JP2009115444A - 吹付け装置及びそれに使用する吹付け材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】吹付けと同時に吹付け面の平滑化を行うことにより、手作業による表面仕上げを無くして作業を軽労化し、しかも全体工期の短縮を図ることができる吹付け装置及びそれに使用する吹付け材料を提供する。
【解決手段】本吹付け装置は、先端部に吹付けノズル2と平滑化装置1が装着されたアーム4と、平面視矩形状のベースフレーム6上に設置され、前記アーム4を昇降させる昇降リフター5と、前記ベースフレーム6を水平旋回させる旋回装置7と、旋回装置7を支持する平面視放射状に配置された4本の支持脚9とから概略構成されている。平滑化装置1は、炉壁面と略平行となる軸を回転軸13とする回転刃11と、ベルト14を介して回転軸13を駆動する駆動モータ12とから構成されており、回転刃11は、ローラー状とされ、その外周面には、回転軸13と平行な刃が複数形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】本吹付け装置は、先端部に吹付けノズル2と平滑化装置1が装着されたアーム4と、平面視矩形状のベースフレーム6上に設置され、前記アーム4を昇降させる昇降リフター5と、前記ベースフレーム6を水平旋回させる旋回装置7と、旋回装置7を支持する平面視放射状に配置された4本の支持脚9とから概略構成されている。平滑化装置1は、炉壁面と略平行となる軸を回転軸13とする回転刃11と、ベルト14を介して回転軸13を駆動する駆動モータ12とから構成されており、回転刃11は、ローラー状とされ、その外周面には、回転軸13と平行な刃が複数形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱風炉など竪型炉の炉内壁面、特に熱風炉の鉄皮の内側を吹付け施工するための吹付け装置及びそれに使用する吹付け材料に関する。
熱風炉は、高炉の羽口から熱風を吹き込むために空気を加熱する蓄熱式の熱交換器である。高炉1基に対して3〜4基の熱風炉が設置され、燃焼と送風を交互に切り替えて操業が行われる。熱風炉は、燃焼室と蓄熱室とから構成されており、燃焼室と蓄熱室とを同一円筒鉄皮に収容した内燃式と、独立した燃焼室をもつ外燃式とがある。
外燃式の熱風炉は、燃焼炉に通ずるドーム連結管を最上部の蓄熱室ドームに備え、蓄熱室の外殻を構成する鉄皮の内側には、吹付け材料が吹付け施工によって施工された施工体を介して内張り煉瓦が据付けられ、さらにその内方には、多数のガス通気孔を有するチェッカー煉瓦が隙間無く積まれている。
外燃式の熱風炉は、燃焼炉に通ずるドーム連結管を最上部の蓄熱室ドームに備え、蓄熱室の外殻を構成する鉄皮の内側には、吹付け材料が吹付け施工によって施工された施工体を介して内張り煉瓦が据付けられ、さらにその内方には、多数のガス通気孔を有するチェッカー煉瓦が隙間無く積まれている。
従来、鉄皮の内側を覆う吹付け施工は、炉内に人が入り、人の手により吹付け作業を行っていた。例えば、この吹付け施工では、粉末状の吹付け材料が搬送管内を圧送され、吹付けノズルの手前付近で搬送管内へ施工水が添加されて水と吹付け材料とが搬送管内及びノズル内で混合されてスラリー状の混練物となり、この混練物が炉内面に吹付けされることで、炉内面に混練物が付着した施工体が形成される。
一方、高炉等で、炉内にライニングされている耐火物の表面の補修作業に、吹付け装置が使用される場合もある。例えば、特許文献1には、高さ調整可能な吊り下げ機構と、該吊り下げ機構に吊り下げられた水平旋回駆動機構と、該水平旋回駆動機構に吊持された伸縮可能な懸垂フレームと、該懸垂フレームの先端に配設された補修装置とからなる高炉の炉内壁補修装置の発明が開示されている。
また、特許文献2には、補修材の吹付けノズルと、該吹付けノズルを水平に旋回する装置およびテレビカメラ、温度計、レーザー距離測定器等の検知機器を備えた吹付け機を、4本のワイヤーケーブルで炉内に昇降自在に吊下げた補修装置を使用して炉壁に熱間で吹付け材料の混練物を吹付けて補修する方法の発明が開示されている。
特開平11−279606号公報
特公昭63−52308号公報
一方、高炉等で、炉内にライニングされている耐火物の表面の補修作業に、吹付け装置が使用される場合もある。例えば、特許文献1には、高さ調整可能な吊り下げ機構と、該吊り下げ機構に吊り下げられた水平旋回駆動機構と、該水平旋回駆動機構に吊持された伸縮可能な懸垂フレームと、該懸垂フレームの先端に配設された補修装置とからなる高炉の炉内壁補修装置の発明が開示されている。
また、特許文献2には、補修材の吹付けノズルと、該吹付けノズルを水平に旋回する装置およびテレビカメラ、温度計、レーザー距離測定器等の検知機器を備えた吹付け機を、4本のワイヤーケーブルで炉内に昇降自在に吊下げた補修装置を使用して炉壁に熱間で吹付け材料の混練物を吹付けて補修する方法の発明が開示されている。
しかしながら、上記の吹付け装置を熱風炉に適用しようとしても、吹付け面の平滑化処理が行われないため、内張り煉瓦の据付け前に、多くの人の手作業による表面仕上げが必要であった。このため、重筋労働で、しかも施工期間が長くなるという問題があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、吹付けと同時に吹付け面の平滑化を行うことにより、手作業による表面仕上げを無くして作業を軽労化し、しかも全体工期の短縮を図ることができる吹付け装置及びそれに使用する吹付け材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、水平旋回機能と昇降機能とを有するアームの先端部に吹付けノズルを備え、炉内において、水平旋回と鉛直移動とを交互に行いながら炉壁面に吹付け材料を水と混合した混練物を吹付けて施工体を形成していく吹付け機であって、施工体の表面が平滑となるように、当該施工体の表面を削り取る平滑化装置を前記アームの先端部に備えることを特徴としている。
本発明では、水平旋回機能と昇降機能とを有するアームの先端部に吹付けノズルと平滑化装置を備えているので、吹付け作業と吹付け面の平滑化を並行して行うことができる。
本発明では、水平旋回機能と昇降機能とを有するアームの先端部に吹付けノズルと平滑化装置を備えているので、吹付け作業と吹付け面の平滑化を並行して行うことができる。
また、本発明に係る吹付け装置では、前記平滑化装置は、炉壁面と略平行となる軸を回転軸とする回転刃とされ、前記回転刃の回転方向と前記アームの旋回方向とが同方向とされていることが好ましい。
本発明では、施工体に当接する回転刃が一方向に回転しながら施工体を所定の深さで削り取っていく。この際、図4に示すように、回転刃11の回転方向rとアーム4の旋回方向Rを同方向としたほうが、逆方向とした場合に比べて、表面の仕上げ精度が良好となる。
また、回転刃とすることで、より強いせん断力によって吹付け面を削ることができるので、より表面が滑らかとなり、しかも作業能率も高くなる。
本発明では、施工体に当接する回転刃が一方向に回転しながら施工体を所定の深さで削り取っていく。この際、図4に示すように、回転刃11の回転方向rとアーム4の旋回方向Rを同方向としたほうが、逆方向とした場合に比べて、表面の仕上げ精度が良好となる。
また、回転刃とすることで、より強いせん断力によって吹付け面を削ることができるので、より表面が滑らかとなり、しかも作業能率も高くなる。
また、本発明に係る吹付け装置では、前記平滑化装置は、鉛直移動方向に対して前記吹付けノズルの後方に設置されていることが好ましい。
吹付け後に当該吹付け面の平滑化を行わなければならないため、吹付け装置の移動方向を考えた場合、平滑化装置は吹付けノズルの後方に設置する必要がある。即ち、吹付け装置が水平旋回と下降とを交互に行いながら炉壁面に吹付け材料の混練物を吹付けていく場合は、平滑化装置は吹付けノズルの上方に設置されている必要があり、吹付け装置が水平旋回と上昇とを交互に行いながら炉壁面に混練物を吹付けていく場合は、平滑化装置は吹付けノズルの下方に設置されている必要がある。
このようにすることで、混練物が吹付けられた直後の施工体の表面を削りとることができる。吹付け直後の施工体は強度がまだ低く、このため表面が容易に削れるため作業能率が高く、また刃の摩耗が少ないメリットがある。
吹付け後に当該吹付け面の平滑化を行わなければならないため、吹付け装置の移動方向を考えた場合、平滑化装置は吹付けノズルの後方に設置する必要がある。即ち、吹付け装置が水平旋回と下降とを交互に行いながら炉壁面に吹付け材料の混練物を吹付けていく場合は、平滑化装置は吹付けノズルの上方に設置されている必要があり、吹付け装置が水平旋回と上昇とを交互に行いながら炉壁面に混練物を吹付けていく場合は、平滑化装置は吹付けノズルの下方に設置されている必要がある。
このようにすることで、混練物が吹付けられた直後の施工体の表面を削りとることができる。吹付け直後の施工体は強度がまだ低く、このため表面が容易に削れるため作業能率が高く、また刃の摩耗が少ないメリットがある。
また、本発明に係る吹付け装置では、前記アームの旋回中心の位置調整を行う調芯装置を備えていてもよい。
本発明では、調芯装置を用いて、アームの旋回中心を炉中心に合わせることができる。これにより、炉壁面と吹付けノズルとの間隙が一定となり、均一な吹付け厚さを有する良好な面仕上げとすることができる。
本発明では、調芯装置を用いて、アームの旋回中心を炉中心に合わせることができる。これにより、炉壁面と吹付けノズルとの間隙が一定となり、均一な吹付け厚さを有する良好な面仕上げとすることができる。
また、上記吹付け装置に使用する吹付け材料としては、アルミナセメント、分散剤、及び急結剤を含み、Al2O3が20〜70質量%、SiO2が20〜65質量%、その他の化学成分が10質量%以下とされ、さらに粒度75μm以下の粒子が35〜60質量%、粒度3mm以下75μm超の粒子が40〜65質量%であることを好適とする。
ここで、その他の化学成分は、Al2O3とSiO2を除く化学成分のことであり、MgO、CaO、Fe2O3、TiO2、Na2O、K2O、及びP2O3等のうちの1種以上である。
ここで、その他の化学成分は、Al2O3とSiO2を除く化学成分のことであり、MgO、CaO、Fe2O3、TiO2、Na2O、K2O、及びP2O3等のうちの1種以上である。
本発明に係る吹付け装置では、水平旋回機能と昇降機能とを有するアームの先端部に吹付けノズルと平滑化装置を備えているので、吹付け作業と吹付け面の平滑化を並行して行うことができる。このため、手作業による表面仕上げが不要となり、全体工期の短縮を図ることができる。
また、アームの旋回中心の位置を調整するための調芯装置を用いて、アームの旋回中心と炉中心とを一致させることができるので、吹付け厚さが均一となり、良好な面仕上げとすることができる。
また、アームの旋回中心の位置を調整するための調芯装置を用いて、アームの旋回中心と炉中心とを一致させることができるので、吹付け厚さが均一となり、良好な面仕上げとすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、アームが伸びる方向を「前」、その逆方向を「後」と便宜上、呼ぶことにする。
なお、以下の説明では、アームが伸びる方向を「前」、その逆方向を「後」と便宜上、呼ぶことにする。
本発明に係る吹付け装置は、先端部に吹付けノズル2と平滑化装置1が装着されたアーム4と、平面視矩形状のベースフレーム6上に設置され、前記アーム4を昇降させる昇降リフター5と、前記ベースフレーム6を水平旋回させる旋回装置7と、旋回装置7を支持する平面視放射状に配置された4本の支持脚9とから概略構成されている(図1、図2参照)。
アーム4は、昇降リフター5上を前後にスライドする水平部材41aと当該水平部材41aの先端部に固定された鉛直部材41bとからなる側面視L字形の第一アーム41と、基端部が鉛直部材41bに連結され、水平旋回するビーム状の第二アーム42およびその上方に設置されたトラス状の第三アーム43とから構成されている。
ビーム状とされた第二アーム42上には、吹付けノズル2が設置されており、吹付けノズル2の後端部には、吹付け材料もしくは混練物を圧送するための配管20が接続されている。吹付け材料は、乾式タイプでも湿式タイプでもどちらでも使用することができる。乾式タイプの場合には、圧送されてきた吹付け材料に対して吹付けノズル2かそれより上流側で施工水を添加する。湿式タイプの場合には、混練物が圧送され、必要に応じて吹付けノズル2かそれより上流側で急結剤等を添加する。
また、第二アーム42の先端部42aには、レーザー距離測定器3が設置されており、当該先端部42aは、吹付け時に邪魔にならないように回動するようになっている。
また、第二アーム42の先端部42aには、レーザー距離測定器3が設置されており、当該先端部42aは、吹付け時に邪魔にならないように回動するようになっている。
一方、トラス状とされた第三アーム43の先端には、施工体の表面が平滑となるように、当該施工体の表面を削り取る平滑化装置1が装着されている。図3に示すように、平滑化装置1は、炉壁面と略平行となる軸を回転軸13とする回転刃11と、ベルト14を介して回転軸13を駆動する駆動モータ12とから構成されており、回転刃11は、ローラー状とされ、その外周面には、回転軸13と平行な刃が複数形成されている。また、平滑化装置1には、回転刃11の位置を調整するための微調整ネジ15が設けられており、微調整ネジ15を回して平滑化装置1を前後50mm程度移動させることができる。
昇降リフター5は、図示しない油圧シリンダーにより昇降するものであり、昇降リフター5の後方に設置された吹付けピッチ設定装置10に従って間欠的に下降する。
旋回装置7と支持脚9との間には、調芯装置8が介装されている。レーザー距離測定器3により得られた炉壁面との距離に基づいて旋回中心と炉中心とのズレを算出し、調芯装置8に備えられたハンドル8aを回して旋回装置7を水平面内でスライドさせ、旋回中心と炉中心とを一致させることができる。
各支持脚9はブレーキ付のキャスターを備えており、吹付け装置を水平方向に移動させることができる。また、アーム4を旋回させる際は、各支持脚9に装着されているアウトリガー9aを張り出して支持脚9を固定する。
次に、上記吹付け装置を使用して、熱風炉の外殻を構成する鉄皮の内側に吹付け材料を水と混合した混練物を吹付ける方法について説明する。
本吹付け装置を載置したゴンドラを熱風炉内に上から挿入し、ゴンドラを徐々に下降させながら、本吹付け装置を用いて鉄皮の内側に混練物を吹付けていく。具体的には以下の手順を繰り返すことになる。
(1)図5に示すように、ゴンドラ30は、平面視放射状に伸縮するアウトリガー31を備えている。ゴンドラ30を停止させる際は、アウトリガー31を放射状に張り出して炉壁面Wを押圧し、ゴンドラ30が炉内で動かないようにする。
(2)吹付けピッチ設定装置10の最上位置まで昇降リフター5を上昇させる。
(3)吹付けノズル2および平滑化装置1と鉄皮との間の距離が所定の距離となるように、第一アーム41を前方に移動させる。
(4)アーム4を水平旋回させながら、吹付けノズル2から混練物を吹付けて鉄皮の表面に施工体を形成する。それと同時に、平滑化装置1の回転刃11をアーム4の旋回方向Rと同方向に回転させながら、施工体Mの表面を削り取って平滑化する(図4参照)。
(5)アーム4が一回転すると、吹付けピッチ設定装置10で設定した高さ(75〜125mm)だけ、昇降リフター5を下降させる。
(6)以降、昇降リフター5が吹付けピッチ設定装置10の最下位置に来るまで、(4)と(5)の動作を繰り返す。
(7)ゴンドラ30から平面視放射状に張り出したアウトリガー31を縮め、作業ストローク(1200mm)の距離だけ、ゴンドラ30を下降させる。
(1)図5に示すように、ゴンドラ30は、平面視放射状に伸縮するアウトリガー31を備えている。ゴンドラ30を停止させる際は、アウトリガー31を放射状に張り出して炉壁面Wを押圧し、ゴンドラ30が炉内で動かないようにする。
(2)吹付けピッチ設定装置10の最上位置まで昇降リフター5を上昇させる。
(3)吹付けノズル2および平滑化装置1と鉄皮との間の距離が所定の距離となるように、第一アーム41を前方に移動させる。
(4)アーム4を水平旋回させながら、吹付けノズル2から混練物を吹付けて鉄皮の表面に施工体を形成する。それと同時に、平滑化装置1の回転刃11をアーム4の旋回方向Rと同方向に回転させながら、施工体Mの表面を削り取って平滑化する(図4参照)。
(5)アーム4が一回転すると、吹付けピッチ設定装置10で設定した高さ(75〜125mm)だけ、昇降リフター5を下降させる。
(6)以降、昇降リフター5が吹付けピッチ設定装置10の最下位置に来るまで、(4)と(5)の動作を繰り返す。
(7)ゴンドラ30から平面視放射状に張り出したアウトリガー31を縮め、作業ストローク(1200mm)の距離だけ、ゴンドラ30を下降させる。
本実施形態による吹付け装置では、水平旋回機能と昇降機能とを有するアーム4の先端部に吹付けノズル2と平滑化装置1を備えているので、平滑化装置1を用いて、施工体の表面を削り取り、表面を平滑にすることができる。このため、手作業による表面仕上げが不要となり、全体工期の短縮を図ることができる。
また、本実施形態による吹付け装置では、調芯装置8で炉中心と旋回中心とを一致させることができるので、吹付け厚さが均一となり、良好な面仕上げとすることができる。
さらにまた、本実施形態による吹付け装置では、レーザー距離測定器3で事前に炉の内径を計測することで、炉体に変形がある場合でも適切な削りしろを決定し、それに合わせて回転刃11の位置を微調整ネジ15で調整することができる。
また、本実施形態による吹付け装置では、調芯装置8で炉中心と旋回中心とを一致させることができるので、吹付け厚さが均一となり、良好な面仕上げとすることができる。
さらにまた、本実施形態による吹付け装置では、レーザー距離測定器3で事前に炉の内径を計測することで、炉体に変形がある場合でも適切な削りしろを決定し、それに合わせて回転刃11の位置を微調整ネジ15で調整することができる。
次に本吹付け装置を熱風炉に使用する場合に適した吹付け材料について説明する。
本吹付け装置は施工体の表面を削り取ることで平滑化処理を行うが、ミクロ的には吹付け施工された施工体中の原料粒子(骨材)までを削るものではなく、せん断力によって主に原料粒子どうしの粒界を引き離すことで、削り取って行く。そのため、強度が高すぎると削り取る作業に時間を要し、強度が低すぎると余分な部分まで削り取られてしまい表面が滑らかにならない。
本吹付け装置は施工体の表面を削り取ることで平滑化処理を行うが、ミクロ的には吹付け施工された施工体中の原料粒子(骨材)までを削るものではなく、せん断力によって主に原料粒子どうしの粒界を引き離すことで、削り取って行く。そのため、強度が高すぎると削り取る作業に時間を要し、強度が低すぎると余分な部分まで削り取られてしまい表面が滑らかにならない。
そこで、この吹付け装置を使用して熱風炉のライニングを行うには、使用される吹付け材料が、アルミナセメント、分散剤、及び急結剤を含み、Al2O3が20〜70質量%、SiO2が20〜65質量%、その他の化学成分が10質量%以下とされ、さらに粒度75μm以下の粒子が35〜60質量%、粒度3mm以下75μm超の粒子が40〜65質量%であることが好ましい。
この吹付け材料は、結合剤としてのアルミナセメントと分散剤と急結剤を組み合わせることで吹付け後は迅速に硬化し、しかも平滑化処理に適した強度の施工体となる。
吹付け材料は、粉末状の急結剤を最初から他の原料と混合しておく乾式タイプでも、あるいは粉末状の急結剤または急結剤を溶解した液体を吹付けノズルもしくは材料搬送管へ添加する湿式タイプのどちらでも使用することができる。
吹付け材料は、粉末状の急結剤を最初から他の原料と混合しておく乾式タイプでも、あるいは粉末状の急結剤または急結剤を溶解した液体を吹付けノズルもしくは材料搬送管へ添加する湿式タイプのどちらでも使用することができる。
また、吹付け材料の粒度が3mmを超える場合には、粒が削り取られる時に周囲のマトリックス部まで一緒に同伴して脱落しやすくなり、表面が滑らかに削り取られにくい。さらに、平滑化作業時に亀裂も発生しやすくなる。
吹付け材料の微粉部の粒度に関して、75μm以下の粒子が35質量%未満では、硬化直後の施工体組織の緻密さが不足するため、せん断力によって表面が大きく削り取られて、大きな凹部が発生しやすくなり、60質量%を超えると、長期に渡る使用時の受熱により微粉部分が焼結するため、収縮率が大きくなり炉壁に亀裂が発生しやすくなる。
また、粒度3mm以下75μm超の粒子が40質量%未満では、相対的に微粉部分が多くなり、前述のように炉壁に亀裂が発生しやすくなる。一方、65質量%を超えると、相対的に微粉部分が少なくなり、前述のように平滑化処理後の施工体表面の状態が悪くなる。
また、粒度3mm以下75μm超の粒子が40質量%未満では、相対的に微粉部分が多くなり、前述のように炉壁に亀裂が発生しやすくなる。一方、65質量%を超えると、相対的に微粉部分が少なくなり、前述のように平滑化処理後の施工体表面の状態が悪くなる。
なお、本発明でいう粒度とは、JIS標準篩におけるフルイ目開き(mm)で示している。例えば、粒度3mm以下の原料粒子とは、フルイ目開きが3mmの篩で篩ったときに、篩い目を通過した原料粒子のことである。
熱風炉として使用時に大きな温度変化が生じる場合があるので、吹付け材料の化学成分としては、Al2O3とSiO2を主成分とすることが好ましい。即ち、吹付け材料の化学成分は、Al2O3が20〜70質量%、SiO2が20〜65質量%、及びその他の化学成分が10%以下とから成る。
Al2O3が20質量%未満では、耐熱性が低下し、70質量%を超えると、Al2O3が過剰となり高膨張となるため、耐熱衝撃性が不十分となる。また、SiO2が20質量%未満では耐熱衝撃性が不足し、65質量%を超えると耐熱性が低下する。
その他の化学成分は、Al2O3とSiO2を除く化学成分のことであり、MgO、CaO、Fe2O3、TiO2、Na2O、K2O、及びP2O3等のうちの1種以上である。これらは、アルミナセメント中のCaO、及び使用する耐火原料中に含まれる不純物に由来するものである。また、結合剤、分散剤、急結剤、あるいは作業性付与剤等の化学成分として含まれるものでもある。その他の化学成分が10質量%を超えると、これらがAl2O3やSiO2と反応して生成する低融点物質が多くなりすぎて耐熱性が低下する。
その他の化学成分は、Al2O3とSiO2を除く化学成分のことであり、MgO、CaO、Fe2O3、TiO2、Na2O、K2O、及びP2O3等のうちの1種以上である。これらは、アルミナセメント中のCaO、及び使用する耐火原料中に含まれる不純物に由来するものである。また、結合剤、分散剤、急結剤、あるいは作業性付与剤等の化学成分として含まれるものでもある。その他の化学成分が10質量%を超えると、これらがAl2O3やSiO2と反応して生成する低融点物質が多くなりすぎて耐熱性が低下する。
吹付け材料中のAl2O3とSiO2の合量は、90質量%以上であることがより好ましい。また、吹付け材料は、耐火原料粉末、アルミナセメント、分散剤、及び急結剤とからなり、耐火原料粉末として、ろう石、シャモット、バンケツ、ボーキサイト、合成ムライト、珪石、溶融シリカ、電融ムライト、焼結ムライト、仮焼アルミナ、焼結アルミナ、電融アルミナ、粘土、及びシリカフラワー等のうち1種以上を80質量%以上含有することがより好ましい。
表1に各種吹付け材料を使用した場合のその配合構成とテスト結果を示す。本テストでは、分散剤として粉末状の縮合リン酸塩(ヘキサメタリン酸ソーダ)を他の原料と共に混練した。また、急結剤としての塩化カルシウムは、予め水に溶解し、塩化カルシウムを50質量%含有する水溶液として使用した。この水溶液は、吹付け施工時に表1の割合となるように添加するものである。表1に示す粒度構成は、JIS標準篩いで測定した結果であり、急結剤を除く粉末原料の合量を100質量%として表示している。テストは、急結剤を除く吹付け材料約100kgに水を吹付け材料に対して外掛けで7〜10質量%の範囲で添加して混練し、スラリー状態の混練物とした後、この混練物を本吹付け装置の配管に圧送し、吹付けノズル先端から1m上流側で塩化カルシウム水溶液を混練物に添加した。約1m離れた壁に吹付け施工体を形成し、その施工体の平滑化処理を行った。また同時に金枠へも吹付けを行い、硬化後に脱枠し、所定の形状に切り出して物性を測定した。
線変化率は、40×40×160mmの大きさの試料を各温度に加熱し、加熱前と加熱後の160mm方向の長さの変化率を測定した(JIS−R2554)。
曲げ強度は、各温度で加熱した後、JIS−R2553の方法で測定した。
化学成分は、使用した原料の化学成分を測定し、それぞれの配合構成で計算した結果を示している。
曲げ強度は、各温度で加熱した後、JIS−R2553の方法で測定した。
化学成分は、使用した原料の化学成分を測定し、それぞれの配合構成で計算した結果を示している。
実施例1〜7の吹付け材料は、本発明の範囲内であり、吹付け施工後の平滑化処理状態が良好であった。一方、比較例1は、粒度が3mm以下75μm超が70質量%と本発明の範囲外であり、施工体の表面に凹部が多数発生した。比較例2と比較例3は、3mm以下75μm超の原料がそれぞれ35質量%と25質量%と本発明の範囲外であり、加熱後の線変化率の収縮が大きく、容積安定性に劣っている。また、熱風炉の内張りにライニングした場合には、実炉使用時に亀裂が多く発生し、吹付け材料として適していない。さらにまた、微粉が多いため水分添加も多くなり、結果的に強度も著しく低下した。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、吹付け装置が水平旋回と下降とを交互に行いながら炉壁面に混練物を吹付けていくため、吹付けノズルの上方に平滑化装置が設置されているが、吹付け装置が水平旋回と上昇とを交互に行いながら炉壁面に不定形耐火物を吹付けていく場合は、平滑化装置は吹付けノズルの下方に設置される。要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
1 平滑化装置
2 吹付けノズル
3 レーザー距離測定器
4 アーム
5 昇降リフター
6 ベースフレーム
7 旋回装置
8 調芯装置
9 支持脚
9a,31 アウトリガー
10 吹付けピッチ設定装置
11 回転刃
12 駆動モータ
13 回転軸
14 ベルト
15 微調整ネジ
20 配管
30 ゴンドラ
41 第一アーム
42 第二アーム
43 第三アーム
M 施工体
W 炉壁面
2 吹付けノズル
3 レーザー距離測定器
4 アーム
5 昇降リフター
6 ベースフレーム
7 旋回装置
8 調芯装置
9 支持脚
9a,31 アウトリガー
10 吹付けピッチ設定装置
11 回転刃
12 駆動モータ
13 回転軸
14 ベルト
15 微調整ネジ
20 配管
30 ゴンドラ
41 第一アーム
42 第二アーム
43 第三アーム
M 施工体
W 炉壁面
Claims (5)
- 水平旋回機能と昇降機能とを有するアームの先端部に吹付けノズルを備え、炉内において、水平旋回と鉛直移動とを交互に行いながら炉壁面に吹付け材料を水と混合した混練物を吹付けて施工体を形成していく吹付け機であって、
施工体の表面が平滑となるように、当該施工体の表面を削り取る平滑化装置を前記アームの先端部に備えることを特徴とする吹付け装置。 - 前記平滑化装置は、炉壁面と略平行となる軸を回転軸とする回転刃とされ、
前記回転刃の回転方向と前記アームの旋回方向とが同方向とされている請求項1に記載の吹付け装置。 - 前記平滑化装置は、鉛直移動方向に対して前記吹付けノズルの後方に設置されている請求項1または2に記載の吹付け装置。
- 前記アームの旋回中心の位置調整を行う調芯装置を備える請求項1乃至3のいずれかに記載の吹付け装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の吹付け装置に使用する吹付け材料であって、
アルミナセメント、分散剤、及び急結剤を含み、
Al2O3が20〜70質量%、SiO2が20〜65質量%、その他の化学成分が10質量%以下とされ、
さらに粒度75μm以下の粒子が35〜60質量%、粒度3mm以下75μm超の粒子が40〜65質量%であることを特徴とする吹付け材料。
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JP2008263049A JP2009115444A (ja) | 2007-10-15 | 2008-10-09 | 吹付け装置及びそれに使用する吹付け材料 |
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Cited By (1)
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WO2015019704A1 (ja) | 2013-08-06 | 2015-02-12 | 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 | 熱風炉の築炉方法 |
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-
2008
- 2008-10-09 JP JP2008263049A patent/JP2009115444A/ja active Pending
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