JP6709889B2 - 多置換芳香族化合物及びその製造方法 - Google Patents

多置換芳香族化合物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多置換芳香族化合物及びその製造方法に関する。特に、本発明は、完全非対称多置換芳香族化合物及びその製造方法に関する。
ベンゼンは分子式がCである六角形の有機分子であり、その構造の単純さと美しさ(亀の甲)から有機化学のシンボルと言われてきた。また、ベンゼンは、その多彩な機能と高い安定性のために、医農薬、香料、染料、プラスチック、液晶、エレクトロニクス材料に最もよく用いられる構造単位にもなっている。このため、ベンゼンにさらに様々な機能を付与することが試みられている。
ベンゼンに様々な機能を付与する鍵は、ベンゼン環に結合している6つの水素原子を様々な置換基に置き換えることにある。どのような置換基をどのような配置で導入するかによって、置換ベンゼンの性質は大きく異なる。このため、所望の置換基をベンゼンに導入する手法の開発は化学の発展を支える最重要課題の1つとなってきた。しかしながら、多置換ベンゼンの破格の構造多様性のために、多置換ベンゼンを意のままに合成することは困難であった。この点は「多置換ベンゼン問題」として、長年化学の未解決問題とされてきた。
多置換ベンゼンの構造多様性は、例えば、n種類の置換基の組み合わせから考えられる置換ベンゼンの分子数Nは、N=(2n+2n+4n+3n+n)/12で表され(バーンサイドの定理)、その構造多様性は有機分子の中でも突出している。具体的には、多置換ベンゼンを意のままに合成することができれば、理論上は、10種類の置換基の組み合わせからは8万以上の、50種類の置換基の組み合わせからは13億以上の多置換ベンゼンが生成可能ということになり、その汎用性は非常に高く、インパクトも絶大である。
多置換ベンゼンのなかでも、ベンゼンの6つの水素原子を全て芳香族置換基(アリール基又はヘテロアリール基)で置換したヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼンは、様々な光電子機能性材料となるばかりでなく、近年ではナノグラフェンの前駆体としても注目を集めている分子群である。しかしながら、前述した合成の難しさから、これまで研究されてきたヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼンは1〜2種類のアリール基で置換された対称性の高いものばかりであった(例えば、特許文献1等)。特に、6種類の異なるアリール基又はヘテロアリール基で置換された完全非対称ヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼンはこれまで合成及び単離されたことがなく、その物性等は依然として未知のままである。
こうしたなか、様々な多置換有機分子のプログラム合成法の開発研究が盛んに行われている。プログラム合成とは、合成標的とする有機分子において「全ての対象分子構造を意のままにプログラムされた様式で作り分ける」ことを可能にする方法論である。こうした目標設定の中、多置換チオフェン等の様々な多置換有機分子のプログラム合成は確立されている(例えば、非特許文献1等)。しかしながら、その最終目標とも言えるヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼンのプログラム合成は困難を極め、その手がかりすらほとんど得られなかったのが現状である。
特開2008−050281号公報
Journal of the American Chemical Society, 2009, 131, 14622.
本発明は、6種類の異なるアリール基又はヘテロアリール基で置換された完全非対称ヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼン等の多置換芳香族化合物を提供することを目的とする。
上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、既にプログラム合成が確立している所定の四置換チオフェン化合物を酸化して四置換チオフェンS−オキシド化合物を得た後に、所定の三重結合を有する化合物と反応させることで、種々の多置換芳香族化合物を合成することができ、全ての置換基を異なる種類の置換基とすることも可能であることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.一般式(1):
[式中、Rは窒素原子又は−(C−R)=で示される基;R〜Rはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;RとRは結合して環を形成してもよい。]
で示される多置換芳香族化合物。
項2.一般式(1A):
[式中、R1a〜R6aはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される、項1に記載の多置換芳香族化合物。
項3.一般式(1B):
[式中、R1b〜R4bはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;Aは環である。]
で示される、項1に記載の多置換芳香族化合物。
項4.一般式(1C):
[式中、R1c〜R5cはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される、項1に記載の多置換芳香族化合物。
項5.前記R〜Rはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよい単環ヘテロアリール基である、項1〜4のいずれかに記載の多置換芳香族化合物。
項6.項1〜5のいずれかに記載の多置換芳香族化合物の製造方法であって、
一般式(2):
[式中、R〜Rはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される四置換チオフェンS−オキシド化合物と、
一般式(3):
R≡C−R
[式中、Rは窒素原子又は≡(C−R)で示される基;R及びRは異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;R及びRはR〜Rのいずれとも異なる;RとRは結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物とを反応させる工程
を備える、製造方法。
項7.前記一般式(3)で示される化合物が、
一般式(3A):
6a−C≡C−R5a
[式中、R5a及びR6aは異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;R5a及びR6aはR〜Rのいずれとも異なる。]
で示される化合物、
一般式(3B):
[式中、A’は三重結合を有する環である。]
で示される化合物、又は
一般式(3C):
N≡C−R5c
[式中、R5cは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;R5cはR〜Rのいずれとも異なる。]
で示される化合物である、項6に記載の製造方法。
項8.前記一般式(2)で示される四置換チオフェンS−オキシド化合物が、一般式(4):
[式中、R〜Rはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される四置換チオフェン化合物を酸化させる工程により得られる、項6又は7に記載の製造方法。
本発明によれば、従来は不可能とされてきた完全非対称ヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼンを自在に合成することが可能である。また、本発明によれば、完全非対称ヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼンのみならず、5種類の芳香族置換基で置換されたピリジンや、4種類の芳香族置換基で置換された縮合環式化合物等、種々様々な多置換芳香族化合物を合成することが可能である。このような本発明の多置換芳香族化合物は、医農薬、香料、染料、プラスチック、液晶、エレクトロニクス材料等、種々様々な用途への応用が期待される。
熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による、実施例1−2で得た化合物10aのX線結晶構造を示す図面である(楕円は50%の原子存在)。明確にするために、水素原子は省略している。 熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による、実施例3−1で得た化合物14bのX線結晶構造を示す図面である(楕円は50%の原子存在)。明確にするために、水素原子は省略している。
1.多置換芳香族化合物 本発明の多置換芳香族化合物は、一般式(1):
[式中、Rは窒素原子又は−(C−R)=で示される基;R〜Rはいずれも異なり、それぞれアリール基又はヘテロアリール基;RとRは結合して環を形成してもよい。]
で示される多置換芳香族化合物である。
一般式(1)において、R〜Rはいずれも異なり、それぞれアリール基又はヘテロアリール基である。
〜Rで示されるアリール基としては、特に制限はなく、単環アリール基(フェニル基)でも多環アリール基(縮合環アリール基、多環非縮合環アリール基等)でもよいが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらのなかでも、合成の容易さ、収率等の観点から、単環若しくは縮合環アリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基等がより好ましい。
〜Rで示されるアリール基は置換されていてもよい。R〜Rで示されるアリール基が有し得る置換基としては、特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等のC1−6アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1−6ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1−6アルコキシ基)、シリル基(t−ブチルジメチルシリル基等のトリ(C1−6アルキル)シリル基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基等のC2−7アシル基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の(C1−6アルコキシ)カルボニル基等)、アミノ基(ジエチルアミノ基等のジ(C1−6アルキル)アミノ基等)等が挙げられる。これらの置換基の数は、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
〜Rで示されるヘテロアリール基としては、特に制限はなく、単環ヘテロアリール基でも多環ヘテロアリール基(縮合環ヘテロアリール基等)でもよいが、例えば、ピロリル基、ピリジル基、ピロリジル基、ピペリジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、ピペラジル基、トリアジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、モルホリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾイミダゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、プリニル基、プテリジル基、ベンゾフラニル基、クマリル基、クロモニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられる。これらのなかでも、合成の容易さ、収率等の観点から、単環ヘテロアリール基が好ましい。
〜Rで示されるヘテロアリール基は置換されていてもよい。R〜Rで示されるヘテロアリール基が有し得る置換基としては、特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基等のC1−6アルキル基等)、ハロアルキル基(トリフルオロメチル基等のC1−6ハロアルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1−6アルコキシ基)、シリル基(t−ブチルジメチルシリル基等のトリ(C1−6アルキル)シリル基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基等のC2−7アシル基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の(C1−6アルコキシ)カルボニル基等)、アミノ基(ジエチルアミノ基等のジ(C1−6アルキル)アミノ基等)等が挙げられる。これらの置換基の数は、0〜6個が好ましく、0〜3個がより好ましい。
一般式(1)において、Rは窒素原子又は−(C−R)=で示される基である。また、RとRは結合して環を形成してもよい。つまり、本発明の多置換芳香族化合物は、6つの異なるアリール基又はヘテロアリール基が置換したベンゼン(完全非対称ヘキサ(ヘテロ)アリールベンゼン)、4つの異なるアリール基又はヘテロアリール基が1つのベンゼン環に置換した縮合環芳香族化合物、5つの異なるアリール基又はヘテロアリール基が置換したピリジンのいずれも包含する。 つまり、本発明の多置換芳香族化合物は、一般式(1A):
[式中、R1a〜R6aはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される化合物、一般式(1B):
[式中、R1b〜R4bはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;Aは環である。]
で示される化合物、一般式(1C):
[式中、R1c〜R5cはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される化合物のいずれも包含する。
一般式(1A)において、R1a〜R6aで示されるアリール基及びヘテロアリール基は前記したものが挙げられ、有し得る置換基の種類及び数としても上記したものを採用し得る。
一般式(1B)において、R1b〜R4bで示されるアリール基及びヘテロアリール基は前記したものが挙げられ、有し得る置換基の種類及び数としても上記したものを採用し得る。
一般式(1B)において、Aで示される環としては、特に制限はないが、例えば、
等が挙げられる。
一般式(1C)において、R1c〜R5cで示されるアリール基及びヘテロアリール基は前記したものが挙げられ、有し得る置換基の種類及び数としても上記したものを採用し得る。
このため、本発明の多置換芳香族化合物としては、例えば、
[式中、TBSはt−ブチルジメチルシリル基;以下同様である。]
等が挙げられる。
なお、本発明の多置換芳香族化合物は、これらのみに限定されることはない。後述の本発明の製造方法によれば、所望のアリール基及びヘテロアリール基を所望の箇所に自在に導入することが可能であり、有機化学で通常使用される約50種類の置換基の組合せによって13億以上という膨大な数の多置換芳香族化合物を自在に合成することが可能である。
2.多置換芳香族化合物の製造方法 本発明の多置換芳香族化合物の製造方法は、上記した本発明の多置換芳香族化合物を製造する方法であり、一般式(2):
[式中、R〜Rはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される四置換チオフェンS−オキシド化合物と、
一般式(3):
R≡C−R
[式中、Rは窒素原子又は≡(C−R)で示される基;R及びRは異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;R及びRはR〜Rのいずれとも異なる;RとRは結合して環を形成してもよい。]
で示される化合物とを反応させる工程(工程(II))を備える。
また、本発明の製造方法において、原料として使用する四置換チオフェンS−オキシド化合物は、一般式(4):
[式中、R〜Rはいずれも異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基である。]
で示される四置換チオフェン化合物を酸化させる工程(工程(I))により得ることができる。
(2−1)四置換チオフェン化合物及びその製造方法
一般式(4)において、R〜Rで示されるアリール基及びヘテロアリール基は前記したものが挙げられ、有し得る置換基の種類及び数としても上記したものを採用し得る。このような四置換チオフェン化合物は、例えば、非特許文献1に記載の合成方法に準じて、又は該合成方法を若干改良して合成することができる。具体的には、以下の反応式1:
[式中、R〜Rはいずれも異なり、それぞれ前記に同じ;Rはアルキル基;Xはハロゲン原子;Yはボロン酸又はそのエステル基;Tfはトリフルオロメタンスルホニル基である。]
にしたがって合成することができる。
で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基等のC1−6アルキル基、特にC1−4アルキル基が挙げられる。
Xで示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
Yで示されるボロン酸又はそのエステル基としては、例えば、一般式(6):
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれ水素原子又はアルキル基;Rは互いに結合して環を形成してもよい。]
で示される基が好ましい。
で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基等のC1−6アルキル基、特にC1−4アルキル基が挙げられる。
このようなボロン酸又はそのエステル基としては、例えば、
[式中、R〜R10は同じか又は異なり、それぞれアルキル基である。]
で示される基が挙げられる。
〜R10で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基等のC1−6アルキル基、特にC1−4アルキル基が挙げられる。
化合物(5a)→化合物(5b)
本工程で使用できるハロゲン化剤としては、特に制限はないが、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、1,2−ジブロモエタン、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、臭化水素等が挙げられる。ハロゲン化剤の使用量は、使用するハロゲン化剤の種類に応じて適宜設定され得るが、通常、化合物(5a)1モルに対して、0.2〜5モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
本工程で使用できるRYで示される化合物の使用量は、通常、化合物(5a)1モルに対して、0.2〜5モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
本工程で使用できるパラジウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、酢酸パラジウム(Pd(OCOCH3)2;Pd(OAc)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、トリフルオロ酢酸パラジウム(Pd(OCOCF3)2)、塩化パラジウム(PdCl2)、臭化パラジウム(PdBr2)、ヨウ化パラジウム(PdI2)、Pd(CH2COCH2COCH3)2、K2PdCl4、K2PdCl6、K2Pd(NO3)4、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、2,5−ノルボルナジエンパラジウムジクロリド等が挙げられる。これらのパラジウム化合物は、溶媒和物であってもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)が好ましい。パラジウム化合物の使用量は、通常、化合物(5a)1モルに対して、0.002〜0.1モルが好ましく、0.005〜0.05モルがより好ましい。
本工程では、必要に応じて配位子化合物を使用してもよい。使用できる配位子化合物としては、特に制限されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリ(n−ブチル)ホスフィン、トリイソプロポキシホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン、ジ(t−ブチル)メチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、トリエチルアミン、ピリジン、2,2’−ビピリジル、4,4’−(t−ブチル)ビピリジル、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(t−ブチル)フェロセン、ジフェニルホスフィノメタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,2−ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,5−シクロオクタジエン等が挙げられる。これらの配位子化合物は、溶媒和物であってもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、トリ(t−ブチル)ホスフィンが好ましい。配位子化合物の使用量は、通常、パラジウム化合物1モルに対して、1〜10モルが好ましく、3〜5モルがより好ましい。
本工程では、必要に応じて塩基を使用してもよい。本工程で使用できる塩基としては、特に制限されないが、例えば、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸アルカリ金属塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸金属塩;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。塩基の使用量は、通常、化合物(5a)1モルに対して、0.5〜5モルが好ましく、1〜3モルがより好ましい。
本工程は、通常溶媒中で実施することができる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、トリフルオロトルエン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類; メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、環状エーテル類が好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
本工程は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、−50〜150℃程度が好ましく、0〜100℃程度がより好ましい。反応時間は、反応が進行する時間とすることができ、通常、1〜72時間程度が好ましく、2〜48時間程度がより好ましい。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物である化合物(5b)を得ることができる。
化合物(5b)→化合物(5c)
本工程で使用できるRYで示される化合物の使用量は、通常、化合物(5b)1モルに対して、1〜10モルが好ましく、3〜5モルがより好ましい。
本工程で使用できるパラジウム化合物としては、特に限定されず、前記したものが挙げられる。本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、酢酸パラジウム(Pd(OCOCH3)2;Pd(OAc)2)が好ましい。パラジウム化合物の使用量は、通常、化合物(5b)1モルに対して、0.02〜0.5モルが好ましく、0.05〜0.2モルがより好ましい。
本工程では、必要に応じて配位子化合物を使用してもよい。使用できる配位子化合物としては、特に限定されず、前記したものが挙げられる。本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、2,2’−ビピリジル、4,4’−(t−ブチル)ビピリジル等が好ましく、2,2’−ビピリジルがより好ましい。配位子化合物の使用量は、通常、パラジウム化合物1モルに対して、0.2〜5モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
本工程では、必要に応じて塩基を使用してもよい。本工程で使用できる塩基としては、特に限定されず、前記したものが挙げられる。本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、ピペリジン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)等が好ましく、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)がより好ましい。塩基の使用量は、通常、化合物(5b)1モルに対して、1〜10モルが好ましく、3〜5モルがより好ましい。
本工程は、通常溶媒中で実施することができる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、トリフルオロトルエン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類; メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、芳香族ハロゲン化炭化水素類が好ましく、トリフルオロトルエンがより好ましい。
本工程は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましいが、脱気しなくてもよいし、水分を除去しなくてもよいため大量合成を容易に行うことができる。反応温度は、通常、0〜150℃程度が好ましく、50〜100℃程度がより好ましい。反応時間は、反応が進行する時間とすることができ、通常、1〜96時間程度が好ましく、2〜72時間程度がより好ましい。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物である化合物(5c)を得ることができる。
化合物(5c)→化合物(5d)
本工程は、非特許文献1に開示された方法にしたがって行うことができる。例えば、塩化パラジウム(PdCl2)等のパラジウム化合物の存在下、RXで示される化合物を用いて、化合物(5c)に対してRを導入することができる。この際、必要に応じて、ビピリジル等の配位子化合物、炭酸銀(Ag2CO3)等の銀化合物を使用してもよい。
化合物(5d)→化合物(5e)
本工程は、非特許文献1に開示された方法にしたがって行うことができる。例えば、トリブロモボラン等を用いて化合物(5d)を脱アルキル化した後に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等を用いてトリフルオロメタンスルホニル化を行うことができる。トリフルオロメタンスルホニル化は、必要に応じてジイソプロプルエチルアミン等の塩基の存在下に行ってもよい。
化合物(5e)→四置換チオフェン化合物(4)
本工程は、非特許文献1に開示された方法にしたがって行うことができる。例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)等のパラジウム化合物の存在下、RYで示される化合物を用いて、化合物(5e)に対してRを導入することができる。この際、必要に応じて、水酸化バリウム等の塩基を使用してもよい。
(2−2)工程(I):四置換チオフェン化合物(4)の酸化
上記した四置換チオフェン化合物(4)と後述の化合物(3)とを反応させても環化反応は進行せず、本発明の多置換芳香族化合物は得られない。本発明では、四置換チオフェン化合物(4)の反応性を向上させるため、原料として四置換チオフェンS−オキシド化合物(2)を用いることが好ましい。
本工程では、上記した四置換チオフェン化合物(4)を酸化させることで、四置換チオフェンS−オキシド化合物(3)を得ることができる。
本工程において、酸化に使用される酸化剤としては、特に制限されないが、例えば、塩素;過酸化水素;過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸(m-CPBA)等の過酸類;t−ブチルペルオキシド等のペルオキシド類;メタ過ヨウ素酸ナトリウム等の過ハロゲン酸塩類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、過酸類が好ましく、m−クロロ過安息香酸(m-CPBA)がより好ましい。酸化剤の使用量は、通常、四置換チオフェン化合物(4)1モルに対して、1〜10モルが好ましく、3〜5モルがより好ましい。
本工程では、上記酸化剤の他、酸触媒として三フッ化ホウ素化合物を使用することが好ましい。使用できる三フッ化ホウ素化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3・OEt2)、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素メタノール錯体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3・OEt2)が好ましい。三フッ化ホウ素化合物の使用量は、通常、四置換チオフェン化合物(4)1モルに対して、2〜30モルが好ましく、5〜20モルがより好ましい。
本工程は、通常溶媒中で実施することができる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、トリフルオロトルエン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類; メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、脂肪族ハロゲン化炭化水素類が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。
本工程は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、−100〜50℃程度が好ましく、−50〜0℃程度がより好ましい。反応時間は、反応が進行する時間とすることができ、通常、1〜24時間程度が好ましく、2〜12時間程度がより好ましい。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物である四置換チオフェンS−オキシド化合物(2)を得ることができる。
(2−3)工程(II):四置換チオフェンS−オキシド化合物(2)と化合物(3)との反応
上記した四置換チオフェンS−オキシド化合物(2)は、ジエンとしての反応性を有するため、化合物(3)と反応させることで、本発明の多置換芳香族化合物を得ることができる。
一般式(3)において、R〜Rで示されるアリール基及びヘテロアリール基は前記したものが挙げられ、有し得る置換基の種類及び数としても上記したものを採用し得る。
一般式(3)において、Rは窒素原子又は−(C−R)=で示される基である。また、RとRは結合して環を形成してもよい。つまり、化合物(3)は、一般式(3A):
6a−C≡C−R5a
[式中、R5a及びR6aは異なり、それぞれ置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;R5a及びR6aはR〜Rのいずれとも異なる。]
で示される化合物、
一般式(3B):
[式中、A’は三重結合を有する環である。]
で示される化合物、及び
一般式(3C):
N≡C−R5c
[式中、R5cは置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいヘテロアリール基;R5cはR〜Rのいずれとも異なる。]
で示される化合物のいずれも包含する。
一般式(3A)において、R5a〜R6aで示されるアリール基及びヘテロアリール基は前記したものが挙げられ、有し得る置換基の種類及び数としても上記したものを採用し得る。
一般式(3B)において、A’で示される環としては、特に制限はないが、例えば、
等が挙げられる。
一般式(3C)において、R5cで示されるアリール基及びヘテロアリール基は前記したものが挙げられ、有し得る置換基の種類及び数としても上記したものを採用し得る。
このため、使用できる化合物(3)としては、例えば、
等が挙げられる。
本工程において、化合物(3)の使用量は、通常、四置換チオフェンS−オキシド化合物(2)1モルに対して、0.5〜5モルが好ましく、1〜3モルがより好ましい。なお、化合物(3C)は通常液体であり、反応溶媒としても機能するため、化合物(3C)を用いる場合は、その使用量は四置換チオフェンS−オキシド化合物(2)に対して過剰量とすることが好ましい。
本工程は、通常溶媒中で実施することができる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、トリフルオロトルエン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類; メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。収率及び合成の容易さの観点から、状エーテル類及び芳香族炭化水素類が好ましく、テトラヒドロフラン、キシレン、メシチレンがより好ましい。なお、化合物(3C)は通常液体であるため、化合物(3C)を用いる場合は、反応溶媒を使用しなくてもよい。
本工程は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、−100〜50℃程度が好ましく、−50〜0℃程度がより好ましい。反応時間は、反応が進行する時間とすることができ、通常、1〜24時間程度が好ましく、2〜12時間程度がより好ましい。
このようにして、本発明の多置換芳香族化合物を得ることができる。 化合物(3)として化合物(3A)を用いた場合は、この時点では一般式(1A):
[式中、R1a〜R6aはいずれも異なり、それぞれ前記に同じである。]
で示される化合物と、一般式(1A’):
[式中、R1a〜R6aはいずれも異なり、それぞれ前記に同じである。]
で示される化合物との混合物として得ることができる。このため、通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を単離することができる。
ただし、R1a〜R6aの組合せによっては、上記化合物(1A)と化合物(1A’)とを単離することが困難な場合もある。この場合には、常法により、R5a又はR6aをt−ブチルジメチルシリルオキシ基等のような嵩高い置換基に置換すれば上記化合物(1A)と化合物(1A’)とを単離しやすくすることが可能である。
化合物(3)として化合物(3B)を用いた場合は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を得ることができる。 化合物(3)として化合物(3C)を用いた場合は、この時点では一般式(1C):
[式中、R1c〜R5cはいずれも異なり、それぞれ前記に同じである。]
で示される化合物と、一般式(1C’):
[式中、R1c〜R5cはいずれも異なり、それぞれ前記に同じである。]
で示される化合物との混合物として得ることができる。このため、通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を単離することができる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
[合成例1:化合物(5b)の合成]
合成例1−1:化合物1aの合成
[式中、Meはメチル基;以下同様である。]
500 mLの三つ首フラスコに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。0℃で、このフラスコに、3-メトキシチオフェン(3.0 mL, 30 mmol, 1.0当量)のTHF(300 mL)溶液とN-ブロモスクシンイミド(NBS; 5.34 g, 30 mmol, 1.0当量)とを添加した。混合物を0℃で1時間撹拌した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)・クロロホルム付加物(Pd2(dba)3・CHCl3; 465.8 mg, 0.45 mmol, 1.5 mol%)、トリ-t-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(P(t-Bu)3・HBF4; 522.2 mg, 1.8 mmol, 6 mol%)、4-t-ブチルフェニルボロン酸(31.5 mmol, 1.05当量)、及びNaOH水溶液(3 M, 20 mL, 60 mmol, 2.0当量)を添加し、さらに混合物を60℃で20時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、混合物に水(500 mL)及びCH2Cl2(200 mL)を添加した。CH2Cl2で抽出した後、有機層をNa2SO4で乾燥させ、揮発性物質を減圧下に除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=40: 1)により精製し、クーゲルロール(Kugelrohr)により蒸留し、化合物1aを無色油として得た(7.4 g, quant)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H), 1.33 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 153.3, 149.1, 130.5, 126.5, 125.3, 121.5, 120.1, 117.3, 58.5, 34.4, 31.2; HRMS (DART) m/z calcd for C15H19OS [MH]+: 247.11566, found 247.11528。
合成例1−2:化合物1bの合成
アリールボロン酸化合物としてm-トリルボロン酸を使用すること以外は合成例1−1と同様に合成し、化合物1bを無色油として得た(5.5 g, 90 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.57-7.50 (m, 2H), 7.25 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.92 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H), 2.38 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 153.5, 137.9, 133.2, 128.3, 127.5, 127.1, 124.0, 121.9, 120.2, 117.4, 58.6, 21.5; HRMS (DART) m/z calcd for C12H13OS [MH]+: 205.06871, found 205.06863。
[合成例2:化合物(5c)の合成]
合成例2−1:化合物2acの合成
50 mLの二つ首フラスコに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このフラスコに、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2; 224.5 mg, 1.0 mmol, 10 mol%)、2,2’-ビピリジル(bipy: 156.8 mg, 1.0 mmol, 10 mol%)、フェニルボロン酸(40 mmol, 4.0当量)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO; 4.69 g, 30 mmol, 3.0当量)、合成例1−1で得た化合物1a(10 mmol, 1.0当量)、及びα,α,α-トリフルオロトルエン(3.3 mL)を窒素雰囲気下に添加した。容器を80℃で48時間加熱した。反応混合物をシリカゲル(溶離液: 酢酸エチル, 100 mL)でろ過し、揮発性物質を減圧下に除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=20: 1)及びゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により精製し、化合物2acを白色固体として得た(2.43 g, 75 % (β), β/α= 98: 2)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.72-7.64 (m, 4H), 7.45-7.39 (m, 4H), 7.33 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.16 (s, 1H), 3.51 (s, 3H), 1.36 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ151.3, 150.2, 136.7, 135.1, 130.2, 128.5, 128.2, 127.5, 127.2, 126.9, 125.6, 119.1, 60.7, 34.6, 31.3; HRMS (DART) m/z calcd for C21H23OS [MH]+: 323.14696, found 323.14673。
合成例2−2:化合物2bcの合成
合成例1−1で得た化合物1aの代わりに合成例1−2で得た化合物1bを使用すること以外は合成例2−1と同様に合成し、化合物2bcを無色油として得た(2.13 g, 76 % (β), β/α= 91: 9)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.68-7.64 (m, 2H), 7.58 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.42 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.36-7.27 (m, 2H), 7.18 (s, 1H), 7.11 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.50 (s, 3H), 2.40 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 151.5, 138.3, 136.8, 135.0, 133.0, 128.6, 128.5, 128.3, 128.03, 127.97, 127.5, 127.3, 124.4, 119.4, 60.7, 21.5; HRMS (DART) m/z calcd for C18H17OS [MH]+: 281.10001, found 281.10046。
[合成例3:化合物(5d)の合成]
合成例3−1:化合物3acdの合成
100 mLのガラス容器にJ. Young Oリングタップを取りつけ、磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。この容器に、塩化パラジウム(PdCl2; 76.6 mg, 0.45 mmol, 10 mol%)、2,2’-ビピリジル(bipy: 70.2 mg, 0.45 mmol, 10 mol%)、炭酸銀(Ag2CO3; 1.24 g, 4.5 mmol, 1.0当量)、合成例2−1で得た化合物2ac(4.5 mmol, 1.0当量)、4-トリフルオロメチルフェニルヨージド(13.5 mmol, 3.0当量)、及び乾燥m-キシレン(24 mL)を窒素雰囲気下に添加した。容器をOリングタップで密封し、120℃で48時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、混合物を短いシリカゲルパッド(酢酸エチル)でろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により精製し、化合物3acdを白色固体として得た(1.77 g, 84 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.73 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.49-7.42 (m, 4H), 7.40-7.30 (m, 7H), 3.39 (s, 3H), 1.36 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 152.1, 150.6, 138.1, 134.8, 134.2, 133.6, 130.0, 129.7, 129.0 (q, 2JCF = 32.6 Hz), 128.7, 128.6, 128.0, 127.6, 125.7, 125.3 (q, 3JCF = 3.8 Hz), 124.1 (q, 1JCF = 273 Hz), 60.6, 34.6, 31.3; HRMS (DART) m/z calcd for C28H26F3OS [MH]+: 467.16564, found 467.16622。
合成例3−2:化合物3bceの合成
合成例2−1で得た化合物2acの代わりに合成例2−2で得た化合物2bcを使用し、アリールヨージドとして4-クロロヨードベンゼンを使用すること以外は合成例3−1と同様に合成し、化合物3bceを白色固体として得た(1.69 g, 72 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.63-7.57 (m, 2H), 7.39-7.28 (m, 6H), 7.23-7.10 (m, 5H), 3.38 (s, 3H), 2.41 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 152.1, 138.3, 134.5, 134.3, 133.9, 133.3, 132.9, 132.6, 130.0, 129.9, 128.7, 128.6, 128.4, 128.1, 127.9, 127.4, 127.1, 124.4, 60.6, 21.5; HRMS (DART) m/z calcd for C24H20ClOS [MH]+: 391.09234, found 391.09257。
[合成例4:化合物(5e)の合成]
合成例4−1:化合物4acdの合成
50 mLのシュレンクフラスコに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このフラスコに、合成例3−1で得た化合物3acd(0.5 mmol, 1.0当量)、及び乾燥CH2Cl2(5 mL)を窒素気流下に添加した。内容物を-78℃まで冷却し、ボロントリブロマイド(650μL, 1 M in CH2Cl2, 0.65 mmol, 1.3当量)を添加した。得られた混合物を-78℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで昇温してTLCをモニターした後、混合物に水(20 mL)及びCH2Cl2(20 mL)を添加した。CH2Cl2で抽出した後、有機層をNa2SO4で乾燥させ、揮発性物質を減圧下に除去した。粗生成物を短いシリカゲルパッド(ヘキサン/酢酸エチル=1: 1)でろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、さらなる精製をせずに次の工程にそのまま使用した。
20 mLのシュレンクフラスコに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このフラスコに、上記工程で得た物質、及び乾燥CH2Cl2(2.5 mL)を窒素気流下に添加した。内容物を0℃まで冷却し、このフラスコにN,N-ジイソプロピルエチルアミン(i-Pr2NEt; 130.6μL, 0.75 mmol, 1.5当量)、N,N-ジメチルアミノピリジン(5.5 mg, 50μmol, 10 mol%)、及びトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O; 126.2μL, 0.75 mmol, 1.5当量)を添加した。得られた混合物を0℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで昇温して12時間撹拌した後、混合物を短いシリカゲルパッド(ヘキサン/酢酸エチル=1: 1)でろ過した。ろ液を真空下に濃縮し粗生成物を、分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10: 1)により精製し、化合物4acdを白色固体として得た(130.1 mg, 45 %)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.57 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 2H), 7.52-7.49 (m, 4H), 7.41-7.38 (m, 3H), 7.34-7.29 (m, 4H), 1.37 (s, 9H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ152.6, 137.2, 136.9, 135.2, 133.9, 133.6, 131.8, 130.4, 129.9 (q, 2JCF= 33.2 Hz), 128.9, 128.8, 128.6, 128.3, 127.0, 126.0, 125.6 (q, 3JCF= 2.9 Hz), 123.9 (q, 1JCF = 274 Hz), 117.8 (q, 1JCF= 323 Hz), 34.8, 31.2; HRMS (DART) m/z calcd for C28H23F6O3S2[MH]+: 585.09928, found 585.10085。
合成例4−2:化合物4bceの合成
合成例3−1で得た化合物3acdの代わりに合成例3−2で得た化合物3bceを使用したこと以外は合成例4−1と同様に合成し、化合物4bceを白色固体として得た(136.8 mg, 54 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.48-7.34 (m, 6H), 7.31-7.21 (m, 5H), 7.15 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 138.8, 137.2, 136.1, 134.2, 133.0, 132.8, 131.9, 131.7, 130.4, 130.01, 129.95, 129.8, 129.2, 128.94, 128.88, 128.7, 128.4, 125.7, 117.9 (q, JCF = 323 Hz), 21.3; HRMS (DART) m/z calcd for C24H17ClF3O3S2[MH]+: 509.02597, found 509.02611。
[合成例5:四置換チオフェン化合物(4)の合成]
合成例5−1:四置換チオフェン化合物5acdeの合成
50 mLのシュレンク管に磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このシュレンク管に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4; 10.4 mg, 9.0μmol, 10 mol%)、Ba(OH)2(30.8 mg, 0.18 mmol, 2.0当量)、4-クロロフェニルボロン酸(0.270 mmol, 3.0当量)、合成例4−1で得た化合物4acd(0.09 mmol, 1.0当量)、乾燥1-ブタノール(3.6 mL)、及びH2O(3.0 mL)を窒素気流下に添加した。シュレンク管を65℃で16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、混合物を短いシリカゲルパッド(酢酸エチル)でろ過した。ろ液を真空下に濃縮し、粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10: 1)により精製し、四置換チオフェン化合物5acdeを白色固体として得た(34.9 mg, 71 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.45 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.33-7.23 (m, 4H), 7.21-7.12 (m, 5H), 7.10 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.95 (dd, J = 7.8, 2.0 Hz, 2H), 6.90 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 1.30 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 150.8, 140.4, 140.2, 137.9, 137.7, 136.4, 135.8, 134.7, 132.7, 132.1, 130.6, 130.5, 129.1, 128.9 (q, 2JCF = 32.4 Hz), 128.7, 128.24, 128.18, 127.1, 125.5, 125.3 (q, 3JCF = 3.9 Hz), 124.1 (q, 1JCF= 277 Hz), 34.6, 31.2; HRMS (DART) m/z calcd for C33H27ClF3S [MH]+: 547.14741, found 547.14724。
合成例5−2〜5−4:四置換チオフェン化合物5acdf、四置換チオフェン化合物5bceg、四置換チオフェン化合物5bcehの合成
4-クロロフェニルボロン酸の代わりに4-メトキシフェニルボロン酸を使用したこと以外は合成例5−1と同様に合成し、四置換チオフェン化合物5acdfを白色固体として得た(33.7 mg, 69 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.45 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.28-7.22 (m, 2H), 7.20-7.13 (m, 5H), 6.98-6.94 (m, 2H), 6.88 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.67 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 3.75 (s, 3H), 1.29 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ158.3, 150.4, 140.8, 139.5, 139.0, 138.0, 136.2, 135.9, 131.9, 131.0, 130.7, 129.1, 128.8 (q, 2JCF = 32.4 Hz), 128.6, 128.1, 126.9, 125.3, 125.2 (q, 3JCF = 3.8 Hz), 124.1 (q, 1JCF= 277 Hz), 113.3, 55.0, 34.5, 31.2; HRMS (DART) m/z calcd for C34H30F3OS [MH]+: 543.19694, found 543.19636。
合成例4−1で得た化合物4acdの代わりに合成例4−2で得た化合物4bceを使用し、4-クロロフェニルボロン酸の代わりに3,5-ジメトキシフェニルボロン酸を使用したこと以外は合成例5−1と同様に合成し、四置換チオフェン化合物5bcegを白色固体として得た(42.3 mg, 95 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.21-7.08 (m, 9H), 7.06-6.96 (m, 4H), 6.42 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 6.09 (s, 2H), 3.49 (s, 6H), 2.28 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ160.0, 139.7, 139.2, 139.1, 137.92, 137.89, 136.8, 136.3, 133.8, 133.1, 132.7, 130.6, 130.3, 129.8, 128.5, 128.22, 128.17, 128.0, 126.8, 126.2, 108.8, 99.7, 55.1, 21.4; HRMS (DART) m/z calcd for C31H26ClO2S [MH]+: 497.13420, found 497.13378。
合成例4−1で得た化合物4acdの代わりに合成例4−2で得た化合物4bceを使用し、4-クロロフェニルボロン酸の代わりに4-n-ブチルフェニルボロン酸を使用したこと以外は合成例5−1と同様に合成し、四置換チオフェン化合物5bcehを白色固体として得た(42.9 mg, 97 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.20-6.98 (m, 11H), 6.98-6.89 (m, 4H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 2.51 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.22 (s, 3H), 1.53 (quin, J = 7.8 Hz, 2H), 1.27 (sext, J = 7.6 Hz, 2H), 0.89 (t, J = 7.6 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ141.2, 139.9, 139.6, 138.8, 137.8, 136.7, 136.3, 134.0, 133.5, 133.0, 132.9, 130.8, 130.5, 130.3, 129.8, 128.5, 128.1, 128.0, 127.9, 126.7, 126.2, 35.2, 33.4, 22.1, 21.3, 14.0; HRMS (DART) m/z calcd for C33H30ClS [MH]+: 493.17567, found 493.17618。
[合成例6:四置換チオフェンS−オキシド化合物(2)の合成]
合成例6−1:四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdeの合成
20 mLのシュレンク管に磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このシュレンク管に、合成例5−1で得た四置換チオフェン化合物5acde(0.1 mmol, 1.0当量)、及び乾燥CH2Cl2(400μL)を添加した。-20℃まで冷却した後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3・OEt2; 120μL, 1.0 mmol, 10当量)を添加した。混合物を-20℃で1時間撹拌した後、m-クロロ過安息香酸(m-CPBA; 0.1 mmol, 1.0当量)のCH2Cl2(200μL)溶液をゆっくりと(1時間ごとに4回)添加し、さらに得られた混合物を-20℃で1時間撹拌した。飽和Na2S2O3水溶液及び飽和NaHCO3水溶液を添加して反応をクエンチした。混合物をCH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl3=2: 3)により精製し、四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdeを黄色固体として得た(22.0 mg, 39 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.36-7.24 (m, 5H), 7.23-7.17 (m, 2H), 7.14 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.95-6.87 (m, 4H), 1.30 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 152.5, 147.9, 144.1, 142.6, 138.7, 134.4, 134.1, 132.6, 131.6, 131.1, 130.3 (q, 2JCF= 33.5 Hz), 129.9, 129.5, 129.3, 128.77, 128.70, 128.66, 126.9, 125.9, 125.6 (q, 3JCF = 3.9 Hz), 123.8 (q, 1JCF= 270 Hz), 34.8, 31.1; HRMS (DART) m/z calcd for C33H27ClF3OS [MH]+: 563.14232, found 563.14329。
合成例6−2〜6−3:四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdf、四置換チオフェンS−オキシド化合物6bceg、四置換チオフェンS−オキシド化合物6bcehの合成
合成例5−1で得た四置換チオフェン化合物5acdeの代わりに合成例5−2で得た四置換チオフェン化合物5acdfを使用したこと以外は合成例6−1と同様に合成し、四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdfを黄色固体として得た(30.0 mg, 54 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.34-7.30 (m, 4H), 7.25-7.16 (m, 3H), 6.94 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 6.68 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 3.75 (s, 3H), 1.29 (s, 9H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 159.4, 152.0, 146.6, 143.7, 143.3, 139.9, 134.4, 133.0, 131.2, 130.1 (q, 2JCF = 37.2 Hz), 129.9, 129.6, 129.3, 128.53, 128.46, 127.5, 125.7, 125.5 (q, 3JCF = 3.8 Hz), 125.2, 123.9 (q, 1JCF= 276 Hz), 113.8, 55.1, 34.7, 31.1; HRMS (DART) m/z calcd for C34H30F3O2S [MH]+: 559.19186, found 559.19277。
合成例5−1で得た四置換チオフェン化合物5acdeの代わりに合成例5−3で得た四置換チオフェン化合物5bcegを使用し、精製処理を分取薄層クロマトグラフィー(CHCl3)としたこと以外は合成例6−1と同様に合成し、四置換チオフェンS−オキシド化合物6bcegを黄色固体として得た(22.4 mg, 44 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.34-7.28 (m, 3H), 7.28-7.08 (m, 4H), 6.97 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 6.28 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 6.07-6.03 (m, 2H), 3.49 (s, 6H), 2.29 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 160.4, 146.7, 144.4, 141.7, 140.5, 138.3, 134.75, 134.73, 133.3, 130.9, 130.2, 130.1, 129.7, 129.4, 129.1, 128.9, 128.5, 128.45, 128.41, 126.8, 107.7, 101.0, 55.2, 21.4; HRMS (DART) m/z calcd for C31H26ClO3S [MH]+: 513.12912, found 513.12807。
合成例5−1で得た四置換チオフェン化合物5acdeの代わりに合成例5−4で得た四置換チオフェン化合物5bcehを使用し、精製処理を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5: 1)としたこと以外は合成例6−1と同様に合成し、四置換チオフェンS−オキシド化合物6bcehを黄色固体として得た(23.8 mg, 47 %)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.31 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.27-7.06 (m, 9H), 6.97-6.89 (m, 4H), 6.81 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 2.52 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.25 (s, 3H), 1.52 (quin, J = 7.6 Hz, 2H), 1.26 (sext, J = 7.6 Hz, 2H), 0.89 (t, J = 7.6 Hz, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 146.2, 144.3, 143.1, 142.0, 141.0, 138.2, 134.7, 133.2, 130.9, 130.33, 130.27, 129.7, 129.6, 129.5, 129.2, 128.9, 128.4, 128.30, 128.27, 126.9, 35.3, 33.2, 22.1, 21.4, 13.9; HRMS (APCI) m/z calcd for C33H30ClOS [MH]+: 509.1700, found 509.1688。
[合成例7:化合物(3)の合成]
合成例7−1:化合物7aの合成
既報(Org. Lett. 15, 936 (2013))に報告された方法にしたがって4-エチニルアセトフェノンを合成した。
50 mLのシュレンク管に磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このシュレンク管に、4-エチニルアセトフェノン(288 mg, 2.0 mmol, 1.0当量)、4-ヨードピリジン(410 mg, 2.0 mmol, 1.0当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(140 mg, 0.2 mmol, 20 mol%)、銅(I)ヨージド(38 mg, 0.2 mmol, 20 mol%)、トリエチルアミン(836μL, 6.0 mmol, 3.0当量)、及び乾燥THF(10 mL)を窒素気流下に添加した。混合物を室温で3時間撹拌した後、水(30 mL)及びCH2Cl2(20 mL)を添加した。CH2Cl2で抽出した後、有機層をNa2SO4で乾燥させ、揮発性物質を減圧下に除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1: 1)及び再結晶(CHCl3/ヘキサン)により精製し、化合物7aを橙色結晶として得た(196 mg, 44 %)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.64 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 7.97 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.64 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 2.63 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 197.1, 149.9, 136.9, 132.0, 130.7, 128.3, 126.8, 125.5, 92.7, 89.5, 26.6; HRMS (APCI) m/z calcd for C15H12NO [MH]+: 222.09134, found 222.09074。
合成例7−2:化合物7bの合成
[式中、Acはアセチル基;以下同様である。]
50 mLのシュレンク管に磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このシュレンク管に、4-エチニルアセトフェノン(158.3 mg, 1.1 mmol, 1.1当量)、2-ヨードナフタレン(254.6 mg, 1.0 mmol, 1.0当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(35.1 mg, 0.05 mmol, 5 mol%)、銅(I)ヨージド(9.5 mg, 0.05 mmol, 5 mol%)、トリエチルアミン(420μL, 3.0 mmol, 3.0当量)、及び乾燥THF(7 mL)を窒素気流下に添加した。反応混合物を室温で9時間撹拌した後、混合物に水(15 mL)及びCH2Cl2(10 mL)を添加した。CH2Cl2で抽出した後、有機層をNa2SO4で乾燥させ、揮発性物質を減圧下に除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10: 1)及び再結晶(CHCl3/ヘキサン)により精製し、化合物7bを白色結晶として得た(196 mg, 73 %)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.08 (s, 1H), 7.95 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.85-7.81 (m, 3H), 7.65 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 7.59 (dd, J = 8.4 Hz, 1.8 Hz, 1H), 7.53-7.49 (m, 2H), 2.62 (s, 3H)。
[合成例8:化合物(3B)の合成]
合成例8−1:化合物8の合成
既報(Chem. Commun. 46, 931 (2010))に報告された方法にしたがって化合物8を合成した。
[実施例1:化合物(1A)の合成]
実施例1−1:多置換芳香族化合物9a及び多置換芳香族化合物9bの合成
[式中、t−Buはt−ブチル基;以下同様である。]
7 mLのスクリューキャップチューブに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このスクリューキャップチューブに、合成例6−2で得た四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdf(25.5 mg, 0.045 mmol, 1.0当量)、合成例7−1で得た化合物7a(19.9 mg, 0.090 mmol, 2.0当量)、及びメシチレン(300μL)を窒素気流下に添加した。スクリューキャップチューブを160℃で48時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、混合物を真空下に濃縮し、粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2: 1及びヘキサン/CHCl3=1: 2)により精製し、多置換芳香族化合物9aと多置換芳香族化合物9bとの混合物を白色固体として得た(10.5 mg, 32 % (混合物), 9a/9b = 5:4)。多置換芳香族化合物9aと多置換芳香族化合物9bとの混合物の再結晶を6回繰り返した後、多置換芳香族化合物9aを単独の異性体として得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.08 (dd, J = 4.2, 1.8 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.94-6.87 (m, 9H), 6.79-6.76 (m, 2H), 6.72 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.69-6.66 (m, 4H), 6.41 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.61 (s, 3H), 2.44 (s, 3H), 1.13 (s, 9H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 197.6, 157.3, 148.9, 148.7, 148.3, 144.8, 143.8, 141.5, 141.2, 141.1, 139.6, 138.8, 138.2, 137.7, 136.2, 134.6, 132.2, 132.0, 131.4, 131.3, 131.1, 130.7, 127.7 (q, 2JCF= 31.7 Hz), 127.2, 127.0, 126.2, 125.8, 124.0 (q, 1JCF = 270 Hz), 123.9, 123.8 (q, 3JCF = 2.85 Hz), 112.3, 55.0, 34.2, 31.1, 26.4; HRMS (APCI) m/z calcd for C49H41F3NO2[MH]+: 732.30839, found 732.30566。
実施例1−2:多置換芳香族化合物10a及び多置換芳香族化合物10bの合成
7 mLのスクリューキャップチューブに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このスクリューキャップチューブに、実施例1−1で得た化合物9aと化合物9bとの混合物(21.9 mg, 0.03 mmol, 1.0当量)、及びメタノール(1.2 mL)を窒素気流下に添加した。内容物を0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウムのメタノール溶液(300μL, 0.3 M, 0.09 mmol)をゆっくりと添加した。混合物を0.5時間撹拌した後、反応をNaHCO3水溶液でクエンチした。混合物をCH2Cl2で抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた混合物はさらに精製せずに次の工程に使用した。
7 mLのスクリューキャップチューブに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このスクリューキャップチューブに、上記工程で得た物質、及び乾燥CH2Cl2(600μL)を窒素気流下に添加した。内容物を0℃まで冷却し、このスクリューキャップチューブに2,6-ルチジン(17.5μL, 0.15 mmol)、及びt-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TBSOTf: 34.5μL, 0.15 mmol)をゆっくりと添加した。混合物を0.5時間撹拌した後、反応をメタノール(3 mL)でクエンチし、混合物を減圧下に濃縮した。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10: 1)により精製し、多置換芳香族化合物10a(9.0 mg)と多置換芳香族化合物10b(8.8 mg)とを白色固体として得た(70 %)。より極性の高い化合物が多置換芳香族化合物10aであり、より極性の低い化合物が多置換芳香族化合物10bである。多置換芳香族化合物10aの構造はX線結晶構造解析で決定した。なお、多置換芳香族化合物10aのX線結晶構造を図1に示す。
多置換芳香族化合物10a:
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.05 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 7.08 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.92-6.86 (m, 8H), 6.80-6.77 (m, 3H), 6.73-6.67 (m, 8H), 6.40 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 4.58 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 3.60 (s, 3H), 1.19 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.13 (s, 9H), 0.80 (s, 9H), -0.12 (s, 3H), -0.25 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ157.2, 149.2, 148.7, 147.9, 144.9, 144.3, 141.1, 140.8, 140.5, 140.0, 139.5, 139.2, 137.9, 137.8, 136.5, 132.3, 132.2, 131.6, 131.5, 131.2, 130.9, 130.8, 130.7, 127.3 (q, 2JCF = 33.0 Hz), 126.9, 126.5, 125.6, 124.2, 124.1 (q, 1JCF = 271 Hz), 124.0, 123.8, 123.5, 112.2, 70.6, 55.0, 34.2, 31.2, 27.0, 25.8, 18.2, -4.79, -5.16 (3JCF: not detected); HRMS (APCI) m/z calcd for C55H57F3NO2Si [MH]+: 848.41052 found 848.40628。
多置換芳香族化合物10b:
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.07 (d, J = 5.4 Hz, 2H), 7.14 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.93 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.91-6.76 (m, 9H), 6.73-6.64 (m, 8H), 6.40 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.59 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 3.61 (s, 3H), 1.17 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.10 (s, 9H), 0.81 (s, 9H), -0.11 (s, 3H), -0.22 (s, 3H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ157.2, 149.0, 148.13, 148.08, 144.5, 144.0, 141.8, 141.1, 140.5, 140.3, 139.8, 138.11, 138.06, 137.1, 136.8, 132.4, 132.3, 131.5, 131.2, 130.84, 130.79, 127.8 (q, 2JCF = 33.0 Hz), 127.0, 126.4, 125.6, 124.0 (q, 1JCF= 270 Hz), 123.84 (3JCF: not detected), 123.78, 123.5, 123.4, 112.20, 112.17, 70.7, 55.0, 34.1, 31.1, 27.1, 25.8, 18.2, -4.6, -5.2; HRMS (APCI) m/z calcd for C55H57F3NO2Si [MH]+: 848.41052 found 848.40868。
実施例1−3:多置換芳香族化合物11a及び多置換芳香族化合物11bの合成
合成例6−2で得た四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdfの代わりに合成例6−1で得た四置換チオフェンS−オキシド化合物6acde(15.6 mg, 0.028 mmol)を使用し、合成例7−1で得た化合物7aの代わりに合成例7−2で得た化合物7bを使用し、メシチレンの量を190μLとし、精製処理を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3: 1)としたこと以外は実施例1−1と同様に合成し、多置換芳香族化合物11a及び多置換芳香族化合物11bを混合物として得た(6.8 mg, 31 %)。
[実施例2:化合物(1B)の合成]
実施例2−1:多置換芳香族化合物12の合成
20 mLのシュレンクフラスコに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。この容器に、合成例6−2で得た四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdf(25.5 mg, 0.045 mmol, 1.0当量)、2-(トリメチルシリル)フェニルトリフルオロメタンスルホネート(32.7μL, 0.135 mmol, 3.0当量)、及びTHF(450μL)を窒素気流下に添加した。内容物を0℃まで冷却し、このフラスコにテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(200μL, 1.0 M, 0.2 mmol)を添加した。得られた混合物を室温まで昇温し、1時間撹拌した後、混合物に水(1 mL)を添加した。CH2Cl2で抽出した後、有機層をNa2SO4で乾燥させ、揮発性物質を減圧下に除去した。粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/CH2Cl2=3: 2)により精製し、多置換芳香族化合物12を白色固体として得た(22.5 mg, 85 %)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.72-7.70 (m, 1H), 7.52-7.48 (m, 2H), 7.42-7.38 (m, 2H), 7.33 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.26 (dd, J = 6.6, 2.4 Hz, 2H, overlapping with the peak of CHCl3), 7.10 (dd, J = 6.6, 1.8 Hz, 2H), 6.90-6.84 (m, 3H), 6.82-6.78 (m, 2H), 6.70 (dd, J = 6.6, 2.4 Hz, 2H), 6.40 (dd, J = 6.9, 2.4 Hz, 2H), 3.60 (s, 3H), 1.30 (s, 9H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 157.1, 149.2, 143.8, 140.2, 139.4, 139.2, 138.5, 136.6, 136.3, 132.7, 132.3, 132.2, 131.6, 131.5, 131.2, 130.8, 128.5 (q, 2JCF = 33.2 Hz), 127.3, 126.8, 126.3, 126.0, 125.9, 125.6, 124.5 (q, 3JCF = 2.9 Hz), 124.4, 124.3 (q, 1JCF= 273 Hz), 112.1, 55.0, 34.4, 31.3; HRMS (APCI) m/z calcd for C40H34F3O [MH]+: 587.25563, found 587.25334。
実施例2−2:多置換芳香族化合物13の合成
7 mLのスクリューキャップチューブに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このスクリューキャップチューブに、合成例6−2で得た四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdf(25.5 mg, 0.045 mmol, 1.0当量)、合成例8で得た化合物8(ジベンゾ[a, e]シクロオクチン)(18.0 mg, 0.09 mmol, 2.0当量)、及びm-キシレン(450μL)を窒素気流下に添加した。このフラスコを100℃で16時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、混合物を真空下に濃縮し、粗生成物を分取薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl3=2: 1)により精製し、多置換芳香族化合物13を白色固体として得た(14.1 mg, 44 %)。
1H NMR (600 MHz, C2D2Cl4, 146℃): δ 7.14 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.06 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.01-6.75 (m, 15H), 6.72-6.63 (m, 4H), 6.45 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.62 (s, 3H), 3.35-3.23 (m, 2H), 3.03-2.94 (m, 2H), 1.17 (s, 9H); 13C NMR (150 MHz, C2D2Cl4, 146℃): δ 157.4, 148.2, 144.6, 141.0, 140.9, 140.8, 140.7, 140.62, 140.59, 140.3, 140.2, 139.3, 139.0, 137.8, 137.2, 133.1, 132.3, 131.3, 130.9, 130.3, 130.2, 128.5, 128.3, 127.5 (q, 2JCF= 31.7 Hz), 126.4, 126.3, 126.0, 125.2, 124.6, 124.5, 124.1 (q, 1JCF = 274 Hz), 123.1, 123.0, 112.4, 55.1, 33.78, 33.75, 33.73, 30.9 (3JCF: not detected); HRMS (APCI) m/z calcd for C46H34F3O [M-C4H8]+: 659.25563, found 659.25314。
[実施例3:化合物(1C)の合成]
実施例3−1:多置換芳香族化合物14a及び多置換芳香族化合物14bの合成
7 mLのスクリューキャップチューブに磁気撹拌子を入れ、真空下にフレームドライし、室温まで冷却した後に窒素を充填した。このスクリューキャップチューブに、合成例6−2で得た四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdf(0.03 mmol, 1.0当量)、及び3-シアノピリジン(300μL, 3.0 mmol)を窒素気流下に添加した。このフラスコを160℃で24時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、混合物を分取薄層クロマトグラフィーにより精製し、多置換芳香族化合物14a(1.6 mg)と多置換芳香族化合物14b(1.6 mg)とを合計収率17 %で得た。より極性の高い化合物が多置換芳香族化合物14aであり、より極性の低い化合物が多置換芳香族化合物14bである。多置換芳香族化合物14aの構造はX線結晶構造解析で決定した。なお、多置換芳香族化合物14bのX線結晶構造を図2に示す。
多置換芳香族化合物14a:
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.50 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.50-7.45 (m, 3H), 7.41 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 7.8 Hz, 4.8 Hz, 1H), 7.08-7.01 (m, 3H), 6.98 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.89-6.85 (m, 2H), 6.78 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.65 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.47 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 3.64 (s, 3H), 1.18 (s, 9H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 158.8, 157.9, 156.2, 155.1, 150.2, 149.1, 148.9, 144.4, 137.9, 135.4, 135.3, 134.6, 131.6, 131.2, 130.6, 130.5, 129.8, 129.1 (q, 2JCF = 31.7 Hz), 127.7, 126.6, 124.8, 124.4, 124.2 (q, 1JCF = 271 Hz), 124.1, 122.0, 112.5, 55.0, 34.3, 31.2 (3JCF: not detected); HRMS (APCI) m/z calcd for C40H34F3N2O [MH]+: 615.26177 found 615.25989。
多置換芳香族化合物14b:
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.35 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.63-7.58 (m, 2H), 7.32 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.23-7.18 (m, 4H), 7.12-7.08 (m, 1H), 7.02 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.98-6.93 (m, 3H), 6.79 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.77-6.72 (m, 2H), 6.56 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 3.69 (s, 3H), 1.26 (s, 9H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 158.6, 158.0, 157.2, 155.0, 150.5, 150.3, 148.5, 142.4, 137.65, 137.56, 135.9, 134.4, 132.7, 132.3, 131.3, 130.3, 129.8, 128.0 (q, 2JCF = 31.7 Hz), 127.2, 126.5, 124.8, 124.6, 124.1 (q, 1JCF = 270 Hz), 123.9 (q, 3JCF= 2.85 Hz), 122.2, 113.0, 55.0, 34.5, 31.2; HRMS (APCI) m/z calcd for C40H34F3N2O [MH]+: 615.26177 found 615.26088。
実施例3−2:多置換芳香族化合物15a及び多置換芳香族化合物15bの合成
四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdfの量を5.6 mg, 0.01 mmolとし、2-シアノピリジンの代わりに4-メチルベンゾニトリル(145 mg, 1 mmol)を使用し、加熱温度を160℃から230℃としたこと以外は実施例3−1と同様に合成し、多置換芳香族化合物15a(0.5 mg)及び多置換芳香族化合物15b(0.5 mg)の混合物を合計収率16 %として得た。
実施例3−3:多置換芳香族化合物16a及び多置換芳香族化合物16bの合成
四置換チオフェンS−オキシド化合物6acdfの量を5.6 mg, 0.01 mmolとし、2-シアノピリジンの代わりに4-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(171 mg, 1 mmol)を使用したこと以外は実施例3−1と同様に合成し、多置換芳香族化合物16a及び多置換芳香族化合物16bを混合物として得た(0.7 mg, 10 %(混合物))。

Claims (5)

  1. 一般式(1A):
    [式中、R1a〜R6aはいずれも異なり、それぞれパラ位で置換されていてもよいフェニル基である。]
    、一般式(1B):
    [式中、R1b〜R4bはいずれも異なり、それぞれパラ位で置換されていてもよいフェニル基であるか、又はヘテロアリール基である;Aは環である。]
    、又は一般式(1C):
    [式中、R1c〜R5cはいずれも異なり、それぞれパラ位をハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はアミノ基で置換されていてもよいフェニル基であるか、又はヘテロアリール基である。]
    で示される、多置換芳香族化合物。
  2. 前記一般式(1B)において、前記R1b〜R4bはいずれも異なり、それぞれパラ位で置換されていてもよいフェニル基であるか、又は単環ヘテロアリール基であり、前記一般式(1C)において、前記R1c〜R5cはいずれも異なり、それぞれパラ位をハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はアミノ基で置換されていてもよいフェニル基であるか、又は単環ヘテロアリール基である、請求項1に記載の多置換芳香族化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の多置換芳香族化合物の製造方法であって、
    一般式(2):
    [式中、R〜Rはいずれも異なり、それぞれパラ位で置換されていてもよいフェニル基であるか、又はヘテロアリール基である。]
    で示される四置換チオフェンS−オキシド化合物と、
    一般式(3):
    R≡C−R
    [式中、Rは窒素原子又は≡(C−R)で示される基;R及びRは異なり、それぞれパラ位で置換されていてもよいフェニル基であるか、又はヘテロアリール基である;R及びRはR〜Rのいずれとも異なる;RとRは結合して環を形成してもよい。]
    で示される化合物とを反応させる工程
    を備える、製造方法。
  4. 前記一般式(3)で示される化合物が、
    一般式(3A):
    6a−C≡C−R5a
    [式中、R5a及びR6aは異なり、それぞれパラ位で置換されていてもよいフェニル基であるか、又はヘテロアリール基である;R5a及びR6aはR〜Rのいずれとも異なる。]
    で示される化合物、
    一般式(3B):
    [式中、A’は三重結合を有する環である。]
    で示される化合物、又は
    一般式(3C):
    N≡C−R5c
    [式中、R5cパラ位をハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、シリル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はアミノ基で置換されていてもよいフェニル基であるか、又はヘテロアリール基である;R5cはR〜Rのいずれとも異なる。]
    で示される化合物である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記一般式(2)で示される四置換チオフェンS−オキシド化合物が、一般式(4):
    [式中、R〜Rはいずれも異なり、それぞれパラ位で置換されていてもよいフェニル基であるか、又はヘテロアリール基である。]
    で示される四置換チオフェン化合物を酸化させる工程により得られる、請求項3又は4に記載の製造方法。
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