JP6710034B2 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂組成物(以下、単に「組成物」とも称する)、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板に関し、詳しくは、他性能を損なうことなく熱膨張率を低下させた硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板に関する。
近年、多層プリント配線板の製造方法として、内層回路板の導体層上に樹脂絶縁層と導体層を交互に積み上げていくビルドアップ方式の製造技術が注目されている。例えば、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物を塗布し、加熱硬化した後、粗化剤により表面に凸凹状の粗化面を形成し、導体層をめっきにより形成する多層プリント配線板の製造法が提案されている。また、回路形成された内層回路板にエポキシ樹脂組成物の接着シートをラミネートし、加熱硬化した後、導体層を形成する多層プリント配線板の製造方法も提案されている。このような多層プリント配線板の製造に適用される樹脂組成物は、例えば、特許文献1に開示されている。
ここで、従来のビルドアップ法による多層プリント配線板の層構造の形成方法の一例を、図1を参照しながら説明する。まず、絶縁基板1の両面にあらかじめ導体層としての内層導体パターン3と樹脂絶縁層4とが形成された積層基板Xの両面に、導体層としての外層導体パターン8を形成し、その上に、エポキシ樹脂組成物等の絶縁性の樹脂組成物を塗布等により設け、加熱硬化させて、樹脂絶縁層9を形成する。次いで、スルーホール孔21等を適宜設けた後、樹脂絶縁層9の表面に無電解めっき等により導体層を形成し、次いで、常法に従って導体層に所定の回路パターンを形成し、導体層としての最外層導体パターン10を形成することができる。図中、符号3aはコネクション部、20は導体層としてのスルーホール、22はコネクション部をそれぞれ示す。
特開2010−1403号公報(特許請求の範囲)
プリント配線板の製造工程では加熱が必須となるため、層間絶縁層用の樹脂組成物は、熱膨張係数(線膨張係数)(CTE;coefficient of thermal expansion)が、下地となる基板等とできるだけ近いことが望ましい。従来、樹脂組成物中にフィラーを配合することでCTEを低下させて調整することが行われているが、フィラーの含有量を増やすと、組成物中の樹脂の配合量が相対的に少なくなるので、フィルムとした際の柔軟性や硬化膜のレーザー加工性、冷熱サイクル耐性(TCTとも言う)などの長期信頼性が低下してしまい、問題となる。
そこで本発明の目的は、フィルムとしての柔軟性やレーザー加工性、冷熱サイクル耐性などの長期信頼性を損なうことなく、熱膨張率を適正に調整した硬化性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、硬化物およびプリント配線板を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、従来一般に使用されていたシリカ等とは異なり、熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーを用いることで、上記課題を解決し得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は、熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーと、硬化性樹脂と、少なくとも2種の溶剤とを含み、
前記少なくとも2種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であって、かつ、沸点が5℃以上異なることを特徴とするものである。
本発明の組成物においては、前記フィラーの真比重が、2.5〜4.0g/cmであることが好ましい。また、本発明の組成物は、プリント配線板の製造に好適に用いられる。特に、本発明の組成物は、前記硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の、前記プリント配線板の導体層または前記プリント配線板に実装された半導体チップのウエハ層との熱膨張係数の差が、15ppm/℃以内であることが好ましい。言い換えると、導体層と硬化物との熱膨張係数の差が15ppm/℃以下であるか、または、ウェハ層と硬化物との熱膨張係数の差が15ppm/℃以下であることが好ましい。
本発明のドライフィルムは、フィルム上に、上記本発明の硬化性樹脂組成物を乾燥させた樹脂層を有することを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、上記本発明の硬化性樹脂組成物、または、上記本発明のドライフィルムの樹脂層を、硬化したことを特徴とするものである。
本発明のプリント配線板は、上記本発明の硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、フィルムとしての柔軟性や硬化膜のレーザー加工性、冷熱サイクル耐性などの長期信頼性を損なうことなく、熱膨張率を適正に調整した硬化性樹脂組成物、それを用いたドライフィルム、硬化物およびプリント配線板を実現することが可能となった。
従来のビルドアップ法により作製した多層プリント配線板の概略構成を示す部分断面図である。 チップがフリップチップ接続されたプリント配線板を示す拡大部分断面図である。 エポキシ樹脂の液状判定に用いた2本の試験管を示す概略側面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーと、硬化性樹脂と、少なくとも2種の溶剤を含み、この少なくとも2種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であって、かつ、沸点が5℃以上異なる点に特徴を有する。
本発明においては、従来汎用のシリカ等とは異なり、熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーを用いるものとしたことで、組成物中のフィラーの配合量が比較的少量であっても、組成物のCTEを下げることが容易となる。よって、組成物中の樹脂の配合量を相対的に多くすることができるので、樹脂の特性が十分に発揮されることでフィルムとしての柔軟性を損なうことがなく、すなわち、ハンドリング性に優れ、硬化膜としてのレーザー加工性、冷熱サイクル耐性などの長期信頼性も良好な硬化性樹脂組成物とすることができる。また、硬化物の熱膨張係数とプリント配線板の導体層またはウエハ層の熱膨張係数との差を15ppm/℃以内とすることが可能となり、組成物をプリント配線板の製造に使用した際には、製造工程におけるリフロー等の加熱時において、組成物と導体層またはウエハ層との膨張量がほぼ同じとなると考えられるので、これらの層間におけるクラックの発生を抑制することができ、基板の信頼性を向上することができる。
ここで、硬化物の熱膨張係数は、硬化物のガラス転移温度Tgよりも低い温度ではほぼ一定であるが、ガラス転移温度Tg以上では、分子運動によって急激に大きくなる。そこで、本発明においては、硬化物の熱膨張係数として、ガラス転移温度(Tg)未満での熱膨張係数α1を用いる。本発明においては、硬化物の熱膨張係数の絶対値ではなく、硬化物と導体層またはウエハ層との熱膨張係数の差を問題とするので、硬化物の熱膨張係数としてα1を用いて、導体層またはウエハ層との熱膨張係数の差を小さく規定することで、例えば、はんだ実装時の温度における熱膨張係数の差についても小さく抑えて、上記クラック抑制等の効果を得ることが可能となる。
また、本発明の組成物を用いてドライフィルムを形成する際には、溶剤として、沸点が100℃以上であって、かつ、沸点が5℃以上異なる2種の溶剤を用いる。これにより、柔軟性に優れたドライフィルムを得ることが可能となる。沸点の差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上である。なお、本明細書において、溶剤の沸点に幅がある場合は、蒸留の初留点〜終点を沸点とする。
次に、本発明の硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
[硬化性樹脂]
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。本発明において用いられる硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂であり、これらの混合物であってもよい。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、熱による硬化反応が可能な官能基を有する樹脂である。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、エポキシ化合物、オキセタン化合物、分子内に2個以上のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、ビスマレイミド、カルボジイミド等を用いることができ、これらは併用してもよい。
上記エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、従来公知のものをいずれも使用でき、分子中にエポキシ基を2個有する2官能性エポキシ化合物、分子中にエポキシ基を多数有する多官能エポキシ化合物等が挙げられる。なお、水素添加された2官能エポキシ化合物であってもよい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アミノクレゾール型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂等が用いられる。これらエポキシ樹脂は、1種を単独または2種類以上を組合せて用いることができる。
エポキシ化合物は、固形エポキシ樹脂、半固形エポキシ樹脂および液状エポキシ樹脂のいずれであってもよい。ここで、本明細書において、固形エポキシ樹脂とは40℃で固体状であるエポキシ樹脂をいい、半固形エポキシ樹脂とは20℃で固体状であって40℃で液状であるエポキシ樹脂をいい、液状エポキシ樹脂とは20℃で液状のエポキシ樹脂をいう。
上記液状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行うことができる。
(1)装置
恒温水槽:
攪拌機、ヒーター、温度計、自動温度調節器(±0.1℃で温度制御が可能なもの)を備えたもので深さ150mm以上のものを用いる。
なお、後述する実施例で用いたエポキシ樹脂の判定では、いずれもヤマト科学社製の低温恒温水槽(型式BU300)と投入式恒温装置サーモメイト(型式BF500)の組み合わせを用い、水道水約22リットルを低温恒温水槽(型式BU300)に入れ、これに組み付けられたサーモメイト(型式BF500)の電源を入れて設定温度(20℃または40℃)に設定し、水温を設定温度±0.1℃にサーモメイト(型式BF500)で微調整したが、同様の調整が可能な装置であればいずれも使用できる。
試験管:
試験管としては、図3に示すように、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型透明ガラス製のもので、管底から55mmおよび85mmの高さのところにそれぞれ標線31、32が付され、試験管の口をゴム栓33aで密閉した液状判定用試験管30aと、同じサイズで同様に標線が付され、中央に温度計を挿入・支持するための孔があけられたゴム栓33bで試験管の口を密閉し、ゴム栓33bに温度計34を挿入した温度測定用試験管30bを用いる。以下、管底から55mmの高さの標線を「A線」、管底から85mmの高さの標線を「B線」という。
温度計34としては、JIS B7410(1982)「石油類試験用ガラス製温度計」に規定する凝固点測定用のもの(SOP−58目盛範囲20〜50℃)を用いるが、0〜50℃の温度範囲が測定できるものであればよい。
(2)試験の実施手順
温度20±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料を、図3(a)に示す液状判定用試験管30aと図3(b)に示す温度測定用試験管30bにそれぞれA線まで入れる。2本の試験管30a、30bを低温恒温水槽にB線が水面下になるように直立させて静置する。温度計は、その下端がA線よりも30mm下となるようにする。
試料温度が設定温度±0.1℃に達してから10分間そのままの状態を保持する。10分後、液状判断用試験管30aを低温恒温水槽から取り出し、直ちに水平な試験台の上に水平に倒し、試験管内の液面の先端がA線からB線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。試料は、設定温度において、測定された時聞が90秒以内のものを液状、90秒を超えるものを固体状と判定する。
固形エポキシ樹脂としては、DIC社製HP−4700(ナフタレン型エポキシ樹脂)、DIC社製EXA4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬社製NC−7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬社製EPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC社製エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000L等のビフェニル/フェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN660、エピクロンN690、日本化薬社製EOCN−104S等のノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製YX−4000等のビフェニル型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学社製TX0712等のリン含有エポキシ樹脂;日産化学工業社製TEPIC等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
半固形エポキシ樹脂としては、DIC社製エピクロン860、エピクロン900−IM、エピクロンEXA―4816、エピクロンEXA−4822、旭チバ社製アラルダイトAER280、東都化成社製エポトートYD−134、ジャパンエポキシレジン社製jER834、jER872、住友化学工業社製ELA−134等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC社製エピクロンN−740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
次に、オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、または、シルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
上記エピスルフィド樹脂としては、例えばビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂等も用いることができる。
本発明において、熱硬化性樹脂としては、エポキシ化合物を用いることが好ましい。さらに、ガラス転移温度(Tg)が高く、クラック耐性に優れる硬化物が得られることから、固形エポキシ樹脂および半固形エポキシ樹脂の少なくともいずれか一種であることが好ましい。エポキシ化合物としては、硬化物の好ましい物性等の観点から芳香族系エポキシ樹脂が好ましく、中でも、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物がより好ましい。なお、本明細書において、芳香族系エポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環骨格を有するエポキシ樹脂を意味する。
熱硬化性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化性樹脂を2種以上併用する場合には、半固形エポキシ化合物および固形エポキシ化合物の総量が、固形分換算で、組成物全量基準で、10〜55質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましく、20〜45質量%であることがさらに好ましい。また、液状エポキシ樹脂の配合量は、硬化物のガラス転移温度(Tg)を低下させすぎない観点から、組成物全量基準で、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
(光硬化性樹脂)
次に、光硬化性樹脂としては、活性エネルギー線照射により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、特に、本発明においては、分子中に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましく用いられる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知慣用の光重合性オリゴマー、および光重合性ビニルモノマー等が用いられる。このうち光重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル系オリゴマー、(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、フェノールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラックエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
光重合性ビニルモノマーとしては、公知慣用のもの、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニルまたは安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルイソブチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニル−n−アミルエーテル、ビニルイソアミルエーテル、ビニル−n−オクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどのアリル化合物;2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルキレンポリオールポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート類;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリレート類;トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレートなどのイソシアヌルレート型ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは、要求特性に合わせて、単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の組成物をアルカリ現像型の感光性樹脂組成物とする場合には、硬化性樹脂として、カルボキシル基含有樹脂を用いることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有感光性樹脂であってもよく、また、芳香環を有しても有さなくてもよい。カルボキシル基含有樹脂としては、エポキシ樹脂を出発原料とする樹脂、フェノール化合物を出発原料とする樹脂、ウレタン構造を有する樹脂、共重合構造を有する樹脂、および、イミド構造を有する樹脂が好ましい。なお、硬化性樹脂として、フェノール性水酸基含有樹脂を用いてもよい。
本発明の組成物に用いることができるカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応による感光性カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させた感光性カルボキシル基含有樹脂。
(9)多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(13)上記(1)〜(12)のいずれかの樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなる感光性カルボキシル基含有樹脂。
上記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
上記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、20〜2000mgKOH/gの範囲が望ましく、より好ましくは40〜1800mgKOH/gの範囲である。20〜2000mgKOH/gの範囲であると、塗膜の密着性が得られ、アルカリ現像が容易となり、現像液による露光部の溶解が抑えられ、必要以上にラインが痩せたりせずに、正常なレジストパターンの描画が容易となるため好ましい。
また、本発明で用いるカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、2,000〜150,000の範囲が好ましい。この範囲であると、タックフリー性能が良好であり、露光後の塗膜の耐湿性が良く、現像時に膜減りが生じにくい。また、上記重量平均分子量の範囲であると、解像度が向上し、現像性が良好であり、保存安定性が良くなる。より好ましくは、5,000〜100,000である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
[フィラー]
本発明に使用する、熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーとしては、熱膨張係数の絶対値の大きいものが、少量の配合で硬化物のCTEを低減できるので好ましく、特には、線膨張係数が−0.1×10−6/℃以下、さらには−0.3×10−6/℃以下のフィラーが好適である。具体的には例えば、リン酸ジルコニウム(東亜合成(株)製のウルテアシリーズ)、リン酸タングステン酸ジルコニウム(Zr(WO)(PO,ZWP)、LaCuFe12(Aサイト秩序型ペロブスカイト構造酸化物,再表2010/101153号公報参照)、Bi1−xLnNiO(Ln=La,Nd,Eu,Dy、ペロブスカイト構造酸化物)、Al・TiO(AGCセラミックス(株)製のローテック)、LiO・Al・nSiO βスポジュメン固溶体(日本電気硝子(株)製のネオセラム)、フォージャス沸石(faujasite;Na,Ca0.5,Mg0.5,K)[AlSi12−x24]・16HO)、LiAlSiO、PbTiO、Sc12、Lu12、ZrW、MnXN(X=Cu−Sn,Zn−Sn等)などが挙げられる。中でも、リン酸ジルコニウムやリン酸タングステン酸ジルコニウムが入手しやすく、特に、熱膨張係数の絶対値が大きく真比重が小さいリン酸ジルコニウムが好適である。
また、本発明において使用する上記フィラーとしては、真比重が、2.5〜4.0g/cmであるものが好ましい。比重の小さいフィラーを用いることで、組成物中に占める体積に対し、少ない質量で配合することが可能となるので、比重が大きいフィラーと比較して少ない配合量で、組成物としてのCTEを同等程度低下させることができ、好ましい。さらに、上記フィラーは、平均粒子径(メジアン径)が小さいもののほうが、レーザー加工性が良好となるので、好ましい。
また、本発明においては、組成物をプリント配線板の製造に用いた場合の、組成物の硬化物の熱膨張係数と、プリント配線板の導体層またはウエハ層の熱膨張係数との差が、15ppm/℃以内であることが好ましい。より好適には10ppm/℃以内であり、さらに好適には5ppm/℃以内であって、差がゼロに近いほど好ましい。ここで、導体層としては、例えば、銅(17ppm/℃)、銀(19ppm/℃)、金(14ppm/℃)、鉛はんだ:Sn−Pb(24ppm/℃)、鉛フリーはんだ:Sn−Ag−Cu(21ppm/℃)、Sn−Zn−Al(24ppm/℃)、Sn−Bi−Ag(15ppm/℃)、ウェハ層としては、例えば、シリコンウェハー(3ppm/℃)、サファイアウェハー(6〜10ppm/℃)、GaP(リン化ガリウム)ウェハー(6ppm/℃)、GaAs(ヒ化ガリウム)ウェハー(7ppm/℃)、InP(リン化インジウム)ウェハー(5ppm/℃)、GaN(窒化ガリウム)ウェハー(2ppm/℃)、ゲルマニウム(6ppm/℃)、シリコンカーバイト(7ppm/℃)が挙げられる(括弧内は熱膨張係数の値)。すなわち、本発明の組成物から得られる硬化物は、銅、銀、金、鉛はんだ、鉛フリーはんだ、シリコン、サファイア、GaP、GaAs、InP、GaN、ゲルマニウムおよびシリコンカーバイトのうちのいずれか1種との熱膨張係数の差が、15ppm/℃以内であることが好ましい。
本発明の組成物における上記フィラーの配合量としては、組成物全量基準で、25〜90質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましく、35〜85質量%であることがさらに好ましい。フィラーの配合量を上記範囲内とすることで、組成物として所望の低いCTEを確保しつつ、良好な耐クラック性を得ることができる。本発明においては、従来のフィラー配合量よりも少ない量で、従来と同等以上の低CTE化を図ることができる点に特徴がある。
なお、本発明においては、上記熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーとともに、従来の、熱膨張係数がプラスの値であるフィラーを併用してもよい。熱膨張係数がプラスの値であるフィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどが挙げられる。
[硬化剤]
本発明の組成物において、熱硬化性樹脂を用いる場合には、さらに、硬化剤を添加することができる。硬化剤としては、フェノール樹脂、ポリカルボン酸およびその酸無水物、シアネートエステル樹脂、活性エステル樹脂等が挙げられる。硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、クレゾール/ナフトール樹脂、ポリビニルフェノール類、フェノール/ナフトール樹脂、α−ナフトール骨格含有フェノール樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂等の従来公知のものを、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ポリカルボン酸およびその酸無水物は、一分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物およびその酸無水物であり、例えば、(メタ)アクリル酸の共重合物、無水マレイン酸の共重合物、二塩基酸の縮合物等の他、カルボン酸末端イミド樹脂等のカルボン酸末端を有する樹脂が挙げられる。
上記シアネートエステル樹脂は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(−OCN)を有する化合物である。シアネートエステル樹脂は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
上記活性エステル樹脂は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する樹脂である。活性エステル樹脂は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
また、硬化剤として、脂環式オレフィン重合体を用いてもよい。脂環式オレフィン重合体の製造方法の具体例としては、(1)カルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基(以下、「カルボキシル基等」と称する)を有する脂環式オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合する方法、(2)カルボキシル基等を有する芳香族オレフィンを、必要に応じて他の単量体と共に重合して得られる(共)重合体の芳香環部分を水素化する方法、(3)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合する方法、(4)カルボキシル基等を有しない芳香族オレフィンと、カルボキシル基等を有する単量体とを共重合して得られる共重合体の芳香環部分を水素化する方法、(5)カルボキシル基等を有しない脂環式オレフィン重合体にカルボキシル基等を有する化合物を変性反応により導入する方法、もしくは、(6)前記(1)〜(5)のようにして得られるカルボン酸エステル基を有する脂環式オレフィン重合体のカルボン酸エステル基を、例えば加水分解等によりカルボキシル基に変換する方法等が挙げられる。
硬化剤の中でも、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、シアネートエステル樹脂が好ましい。
上記硬化剤は、熱硬化性樹脂のエポキシ基等の熱硬化反応が可能な官能基と、その官能基と反応する硬化剤中の官能基との比率が、硬化剤の官能基/熱硬化反応が可能な官能基(当量比)=0.2〜2となるような割合で配合することが好ましい。硬化剤の官能基/熱硬化反応が可能な官能基(当量比)を上記範囲内とすることで、デスミア工程における硬化膜表面の粗化を防止することができる。より好ましくは、硬化剤の官能基/熱硬化反応が可能な官能基(当量比)=0.3〜1.0である。
[硬化促進剤]
本発明の組成物において、熱硬化性樹脂を用いる場合には、上記硬化剤とともに、または、単独で、硬化促進剤を配合することができる。硬化促進剤は、熱硬化反応を促進させるものであり、密着性、耐薬品性、耐熱性等の特性をより一層向上させるために使用される。このような硬化促進剤の具体例としては、イミダゾールおよびその誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等のアミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等の光カチオン重合触媒;スチレン−無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物、金属触媒等の従来公知の硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の中でも、BHAST耐性が得られることから、ホスホニウム塩類が好ましい。硬化促進剤は、1種を単独または2種以上混合して用いることができる。
硬化促進剤の使用は必須ではないが、特に硬化を促進したい場合には、熱硬化性樹脂100質量部に対し、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いることができる。また、金属触媒の場合、熱硬化性樹脂100質量部に対し、金属換算で10〜550ppmが好ましく、25〜200ppmがより好ましい。
[光重合開始剤]
本発明の組成物において、光硬化性樹脂を用いる場合には、さらに、光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤として公知の光重合開始剤であれば、いずれのものを用いることもできる。
光重合開始剤としては、例えば、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASFジャパン(株)製,IRGACURE369)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2−ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができ、中でも、アセトフェノン類を好適に用いることができる。以上の光重合開始剤は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、光硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.1〜25質量部である。光重合開始剤をこの範囲で配合することで、銅上での光硬化性が十分となり、塗膜の硬化性が良好となり、耐薬品性等の塗膜特性が向上し、また、深部硬化性も向上する。
[熱可塑性樹脂(高分子樹脂)]
本発明の組成物には、得られる硬化膜の機械的強度を向上させるために、さらに、熱可塑性樹脂を配合することができる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂あるいはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のうち、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は、フルオレン骨格を有する場合、高いガラス転移点を有し、耐熱性に優れるため、半固形または固形エポキシ樹脂による低い熱膨張率を維持すると共にそのガラス転移点を維持し、得られる硬化皮膜は低い熱膨張率と高いガラス転移点をバランス良く併せ有するものとなる。また、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂は水酸基を有するため、基材および導体に対して良好な密着性を示すとともに、得られる硬化皮膜は粗化剤により侵され難いが、水溶液の形態の粗化液は硬化皮膜とフィラーの界面に浸透し易いので、粗化処理により硬化皮膜表面のフィラーが抜け落ち易くなり、良好な粗化面を形成し易くなる。
ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール樹脂をアルデヒドでアセタール化することで得られる。前記アルデヒドとしては、特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられ、ブチルアルデヒドが好ましい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、東都化成社製のFX280、FX293、三菱化学社製のYX8100、YX6954、YL6954、YL6974等が挙げられる。また、ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、積水化学工業社製のエスレックKSシリーズ、ポリアミド樹脂としては、日立化成工業社製のKS5000シリーズ、日本化薬社製のBPシリーズ、さらに、ポリアミドイミド樹脂としては、日立化成工業社製のKS9000シリーズ等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、ブロック共重合体を用いてもよい。ブロック共重合体とは、性質の異なる二種類以上のポリマーが、共有結合で繋がり長い連鎖になった分子構造の共重合体のことである。
ブロック共重合体としてはA−B−A型またはA−B−A’型ブロック共重合体が好ましい。A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、中央のBがソフトブロックでありガラス転移温度(Tg)が低く、好ましくは0℃未満であって、その両外側のAまたはA’がハードブロックでありガラス転移温度(Tg)が高く、好ましくは0℃以上のポリマー単位により構成されているものが好ましい。ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定(DSC)により測定される。また、A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、AまたはA’が、Tgが50℃以上のポリマー単位からなり、Bが、Tgが−20℃以下であるポリマー単位からなるブロック共重合体が、さらに好ましい。さらに、A−B−A型およびA−B−A’型ブロック共重合体のうち、AまたはA’が上記熱硬化性樹脂との相溶性が高いものが好ましく、Bが上記熱硬化性樹脂との相溶性が低いものが好ましい。このように、両端のブロックがマトリックスに相溶であり、中央のブロックがマトリックスに不相溶であるブロック共重合体とすることで、マトリックス中において特異的な構造を示しやすくなると考えられる。
熱可塑性樹脂の中でも、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フルオレン骨格を有する熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ブロック共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量は、硬化性樹脂100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が上記範囲内の場合、均一な粗化面状態を容易に得られる。
[ゴム状粒子]
さらに、本発明の組成物には、必要に応じてゴム状粒子を配合することができる。本発明の組成物は、CTEがプラスの値を有する樹脂とCTEがマイナスの値を有するフィラーとを含むために、温度変化時における内部応力が大きくなると考えられるが、ゴム状粒子を配合することで、内部応力を緩和する効果を得ることができる。また、ゴム状粒子を配合することで、得られる硬化膜の柔軟性を向上させたり、酸化剤による表面粗化処理を可能とし、銅箔等との密着強度を向上する効果も得られる。
このようなゴム状粒子としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプロピレンゴム、ウレタン変性ポリブタジエンゴム、エポキシ変性ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基または水酸基で変性したアクリロニトリルブタジエンゴム、およびそれらの架橋ゴム粒子、コアシェル型ゴム粒子等が挙げられ、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。コアシェル型ゴム粒子としては、ゴム状ポリマーからなるコア層を、ガラス状ポリマーのシェル層で被覆したコアシェル構造を有する粒子、ガラス状ポリマーからなるコア層とシェル層の間に、ゴム状ポリマーからなる中間層を有する粒子等が挙げられる。
ゴム状粒子の平均粒径は0.005〜1μmの範囲が好ましく、0.2〜1μmの範囲がより好ましい。本発明におけるゴム状粒子の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム状粒子を超音波などにより均一に分散させ、FPRA−1000(大塚電子社製)を用いて、ゴム状粒子の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
ゴム状粒子の配合量は、硬化性樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。ゴム粒子を上記範囲で配合することで、クラック耐性および導体パターン等との密着強度を向上しつつ、低CTE化を図ることができ、さらに、ガラス転移温度(Tg)を高めて硬化特性を向上することができる。
[その他の成分]
本発明の組成物には、さらに必要に応じて、従来公知の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、例えば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の従来公知の着色剤、アスベスト、オルベン、ベントン、微紛シリカ等の従来公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤、チタネート系、アルミニウム系の添加剤類を挙げることができる。
[溶剤]
本発明の組成物には、組成物の調製、基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整、ドライフィルムの樹脂層の形成等のために、溶剤を使用することができる。溶剤の種類としては、特に限定されず、従来公知の溶剤を用いることができる。また、溶剤の配合量も限定されない。
沸点が100℃未満の溶剤としては、ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトン、クロロホルム、メタノール、n−ヘキサン、酢酸エチル、1,1,1−トリクロロエタン、四塩化炭素、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、トリクロロエチレン、酢酸イソプロピル等が挙げられる。
沸点が100℃以上の溶剤としては、イソブチルアルコール、n−ブタノール、2−メトキシプロパノールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、イソペンチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル系溶剤、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などのケトン系溶剤、テトラクロロエチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テレビン油等が挙げられる。
また、沸点が100℃以上の溶剤としては、トルエン、キシレン、石油系ナフサ、丸善石油化学社製スワゾール1000(炭素数8〜10:高沸点芳香族炭化水素)、スワゾール1500(高沸点芳香族炭化水素)、スタンダード石油大阪発売所社製ソルベッソ100(炭素数9〜10:高沸点芳香族炭化水素)、ソルベッソ150(炭素数10〜11:高沸点芳香族炭化水素)、三共化学社製ソルベント#100、ソルベント#150、シェルケミカルズジャパン社製シェルゾールA100、シェルゾールA150、出光興産社製イプゾール100番(炭素数9の芳香族炭化水素が主成分)、イプゾール150番(炭素数10の芳香族炭化水素が主成分)等の芳香族系溶剤も挙げられる。高沸点芳香族炭化水素は、芳香族成分を99容量%以上含有することが好ましい。また、高沸点芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエンおよびキシレンのそれぞれが0.01容量%未満であることが好ましい。
本発明の組成物を用いてドライフィルムを形成する場合、組成物には、沸点が100℃以上の溶剤を3種以上配合してもよく、この場合、3種以上の溶剤のうちのいずれか2種の溶剤の沸点が異なるものであればよい。また、沸点が100℃以上の溶剤の中でも、沸点が100〜230℃の溶剤が好ましく、100〜220℃の溶剤がより好ましい。沸点が230℃以下である場合、熱硬化またはアニール処理後に、溶剤がドライフィルムの樹脂層にほとんど残存する。
本発明に用いる溶剤としては、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、炭素数が8以上の芳香族炭化水素、MIBK、DPM、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、および、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートがより好ましく、特に、ドライフィルムを形成する場合には、シクロヘキサノンおよびMIBKの組合わせが、さらに好ましい。
また、本発明の組成物を用いてドライフィルムを形成する場合、乾燥後の溶剤の配合量、すなわち、溶剤の残含有量の割合は、溶剤を含むドライフィルムの樹脂層全量基準で、0.1〜4質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%であることがより好ましい。溶剤の残含有量の割合を上記範囲とすることで、ドライフィルムの割れや粉落ちを抑制しつつ、剥離性を向上し、気泡の残留を少なくして、クラックの発生を抑制することができるものとなる。
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本発明の組成物を塗布し、乾燥して、乾燥塗膜としての樹脂層を形成することにより、製造することができる。樹脂層上には、必要に応じて、保護フィルムをラミネートすることができる。
キャリアフィルムの材質としては、好適にはポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。キャリアフィルムの厚みは、好適には8〜60μmである。また、保護フィルムの材質としては、キャリアフィルムに用いるものと同様のものを用いることができ、好適にはPETまたはポリプロピレン(PP)である。保護フィルムの厚みは、好適には5〜50μmである。なお、本発明においては、上記保護フィルム上に本発明の組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面にキャリアフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に本発明の組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよび保護フィルムのいずれを用いてもよい。
ここで、組成物の塗布方法としては、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法を用いることができる。また、揮発乾燥方法としては、熱風循環式乾燥炉、IR(赤外線)炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等、蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いてることができる。
[硬化物およびプリント配線板]
本発明の硬化物は、本発明の組成物またはドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られるものであり、本発明のプリント配線板は、かかる本発明の硬化物を具備するものである。その製造方法について以下に説明するが、これに限定されるものではない。
本発明の組成物の形態は、適度に粘度調整されたコーティング材料として提供されてもよいし、上述したように、支持ベースフィルム上に組成物を塗布し、溶剤を乾燥させたドライフィルムとしてもよい。また、本発明の組成物を、ガラスクロス、ガラスおよびアラミド不織布等のシート状繊維質基材に塗工および/または含浸させて半硬化させた、プリプレグシートとしてもよい。支持ベースフィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、さらには離型紙や銅箔、アルミニウム箔の如き金属箔などが挙げられる。なお、支持ベースフィルムには、マッド処理やコロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
本発明の組成物を用いたコーティング材料、ドライフィルム、またはプリプレグは、回路が形成された内層回路基板に直接コーティングし、乾燥、硬化を行なうか、または、ドライフィルムを加熱ラミネートして一体成形し、その後、オーブン中もしくは熱板プレス、または、光照射により硬化させてもよい。プリプレグの場合には、内層回路基板に重ね、離型フィルムを介して金属板で挟み、加圧・加熱してプレスする方法を用いることもできる。
上記工程のうち、ラミネートもしくは熱板プレスする方法は、内層回路による微細凹凸が加熱溶融する際に解消され、そのまま硬化するので、最終的にはフラットな表面状態の多層板が得られるので好ましい。また、内層回路が形成された基材と本発明の組成物のフィルムまたはプリプレグをラミネートもしくは熱板プレスする際に、銅箔もしくは回路形成された基材を同時に積層することもできる。
このようにして得られた基板に、COレーザーやUV−YAGレーザー等の半導体レーザーまたはドリルにて穴をあける。穴は、基板の表と裏を導通させることを目的とする貫通穴(スルーホール)でも、内層の回路と層間絶縁層表面の回路を導通させることを目的とする部分穴(コンフォーマルビア)のどちらでもよい。
穴明け後、穴の内壁や底部に存在する残渣(スミヤ)を除去することと、導体層(その後に形成する金属めっき層)とのアンカー効果を発現させるために、表面に微細凹凸状の粗化面を形成することを目的として、市販のデスミヤ液(粗化剤)または過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を含有する粗化液による処理を同時に行う。
次に、デスミヤ液で残渣を除去した穴や、微細凹凸状粗化面を生じた皮膜表面を形成後に、サブトラクティブ法やセミアディティブ法等により回路を形成する。いずれの方法においても、無電解めっきまたは電解めっき後、あるいは両方のめっきを施した後に、金属のストレス除去、強度向上の目的で、約80〜180℃で10〜60分程度のアニールと呼ばれる熱処理を施してもよい。
ここで用いる金属めっきとしては、銅、スズ、はんだ、ニッケル等、特に制限はなく、複数組み合わせて使用することもできる。また、ここで用いるめっきの代りに金属のスパッタ等で代用することも可能である。
本発明の組成物は、プリント配線板の製造に好適に用いることができ、特に、層間絶縁層やソルダーレジスト等のプリント配線板の絶縁層の形成に好適に用いることができる。本発明の組成物を用いて、配線を貼り合わせることによって配線板を形成してもよい。また、半導体チップ用の封止樹脂としても好適に用いることができる。本発明の組成物は、例えば、スマートフォンやパソコン等において有用である。
図2に、チップがフリップチップ接続されたプリント配線板の拡大部分断面図を示す。図示するプリント配線板においては、導体パターン42が形成された基板41の表面に、熱硬化性樹脂組成物層43と、光硬化性樹脂組成物層44とが、基板表面側から順に積層されている。熱硬化性樹脂組成物43および光硬化性樹脂組成物層44を硬化後にパターニングすることにより露出された部品実装部42aには、はんだボール50が設けられており、チップ51に設けたバンプ52との間で、チップ51がフリップチップ接続されて、フリップチップ実装基板53aが形成されている。なお、図中の符号46は溝状のダムを示す。
図2に示すプリント配線板の場合、本発明の硬化性樹脂組成物を適用しうる硬化物43,44と、導体層(銅)42との熱膨張係数の差が15ppm以内であるか、または、同じく硬化物43,44と、チップ51に含まれるウェハ層との熱膨張係数の差が15ppm以内であることが好ましい。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<硬化性樹脂組成物の調製>
下記表2〜表4に記載の配合に従って、実施例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練して、硬化性樹脂組成物を調製した。表中の配合量は、質量部を示す。また、下記表1に、使用したフィラーの物性値を示す。なお、フィラー以外の各配合成分の真比重は、計算上、1.1g/cmとした。
<液状組成物を使用した乾燥塗膜の作製>
銅厚15μmで回路が形成されている板厚0.4mmの両面プリント配線板を用意し、メック社CZ−8100を使用して、前処理を行った。その後、ロールコーター(ファーネス社)を用い、上記前処理を行ったプリント配線板に、実施例1〜5,7〜15および比較例1,2,4の硬化性樹脂組成物を、乾燥後で20μmになるように調整して、塗布した。その後、80℃/30minで乾燥させて、乾燥塗膜を得た。
<ドライフィルムの作製>
実施例6および比較例3の硬化性樹脂組成物を混練分散し、粘度0.5〜20dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)になるように溶剤の量を調整して、それぞれ、バーコーターを用いて、樹脂層の膜厚が乾燥後40μmになるようにキャリアフィルム(PETフィルム;東レ社製ルミラー38R75,厚さ38μm)に塗布した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて樹脂層の残留溶剤が1.0〜1.5質量%となるように70〜120℃(平均100℃)にて5〜10分間乾燥し、キャリアフィルム上に樹脂層を形成した。
<硬化膜を有するプリント配線板の製法>
上記実施例および比較例の乾燥塗膜および樹脂層について、「熱硬化」、「光・熱硬化」および「PEB(post exposure bake)」の3種類の硬化方法により、それぞれ硬化を行った。下記の表5〜表7中の「硬化方法」の項目に、それぞれ硬化させた方法を記載した。以下に、それぞれの硬化方法を記載する。
(硬化方法「熱硬化」)
実施例1〜5,7〜9,12〜15および比較例1,4の乾燥塗膜については、熱風循環式乾燥炉にて170℃/60minにて熱硬化させ、乾燥塗膜を硬化させた。
実施例6および比較例3については、まず、バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機社製)を用いて、銅張積層板に処理剤(CZ−8100+CL−8300、メック社製)を用いて前処理を施すことにより、銅エッチング量1μm相当のプロファイルを形成した。次に、ドライフィルムの樹脂層を、この銅上に5kgf/cm、80℃、1分、1Torrの条件にてラミネートした。その後、キャリアフィルムを剥がし、熱風循環式乾燥炉にて180℃で30分間加熱して、樹脂層を硬化させた。
(硬化方法「PEB」)
実施例10の乾燥塗膜については、ネガフィルム越しに高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用い、ソルダーレジストパターンを500mJ/cmにて露光した。次いで、キャリアフィルムを剥離後、熱風循環式乾燥炉にて100℃で30分間、加熱処理(PEB処理)を行った。得られたプリント配線板について、35℃の3質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)と5質量%エタノールアミンとの混合水溶液にて3分間浸漬し、現像を行い、パターン状のレジストを得た。さらに、ORC社製の紫外線照射装置にて1J/cmのエネルギー量で紫外線照射を行い、次いで、熱風循環式乾燥炉にて170℃で60分間加熱処理を行い、乾燥塗膜を硬化させた。
(硬化方法「光・熱硬化」)
実施例11および比較例2の乾燥塗膜については、ネガフィルム越しに高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用い、ソルダーレジストパターンを200mJ/cmで露光し、次いで、キャリアフィルムを剥離後、30℃の1質量%NaCO水溶液をスプレー圧0.2Paの条件で60秒間現像を行い、パターン状のレジストを得た。次いで、このプリント配線板をUVコンベア炉にて積算露光量1J/cmの条件で紫外線照射した後、熱風循環式乾燥炉を用い150℃で60分間加熱処理を行い、乾燥塗膜を硬化させた。
各実施例および比較例の組成物について、以下に従い、評価を行った。その結果を、下記の表5〜表7中に併せて示す。
1.<ガラス転移温度(Tg)および熱膨張係数(CTE(α1))>
プリント配線板に形成された硬化膜を銅箔より剥離した後、測定サイズ(3mm×10mmのサイズ)にサンプルを切り出し、セイコーインスツル社製のTMA6100を用いて、測定を行った。TMA測定は、試験加重5gにて、サンプルを10℃/分の昇温速度で室温より昇温し、連続して2回測定した。2回目における熱膨張係数の異なる2接線の交点をガラス転移温度(Tg)とし、Tg未満の領域における30℃から100℃の平均の熱膨張係数(CTE(α1))として評価した。結果は、銅の熱膨張係数(17ppm)との差で、下記に従い評価した。なお、実施例15については、シリコンウェハーの熱膨張係数(3ppm)との差で、下記に従い評価した。
◎◎ ・・・差が5ppm以内。
◎・・・差が5ppm超〜10ppm以内。
○・・・差が10ppm超〜15ppm以内。
△・・・差が15ppm超〜20ppm以内。
×・・・差が20ppm超
2.<レーザー加工性>
プリント配線板に形成された硬化膜に、COレーザー加工機(日立ビアメカニクス社製)を用いて、トップ径65μm、ボトム径50μmになるようにビア形成を行い、下記に従いレーザー加工性を評価した。ビアの形成条件は以下の通りである。
アパチャー(マスク径):3.1mm/パルス幅:20μsec/出力:2W/周波数:5kHz/ショット数:バースト3ショット
◎◎:狙い加工径との差が±2μm未満で、かつ、加工穴壁が滑らかな状態。
◎:狙い加工径との差が±2μm未満だが、加工穴壁に若干の凹凸が見られる状態。
○:狙い加工径との差が±2μm未満だが、加工穴壁に凹凸が見られる状態。
△:狙い加工径との差が±2μm以上、5μm未満。
×:狙い加工径との差が±5μm以上。
3.<デスミア耐性>
上記レーザー加工後のプリント配線板について、デスミア処理を想定して、酸化剤溶液であるアトテックジャパン(株)製の粗化液(スウェリング・ディップ・セキュリガンスP(膨潤)、コンセントレート・コンパクトCP(酸化)、リダクションソリューション・セキュリガントP(中和))を用いて、膨潤60℃×5分、酸化80℃×20分、中和40℃×5分の順で処理を行った。得られたプリント配線板について、レーザー顕微鏡VK−8500(キーエンス社、測定倍率2000倍、Z軸方向測定ピッチ10nm)により、それぞれの表面粗度Raを測定した。Ra値は、全測定範囲の10点の平均値とした。デスミア耐性は、かかる表面粗さ(Ra値)の値によって、下記に従い評価した。
◎:過マンガン酸デスミア後の表面粗度Raが0.1μm未満。
○:過マンガン酸デスミア後の表面粗度Raが0.1μm以上0.3μm以下。
4.<TCT(冷熱サイクル(クラックの抑制評価))>
レーザービアおよびデスミア処理を施したプリント配線について、TCT処理を実施した。具体的には、プリント配線板に対し、−65℃で30分、150℃で30分を1サイクルとして熱履歴を加えた。2000サイクル経過後、ビア底や壁面の状態を光学顕微鏡により観察するために、ビア中心部分を精密切断機で裁断、研磨し、断面状態の観察を行った。評価は、下記に従い行った。観察ビア数は100穴とした。
◎◎:クラック発生なし。
◎:クラック発生率5%未満。
○:クラック発生率5〜10%未満。
△:クラック発生率10〜20%未満。
×:クラック発生率20%以上。
5.<反り(硬化後基板反り)>
総厚が100μm、サイズ50×50mmの銅張り板(片側の銅厚=20μm、MCL−E−679FGR、日立化成(株)製)に、前処理としてメック社製CZ−8101を用いて、1μm相当のエッチングを行った。この銅張り板に、上記方法により硬化膜を形成して、プリント配線板を得た。反りの評価方法は、得られた基板を50×50mmの対角線にて精密切断し、対角線エリアの断面の中で、最も大きな値と、最も小さな値の差を反り量として、下記に従い行った。
◎◎:基板の反り量が、10mm未満。
◎:基板の反り量が、10mm以上15mm未満。
○:基板の反り量が、15mm以上20mm未満。
×:基板の反り量が、20mm以上。
6.<アンダーカット>
光・熱硬化性組成物である実施例10,11および比較例2については、下記のように、アンダーカットも評価した。
銅厚15μmの銅張り板上に、前処理としてメック社製CZ−8101処理を行い、0.5μm相当エッチング処理を行った。次いで、上記した硬化基板の作製の項目の、硬化方法「光・熱硬化」の作製方法に準拠して、実施例10,11および比較例2の組成物を用いて、パターン状のレジスト(L/S=50/50μm、ライン状のパターン)を形成した。得られたプリント配線板について、精密切断機を用い、ラインに対して垂直になるように切断を行い、光学顕微鏡を用いて、表層部と深部とのラインの断面長さ測定を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:表層部と深部のラインの断面長さの差が、0μm以上、5μm未満。
○:表層部と深部のラインの断面長さの差が、5μm以上、8μm未満。
×:表層部と深部のラインの断面長さの差が、8μm以上。
7.<ドライフィルムの柔軟性(曲げテスト)>
実施例6および比較例3のドライフィルムについては、下記のように、柔軟性も評価した。
JIS K5600−5−1(ISO1519)に準拠し、BYK−Gardner社製の円筒形マンドレル屈曲試験機を用いて、実施例6および比較例3のドライフィルムの割れおよびキャリアフィルムからの剥がれが起こり始めるマンドレルの最小直径から、ドライフィルムの柔軟性を評価した。評価基準は以下のとおりである。ドライフィルムの柔軟性が良好な場合、樹脂層の柔軟性が高く、割れと粉落ちを抑制できる。
○:φ1mmで、樹脂層の割れおよびキャリアフィルムの剥がれの発生がなく、樹脂層の粉落ちがなかった。
△:φ2〜5mmの直径で、樹脂層の割れ、粉落ち、およびキャリアフィルムの剥がれが発生した。
8.<吸水率>
プリント配線板に形成された硬化膜を銅箔より剥離した後、測定サイズ(50mm×50mmのサイズ)にサンプルを切り出して、100℃にて2時間乾燥を行い、水分を完全に除去し、精密天秤にて質量(W1)の測定を行った。その後、サンプルを23℃±2℃に管理された蒸留水に浸漬し、24時間後の質量(W2)の測定を行った。吸水率は(W2−W1)/W1×100(%)により求めた。評価基準は以下の通りである。
◎◎:0.3%未満。
◎:0.3%以上0.7%未満。
○:0.7%以上1.4%未満。
△:1.4%以上。
Figure 0006710034
*1)(株)アドマテック製、シリカSiO
*2〜4)東亜合成(株)製,ウルテアシリーズ
*5)リン酸タングステン酸ジルコニウム
Figure 0006710034
*6)ZFR−1124:日本化薬(株)製(ビスフェノールF構造の多官能エポキシ樹脂を使用した感光性カルボキシル基含有樹脂,固形分63質量%,樹脂としての酸価は102mgKOH/g)
*7)EMG−1015:DIC(株)製(カルボキシル基含有ポリイミド樹脂、溶液酸価:863mgKOH/g、固形分50質量%、固形分酸価1726mgKOH/g)
*8)ADCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製 A−DCP)
*9)エピクロンN−870:DIC(株)製(ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量205g/eq、軟化点70℃、分子量1600)
*10)HP−7200:DIC(株)製(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂,エポキシ当量250〜280g/eq;軟化点57〜68℃)
*11)HP−4032:DIC(株)製(ナフタレン型エポキシ樹脂,エポキシ当量135〜165g/eq;半固体)
*12)JER828:三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量184〜194g/eq、液状)
*13)JER807:三菱化学(株)製(ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量160〜175g/eq、液状)
*14)HF−1M:明和化成(株)製(フェノールノボラック樹脂)
*15)HPC−8000:DIC(株)製(活性エステル樹脂)
*16)PT30:ロンザジャパン社製(フェノールノボラック型多官能シアネート樹脂)
*17)Irg369:BASFジャパン(株)製(IRGACURE369,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
*18)DPHA:日本化薬(株)製(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート,KAYARAD DPHA)
*19)2E4MZ:2−エチル−4−メチルイミダゾール
*20)4APy:広栄化学工業(株)製(4−ジメチルアミノピリジン)
*21)NapZn(II):ナフテン酸亜鉛(II)
*22)YX−6954:三菱化学(株)製(フェノキシ樹脂)
*23)BYK−352:ビックケミー社製(レベリング剤)(アクリル系表面張力調整剤)
*24)KBM−403:信越化学(株)製(トリメトキシエポキシシラン)
*25)シクロヘキサノン(沸点155.65℃)
*26)ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点190℃)
*27)イプゾール150:出光興産(株)製(芳香族系高沸点溶剤,沸点184〜205℃)
*28)メチルイソブチルケトン(沸点116℃)
Figure 0006710034
Figure 0006710034
Figure 0006710034
Figure 0006710034
Figure 0006710034
上記表中に示すように、熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーを配合し、いずれも沸点が100℃以上であって、かつ、沸点が5℃以上異なる少なくとも2種の溶剤を含み、硬化物の熱膨張係数と、導体層を構成する銅の熱膨張係数との差が15ppm/℃以内である組成物を用いた各実施例においては、フィルムとしての柔軟性や硬化膜の加工性等の諸性能について、いずれも良好な性能が得られることが確かめられた。また、実施例1と、実施例4,5,12との比較からは、より比重が小さいフィラーを用いるほど、CTEの低減効果が高く、良好であることが分かる。
これに対し、熱膨張係数がプラスの値であるフィラーのみを配合した各比較例については、比較例1,2ではフィラー量が少ないためにCTEが高く、TCTおよび反りが悪化し、光硬化性の比較例2では、さらにアンダーカットも悪化した。また、ドライフィルムについての比較例3では柔軟性が悪化し、フィラー量が多すぎる比較例4では、レーザー加工性およびTCTが悪化した。
1 絶縁基板
3 導体層としての内層導体パターン
3a コネクション部
4、9 樹脂絶縁層
8 導体層としての外層導体パターン
10 導体層としての最外層導体パターン
20 導体層としてのスルーホール
21 スルーホール孔
22 コネクション部
30a 液状判定用試験管
30b 温度測定用試験管
31 標線(A線)
32 標線(B線)
33a、33b ゴム栓
34 温度計
41 基板
42 導体層としての導体パターン
42a 部品実装部
43 硬化物としての熱硬化性樹脂組成物層
44 硬化物としての光硬化性樹脂組成物層
46 溝状のダム
50 はんだボール
51 チップ
52 バンプ
53a フリップチップ実装基板
X 積層基板

Claims (6)

  1. 導体パターンが形成された基板の表面に、熱硬化性樹脂組成物層からなる第一硬化物および光硬化性樹脂組成物層からなる第二硬化物が基板表面側から順に積層されウエハ層を含む半導体チップが実装されているプリント配線板における、前記第一硬化物または前記第二硬化物を得るための組成物であって、
    熱膨張係数がマイナスの値であるフィラーと、硬化性樹脂と、少なくとも2種の溶剤とを含み、
    前記少なくとも2種の溶剤が、いずれも沸点が100℃以上であって、かつ、沸点が5℃以上異なることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記フィラーの真比重が、2.5〜4.0g/cmである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化性樹脂組成物から得られる硬化物の、前記プリント配線板の導体層または前記プリント配線板に実装された半導体チップのウエハ層との熱膨張係数の差が、15ppm/℃以内である請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. フィルム上に、請求項1〜3のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物を乾燥させた樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  5. 請求項1〜3のうちいずれか一項記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項4記載のドライフィルムの樹脂層を、硬化したことを特徴とする硬化物。
  6. 請求項5記載の硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
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