JP6710046B2 - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合材料及びその製造方法に関する。
近年、金属材料の代替材料として繊維強化プラスチックが注目され、ガラスや炭素繊維を補強材とした複合材料が様々な用途で使用されている。しかし、繊維強化プラスチックでは長繊維を用いて圧縮成形法により成形するのが一般的であるが、圧縮成形法では細かな形状に対応できず、成形性が悪いといったデメリットがある。そこで、最も豊富な天然の植物由来のセルロース繊維は、ガラス繊維とは異なり容易にリサイクルすることができることから注目され、ポリプロピレン用の補強材として使用されている。
非極性のポリプロピレン中に、極性のセルロース繊維を分散させることは非常に困難である。適切な相溶化剤が研究されており、例えば、特許文献1、2には、ポリプロピレンとセルロース繊維に対してマレイン酸変性ポリプロピレンを混合することにより得られる複合材料が開示されている。
特開2014−133835号公報 特開2009−019200号公報
しかしながら、相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレンを用いた複合材料では、引張強度及び引張弾性率が不十分であり、かつ、導電性に劣るものであった。また、引張強度、引張弾性率及び導電性を向上させるためには、多くのマレイン酸変性ポリプロピレンを添加しなければならないという問題があった。しかし、マレイン酸変性ポリプロピレンを増やすと導電性は低下する問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、少量の相溶化剤を用いて、引張強度及び引張弾性率が高く、導電性に優れた複合材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る複合材料は、セルロース、ポリオレフィン及び相溶化剤を含む複合材料であって、前記相溶化剤は、ABA型トリブロック構造を有するポリマーであり、Aブロックは、下記一般式(i)
−(CH−CR(COOM1/y))−
(式中、Rはメチル基又は水素、Mは金属、NH、有機アンモニウム、又はイミダゾリウム、yはMイオンの価数を表す。)を構成単位として含むイオン性ポリマーブロックであるか、又は、
下記一般式(ii)
−(CH−CR−COOH)−
(式中、Rはメチル基又は水素)を構成単位として含む非イオン性ポリマーブロックであり、Bブロックは、オレフィン系(共)重合体ブロックであることを特徴とする。
また、前記ポリオレフィンはポリプロピレンであり、前記オレフィン系(共)重合体ブロックはポリプロピレンブロックであることが好ましい。
さらに、前記セルロースは、竹由来のセルロース繊維であることが好ましい。
本発明に係る複合材料の製造方法は、竹を常圧過熱水蒸気で加熱処理することによりセルロースを含む竹繊維を得る工程と、前記竹繊維と相溶化剤とを混合し、前記竹繊維を解繊する工程と、さらにポリオレフィンを加え、溶融混練する工程と、を含み、前記相溶化剤は、ABA型トリブロック構造を有するポリマーであり、Aブロックは、下記一般式(i)
−(CH−CR(COOM1/y))−
(式中、Rはメチル基又は水素、Mは金属、NH、有機アンモニウム、又はイミダゾリウム、yはMイオンの価数を表す。)を構成単位として含むイオン性ポリマーブロックであるか、又は、
下記一般式(ii)
−(CH−CR−COOH)−
(式中、Rはメチル基又は水素)を構成単位として含む非イオン性ポリマーブロックであり、Bブロックは、オレフィン系(共)重合体ブロックであることを特徴とする。
本発明によれば、少量の相溶化剤を用いて、引張強度及び引張弾性率が高く、導電性に優れた複合材料及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る複合材料は、セルロース、ポリオレフィン及び相溶化剤を含む。
(セルロース)
本発明に用いるセルロースは、市販のセルロース粉末であってもよく、植物由来のセルロース繊維であってもよい。好ましくは、竹由来のセルロース繊維である。
(ポリオレフィン)
本発明に用いるポリオレフィンは、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテンが挙げられる。好ましくは、ポリプロピレンである。ポリオレフィンの数平均分子量としては、特に制限されないが、好ましくは300〜100000、特に500〜50000の範囲である。質量平均分子量としては、特に制限されないが、好ましくは500〜500000、特に1000〜200000の範囲である。
(相溶化剤)
本発明に用いる相溶化剤は、ABA型トリブロック構造を有する。Aブロックは、下記一般式(i)
−(CH−CR(COOM1/y))−
を構成単位として含むイオン性ポリマーブロックであるか、又は、
下記一般式(ii)
−(CH−CR−COOH)−
を構成単位として含む非イオン性ポリマーブロックである。Rはメチル基又は水素を表す。また、Mは金属、NH、有機アンモニウム、又はイミダゾリウムを意味し、yはMイオンの価数を表す。金属は好ましくは、Li,Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属、Zn、Cu、Mn、Co、Al等の遷移金属である。これらの金属は、単独でも複数を組み合わせてもよい。より好ましくはNaである。有機アンモニウムは、カルボキシル基を有機アミンで中和することにより形成され、有機アミンは、一つのアミノ基を有する化合物でも、複数のアミノ基を有する化合物でもよい。有機アミンとして、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、プトレシン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン等のジアミン、メラミン等のトリアミン等が挙げられる。イミダゾリウムは、カルボキシル基をイミダゾリウム塩で中和することにより形成される。イミダゾリウム塩として、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム塩、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム塩、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム塩等が挙げられる。Aブロック中における、上記一般式(i)で表される構成単位の含有量は、特に限定されないが、良好な耐熱性を実現する観点から、1〜90特に10〜50質量%の範囲が好ましい。
Aブロックは、上記一般式(i)の構成単位の他に、これとは異なる他のビニル系モノマーに由来する構成単位を含んでもよい。他のビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸i−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸i−デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸i−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸i−ステアリル、(メタ)アクリル酸ベへニル、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸シクロブチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸シクロノニル、(メタ)アクリル酸シクロデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノプロピル、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、9−アントラセニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、プロピレングリコールポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル等のビニルエーテル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;
酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;
ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;
酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステル類;
スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ビニルフェノール、安息香酸ビニル、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル類;
(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、n−プロピル(メタ)アクリルアミド、i−プロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド(ダイアセトンアクリルアミド)、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエタノール(メタ)アクリルアミド、N−(2−(ポリエチレングリコール)エチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−(2,2’−(ポリエチレングリコール)ジエチル)(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。これらの他のビニル系モノマーは、単独でも複数を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、i−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリロニトリル、又はスチレンである。また、Aブロックが一般式(i)を構成単位として含むイオン性ポリマーブロックの場合には、他のビニル系モノマーとして、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
Aブロック中における、他のビニル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、1〜90質量%、特に10〜50質量%の範囲が好ましい。Aブロックを構成するイオン性ポリマー又は非イオン性ポリマーの数平均分子量としては、特に制限はないが、好ましくは300〜100000、特に500〜50000の範囲である。質量平均分子量としては、特に制限はないが、好ましくは500〜1000000、特に1000〜500000の範囲である。
Bブロックは、オレフィン系(共)重合体ブロックである。オレフィン系(共)重合体は、好ましくは下記一般式(iii)
−(CH−CHR)−
を構成単位とする。各Rは、H、−CH、−C、及びCHCH(CHからなる群から独立に選択される。すなわち、ポリエチレン(RがすべてH)、ポリプロピレン(Rがすべて−CH)、ポリ1−ブテン(Rがすべて−C)、エチレン・プロピレン共重合体(RがH又は−CH)、プロピレン・1−ブテン共重合体(Rが、−CH又は−C)、エチレン・1−ブテン共重合体(RがH又は−C)又はポリ4−メチル−1−ペンテン(Rがすべて−CHCH(CH)等が含まれる。また、オレフィン系(共)重合体は、ポリイソブチレンでもよい。なお、共重合体に関してはランダム共重合体及びブロック共重合体の両方を含む。好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体又はポリイソブチレンである。成形性の点で、ポリプロピレンがさらに好ましい。一般式(iii)で表される構成単位の繰り返し数は、特に制限はないが、通常10〜3000の整数である。Bブロックを構成するオレフィン系(共)重合体の数平均分子量としては、特に制限されないが、好ましくは300〜100000、特に500〜50000の範囲である。質量平均分子量としては、特に制限されないが、好ましくは500〜500000、特に1000〜200000の範囲である。
本発明に用いる相溶化剤の具体的な構造として、好ましいものは、下記一般式(iv)
X−A−CR−C(=O)−O−B−O−C(=O)−CR−A−X
が挙げられる。
A及びBは、それぞれ、上記のAブロック及びBブロックであり、R及びRは、それぞれ独立して水素、メチル基、又はフェニル基を表す。R及びRは、全て水素原子であってもよく、また少なくとも1個が水素原子以外の官能基に置換されていてもよい。2個が水素原子以外の官能基に置換される場合には、それらの置換基は同じでも異なっていてもよい。反応性の観点から、Rが水素でRがメチル基、Rが水素でRがフェニル基、又はRとRの両方がメチル基であるものが好ましい。また、Xはハロゲン原子を意味し、好ましくはCl、Br、又はIであり、Brが最も好ましい。
本発明に用いる相溶化剤の数平均分子量としては、特に制限はないが、好ましくは1000〜1000000、特に2000〜100000の範囲である。質量平均分子量としては、特に制限はないが、好ましくは2000〜5000000、特に3000〜500000の範囲である。
(相溶化剤の製造方法)
本発明に用いる相溶化剤は、例えば、両末端ヒドロキシ基含有ポリオレフィンから両末端ハロゲン化ポリオレフィンを製造し、得られた両末端ハロゲン化ポリオレフィンとビニル系モノマーとで原子移動ラジカル重合反応を行うことによりトリブロック共重合体を製造し、得られたトリブロック共重合体を加水分解した後、金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン又はイミダゾリウムイオンを導入することにより製造できる。
両末端ヒドロキシ基含有ポリオレフィンは、両末端に二重結合を有するポリオレフィンをヒドロキシル化することにより製造できる。
両末端に二重結合を有するポリオレフィンは、本発明者らが開発した制御熱分解(Macromolecules,28,7973(1995)参照。)によるポリオレフィンの熱分解生成物として得られる。
ポリプロピレンを例に説明すると、高度制御熱分解法によって得られるポリプロピレンの熱分解生成物は、数平均分子量Mnが1000〜50000程度、分散度Mw/Mnが2程度、1分子当たりのビニリデン基の平均数が1.5〜1.8程度であり、分解前の原料ポリプロピレンの立体規則性を保持しているという特性を有している。分解前の原料のポリプロピレンの質量平均分子量は、好ましくは1万〜100万の範囲内、さらに好ましくは20万〜80万の範囲内である。
熱分解装置としては、Journal of PolymerScience:Polymer Chemistry Edition, 21, 703(1983)に開示された装置を用いることができる。パイレックス(R)ガラス製熱分解装置の反応容器内にポリプロピレンを入れて、減圧下、溶融ポリマー相を窒素ガスで激しくバブリングし、揮発性生成物を抜き出すことにより、2次反応を抑制しながら、所定温度で所定時間、熱分解反応を行う。熱分解反応終了後、反応容器中の残存物を熱キシレンに溶解させる。熱時濾過後、アルコールで再沈殿させ精製する。再沈物を濾過回収して、真空乾燥することにより両末端二重結合含有ポリプロピレンが得られる。また、発明者らが独自に開発した連続式精密熱分解装置を用いることでも同様に末端二重結合含有ポリプロピレンが得られる。
熱分解温度は300℃〜450℃の範囲が好ましい。300℃より低い温度では、ポリプロピレンの熱分解反応が充分に進行しないおそれがあり、450℃より高い温度では、熱分解生成物の劣化が進行するおそれがある。
両末端ヒドロキシ基含有ポリオレフィンは、上記方法に従って得られた両末端に二重結合を有するポリオレフィンの二重結合を、ヒドロホウ素化に続く、酸化反応によってヒドロキシル化することにより製造される。例えば、テトラヒドロフランを溶媒とし、ホウ素化試薬を加えてヒドロホウ素化する。ホウ素化試薬としては、9−ボランビシクロノナンやボラン−テトラヒドロフラン錯体を用いることができる。ヒドロホウ素化後の反応溶液に過酸化水素水を加え、酸化反応させると両末端ヒドロキシル基含有ポリオレフィンが得られる。
また、例えば、両末端ヒドロキシル基含有ポリエチレンは、触媒としてベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(Grubbs触媒)を使用し、シクロオクタジエンとシス−1,4−ビス(アセトキシ)2−ブテンとを重合させた後、水素添加することにより製造できる。
続いて、上のように得られた両末端ヒドロキシル基含有ポリオレフィンを、適当なα−ハロアシルハライドを用いてエステル化反応を行うことにより、両末端ハロゲン化オリゴオレフィンが得られる。
ここで、α−ハロアシルハライドとは、α位の炭素がハロゲン化されたアシルハライドを意味し、一般式(v)
C(=O)CR
で表される。X、Xはハロゲン原子を意味し、反応性の点で、Cl又はBrが好ましい。R及びRは、それぞれ独立して水素、メチル基、又はフェニル基を表す。R及びRは、全て水素原子であってもよく、また少なくとも1個が水素原子以外の官能基に置換されていてもよい。2個が水素原子以外の官能基に置換される場合には、それらの置換基は同じでも異なっていてもよい。反応性の観点から、Rが水素でRがメチル基、Rが水素でRがフェニル基、又はRとRの両方がメチル基であるものが好ましい。
反応は、酸ハロゲン化物とアルコールによる通常のエステル化反応で行うことができる。具体的には、トリエチルアミン等の塩基の存在下、α−ハロアシルハライドと両末端ヒドロキシル基含有ポリオレフィンとを反応させればよい。
次に、上で説明した両末端ハロゲン化ポリオレフィンを開始剤として用い、通常公知のビニル系モノマーと原子移動ラジカル重合させることによりABA型トリブロック共重合体が得られる。ビニル系モノマーとして、上で説明した(メタ)アクリル酸エステル類、ビニルエーテル類、ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物、ビニルシリル化合物、ビニルエステル類、芳香族ビニル類、アクリルアミド類が挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、i−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリロニトリル、又はスチレンである。これらのビニル系モノマーは、単独でも複数を組み合わせて用いてもよいが、少なくとも1つは加水分解可能なモノマーが用いられる。加水分解可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸t−ブチルを用いるのが好ましい。なお、これらのビニル系モノマーを複数組み合わせる場合には、ランダム共重合体としてもブロック共重合体としてもよい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、周期律表第8族、9族、10族又は11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合することを特徴とする、公知の重合方法である。(たとえば、マティジャスツェウスキー(Matyjaszewski)ら、ジャーナルオブアメリカンケミカルソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)、1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、28巻、7901頁、サイエンス(Science)、1996年、272巻、866頁、又は、澤本(Sawamoto)ら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1995年、28巻、1721頁参照)。
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としては、とくに制限はないが、好ましいものとして、1価及び0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、ならびに、2価のニッケルの錯体があげられる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などがあげられる。その中でも塩化第一銅、臭化第一銅が、重合の制御の観点から好ましい。
使用する配位子は、とくに限定されないが、開始剤、単量体、及び溶媒を考慮して、必要とする反応速度の関係から適宜決定すればよい。1価の銅化合物を用いる場合、配位子として、2,2′−ビピリジル及びその誘導体(たとえば4,4′−ジノリル−2,2′−ビピリジル、4,4′−ジ(5−ノリル)−2,2′−ビピリジルなど)などの2,2′−ビピリジル系化合物、1,10−フェナントロリン及びその誘導体(たとえば4,7−ジノリル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジノリル−1,10−フェナントロリンなど)などの1,10−フェナントロリン系化合物、テトラメチルジエチレントリアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを使用することができる。
また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好ましい。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加してもよい。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も触媒として好ましい。
重合反応は、通常室温〜200℃の範囲、好ましくは50〜100℃の範囲で行なうことができる。
次に、上で説明したABA型トリブロック共重合体を加水分解することにより、ABA型トリブロック共重合体加水分解物が得られる。加水分解は、例えば、ABA型トリブロック共重合体にトリフルオロ酢酸を加えることにより行われる。このABA型トリブロック共重合体加水分解物は、Aブロックが一般式(ii)を構成単位として含む非イオン性ポリマーブロックである場合のポリマーである。
次に、上で説明したABA型トリブロック共重合体加水分解物に金属イオン、アンモニムイオン、有機アンモニウムイオン、又はイミダゾリウムイオンを導入することにより、Aブロックが一般式(i)を構成単位として含むイオン性ポリマーブロックである場合のポリマーが得られる。なお、イオン化は一部でもよく、全部でもよい。イオン化の度合いは、「中和度」で表すことができる。金属イオンは、ABA型トリブロック共重合体加水分解物に、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩等を加えることにより導入することができる。金属は、Li,Na、K、等のアルカリ金属、Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属、Zn、Cu、Mn、Co、Al等の遷移金属が好ましく、これらの金属は、単独でも複数を組み合わせてもよい。より好ましくはNaである。また、アンモニウムイオンは、ABA型トリブロック共重合体加水分解物に、アンモニアを加えることにより導入することができる。また、有機アンモニウムイオンは、ABA型トリブロック共重合体加水分解物に、有機アミンを加えることにより導入することができる。有機アミンは一つのアミノ基を有する化合物でも、複数のアミノ基を有する化合物でもよい。有機アミンとして、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、プトレシン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン等のジアミン、メラミン等のトリアミン等が挙げられる。また、イミダゾリウムイオンは、ABA型トリブロック共重合体加水分解物に、イミダゾリウム塩を加えることにより導入することができる。イミダゾリウム塩として、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム塩、1,2,3−トリエチルイミダゾリウム塩、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム塩、2−ヒドロキシエチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
(複合材料の製造方法)
本発明に係る複合材料の製造方法は、竹を常圧過熱水蒸気で加熱処理することによりセルロースを含む竹繊維を得る工程と、竹繊維と相溶化剤とを混合し、竹繊維を解繊する工程と、さらにポリオレフィンを加え、溶融混練する工程と、を含む。
竹は、高温で分解する成分である植物由来のセルロース繊維、より低温で分解するヘミセルロース、及び広い温度範囲で分解するリグニンを主成分として含有する。本発明に用いる竹の種類は特に限定するものではなく、例えば、マダケ、モウソウチク(孟宗竹)、ハチク等が挙げられる。
常圧過熱水蒸気とは、定容積状態で加熱して得られる加圧飽和水蒸気と異なり、膨張できる状態で100℃の水蒸気をさらに加熱して得られる、標準気圧下で100℃以上の水蒸気をいう。常圧過熱水蒸気の温度は、180〜230℃が好ましく、より好ましくは190〜210℃である。温度が180℃未満であると、竹に含まれるヘミセルロースの除去が十分に行われないおそれがある。一方、温度が230℃を超えると、セルロースが分解、除去されて、竹繊維の歩留まりが低下するおそれがある。
竹を常圧過熱水蒸気で加熱処理することにより、実質的にヘミセルロースを含まず、セルロース繊維を含む竹繊維を得ることができる。得られる竹繊維は、例えば、長さ1〜5cm、短径100〜1000μmである。
竹繊維と相溶化剤とを混合する際、竹繊維100質量部に対する相溶化剤の添加量は、特に限定されないが、50〜100質量部であることが好ましい。竹繊維100質量部に対する相溶化剤の添加量が50質量部未満であると、解繊が不十分であり、繊維表面に均一に添加されない場合がある。一方、竹繊維100質量部に対する相溶化剤の添加量が100質量部を超えると、スクリュー等の応力伝達による解繊効果が低下する傾向がある。
竹繊維を解繊する際の温度は、適宜選択可能であるが、140〜160℃であることが好ましい。温度が140℃未満であると、相溶化剤が均一に竹繊維に絡みつくことなく押出機内で凝固して、結果、解繊が不十分となる場合がある。一方、温度が160℃を超えると、相溶化剤が溶融して竹繊維と分離して、結果、解繊が不十分となる場合がある。
解繊には、例えば、二軸押出機が用いられる。二軸押出機におけるスクリュー長さ/スクリュー直径の比率(L/D)は、20〜60である。脱気用のベントが装着されているのが好ましい。シリンダーの上流側のホッパーから竹繊維と相溶化剤とを投入する。スクリューが回転するとともに、竹繊維と相溶化剤とは下流側に向かって移動し、竹繊維は解繊されて、竹由来のリグノセルロースナノファイバー(以下、BLCNF)に変換される。BLCNFの短径は100〜500nmであり、アスペクト比は40以上である。なお、BLCNFの表面には、相溶化剤が付着していると考えられる。
BLCNFは二軸押出機から取り出されることなく、二軸押出機にさらにポリオレフィンが加えられ、溶融混練される。ポリオレフィンを加える際、ポリオレフィンの含有量は、特に限定されないが、竹繊維とポリオレフィンの合計含有量100質量%に対して65〜97質量%であることが好ましく、より好ましくは75〜95質量%である。ポリオレフィンの含有量が65質量%未満であると、竹繊維の分散性が低下する傾向がある。一方、ポリオレフィンの含有量が97質量%を超えると、繊維強化材としての力学物性が十分には反映されにくくなる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、分子量は、GPC分析装置(HLC−8121GPC/HT(東ソー(株)製))で測定した。その際、オルトジクロロベンゼンを移動相として測定し、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
[竹繊維の製造]
孟宗竹(直径約10〜15cm、長さ約30cm、質量約1kg)を以下の仕様の過熱水蒸気処理装置(直本工業社製)に入れ、下記の条件で常圧過熱水蒸気処理を行った。これにより、長さ5cm、短径1mmの竹繊維を得た。
・過熱水蒸気処理装置
蒸気発生部:ヒーター容量 6.3kW
換算蒸発量:9.45kg/h
最高使用圧力:0.11MPa
処理槽: ヒーター容量 8kW
庫内寸法:W590×D385×H555mm
・条件
常圧過熱水蒸気の温度:210℃
処理時間:3時間
[相溶化剤の製造]
(1)両末端ブロモ化ポリプロピレン(iPP−Br)の合成
まず、両末端二重結合含有ポリプロピレン(iPP−TVD)を合成した後、iPP−TVDをヒドロキシ化し、得られた両末端ヒドロキシ化ポリプロピレン(iPP−OH)をブロモ化することにより、両末端ブロモ化ポリプロピレン(iPP−Br)を得た。具体的に以下に示す。
熱分解装置として試料量最大5kgのラボスケール高度制御熱分解装置を使用した。市販のイソタクチックポリプロピレン(ノバテックPP(日本ポリプロピレン株式会社製)、グレード:EA9A、メルトフローインデックス(MFR):0.5g/10min)2kgを反応器に仕込み、系内を窒素置換後、2mmHgに減圧して、反応器を200℃に加熱して溶融した。その後、390℃に設定されたメタルバスに反応器を沈め、熱分解を行った。熱分解中は、系内を2mmHg程度の減圧状態に保ち、溶融ポリマーを導入されたキャピラリーから排出される窒素ガスのバブリングによって攪拌した。1時間経過後、反応器をメタルバスからあげ、室温まで冷却した後、反応系を常圧にし、反応器内の残渣を熱キシレンにて溶解した後、メタノールに滴下して再沈殿精製した。得られたiPP−TVDは収率95%、数平均分子量(Mn)が23000、分散度(Mw/Mn)が1.8、一分子当たり末端二重結合の平均数(fTVD)が1.8であった。
得られたiPP−TVD100g及びテトラヒドロフラン(THF)500mlを反応器に仕込み、窒素置換後、60mlのボラン−テトラヒドロフラン錯体(BH−THF)THF溶液(1M)を加え、環流下で5時間加熱した。その後、氷浴中で5N水酸化ナトリウム水溶液100mlを加え、続いて、30%過酸化水素水溶液100mlを加え、環流下で20時間加熱した。反応後、反応混合物をメタノールに注ぎ、再沈殿精製し、iPP−OHを得た。
得られたiPP−OH100gと、トリエチルアミン4.8ml及びトルエン500mlを反応器に仕込み、窒素置換後、2−ブロモイソブチリルブロミド(BiBB)のトルエン溶液(BiBB/トルエン=4.3ml/50ml)を滴下し、24時間室温で攪拌した。反応後、1NHCl/メタノール溶液に反応溶液を注ぎ、再沈殿精製し、iPP−Brを合成した。
(2)ポリアクリル酸t−ブチル−ポリプロピレン−ポリアクリル酸t−ブチル(iPP−PtBA)の合成
(1)で得られたiPP−Br40g、臭化銅(I)1gをセパラブルフラスコに仕込み、窒素置換後、脱気したアクリル酸t−ブチル94ml、トルエン300ml、PMDETA1.5mlを加え、室温で30分撹拌後、110℃で5時間加熱撹拌した。反応後、反応溶液をメタノールに注ぎ、再沈殿精製した。
(3)ポリアクリル酸−ポリプロピレン−ポリアクリル酸(iPP−PAA)の合成
(2)で得られたiPP−PtBA60gをフラスコに仕込み、窒素置換後、トリフルオロ酢酸100ml及び脱水クロロホルム600mlを加え、室温で24時間撹拌した。反応後、蒸留にて溶媒、トリフルオロ酢酸及びt−ブチルアルコールを除去して、iPP−PAAを得た。
(4)アイオノマー:ポリアクリル酸ナトリウム−ポリプロピレン−ポリアクリル酸ナトリウム(iPP−PAA・Na)の合成
(3)で得られたiPP−PAA20gのメタノール400ml分散液に、1N水酸化ナトリウム水溶液を48ml滴下して、攪拌した。その後、沈殿物としてアイオノマーであるiPP−PAA・Naを得た。中和度は100%であった。なお、中和度とは、ポリアクリル酸のCOOH基に対する水酸化ナトリウムの当量を表す。
[複合材料の製造]
(製造例1)
上記の方法で製造した竹繊維とiPP−PAAを、竹繊維:iPP−PAA(質量比)=100:50で混合し、二軸混練押出機160B型(同方向回転、スクリュー直径:20mm、L/D:25、ベント口数:2(井元製作所社製))を用いて解繊処理を行った。さらにポリプロピレン(日本ポリプロピレン株式会社、FY6 MFR=2.5、Mw:776000)を竹繊維:ポリオレフィン(質量比)=5:95になるように二軸混練押出機160B型へ加え、溶融混練し、複合材料(BLCNF/iPP−PAA/PP=5/2.5/95)得た。
(製造例2)
製造例1におけるiPP−PAAを、上記の方法で製造したiPP−PAA・Naに変更した以外、製造例1と同様の方法で複合材料(BLCNF/iPP−PAA・Na/PP=5/2.5/95)得た。
(製造例3)
製造例1におけるiPP−PAAを、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成社製、ユーメックス 1010)に変更した以外、製造例1と同様の方法で複合材料(BLCNF/MA−PP/PP=5/2.5/95)得た。
(製造例4)
竹繊維:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(質量比)=100:100で混合した以外、製造例3と同様の方法で複合材料(BLCNF/MA−PP/PP=5/5/95)得た。
[圧縮成形体の評価]
製造例1〜4で得られた複合材料からペレットを作製した。さらに加熱プレス機IMC−180C型(井元製作所社製)を用い、180℃で3分間加熱した後、50MPaで5分間プレスした。プレスした後、5分間冷却して圧縮成形体を得た。
圧縮成形体の引張強度、引張弾性率及び体積抵抗率を以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
・引張強度、引張弾性率
圧縮成形体を短冊状(長さ:35mm、幅:4mm、厚さ0.3mm)を切り出し、引張試験片とした。引張圧縮試験機IMC−18E0型(井元製作所社製)を用い、試験速度1mm/minで試験を行った。得られた応力−歪曲線(S−Sカーブ)より、引張強度及び引張弾性率を算出した。
・体積抵抗率
圧縮成形体を10cm四方に切り出し、試験片とした。表面抵抗計(ハイレスタUP(三菱化学社製))とプローブ(UR100、主電極φ50mm、ガード内径φ53.2mm)を用いた。装置に電源を入れ、抵抗値が安定するまで2時間放置し、1000vを60秒印加した後、23℃で体積抵抗率の測定を行った。
Figure 0006710046
表1に示すように、相溶化剤としてポリアクリル酸−ポリプロピレン−ポリアクリル酸(iPP−PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム−ポリプロピレン−ポリアクリル酸ナトリウム(iPP−PAA・Na)を使用した例では、竹繊維とポリプロピレンの合計100質量部に対して相溶化剤を2.5質量部添加するのみで、複合材料の引張強度は32.03、32.71MPaと高い値を示し、引張弾性率も1.06、0.82MPaと高い値を示すことが分かった。また、体積抵抗率は2.86×1012、2.54×1011Ω・mと低い値を示し、導電性に優れていることが分かった。
一方、相溶化剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレンを使用した例では、竹繊維とポリプロピレンの合計100質量部に対して相溶化剤を2.5質量部添加するのみでは、複合材料の引張強度は28.95MPaと低く、5質量部添加することによって32.14MPaに達することが分かった。また、相溶化剤としてポリアクリル酸−ポリプロピレン−ポリアクリル酸(iPP−PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム−ポリプロピレン−ポリアクリル酸ナトリウム(iPP−PAA・Na)を使用した場合と比較して、導電性に劣ることが分かった。

Claims (4)

  1. セルロース繊維、ポリオレフィン及び相溶化剤を含む複合材料であって、
    前記相溶化剤は、ABA型トリブロック構造を有するポリマーであり、
    Aブロックは、下記一般式(i)
    −(CH−CR(COOM1/y))−
    (式中、Rはメチル基又は水素、Mは金属、NH、有機アンモニウム、又はイミダゾリウム、yはMイオンの価数を表す。)を構成単位として含むイオン性ポリマーブロックであるか、又は、
    下記一般式(ii)
    −(CH−CR−COOH)−
    (式中、Rはメチル基又は水素)を構成単位として含む非イオン性ポリマーブロックであり、
    Bブロックは、オレフィン系(共)重合体ブロックであることを特徴とする複合材料。
  2. 前記ポリオレフィンはポリプロピレンであり、前記オレフィン系(共)重合体ブロックはポリプロピレンブロックであることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記セルロース繊維は、竹由来のセルロース繊維であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複合材料。
  4. 竹を常圧過熱水蒸気で加熱処理することによりセルロースを含む竹繊維を得る工程と、
    前記竹繊維と相溶化剤とを混合し、前記竹繊維を解繊する工程と、
    さらにポリオレフィンを加え、溶融混練する工程と、を含み、
    前記相溶化剤は、ABA型トリブロック構造を有するポリマーであり、
    Aブロックは、下記一般式(i)
    −(CH−CR(COOM1/y))−
    (式中、Rはメチル基又は水素、Mは金属、NH、有機アンモニウム、又はイミダゾリウム、yはMイオンの価数を表す。)を構成単位として含むイオン性ポリマーブロックであるか、又は、
    下記一般式(ii)
    −(CH−CR−COOH)−
    (式中、Rはメチル基又は水素)を構成単位として含む非イオン性ポリマーブロックであり、
    Bブロックは、オレフィン系(共)重合体ブロックであることを特徴とする、複合材料の製造方法。
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