒドロシリル基を有し且つポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)としては、例えば、ポリエチレングリコール変性シリコーンの末端ヒドロキシル基を塩化(メタ)アクリル又は塩化(メタ)アリルで封鎖した化合物、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物等及び前記付加物の末端ヒドロキシル基を塩化(メタ)アクリル又は塩化(メタ)アリルで封鎖した2官能物、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アリルアルコールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等及び前記付加物の末端ヒドロキシル基を塩化(メタ)アクリル又は塩化(メタ)アリルで封鎖した2官能物等が挙げられる。
また、シリコーン樹脂の膜強度低下がほとんどないことから2個以上のエチレン性不飽和結合を有するポリオキシエチレン鎖を有する化合物がより好ましく、2個以上のエチレン性不飽和結合が末端にある化合物が最も好ましい。
本発明における有機金属化合物(C)は有機鉄化合物(C1)、有機アルミニウム化合物(C2)、または有機チタン化合物(C3)が好ましい。これらの有機金属化合物は、1種類のみを用いても良く、適宜、2種類以上混合して用いても良い。
白金族金属系触媒は、付加反応硬化型組成物の場合に使用される付加反応触媒であり、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニル基含有シロキサン錯体等の白金系触媒、ロジウム錯体及びルテニウム錯体等の白金族金属系触媒が挙げられる。また、これらの触媒をイソプロパノールやトルエン等の溶剤やシロキサンオイルなどに溶解・分散させたものを用いてもよい。
有機過酸化物触媒は、過酸化物硬化型組成物の場合に硬化剤として使用される有機過酸化物であり、分解して遊離酸素ラジカルを発生するものであれば特に制限されるものではない。具体例としては、ジベンゾイルパーオキサイド、4,4’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、3,3’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、2,2’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、2,2’,4,4’−テトラクロロジベンゾイルパーオキサイド及びクミルパーオキサイド等が挙げられる。
剥離層とは本発明の帯電防止組成物を含んだシリコーン樹脂を塗布してなる。剥離層と基材との塗膜密着性を良好とするために塗布層を設けても良い。塗布層に関しては、塗布延伸法(インラインコーティング)を用いてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、何れの手法を採用してもよい。
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG600」)300部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG600のジアリルエーテル化合物(B1−1)340部を得た。
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が600のポリエチレングリコール(三洋化成工業社製「PEG1000」)500部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過してPEG1000のジアリルエーテル化合物(B1−2)510部を得た。
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製耐圧反応容器に、数平均分子量が4000のポリオキシエチレン/プロピレングリコール共重合体(三洋化成工業社製「ニューポール80−4000」)2000部(0.5モル)と水素化ホウ素ナトリウム0.1部とアリルクロライド78.8部(1.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、反応槽内の温度を20℃以下に調整する。温度調整後、水酸化ナトリウム60.0部を、釜内温度が60℃以下に保つように制御しながら、2時間かけて投入した後、85℃で4時間熟成した。次に、粗精製物を70℃に調整した後、イオン交換水を331.4部加え、30分間攪拌して粗精製物中の残存アルカリと生成塩を溶解した。塩を溶解した後、反応槽内温度を70℃に維持したまま30分間静置し、分離した下層の水を抜き取った。次いで上層に対して3部のKW−600(協和化学工業製)と2部のKW−700(協和化学工業製)を加え混合した。混合後、液中に窒素を通気しながら70〜80℃で4時間減圧脱水し、40℃まで冷却してから窒素加圧濾過して数平均分子量が4000のポリオキシエチレン/プロピレングリコール共重合体のジアリルエーテル化合物(B11−4)1500部を得た。
シリコーン粘着剤(「KR−3704」、信越化学工業社製)(E1−1)100部に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬工業社製)(A1−1)0.5部、PEG600のジアリルエーテル化合物(B11−1)1部、鉄(III)アセチルアセトナート(C1−1)(東京化成社製)0.5部、白金触媒(「CAT−PL−50T」、信越化学工業社製)1部、及びトルエン100部を混合し、乾燥後の膜厚が30μmとなるようにPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗布し、130℃で所定時間乾燥・硬化させ、粘着フィルムを作製した。
表1に記載の配合処方(単位は「部」)で各成分を混合後、実施例1と同様の手順で粘着フィルムを作製した。また、表1に得られた粘着フィルムを用いて以下の試験方法により表面固有抵抗値、経時でのブリードアウト、色相の変化及び透明性、及び硬化性を測定又は評価した結果を示す。
シリコーン樹脂(「KS−3703T」、信越化学社製)(E1−2)100部に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬工業社製)2部、PEG600のジアリルエーテル化合物(B11−1)10部、鉄(III)アセチルアセトナート(C1−1)2部、白金触媒(「CAT−PL−50T」、信越化学社製)1部、トルエン460部、及びMEK(メチルエチルケトン)460部を混合し、塗工量が0.1m2となるようにPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗布し、120℃で所定時間乾燥・硬化させ、剥離フィルムを作製した。
表1に記載の配合処方(単位は「部」)で各成分を混合後、実施例4と同様の手順で剥離フィルムを作製した。また、表1に得られた剥離フィルムを用いて以下の試験方法により表面固有抵抗値、経時でのブリードアウト、及び硬化性を測定又は評価した結果を示す。
シリコーン粘着剤(「KR−100」、信越化学工業社製)(E2−1)100部に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬工業社製)(A1−1)1部、PEG600のジアクリレート(「NKエステル A−600」、新中村化学工業社製)(B11−3)1部、有機過酸化物(「ナイパーBMT−K40」、日油株式会社製)0.2部、及びトルエン100部を混合し、乾燥後の膜厚が30μmとなるようにPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗布し、130℃で所定時間乾燥・硬化させ、粘着フィルムを作製した。
シリコーン粘着剤(「KR−3704」、信越化学工業社製)(E1−1)100部に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(和光純薬工業社製)(A1−1)0.5部、ポリオキシエチレン/プロピレングリコール共重合体のジアリルエーテル化合物(B11−4)1部、鉄(III)アセチルアセトナート(C1−1)(東京化成社製)0.1部、白金触媒(「CAT−PL−50T」、信越化学工業社製)1部、及びトルエン100部を混合し、乾燥後の膜厚が30μmとなるようにポリイミドフィルム(25μm)またはPETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗布し、130℃で所定時間乾燥・硬化させ、粘着フィルムを作製した。
・イミダゾリウム塩(A1−2):1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(和光純薬工業社製)
・アンモニウム塩(A’1−1):トリメチルプロピルアンモニウムブロミド(和光純薬工業社製)
・PEG1000のモノアリルエーテル化合物(B1−1):SANYCOL H−2300(三洋化成工業社製)
・PEG変性シリコーン(B’1−1):KF−6017(信越化学工業社製)
(1)帯電防止性(表面固有抵抗)
試料フィルムを23℃×65%RHの条件で12時間静置した後に、JIS−K6911に記載の方法で表面固有抵抗値を測定した。
<判定基準>
○:1×1012 Ω/□未満
△:1×1012 Ω/□以上、1×1013 Ω/□未満
×:1×1013 Ω/□以上
作成した試料フィルムを130℃で所定時間乾燥させ、試料フィルムの樹脂面を指により5回擦り、樹脂層の状態を目視にて観察した。塗布層の曇りがなくなるまでの時間により判定した。
<判定基準>
○:60秒以下の時間で硬化
△:60秒より長く、180秒以下で硬化
×:180秒より長く硬化に時間がかかる
作成した試料フィルムを130℃で所定時間乾燥させ、試料フィルムの樹脂面を指により往復20回強く擦り、樹脂層の状態を目視にて観察した。
<判定基準>
○:樹脂層表面の剥がれ、曇りなし
△:樹脂層表面の剥がれはないが、曇る
×:樹脂層が剥がれ落ちる
PETフィルム(東レ ルミラー L−38T60)上に塗工したシリコーン樹脂フィルム試験片を90℃の恒温槽に750時間入れ、耐熱試験前後の色相の変化を求めた。
色彩濁度同時測定器 NIPPON DENSHOKU COH400(日本電色工業株式会社製)にてイエローインデックス(YI)を測定した。下記式にてΔYI値を算出した。耐熱試験前後のYI変化が小さいものが好ましい。
ΔYI=(耐熱試験後のYI値)−(耐熱試験前のYI値)
試料フィルムを50℃の恒温層にて500時間放置し、色彩濁度同時測定器 NIPPON DENSHOKU COH400(日本電色工業株式会社製)にてヘイズ(Hz)を測定した。経時での透明性の変化は下記の式により算出した。
経時での透明性の変化(ΔHz)=(50℃放置後の試料のHz)−(50℃放置前のHz)
Claims (5)
- 下記の一般式(1)又は一般式(2)で示されるイオン性化合物(A)、エチレン性不飽和結合及びポリオキシエチレン鎖を有する化合物(B)並びに有機金属化合物(C)を含有するシリコーン樹脂用帯電防止剤組成物。
[一般式(1)において、R1は、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、または水素原子を表す。R2〜R5は、それぞれヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。R1〜R5の一部または全てが相互に結合して環を形成していてもよい。X1−はアニオンを示す。]
[一般式(2)において、R6は、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、又は水素原子を表す。R7〜R10は、それぞれヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、エーテル基、及びアルデヒド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基で水素原子が置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R6〜R10の一部または全てが相互に結合して環を形成していてもよい。X2−はアニオンを示す。] - 前記イオン性化合物(A)のアニオンX1−又はX2−が、−11.93以下のHammett酸度関数(H0)を有する超強酸の共役塩基である請求項1に記載の帯電防止剤組成物(D)。
- 化合物(B)が1個又は2個以上のポリオキシアルキレン鎖を有し、当該ポリオキシアルキレン鎖が合計p個のオキシエチレン基とq個の炭素数3〜4のオキシアルキレン基とを有し、pの割合がpとqの合計数に対して25〜100%である請求項1又は2に記載の帯電防止剤組成物。
- 化合物(B)が、末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物(B1)である請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂用帯電防止剤組成物。
- 化合物(B1)が2官能の活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド付加物であって、当該アルキレンオキサイド付加物の2個の水酸基の水素原子がエチレン性不飽和結合を有する1価の炭化水素基で置換された化合物(B11)である請求項4に記載の帯電防止剤組成物。
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