(実施形態1)
以下では、本実施形態の照明装置8について、図1〜5に基づいて説明する。
本実施形態の照明装置8は、例えば、非常用照明装置として用いることができる照明装置である。照明装置8は、例えば、階段灯等の照明器具に用いられる。
照明装置8は、常時用光源10と、非常用光源20と、常用電源4から給電され常時用光源10を点灯させる電源装置5と、常用電源4が停電しているときに非常用光源20を点灯させる非常用点灯装置6と、を備える。また、照明装置8には、第1点検スイッチSW1及び第2点検スイッチSW2が接続されている。
常時用光源10は、複数のLED101の直列回路を有するLEDモジュールである。常時用光源10の光源色は、例えば、白色である。
非常用光源20は、一例として、複数のLED201の直列回路を有するLEDモジュールである。非常用光源20の光源色は、例えば、白色である。非常用光源20のLEDモジュールのLEDの個数は、常時用光源10のLEDモジュールのLEDの個数よりも少ない。非常用光源20のLEDモジュールのLEDの個数は、常用電源4の停電しているときに床面上に一定以上の照度を確保できるように決められている。ここでいう一定以上の照度は、例えば、高温(70℃)においては1ルクス以上、常温(25℃)においては2ルクス以上である。また、照度は、水平面照度である。以下では、確保する必要のある照度を所定照度という。つまり、所定照度は、高温においては1ルクス、常温においては2ルクスである。
常用電源4は、例えば、商用電源である。したがって、常用電源4は、電源装置5へ商用周波数(例えば、50Hz又は60Hz)の交流電圧を給電する。
電源装置5は、常用電源4から供給される交流電力を直流電力に変換し、当該直流電力を常時用光源10に供給して常時用光源10を点灯させるように構成されている。ここにおいて、電源装置5は、外部(制御装置100)から取得した調光信号で指示される調光レベルに基づいて常時用光源10を調光し、かつ、常時用光源10を消灯するように構成されている。
電源装置5は、例えば、整流回路51と、PFC(Power Factor Correction)回路52と、降圧チョッパ回路53と、制御回路54と、を備える。
整流回路51は、例えば、常用電源4から入力される交流電圧を全波整流するダイオードブリッジからなる全波整流回路である。
PFC回路52は、整流回路51の一対の出力端間に接続されている。PFC回路52は、例えば、整流回路51から出力される直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路である。
降圧チョッパ回路53は、PFC回路52の一対の出力端間に接続されている。降圧チョッパ回路53は、例えば、PFC回路52から出力される直流電圧を降圧するチョッパ回路である。
制御回路54は、例えば、制御IC(Integrated Circuit)、マイクロコンピュータ等により構成することができる。制御回路54は、外部(制御装置100)から取得した調光信号で指示される調光レベルに基づいて降圧チョッパ回路53を制御することにより、降圧チョッパ回路53から常時用光源10に供給させる直流電力の大きさを調整する。制御回路54は、常用電源4から整流回路51等を介して給電される。
調光レベルは、常時用光源10に供給される単位時間当たりの平均電力の、定格電力に対する比率[%]で表される。例えば、常時用光源10に供給される単位時間当たりの平均電力が定格電力の半分の場合、調光レベルは50%である。言い換えると、制御回路54は、調光信号で指示される調光レベルが50%であれば、降圧チョッパ回路53から常時用光源10に供給される単位時間当たりの平均電力を定格電力の半分にするように降圧チョッパ回路53を制御する。制御回路54は、降圧チョッパ回路53から出力される電流を検出し、検出電流の平均値を調光レベルに対応した目標値に一致させるように、降圧チョッパ回路53を制御するように構成されているのが好ましい。
したがって、例えば、調光信号で指示される調光レベルが100%の場合、制御回路54は、常時用光源10を定格点灯させるために、降圧チョッパ回路53から常時用光源10へ定格電流値の電流を供給させる。これにより、照明装置8では、常時用光源10が定格点灯する。また、制御回路54は、例えば、調光信号で指示される調光レベルが50%の場合には、常時用光源10を定格点灯のときの光出力の50%の光出力で点灯させるために、降圧チョッパ回路53から常時用光源10へ定格直流値の50%の大きさの電流を供給させる。また、制御回路54は、調光信号で指示される調光レベルが0%の場合には、降圧チョッパ回路53から常時用光源10への直流電流の供給を停止させる(降圧チョッパ回路53の動作を停止させる)ことにより、常時用光源10を消灯させる。
電源装置5が外部(制御装置100)から取得する調光信号は、例えば、デューティ比で調光レベルを指示するデューティ信号である。ここにおいて、調光信号は、例えば、図2に示すようなデューティ信号である。デューティ信号は、例えば、振幅が5Vの矩形波信号である。制御回路54は、図2に示すように、デューティ比が大きいほど、降圧チョッパ回路53から常時用光源10へ供給させる電流(降圧チョッパ回路53の出力電流)を低下させる。要するに、制御回路54は、デューティ信号のデューティ比が大きいほど、常時用光源10の光出力を低下させる。制御回路54は、デューティ信号のデューティ比が所定範囲(90〜100%)の場合、光出力を0とする(調光レベルを0%とする)ように降圧チョッパ回路53から常時用光源10への電流の供給を停止させる。言い換えれば、制御回路54は、常時用光源10を消灯させるように降圧チョッパ回路53の動作を停止させる。要するに、電源装置5は、デューティ信号のデューティ比が所定範囲のときに常時用光源10を消灯させるように構成されている。図3は、デューティ信号のデューティ比と常時用光源10の光出力比との関係を示している。ここでいう光出力比は、定格電流値の電流が供給されている常時用光源10の光出力に対する、任意の電流値の電流が供給されている常時用光源10の光出力の比率[%]である。調光レベルを指示することは、光出力比を指示することと同等である。したがって、照明装置8では、デューティ信号のデューティ比が所定範囲(90〜100%)の場合、光出力比は0%となる。
非常用点灯装置6は、一例として、整流回路61と、DC−DCコンバータ62と、二次電池63と、充電回路64と、非常点灯回路65と、制御回路66と、制御電源回路67と、を備える。
整流回路61は、ダイオードブリッジからなる全波整流回路である。整流回路61は、常用電源4から給電される交流電圧を全波整流した直流電圧を出力する。
DC−DCコンバータ62は、整流回路61から出力される直流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する。DC−DCコンバータ62は、一例として、フライバックコンバータである。DC−DCコンバータ62は、平滑コンデンサC1と、トランスT1と、スイッチング素子(図示せず)と、ダイオードD2と、平滑コンデンサC2と、を備えている。
DC−DCコンバータ62では、平滑コンデンサC1が、整流回路61の一対の出力端間に接続されている。DC−DCコンバータ62は、平滑コンデンサC1の両端間に、トランスT1の一次巻線n1とインテリジェントパワーデバイス(以下、「IPD」と略称する)623におけるスイッチング素子(パワーMOSFET)との直列回路が接続されている。IPD623は、スイッチング素子及びその制御回路を含んでいる。IPD621における制御回路は、スイッチング素子をオンオフ制御する。IPD623は、パナソニック株式会社製の「MIP2E2DMU」であり、Drain端子と、Source端子と、Control端子と、を備えている。DC−DCコンバータ62では、IPD623のDrain端子がトランスT1の一次巻線n1に接続されている。また、DC−DCコンバータ62では、IPD623のSource端子が整流回路61の低電位側の出力端に接続されている。また、DC−DCコンバータ62では、トランスT1の三次巻線n3の両端間に、ダイオードD3と抵抗R3とコンデンサC3との直列回路が接続されている。また、DC−DCコンバータ62では、抵抗R3とコンデンサC3との接続点が、フォトカプラ620のフォトトランジスタ622を介してIPD623のControl端子に接続されている。DC−DCコンバータ62では、フォトトランジスタ622のオン、オフに応じてIPD623のスイッチング素子がオン、オフされる。
DC−DCコンバータ62では、トランスT2の二次巻線n2の両端間に、ダイオードD2と平滑コンデンサC2との直列回路が接続されている。DC−DCコンバータ62では、平滑コンデンサC2の両端間に、抵抗R5とフォトカプラ620の発光素子621とシャントレギュレータ624との直列回路が接続されている。また、DC−DCコンバータ62では、平滑コンデンサC2の両端間に、抵抗R6と抵抗R7との直列回路が接続されている。DC−DCコンバータ62では、抵抗R6と抵抗R7との接続点が抵抗R8を介してシャントレギュレータ624のリファレンス端子に接続されている。
二次電池63は、DC−DCコンバータ62の出力端間に充電回路64を介して接続されている。言い換えれば、充電回路64と二次電池63との直列回路が、DC−DCコンバータ62の一対の出力端間に接続されている。二次電池63は、一例として、ニッケル水素電池である。
充電回路64は、常用電源4から給電され二次電池63を充電する。より詳細には、充電回路64は、DC−DCコンバータ62から出力される電流により二次電池63を充電する。充電回路64は、一例として、抵抗R4とダイオードD4との直列回路である。充電回路64は、ダイオードD4のアノードが抵抗R4を介してダイオードD2のカソードと接続され、ダイオードD4のカソードが二次電池63の正極と接続されている。二次電池63の負極は、DC−DCコンバータ62の一対の出力端のうち低電位側の出力端に接続されている。
非常点灯回路65は、常用電源4の停電の際に、二次電池63から給電されて非常用光源20を点灯させる。非常点灯回路65は、例えば、定電流回路である。ここにおいて、照明装置8は、常用電源4の停電を検出する停電検出回路(図示せず)を備えており、停電検出回路により停電が検出されたときに、二次電池63を電源として非常点灯回路65が非常用光源20を点灯させる。ここにおいて、照明装置8では、制御回路66に停電検出回路が接続されており、停電検出回路により停電が検出されたときに制御回路66が非常点灯回路65を制御して非常点灯回路65に非常用光源20を点灯させる。
照明装置8に接続される第1点検スイッチSW1及び第2点検スイッチSW2は、制御回路66に接続されている。第1点検スイッチSW1及び第2点検スイッチSW2の各々は、例えば、常開型の押釦スイッチである。
第1点検スイッチSW1は、非常用光源20による照度を点検するときに操作されるスイッチである。また、第2点検スイッチSW2は、自己点検を行うときに操作されるスイッチである。
照明装置8では、第1点検スイッチSW1が操作されたときに制御回路66が点検信号を取得する。ここにおいて、「制御回路66が点検信号を取得する」とは、制御回路66が、第1点検スイッチSW1がオンされたことを検知することであってもよい。また、照明装置8では、第2点検スイッチSW2が操作されたときに制御回路66が電池容量点検信号を取得する。ここにおいて、「制御回路66が電池容量点検信号を取得する」とは、制御回路66が、第2点検スイッチSW2がオンされたことを検知することであってもよい。
制御回路66は、点検信号を取得すると第1の点検動作を行う。ここにおいて、制御回路66は、常用電源4から給電されているときに取得した点検信号に応じて非常点灯回路65に非常用光源20を点灯させ、かつ電源装置5へ常時用光源10の消灯を指示する指示信号(消灯信号)を出力するように構成されている。指示信号は、常時用光源10を消灯させるための調光信号と同一の信号である。「常時用光源10を消灯させるための調光信号」は、デューティ比が所定範囲(90〜100%)のデューティ信号である。したがって、指示信号は、デューティ比が所定範囲(90〜100%)のデューティ信号である。
制御回路66は、電池容量点検信号を取得すると第2の点検動作を行う。制御回路66は、常用電源4から給電されているときに取得した電池容量点検信号に応じて、電源装置5へ常時用光源10の消灯を指示する指示信号を出力する。また、制御回路66は、二次電池63により非常用光源20を所定時間(30分)点灯させ、二次電池63の電圧をモニタし、点検結果を表示部に表示させる。表示部は、例えば、緑色光を放射するLEDにより構成され、照明装置8の制御回路66に接続される。制御回路66は、例えば、所定時間経過前あるいは経過後に二次電池63の電圧が規定値未満になると二次電池63が異常(電池容量不足)と判定し、表示部を点滅させる。また、制御回路66は、所定時間経過後に二次電池63の電圧が規定値以上であれば二次電池63が正常であると判定し、表示部を点灯させる。照明装置8は、制御回路66において二次電池63の電圧を監視するように構成されている。言い換えれば、照明装置8は、二次電池63の電圧を検出する電圧検出回路(図示せず)を備え、制御回路66において電圧検出回路の検出電圧を監視するように構成されている。
制御回路66は、マイコン(Microcontroller)661を含む。マイコン661は、プログラムに従って動作するプロセッサと、プロセッサを動作させるプログラムを格納するためのメモリ及び作業用のメモリと、を備えた1チップのデバイスとして構成される。制御回路66は、マイコン661にプログラムを実行させることにより、実現することができる。マイコン661のグラウンド端子はグラウンドに接地されている。
非常用点灯装置6は、DC−DCコンバータ62の高電位側の出力端とマイコン661のグラウンド端子との間に、ダイオードD13と抵抗R1とバイポーラトランジスタTR1との直列回路が接続されている。非常用点灯装置6では、ダイオードD13のアノード端子がDC−DCコンバータ62の高電位側の出力端に接続されている。また、非常用点灯装置6では、ダイオードD13のカソード端子が抵抗R1の第1端に接続されている。抵抗R1の第2端は、バイポーラトランジスタTR1のコレクタ端子に接続されている。バイポーラトランジスタTR1のエミッタ端子は、マイコン661のグラウンド端子と接続されている。バイポーラトランジスタTR1のベース端子は、マイコン661の信号出力端子に接続されている。マイコン661は、信号出力端子から指示信号を出力するように構成されている。
抵抗R1とバイポーラトランジスタTR1のコレクタとの接続点は、ダイオードD14を介して、電源装置5における制御回路54の調光端子に接続されている。より詳細には、抵抗R1とバイポーラトランジスタTR1のコレクタとの接続点は、ダイオードD14のアノード端子に接続されている。ダイオードD14のカソード端子は、制御回路54の調光端子に接続されている。調光端子は、制御回路54において、外部(制御装置100)からの調光信号が入力される端子である。言い換えれば、制御回路54は、外部(制御装置100)からの調光信号を、調光端子を介して取得する。照明装置8は、外部(制御装置100)から電源装置5への調光信号の伝送経路151に設けられたダイオードD21(第1ダイオード)を備えている。また、照明装置8は、非常用点灯装置6から電源装置5への指示信号の伝送経路152に設けられたダイオードD14(第2ダイオード)を備えている。ダイオードD21は、調光信号の伝送方向を順方向とするように調光信号の伝送経路151に設けられている。ダイオードD14は、指示信号の伝送方向を順方向とするように指示信号の伝送経路152に設けられている。
非常用点灯装置6では、常用電源4から通電(給電)されている場合のみDC−DCコンバータ62が動作し、DC−DCコンバータ62からダイオードD13を介してバイポーラトランジスタTR1に電源を供給可能である。よって、非常用点灯装置6は、常用電源4から通電(給電)されている場合、指示信号を出力可能である。また、非常用点灯装置6では、常用電源4から通電されていない場合(常用電源4が停電している場合)、DC−DCコンバータ62が動作しないので、DC−DCコンバータ62からバイポーラトランジスタTR1に電源を供給できない。よって、非常用点灯装置6は、常用電源4が停電している場合、指示信号を出力することができない。
制御電源回路67は、制御回路66の動作電圧(例えば、5V)を制御電源として生成する。要するに、制御電源回路67は、制御回路66へ制御電源を供給する。ここにおいて、制御電源回路67は、三端子レギュレータ671及び2つのコンデンサC7、C8を含む。ここにおいて、照明装置8では、DC−DCコンバータ62の一対の出力端のうち高電位側の出力端がダイオードD11を介して三端子レギュレータ671の入力端子に接続されている。また、照明装置8では、二次電池63の正極がダイオードD12を介して三端子レギュレータ671の入力端子に接続されている。また、三端子レギュレータ671の出力端子は、制御回路66におけるマイコン661の電源端子に接続されている。制御電源回路67では、三端子レギュレータ671の入力端子とグラウンド端子との間に、コンデンサC7が接続されている。また、制御電源回路67では、三端子レギュレータ671の出力端子とグラウンド端子との間に、コンデンサC8が接続されている。
制御電源回路67は、常用電源4から照明装置8へ通電されているときには、DC−DCコンバータ62からダイオードD11を介して給電される。また、制御電源回路67は、常用電源4が停電しているときには、二次電池63からダイオードD12を介して給電される。
以下、照明装置8の動作例について図4に示すタイムチャートに基づいて説明する。
照明装置8は、常用電源4から電源装置5へ通電(給電)されているときには、電源装置5により常時用光源10を点灯させている。そして、照明装置8は、常用電源4から電源装置5へ通電されている状態において外部(制御装置100)からデューティ比が100%のデューティ信号(消灯信号)が電源装置5に入力されると、電源装置5が常時用光源10を消灯させる。その後、照明装置8は、電源装置5への指示信号(消灯信号)の入力が停止されると、電源装置5により常時用光源10を点灯させる。このとき、照明装置8では、DC−DCコンバータ62から充電回路64を介して二次電池63を充電しており、非常用光源20は消灯している。
常用電源4が停電すると、照明装置8では、常用電源4から電源装置5へ給電されなくなるので、常時用光源10が消灯する。また、照明装置8では、二次電池63を電源として非常点灯回路65が非常用光源20を点灯させる。
その後、常用電源4が復電すると、照明装置8は、常用電源4から給電されるので、常時用光源10を点灯させ、かつ、非常用光源20を消灯させる。
次に、第1点検スイッチSW1が操作されることによって点検信号が非常用点灯装置6に入力されると、非常用点灯装置6は、二次電池63を電源として非常用光源20を点灯させ、かつ、指示信号(消灯信号)を出力する。これにより、照明装置8では、電源装置5に非常用点灯装置6からの指示信号が入力され、電源装置5が常時用光源10を消灯させる。
その後、点検信号が停止すると、照明装置8では、非常用点灯装置6が指示信号を停止させる。これにより、照明装置8は、常時用光源10が点灯し、かつ、非常用光源20が消灯する。
照明装置8は、常用電源4から電源装置5に給電されている状態で、非常用点灯装置6に点検信号が入力されると、常時用光源10を消灯させ、かつ非常用光源20を点灯させることが可能である。よって、照明装置8の点検者は、常時用光源10が消灯しかつ非常用光源20が点灯した状態で、床面の照度を照度計により測定することが可能である。
また、照明装置8の別の動作例について図5に示すタイムチャートに基づいて説明するが、図4のタイムチャートと同じ動作については説明を省略する。
第2点検スイッチSW1が操作されることによって電池容量点検信号が非常用点灯装置6に入力されると、非常用点灯装置6は、二次電池63を電源として非常用光源20を点灯させる。また、非常用点灯装置6は、電池容量点検信号をトリガとして指示信号(消灯信号)を所定時間(30分)の間、出力する。これにより、照明装置8では、電源装置5に非常用点灯装置6からの指示信号が入力され、電源装置5が常時用光源10を消灯させる。
ここで、非常用点灯装置6は、電池容量点検信号をトリガとして二次電池63により非常用光源20を所定時間(30分)点灯させ、二次電池63の電圧を監視(モニタ)し、点検結果を表示部に表示させる。照明装置8では、所定時間経過すると、常時用光源10が点灯し、かつ、非常用光源20が消灯する。ただし、非常用点灯装置6は、所定時間が経過するか、もしくは二次電池63の電圧が規定値未満となると、点検結果を表示部に表示させる。
照明装置8の点検者は、第2点検スイッチSW2を操作した場合も、常時用光源10が消灯しかつ非常用光源20が点灯した状態で、床面の照度を照度計により測定することが可能である。
制御回路66は、第2点検スイッチSW2が操作されたときに電池容量点検信号を取得する例に限らず、例えば、赤外線を媒体とするワイヤレス信号を受信する受光素子から電池容量点検信号を取得するように構成されていてもよい。ここにおいて、電池容量点検信号を含むワイヤレス信号は、リモートコントロール送信器から送信される。
次に、上述の照明装置8を備えた照明器具9について、図6及び7に基づいて説明する。
照明器具9は、常時用光源10を含む光源ユニット1と、各々が非常用光源20を含む2つの非常用光源ユニット2と、器具本体3とを備える。また、照明器具9は、非常用点灯装置6を含む非常用電源ユニット60と、二次電池63と、制御装置100を含む制御ユニット50と、人検知ユニット70とを備える。以下の説明では、特に断りのない限り、図6に矢印で示す向きにおいて、照明器具9の上下、左右及び前後の各方向を規定する。すなわち、照明器具9が階段の踊り場の壁面に設置された状態において、鉛直方向を上下方向とし、壁面の法線方向を前後方向とし、正面から見て左右方向を左右方向とする。
器具本体3は、長尺の矩形平板状に形成される背板30と、各々が長尺の矩形平板状である上板31及び下板32とを有する(図7参照)。上板31は、背板30の上端における長手方向の両端部を除く部分から背板30の法線方向に沿って前方へ突出するように形成されている。下板32は、背板30の下端における長手方向の両端部を除く部分から背板30の法線方向に沿って前方へ突出するように形成されている。ここで、器具本体3は、背板30の上板31及び下板32と繋がっていない部分と、上板31と、下板32とで第1本体部3Aを構成し、第1本体部3Aを除く背板30の左右両端部分で第2本体部3Bを構成している(図7参照)。
背板30は、複数(例えば、4つ)の長孔を有している。複数の長孔は、背板30の長手方向に沿って間隔を空けて設けられている。複数の長孔の各々には、踊り場の壁(コンクリート壁)に埋設されている複数のアンカーボルトが1つずつ挿通される。そして、複数のアンカーボルトの各々にナットが締め付けられることによって、器具本体3がコンクリート壁に固定される。また、背板30の長手方向のほぼ中央に、複数(図示例では2つ)の丸孔301が長手方向に並ぶように設けられている。これらの丸孔301は、常用電源4からの給電用の電源線が挿通される。さらに、背板30の前面における丸孔301の近傍には、端子台33が取り付けられている。端子台33には、丸孔301から引き込まれる電源線が電気的に接続される。
二次電池63は、背板30の前面における左端の部位に取り付けられている。
非常用電源ユニット60は、例えば、第1本体部3Aと右側の第2本体部3Bに跨がって、背板30の前面における右端の部位に取り付けられている。
第1点検スイッチSW1及び第2点検スイッチSW2は、合成樹脂製の箱体40に収容されている。箱体40内には、第1点検スイッチSW1及び第2点検スイッチSW2の他に、表示部を構成するLED(表示用LED)、赤外線を媒体とするワイヤレス信号を受信する受光素子等が収容されている。箱体40は、下板32の左端近傍に取り付けられている。箱体40の下壁には、第1点検スイッチSW1の押釦を露出させる第1孔401が形成されている。また、箱体40の下壁には、第2点検スイッチSW2の押釦を露出させる第2孔402が形成されている。また、箱体40の下壁には、表示用LEDを露出させる第3孔403が形成されている。また、箱体40の下壁には、ワイヤレス信号を通す孔404が形成されている。非常用電源ユニット60は、受光素子で点検の開始を指示するワイヤレス信号を受信した場合、制御回路66が受光素子から点検信号を取得するように構成されていてもよい。
人検知ユニット70は、電波センサ71と、センサ取付台72と、を備える。電波センサ71は、ミリ波帯の電波を媒体として人(移動体)を検知し、人を検知したときに人検知信号を制御ユニット50に出力するように構成されている。センサ取付台72は、電波センサ71を保持し、器具本体3の下板32における長手方向の中央に取り付けられる。
制御ユニット50は、常用電源4から給電されて動作する。制御ユニット50は、人検知ユニット70の電波センサ71から出力される人検知信号に応じて、光源ユニット1を制御するように構成されている。制御ユニット50は、人検知ユニット70から人検知信号が出力されているとき、光源ユニット1に、定格点灯するように指示するための調光信号を出力する。また、制御ユニット50は、人検知信号が出力されなくなってから所定の待機時間(例えば、数十秒から数分)が経過したとき、光源ユニット1の常時用光源10を所定の調光レベル(例えば、50%)で点灯させるように指示するための調光信号を出力する。ただし、制御ユニット50は、常用電源4が停電したときは全ての動作を停止する。
光源ユニット1は、常時用光源10(以下、「LEDモジュール10」とも称する)と、LEDモジュール10が取り付けられる取付部材11と、LEDモジュール10を覆うようにして取付部材11に取り付けられるカバー12と、を備える。また、光源ユニット1は、電源装置5を含む電源ユニット13を備える。
LEDモジュール10は、長尺の矩形板状の実装基板102を備える。実装基板102は、その前面に複数のLED101が左右方向(長手方向)に沿って1列に並ぶように実装されている。実装基板102は、例えば、左側の端部にコネクタが実装されている。このコネクタは、実装基板102に形成されている導体部と、電源ユニット13の出力線とを電気的に接続するように構成されている。LEDモジュール10は、その光軸が正面方向(前方)となるように配置される。
取付部材11は、長尺かつ矩形板状に形成された底板110と、底板110の上端及び下端からそれぞれ後方に突出する一対の側板111と、を有する。
電源ユニット13は、取付部材11の後面側において、例えば、ねじ等を用いて側板111に取り付けられている。
カバー12は、透光性を有する合成樹脂(例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等)により形成されている。
光源ユニット1は、器具本体3の第1本体部3Aに取り付けられている。
2つの非常用光源ユニット2の各々は、非常用光源20(以下、「非常用LEDモジュール20」とも称する)と、取付台21と、カバー22と、を備える。
2つの非常用光源ユニット2のうち左側の非常用光源ユニット2は、器具本体3の左側の第2本体部3Bに取り付けられている。右側の非常用光源ユニット2は、器具本体3の右側の第2本体部3Bに取り付けられている。
非常用LEDモジュール20は、取付台21にねじ等によって取り付けられている。非常用LEDモジュール20は、その光軸に沿った方向が斜め下方となるように配置される。これにより、照明器具9では、非常用LEDモジュール20から放射された光が床面へ照射される。
取付台21は、アルミダイカストによって形成されている。2つの取付台21のうち左側の取付台21は、器具本体3の左側の第2本体部3Bに取り付けられている。2つの取付台21のうち右側の取付台21は、器具本体3の右側の第2本体部3Bに取り付けられている。
カバー22は、板金製である。カバー22には、円形の窓孔2230が形成されている。窓孔2230は、非常用光源ユニット2のレンズ201を挿通可能な大きさに形成されている。カバー22は、窓孔2230にレンズ201を挿通して取付台21に装着されている。
非常用光源ユニット2は、取付台21及びカバー22が器具本体3の背板30にねじ止めされることで器具本体3の第2本体部3Bに取り付けられている。
ところで、特許文献1に記載された照明器具は、点検スイッチが操作されても常時用光源が点灯したまま、非常用光源が点灯する構成となっている。このため、点検者が、非常用光源による床面の照度を点検することが難しかった。これに対して、点検スイッチを、常用電源を遮断するスイッチにより構成した場合、点検スイッチにおける電気絶縁距離を長くする必要があり、点検スイッチが大きくなってしまう。このため、光源をLED光源により構成しても、照明器具の小型化及び薄型化が難しくなる場合がある。
本実施形態の照明装置8は、常用電源4から電源装置5に給電されている状態で、非常用点灯装置6の制御回路66に点検信号が入力されると、制御回路66が電源装置5へ指示信号を出力して常時用光源10を消灯させることが可能である。ここにおいて、照明装置8は、非常点灯回路65により非常用光源20を点灯させることが可能である。よって、照明装置8の点検者は、常時用光源10が消灯しかつ非常用光源20が点灯した状態で、床面の照度を照度計により測定することが可能である。したがって、照明装置8を備える照明器具9では、常用電源を遮断するスイッチにより点検スイッチを構成した照明器具と比べて、小型化及び薄型化を図ることが可能となる。照明装置8では、電源装置5における制御回路54が、調光信号を取得する調光信号取得部を有している。また、照明装置8では、非常用点灯装置6における制御回路66が、常時用光源10を消灯させるための調光信号と同一の信号である指示信号を送出する指示信号送出部を有している。
以上説明した本実施形態の照明装置8は、常時用光源10と、非常用光源20と、常用電源4から給電され常時用光源10を点灯させる電源装置5と、常用電源4が停電しているときに非常用光源20を点灯させる非常用点灯装置6と、を備える。電源装置5は、外部(制御装置100)から取得した調光信号で指示される調光レベルに基づいて常時用光源10を調光し、かつ、常時用光源10を消灯するように構成されている。非常用点灯装置6は、二次電池63と、常用電源4から給電されて二次電池63を充電する充電回路64と、常用電源4が停電したときに二次電池63から給電され非常用光源20を点灯させる非常点灯回路65と、制御回路66と、を有する。制御回路66は、常用電源4から給電されているときに取得した点検信号に応じて非常点灯回路65に非常用光源20を点灯させ、かつ電源装置5へ常時用光源10の消灯を指示する指示信号を出力するように構成されている。指示信号は、常時用光源10を消灯させるための調光信号と同一の信号である。
以上の構成により、照明装置8では、非常用光源20による床面の照度を容易に点検することが可能となる。例えば、点検者は、照度計により床面の照度(水平面照度)を測定することで、床面の照度が所定照度以上であるか否かを点検することが可能となる。要するに、点検者は、照度計により、常時用光源10を消灯させかつ非常用光源20を点灯させた状態で、床面の照度として所定照度を確保できるか否かを点検することが可能となる。
照明装置8では、電源装置5が外部(制御装置100)から取得する調光信号は、デューティ比で前記調光レベルを指示するデューティ信号である。電源装置5は、デューティ信号のデューティ比が所定範囲のときに常時用光源10を消灯させるように構成されている。制御回路66は、指示信号としてデューティ比が所定範囲のデューティ信号を出力するのが好ましい。これにより、照明装置8では、電源装置5に指示信号を取得するための専用の回路等を設ける必要がなく、電源装置5の回路設計が容易になる。
照明装置8は、調光信号の伝送経路151に設けられたダイオードD21(第1ダイオード)と、指示信号の伝送経路152に設けられたダイオードD14(第2ダイオード)と、を備えるのが好ましい。これにより、照明装置8は、調光信号が非常用点灯装置6へ回り込むのを抑制することが可能となり、かつ、指示信号が外部(制御装置100)へ回り込むのを抑制することが可能となる。
制御回路66は、常用電源4から給電されているときに取得した電池容量点検信号に応じて非常点灯回路65に非常用光源20を一定時間点灯させ、二次電池63の電圧を監視することにより二次電池63の点検を行う二次電池点検機能を有する。また、制御回路66は、常用電源4から給電されているときに取得した電池容量点検信号に応じて指示信号を出力するように構成されている。これにより、照明装置8は、電池容量点検信号を取得したときに二次電池63の点検を行うことができ、かつ、非常用光源20を消灯させることが可能となる。
制御回路66は、常用電源4が停電したときには二次電池63から給電され、かつ、点検信号を受信したときに常用電源4から給電されている場合のみ、指示信号を出力する。これにより、照明装置8は、指示信号を出力するための電源を、二次電池63からではなく、常用電源4から得るので、二次電池63の容量の低下を抑制することが可能となる。よって、照明装置8では、二次電池点検機能により二次電池63の点検を行う際に、常用電源4が停電して非常用光源20を点灯させたときの状態に近い状態で、二次電池63の点検を行うことが可能となる。
実施形態の変形例に係る照明装置8では、電源装置5が外部(制御装置100)から取得する調光信号は、直流電圧レベルで調光レベルを指示する直流電圧信号である。ここにおいて、調光信号は、例えば、図8に示すような直流電圧信号である。制御回路54は、外部(制御装置100)からの調光信号である直流電圧信号のレベルに応じた光出力で常時用光源10が点灯するように降圧チョッパ回路53を制御する。制御回路54は、図8に示すように、直流電圧信号の直流電圧レベルが大きいほど、降圧チョッパ回路53から常時用光源10へ供給させる電流(降圧チョッパ回路53の出力電流)を低下させる。要するに、制御回路54は、直流電圧信号の直流電圧レベルが大きいほど、常時用光源10の光出力を低下させる。制御回路54は、直流電圧信号の直流電圧レベルが所定範囲(例えば、4.5〜5V)の場合、光出力を0とする(調光レベルを0%とする)ように降圧チョッパ回路53から常時用光源10への電流の供給を停止させる。言い換えれば、制御回路54は、常時用光源10を消灯させるように降圧チョッパ回路53の動作を停止させる。要するに、電源装置5は、直流電圧信号の直流電圧レベルが所定範囲のときに常時用光源10を消灯させるように構成されている。
実施形態の変形例に係る照明装置8では、電源装置5は、直流電圧信号の電圧レベルが所定レベル範囲のときに常時用光源10を消灯させるように構成されている。制御回路66は、指示信号として電圧レベルが所定レベル範囲の直流電圧信号を出力する。これにより、照明装置8では、電源装置5に指示信号を取得するための専用の回路等を設ける必要がなく、電源装置5の回路設計が容易になる。
上述した実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論のことである。
照明装置8は、階段灯に限らず、例えば、天井等に設置される照明器具に用いることができる。照明装置8を備える照明器具は、照明装置8を保持する器具本体あるいは筐体を備えるのが好ましい。