JP6709444B2 - 播種方法及び播種装置 - Google Patents
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Description
ここで、特許文献1には、発芽、発根の効率がよく、収穫物に異物が付着し難い播種方法を提供することを目的として、土壌表面に通根性シート(不織布、編み目状の樹脂、又は線維性シート)を被覆し、シートの一部をV字状に折り込むとともに土壌中に埋め込み、形成されたV字状折り込み部の底部に種子を挿入し、開口部を押圧して開口幅を縮小する播種方法が開示されている。また、シートガイドを通してシートを土壌表面に被覆し、折込形成ローラ、播種手段、種子押込ローラ、閉口ローラの順に動作することで、当該播種方法を一工程で行う播種装置が開示されている。
また、特許文献2には、播種後の雑草の発生や病虫害を抑制することを目的として、トラクタ等により牽引される播種装置を用いて畑土表面に溝を形成し、溝に床土を流し込んで床土層を形成し、種子を床土層の上に播種し、さらに覆土を流し込んでローラで鎮圧して覆土層を形成する播種方法が開示されており、床土及び覆土に焼土を用いることによって雑草や病虫害を抑制している。
特許文献2の播種方法は、雑草や病虫害を、焼土で構成される溝域内は抑制できたとしても、溝域外は抑制できない。畑は、溝域内よりも溝域外の占める領域の方が大きいため、雑草害を防ぐ効果に乏しい。さらに、飛来した雑草種子が土に着床することによる雑草害が生じ得る。また、溝に封入する土の量は、1条100m当たり30〜500リットル(51〜850kg)であるため、小径の溝であればホッパー内に土を確保できるが、大径の溝の場合にはホッパー内に土を確保できず、実現可能性が低い。
請求項2記載の本発明の播種装置は、ロール状のマルチフィルムシートを装着するシート畦立て被覆部と、畑土壌の表面に被覆した前記マルチフィルムシートを押圧して播種溝を形成する作溝部と、前記播種溝に播種する播種部と、真正土を貯えるホッパーと、播種した前記播種溝に前記ホッパー内の前記真正土を導入する覆土部と、前記播種溝に導入した前記真正土を鎮圧する鎮圧部とを備え、前記作溝部は、ドラムと、前記ドラム外周に設けたリング状の凸部とを有し、前記ドラムが、被覆した前記マルチフィルムシート上で回転することで、前記凸部で前記マルチフィルムシートを押圧して前記播種溝が形成され、前記播種溝と前記畑土壌との導水性を確保するとともに前記畑土壌への根の伸長を妨げない穴又はスリットを前記マルチフィルムシートに形成する導通口形成部を有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の播種装置において、前記鎮圧部は、前記覆土部から落下させた前記真正土を前記播種溝に導く誘導部と、前記誘導部で前記播種溝に導いた前記真正土を押圧する鎮圧ローラとを有し、前記誘導部は、前記覆土部側を広く、前記鎮圧ローラ側を狭く配置した一対の誘導材で構成し、前記鎮圧ローラのローラ幅を、前記凸部の幅より広く、前記ドラムのドラム幅よりも狭くしたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の播種装置において、前記播種部、前記覆土部、前記誘導部、及び前記鎮圧ローラを複数組設け、隣り合う前記鎮圧ローラの間には、前記鎮圧ローラで前記マルチフィルムシートを押圧しない空間を形成していることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の播種装置において、前記播種部は、水溶性シードテープを導出することを特徴とする。
図1は本実施例による播種装置の側面図、図2は同播種装置の一部拡大背面図、図3は同播種装置の一部拡大斜視図、図4(a)は同播種装置の作溝部により形成された播種溝の断面を模式的に示す図、図4(b)は本実施例による播種方法の工程説明図である。
次に、被覆したマルチフィルムシート6の上から畑土壌2を押圧して播種溝3を形成する(図4(b)[ii])。播種溝3は、断面が矩形であり、深さ3cm、幅2cm程度に形成することが好ましい。
次に、種子4を内包した水溶性シードテープを播種溝3に播種する(図4(b)[iii])。
次に、播種した播種溝3に、有機的狭雑物が混入していない山土や火山灰土などの真正土5を導入する(図4(b)[iv])。
最後に、真正土5を押さえつけて鎮圧する(図4(b)[v])。
また、播種溝3だけに真正土5を用いるため、限られた真正土5の量で雑草が生えることを防止できる。播種溝3に封入する真正土5の量は、1条100m当たり60リットル(102kg)となる。
また、鎮圧することで播種溝3内の真正土5の乾燥と飛散が防止され、水溶性シードテープによって種子4の水分保持を担保しているため、発根を促すことができる。
また、マルチフィルムシート6のうち播種溝3を被覆する部分にはスリットが形成されているため、このスリットが畑土壌2への導通口となり、溝内土壌への水分の供給と根の伸長に支障を及ぼすことはない。
本実施例による播種装置10は、トラクタ等の牽引車両1の後部に接続される。播種装置10は、牽引車両1の三点リンクヒッチ11に直に装着される。従って、圃場端での旋回時には、三点リンクヒッチ11に接続されたリフトアームを上昇させることによって容易に播種装置10を畑土壌面から離すことができる。なお、三点リンクヒッチ11は、1本の上部リンクと2本の下部リンクからなり、それぞれの下部リンクはリフトロッド(上げ棒)で左右別々にリフトアームにより懸架される。本実施例による播種装置10は3条用である。なお、以下の説明において、播種装置10は、牽引車両1に接続される側を前側、反接続側を後側とする。
播種装置10は、ロール状のマルチフィルムシート6を装着するシート畦立て被覆部20と、畑土壌2の表面に被覆したマルチフィルムシート6を押圧して播種溝3を形成する作溝部30と、播種溝3に播種する播種部40と、真正土5を貯えるホッパー(じょうご槽)50と、播種した播種溝3にホッパー50内の真正土5を導入する覆土部60と、播種溝3に導入した真正土5を鎮圧する鎮圧部70とを備える。
ホッパー50は、播種装置10の上部に配置されている。シート畦立て被覆部20、作溝部30、播種部40、覆土部60、及び鎮圧部70は、播種装置10の下部に配置され、播種装置10が牽引車両1の後部に接続されているときに、シート畦立て被覆部20が最も牽引車両1に近く、その後に作溝部30、播種部40、覆土部60、鎮圧部70の順となるように配置されている。
また、播種装置10は、左右両側に車輪80とフレーム90を有する。車輪80は、左右一対の定規輪82と、定規輪82よりも後方に配置された左右一対の覆土輪81とからなる。覆土輪81のトレッド(左右の車輪間隔)と定規輪82のトレッドとはほぼ等しい。覆土輪81によって、マルチフィルムシート6の両端部のすそを土中に納め、マルチフィルムシート6が畑土壌面に密着し剥がれないようにする。定規輪82によって、地面からの設定高さが保たれる。
フレーム90は、車輪80よりも内側で車輪80の中心よりも上方に、左右一対で設けられる。フレーム90は播種装置10が牽引車両1に牽引されている状態において略水平であり、前端がシート畦立て被覆部20と作溝部30との間に位置し、後端が鎮圧部70よりも後方に位置する。
図2及び図3に示すように、フレーム90の中間部には、フレーム90に直交する桟91が設けられている。桟91は、一端が一方のフレーム90に接続され、他端が他方のフレーム90に接続されている。
マルチフィルムシート6を畑土壌2に被覆する際は、マルチフィルムシート6を覆土部60まで引き出し、シート畦立て被覆部20と覆土部60との間に位置する作溝部30のドラム31で押さえる。この状態で牽引車両1を走行させると、ドラム31の転動によってマルチフィルムシート6が畑土壌2の表面に引き出される。
ドラム31は、左右の車輪80の間に設けられており、播種装置10が牽引車両1に牽引されて移動するときに下部が畑土壌2と接触することによって回転する。
凸部32は、3条の畦に対応するようにドラム31の両側2カ所(第一凸部32A、第三凸部32C)と中央1カ所(第二凸部32B)に設けられている。播種装置10を後方視したときに左側が第一凸部32A、中央が第二凸部32B、右側が第三凸部32Cであり、各々の高さは約3cm、幅は約2cmである。
被覆されたマルチフィルムシート6上をドラム31が回転しながら押圧していくことにより、作溝部30が通過した後には、図4(a)に示すように、凸部32の形状と寸法に応じた播種溝3が形成される。このように、ドラム31の外周にリング状の凸部32を設けることによって、溝付けを容易に行うことができる。
播種部40には種子4を内包した水溶性シードテープがロール状に巻かれた状態で装着され、水溶性シードテープは播種部40によって播種溝3の中に導入される。水溶性シードテープの使用により種子4の水分保持が担保され、発根を促すことができる。なお、図1から図3は、水溶性シードテープが装着される前の状態を示している。
ホッパー50に貯留された真正土5は覆土部60を介して播種溝3に繰り出され、播種溝3は真正土5によって埋められる。
誘導部71は、覆土部60側を広く鎮圧ローラ72側を狭く配置した、一対の棒状の誘導材71aで構成されている。一対の誘導材71aで真正土5を播種溝3に導くことで、播種溝3の域外に真正土5が残ることを少なくできる。
鎮圧ローラ72のローラ幅は、凸部32の幅より広く、ドラム31のドラム幅よりも狭く設定されている。また、隣り合う鎮圧ローラ72の間には、鎮圧ローラ72でマルチフィルムシート6を押圧しない空間が形成されている。これにより、播種溝3の域外に残った真正土5は上から押圧されないために、マルチフィルムシート6上から飛散しやすく、播種溝3の域外に残った真正土5に雑草種子が飛来して発芽することを防止できる。
保持部73は、桟91から後方に向けて水平に配置された上方アーム73aと、桟91から斜め下後方に向けて配置された斜方アーム73bと、斜方アーム73bの後端から後方に向けて水平に配置された下方アーム73cと、補助アーム73dとを有する。上方アーム73aの前端及び斜方アーム73bの前端は、桟91に接続されている。下方アーム73cの前端は、斜方アーム73bの後端に接続されている。補助アーム73dの一端は斜方アーム73bの後端に接続され、他端は上方アーム73aの後端に接続されている。
下方アーム73cの前端側には、左右両側へ水平に突出させた水平部の両端部から鉛直下方に延出した鉛直部に誘導部71を接続して保持する誘導部保持具74が設けられている。
下方アーム73cの後端側には、左右両側へ水平に突出させた水平部の両端部から鉛直下方に延出した鉛直部に鎮圧ローラ72を接続して回転可能に保持する鎮圧ローラ保持具75が設けられている。
覆土後の鎮圧を十分に実施しないと播種溝3内の土壌が乾いて種子4が発芽しないばかりか、土壌が飛ばされるおそれがある。本実施例による播種装置10は、上記のように構成された鎮圧部70によって、覆土鎮圧を確実に行うことができる。
導通口形成部は、例えば回転刃である。導通口形成部は、作溝部30の直後に設けても良いが、予めスリットが設けられているスリットタイプのマルチフィルムシート6の状態に近似させるために、作溝部30の直前に設けることが好ましい。
3 播種溝
5 真正土
6 マルチフィルムシート
10 播種装置
20 シート畦立て被覆部
30 作溝部
31 ドラム
32 凸部
40 播種部
50 ホッパー
60 覆土部
70 鎮圧部
71 誘導部
71a 一対の誘導材
72 鎮圧ローラ
Claims (5)
- マルチフィルムシートで畑土壌の表面を被覆する被覆工程と、
前記被覆工程で被覆した前記マルチフィルムシートを押圧して播種溝を形成する作溝工程と、
前記作溝工程で形成した前記播種溝に播種する播種工程と、
前記播種工程で播種した前記播種溝に土を導入する覆土工程と、
前記覆土工程で導入した前記土を鎮圧する鎮圧工程と
を有し、
前記マルチフィルムシートには、前記畑土壌との導水性を確保する穴又はスリットが形成され、
前記穴又は前記スリットを、前記播種溝に位置させ、
前記播種工程では、水溶性シードテープを用い、
前記覆土工程で導入する前記土として、有機的夾雑物が混入していない、山土や火山灰土などの真正土を用い、
前記穴又は前記スリットによって、前記畑土壌から前記真正土への水分の供給と、前記畑土壌への根の伸長を妨げない
ことを特徴とする播種方法。 - ロール状のマルチフィルムシートを装着するシート畦立て被覆部と、
畑土壌の表面に被覆した前記マルチフィルムシートを押圧して播種溝を形成する作溝部と、
前記播種溝に播種する播種部と、
真正土を貯えるホッパーと、
播種した前記播種溝に前記ホッパー内の前記真正土を導入する覆土部と、
前記播種溝に導入した前記真正土を鎮圧する鎮圧部と
を備え、
前記作溝部は、ドラムと、前記ドラム外周に設けたリング状の凸部とを有し、
前記ドラムが、被覆した前記マルチフィルムシート上で回転することで、前記凸部で前記マルチフィルムシートを押圧して前記播種溝が形成され、
前記播種溝と前記畑土壌との導水性を確保するとともに前記畑土壌への根の伸長を妨げない穴又はスリットを前記マルチフィルムシートに形成する導通口形成部を有する
ことを特徴とする播種装置。 - 前記鎮圧部は、前記覆土部から落下させた前記真正土を前記播種溝に導く誘導部と、前記誘導部で前記播種溝に導いた前記真正土を押圧する鎮圧ローラとを有し、
前記誘導部は、前記覆土部側を広く、前記鎮圧ローラ側を狭く配置した一対の誘導材で構成し、
前記鎮圧ローラのローラ幅を、前記凸部の幅より広く、前記ドラムのドラム幅よりも狭くした
ことを特徴とする請求項2に記載の播種装置。 - 前記播種部、前記覆土部、前記誘導部、及び前記鎮圧ローラを複数組設け、
隣り合う前記鎮圧ローラの間には、前記鎮圧ローラで前記マルチフィルムシートを押圧しない空間を形成している
ことを特徴とする請求項3に記載の播種装置。 - 前記播種部は、水溶性シードテープを導出する
ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の播種装置。
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