JP6708909B2 - 伝熱促進体、伝熱促進体の配設方法、伝熱促進体の製造方法、ラジアントチューブ式加熱装置及びラジアントチューブ式熱交換器 - Google Patents
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Description
一般社団法人日本鉄鋼連盟は2009年11月に地球温暖化対策への取組みの考え方を発表し、「エコプロセス」、「エコプロダクト」、「エコソリューション」の3つのエコを柱とする活動を推進しており、更なるエネルギー効率の向上、省エネルギー化を図ることが日本の鉄鋼業全体にとって重要な課題となっている。
焼鈍設備の省エネルギー化の一環として、ラジアントチューブ内の内壁に熱移動を促進するセラミック製の伝熱促進体が設置され始めている。
(1)ラジアントチューブ全体の自重による変形(クリープ現象による変形)
金属焼鈍炉等の熱処理プラントにおいて、ラジアントチューブは700℃から1200℃の高温となる。このような高温化においてはクリープ現象が生じ、ラジアントチューブ全体の荷重によって時間とともにラジアントチューブ本体が変形し、撓みが生じる。よって、伝熱促進体の荷重が大きければ、ラジアントチューブ全体の荷重も大きくなり、ラジアントチューブ本体の撓みが大きくなってしまう。
(2)熱応答性
ラジアントチューブ式加熱装置(ラジアントチューブヒーター)を使用した鉄鋼生産プロセスにおいては、鋼種、鋼板の板厚、ライン速度、加熱炉出口での鋼板の温度などの処理条件の変化に対応するため、加熱炉出側の板温を計測し、この計測値が目標値と一致するように加熱炉の燃焼量を制御している。鋼種、板厚、スピード、目標板温度等の処理条件は頻繁に変更されるので、ラジアントチューブ式加熱装置は処理条件の変化に早く追従可能な熱応答性の速い装置であることが望まれ、熱応答性が遅い装置を使用している場合は、鉄鋼生産ラインの生産性が落ちてしまう。
特許文献2、特許文献3に開示された発明においては、スパイラル形状の案内羽根を使用することや、セラミックハニカム構造の伝熱促進体を使用することでラジアントチューブ本体に熱を効率的に伝熱し省エネ効果を得ることが可能であるが、上述の(1)、(2)の課題に関してはなんら考慮されていない。
このように、伝熱促進体をラジアントチューブに挿入することで熱効率は上昇するが、重い材質で形成されている伝熱促進体を使用すると、ラジアントチューブ鋼管の劣化が早まり、頻繁な取り替え作業が発生して高コスト化を招き、熱応答性が遅いため鉄鋼生産ラインの生産性が悪く、実際に導入することが難しくなってしまう。
本願発明者は、上述の課題に関して鋭意検討した結果、伝熱促進体のカサ比重を小さくすることでラジアントチューブの変形およびラジアントチューブ式加熱装置の熱応答性を改善することが可能であること、そして伝熱促進体を多数の気孔を有する多孔質セラミックスを使用することでカサ比重が小さくかつ熱効率が高い伝熱促進体を提供することが可能であることを見出した。
具体的には、伝熱促進体の表面形状、フィンの枚数、螺旋形状のねじり角度、断面形状等、様々な形状の伝熱促進体を使用してラジアントチューブ内壁の熱流束に関して解析および実証実験を行なった結果、伝熱促進体の外表面の凹凸形状および溝によってラジアントチューブ内壁の熱流束量が変化して熱効率が上昇することを見出し、さらに多孔質セラミックス内部の気孔の量や気孔の孔径を調整するだけで簡単にカサ比重が小さくかつ熱効率が高い伝熱促進体を提供することができることを突き止めた。
物体の温度を上げるのに必要な熱量(熱容量)は、その物体の比熱、質量、上昇温度の乗算で求められるため、質量が重い物体ほど物体の温度を上昇させるための熱量がより多く必要となり、熱応答性が遅くなる。よって、ラジアントチューブ内部で体積が同じ伝熱促進体を使用する場合は、物体の質量(カサ比重)を小さくすることによって、熱応答性を向上することが可能となる。
ここで、「熱応答性」とは伝熱促進体の周囲温度をT1からT2に変化させたときに伝熱促進体の温度がT1からT2に至るまでの速さを表したものである。
伝熱促進体のカサ比重が0.2よりも小さいと、伝熱促進体に多数の気孔が形成されるため壊れやすく高温下での熱処理プラントでは急速に劣化および摩耗しやすくなり、一方、カサ比重が0.8よりも大きくなると、伝熱促進体が重くなりラジアントチューブの変形を引き起こし熱応答性が遅くなってしまう。現状のカサ比重0.9の伝熱促進体では、操業条件の切り替えが多いほど熱応答性が遅いため所定時間内での切り替えが難しい。本発明によれば、伝熱促進体のカサ比重を0.2以上0.8以下とすることによって、急速な劣化、摩耗およびラジアントチューブの変形を防ぎ、熱応答性が早い伝熱促進体を提供することが可能となる。
従来、伝熱促進体として使用される多孔質セラミックスは伝熱促進体の重量や耐久性を考慮して気孔率を決定しており、気孔の孔径を考慮して伝熱促進体を形成するという観点はなかった。
本願出願人は、気孔の孔径に着目し、伝熱促進体の外表面および内部にミリメートルオーダーの気孔を形成することで、本発明の伝熱促進体が軽量かつ燃焼ガスの乱流を促進することが可能であることを発明した。
本発明によれば、伝熱促進体の外表面および内部に孔径が0.1〜10mmの大気孔と、孔径が大気孔よりも小さい小気孔が多数形成されているため伝熱促進体が軽量化し、ラジアントチューブ全体の自重による変形を防ぎ、熱応答性に優れたラジアントチューブ式加熱装置を提供することが可能となる。
また本発明によれば、孔径の異なる大気孔と小気孔が伝熱促進体の外表面全体に分布形成されているため、外表面に多数の凹凸が形成される。外表面の多数の凹凸はラジアントチューブ内部に燃焼ガスの乱流を促進し、ラジアントチューブ内壁の熱流束量が変化して、ラジアントチューブ式加熱装置の熱効率を高めることができる。
大気孔の孔径が0.1mmよりも小さいと、外表面の凹凸による燃焼ガスの乱流効果が小さくなり、熱効率を充分に高めることができなくなる。一方、大気孔の孔径が10mmよりも大きいと、伝熱促進体自体の強度が小さくなり、伝熱促進体の使用時にフィンに欠けが生じたり、摩耗しやくなる。大気孔の孔径を0.1〜10mmとすることで、耐久性および熱効率が優れた伝熱促進体を提供することが可能となる。
また、本発明によれば、伝熱促進体が多孔質セラミックスで形成することにより、伝熱促進体の外表面および内部に大気孔、小気孔を簡単に形成することができ、伝熱促進体の軽量化と伝熱促進体外表面の凹凸による熱効率の向上という二つの効果を容易に実現することが可能となるうえ、伝熱促進体は加工性に優れ低コストとなり、配送、交換が容易で、かつ前記伝熱促進体の製造コストを削減することが可能となる。
ここで算術平均粗さRaとは、対象物の表面から抜き取った各部分における表面粗さを表すパラメータであり、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、(数1)によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
本発明によれば、外表面の算術平均粗さが300μm以上であるため、外表面に形成される気孔の深さが深くなり、より燃焼ガスが気孔に入り込み、乱流を発生させ燃焼効率が向上する。
本発明によれば、前記伝熱促進体の外表面に前記伝熱促進体の中心から前記フィンの先端に向かって放射状に溝が形成されているため、ラジアントチューブ内部においては、伝熱促進体の外表面に形成された多数の凹凸および外表面に形成された溝に燃焼ガスが衝突し、さらに燃焼ガスの乱流を発生させ、熱効率を向上することが可能となる。
本発明によれば、伝熱促進体に熱伝達経路が螺旋状に形成されていることにより、ラジアントチューブの内壁に効率的に燃焼ガスの熱を伝達し、更なる省エネ効果を図ることが可能となる。
本発明によれば、伝熱促進体がZ軸(中心軸)を中心に前記伝熱促進体の前記底面の形状が前記上面の形状に対して30度〜150度回転した状態(ねじり角度30度〜150度)となるように螺旋状に形成すると、燃焼ガスの乱流が効果的に発生し、熱効率が向上することがわかった。
管のサイズや周囲温度、ラジアントチューブチューブ式加熱装置およびラジアントチューブ式熱交換器の装置構成(燃焼ガスの流出口7周辺に設けられた吸引装置の有無等)によって、ねじり角度を30度〜150度の範囲内で適宜選択可能である。
本発明によれば、サイズの異なる多数の気孔が形成された伝熱促進体を燃焼ガスの流通経路である管内の下流位置に複数配置することによって、燃焼ガスの温度が低くなる下流側で適切に乱流を発生させ、管内の下流側においても充分な熱量を管に伝達することが可能となる。
また本発明は、伝熱促進体が複数配列されたラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器において、前記伝熱促進体は、前記複数のフィンが連続するように呈して配列されていることを特徴とする。
そして本発明は、伝熱促進体を備えたラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器において、ねじり角度が異なる複数の前記伝熱促進体を配置したことを特徴とする。
ここで「ねじり角度」とは、前記伝熱促進体の上面と底面に垂直でかつ前記伝熱促進体の断面中心を通る軸をZ軸(中心軸)として、前記Z軸を中心に前記伝熱促進体の前記底面の形状が前記上面の形状に対して何度回転しているかを表す尺度であり、螺旋形状が前記上面から前記底面にかけて前記Z軸を中心に何度回転しているかを表す尺度である。
例えば、ラジアントチューブ内で燃焼ガスを最初に受ける上流側にねじり角度が小さな伝熱促進体を配置し、下流側に向かってねじり角度が大きな伝熱促進体を配列する等、ねじり角度が異なる伝熱促進体を複数連結することで、燃焼ガスの滞留時間をラジアントチューブ内の上流側と下流側で変化させる。燃焼ガスの温度が高い上流側は燃焼ガスの滞留時間が短くなり、燃焼ガスの温度が低い下流側は燃焼ガスの滞留時間が長くなるため、ラジアントチューブの上流側に伝達される熱量と下流側に伝達される熱量が均一化され、ラジアントチューブ全体に効率的に熱を伝達することが可能となる。
また、ラジアントチューブ内で適切に乱流を発生させるために、ねじり角度が小さな伝熱促進体と大きな伝熱促進体を不連続に配置してもよい。
このように本発明によれば、伝熱促進体に熱伝達経路が螺旋状に形成されていることにより、ラジアントチューブの内壁に効率的に燃焼ガスの熱を伝達し、伝熱促進体の気孔による乱流効果と合わせて更なる熱効率の向上および省エネ効果を図ることが可能となる。
また、ラジアントチューブ式熱交換器の内部に伝熱促進体を配置した場合、ラジアントチューブ式熱交換器の管内に燃焼ガスや液体等の熱交換を行うための流体を流すことで伝熱促進体と流体が熱交換を行うが、管内において流体の滞留時間を上流側と下流側で変化させることで、伝熱促進体から流体に効率的に熱を伝達することが可能となる。
さらに本発明によれば、ねじり角度が異なる複数の伝熱促進体を連結することにより、チューブ状の管の一部に局所的に高い熱が伝達することなく全体的に熱を伝達することが可能となり、ラジアントチューブの歪みや破損等の発生を低減させ、効率的に熱を伝達することが可能となる。
そして伝熱促進体が分割できる小さいサイズで形成されているため保管や搬送が容易である。
またフィンが連続した螺旋形状をしているため、効率的に燃焼ガスの熱を伝達するが、所定間隔(例えばひとつ置き間隔かそれ以下の距離での配置)に配置されても、熱伝達効果は失われることはない。
コンピュータ解析によれば、高い熱伝達効率を得るためには、伝熱促進体の熱伝達経路を形成するフィンを3〜12枚とすることが好ましく、より好適には4枚以上とすることがよいことがわかった。
本発明によれば伝熱促進体のフィンの数を3〜12枚とすることで、効率的に熱を伝達可能な伝熱促進体を提供することが可能となる。
また本発明のラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器は内壁表面全体および/または外壁表面全体に炭化珪素が均一に塗布されていることを特徴とする。
本発明によれば、赤外線放射率の高い炭化珪素(SiC)を前記伝熱促進体の外表面全体、または管の内壁表面全体および/または外壁表面全体に塗布することによって、さらに軸射熱を増大させることが可能となる。
また本発明によれば、炭化珪素(SiC)が高価であるため、伝熱促進体全体を炭化珪素(SiC)で作成する場合と比べて、外表面のみ炭化珪素(SiC)を塗布した本発明の伝熱促進体は低コストで形成することが可能であり、かつ伝熱促進体全体を炭化珪素(SiC)で形成した伝熱促進体を使用した場合と同様の軸射熱を得ることが可能となる。
孔径が0.1〜10mmの大気孔を伝熱促進体の外表面に形成するためには、大気孔の孔径に対応したサイズを有する有機発泡粒等の気孔材を多孔質セラミックスの原材料として混合し、成形、焼結することで形成することが可能となる。また、製造工程において発泡剤を使用して、焼成時に発泡させることで大気孔を形成してもよい。
また孔径が大気孔よりも小さい小気孔、例えば孔径が1.0μm程度のものは、多孔質セラミックスの原材料としておがくず等を混合することで形成可能である。
このように本発明によれば、多孔質セラミックスの原材料である気孔材の材質や気孔材のサイズを変更することや発泡剤の分量を変更するだけで、簡単に伝熱促進体の外表面に所望のサイズの気孔を形成することが可能となる。
本発明において、前記伝熱促進体の上面、底面に連結手段や接着手段を設けることで伝熱促進体を連結する際に前記伝熱促進体同士を簡単かつ正確に連結することが可能となる。
また本発明によれば、孔径の異なる大気孔と小気孔によって伝熱促進体の外表面に多数の凹凸を形成し、外表面の凹凸具合(算術平均粗さ)を調整することにより、ラジアントチューブ内部に燃焼ガスの乱流を促進し、ラジアントチューブ内壁の熱流束量が変化して、ラジアントチューブ式加熱装置の熱効率を高めることができる。
そして、本発明によれば、伝熱促進体が多孔質セラミックスで形成することにより、伝熱促進体の外表面および内部に大気孔、小気孔を簡単に形成することができ、伝熱促進体の軽量化と伝熱促進体外表面の凹凸による熱効率の向上という二つの効果を容易に実現することが可能となるうえ、伝熱促進体は加工性に優れ低コストとなり、配送、交換が容易で、かつ前記伝熱促進体の製造コストを削減することが可能となる。
さらに本発明によれば、ラジアントチューブ式熱交換器の内部に伝熱促進体を配置することで、伝熱促進体から流体に効率的に熱を伝達することが可能なラジアントチューブ式熱交換器を提供することが可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態である伝熱促進体10をラジアントチューブ内に配置した状態を示す模式図である。図5は、上記実施形態の伝熱促進体10を3つ連結した状態を示す斜視図である。
前記ラジアントチューブ4に配された前記バーナー3からの燃焼ガス6が前記ラジアントチューブ4の前記流入口8から流出口7方向へ流れて前記ラジアントチューブ4を加熱し、前記ラジアントチューブ4の表面からの輻射熱によって鋼板等の被加熱物の加熱処理を行う。
前記ラジアントチューブ4は、U型、ストレート型、L型、T型、W型、O型等の形状を有していてもよい。前記ラジアントチューブ4の形状が異なる場合でも、前記連結伝熱促進体100は前記ラジアントチューブ4の後半部(前記燃焼ガス6の前記流出口7側)に配置する。上述のように配置することで、前記燃焼ガス6の温度が低下し始める前記ラジアントチューブ4の後半部においても、前記ラジアントチューブ4の内壁の熱流束を減少させることなく効率的に熱を伝達することが可能となる。
また前記連結伝熱促進体100を形成する過程において、前記伝熱促進体10同士を連結する際には前記伝熱促進体10が有するフィン2をそれぞれ合わせて接合し、前記フィン2の外側面が連続した螺旋形状を形成するように接合する。上述のように前記伝熱促進体10を接合することにより、前記ラジアントチューブ4内に前記連結伝熱促進体100を配置した場合に前記燃焼ガス6が流れるための複数の螺旋状の通路(熱伝達経路)14が形成され、前記燃焼ガス6の前記ラジアントチューブ4の内壁周辺の流速が大きくなるとともに、前記燃焼ガス6が前記ラジアントチューブ4内で回転運動し、高温の前記ラジアントチューブ4の中心軸と低温の前記ラジアントチューブ4の壁面との間での熱交換が促進され、前記ラジアントチューブ4の後半部においても効率的に熱を伝達することが可能となり、高い省エネ効果が生まれる。
前記伝熱促進体10同士を連結して前記連結伝熱促進体100を形成する場合、連結手段や接着手段を使用せずに伝熱促進体1の上面および底面をただ単に合わせてラジアントチューブ内にひとつずつ挿入する場合や、後述する連結手段や接着手段を使用して前記連結伝熱促進体100を形成する場合もある。また伝熱促進体10同士を連結せずに所定間隔(例えばひとつ置き間隔かそれ以下の距離での配置)に配置してもよい。
前記伝熱促進体10は、前記連結伝熱促進体100の構成部材であり、前記伝熱促進体10の断面は十文字形状で中心から放射状に伸長する4つのフィン2,2・・をもつ(図2、図3)。前記フィン2,2・・は同形状であり、また隣り合う前記フィン2,2・・は、90度の角度をもって前記伝熱促進体10の中心軸9に取り付けられる。
前記伝熱促進体10の外表面および内部には、後述する孔径が0.1〜10mmの大気孔1aと、孔径が大気孔よりも小さい小気孔1bが多数形成されており、大気孔1aと前記小気孔1bは全体に分布して前記伝熱促進体10の外表面に凹凸を形成する。
前記フィン2,2・・の平面形状は前記伝熱促進体10の前記中心軸9から前記フィン2,2・・の先端2a,2a・・にむかって徐々に幅が細くなる先細りの形状であり、前記先端2a,2a・・周辺の断面形状は緩やかな円弧形状をなす。また前記伝熱促進体10の断面を考えた場合、前記中心軸9の中心で、かつ前記伝熱促進体10の断面中心である中心点9aから半径rの同心円上に前記先端2a,2a・・は位置する。
前記フィン2,2・・は前記中心点9aを通り上面11,底面13に垂直なZ軸(中心軸)を中心として時計回りの緩やかな螺旋形状に形成され(図2、図4)、本実施形態では、前記Z軸(中心軸)を中心に前記伝熱促進体10の前記底面13の形状が前記上面11の形状に対して60度回転した状態(ねじり角度60度)になるように形成される。よって前記フィン2,2・・によって、中心軸を中心として前記燃焼ガス6が流れるための4つの螺旋状の通路(熱伝達経路)14,14・・が形成される。
前記伝熱促進体10の材質は軽量の多孔質セラミックスであり、軽量で加工性に優れ低コストであるため、前記伝熱促進体10の配送、交換が容易で、かつ前記伝熱促進体10の製造コストを削減することが可能となる。
前記底面13から前記上面11までのZ軸方向の距離(高さ)Hは106mmであり(100〜110mmのものが多い)、前記伝熱促進体10の中心点(中心軸)9aを中心とした外径R(2r)は146mm,170mm,158mmである。前記フィン2,2・・の断面での幅Wは25mmである。前記底面13から前記上面11までのZ軸方向の距離(高さ)H、外径R(2r)、幅Wは導入するラジアントチューブの内径、長さによって適宜変更可能である。前記伝熱促進体1の前記底面13から前記上面11までのZ軸方向の距離(高さ)Hは106mmであるが、2個連結するときは、上記Hは212mmになり、3個連結するときは324mmになる。
前記上面11と前記底面13の中心軸に前記伝熱促進体10同士を連結するための凹凸部(連結手段)(図示なし)を設けてもよい。前記上面11に凹部、前記底面13に凸部を設けるか、もしくは前記上面11に凸部、前記底面13に凹部を設けることで、前記連結伝熱促進体100を形成する際に前記凹部に前記凸部を嵌め合わせ、前記伝熱促進体1同士を簡単かつ正確に連結することが可能となる。
また前記伝熱促進体10同士を連結する際に接着剤等の接着手段で連結していてもよい。
図6は、上記実施形態の伝熱促進体10の外表面の顕微鏡拡大図(20倍)である。図6は、伝熱促進体10の外表面を顕微鏡で20倍に拡大した写真であり、伝熱促進体の一例である。
伝熱促進体10は、粘土を含む混合物を成形し、焼結して多孔質セラミックスの焼結体を得て、多孔質セラミックスの焼結体の表面に研削加工を施したものであって、外表面および内部に気孔(大気孔1aおよび小気孔1b)が形成されている。
大気孔1aおよび小気孔1bの大きさは、伝熱促進体の軽量化および伝熱促進体外表面の凹凸形状を考慮し決定することが可能で、具体的には孔径が0.1〜10mmミリメートルオーダーの大気孔1aと、孔径が0.1mm未満のマイクロメートルオーダーの小気孔1bを混在して形成する。気孔の孔径とは、気孔の長孔をさし、気孔の孔径は、気孔の孔径に対応したサイズの気孔材や発泡剤を使用することにより調節することが可能である。
気孔の孔径の測定方法であるが、伝熱促進体の上面11および底面13を光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いて表面観察し計測する。
このように異なる孔径の気孔を複数組み合わせて、伝熱促進体10の外表面に不連続な凹凸を形成することにより、ラジアントチューブ内部に燃焼ガスの乱流を発生させ、ラジアントチューブ式加熱装置の熱効率を向上させることが可能となる。
伝熱促進体10に形成される気孔は、各々独立したものでもよいし、相互に連通した連通孔であってもよい。
伝熱促進体10の多孔質セラミックスの比重であるが、熱応答性および強度の観点を考慮し決定することができる。
ここで「比重」とは、多孔質セラミックスの体積(cm3)に対する多孔質セラミックスの質量(g)の比、多孔質セラミックスの質量(g)/多孔質セラミックスの体積(cm3)で表される値であり、好ましくは0.2以上0.8以下とされるのがよい。伝熱促進体10の比重が0.2よりも小さいと、気孔が伝熱促進体10の内部に多数形成されて脆くなり、高温下での熱処理プラントで急速に劣化および摩耗しやすくなる。一方、比重が0.8よりも大きくなると、伝熱促進体10が重くなり、ラジアントチューブの変形を引き起こし熱応答性が遅くなる。よって、本発明によれば、伝熱促進体の比重を0.2以上0.8以下とすることによって、急速な劣化、摩耗およびラジアントチューブの変形を防ぎ、熱応答性が速い伝熱促進体を提供することが可能となる。
また伝熱促進体10の多孔質セラミックスは、外表面の算術平均粗さRaが300μm以上である。
算術平均粗さRaが大きいと伝熱促進体外表面を基準として垂直方向の凹凸の高さの幅が大きくなり、燃焼ガスの乱流の発生を促進し、燃焼効率が向上する。
伝熱促進体10の外表面の算術平均粗さが300μm以上に形成することで、外表面に形成される気孔の深さが深くなり、より燃焼ガスが気孔に入り込み、乱流を発生させ燃焼効率が向上する。
さらに、孔径の異なる大気孔と小気孔が伝熱促進体の外表面に分布形成されているため、外表面に多数の凹凸が形成され、凹凸はラジアントチューブ内部に燃焼ガスの乱流を発生させ、ラジアントチューブ内壁の熱流束量が変化して、ラジアントチューブ式加熱装置の熱効率を高めることができる。
また、ラジアントチューブ4の内部において、前記ラジアントチューブ4の後半部から前記ラジアントチューブ4の流出口7までの前記燃焼ガス6の温度が低くなる箇所でも、螺旋状の通路(熱伝達経路)14,14・・によって前記燃焼ガス6の前記ラジアントチューブ4の内壁周辺の流速が大きくなるとともに、前記燃焼ガス6が前記ラジアントチューブ4内で回転運動し、高温の前記ラジアントチューブ4の中心軸と低温の前記ラジアントチューブ4の壁面との間での熱交換が促進され、効率的に熱を伝達することが可能となり、高い省エネ効果を生み出すことが可能となる。
また、本実施形態の伝熱促進体10のフィンの数は4枚であったが、高い熱伝達効率を得るためにはフィンを3〜12枚の範囲とすることが好ましく、用途によって適宜選択可能である。
本実施形態の連結伝熱促進体100は伝熱促進体10を複数連結して形成されていたが、連結伝熱促進体200を、異なるねじり角度をもつ伝熱促進体1,10,20を混合して形成してもよい。
ラジアントチューブ4内で燃焼ガス6を最初に受ける上流側にねじり角度が小さな伝熱促進体1を配置し、下流側に向かってねじり角度が大きな伝熱促進体10,20を配列する等、ねじり角度が異なる伝熱促進体を複数連結することで、燃焼ガス6の滞留時間をラジアントチューブ内の上流側と下流側で変化させる。燃焼ガス6の温度が高い上流側は燃焼ガス6の滞留時間が短くなり、燃焼ガス6の温度が低い下流側は燃焼ガス6の滞留時間が長くなるため、ラジアントチューブ4の上流側に伝達される熱量と下流側に伝達される熱量が均一化され、ラジアントチューブ4全体に効率的に熱を伝達することが可能となる。
この場合、多孔質セラミックス製の伝熱促進体に対して、赤外線放射率の高い炭化珪素(SiC)を外表面全体に均一に0.5mm〜1.0mmの厚さで塗布することで、被膜層81を形成する。炭化珪素(SiC)の塗布方法であるが、無機バインダーを水に溶かし、炭化珪素(SiC)の粉末を混合した炭化珪素(SiC)混合液82中に、炭化珪素(SiC)塗布前の伝熱促進体10を含浸させて被膜層81を形成する方法(浸漬塗装方法)や、前記炭化珪素(SiC)混合液を塗布前の伝熱促進体にスプレー塗布する方法(スプレー塗装方法)、またカーテンフローコーター塗装、ローラーコーター塗装、手作業による塗装(はけ塗り、ローラーブラシ塗装等)等、種々の方法を使用することが可能である。
また、ラジアントチューブ式加熱装置(ラジアントチューブヒーター)に備えられたラジアントチューブ4の内壁表面全体および/または外壁表面全体に炭化珪素を均一に塗布することも可能である。
このように、伝熱促進体を螺旋形状にすることおよび外表面に凹凸を設けることで伝熱効率を大きく向上させるとともに、赤外線放射率の高い炭化珪素(SiC)を外表面に塗布することによって、さらに伝熱促進体の軸射熱を増大させることが可能となるうえ、伝熱促進体全体を炭化珪素で形成するよりもはるかに安価で同様の効果を得ることが可能となる。
そして、ラジアントチューブの内壁表面全体および/または外壁表面全体に赤外線放射率の高い炭化珪素(SiC)を塗布することによって、ラジアントチューブの内壁表面および/または外壁表面からの軸射熱を増大させることが可能となり、ラジアントチューブ全体を炭化珪素で形成するよりもはるかに安価に製造することが可能となる。
図10は、本発明の伝熱促進体の製造工程の流れを示すフロー図である。
本発明の伝熱促進体10の製造方法であるが、粘土を含む混合物を得る工程(混合工程)と、混合物を成形して成形体を得る工程(成形工程)と、成形体を焼結して多孔質セラミックス焼結体を得る工程(焼成工程)と、多孔質セラミックス焼結体の仕上げ加工を施す工程(仕上げ加工工程)とを備えるものである。
混合工程は、耐火原料、発泡剤、気孔材、フィラー、骨材等を適宜混合し、混合物を得る工程である。
耐火原料は、一般に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料である。耐火原料としては、多孔質セラミックス焼結体に用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成され、構成鉱物としては、カオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト,アルミナを含むものが好ましい。
発泡剤は、焼成時に発泡するものであり、例えば、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、スラグ等の公知のセラミックス用の発泡剤を用いることができる。これら発泡剤の中でも、スラグが好ましい。
スラグとしては特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられる。これらの中でも、鋳鉄スラグがより好ましい。鋳鉄スラグは、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率である。鋳鉄スラグを用いることで、多孔質セラミックスにミリメートルオーダーの大きな気孔を形成できる。
混合物中の発泡剤の配合量は、多孔質セラミックスの気孔率や大気孔や小気孔の孔径を考慮して適宜決定される。
気孔材は、主成分として有機物を含有するものである。有機発泡粒、木屑などを用いることで、多孔質セラミックスに大気孔や小気孔が形成される。
使用する有機発泡粒のサイズを適宜選択することで、大気孔や小気孔の孔径を調整することが可能となる。
フィラーとしては、無機繊維、ロックウール等が挙げられる。例えば、無機繊維をフィラーとして含む混合物を焼結すると、熱衝撃に強くなり、低熱伝導性も備わり、複雑形状に耐えることができる。
骨材としては、例えば、陶器、磁器素材、アルミナ、シャモット、フォルステライト、コージェライト、ゼオライト、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、セピオライト、ジルコニア、窒化硅素、炭化硅素、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどの他、耐熱性繊維であるガラス繊維、ロックウール、アルミノシリケート質繊維、アルミナ繊維等を粉状にしたものを使用する。
混合工程における温度条件は、各原料の配合比等を勘案して適宜決定される。
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。成形方法は、伝熱促進体10の形状に応じて適宜決定され、例えば、成形装置を用いて任意の形状の成形体を連続的に得る方法、混合物を任意の形状の型に充填し成形体を得る方法、混合物を延伸又は圧延し、これを任意の形状に切断して成形体を得る方法が挙げられる。
成形装置は、土練成形機、プレス成形機及び流し込み成形機等が挙げられる。
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を焼成して多孔質セラミックス焼結体を得る工程である。焼成工程は、例えば、成形体を乾燥し(乾燥操作)、乾燥した成形体を焼成し(焼成操作)、粘土を焼結して多孔質セラミックス焼結体を得る方法が挙げられる。
焼成温度(到達温度)は、任意成分の種類や原料の配合割合等を勘案して決定される。
仕上げ加工工程は、焼成工程で得られた多孔質セラミックス焼結体を製品化するための加工を行う工程である。
図7は、本発明の第2の実施形態の伝熱促進体20を示す斜視図である。
本発明の第2の実施形態の伝熱促進体20は、第1の実施形態の伝熱促進体10のフィン2,2の外表面に沿って複数の溝2b,2bを形成したものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様であるため、同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
本発明の第2の実施形態の伝熱促進体20は、フィン2,2の外表面に伝熱促進体20の中心から前記フィンの先端に向かって放射状に長尺状の溝2b,2bが複数形成されている。
溝2b,2bの幅は、フィン2,2の先端に向かって徐々に大きく形成されている。
また、溝2b,2bが設けられる位置であるが、フィン2,2の両側面に形成されているか、もしくは燃焼ガス6が熱伝達経路14に沿って流れる場合に、燃焼ガス6に遠心力が働いて衝突する側のフィンの側面のみに形成されていてもよい。
燃焼ガス6が衝突しやすい伝熱促進体20のフィン2,2の側面に溝2b,2bが形成されているため、燃焼ガス6の乱流の発生を促進し、熱効率を向上させることが可能となる。
溝2b,2bの数は、熱効率を考慮し適宜選択可能である。
その場合は、管内に本発明の伝熱促進体を挿入したラジアントチューブ式熱交換器を使用し、管内に燃焼ガスや液体等の熱交換を行うための流体を流すことで、伝熱促進体と流体が効率的に熱交換を行うことが可能となる。
図13は、(実施例1)の伝熱促進体の外表面の顕微鏡拡大図(10倍)である。
(表1)に示す組成で、耐火原料、気孔材、骨材および水を混合し、混合物を得て(混合工程)、混合物を伝熱促進体の形状に成形した(成形工程)。
その後、得られた成形体を乾燥させ、焼結炉を用いて焼成した(焼成工程)。そして、焼成工程で得られたセラミックス焼結体を砥石加工することで、伝熱促進体を得た。
得られた伝熱促進体について、カサ比重、算術平均粗さを測定し、その結果を(表2)に示した。
気孔径に関しては、得られた伝熱促進体の外表面を拡大して撮影した画像を用いて、画像内に存在する気孔に着色を施し、目視にて気孔径1mm以上の気孔をカウントし、気孔径が1−2mm、2−3mm、3−4mm、4−5mm、5−6mmおよび6−7mmの間に存在する気孔の数の割合(%)、および平均径(mm)を算出した。ここで、気孔径1mm未満の気孔はカウントしていない。結果を(表3)に示す。また、伝熱促進体の外表面を顕微鏡で10倍に拡大して撮影を行った結果を図13に示した。
図13、(表2)、(表3)に示されるとおり、耐火原料、発泡剤、気孔材、フィラー、骨材等の材料を適宜選択することにより、外表面に気孔を備えた伝熱促進体を得ることができる。
図9は、本発明の伝熱促進体の材質を示す模式写真であり、(a)は伝熱促進体の材質に被膜層を形成していないもの、(b)は伝熱促進体の材質に被膜層を形成したものである。
伝熱促進体の材質として、1550℃で焼成した白色のムライト質の軽量耐火物を使用し、前記伝熱促進体に対して赤外線放射率の高い炭化珪素(SiC)を外表面に均一に0.5mm〜1.0mmの厚さで塗布することで被膜層を形成し、被膜あり伝熱促進体を形成した(図9(b))。前記被膜あり伝熱促進体(図9(b))と、被膜なし伝熱促進体(図9(a))を使用して、炭化珪素(SiC)による被膜の有無による赤外線放射率の違いを測定した。
赤外線放射率の測定を行う測定装置は、FIR装置(Perkin Elmer製、SyStem2000型)を使用し、積分球はLabspher製、RSA−PE−200―IDを使用し、球内部は金によりコーティングされている。また、積分球入射口径はΦ16mmで、測定部口径はΦ24mmである。
(測定条件)
測定領域は370〜7800cm−1(有効範囲 400〜6000cm−1)で、積分回数200回、光源はMIRで、検出器はMIR−TGSである。分解能は16cm−1で、Beam splitterは、optimized KBrを使用した。また光源から検出器までの光路には、N2ガスを充満させパージを行った。
(計測方法)
室温にて反射スペクトルを測定し、得られたデータより指定された温度(25℃、500℃、950℃、1000℃)の全放射率を算出した。測定はJIS R 1693−2:2012に準拠している。
また、伝熱促進体が、操業時に燃焼ガスにさらされる950℃〜1000℃の温度域では、被膜あり伝熱促進体の放射率が黒体放射の90%に近い高い放射率を示すことが判明した。
このことは即ち、被膜あり伝熱促進体が950℃〜1000℃の温度域では2倍の輻射熱を管の内側から管に伝える輻射伝熱効果があることを意味する。
これにより、伝熱促進体全体を炭化珪素(SiC)で製作するより、飛躍的に安価で炭化珪素(SiC)の持つ高い赤外線放射率を活用することができるようになる。
図11は、本発明の伝熱促進体を使用した場合の表面粗さの違いによる平均熱流束を示すグラフである。
実施例においては、燃焼ガスの温度や流速等の詳細なデータを入力してコンピュータシミュレーションによる流体解析、具体的には、伝熱促進体の表面粗さを200μm,300μm,450μm,700μmと変化させた場合のラジアントチューブの管外壁における平均熱流束(W/m2)の計算を行った。
計算結果を図11に示す。
流体解析に用いるラジアントチューブは、密度7850(Kg/m3)、比熱434(J/kgK)、熱伝導率60.5(W/mK)である直線状の構造用鋼管を想定した。
流体解析に用いる管内空気であるが、圧縮性を考慮し、密度1.226(Kg/m3)、定圧比熱1006(J/kgK)、熱伝導率2.55×10−2(W/mK)を使用した。
ラジアントチューブに対して、流入口から1200(℃)の燃焼ガスを流入した場合を想定し、管内の空気流速を5(m/s)、前記流出口のゲージ静圧0(Pa)、ラジアントチューブの周囲温度は950(℃)とし、管内壁には周囲温度950(℃)の場合における放射冷却を考慮した熱伝達効率を与えた。
伝熱促進体をラジアントチューブ内に挿入しない場合のラジアントチューブの管外壁における平均熱流束は約2000(W/m2)である。伝熱促進体を挿入した場合、伝熱促進体を挿入しない場合と比較して平均熱流束が大きくなるのは、伝熱促進体の表面粗さが300μm以上となる場合である。伝熱促進体の表面粗さが300μmから大きくなると平均熱流束がさらに増加するが、伝熱促進体の表面粗さが300μmから小さくなると平均熱流束が伝熱促進体を挿入しない場合と同等かもしくは小さくなってしまい、熱効率が逆に悪くなってしまう。
このように、伝熱促進体を挿入しない場合と比較して熱効率を向上させることができる伝熱促進体の表面粗さは300μm以上であることがわかる。
図12は、本発明の伝熱促進体を使用した場合のカサ比重の違いによる熱応答性を示すグラフである。
実施例においては、コンピュータシミュレーションによる流体解析、具体的には、伝熱促進体のカサ比重を1.1,0.9,0.8,0.7,0.5,0.2と変化させて熱応答性の計算を行い、比較例である従来の伝熱促進体の熱応答性を100とした場合のカサ比重1.1,0.9,0.8,0.7,0.5,0.2の伝熱促進体の熱応答性を算出した。
計算結果を図12に示す。
実施例3と同様である。
カサ比重が0.8,0.7,0.5,0.2の伝熱促進体は、比較例である従来の伝熱促進体に比べて熱応答性の値が小さくなり、熱応答性がよくなることがわかる。カサ比重が0.8から小さくなるにつれて熱応答性の値は小さくなるが、カサ比重が0.2以下になると、熱応答性の変化率が小さくなり、熱応答性の値が60のあたりで落ち着く。
カサ比重が0.8よりも大きいと、従来の伝熱促進体と比較して、熱応答性の値が同等かもしくは大きくなり、熱応答性が悪くなってしまう。
このように、従来の伝熱促進体と比較して熱応答性を向上させることができる伝熱促進体のカサ比重は0.2以上0.8以下であることがわかる。
1a 大気孔、
1b 小気孔
2 フィン、
2a 先端、
2b 溝、
3 バーナー、
4 ラジアントチューブ、
5 炉壁、
6 燃焼ガス、
7 流出口、
8 流入口、
9 中心軸(中心部)、
9a 中心点(中心軸)、
11 上面、
13 底面、
14 螺旋状の通路(熱伝達経路)、
100,200 連結伝熱促進体
Claims (14)
- ラジアントチューブ内に設けられ、複数のフィンを備えた多孔質セラミックス製の伝熱促進体において、カサ比重が0.2以上0.8以下であることを特徴とする伝熱促進体。
- 前記伝熱促進体の外表面および内部に孔径が0.1〜10mmの大気孔と孔径が前記大気孔よりも小さい小気孔を有し、前記大気孔と前記小気孔は全体に分布して前記伝熱促進体の外表面に凹凸を形成していることを特徴とする請求項1記載の伝熱促進体。
- 前記伝熱促進体の外表面の算術平均粗さは、300μm以上であることを特徴とする請求項1または2記載の伝熱促進体。
- 前記伝熱促進体の外表面には前記伝熱促進体の中心から前記フィンの先端に向かって放射状に溝が形成され、前記溝の幅は前記フィンの先端に向かって徐々に大きく形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の伝熱促進体。
- 前記複数のフィンは、前記伝熱促進体の外表面に螺旋状の熱伝達経路を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の伝熱促進体。
- 前記フィンのねじり角度は30度〜150度であることを特徴とする請求項5記載の伝熱促進体。
- 前記フィンのねじり角度が異なる伝熱促進体は、前記熱伝達経路が連続した螺旋形状を呈して配列されていることを特徴とする請求項5または6記載の伝熱促進体。
- 前記フィンの数は3枚〜12枚であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の伝熱促進体。
- 前記伝熱促進体は、含浸させることにより前記伝熱促進体の外表面全体に炭化珪素の被膜層を形成したことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の伝熱促進体。
- ラジアントチューブ内に設けられ、複数のフィンを備えた多孔質セラミックス製の伝熱促進体の配設方法において、カサ比重が0.2以上0.8以下である伝熱促進体をラジアントチューブ内において前記複数のフィンが螺旋状に連続して熱伝達経路を形成して配設することを特徴とする伝熱促進体の配設方法。
- ラジアントチューブ内に設けられ、複数のフィンを備えた多孔質セラミックス製の伝熱促進体において、カサ比重が0.2以上0.8以下である伝熱促進体を、気孔材もしくは発泡剤を使用して、サイズの異なる多数の気孔を前記伝熱促進体内部に形成し、前記気孔は全体に分布して前記伝熱促進体の外表面に凹凸を形成していることを特徴とする伝熱促進体の製造方法。
- 請求項1から9のいずれか一項記載の伝熱促進体が複数配列されたラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器において、前記伝熱促進体は、前記複数のフィンが連続するように呈して配列されていることを特徴とするラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器。
- 請求項5から8のいずれか一項記載の伝熱促進体を備えたラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器において、ねじり角度が異なる複数の前記伝熱促進体を配置したことを特徴とするラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器。
- 前記ラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器は内壁表面全体および/または外壁表面全体に炭化珪素が均一に塗布されていることを特徴とする請求項12または13記載のラジアントチューブ式加熱装置またはラジアントチューブ式熱交換器。
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