特許文献1に記載の破砕機では、アキュムレータにその付勢力を蓄えつつ作動油を収容し、蓄えられた付勢力を用いて収容された作動油を導出することにより建設機械の動力損失の低減を図っているが、アキュムレータの付勢力を蓄えるためには油圧ポンプの動力が用いられる。
ここで、アキュムレータの付勢力は、収容される作動油の量が増加するほど大きくなるため、アキュムレータに十分な量の作動油を収容するために油圧ポンプの動力の消費が大きくなるという問題がある。
特に、ガス室の圧縮により蓄えられる付勢力を利用したアキュムレータは、蓄えられた作動油の量の増加に伴いガス室内の圧力が急激に上昇する特性を有するため、アキュムレータに十分な量の作動油を収容するための油圧ポンプの動力は非常に大きくなる。
本発明の目的は、駆動シリンダに作動油を給排するときの動力損失を効率よく低減することができる収容容器を有する破砕機及びこれを備えた油圧駆動装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、機体と前記機体に取り付けられた基端部を有する作業腕とを有する建設機械における前記作業腕の先端部に取り付けられる破砕機であって、前記作業腕に取り付けられる破砕機本体と、前記破砕機本体に設けられた第1破砕アームと、前記破砕機本体に対して回動可能に設けられた第2破砕アームと、その伸長動作により前記第2破砕アームの先端部が前記第1破砕アームの先端部に近接するとともにその縮小動作により前記第2破砕アームの先端部が前記第1破砕アームの先端部から離間するように、前記第2破砕アームを回動させる駆動シリンダと、前記駆動シリンダからの作動油を収容する収容室を有し、前記収容室の縮小に伴い当該収容室内の作動油を導出可能な収容容器と、を備え、前記収容容器は、容器本体と、前記容器本体との間で前記収容室を形成するとともに前記容器本体に対して相対変位可能に取り付けられた可動部材と、を有し、前記第1破砕アームに対する前記第2破砕アームの近接及び離間に応じて前記収容室が拡張及び縮小するように、前記容器本体及び前記可動部材の一方は、前記第2破砕アームに接続され、かつ、前記容器本体及び前記可動部材の他方は、前記第1破砕アーム及び前記破砕機本体の少なくとも一方に接続され、前記収容容器の収容室は、前記駆動シリンダのヘッド側室及びロッド側室のうち、前記収容室の縮小時に拡張しかつ前記収容室の拡張時に縮小する一方の室に接続され、前記駆動シリンダの一方の室の縮小時に付勢力を蓄えることなく前記駆動シリンダの動力を用いて前記駆動シリンダの一方の室から導出される作動油を前記収容室内に収容可能で、かつ、前記駆動シリンダの一方の室の拡張時に前記駆動シリンダの動力を用いて前記収容室内に収容された作動油を前記駆動シリンダの一方の室に供給可能である、破砕機を提供する。
本発明によれば、収容室を形成する別々の部材である容器本体及び可動部材の一方が第2破砕アームに接続されているとともに他方が第1破砕アーム及び破砕機本体の少なくとも一方に接続されている。これにより、第2破砕アームの回動による動力を利用して収容室を拡張及び縮小することができるため、収容室の拡張に応じて収容室内に作動油を蓄えることができるとともに収容室の縮小に応じて収容室内に蓄えられた作動油を導出することができる。
このように本発明によれば、付勢力を蓄えつつ作動油を収容するとともに蓄えられた付勢力を用いて作動油を導出する従来のアキュムレータと異なり、付勢力を蓄えることなく駆動シリンダの動力を用いて駆動シリンダから導出される作動油を収容し、収容された作動油を導出することができる。
さらに、収容室が駆動シリンダのヘッド側室及びロッド側室のうち収容室の縮小時に拡張しかつ収容室の拡張時に縮小する室に接続されているため、第2破砕アームの回動に応じて駆動シリンダと収容室との間で作動油を授受することにより作業腕に設けられた配管を通じて機体と破砕機との間で行き来する作動油の量を低減することができる。
したがって、本発明によれば、駆動シリンダに作動油を給排するときの動力損失を効率よく低減することができる。
具体的に、前記破砕機において、前記容器本体は、底部を有する筒状に形成され、前記可動部材は、前記底部と対向するとともに前記容器本体内に摺動可能に設けられ、前記収容容器は、前記底部を貫通して前記可動部材から前記収容室の外側まで延びる延出部材をさらに備えていることが好ましい。
この態様によれば、収容容器が、筒状の容器本体と当該容器本体内で摺動可能な可動部材と可動部材から容器本体の外側まで延びる延出部材とを有するシリンダ状に形成されている。
そのため、容器本体及び延出部材の一方を第2破砕アームに接続するとともに他方を第1破砕アーム及び破砕機本体の少なくとも一方に接続することにより、第2破砕アームからの動力を用いて効率的に収容室を拡張及び縮小することができる。
ここで、上記のように可動部材から容器本体の底部を貫通して容器本体の外側まで延びる延出部材を有するシリンダ状の収容容器においては、収容室内に延出部材の一部が存在するため、当該延出部材によって収容室の容積が制約される。
そこで、前記破砕機において、前記容器本体は、底部を有する筒状に形成され、前記可動部材は、前記底部と対向するとともに前記容器本体内に摺動可能に設けられ、前記収容容器は、前記可動部材から前記底部と反対側に向けて前記容器本体の外側まで延びる延出部材をさらに備えていることが好ましい。
この態様によれば、延出部材が可動部材から底部と反対側、つまり、収容室内を通過することなく容器本体の外側まで延びている。そのため、上記のように容器本体の底部を貫通する延出部材を有する収容容器と比較して収容室の容積を大きくすることができ、相対的に、必要な容積の収容室を持つ収容容器の小型化を図ることができる。
ここで、破砕シリンダの伸長時(第1破砕アームの先端部に対する第2破砕アームの先端部の近接時)に収容室が拡張するとともに破砕シリンダの縮小時に収容室が縮小するように収容容器が取り付けられていてもよい。しかし、この場合には、破砕シリンダからヘッド側室から多量の作動油が導出される破砕シリンダの縮小時に作動油を収容容器に収容することができない。
そこで、前記破砕機において、前記第1破砕アームの先端部に対する前記第2破砕アームの先端部の近接に応じて前記収容室が縮小するとともに前記第1破砕アームの先端部に対する前記第2破砕アームの先端部の離間に応じて前記収容室が拡張するように、前記容器本体及び前記可動部材の一方は、前記第2破砕アームに接続され、かつ、前記容器本体及び前記可動部材の他方は、前記第1破砕アーム及び前記破砕機本体の少なくとも一方に接続され、前記収容容器の収容室は、前記駆動シリンダのヘッド側室に接続されていることが好ましい。
この態様によれば、多量の作動油が導出される破砕シリンダの縮小時に当該作動油を収容容器に収容することができるため、動力損失をより効果的に低減することができる。
具体的に、前記可動部材から容器本体の底部を貫通して容器本体の外側まで延びる延出部材を有する破砕機において、前記第1破砕アームは、前記破砕機本体に対して回動可能に設けられ、前記破砕機は、その伸長動作により前記第1破砕アームの先端部が前記第2破砕アームの先端部に近接するとともにその縮小動作により前記第1破砕アームの先端部が前記第2破砕アームの先端部から離間するように、前記第1破砕アームを回動させる回動用シリンダをさらに備え、前記収容容器の収容室は、前記駆動シリンダ及び前記回動用シリンダのヘッド側室から導出された作動油を収容可能となるように前記駆動シリンダ及び前記回動用シリンダのヘッド側室に接続され、前記容器本体及び前記延出部材の一方は、前記第2破砕アームにおけるその回動中心よりも基端側の部分に接続され、かつ、前記容器本体及び前記延出部材の他方は、前記第1破砕アームにおけるその回動中心よりも基端側の部分に接続されていることが好ましい。
この態様によれば、収容容器が第2破砕アームにおけるその回動中心よりも基端側の部分と第1破砕アームにおけるその回動中心よりも基端側の部分とに亘って設けられている。ここで、両アームにおける各回動中心よりも基端側の部分は、当該両アームの先端部と逆向きに動作するため、当該両アームの先端部が互いに近接するときに両アームの基端側の部分は互いに離間する。
したがって、前記態様によれば、両アームの先端部が互いに離間するとき(駆動シリンダ及び回動用シリンダが縮小するとき)に収容室が拡張し、両アームが逆向きに動作すると収容室が縮小する。
これにより、両アームの先端部が互いに離間するときに駆動シリンダ及び回動用シリンダのヘッド側室から導出される作動油を収容容器内に収容するとともに、両アームの先端部が互いに近接するときに作動油を導出することができる。
しかも、前記態様によれば、収容容器が両アームの回動中心よりも基端側に設けられていることにより両アームの先端部によって行われる作業の邪魔にならない基端側の位置に収容容器を配置することができる。これにより、破砕機を用いた作業性も向上する。
また、前記可動部材から前記底部と反対側に向けて前記容器本体の外側まで延びる延出部材を有する破砕機において、前記第1破砕アームは、前記破砕機本体に対して回動可能に設けられ、前記破砕機は、その伸長動作により前記第1破砕アームの先端部が前記第2破砕アームの先端部に近接するとともにその縮小動作により前記第1破砕アームの先端部が前記第2破砕アームの先端部から離間するように、前記第1破砕アームを回動させる回動用シリンダをさらに備え、前記収容容器の収容室は、前記駆動シリンダ及び前記回動用シリンダのヘッド側室から導出された作動油を収容可能となるように前記駆動シリンダ及び前記回動用シリンダのヘッド側室に接続され、前記容器本体及び前記延出部材の一方は、前記第1破砕アームにおけるその回動中心よりも基端側の部分及び前記第2破砕アームにおけるその回動中心よりも基端側の部分にリンク機構を介してそれぞれ接続され、かつ、前記容器本体及び前記延出部材の他方は、前記破砕機本体における前記両回動中心よりも基端側の部分に接続され、前記リンク機構は、前記第1破砕アーム及び前記第2破砕アームの基端部が互いに近接する方向の力を前記延出部材が前記容器本体から伸びる方向の力に変換し、かつ、前記第1破砕アーム及び前記第2破砕アームの基端部が互いに離間する方向の力を前記延出部材が前記容器本体に対して縮む方向の力に変換することが好ましい。
この態様によれば、収容容器が両アームと破砕機本体とに亘って設けられているとともに、収容容器と両アームとの間にリンク機構が介在している。ここで、両アームにおける各回動中心よりも基端側の部分は、当該両アームの先端部と逆向きに動作するため、当該両アームの先端部が互いに近接するときに両アームの基端側の部分は互いに離間する。
したがって、両アームの基端部が互いに近接すると(駆動シリンダ及び回動用シリンダが縮小すると)延出部材が伸びて収容室が拡張し、両アームの基端部が互いに近接すると(駆動シリンダ及び回動用シリンダが伸長すると)延出部材が縮んで収容室が縮小する。
これにより、両アームの先端部が互いに離間するときに駆動シリンダ及び回動用シリンダのヘッド側室から導出される作動油を収容容器内に収容するとともに、両アームの先端部が互いに近接するときに作動油を導出することができる。
しかも、前記態様によれば、収容容器が両アームの回動中心よりも基端側に設けられていることにより両アームの先端部によって行われる作業の邪魔にならない基端側の位置に収容容器を配置することができる。これにより、破砕機を用いた作業性も向上する。
また、本発明は、前記破砕機と、前記機体に設けられ、前記駆動シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、前記機体に設けられ、前記駆動シリンダに対する作動油の給排を制御する制御弁と、備え、前記収容容器の収容室は、前記駆動シリンダのヘッド側室及びロッド側室のうち、前記収容室の縮小時に拡張しかつ前記収容室の拡張時に縮小する室に接続されている、油圧駆動装置を提供する。
本発明によれば、収容室の拡張に応じて駆動シリンダのヘッド側室又はロッド側室から導出される作動油を収容容器内に蓄えることができるとともに蓄えられた作動油をヘッド側室又はロッド側室に供給することができる。これにより、作業腕に設けられた配管内を流れる作動油の流量を低減することができる。
このように本発明によれば、付勢力を蓄えつつ作動油を収容するとともに蓄えられた付勢力を用いて作動油を導出する従来のアキュムレータと異なり、駆動シリンダの動力を用いて作動油の収容及び導出を行うことができるため、駆動シリンダと収容室との作動油の授受を効率よく行うことができる。
したがって、本発明によれば、作業腕に設けられた配管を通る作動油の量、すなわち、建設機械の動力損失を効率よく低減することができる。
さらに、本発明は、前記破砕機と、前記機体に設けられ、前記駆動シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、前記機体に設けられ、前記駆動シリンダに対する作動油の給排を制御する制御弁と、備え、前記収容容器の収容室は、前記駆動シリンダのヘッド側室に接続されている、油圧駆動装置を提供する。
本発明によれば、駆動シリンダの縮小時に当該駆動シリンダのヘッド側室から導出される作動油を収容容器内に蓄えることができるとともに蓄えられた作動油をヘッド側室に供給することができる。このようにロッド側室よりも多量の作動油を導出するヘッド側室と収容室との間で作動油の授受を行うことができるため、作業腕に設けられた配管内を流れる作動油の流量を効果的に低減することができる。
このように本発明によれば、付勢力を蓄えつつ作動油を収容するとともに蓄えられた付勢力を用いて作動油を導出する従来のアキュムレータと異なり、駆動シリンダの動力を用いて作動油の収容及び導出を行うことができるため、駆動シリンダと収容室との作動油の授受を効率よく行うことができる。
したがって、本発明によれば、作業腕に設けられた配管を通る作動油の量、すなわち、建設機械の動力損失を効率よく低減することができる。
前記油圧駆動装置において、前記破砕機は、前記制御弁と前記駆動シリンダのロッド側室とを接続するロッド側通路と前記制御弁と前記駆動シリンダのヘッド側室とを接続するヘッド側通路とを接続する第1再生通路に設けられ、前記ロッド側通路から前記ヘッド側通路に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制する第1再生弁をさらに備えていることが好ましい。
この態様によれば、駆動シリンダの伸長時に収容容器から導出される作動油に加えて駆動シリンダのロッド側室から導出される作動油もヘッド側室に供給することができるため、駆動シリンダを増速することができる。
ここで、上記のように駆動シリンダのヘッド側室に対して収容容器及びロッド側室からの作動油を再生する場合、駆動シリンダのロッド側室内の圧力が上昇するため、この圧力上昇によって駆動シリンダの推力がある程度の大きさで制約される。
そこで、前記油圧駆動装置において、前記破砕機は、前記ロッド側通路に設けられ、前記ヘッド側通路内の圧力が予め設定された再生カット圧力未満であるときに前記ロッド側通路から前記制御弁へ向けた作動油の流れを規制する一方、前記ヘッド側通路内の圧力が前記再生カット圧力以上であるときに前記ロッド側通路から前記制御弁へ向けた作動油の流れを許容する再生カット手段を備えていることが好ましい。
この態様によれば、ヘッド側通路内の圧力が再生カット圧力以上となったときにロッド側通路から制御弁(それに接続されたタンク)への作動油の流れが許容され、ロッド側室からヘッド側室への作動油の再生がカットされる。
これにより、駆動シリンダに対して大きな推力が要求されている状況において駆動シリンダのロッド側室の圧力を下げることができるため、駆動シリンダの推力を上昇させることができる。
ここで、再生カット時においても収容容器から導出された作動油のヘッド側通路への供給を継続してもよい。しかし、この場合、収容容器から駆動シリンダのヘッド側室に作動油を押し出すために駆動シリンダの推力の一部が用いられるため、駆動シリンダの推力をさらに上昇させることが難しい。
そこで、前記油圧駆動装置において、前記破砕機は、前記ヘッド側室と前記収容室とを接続するための貯留用通路に設けられ、前記ヘッド側通路内の圧力が前記再生カット圧力以下の圧力として予め設定された設定圧未満であるときに前記貯留用通路を通じた作動油の流れを許容する一方、前記ヘッド側通路内の圧力が前記設定圧以上であるときに前記貯留用通路を通じた作動油の流れを規制する高圧規制手段と、前記貯留用通路の前記高圧規制手段と収容室との間の部分と前記ロッド側通路とを接続する第2再生通路に設けられ、前記収容室から前記ロッド側通路に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制する第2再生弁と、をさらに備えていることが好ましい。
この態様によれば、駆動シリンダの伸長時においてヘッド側通路内の圧力が設定圧未満であるときには収容容器からヘッド側通路へ高圧規制手段を介して作動油を導くことができるとともに、ロッド側通路からヘッド側通路への作動油の再生が行われる。
そして、ヘッド側通路内の圧力が設定圧以上になると、高圧規制手段により貯留用通路を通じた作動油の流れが規制されることにより、収容容器がヘッド側通路から遮断されるとともに収容容器から導出される作動油が第2再生弁を介してロッド側通路へ導かれる。
そして、ヘッド側通路内の圧力が再生カット圧力以上になると再生カット手段によりロッド側通路から制御弁(タンク)への流れが許容されるため、収容容器から導出された作動油及び駆動シリンダのロッド側室から導出された作動油を制御弁(タンク)に導くことができる。
したがって、再生カット時において収容容器の収容室内の圧力を低減することにより当該収容容器から作動油を押し出すために用いられる駆動シリンダの推力を低減することができる。そのため、再生カット時においても収容容器から導出された作動油をヘッド側通路に供給する場合と比較して駆動シリンダの推力をより上昇させることができる。
一方、駆動シリンダの縮小時においては、ヘッド側通路内の圧力が設定圧未満となるため、駆動シリンダのヘッド側室から高圧遮断手段を介して収容容器に作動油を導いて、当該作動油を収容容器に蓄えることができる。つまり、『設定圧』は、駆動シリンダの縮小時におけるヘッド側通路内の圧力よりも高く設定されている。
本発明によれば、駆動シリンダに作動油を給排するときの動力損失を効率よく低減することができる。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<第1実施形態(図1〜図8)>
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る建設機械の一例としての解体機1は、クローラ2aを有する下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられたアタッチメント4と、を備えている。
アタッチメント4は、上部旋回体3に対して回動可能に取り付けられた基端部を有するメインブーム6と、メインブーム6の先端部に対して回動可能に取り付けられた基端部を有するインターブーム7と、インターブーム7の先端部に対して回動可能に取り付けられたアーム8と、アーム8の先端部に回動可能に取り付けられた破砕機9と、を備えている。
また、アタッチメント4は、上部旋回体3に対してメインブーム6を回動させるメインブームシリンダ10と、メインブーム6に対してインターブーム7を回動させるインターブームシリンダ11と、インターブーム7に対してアーム8を回動させるアームシリンダ12と、アーム8に対して破砕機9を回動させる破砕機用シリンダ13と、を備えている。
なお、下部走行体2及び上部旋回体3は、機体に相当し、メインブーム6、インターブーム7及びアーム8は、機体に取り付けられた基端部を有する作業腕に相当する。
図2を参照して、破砕機9は、アーム8の先端部に取り付けられた破砕機本体14と、破砕機本体14に対して回動可能に設けられた一対の破砕アーム15と、各破砕アーム15を回動させる一対の破砕シリンダ(駆動シリンダ及び回動用シリンダ)16と、破砕アーム15の回動に応じて作動油を出し入れ可能な収容容器17と、を備えている。
破砕機本体14は、アーム8の先端部に着脱可能に取り付けられた被取付部14aと、被取付部14aの先端部に設けられたシリンダ取付部14bと、シリンダ取付部14bから先端側に延びるアーム支持部14cと、を有する。被取付部14aは、水平軸(図2の紙面と直交する方向に延びる軸)を中心としてアーム8の先端部に対して回動可能に取り付けられている。シリンダ取付部14bは、前記水平軸と平行な軸J1を中心として回動可能な状態で破砕シリンダ16の基端部(ロッド側の端部)を支持している。アーム支持部14cは、軸J1と平行な軸J2、J3を中心として回動可能な状態で両破砕アーム15をそれぞれ支持している。軸J2、J3は、軸J1の先端側の位置に設けられている。
一対の破砕アーム15は、軸J2、J3によって支持された支持部分と、支持部分よりも先端側に配置された先端部と、支持部分よりも基端側に配置された基端部と、を有する。なお、両破砕アーム15の一方は第1破砕アームに相当し、他方は第2破砕アームに相当する。
各破砕シリンダ16は、その伸長動作(図3参照)により一方の破砕アーム15の先端部が他方の破砕アーム15の先端部に近接するとともに、その縮小動作(図2参照)により一方の破砕アーム15の先端部が他方の破砕アーム15の先端部から離間するように、一方の破砕アーム15を回動させる。具体的に、破砕シリンダ16の先端部(ヘッド側の端部)は、軸J1と平行な軸J4を中心として回動可能な状態で破砕アーム15の基端部に取り付けられている。
図4を参照して、収容容器17は、破砕シリンダ16からの作動油を収容する収容室S2を有し、収容室S2の縮小に伴い当該収容室S2内の作動油を導出可能である。具体的に、収容容器17は、容器本体18と、容器本体18との間で収容室S2を形成するとともに容器本体18に対して相対変位可能に取り付けられた可動部材19と、可動部材19から延びる延出部材20と、を備えている。
容器本体18は、円筒状の周壁部と、周壁部の一方の開口(図4の右側の開口)を閉じる底部と、周壁部の他方の開口(図4の左側の開口)を閉じる蓋部と、を有する。周壁部の底部側の端部には、周壁部の内部と外部とに繋がる連通部18aが形成されている。一方、周壁部の蓋部側の端部には、周壁部の内部と外部とに繋がる開放部18bが形成されている。
可動部材19は、容器本体18の底部と対向するとともに容器本体18内に摺動可能に設けられている。具体的に、可動部材19は、容器本体18の周壁部の内面との間における作動油の流通を規制するように当該内面に接触した状態で当該周壁部内に摺動可能に設けられている。これにより、容器本体18内には、可動部材19と底部との間に作動油を収容するための収容室S2が形成されているとともに、可動部材19と蓋部との間に開放部18bにより大気圧に開放された開放室S1が形成されている。
延出部材20は、容器本体18の底部を貫通して可動部材19から収容室S2の外側まで延びている。具体的に、延出部材20は、容器本体18の底部との間で作動油の流通を規制するように底部の貫通孔の内面に接触し、かつ、底部に対して摺動可能な状態で底部を貫通している。
そして、収容容器17は、図2〜図4に示すように、両破砕アーム15の基端部が互いに近接することに応じて収容室S2が拡張し、両破砕アーム15の基端部が互いに離間することに応じて収容室S2が縮小するように両破砕アーム15に亘って設けられている。具体的に、容器本体18の端部は、一方の破砕アーム15(右側の破砕アーム15)に対して軸J1と平行な軸J5を中心として回動可能な状態で当該一方の破砕アーム15の基端部に取り付けられている。また、延出部材20の端部は、他方の破砕アーム15(左側の破砕アーム)に対して軸J1と平行な軸J6を中心として回動可能な状態で当該他方の破砕アーム15の基端部に取り付けられている。
したがって、図2に示すように両破砕シリンダ16が縮小して両破砕アーム15の先端部が互いに離間するときに収容容器17における収容室S2は拡張するため、両破砕シリンダ16のヘッド側室から導出される作動油を収容室S2に収容することができる。一方、図3に示すように両破砕シリンダ16が伸長して両破砕アーム15の先端部が互いに近接するときに収容容器17における収容室S2は縮小するため、収容室S2から導出される作動油を両破砕シリンダ16のヘッド側室に供給することができる。
以下、この点を説明するために、解体機1に設けられた油圧回路5の構成について図5を参照して説明する。
油圧回路5は、上部旋回体3(機体)に設けられ、両破砕シリンダ16に作動油を供給する油圧ポンプ21と、上部旋回体3(機体)に設けられ、油圧ポンプ21から両破砕シリンダ16に対する作動油の給排を制御する制御弁22と、を備えている。
制御弁22は、油圧ポンプ21から破砕シリンダ16への作動油の給排を停止する中立位置と、油圧ポンプ21からの作動油を破砕シリンダ16のヘッド側室に供給するとともにロッド側室からの戻り油をタンクに導く閉じ位置(図の右側位置)と、油圧ポンプ21からの作動油を破砕シリンダ16のロッド側に供給するとともにヘッド側室からの戻り油をタンクに導く開き位置(図の左側位置)と、の間で切換可能である。また、制御弁22は、図外の操作レバーが非操作のときに中立位置に付勢され、操作レバーが操作されることにより閉じ位置及び開き位置に切り換えられるパイロット式の切換弁である。
なお、油圧ポンプ21及び制御弁22は、上部旋回体3(図1参照)に設けられている。また、制御弁22と破砕シリンダ16のヘッド側室とを接続するヘッド側通路R1、及び、制御弁22と破砕シリンダ16のロッド側室とを接続するロッド側通路R2は、上部旋回体3(制御弁22)からメインブーム6、インターブーム7、及びアーム8(つまり、作業腕)を経由して破砕機9(破砕シリンダ16)まで延びている。このようにヘッド側通路R1及びロッド側通路R2における破砕機9の外側に延びる部分は長距離に亘るため、この部分を通過する作動油には圧力損失が生じ、その結果、解体機1の動力損失が大きくなる。
そこで、収容容器17の収容室S2は、破砕シリンダ16のヘッド側室から導出された作動油を収容可能となり、収容された作動油をヘッド側室に供給可能となるようにヘッド側室に接続されている。具体的に、収容容器17の連通部18a(収容室S2)は、貯留用通路R3及びヘッド側通路R1を介して破砕シリンダ16のヘッド側室に接続されている。つまり、貯留用通路R3は、破砕シリンダ16のヘッド側室と連通部18a(収容室S2)とを接続するためのものである。これにより、図6に示すように、破砕アーム15の先端部が互いに離間するとき(破砕シリンダ16が縮小するとき)に収容室S2が拡張することにより破砕シリンダ16のヘッド側室から導出される作動油を収容容器17内に収容することができる。さらに、図7に示すように、破砕アーム15の先端部が互いに近接するとき(破砕シリンダ16が伸長するとき)に収容室S2が縮小することにより収容容器17に収容された作動油を破砕シリンダ16のヘッド側室に供給することができる。これらによって、ヘッド側通路R1及びロッド側通路R2を通じて破砕機9と上部旋回体3との間で授受される作動油の流量を低減することができる。
具体的に、油圧回路(破砕機9)5は、図5に示すように、ヘッド側通路R1とロッド側通路R2とを接続する第1再生通路R4に設けられた第1再生弁24と、ロッド側通路R2に設けられた再生カット弁(再生カット手段)26と、ヘッド側通路R1と収容容器17の連通部18aとを接続する貯留用通路R3に設けられた高圧規制弁(高圧規制手段)23と、貯留用通路R3の高圧規制弁23と連通部18a(収容室S2)との間の部分とロッド側通路R2とを接続する第2再生通路R5に設けられた第2再生弁25と、備えている。
第1再生弁24は、ロッド側通路R2からヘッド側通路R1に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制する。図7の塗り潰し矢印で示すように、破砕アーム15が閉じるとき(破砕シリンダ16が伸長するとき)に破砕シリンダ16のロッド側室から導出される作動油を第1再生弁24を介してヘッド側通路R1に再生することにより、破砕シリンダ16を増速することができる。なお、第1再生弁24は、破砕シリンダ16の縮小時におけるロッド側通路R2内の圧力をパイロット圧として利用して閉じ方向に付勢される。これにより、第1再生弁24は、破砕シリンダ16の縮小時にロッド側通路R2からヘッド側通路R1への作動油の流れを規制する。
再生カット弁26は、ヘッド側通路R1内の圧力が予め設定された再生カット圧力未満であるときに再生位置(図7の左側位置)に付勢され、ヘッド側通路R1内の圧力が再生カット圧力以上であるときに再生カット位置(図7の右側位置)に切り換えられる油圧パイロット式の切換弁である。再生位置にある再生カット弁26は、制御弁22からロッド側通路R2へ向けた作動油の流れを許容する一方、ロッド側通路R2から制御弁22に向けた作動油の流れを規制する。再生カット弁26が再生位置に付勢された状態において破砕シリンダ16が伸長すると、上述のように、ロッド側通路R2からヘッド側通路R1への作動油の再生が行われる。一方、再生カット位置にある再生カット弁26は、図8に示すようにロッド側通路R2から制御弁22(及びこれに接続されるタンク)へ向けた作動油の流れを許容する。再生カット弁26が再生カット位置に切り換えられることにより、ロッド側通路R2からヘッド側通路R1への作動油の再生が停止する。
図5を参照して、高圧規制弁23は、ヘッド側通路R1内の圧力が再生カット圧力以下の圧力として予め設定された設定圧未満であるときに許容位置(図5の右側位置)に付勢されているとともに、ヘッド側通路R1内の圧力が設定圧以上であるときに規制位置(図5の左側位置)に切り換えられる油圧パイロット式の切換弁である。前記設定圧は、破砕シリンダ16の縮小時におけるヘッド側通路R1内の圧力よりも高く設定されている。
許容位置にある高圧規制弁23は、ヘッド側通路R1と連通部18aとの間の貯留用通路R3を通じた作動油の流れを許容する。図6に示すように、破砕シリンダ16の縮小時にはヘッド側通路R1内の圧力が設定圧未満となるため高圧規制弁23が許容位置に維持される。したがって、破砕シリンダ16のヘッド側室から導出された作動油は高圧規制弁23を通じて収容容器17内に収容される。また、破砕シリンダ16の伸長時であってヘッド側通路R1内の圧力が設定圧未満である場合においても、高圧規制弁23が許容位置に維持され、収容容器17から導出された作動油を高圧規制弁23を通じて破砕シリンダ16のヘッド側室に供給することができる。
一方、規制位置にある高圧規制弁23は、ヘッド側通路R1と収容容器17の連通部18aとの間の貯留用通路R3を通じた作動油の流れを規制する。図7に示すように、破砕シリンダ16の伸長時にヘッド側通路R1内の圧力が設定圧以上になると、高圧規制弁23が規制位置に切り換えられる。この状態においては、収容容器17から導出される作動油は、第2再生通路R5及び第2再生弁25を通じてロッド側通路R2に導かれる。ここで、第2再生弁25は、収容容器17の連通部18a(収容室S2)からロッド側通路R2に向けた作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制する。そして、図7の塗り潰し矢印で示すように、破砕シリンダ16の伸長時にヘッド側通路R1内の圧力が再生カット圧以上になると、収容容器17から導出された作動油は、第2再生弁25を介してロッド側通路R2に導かれ、再生カット弁26を介してタンクに導かれる。
以下、図6〜図8を参照して、油圧回路5の動作を説明する。なお、図6〜図8において白抜き矢印は、油圧ポンプ21から破砕シリンダ16へ向かう作動油の流れを示し、塗り潰し矢印は、破砕シリンダ16から導出される作動油(戻り油)の流れを示す。
まず、図6に示すように、制御弁22が開き位置に切り換えられると、油圧ポンプ21からの作動油は、破砕シリンダ16のロッド側室に導かれるとともに破砕シリンダ16のヘッド側室から作動油が導出され、破砕シリンダ16は縮小する。これにより、破砕アーム15の基端部は互いに近接し(図2参照)、これに応じて収容容器17は縮小する。また、高圧規制弁23は許容位置に維持される。したがって、破砕シリンダ16から導出された作動油は、ヘッド側通路R1及び貯留用通路R3を介して収容容器17の収容室S2内に収容される。なお、この状態において、第1再生弁24は、ロッド側通路R2内の圧力により閉鎖位置に維持されているため、ロッド側通路R2からヘッド側通路R1への作動油の流れは規制されている。
図7に示すように、制御弁22が閉じ位置に切り換えられると、油圧ポンプ21からの作動油は、破砕シリンダ16のヘッド側室に導かれるとともに破砕シリンダ16のロッド側室から作動油が導出され、破砕シリンダ16は伸長する。これにより、破砕アーム15の基端部は互いに離間し(図3参照)、これに応じて収容容器17は伸長する。ここで、ヘッド側通路R1内の圧力が高圧規制弁23に設定された設定圧未満である状態においては、図示は省略するが、高圧規制弁23が許容位置に維持されるため、収容容器17から導出された作動油は高圧規制弁23を通じて破砕シリンダ16のヘッド側室に供給される。なお、この状態において、作動油は、第2再生弁25を通じてロッド側通路R2にも供給されて第1再生弁24を通じてヘッド側通路R1に導かれる。つまり、収容容器17から導出された作動油は、高圧規制弁23及び第2再生弁を通じてヘッド側通路R1へ導かれる。また、ヘッド側通路R1内の圧力が設定圧以上になると、高圧規制弁23は、図7に示すように規制位置に切り換えられる。この状態において、収容容器17から導出された作動油は、第2再生弁25を介してロッド側通路R2に導かれ、破砕シリンダ16のロッド側通路から導出された作動油とともに第1再生弁24を介してヘッド側通路R1、つまり、破砕シリンダ16のヘッド側室に導かれる。
ここで、破砕シリンダ16に推力が要求される状況、例えば、両破砕アーム15の先端部同士の間で挟まれた瓦礫等を破壊する状況においては、ヘッド側通路R1内の圧力が上昇する。この圧力が再生カット弁26の再生カット圧以上になると、図8に示すように、再生カット位置に切り換えられる。これにより、収容容器17から導出された作動油及び破砕シリンダ16のロッド側室から導出された作動油は、再生カット弁26を通じてタンクに導かれる。そのため、ロッド側通路R2内の圧力を下げることができるとともに収容容器17から作動油を押し出すために用いられる破砕シリンダ16の推力を低減することができる。したがって、破砕シリンダ16に要求される推力を確保することができる。
以上説明したように、収容室S2を形成する別々の部材である容器本体18及び可動部材19において、容器本体18が一方の破砕アーム15に接続されているとともに、可動部材19が他方の破砕アーム15に接続されている。これにより、破砕アーム15の回動による動力を利用して収容室S2を拡張及び縮小することができるため、収容室S2の拡張に応じて収容室S2内に作動油を蓄えることができるとともに、収容室S2の縮小に応じて収容室S2内に蓄えられた作動油を導出することができる。
具体的に、収容室S2の拡張に応じて破砕シリンダ16のヘッド側室から導出される作動油を収容容器17内に蓄えることができるとともに蓄えられた作動油をヘッド側室に供給することができる。このようにロッド側室よりも多量の作動油を導出するヘッド側室と収容室との間で作動油の授受を行うことができるため、作業腕に設けられた配管内を流れる作動油の流量を効果的に低減することができる。
このように、付勢力を蓄えつつ作動油を収容するとともに蓄えられた付勢力を用いて作動油を導出する従来のアキュムレータと異なり、付勢力を蓄えることなく破砕シリンダ16の動力を用いて破砕シリンダ16から導出される作動油を収容し、収容された作動油を導出することができる。
したがって、作業腕(メインブーム6、インターブーム7、及びアーム8)に設けられた配管を通る作動油の量、すなわち、解体機1の動力損失を低減するために破砕シリンダ16から導出された作動油を収容容器17に効率的に収容及び導出することができる。
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
収容容器17が、筒状の容器本体18と当該容器本体18内で摺動可能な可動部材19と可動部材19から容器本体18の外側まで延びる延出部材20とを有するシリンダ状に形成されている。
そのため、容器本体18が一方の破砕アーム15に接続されているとともに、延出部材20が他方の破砕アーム15に接続されていることにより、破砕アーム15からの動力を用いて効率的に収容室S2を拡張及び縮小することができる。
破砕アーム15の先端部同士が近接するときに収容室S2が縮小するとともに破砕アーム15の先端部同士が離間するときに収容室S2が拡張するように、収容容器17が取り付けられている。これにより、多量の作動油が導出される破砕シリンダ16の縮小時に当該作動油を収容容器17に収容することができるため、動力損失をより効果的に低減することができる。
具体的に、収容容器17が両破砕アーム15の軸J2、J3(回動中心)よりも基端側の部分に亘って設けられている。ここで、両破砕アーム15の基端部は、当該両破砕アーム15の先端部と逆向きに動作するため、当該両破砕アーム15の先端部が互いに近接するときに両破砕アーム15の基端部は互いに離間する。
したがって、両破砕アーム15の先端部が互いに離間するとき(破砕シリンダ16が縮小するとき)に収容室S2が拡張し、両破砕アーム15が逆向きに動作すると収容室S2が縮小する。
これにより、両アーム15の先端部が互いに離間するときに破砕シリンダ16のヘッド側室から導出される作動油を収容容器17内に収容するとともに、両アーム15の先端部が互いに近接するときに作動油をヘッド側室に供給する(導出する)ことができる。このようにロッド側室よりも多量の作動油を導出するヘッド側室と収容室との間で作動油の授受を行うことができるため、作業腕に設けられた配管内を流れる作動油の流量を効果的に低減することができる。
しかも、収容容器17が両破砕アーム15の基端部に設けられていることにより両破砕アーム15の先端部によって行われる作業の邪魔にならない基端側の位置に収容容器17を配置することができる。これにより、破砕機9を用いた作業性も向上する。
第1再生弁24が設けられているため、破砕シリンダ16の伸長時に収容容器17から導出される作動油に加えて破砕シリンダ16のロッド側室から導出される作動油もヘッド側室に供給することができるため、破砕シリンダ16を増速することができる。
再生カット弁26が設けられているため、ヘッド側通路R1内の圧力が再生カット圧力以上となったときにロッド側通路R2から制御弁22(それに接続されたタンク)への作動油の流れが許容され、ロッド側室からヘッド側室への作動油の再生がカットされる。
これにより、破砕シリンダ16に対して大きな推力が要求されている状況において破砕シリンダ16のロッド側室の圧力を下げることができるため、破砕シリンダ16の推力を上昇させることができる。
高圧規制弁23及び第2再生弁25が設けられているため、破砕シリンダ16の伸長時においてヘッド側通路R1内の圧力が設定圧未満であるときには収容容器17からヘッド側通路R1へ高圧規制弁23を介して作動油を導くことができるとともに、ロッド側通路R2からヘッド側通路R1への作動油の再生が行われる。
そして、ヘッド側通路R1内の圧力が設定圧以上になると、高圧規制弁23により貯留用通路R3を通じた作動油の流れが規制されることにより、収容容器17がヘッド側通路R1から遮断されるとともに収容容器17から導出される作動油が第2再生弁を介してロッド側通路R2へ導かれる。
そして、ヘッド側通路R1内の圧力が再生カット圧力以上になると再生カット手段によりロッド側通路から制御弁(タンク)への流れが許容されるため、収容容器17から導出された作動油及び破砕シリンダ16のロッド側室から導出された作動油を制御弁22(タンク)に導くことができる。
したがって、再生カット時において収容容器17の収容室S2内の圧力を低減することにより当該収容容器17から作動油を押し出すために用いられる破砕シリンダ16の推力を低減することができる。そのため、再生カット時においても収容容器17から導出された作動油をヘッド側通路R1に供給する場合と比較して破砕シリンダ16の推力をより上昇させることができる。
一方、駆動シリンダの縮小時においては、ヘッド側通路R1内の圧力が設定圧未満となるため、破砕シリンダ16のヘッド側室から高圧規制弁23を介して収容容器17に作動油を導いて、当該作動油を収容容器17に蓄えることができる。つまり、『設定圧』は、破砕シリンダ16の縮小時におけるヘッド側通路R1内の圧力よりも高く設定されている。
<第2実施形態(図9)>
第1実施形態では、1つの収容容器17を有する破砕機9について説明したが、収容容器の数量は1つに限定されず、複数であってもよい。
図9に示す第2実施形態に係る破砕機9は、2つの収容容器41を備えている。
収容容器41の一方の端部(図9では延出部材20の端部)は、軸J1と平行な軸J7を中心として回動可能な状態で破砕機本体14における軸J2、J3よりも基端側の部分に取り付けられている。
また、収容容器41の他方の端部(図9では容器本体18側の端部)は、軸J1と平行な軸J8を中心として回動可能な状態で破砕アーム15に取り付けられている。具体的に、軸J8は、破砕アーム15において両破砕アーム15の先端部が互いに近接する方向に回動する際に軸J7から遠ざかる部分に設けられている。
第2実施形態によれば、2つの収容容器41を設けることによってより広い収容室S2を確保することができる。
<第3実施形態(図10〜図13)>
前記実施形態では、延出部材20の一部が収容室S2内に配置される構成を有する収容容器17、41について説明したが、図10〜図13に示すような収容容器30を採用することもできる。
まず、図12を参照して収容容器30の構成について説明する。
収容容器30は、連通部18a及び開放部18bの位置(収容室S2及び開放室S1の位置)を除き、図4に示す収容容器17と同様の構成を有する。
具体的に、連通部18aは、容器本体18の底部(図12の左側の壁部)側に設けられているとともに、開放部18bは、容器本体18の蓋部(図12の右側の壁部)側に設けられている。そして、可動部材19と底部との間には作動油を収容するための収容室S2が形成されているとともに、可動部材19と蓋部との間に開放部18bにより大気圧に開放された開放室S1が形成されている。延出部材20は、可動部材19から底部と反対側(図12の右側)に向けて容器本体18の外側まで延びている。
さらに、破砕機27は、破砕機本体29と、破砕アーム15と、破砕シリンダ(駆動シリンダ及び回動用シリンダ)16と、収容容器30と、リンク(リンク機構)31、32と、を備えている。
破砕機本体29は、アーム8の先端部に着脱可能に取り付けられる被取付部29aと、被取付部29aから先端側に延びる一対のシリンダ取付板29bと、シリンダ取付板29bの先端部に設けられたアーム支持部29cと、を備えている。
一対のシリンダ取付板29bは、図10の紙面と直交する方向に互いに対向して配置されている。説明の便宜上、手前側のシリンダ取付板29bの一部を省略して示している。両シリンダ取付板29bの基端部同士の間には、軸J2と平行する一対の軸J9が架け渡されている。
破砕シリンダ16の基端部(ロッド側の端部)は、軸J9を中心として回動可能な状態でシリンダ取付板29bに取り付けられている。
破砕シリンダ16の先端部(ヘッド側の端部)の軸J4を用いた取付構造、及び、破砕アーム15の軸J2、J3を用いた取付構造は、前記実施形態と同様であるため、説明を省略する。
収容容器30の延出部材20は、破砕機本体29における軸J2、J3よりも基端側でかつ軸J9よりも先端側の部分(図10ではアーム支持部29cの基端部)に接続されている。
収容容器30の容器本体18は、破砕アーム15における軸J2、J3よりも基端側の部分にリンク31を介して接続されている。
リンク31、32は、両破砕アーム15の基端部が互いに近接する方向の力を延出部材20が容器本体18から延びる方向の力に変化し、かつ、両破砕アーム15の基端部が互いに離間する方向の力を延出部材20が容器本体30に対して縮む方向の力に変換する。
具体的に、リンク31の基端部は、軸J2と平行な軸J10を中心として回動可能な状態で容器本体18に取り付けられている。また、リンク31の先端部は、軸J2と平行な軸J11を中心として回動可能な状態で破砕アーム15の基端部に取り付けられている。
リンク32の基端部は、軸J11を中心として回動可能な状態で破砕アーム15の基端部に取り付けられている。また、リンク32の先端部は、軸J2と平行な軸J12を中心として回動可能な状態で破砕機本体29における軸J2、J3よりも基端側の位置に取り付けられている。
軸J12は、軸J10よりも先端側の位置に設けられ、軸J11は、軸J12と軸J10との間に設けられている。したがって、破砕アーム15の基端部が互いに近接する方向に破砕アーム15が回動すると、軸J11を中心としてリンク31、32が互いに逆向きに回動する。その結果、軸J10(容器本体18)が軸J12(破砕機本体29)に対して基端側に移動する。これにより、延出部材20は、容器本体18に対して伸長する。破砕アーム15の基端部が互いに離間すると、リンク31、32が上記と逆向きに回動する結果、延出部材20は、容器本体18に対して縮小する。
図13に示すように、収容容器30を駆動するための油圧回路28は、破砕シリンダ16に作動油を供給する油圧ポンプ21と、油圧ポンプ21から両破砕シリンダ16に対する作動油の給排を制御する制御弁22と、を備えている。
一方、油圧回路28では、第1実施形態の油圧回路5と異なり、高圧規制弁23、第1再生弁24、第2再生弁25、及び再生カット弁26が省略されている。この油圧回路28においても、破砕シリンダ16の縮小時(破砕アーム15の開き動作時)に収容容器30の収容室S2が拡張するため、破砕シリンダ16のヘッド側室から導出された作動油を貯留用通路R3を通じて収容容器17に収容することができる。一方、破砕シリンダ16の伸長時(破砕アーム15の閉じ動作時)に収容容器30の収容室S2が縮小するため、収容容器30内の作動油を貯留用通路R3を通じて破砕シリンダ16のヘッド側室に供給することができる。
このように、延出部材20が可動部材19から底部と反対側、つまり、収容室S2内を通過することなく容器本体18の外側まで延びている。そのため、第1実施形態のように容器本体18の底部を貫通する延出部材20を有する収容容器17と比較して収容室S2の容積を大きくすることができ、相対的に、必要な容積の収容室S2を持つ収容容器30の小型化を図ることができる。
また、収容容器30が両破砕アーム15と破砕機本体29とに亘って設けられているとともに、収容容器30と両破砕アーム15との間にリンク機構(リンク31、32)が介在している。ここで、両破砕アーム15における各回動中心(軸J2、J3)よりも基端側の部分は、当該両破砕アーム15の先端部と逆向きに動作するため、当該両破砕アーム15の先端部が互いに近接するときに両破砕アーム15の基端側の部分は互いに離間する。
したがって、両破砕アーム15(の基端部)が互いに近接すると(破砕シリンダ16が縮小すると)延出部材20が伸びて収容室S2が拡張し、両破砕アーム15(の基端部)が互いに近接すると(破砕シリンダ16が伸長すると)延出部材20が縮んで収容室S2が縮小する。
これにより、両アーム15の先端部が互いに離間するときに破砕シリンダ16のヘッド側室から導出される作動油を収容容器30内に収容するとともに、両アーム15の先端部が互いに近接するときに作動油をヘッド側室に供給する(導出する)ことができる。このようにロッド側室よりも多量の作動油を導出するヘッド側室と収容室S2との間で作動油の授受を行うことができるため、作業腕に設けられた配管内を流れる作動油の流量を効果的に低減することができる。
しかも、収容容器30が両破砕アーム15の回動中心よりも基端側に設けられていることにより両破砕アーム15の先端部によって行われる作業の邪魔にならない基端側の位置に収容容器30を配置することができる。これにより、破砕機27を用いた作業性も向上する。
<第4実施形態(図14)>
前記実施形態では、両破砕アーム15が破砕機本体に対して回動するように取り付けられた破砕機について説明したが、破砕機は、両破砕アーム15の一方(第1破砕アーム)に対して他方の破砕アーム(第2破砕アーム)が回動するように構成されていればよい。なお、図9に示す第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
第4実施形態に係る破砕機43は、破砕機本体14に固定された破砕アーム(第1破砕アーム)44と、破砕機本体14に対して回動可能に取り付けられた破砕アーム(第2破砕アーム)15と、を備えている。
破砕アーム15は、その先端部が破砕シリンダ16の伸長により破砕アーム44の先端部に近接するとともに、その先端部が破砕シリンダ16の縮小により破砕アーム44の先端部から離間するように破砕機本体14に取り付けられている。
また、収容容器41は、両破砕アーム15の近接動作に応じて収容室S2が縮小し、両破砕アーム15の離間動作に応じて収容室S2が拡張するように、破砕アーム15と破砕機本体14とに亘って設けられている。
破砕アーム15と破砕アーム44とに亘って収容容器41が設けられている場合であっても、両アーム15、44の近接及び離間動作に応じて収容室S2を拡張及び縮小させることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の態様を採用することもできる。
前記実施形態では、収容容器の収容室S2が破砕シリンダ16のヘッド側室(ヘッド側通路R1)に接続された構成について説明したが、収容室S2は、破砕シリンダ16のヘッド側室及びロッド側室のうち、収容室S2の縮小時に拡張しかつ収容室S2の拡張時に縮小する室に接続されていればよい。例えば、破砕アームの閉じ動作時に収容室S2が拡張するように収容容器が設けられている場合、収容室S2は、破砕シリンダ16のロッド側室(ロッド側通路)に接続されていてもよい。ただし、破砕シリンダ16のヘッド側室から導出される作動油は、破砕シリンダ16のロッド側室からの導出される作動油よりも多量である。そのため、連通部18aをヘッド側通路R1に接続した場合には、連通部18aをロッド側通路R2に接続した場合と比較して作動油の圧力損失の低減効果が大きい。
また、ヘッド側通路R1又はロッド側ロッド通路R2を介して収容容器が破砕シリンダ16に接続された例について説明したが、収容容器は、破砕シリンダ16のヘッド側室又はロッド側室に直接接続されていてもよい。具体的に、貯留用通路R3がヘッド側通路R1を介して破砕シリンダ16のヘッド側室に接続された例について説明したが、貯留用通路R3が破砕シリンダ16のヘッド側室に直接接続されていてもよい。また、貯留用通路R3を破砕シリンダ16ロッド側室に直接接続してもよい。
破砕アーム15の先端部同士が近接するときに収容室S2が縮小するとともに破砕アーム15の先端部同士が離間するときに収容室S2が拡張する構成について説明したが、収容容器の取付構造はこれに限定されない。破砕アーム15の先端部同士が近接するときに収容室S2が拡張するとともに破砕アーム15の先端部同士が離間するときに収容室S2が縮小するように収容容器が破砕機に取り付けられていてもよい。
再生カット手段及び高圧規制手段の一例として油圧パイロット式の再生カット弁26及び高圧規制弁23を説明したが、これらの手段の構成はこれに限定されない。例えば、再生カット弁26及び高圧規制弁23と同様の切換位置を有する電磁弁と、ヘッド側通路R1内の圧力を検出可能なセンサと、センサによる検出結果に基づいて電磁弁に指令を出力するコントローラと、を有する再生カット手段及び高圧規制手段を採用することもできる。
前記実施形態において、収容容器の容器本体の取付先と可動部材の取付先とを逆転することもできる。
第1実施形態における油圧回路5において、高圧規制弁23、第2再生通路R5、及び第2再生弁25を省略することもできる。この構成のおいても、再生カット弁26を再生カット位置に切り換えることにより破砕シリンダ16の推力を向上することができる。
さらに、第1実施形態における油圧回路5において、第1再生通路R4、第1再生弁24、及び再生カット弁26を省略することができる。この構成においても、貯留用通路R3を通じて収容容器17と破砕シリンダ16との間で作動油の授受を行うことができる。
なお、前記実施形態では、収容容器17から導出された作動油を破砕シリンダ16のヘッド側室に戻す例について説明したが、解体機1の動力損失を低減するためには収容室S2に蓄えられた作動油をヘッド側室に戻すことに限定されない。例えば、図13に示す油圧回路28において流通用通路R3をヘッド側通路R1ではなくロッド側通路R2に接続するとともに、収容室S2からロッド側通路R2への作動油の流れを許容する一方、その逆向きの流れを規制するチェック弁を流通用通路R3に設けることもできる。この構成においても、破砕シリンダ16の伸長時に収容室S2内に収容された作動油を破砕シリンダ16の縮小時に破砕シリンダ16の伸長時にロッド側通路R2、つまり、タンクに戻すことができる。これにより、破砕シリンダ16の縮小時に多量の作動油を作業腕に沿って設けられた配管を介して機体に戻す場合と比較して、当該配管を通過する作動油のピーク流量を低減することができるため、作動油の流量の二乗に比例する圧力損失を効果的に低減することができる。