JPH05276804A - 同時に施肥を行う種紐播種方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 同時に施肥を行う種紐播種方法およびその装
置を提供する。 【構成】 前記方法を実施する装置は、牽引または押さ
れて圃場を移動する本体の枠１５と，鋤８と，肥料ホッ
パ５と，第１の覆土手段９と，種紐リール７および案内
手段からなる種紐供給手段と，第２の覆土手段１０とを
含むものである。前記鋤８は前記本体枠１５の前進によ
り圃場に一定の深さの畝溝を形成する。前記肥料ホッパ
５は前記鋤８の後方に落下口をもち前記本体枠の前進に
応じて前記畝溝の底に間欠的または連続的に肥料を落下
する。前記第１の覆土手段９は前記落下口に近接して後
方に設けられ前記本体枠１５の前進に応じて前記肥料の
上に一定厚さの第１の覆土を行う。前記種紐供給手段の
案内手段は前記第１の覆土の上に種紐２を案内し前記本
体枠１５の前進に応じて前記肥料の上に前記第１の覆土
上に種紐２を供給する。前記第２の覆土手段１０は前記
本体枠の前進に応じて前記種紐２の上に覆土を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、同時に施肥を行う種紐
播種方法およびそのための同時施肥を行う播種装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来の種紐の播種方法においては、施肥
は播種前に圃場の表面に全面的に散布しロータリー等で
攪拌し、その後播種を行っていた。この方法によれは、
大量に投入された肥料の大部分は利用されず、流出等に
逸失させられるものが多い。肥料の利用効率の面から、
また流失された肥料が河川を汚染する恐れがあるとして
問題にされている。これに対して、農作物の根の近傍に
のみ肥料を配置することにより利用効率を上げようとす
る試みは古くからなされおり、一部は壺蒔きとして知ら
れている。近年前記一般的な方法とは別にまたはそれら
と併用できる技術として、種紐や種子テープに肥料など
を含浸させたり、塗布したりして種子の近傍に肥料等を
配置する提案もある。また種紐を自動的に埋設して播種
するための機械についての提案が成されている。

【０００３】播種用種紙の発明（特公昭３１−２０５３
号）は種子を挟むテープに植物性ホルモンやビタミン材
を含ませる例を示している。また本件出願人の出願に係
る播種紙布の発明（特公昭４４−３４１号）には、水溶
性のビニール樹脂に、その水溶性のビニールフイルムを
不溶化させない農薬あるいは肥料を適宜量添加した植物
種紐を製造する技術が示されている。同じく本件出願人
の先の出願に係る発明（特公平３−４８７６５号）には
播種テープ埋設輪およびその播種テープ埋設輪を用いた
播種テープ埋設機の発明が示されている。また種子ホッ
パを人力で押したり、あるいはトラクタにより牽引しな
がら圃場に直接播種を行う自動種蒔き装置も知られてい
る。

【０００４】種々の実験、および野菜栽培農家の体験か
ら、多くの野菜，特に根菜類において前述した種紐中に
肥料を巻きこんだり、テープに肥料等を含浸させること
が、必ずしも最適でないこと、および播種と同時に施肥
を行う多くの場合肥料成分は当初種子の下側の適当な深
さ位置に埋設することが好ましことはすでに知られてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は種紐を
用いて播種を行う場合において、播種と同時に理想的な
深さに施肥を自動的に行う方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は前記播種と同時に施肥を行う
ことができる装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明による同時に施肥を行う種紐播種方法は、種
子を一定間隔で巻き込んだ種紐を製造しリールに巻き連
続供給可能に播種装置に保持する種紐準備工程と、前記
播種装置の移動に連動して圃場に一定の深さの畝溝を形
成する畝溝形成工程と、前記工程に連動して前記溝に肥
料を一定の間隔または均一に配置する施肥工程と、前記
施肥工程に連続して所定量の覆土をする覆土工程と、前
記覆土工程に引き続いて覆土された上に種紐を伸展覆土
する播種覆土工程とから構成されている。

【０００７】前記方法を実施するための本発明による同
時に施肥を行う種紐播種装置は、牽引または押されて圃
場を移動する本体の枠と，鋤と，肥料ホッパと，第１の
覆土手段と，種紐リールおよび案内手段からなる種紐供
給手段と，第２の覆土手段とからなる同時に施肥を行う
種紐播種装置であって、前記鋤は前記本体枠の前進によ
り圃場に一定の深さの畝溝を形成し、前記肥料ホッパは
前記鋤の後方に落下口をもち前記本体枠の前進に応じて
前記畝溝の底に間欠的または連続的に肥料を落下し、前
記第１の覆土手段は前記落下口に近接して後方に設けら
れ前記本体枠の前進に応じて前記肥料の上に一定厚さの
第１の覆土を行い、前記種紐供給手段の案内手段は前記
第１の覆土の上に種紐を案内し前記本体枠の前進に応じ
て前記肥料の上に前記第１の覆土上に種紐を供給し、前
記第２の覆土手段は前記本体枠の前進に応じて前記種紐
の上に覆土を行うように構成されている。

【０００８】

【実施例】以下図面等を参照して本発明による方法およ
び装置をさらに詳しく説明する。図１は本発明による方
法を実施するための同時に施肥を行う種紐播種装置の実
施例を示す略図であって、同図Ａは装置の側面部，同図
Ｂは装置の要素の平面配置図，同図Ｃは播種状態を示す
圃場の断面図である。本体の枠１５には前より下側に鋤
８，枠１５上方に肥料ホッパ５，その後方に種紐２が巻
き付けられている種紐リール７が設けられている。この
種紐２を案内するパイプ状のガイド手段７ａとで種紐供
給手段が形成されている。さらに、前記枠１５の下方向
に第１の覆土手段９，第２の覆土手段１０がこの順で配
置されている。また本体の枠１５はその中央部で枠１４
を支点支持しその後端で従動輪１１を回転可能に支持し
ている。本体の枠１５は、トラクタにより図１左方向
（前方）に牽引されるのであるが、軽量に構成するとき
は作業者が押して進めるように構成することもできる。
前記鋤８は前記本体枠１５の前進により圃場を鋤いて一
定の深さの畝溝を形成する。前記肥料ホッパ５は前記鋤
８の後方に落下口をもち前記本体枠の前進に応じて前記
畝溝の底に間欠的または連続的に肥料４を落下させる。
前記肥料ホッパ５は図示のように逆３角形で下端に定量
排出駒５ａが設けられている。この定量排出駒５ａの回
転を枠１５の前進に連動させることにより、移動量に対
応して肥料４を落下させることができる。この実施例は
この定量排出駒５ａの回転を前記従動輪１１の回転に従
続させるように各軸をチェーン等で連結してある。第１
の覆土手段９は進行線に対称に傾きを保って配置された
２枚の板であり、前記落下口に近接して後方に設けられ
ている。なおこの高さは前記本体枠１５に対して調節可
能であり前記枠１５の前進に応じて前記肥料４の上に一
定厚さの第１の覆土を行う。

【０００９】前記種紐供給手段の案内手段である管７ａ
の先端は後方に曲げられており、その先端は前記第１の
覆土の上に種紐２を供給する高さにあり前記本体枠１５
の前進に応じて前記肥料の上の前記第１の覆土上に種紐
を供給する。シーディングテープまたは種紐の典型的な
形態は、土壌中で容易に崩壊するテープで、種子を一定
間隔に保持し、同様に土壌中で崩壊する糸で巻きまわさ
れた図２のＡに示すロープ状の形状をしている。２ａは
紙パルプ，不織布，ＰＶＡ（ポリビニールアルコール）
等を基材とするテープ、２ｂは糸、２ｃは種である。前
記種紐の製造装置は通常テープ２ａをＶ形に折り曲げて
走行させ、所定の間隔で所定量の種２ｃを落下させたの
ち、糸２ｂで巻くことにより種紐を製造する。このよう
な形態ではなく２枚のテープ２０ａ，２０ｂの中に種２
０ｃを所定の間隔で挟み込むものについても本発明によ
る方法および装置を適用できるものであるから、本発明
において用いるシーダーテープまたは種紐は、種子の発
芽を著しく阻害しない長い媒体中に長手方向に種子を配
列したものを包含する広い意味で用いる。

【００１０】前記第２の覆土手段１０は進行線に対称に
傾きを保って配置された２枚の板であり、その高さや角
度は調節可能であり、前記本体枠１５の進行にしたがっ
て覆土を行う。従動輪１１は、ドラムの周囲に多数の羽
根が設けられている羽根車であり，この羽根車は従動輪
１１の空転を防ぐとともに第２の覆土が行われた後を馴
らす役割を果たしている。良く知られているように、シ
ーダーテープ（種紐）による播種は株間，粒数，覆土に
おいて精密な播種が行えるものである。本発明による方
法によれば前記特徴に加えて、前記播種された種子との
関係で任意の施肥量とその位置を最適な位置関係に調節
することができる。

【００１１】以下前記装置を用いて播種を行ったものと
従来方法による種紐播種の結果について比較説明をす
る。 ○本発明方法の実施例 〔播種日〕（平成３年６月１２日） 〔播種品種〕 ごぼう（品種 柳川理想） 〔畝溝の深さ〕 １２ｃｍ 〔施肥〕 施肥量（主成分）Ｎ−５Kg, Ｐ₂ Ｏ₅ −１４Kg，Ｋ−３
Kg（１０ａ当） これは１ｍ当たり上記配合肥料７０ｇの施肥に相当す
る。 〔第１覆土〕前記肥料の上に１０ｃｍの第１の覆土を行
う。 〔シーダーテープによる播種〕 シーダーテープの種類内容 ホルセロン（HSR-2018）日本プラントシーダ社製 株間：８ｃｍ 粒数：１粒 畝幅：６０ｃｍ 〔播種埋設〕前記シーダーテープに覆土２cmを行う。

【００１２】○前記に対する比較の対象とする例 〔播種日〕，〔播種品種〕，〔畝溝の深さ〕は前記と同
じ、 〔施肥〕土壌に１０ａ当たり１３０Kgの前記肥料を予め
投入してテイラーで表土２０〜４０ｃｍを攪拌して圃場
を造る。なお、ごぼう場合は予め９０〜１００ｃｍのト
レンチを設けておく。 〔第１覆土〕，〔シーダーテープによる播種〕，〔播種
埋設〕は前と同じ つまり、予め大量の肥料を投入して前記本発明方法の施
肥の工程のない播種を行うこと以外は前記実施例と異な
らない。

【００１３】○比較結果の要約 播種後２８日目の抜き取り調査において、本発明による
実施例の方が、根長，葉姿，重量共に約２倍の増加を確
認し、初期の成育は著しく良好で慣行法よりはるかに優
れていた。そのまま追肥をすることもなく順調に成育し
６ケ月にて収穫を行ったが、栽培期間において一ケ月の
短縮になり、収量において２３％の増収となった。施肥
量については慣行法で１０ａ当たり１２０〜１４０Kgを
投入していたが、１００Kgにてすみ、１６〜２８％の節
約ができた。また播種，施肥に費やす作業時間も大幅に
減少し、２〜３時間かかっていたものが約１．５時間で
完了した。以上の結果からシーダーテープによる播種と
同時施肥農業は、著しい効果があったと思われる。

【００１４】

【変形例】以上ごぼうを例にして、詳しい説明を行った
がごぼうのみではなく、他の野菜についても、この方法
を適用することができる。前記肥料の深さ、量等につい
ては土壌の性質野菜の品種等に対応して種々変形するこ
とができる。また前記ホッパに変えてシーダーテープ状
のものの中に種ではなく肥料を包みこみこれを埋設した
上にシーダーテープによる播種を行うようにすることも
できる。

【００１５】

【発明の効果】特に前記方法をごぼうに適用した場合、
特に初期成育が旺盛で播種２５日〜５０日位までの根の
伸びや葉の育ち方には目を見張るものがあった。播種後
４０日〜４５日で葉が畑にいっぱいになる。これにより
雑草の繁茂は抑制され、除草の手間も少なくてすむ。成
育も従来の方法によるものと比較して均一である。収穫
では市場等級のＬ．Ｍ級率がかなり高くなっている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による方法を実施するための同時に施肥
を行う種紐播種装置の実施例を示す略図であって、同図
Ａは装置の側面部、同図Ｂは装置の要素の平面配置図、
同図Ｃは播種状態を示す圃場の断面図である。

【図２】シーダテープの例を示す図である。

【符号の説明】

１ 圃場の表面 ２ 種紐（シーダテープ） ４ 肥料 ５ 肥料ホッパ ７ 種紐リール ８ 鋤 ９ 第１の覆土手段 １０ 第２の覆土手段 １１ 押さえ輪 ２０ テープ状（シーダテープ）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 種子を一定間隔で巻き込んだ種紐を製造
   しリールに巻き連続供給可能に播種装置に保持する種紐
   準備工程と、 前記播種装置の移動に連動して圃場に一定の深さの畝溝
   を形成する畝溝形成工程と、 前記工程に連動して前記溝に肥料を一定の間隔または均
   一に配置する施肥工程と、 前記施肥工程に連続して所定量の覆土をする覆土工程
   と、 前記覆土工程に引き続いて覆土された上に種紐を伸展覆
   土する播種覆土工程とから構成した同時に施肥を行う種
   紐播種方法。
2. 【請求項２】 牽引または押されて圃場を移動する本体
   の枠と，鋤と，肥料ホッパと，第１の覆土手段と，種紐
   リールおよび案内手段からなる種紐供給手段と，第２の
   覆土手段とからなる同時に施肥を行う種紐播種装置であ
   って、 前記鋤は前記本体枠の前進により圃場に一定の深さの畝
   溝を形成し、 前記肥料ホッパは前記鋤の後方に落下口をもち前記本体
   枠の前進に応じて前記畝溝の底に間欠的または連続的に
   肥料を落下し、 前記第１の覆土手段は前記落下口に近接して後方に設け
   られ前記本体枠の前進に応じて前記肥料の上に一定厚さ
   の第１の覆土を行い、 前記種紐供給手段の案内手段は前記第１の覆土の上に種
   紐を案内し前記本体枠の前進に応じて前記肥料の上に前
   記第１の覆土上に種紐を供給し、 前記第２の覆土手段は前記本体枠の前進に応じて前記種
   紐の上に覆土を行うように構成されている同時に施肥を
   行う種紐播種装置。