JP6703930B2 - 操作ハンドル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、旅行時等において衣類等の荷物を収容して持ち運ぶキャリーケース等に取付けられる操作ハンドル装置に関する。
この種の操作ハンドル装置が、下記特許文献1に提案されている。特許文献1では、牽引ハンドルシステムと称される操作ハンドル装置を、キャリーケース本体に取付けて、その牽引に用いる構成が挙げられている。特許文献1に記載された操作ハンドル装置は、キャリーケース本体に一対で取付けられたアーム(この場合では「支柱」と称している)と、アームの先端に回動可能に取付けられたハンドルアッセンブリとを備えている。
特許文献1に記載された操作ハンドル装置では、キャリーケース本体に対するアームの伸縮のロックおよびロック解除、アームに対するハンドルアッセンブリの回動のロックおよびロック解除が、ハンドルアッセンブリに設けられた操作部材(この場合では「押しボタン」と称している)で行えるよう構成されている。
特開2005−137902号公報
特許文献1に記載の操作ハンドル装置では、ハンドルアッセンブリはアームの先端に取付けられており、ハンドルアッセンブリの回動のロックおよびロック解除が、操作部材の操作で行えるよう構成されている。換言すれば、この操作ハンドル装置では、アームを回動させることはできず、アームの先端でハンドルアッセンブリのみを回動させる構成である。
そこで本発明は、操作部材の操作により、アームの伸縮のロックおよびロック解除、アームの回動のロックおよびロック解除ができる操作ハンドル装置の提供を課題とする。
本発明の操作ハンドル装置は、長手方向一端側が被取付体に回動中心機構を介して回動可能に取付けられるアームと、該アームの最伸長姿勢および最短縮姿勢の少なくとも二つの姿勢の何れかを保持するべく移動可能な保持部材と、
前記回動中心機構に係脱自在に移動可能な係脱部材と、前記保持部材の移動距離に対応した距離、および前記係脱部材の移動距離に対応した所定距離だけ移動可能な操作部材と、該操作部材を所定の方向に移動させる移動操作により、前記保持部材の移動動作と前記係脱部材の移動動作を連繋させる連繋手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の操作ハンドル装置によれば、操作部材の操作により、アームの伸縮のロックおよびロック解除、アームの回動のロック、およびロック解除ができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る操作ハンドル装置をキャリーケース本体に取付けた場合の説明図であり、(a)は全体側面図、(b)は全体平面図、(c)は全体正面図を表す。 図2は、操作ハンドル装置の内部構造の全体図であり、アームの最短縮姿勢を表しており、(a)は全体正面図、(b)は全体側面図である。 図3は、操作ハンドル装置の内部構造の一部を表す拡大正面図であり、アームの最短縮姿勢を表している。 図4は、同拡大側面図であり、アームの最短縮姿勢を表している。 図5は、被係止体の拡大図である。 図6は、操作ハンドル装置の内部構造の一部を表しており、アームの最伸長姿勢を表している。 図7は、同側面図であり、アームの最伸長姿勢を表している。 図8は、操作ハンドル装置の内部構造の一部を表す拡大正面図であり、アームの最短縮姿勢を表し、且つ操作部材の保持解除位置を表している。 図9は、回動中心機構および連繋手段の構成の説明図であり、係脱部材が回動中心機構の被係止体に係止した接触位置を表し、連繋手段の規制体が係脱部材に対して離間した状態を表している。 図10は、連繋手段の構成の説明図であり、外側アーム部材における平面断面図である。 図11は、図9の位置にある被操作杆に対し、被操作杆が長手方向他方側へ移動した状態での、回動中心機構および連繋手段の構成の説明図である。 図12は、図11の位置にある被操作杆に対し、被操作杆が長手方向他方側へ移動した状態であり、連繋手段の規制体が係脱部材に係止し、係脱部材が回動中心機構の被係止体から外れた離脱位置を表している。 図13は、保持部材の突出位置と、操作部材の基準位置を表した説明図である。 図14は、保持部材の突出位置と、操作部材の係止解除位置を表した説明図である。 図15は、キャリーケースの運搬状態の一例を表す説明図である。 図16は、本発明の別の実施形態に係る操作ハンドル装置における係脱部材の単体側面図である。 図17は、同係脱部材の単体背面図である。 図18は、同規制体の単体側面図である。 図19は、同操作ハンドル装置の内部構造を表す側面図であり、アームの最短縮姿勢を表している。 図20は、同側面図であり、アームの最伸長姿勢を表している。
以下、本発明の一実施形態に係る操作ハンドル装置を、被取付体であるキャリーケース本体に取付けた例を挙げ、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、キャリーケース1は、キャリーケース本体2および操作ハンドル装置3を備えている。キャリーケース本体2は、上下方向高さH、前後方向幅Frに比べて厚みを小さくした直方体形状に形成されている。キャリーケース本体2の内部は、衣服等を収容する収容空間とされ、キャリーケース本体2の下部前後左右の隅部に、キャスタ(符合省略)が取付けられている。
図1(c)に示すように、操作ハンドル装置3は、全体として門型に形作られている。図1(b)に示すように、キャリーケース本体2の厚み方向Tの各端に、操作ハンドル装置3のアーム4,4の長手方向一端側がそれぞれ取付けられている。両アーム4,4の長手方向他端側どうしが把持ハンドル5により連結されている。図1(a)に示すように、各アーム4,4はその長手方向に伸縮可能であり、回動中心機構6を介してキャリーケース本体2に対して回動可能である。キャリーケース本体2の厚み方向Tの各端は、この場合、キャリーケース本体2の上部且つ後方部である。
この上部且つ後方部である隅部に、回動中心機構6(例えば、図2参照)が備えた回動中心軸7が、キャリーケース本体2の厚み方向Tに挿通支持されている。この場合での、キャリーケース本体2に対する回動中心軸7の挿通状態は、キャリーケース本体2の厚み方向T全域に亘るのではなく、例えば側壁を挿通するに留まる。
キャリーケース本体2は、その上部に、操作ハンドル装置3を回動中心軸7回りに倒した際に、両アーム4,4と把持ハンドル5が収容される凹部2Aが形成されている。キャリーケース本体2は、対向する左右側面のうち何れか、または双方の側面2Bに、内部の収容空間を開放させるスライド・ファスナ8が、縫着により設けられている。
図2ないし図4に示すように、操作ハンドル装置3は、ハンドル本体10と、回動中心機構6と、被操作杆11と、保持部材12と、保持用ばね体13と、係脱部材14と、係止用ばね体15と、連繋手段16と、操作部材17とを備える。これら回動中心機構6、被操作杆11、保持部材12、保持用ばね体13、係脱部材14、係止用ばね体15、連繋手段16、および操作部材17は、それぞれ一対で設けられている。
図2に示すように、ハンドル本体10は、一対のアーム4,4と把持ハンドル5とを備える。これらアーム4,4の長手方向一端側(長手方向基端側であり、回動中心機構6側)は、キャリーケース本体2に、回動中心機構6を介して回動可能に取付けられている。アーム4,4どうしは平行に配置されている。これらアーム4,4は、それぞれ外側アーム部材18と、外側アーム部材18の長手方向に移動可能な内側アーム部材19とを有する。各アーム4,4の構成は同一なので、以下の説明では片側のアーム4、および片側のアーム4が備える構成について説明する。
図3に示すように、外側アーム部材18および内側アーム部材19は、何れも角筒状(パイプ状)に形成され、且つ杆状に形成されている。内側アーム部材19における長手方向に直交する方向の断面積は、外側アーム部材18における長手方向に直交する方向の断面積より小さく設定されている。
図3ないし図7に示すように、アーム4は、最短縮姿勢と最伸長姿勢とに切替え自在に構成されている。最短縮姿勢とは、図3および図4に示すように、アーム4が最大限に短縮された状態である。具体的には、最短縮姿勢とは、内側アーム部材19が外側アーム部材18に同心の状態で最大限に収容された状態である。最伸長姿勢とは、図5および図6に示すように、アーム4が最大限に伸長した状態である。具体的には、最伸長姿勢とは、内側アーム部材19が外側アーム部材18に同心の状態で外側アーム部材に対してその長手方向に最大限に突出した状態である。最短縮姿勢および最伸長姿勢における内側アーム部材19の位置は、規制手段により決定される。
外側アーム部材18における、外側アーム部材18どうし対向面18Aには、保持部材12を出退させ得る係止孔18aが形成されている。係止孔18aは、外側アーム部材18の長手方向に所定間隔だけ離間して、複数箇所(この場合、三箇所以上)に形成されている。係止孔18aどうしは、長手方向に沿う同一直線上に配置されている。
外側アーム部材18および内側アーム部材19は、アーム4を最短縮姿勢および最伸長姿勢とするよう内側アーム部材19の移動量を規制する、規制手段を備えている。該規制手段は、外側アーム部材18の内側の一端側に固定された一端側ストッパ20と、外側アーム部材18の内側の他端側に設けられた他端側ストッパ21と、内側アーム部材19の一端側に固定された内ストッパ22とを備える。
一端側ストッパ20は、直方体状に形成されており、内ストッパ22の一端側を受けることのできる一端受面20aを備える。他端側ストッパ21は、内ストッパ22を受ける他端受面21aを備える。内ストッパ22は、一端受面20aに当接するよう受けられる一端側当接面22a、および他端受面21aに当接するよう受けられる他端側当接面22bを備える。一端側当接面22aおよび他端側当接面22bは、平面である。前記規制手段のうち、他端側ストッパ21は、外側アーム部材18の他端側を縮径してなる鍔状部材である。この鍔状部材の一端側面が他端受面21aである。
回動中心機構6は減速機能を備えた歯車機構である。回動中心機構6は複数の歯車からなる歯車群を構成する大径平歯車25と、中径平歯車26と、小径平歯車27とを備える。回動中心機構6は、被係脱手段30をさらに備え、回動中心機構6は、充実断面に形成された支持体31に配置支持されている。
大径平歯車25は、支持体31の一端側寄りに配置されており、アーム4の回動中心となる回動中心軸7回りに回転可能とされている。回動中心軸7の長手方向は、キャリーケース本体2の厚み方向Tに沿う。回動中心軸7は、支持体31を貫通して、支持体31に回転自在に支持されている。大径平歯車25は、回動中心軸7と一体的に回転するよう構成されている。小径平歯車27は、大径平歯車25と同一平面内に配置されている。小径平歯車27は、回動中心軸7と平行で、回動中心軸7に対して支持体31の他端側寄りに配置された中継軸32を回転中心として、中継軸32と一体的に回転するよう構成されている。中継軸32は、支持体31を貫通して、支持体31に回転自在に支持されている。中径平歯車26は、中継軸32と一体的に回転するよう構成されている。すなわち、小径平歯車27および中径平歯車26は、同心に配置されている。中径平歯車26は小径平歯車27に対して支持体31の厚み方向T中心寄りに配置されている。
被係脱手段30は、回転を許容されることで前記歯車群の回転を許容し、回転を阻止されることで、前記歯車群の回転を阻止させる機能を備える。被係脱手段30は、後述する係脱部材14の係止により回転を阻止され、係脱部材14の離脱により回転を許容される。
被係脱手段30は、被係止体33と、規制平歯車34と、規制軸35とを備える。被係止体33および規制平歯車34は、規制軸35とともに回転可能に構成されている。規制軸35は、回動中心軸7および中継軸32と平行に配置された支軸である。規制軸35は、支持体31を貫通して、支持体31に回転自在に支持されている。規制軸35は、回動中心軸7と平行である。被係止体33、規制平歯車34、および規制軸35は同心に配置されている。規制平歯車34は、中径平歯車26と同一平面に配置され、中径平歯車26に噛合している。なお、大径平歯車25および小径平歯車27は、外側アーム部材18の対向面18Aから幅方向内側に突出した位置に配置されている。中径平歯車26および規制平歯車34は、支持体31の対向面31Aと面一に配置されている。
被係止体33は、支持体31に内装され、その厚み方向T略中心に配置されている。図5に示すように、被係止体33は、一般的な平歯車に似て円板状に形成されている。被係止体33の外周面には、複数の被係止突起40が、周方向に等間隔に形成されている。周方向に隣合う被係止突起40どうしの間は、後述する係脱部材14の先端部14aを係止させる被係止溝41とされる。被係止体33の中心部には、規制軸35に嵌合する中心穴と、中心穴に連続して形成されたキー溝とが形成されている。中心穴とキー溝の符合は省略している。
被係止体33が一般的な平歯車と異なる構成は、図5に示すように、被係止突起40の形状であり、各被係止溝41の形状である。被係止突起40の形状と被係止溝41の形状は対応するため、便宜上、被係止溝41の形状を主に説明する。一つの被係止溝41は、径方向内方側面41a,41aと、径方向途中側面41b,41bと、径方向外方側面41c,41cにより形成されている。径方向内方側面41a,41a、径方向途中側面41b,41b、および径方向外方側面41c,41cは、何れも規制軸35に沿う平面である。
径方向内方側面41a,41aでは、径方向中心側が鈍角状に尖るよう傾斜して形成されている。径方向途中側面41b,41bでは、径方向途中部分までが径方向外方ほどわずかに互いに近付くよう形成されている。径方向外方側面41c,41cでは、径方向外方ほど互いに離間するよう傾斜されている。被係止突起40で対応させると、各被係止突起40は、径方向内方部40aを裾広がりに形成され、径方向途中部40bを括れ形状に形成され、径方向外方部40cを尖端状に形成されている。
このような被係止突起40を備えることで、係脱部材14の先端部14aは、周方向で隣合う被係止突起40,40の間の被係止溝41に挿入され易い。また、係脱部材14の先端部14aは、一つの被係止溝41に挿入されると、括れ形状の径方向途中部40bに確実に係止される。
前記規制手段のうち、内ストッパ22は、直方体形状に形成された他端側内ストッパ部22Bと、他端側内ストッパ部22Bに比べて大サイズの直方体形状に形成された一端側内ストッパ部22Aとを備える。一端側内ストッパ部22Aは、底壁220、天壁221、底壁220および天壁221を厚み方向T両側で連続させる側壁222,222を備えている。底壁220、天壁221、および側壁222,222は、何れも平板状に形成されている。
他端側内ストッパ部22Bは、一端側内ストッパ部22Aの天壁221に一体的に設けられている。内ストッパ22の一端側当接面22aは、一端側内ストッパ部22Aの底壁220において、一端側ストッパ20の一端受面20aと対向する平面である。内ストッパ22の他端側当接面22bは、一端側内ストッパ部22Aにおける、他端側ストッパ21の他端受面21aとアーム4の長手方向で対向する平面である。
前記規制手段のうち、一端側ストッパ20における一端受面20aは、一端側ストッパ20の天壁20Aにおける長手方向他方面である。
図6および図7に示すように、被操作杆11はアーム4の長手方向に延びており、その一端側に押圧部11Aを備えている。被操作杆11は、他端側に、後述する差渡部材45に挿通される被保持部11Bを備えている。被操作杆11は、内側アーム部材19の長さより長く形成されている。被操作杆11の押圧部11A以外の領域である本体部11Cは、同一断面である。本体部11Cは、長手方向に直交する断面を矩形に形成されている。本体部11Cが一端側内ストッパ部22Aの天壁221を挿通して、内ストッパ22内に押圧部11Aが配置されている。被操作杆11は、一端側内ストッパ部22Aの天壁221を挿通し、他端側ストッパ21を挿通することで、長手方向にのみ移動可能とされている。
押圧部11Aは、保持部材12を押圧操作する部分である。図4、図7に示すように、押圧部11Aは、本体部11Cから延長されて厚み方向Tに直交する前後方向に拡幅された拡幅部110を備える。押圧部11Aは、拡幅部110からさらに一端側に向けて延長されて保持部材12を直接的に押圧する押圧先端部112を備える。押圧先端部112は、拡幅部110から前後方向に位置ずれした位置で、長手方向に延長されている。押圧先端部112の最先端は傾斜面に形成されている。被保持部11Bは、本体部11Cの延長部分であり、内側アーム部材19の他端側からさらに突出し、後述する把持ハンドル5内に至る部分である。
図3に示すように、保持部材12は、アーム4の内方から外方へ突出し、外側アーム部材18の対向壁に係合可能である。保持部材12は、外側アーム部材18の対向壁に係合することで、アーム4の最伸長姿勢(図6参照)、およびアーム4の最短縮姿勢(図3参照)の少なくとも二つの姿勢のうち、何れかを保持するための部材である。
図3および図8に示すように、保持部材12は、前記係止孔18aに対して出退自在である。保持部材12は、係止孔18aから突出することで、外側アーム部材18に係止するピン体である。保持部材12は、厚み方向Tを長手方向として、一端側内ストッパ部22Aの底壁220に埋設されるよう収容されている。保持部材12は、底壁220に埋設された状態で、底壁220をガイドとして厚み方向Tに移動可能とされている。保持部材12は、その長手方向を、回動中心軸7に平行に配置されている。底壁220には、保持部材12を係止孔18aから突出する方向へ付勢する前記保持用ばね体13が収容されている。保持用ばね体13は、コイルばねである。
図4、図7、図9に示すように、係脱部材14は、アーム4の長手方向に沿った杆状に形成されている。係脱部材14の長手方向所定位置での断面は、矩形に形成されている。係脱部材14は外側アーム部材18に内装されている。係脱部材14の一端側は、アーム4に長手方向に沿って一端側ストッパ20に移動可能に挿通されている。係脱部材14の長手方向途中部分に、内ストッパ22(一端側内ストッパ部22Aおよび他端側内ストッパ部22B)が長手方向で移動可能に挿通されている。
係脱部材14の先端部14aは、尖端形状に形成されている。先端部14aは、被係止体33の被係止溝41(被係止突起40)のうちの何れかに係止可能である。係脱部材14は、後述する連繋手段16の規制体50が係止する係止部を備えている。係止部は係脱部材14の長手方向途中から他端側へ向けて形成されている。具体的に、係止部は鋸歯状に形成された、多数の係止歯14bである。
各係止歯14bは、三角形の凹部として形成されている。すなわち係止歯14bは、係脱部材14の外面に形成された傾斜面と、該傾斜面の端から立上がる係止面とを備えている(傾斜面および係止面の符合は省略している)。係脱部材14には、このような係止歯14bが、係脱部材14の長手方向に隣合わせるように連続して形成されている。
係脱部材14は、係止用ばね体15によって、先端部14aを被係止体33の被係止溝41に係止する方向である長手方向一方側へ向けて付勢されている。係止用ばね体15は、係脱部材14によって回動中心機構6を非回転に保持するよう、係脱部材14を接触位置に向けて付勢する機能を有する。係止用ばね体15は、一端側ストッパ20に内装されたコイルばねである。接触位置とは、被係止体33の被係止溝41に係脱部材14の先端が係止した状態にある、係脱部材14の位置である。係脱部材14が接触位置にあると、回動中心機構6がロックされて動作しない。
係脱部材14は、その長手方向途中に、係止用ばね体15の片側のばね座となるばね座環14Aを備えている。ばね座環14Aは、係脱部材14に固定されている。ばね座環14Aは、一端側ストッパ20に内装されている。片側のばね座に対向するばね座は、一端側ストッパ20の天壁20Aの裏面である。
図8、図9、図10に示すように、連繋手段16は、後に詳述する操作部材17を、他方向へ所定距離だけ移動させる移動操作に伴い、被操作杆11および係脱部材14を連繋させることで、被操作杆11および係脱部材14をともに他方向へ移動させて、接触位置にある係脱部材14を離脱位置とする機能を備える。離脱位置とは、被係止体33の被係止溝41から係脱部材14の先端が離脱した状態にある、係脱部材14の位置である。係脱部材14が回動中心機構6から離脱することで、回動中心機構6のロック状態が解除される。
連繋手段16は、規制体50と、連結部材51、接近用ばね52とを備える。規制体50は、係止歯14bに係脱自在な被係止歯50aを備える。連結部材51は、被操作杆11の拡幅部110と規制体50とを連結する。接近用ばね52は、被操作杆11を長手方向他方側へ向けて付勢し、且つ規制体50を係止歯14bに係止する方向(規制体50を係止歯14bに近付ける方向)に付勢する。
規制体50は、内ストッパ22に内装され、係脱部材14の側方に配置されており、直方体の板状に形成されている。規制体50において、係止歯14bに対向する面に、所定の数の係止歯14bに係脱自在な、所定の数の被係止歯50aが形成されている。被係止歯50aは、係止歯14bに対応した形状である三角形に形成されている。規制体50には、係止歯14bに対向する面に、このような被係止歯50aが連続して形成されている。
連結部材51は、リンク部材である。連結部材51は、長手方向一方側および長手方向他方側で対に設けられ、厚み方向Tで対に設けられている。各連結部材51は、拡幅部110側の端部、および規制体50側の端部にそれぞれ挿通するピン53を介して、拡幅部110、および規制体50に回動可能に連結されている。
前記操作部材17は、被操作杆11に差渡部材45を介して連結されている。操作部材17は、ユーザ55の手指により移動操作される部材である。差渡部材45は、把持ハンドル5に、その長手方向に直交する方向である長手方向一方側および長手方向他方側に移動可能に内装されている。把持ハンドル5は、角筒状(パイプ状)に形成されている。把持ハンドル5の長手方向両側には、内側アーム部材19の長手方向他方側端部を嵌合させるよう連結する連結部5Aが、内側アーム部材19に一体的に形成されている。
以上、片側のアーム4、および片側のアーム4が備える構成について説明した。操作ハンドル装置3では、上記のようなアーム4、およびアーム4が備える構成を厚み方向Tで対称に備えている。
門型のハンドル本体10は、内側アーム部材19の他端側が連結部5Aに連結され、把持ハンドル5およびアーム4が組合わされてなる。ハンドル本体10では、外側アーム部材18,18の対向面18A,18Aの離間距離が、キャリーケース本体2の厚みtに比べてわずかに大きく設定されている。差渡部材45は、把持ハンドル5の長手方向に沿って、把持ハンドル5と略等しい長さに設定されている。
操作部材17は、把持ハンドル5に取付けられている。操作部材17は、被操作杆11をアーム4の長手方向に沿って移動操作可能である。操作部材17は、差渡部材45を介して被操作杆11に連結されている。操作部材17は、把持ハンドル5の長手方向(厚み方向Tに相当する)の、中央部位の一方面および他方面に形成された装着切欠から露出するよう設けられている。操作部材17は、連繋手段操作部17Aと、保持解除操作部17Bとを備えて、一個設けられている。
連繋手段操作部17Aは、把持ハンドル5の一方面に形成された一方装着切欠5aに露出する。保持解除操作部17Bは、把持ハンドル5の他方面に形成された他方装着切欠5bに露出する。後に詳述するが、連繋手段操作部17Aを移動させることで、連繋手段16が操作され、保持解除操作部17Bを移動させることで、保持部材12が操作される。
操作部材17は、所定距離だけ、被操作杆11をアーム4の長手方向に沿って一方向および他方向に移動操作可能である。操作部材17は、連繋手段操作部17Aまたは保持解除操作部17Bを押すことで、長手方向に沿って移動する。この所定距離は、アーム4の内方に没した状態(後退した位置)にある保持部材12の後退位置と、外側アーム部材18に係止した状態にある保持部材12の突出位置との間の距離に対応した距離である。しかもこの所定距離は、係脱部材14の接触位置と、係脱部材14の離脱位置との間の距離に対応した距離である。
上記構成のキャリーケース1において、操作ハンドル装置3は、回動中心機構6が備えた回動中心軸7を、キャリーケース本体2の厚み方向Tに挿通支持させて取付けられている。キャリーケース1では、スライド・ファスナ8を開放することで、内部空間に衣類等を収容することができる。
キャリーケース1のユーザ55が、操作ハンドル装置3の把持ハンドル5を把持し、例えばキャリーケース本体2を前方へ押し、キャスタが床面を転動することで、キャリーケース本体2を運搬することができる。
このキャリーケース1では、キャリーケース本体2の上部且つ後方部である隅部に、回動中心機構6が備えた回動中心軸7が、厚み方向Tに挿通支持されている。すなわちキャリーケース本体2は、厚み方向Tに直交する方向である前方に押して運搬することができる。キャリーケース本体2は厚みtよりも前後方向の長さの方が長いから、ユーザ55はキャリーケース本体2を安定させた姿勢で押して運搬することができる。
本実施形態の操作ハンドル装置3は、操作部材17の操作により、アーム4の伸縮のロックおよびロック解除、ハンドル本体10(アーム4)の回動のロックおよびロック解除ができるよう構成されている。ユーザ55がキャリーケース本体2を運搬する際、ユーザ55の体型や運搬のし易さによって、ユーザ55は、アーム4の長さを変更したり、キャリーケース本体2に対するハンドル本体10の傾斜角度を変更したりすることができる。ユーザ55の体型等に応じてアーム4の長さを変更したり、ハンドル本体10の傾斜角度を変更したりすることで、運搬がし易くなる。
図3に示すように、アーム4が最短縮姿勢であり、操作部材17が基準位置にある場合、一端側内ストッパ部22Aの一端側当接面22aは、一端側ストッパ20の一端受面20aに当接している。連結部5Aの一端面5cは、他端側ストッパ21の他端面21bに当接している。ここで、操作部材17の基準位置とは、操作部材17が長手方向の何れにも移動していない位置であり、操作部材17の一方面が把持ハンドル5の一方面に面一であり、操作部材17の他方面が、把持ハンドル5の他方面に面一の位置である。
アーム4が最短縮姿勢で、操作部材17が基準位置にあるとき、保持部材12は係止孔18aに係合した突出位置にあり、係脱部材14はその先端を被係止体33の被係止溝41に係止させた接触位置にある。このため、アーム4は伸長も回動も不可能である。
ユーザ55が、アーム4を最短縮姿勢から最伸長姿勢とする場合の、操作ハンドル装置3の操作を説明する。アーム4において、外側アーム部材18に対して内側アーム部材19を長手方向に操作できない状態は、保持部材12が保持用ばね体13の弾性により付勢されて、係止孔18aに係止した突出位置にある場合である(例えば、図3参照)。したがって、アーム4を最短縮姿勢から最伸長姿勢とするには、保持部材12を係止孔18aからアーム4の内方へ後退させる必要がある。保持部材12を係止孔18Aからアーム4の内方へ後退させるには、ユーザ55が保持解除操作部17Bを、ユーザ55が保持解除操作部17Bを、長手方向一方側へ押圧する。
保持解除操作部17Bが長手方向一方側へ押圧されると、保持解除操作部17Bの移動に伴って差渡部材45が長手方向一方側へ移動し、差渡部材45の移動とともに被操作杆11が長手方向一方側へ移動する。被操作杆11の先端部(一端側)には押圧部11Aがあって、被操作杆11が長手方向一方側へ移動すると、押圧部11Aの傾斜面が、保持部材12の内方に設けられた被押圧部(符合省略)を、アーム4の内方に向けて押圧する。そうすると、被押圧部とともに保持部材12が係止孔18aに対しアーム4の内方に後退し、保持部材12がアーム4の内方に没した後退位置となる。
保持部材12が後退位置となると、保持部材12は内側アーム部材19を保持しなくなる。このため、内側アーム部材19は、外側アーム部材18に対して長手方向(長手方向他方側)へ移動でき、ユーザ55は把持ハンドル5を把持してアーム4を伸長させることができる。
ユーザ55がアーム4を伸長させている途中においても、保持部材12は保持用ばね体13によってアーム4の外方へ向けて付勢されている。このため、保持部材12は、外側アーム部材18の内面に当接して摺動する。図6に示すように、一端側内ストッパ部22Aの他端側当接面22bが他端側ストッパ21の他端受面21aに当接した時点で、保持部材12が、長手方向他方側端の係止孔18aに対応する位置に到達してその係止孔18aから突出し、外側アーム部材18に係止する。保持部材12は、係止孔18aに係止した突出位置にあることで、内側アーム部材19は長手方向に移動不可となる。
内側アーム部材19を長手方向他方側へ向けて移動させる際(長手方向一方側へ向けて移動させる際も同様)には、図8に示すように、操作部材17は、長手方向一方側へ向けて移動した保持解除位置とされる。しかしながら、保持部材12が係止孔18aに係止すること、すなわち、被押圧部が保持用ばね体13の弾性によりアーム4の外方へ向けて移動することにより、被操作杆11が長手方向他方側へ向けて押される。そうなると、差渡部材45が長手方向他方側へ向けて移動し、差渡部材45とともに操作部材17が長手方向他方側から長手方向一方側へ向けて移動し、図13に示すように、操作部材17が基準位置に復帰する。すなわち、操作部材17の保持解除位置は、保持部材12の後退位置に対応した位置である。
ユーザ55が、アーム4を最伸長姿勢から最短縮姿勢にしようとする場合では、再び保持解除操作部17Bを長手方向一方側へ向けて押す。そうすることで、保持部材12が突出位置から後退位置へ移動する。このため、アーム4を、外側アーム部材18に対して内側アーム部材19が最大限に収容された最短縮姿勢とすることができる。
アーム4の最伸長姿勢において、ユーザ55がハンドル本体10(アーム4)を、キャリーケース本体2に対して所望の角度に傾斜させる場合の、操作ハンドル装置3の操作を説明する。例えば、図3および図4を参照して、係脱部材14は係止用ばね体15の弾性により長手方向一方側へ付勢されており、操作部材17が基準位置にあるときには、係脱部材14は、その先端部14aを被係止体33の何れかひとつの被係止溝41(被係止突起40)に係止させた接触位置にある。このように、操作部材17の基準位置は、保持部材12の突出位置に対応した位置でもある。
係脱部材14の先端部14aが被係止体33の被係止溝41に係止していると、被係止体33は、規制軸35回りに回転不可能な状態にある。被係止体33の回転が阻止されていると、被係止体33と同軸にある規制平歯車34が回転不可能であり、規制平歯車34に噛合している中径平歯車26が回転不可能であり、中径平歯車26と同軸の小径平歯車27が回転不可能であり、小径平歯車27に噛合している大径平歯車25が回転不可能である。
大径平歯車25が回転不可能であると、キャリーケース本体2に取付けられている回動中心軸7が回転不可能であるから、ハンドル本体10がキャリーケース本体2に対して回転不可能である。すなわち、係脱部材14の先端部14aが被係止体33の被係止溝41に係止していると、ハンドル本体10がキャリーケース本体2に対して回転不可能である。
したがって、ハンドル本体10をキャリーケース本体2に対して回転可能とするためには、被係止体33を回転可能とする必要があり、被係止体33を回転可能とするためには、係脱部材14が接触位置から離脱位置となるよう、係脱部材14を操作する。このために、ユーザ55は、図14に示すように、操作部材17の連繋手段操作部17Aを、長手方向一方側から長手方向他方側へ向けて移動させて、操作部材17を係止解除位置とする。そうすると、操作部材17に連結された差渡部材45が長手方向他方側へ移動し、差渡部材45に連結されている被操作杆11が長手方向他方側へ移動する。
ところで、係脱部材14が接触位置にある場合、連繋手段16は次に説明する状態にある。すなわち、被操作杆11には、連繋手段16の連結部材51の一端がピン53を介して連結されており、連結部材51の他端は、ピン53を介して規制体50に連結され、規制体50は、接近用ばね52によって、被係止歯50aを係止歯14bに係止する方向に付勢されている。いっぽうで、図9、図11に示すように、規制体50の一端面は、一端側内ストッパ部22Aの底壁220の上面に当接していて、規制体50はそれ以上係脱部材14に接近するのを制限されている。このため、規制体50の被係止歯50aは、係止歯14bに係止していない。
このような連繋手段16の状態において、ユーザ55が、連繋手段操作部17Aを長手方向一方側から長手方向他方側へ向けて移動させ、操作部材17を係止解除位置とする。そうすると、被操作杆11が長手方向他方側へ移動する。被操作杆11が長手方向他方側へ移動すると、連繋手段16の連結部材51が、ピン53を中心として回動し、接近用ばね52の弾性に付勢されつつ長手方向他方側へ移動する。規制体50は、接近用ばね52の弾性により付勢されていることで、拡幅部110側のピン53回りに回動して係脱部材14にその側方から接近し、被係止歯50aが係止歯14bに係合する。
被係止歯50aが係止歯14bに係合すると、その係合力により、被操作杆11の移動に伴って、係脱部材14を長手方向他方側へ向けて移動させられる。ゆえに、係脱部材14の先端部14aが被係止体33の被係止溝41に対し、長手方向他方側へ外れ、係脱部材14が離脱位置に移動する。係脱部材14の先端部14aが被係止体33の被係止溝41から外れると、被係止体33は規制軸35回りに回転可能になる。
したがって、回動中心軸7がその軸心回り回転可能となり、ハンドル本体10がキャリーケース本体2に対して回転可能となる。このためユーザ55は、キャリーケース本体2の運搬に際して、ハンドル本体10をキャリーケース本体2に対し、ユーザ55にとって好みの角度に調節可能となる。
しかしながら、係脱部材14の先端部14aが被係止体33の被係止溝41に対して外れたままであると、ハンドル本体10をキャリーケース本体2に対し、ユーザ55にとって都合よい角度に調節しても、その角度が保持されない。そこでユーザ55は、操作部材17の保持解除操作部17Bを長手方向一方側に押し、操作部材17を基準位置に復帰させる。
操作部材17を、接近用ばね52の弾性に抗して基準位置まで移動させることで、その分だけ被操作杆11が長手方向一方側へ移動する。これに伴い、被操作杆11に連繋手段16を介して一体的に連繋されている係脱部材14は、長手方向一方側へ移動する。そうすると、規制体50が底壁220に当接し、規制体50が底壁220に沿ってアーム4の外方に向けて移動する。これにより、被係止歯50aが係止歯14bから離脱する。そうなると、係脱部材14は被操作杆11に対して長手方向に移動可能となり、長手方向一方側へ向けて移動して、先端部14aが、被係止体33の何れかの被係止溝41に係止する。先端部14aが被係止体33の被係止溝41に係止することで、被係止体33は回転不可能になり、キャリーケース本体2に対するハンドル本体10の傾斜角度が、ユーザ55の好みの角度に固定される。
なお、操作部材17を係止解除位置から基準位置まで移動させても、保持用ばね体13の弾性に抗して被押圧部を移動させない。このため、保持部材12は突出位置にあって、内側アーム部材19は長手方向に移動できない。すなわちアーム4では、最伸長姿勢が保持される。
被係止体33の外周部には、複数の被係止溝41が形成されている。このため、ユーザ55にとって都合のよいハンドル本体10の傾斜角度に対応するように、何れかの被係止溝41に係脱部材14の先端部14aが係止して、ハンドル本体10を固定することができる。
上記の説明では、ハンドル本体10をキャリーケース本体2に対して傾斜させる場合を説明している。しかしながら、ユーザ55は、ハンドル本体10を、キャリーケース本体2に対して必ずしも傾斜させる必要はない。具体的には、ユーザ55はハンドル本体10を、キャリーケース本体2の上下方向に沿わせて用いることもできる。
本実施形態のキャリーケース1では、ハンドル本体10を伸縮させることができるとともに、キャリーケース本体2に対する角度調整ができる。このため、図15に示すように、平坦な面を運搬するのみならず、ユーザ55が階段56においてキャリーケース1を運搬する場合には、キャスタを用いず、キャリーケース本体2を階段56に接触させるようにして運搬することができる。昇り階段、下り階段でハンドル本体10の傾斜角度を変更して用いることもできる。この際には、ユーザ55は、連繋手段操作部17Aを押す操作をすることで、ハンドル本体10の傾斜角度を容易に変更させられ、保持解除操作部17Bを押すことで容易にハンドル本体10の長さを変更させられる。
なお、キャリーケース本体2を階段56に接触させるようにして運搬する場合を想定すれば、キャリーケース本体2の外面(例えば角部)に、合成樹脂製の滑材を取付けておく構成を採用できる。該滑材を階段56に接触させるようにすれば、ユーザ55はキャリーケース1の運搬を楽に行える。
本実施形態の操作ハンドル装置3では、保持部材12がアーム4の内方に後退した後退位置にある場合、係脱部材14は接触位置にあって、回動中心軸7は回転不可能である。換言すれば、保持部材12の後退位置は、連繋手段16の規制体50が係脱部材14から離脱しており、係止歯14bと被係止歯50aとは噛合していない状態である。
すなわち、係脱部材14は係止用ばね体15の弾性により接触位置にあるから、回動中心軸7は回転不可能である。保持部材12がアーム4の内方に後退した後退位置にある場合として、ユーザ55が保持解除操作部17Bを長手方向一方側へ移動させた場合、ユーザ55が保持解除操作部17Bを長手方向一方側へ移動させて内側アーム部材19を外側アーム部材18に対して移動させている途中(保持部材12が外側アーム部材18の内面に当接している)の場合がある。
要するに、本実施形態に係る操作ハンドル装置3は、アーム4と、被操作杆11と、保持部材12と、保持用ばね体13と、係脱部材14と、係止用ばね体15と、連繋手段16と、操作部材17とを備えている。アーム4は、外側アーム部材18と外側アーム部材18の長手方向に移動可能な内側アーム部材19とを有する。アーム4は、その長手方向一端側がキャリーケース本体2に回動中心機構6を介して回動可能に取付けられている。被操作杆11は、アーム4の長手方向に沿って設けられ内側アーム部材19とともにアーム4の長手方向に沿って移動可能に構成されている。
保持部材12は、アーム4の最伸長姿勢、および最短縮姿勢の少なくとも二つの姿勢の何れかを保持する部材である。この場合、最伸長姿勢は、アーム4の内側から外側へ突出することで外側アーム部材18に係合して、外側アーム部材18に対して内側アーム部材19が長手方向に最大限に突出した状態である。最短縮姿勢は、外側アーム部材18に対して内側アーム部材19が長手方向に最大限に収容された状態である。
保持用ばね体13は、保持部材12が外側アーム部材18側に突出して外側アーム部材18に係止した突出位置に向けて保持部材12を付勢している。係脱部材14は、回動中心機構6に係脱自在である。係止用ばね体15は、係脱部材14が回動中心機構6に接触してこれを非回転に保持する接触位置となる方向に係脱部材14を付勢している。
操作部材17は、アーム4の長手方向に沿って一方向に移動した保持解除位置と、アーム4の長手方向に沿って他方向に移動した係止解除位置と、保持解除位置および係止解除位置の間の基準位置とに切替え可能に構成されている。すなわち操作部材17は、保持部材12がアームの内側に没するよう後退した後退位置と突出位置との間の距離に対応した距離だけ、被操作杆11をアーム4の長手方向に沿って一方向および他方向に移動操作可能に構成されている。また、操作部材17は、係脱部材14の接触位置と係脱部材14が回動中心機構6から離脱した離脱位置との間の距離に対応した所定距離だけ、被操作杆11をアーム4の長手方向に沿って一方向および他方向に移動操作可能に構成されている。この操作部材17は、被操作杆11に連結されている。
連繋手段16は、操作部材17を他方向へ所定距離だけ移動させる移動操作により、被操作杆11および係脱部材14を連繋させるよう構成されている。連繋手段16は、被操作杆11および係脱部材14を連繋させることで、被操作杆11および係脱部材14をともに他方向へ移動させて、接触位置にある係脱部材14を離脱位置とする機能を有する。
操作部材17の保持解除位置は、保持部材12の後退位置に対応し、操作部材17の係止解除位置は、係脱部材14の離脱位置に対応している。操作部材17の基準位置は、保持部材12の突出位置に対応し、且つ係脱部材14の接触位置に対応している。
上記構成において、係止用ばね体15の弾性により、係脱部材14が回動中心機構6を非回転に保持した接触位置にある状態で、操作部材17を所定距離だけ他方向へ移動させると、操作部材17の移動に伴い被操作杆11がアーム4の長手方向に沿って他方向へ移動する。操作部材17を所定距離だけ他方向へ移動させると、連繋手段16によって被操作杆11に係脱部材14が連繋して係脱部材14も他方向へ移動し、接触位置にある係脱部材14が離脱位置となる。係脱部材14が離脱位置となると、アーム4がその長手方向一端側を基準に、回動中心機構6を介して被取付体に回動可能となる。
上記構成において、操作部材17が保持解除位置にあるとき、保持部材12は後退位置にあってアーム4の伸縮を規制しない。操作部材17が係止解除位置にあるとき、係脱部材14は離脱位置にあって回動中心機構6の動きを規制しない。操作部材17が基準位置にあるとき、保持部材12は突出位置にあって外側アーム部材18側に突出して外側アーム部材18に係止することでアーム4の伸縮を規制する。操作部材17が基準位置にあるとき、係脱部材14は接触位置にあって回動中心機構6を非回転に保持する。
本発明に係る操作ハンドル装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、操作ハンドル装置をキャリーケースに用いた場合を説明した。しかしながら、本発明の操作ハンドル装置は、運搬台車、歩行補助車等の運搬具の操作ハンドル装置としてこれらに取付けることができる。また、自転車に敷設させて長さ変更および角度変更可能な操作ハンドル装置として用いることが考えられる。
キャリーケースやその他の運搬具に用いる場合、アームは一対で設けることに限定されず、一本であってもよい。上記連繋手段は歯どうしの係止により被操作杆と係脱部材とを連繋させる構成としたが、圧接により被操作杆と係脱部材とを連繋させる構成を採用することができる。
操作部材は、連繋手段操作部および保持解除操作部を一体的に設けてなる構成を説明した。しかしながら、差渡部材を操作するためには、別体であってもよい。さらに、連繋手段操作部および保持解除操作部は一個に限定されず、特に連繋手段操作部は、ユーザが握るという操作に着目して、把持ハンドルの長手方向に離間して配置する構成を採用できる。
上記実施形態では、係脱部材14の係止部として、鋸歯状に連続した多数の係止歯14bが形成されてなる場合を例示した。しかしながら、図16および図17に示すように、係止部は、係脱部材14の長手方向に離間し、その長手方向途中部分の二箇所に形成された係止歯60,61とすることもできる。係脱部材14の長手方向において、係止歯60,61どうしの離間距離は、アーム4の最短縮姿勢と最伸長姿勢の間の、内側アーム部材19の移動距離に対応する距離に設定されている。
各係止歯60,61は、三角形の凹部として形成されている。すなわち各係止歯60,61は、係脱部材14の外面に形成された傾斜面60a,61aと、傾斜面60a,61aの端から立上がる係止面60b,61bとを備えている。係止歯60,61どうしの離間距離Lは、係止面60b,61bの間の距離として特定される。なお、係止歯60,61の間は平坦面14cとされている。
図18ないし図20に示すように、規制体62は、内ストッパ22に内装され、係脱部材14の側方に配置されており、直方体の板状に形成されている。規制体62において、係止歯60,61に対向する面に、規制体62の位置に応じて何れかの係止歯60,61に係脱自在な被係止歯63が形成されている。被係止歯63は、それぞれの係止歯60,61に対応するよう、三角形に形成されている。規制体62には、係脱部材14に対向する面に、このような被係止歯63が一つ形成されている。
本実施形態では、係止孔18aは、アーム4の最短縮姿勢および最伸長姿勢に対応する位置にのみ形成されていればよい。したがって、本実施形態では、係止孔18aは、外側アーム部材18の二箇所に形成されている。他の部分の構成については、図1ないし図15に基づいて説明した前記実施形態と同様であるから、同一の符合を付してその説明を繰返さない。
上記構成の係脱部材14および規制体62が組込まれた操作ハンドル装置によれば、アーム4の最短縮姿勢において、規制体62の被係止歯63は、長手方向一方側(ばね座環14A側)の係止歯60に係止する。アーム4の最伸長姿勢において、規制体62の被係止歯63は、長手方向他方側の係止歯61に係止する。具体的には、被係止歯63は、係止歯60,61の係止面60b,61bの何れかに係止することで、内側アーム部材19の移動が規制される。
例えば、アーム4を最短縮姿勢から最伸長姿勢とするために、ユーザ55が外側アーム部材18に対して内側アーム部材19を移動させる際に、規制体62の被係止歯63は、係止歯60,61の間の平坦面14cに摺動しつつ移動する。被係止歯63が係止歯60,61の間の面を摺動しても、係止歯60,61の間は平坦面14cであるから、規制体62の移動中に、規制体62の挙動が抑えられる。また、係止歯60,61の間を平坦面14cとしていることで、被係止歯63が係止歯60,61の間を移動する際の摺動音を、確実に抑制することができる。
図16ないし図20に表した実施形態では、係止歯60,61は、アーム4の最短縮姿勢と最伸長姿勢に対応する位置である、二つの位置に配置した。しかしながら、例えば係止歯60,61の間の中間位置に、同じ構成(形状)の係止歯を、さらに一つ形成することもできる。この場合では、係止孔18aを、アーム4の最短縮姿勢、最伸長姿勢、およびその中間に対応する位置に形成しておくことで、アーム4を、最短縮姿勢、最伸長姿勢、およびその中間位置にある姿勢として用いることができる。他の作用効果は、上記各実施形態と同様であるので、その説明を繰返さない。
本発明の操作ハンドル装置は、外側アーム部材と該外側アーム部材の長手方向に移動可能な内側アーム部材とを有して長手方向一端側が被取付体に回動中心機構を介して回動可能に取付けられるアームと、該アームの長手方向に沿って設けられ前記内側アーム部材とともにアームの長手方向に沿って移動可能な被操作杆と、前記アームの内側から外側へ突出することで前記外側アーム部材に係合して、前記外側アーム部材に対して前記内側アーム部材が長手方向に最大限に突出した前記アームの最伸長姿勢、および前記外側アーム部材に対して前記内側アーム部材が長手方向に最大限に収容された前記アームの最短縮姿勢の少なくとも二つの姿勢の何れかを保持する保持部材と、該保持部材が前記外側アーム部材側に突出して該外側アーム部材に係止した突出位置に、該保持部材を付勢する保持用ばね体と、前記回動中心機構に係脱自在な係脱部材と、該係脱部材が前記回動中心機構に接触してこれを非回転に保持する接触位置となる方向に、該係脱部材を付勢する係止用ばね体と、前記保持部材が前記アームの内側に没した後退位置と前記突出位置との間の距離に対応した距離、且つ前記係脱部材の接触位置と前記係脱部材が前記回動中心機構から離脱した離脱位置との間の距離に対応した距離だけ、前記被操作杆を前記アームの長手方向に沿って一方向および他方向に移動操作可能であって、前記被操作杆に連結された操作部材と、該操作部材を他方向へ所定距離だけ移動させる移動操作により前記被操作杆および前記係脱部材を連繋させることで、前記被操作杆および前記係脱部材をともに他方向へ移動させて、前記接触位置にある前記係脱部材を前記離脱位置とする連繋手段とを備えている。
上記構成において、保持用ばね体の弾性により、保持部材がアームの内側から外側へ突出することで外側アーム部材に係合した突出位置にあると、内側アーム部材が外側アーム部材に対して伸縮不可能な状態に保持される。保持用ばね体の弾性に抗して操作部材を所定距離だけ一方向へ移動させると、操作部材の移動に伴い被操作杆がアームの長手方向に沿って一方向へ移動し、突出位置にある保持部材が後退位置となって、アームは最伸長姿勢と最短縮姿勢との間で、外側アーム部材に対して内側アーム部材が伸縮可能となる。
係止用ばね体の弾性により、係脱部材が回動中心機構を非回転に保持した接触位置にある状態で、操作部材を所定距離だけ他方向へ移動させると、操作部材の移動に伴い被操作杆がアームの長手方向に沿って他方向へ移動するとともに、連繋手段によって被操作杆に係脱部材が連繋して係脱部材も他方向へ移動し、接触位置にある係脱部材が離脱位置となって、アームがその長手方向一端側を基準に、回動中心機構を介して被取付体に回動可能となる。
本発明の操作ハンドル装置では、前記アームは平行に一対で離間して設けられ、該両アームの長手方向他端側どうしが把持ハンドルにより連結され、前記操作部材は前記把持ハンドルに設けられた構成を採用できる。
上記構成において、アームの長手方向一端側を、被取付体に回動中心機構を介して回動可能に取付け、操作部材を一方向に所定距離だけ移動してアームを伸縮させ、操作部材を他方向に所定距離だけ移動させて、アームを、回動中心機構を中心として回動させる。
本発明の操作ハンドル装置では、前記操作部材は、前記アームの長手方向に沿って一方向に移動した保持解除位置と、前記アームの長手方向に沿って他方向に移動した係止解除位置と、前記保持解除位置および前記係止解除位置の間の基準位置とに切替え可能に構成され、前記操作部材の保持解除位置は、前記保持部材の後退位置に対応し、前記操作部材の前記係止解除位置は、前記係脱部材の前記離脱位置に対応し、前記操作部材の前記基準位置は、前記保持部材の前記突出位置に対応し、且つ前記係脱部材の前記接触位置に対応する構成を採用できる。
上記構成において、操作部材が保持解除位置にあるとき、保持部材は後退位置にあってアームの伸縮を規制せず、操作部材が係止解除位置にあるとき、係脱部材は離脱位置にあって回動中心機構の動きを規制せず、操作部材が基準位置にあるとき、保持部材は突出位置にあって外側アーム部材側に突出して外側アーム部材に係止することでアームの伸縮を規制し、操作部材が基準位置にあるとき、係脱部材は接触位置にあって回動中心機構を非回転に保持している。
本発明の操作ハンドル装置では、前記操作部材は、前記把持ハンドルの一方側および他方側に一対で設けられた構成を採用できる。
上記構成において、操作部材を把持ハンドルの他方側から一方向へ移動させて保持解除位置とすることで、保持部材が突出位置から後退位置に移動し、操作部材を把持ハンドルの一方側から他方向へ移動させて係止解除位置とすることで、係脱部材が接触位置から離脱位置に移動する。
本発明の操作ハンドル装置では、前記回動中心機構は、前記アームの回動中心となる回動中心軸と、前記係脱部材が係止可能な被係止溝を外周部に備えて前記回動中心軸と平行に配置した支軸回りに回転可能な被係止体と、前記回動中心軸と前記支軸とを連結する歯車群とを備えた構成を採用できる。
上記構成において、係脱部材が被係止体の被係止溝に係止した接触位置にあれば、被係止体は回転不可能であり、歯車群の各歯車が回転不可能であり、アームは回動中心機構回りに回動不可能となる。係脱部材が被係止体の被係止溝から離脱した離脱位置にあれば、被係止体は回転可能であり、歯車群の各歯車が回転可能であり、アームは回動中心機構回りに回動可能となる。
1…キャリーケース、2…キャリーケース本体、3…操作ハンドル装置、4…アーム、5…把持ハンドル、5a…一方装着切欠、5b…他方装着切欠、6…回動中心機構、7…回動中心軸、10…ハンドル本体、11…被操作杆、11A…押圧部、11B…被保持部、12…保持部材、13…保持用ばね体、14…係脱部材、14a…先端部、14b…係止歯、15…係止用ばね体、16…連繋手段、17…操作部材、17A…連繋手段操作部、17B…保持解除操作部、18…外側アーム部材、18a…係止孔、19…内側アーム部材、20…一端側ストッパ、21…他端側ストッパ、22…内ストッパ、25…大径平歯車、26…中径平歯車、27…小径平歯車、30…被係脱手段、33…被係止体、34…規制平歯車、35…規制軸、40…被係止突起、41…被係止溝、45…差渡部材、50…規制体、50a…被係止歯、51…連結部材、52…係止ばね、Fr…前後方向幅、T…厚み方向

Claims (3)

  1. 長手方向一端側が被取付体に回動中心機構を介して回動可能でかつ長手方向に伸縮可能に取付けられるアームと、
    該アームの最伸長姿勢および最短縮姿勢の少なくとも二つの姿勢の何れかを保持するべく移動可能な保持部材と、
    前記回動中心機構に係脱自在に移動可能な係脱部材と、
    前記保持部材の移動距離に対応した所定距離だけ一方向に移動可能で、かつ、前記係脱部材の移動距離に対応した所定距離だけ前記一方向とは反対方向の他方向に移動可能な操作部材と、
    前記操作部材を前記一方向に所定距離だけ移動させることで前記アームを伸縮させ、かつ、前記操作部材を前記他方向に所定距離だけ移動させることで前記アームを前記回動中心機構を中心として回動させるように、前記保持部材の移動動作と前記係脱部材の移動動作を連繋させる連繋手段と、
    を備えたことを特徴とする操作ハンドル装置。
  2. 前記アームは、平行に一対で離間して設けられ、該両アームの長手方向他端側どうしが把持ハンドルにより連結され、前記操作部材は、前記把持ハンドルに設けられている請求項1に記載の操作ハンドル装置。
  3. 前記操作部材は、前記把持ハンドルの一方側の面で露出するとともに前記連繋手段を操作する連繋手段操作部と、前記把持ハンドルの他方側の面で露出するとともに前記保持部材を操作する保持解除操作部とが設けられている請求項2に記載の操作ハンドル装置。
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