図4は、油圧作業機の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
この図4に示す油圧ショベルは、左右一対の走行装置1,2を備えた走行体3と、この走行体3上に取り付けられた旋回体4と、一端が旋回体4に回動自在にピン結合されたブーム5と、一端がブーム5に回動自在にピン結合されたアーム6と、一端がアーム6に回動自在にピン結合されたバケット7とを備えている。また、旋回体4上に設けられた運転室8、機械室9、カウンタウエイト10と、走行装置1,2を駆動する走行モータ11,12と、旋回体4を駆動する旋回モータ13と、ブーム5を駆動するブームシリンダ14,15と、アーム6を駆動するアームシリンダ16と、バケット7を駆動するバケットシリンダ17を備えている。油圧シリンダ、例えば前述したブームシリンダ14,15側は、後述のロッド室14a(15a)側をブーム5に連結され、ボトム室14b(15b)側を旋回体4側に連結されている。また、アームシリンダ16は、後述のロッド室16a側をアーム6に連結され、ボトム室16b側をブーム5に連結されている。
図5は従来の油圧作業機の油圧駆動装置の構成の一例を示す油圧回路図である。この図5に示す従来の油圧駆動装置は、前述したブームシリンダ14(15)、アームシリンダ16、バケットシリンダ17、旋回モータ13、及び走行モータ11,12の駆動源である第1油圧ポンプ18、及び第2油圧ポンプ19と、これらの第1,第2油圧ポンプ18,19のどちらかが所定の圧力以上となるとタンク20へ圧油を逃がすリリーフ弁21とを備えている。また、ブームシリンダ14(15)に供給される圧油の流れを制御し、内部にボトム室14b(15b)からロッド室14a(15a)への圧油の再生が可能な内部再生油路31を有する第1方向制御弁、すなわちブーム用方向制御弁30と、ブームシリンダ14(15)とは別に設けられる油圧アクチュエータ、例えば前述したアームシリンダ16へ供給される圧油の流れを制御する第2方向制御弁、すなわち第1アーム用方向制御弁22及び第2アーム用方向制御弁50と、バケットシリンダ17へ供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁23と、旋回モータ13へ供給される圧油の流れを制御する旋回用方向制御弁24と、走行モータ11,12へ供給される圧油の流れを制御する走行用方向制御弁25,26とを備えている。
また、操作手段として、ブーム用方向制御弁30、及びバケット用方向制御弁23の切換位置をそれぞれパイロット信号圧で制御する第1操作レバー70と、第1,第2アーム用方向制御弁22,50、及び旋回用方向制御弁24の切換位置をそれぞれのパイロット信号圧で制御する第2操作レバー71と、走行用方向制御弁25の切換位置をパイロット信号圧で制御する第3操作レバー72と、走行用方向制御弁26の切換位置をパイロット信号圧で制御する第4操作レバー73とを備えている。
以下にあっては、第1方向制御弁を構成するブーム用方向制御弁30と、第2方向制御弁を構成する第2アーム用方向制御弁50に関連する要素を中心に説明する。
ブーム用方向制御弁30は、ブームシリンダ14(15)のボトム室14b(15b)を油路89,91を介して接続するポート32と、ロッド室14a(15a)を油路88,90を介して接続するポート33と、第1油圧ポンプ18と油路77,81を介して接続するポート34と、タンク20側と接続するポート35と、第1油圧ポンプ18を油路77,74を介して接続するポート36と、タンク20を油路74を介して接続するポート37とを備えている。
このブーム用方向制御弁30の油路構成は、ボトム室14b(15b)からロッド室14a(15a)方向への圧油の流れのみを許容するチェック弁38と、内部再生油路31をポート32へ接続可能な油路39と、この油路39をポート35へ接続可能な油路40と、ポート33側と内部再生油路31を接続する油路42と、ポート34側と内部再生油路31側を接続可能な油路43と、ポート34とポート32を接続する油路44と、ポート33とポート35を接続する油路45から成っている。さらに、油路40に、タンク20への油の移動量を抑制する絞り41が設置され、ブーム用方向制御弁30の左右端には、パイロット信号圧を受けるポート46,47がそれぞれ設けられている。
また、第2アーム用方向制御弁50は、アームシリンダ16のボトム室16bを油路97を介して接続するポート51と、ロッド室16aを油路96を介して接続するポート52と、油圧ポンプ18を油路77,80を介して接続するポート53と、タンク20側と接続するポート54と、第1油圧ポンプ18を油路77,74を介して接続するポート55と、タンク20を油路74を介して接続するポート56とを備えている。
この第2アーム用方向制御弁50の油路構成は、ポート52とポート54を接続可能な油路58と、ポート53とポート51を接続可能な油路57と、ポート51とポート54を接続可能な油路59と、ポート53とポート52を接続可能な油路60とから成っている。さらに、第2アーム用方向制御弁50の左右端には、パイロット信号圧を受けるポート61,62がそれぞれ設けられている。
図6は図5に示す従来の油圧駆動装置に備えられる第1方向制御弁例えばブーム用方向制御弁と、このブーム用方向制御弁に隣接して配置される第2方向制御弁例えば第2アーム用方向制御弁の配設構造を拡大して示した要部断面図である。
この図6には、ハウジング130、第1キャップ140、及び第2キャップ150を合せて示してある。
図6に基づいてブーム用方向制御弁30の構造について説明する。このブーム用方向制御弁30のスプールには、内部再生油路31がブーム用方向制御弁30のスプールと同軸に形成され、内部再生油路31とブーム用方向制御弁30のスプールの外周面とを連通する油路39,40,42が形成され、スプールには油路43,44,45に相応する切欠き部110,112,111が形成されている。また、チェック弁38は内部再生油路31内に設置され、絞り41は油路40の断面積を小さくすることによって形成されている。さらに、ブーム用方向制御弁30のスプールの片側一端には、軸方向に移動可能なキャップ113,114、及びばね115がブーム用方向制御弁30のスプールと同軸に挿入されている。
一方、第2アーム用方向制御弁50のスプールには、油路57,58,59,60に相応する切欠き部118,119,120,121がそれぞれ形成され、第2アーム用方向制御弁50のスプールの片側一端には、軸方向に移動可能なキャップ122,123、及びばね124がアーム用方向制御弁50のスプールと同軸に挿入されている。
ハウジング130には、ブーム用方向制御弁30のポート34に相当する空洞131、ポート33に相当する空洞132、ポート32に相当する空洞133が、スプールの外周面を囲むようにそれぞれ形成されている。また、第2アーム用方向制御弁50のポート53に相当する空洞134、ポート52に相当する空洞135、ポート51に相当する空洞136がスプールの外周面を囲むように形成されている。さらに、ブーム用方向制御弁30のポート35、第2アーム用方向制御弁50のポート54に相当し、かつハウジング30内で1つに交わる2つの空洞137,138が、ブーム用方向制御弁30のスプールと第2アーム用方向制御弁50のスプールの外周面を囲むようにそれぞれ形成されている。
第1キャップ140には、パイロット信号油路160,166を介して伝達されるそれぞれのパイロット信号圧を受けるブーム用方向制御弁30のポート47、第2アーム用方向制御弁50のポート62が形成されている。また、この第1キャップ140は、ボルト等の締結手段によりハウジング130に固定され、ブーム用方向制御弁30のスプールの一端の受圧面116側、及び第2アーム用方向制御弁50のスプールの一端の受圧面125側を保持している。
第2キャップ150は、パイロット信号油路161,167を介して伝達されるそれぞれのパイロット信号圧を受けるブーム用方向制御弁30のポート46、第2アーム用方向制御弁50のポート61が形成されている。また、この第2キャップ150は、ボルト等の締結手段によりハウジング130に固定され、ブーム用方向制御弁30のスプールの他端の受圧面117側、及び第2アーム用方向制御弁50のスプールの他端の受圧面125側を保持している。
次に、図4に示すブーム5を下方向への回動操作、すなわちブーム下げ単独操作をする場合の動作原理について説明する。
運転室8のオペレータが図6に示す第1操作レバー70でブーム下げ操作を行なうと、第1操作レバー70と連動して生成されるパイロット信号圧がパイロット信号油路160を介してブーム用方向制御弁30のポート47に伝達される。すると、受圧面116から受圧面117方向へ移動する力がブーム用方向制御弁30のスプールに発生し、このブーム用方向制御弁30のスプールは受圧面117側へ移動する。これと同時に、油路39は空洞133と、油路40は空洞137と、空洞132は切欠き部110を介して空洞131とそれぞれ接続される。なお、このとき、油路42は空洞132との接続を維持している。
これにより、ブーム5等の重量を保持しているブームシリンダ14(15)のボトム室14b(15b)側から排出された圧油は油路39へ移動可能となり、その一部の圧油は内部再生油路31、チェック弁38、及び油路42を通過することでロッド室14a(15a)へ圧油が再生供給され、残りの圧油は油路40、絞り41を通過してタンク20へ排出される。また、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油もロッド室14a(15a)へ供給される。その結果、ブームシリンダ14(15)はロッド室14a(15a)からボトム室14b(15b)方向に駆動力が発生し、ブーム6が下方向へ回動する。すなわち、速やかにブーム下げが行われる。
ブーム下げを停止する場合は次のようになる。オペレータが第1操作レバー70の操作を中立位置に戻すと、受圧面116に作用していたパイロット信号圧が0となる。これにより、ばね115の復元力によってブーム用方向制御弁30のスプールは中立位置に戻り、接続していた油路39と空洞133、油路40と空洞137、空洞131と空洞132は再び遮断される。その結果、ボトム室14b(15b)の圧油は逃げられなくなり、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油もロッド室14a(15a)に供給できなくなり、ブーム下げは停止される。
次に、図4に示すアーム6を単独操作する場合について説明する。
はじめに、アーム6を運転室8側へ引き寄せるアームイン操作(アームクラウド)の場合について説明する。オペレータが図6に示す第2操作レバー71でアームイン操作を行なうと、第2操作レバー71と連動して生成されるパイロット信号圧がパイロット信号油路167を介してポート61へ伝達される。これにより、受圧面126から受圧面125方向へ移動する力が発生し、第2アーム用方向制御弁50のスプールは受圧面125方向へ移動する。これ同時に、空洞134は切欠き部118を介して空洞136と、空洞135は切欠き部119を介して空洞138と接続される。
これらの動作により、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油はボトム室16bへ供給され、ロッド室16aの油はタンク20へ排出されて、アームイン操作を行なうことができる。
また、オペレータが第2操作レバー71を中立位置に戻すと、受圧面126に作用していたパイロット信号圧は0となり、ばね124の復元力により第2アーム用方向制御弁50のスプールは中立位置に戻る。これと同時に、空洞134と空洞136、空洞135と空洞138とは再び遮断され、アームイン操作は停止される。
一方、アーム6を運転室8側とは反対方向へ押すアームアウト操作(アームダンプ)の場合は以下のようになる。オペレータが図6に示す第2操作レバー71でアームアウト操作を行なうと、パイロット信号油路166を介してポート62にパイロット信号圧が伝達される。これにより、受圧面125から受圧面126方向へ移動する力が発生し、第2アーム用方向制御弁50のスプールは受圧面126方向へ移動する。これと同時に、切欠き部121を介して空洞134と空洞135、及び切欠き部120を介して空洞136と空洞137はそれぞれ接続される。
これらの動作により、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油はロッド室16aへ供給され、ボトム室16bの圧油はタンク20へ排出され、アームアウト操作を行なうことができる。オペレータが第2操作レバー71を中立に戻すとアームアウト操作が停止される。
前述した従来技術は、1本の内部再生油路31をブーム用方向制御弁30に設けたものであるが、従来、特許文献1に開示される技術も提案されている。この特許文献1に開示された従来技術は、アームシリンダの駆動を制御する第1アーム用方向制御弁のスプールと第2アーム用方向制御弁のスプールのそれぞれに1本ずつ、合計2本の内部再生油路を備えたものであり、設置スペースを増大させることなく油の再生流量を増大させるようにしたものである。なお、この特許文献1に開示された従来技術は、第1アーム用方向制御弁のスプールに1本目の内部再生油路、すなわち第1内部再生油路を有している既存の技術にあって、第2アーム用方向制御弁のスプールに2本目の内部再生油路、すなわち第2内部再生油路を新たに設けた構成になっている。
以下、本発明に係る油圧作業機の油圧駆動装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
本発明の一実施形態に係る油圧駆動装置も、油圧作業機例えば前述した図4に示す油圧ショベルに備えられている。この油圧ショベルの構成については前述したとおりであり、説明を省略する。
図1は本発明に係る油圧作業機の油圧駆動装置の一実施形態を示す油圧回路図、図2は本実施形態に備えられる第1方向制御弁例えばブーム用方向制御弁と、このブーム用方向制御弁に隣接して配置される第2方向制御弁例えば第2アーム用方向制御弁の配設構造を拡大して示した要部断面図である。
これらの図1,2に示すように本実施形態に係る油圧駆動装置の基本構成は、前述した図5,6に示すものと同等である。前述と説明が重複するがこの基本構成について説明すると、図1に示すように、本実施形態も、油圧シリンダ例えばブームシリンダ14(15)と、ブームシリンダ14(15)と異なるアクチュエータ、例えばアームシリンダ16とを備えている。また、これらのブームシリンダ14(15)、アームシリンダ16、バケットシリンダ17、旋回モータ13、及び走行モータ11,12の駆動源である第1油圧ポンプ18、及び第2油圧ポンプ19と、これらの第1,第2油圧ポンプ18,19のどちらかが所定の圧力以上となるとタンク20へ圧油を逃がすリリーフ弁21とを備えている。また、ブームシリンダ14(15)に供給される圧油の流れを制御し、内部にボトム室14b(15b)からロッド室14a(15a)への圧油の再生が可能な第1内部再生油路、すなわち内部再生油路31を有する第1方向制御弁、すなわちブーム用方向制御弁30と、アームシリンダ16へ供給される圧油の流れを制御する第2方向制御弁、すなわち第1アーム用方向制御弁22及び第2アーム用方向制御弁50とを備えている。また、バケットシリンダ17へ供給される圧油の流れを制御するバケット用方向制御弁23と、旋回モータ13へ供給される圧油の流れを制御する旋回用方向制御弁24と、走行モータ11,12へ供給される圧油の流れを制御する走行用方向制御弁25,26とを備えている。
また、操作手段として、ブーム用方向制御弁30、及びバケット用方向制御弁23の切換位置をそれぞれパイロット信号圧で制御する第1操作レバー70と、第1,第2アーム用方向制御弁22,50、及び旋回用方向制御弁24の切換位置をそれぞれのパイロット信号圧で制御する第2操作レバー71と、走行用方向制御弁25の切換位置をパイロット信号圧で制御する第3操作レバー72と、走行用方向制御弁26の切換位置をパイロット信号圧で制御する第4操作レバー73とを備えている。
ブーム用方向制御弁30は、ブームシリンダ14(15)のボトム室14b(15b)を油路89,91を介して接続するポート32と、ロッド室14a(15a)を油路88,90を介して接続するポート33と、第1油圧ポンプ18と油路77,81を介して接続するポート34と、タンク20側と接続するポート35と、第1油圧ポンプ18を油路77,74を介して接続するポート36と、タンク20を油路74を介して接続するポート37とを備えている。
このブーム用方向制御弁30の油路構成は、内部再生油路31をポート32へ接続可能な油路39と、この油路39をポート35へ接続可能な油路40と、ポート34側と内部再生油路31側を接続可能な油路43と、ポート34とポート32を接続する油路44と、ポート33とポート35を接続する油路45から成っている。さらに、油路40に、タンク20への油の移動量を抑制する絞り41が設置され、ブーム用方向制御弁30の左右端には、パイロット信号圧を受けるポート46,47がそれぞれ設けられている。
また、第2アーム用方向制御弁50は、例えばブーム用方向制御弁30に隣接させて設けてあり、アームシリンダ16のボトム室16bを油路97を介して接続するポート51と、ロッド室16aを油路96を介して接続するポート52と、油圧ポンプ18を油路77,80を介して接続するポート53と、タンク20側と接続するポート54と、第1油圧ポンプ18を油路77,74を介して接続するポート55と、タンク20を油路74を介して接続するポート56とを備えている。
この第2アーム用方向制御弁50の油路構成は、ポート52とポート54を接続可能な油路58と、ポート53とポート51を接続可能な油路57と、ポート51とポート54を接続可能な油路59と、ポート53とポート52を接続可能な油路60とから成っている。さらに、第2アーム用方向制御弁50の左右端には、パイロット信号圧を受けるポート61,62がそれぞれ設けられている。以上の各構成要素については、前述した図5,6に示したものと同等である。
図2に示すように、本実施形態に係る油圧駆動装置は、ブーム用方向制御弁30に形成される第1内部再生油路すなわち内部再生油路31が、このブーム用方向制御弁30のスプールの両端部を貫通するように設けてある。この内部再生油路31とブーム用方向制御弁30のスプールの外周面とを連通する油路39,40が形成され、スプールには油路43,44,45に相応する切欠き部110,112,111が形成されている。また、絞り41は油路40の断面積を小さくすることによって形成されている。さらに、ブーム用方向制御弁30のスプールの片側一端には、軸方向に移動可能なキャップ113,114、及びばね115がブーム用方向制御弁30のスプールと同軸に挿入されている。
一方、第2アーム用方向制御弁50のスプールには、スプールの両端部を貫通するように、第2内部再生油路63を設けてある。また、油路57,58,59,60に相応する切欠き部118,119,120,121がそれぞれ形成され、第2アーム用方向制御弁50のスプールの片側一端には、軸方向に移動可能なキャップ122,123、及びばね124がアーム用方向制御弁50のスプールと同軸に挿入されている。
ハウジング130には、ブーム用方向制御弁30のポート34に相当する空洞131、ポート33に相当する空洞132、ポート32に相当する空洞133が、スプールの外周面を囲むようにそれぞれ形成されている。また、第2アーム用方向制御弁50のポート53に相当する空洞134、ポート52に相当する空洞135、ポート51に相当する空洞136がスプールの外周面を囲むように形成されている。さらに、ブーム用方向制御弁30のポート35、第2アーム用方向制御弁50のポート54に相当し、かつハウジング30内で1つに交わる2つの空洞137,138が、ブーム用方向制御弁30のスプールと第2アーム用方向制御弁50のスプールの外周面を囲むようにそれぞれ形成されている。
本実施形態は、ブーム用方向制御弁30のスプールに設けた第1内部再生油路すなわち内部再生油路31と、第2アーム用方向制御弁50のスプールに設けた第2内部再生油路63の例えば一方の端部側に設けられ、これらの内部再生油路31と第2内部再生油路63とを連通させる第1連通油路すなわち油路141と、内部再生油路31と第2内部再生油路63の他方の端部側に設けられ、内部再生油路31と第2内部再生油路63とを連通させる第2連通油路すなわち油路151とを備えている。また、油路141と油路151の少なくとも一方に、例えば油路151に連通し、油路151に導かれた再生油を、ブームシリンダ30のロッド室14a(15a)へ供給可能な供給油路すなわち油路152,139と、この供給油路である油路152,139、前述した第1連通油路である油路141、第2連通油路である油路151の少なくとも1つ、例えば油路152に設けられ、ブームシリンダ30方向への圧油の流れのみを許容するチェック弁38を備えている。
第1キャップ140には、パイロット信号油路160,166を介して伝達されるそれぞれのパイロット信号圧を受けるブーム用方向制御弁30のポート47、第2アーム用方向制御弁50のポート62が形成されている。また、この第1キャップ140には、前述した第1連通油路すなわち油路141が形成されている。この第1キャップ140は、ボルト等の締結手段によりハウジング130に固定され、ブーム用方向制御弁30のスプールの一端側、及び第2アーム用方向制御弁50のスプールの一端側を保持している。なお、ブーム用方向制御弁30のスプールの一方の端部は、受圧面116よりも突出形成させてあり、第2アーム用方向制御弁50のスプールの一方の端部は、受圧面125よりも突出形成させてある。
第2キャップ150は、パイロット信号油路161,167を介して伝達されるそれぞれのパイロット信号圧を受けるブーム用方向制御弁30のポート46、第2アーム用方向制御弁50のポート61が形成されている。また、この第2キャップ150には、前述した第2連通油路すなわち油路151と、供給油路を構成する油路152、及びチェック弁38が形成されている。油路152に連通する供給油路を構成する油路139は、ハウジング130に形成されている。第2キャップ150は,ボルト等の締結手段によりハウジング130に固定され、ブーム用方向制御弁30のスプールの他端側、及び第2アーム用方向制御弁50のスプールの他端側を保持している。なお、ブーム用方向制御弁30のスプールの他方の端部は、受圧面117よりも突出形成させてあり、第2アーム用方向制御弁50のスプールの他方の端部は、受圧面126よりも突出形成させてある。
このように構成した本実施形態における動作について説明する。
図4に示すブーム5を下方に回動させるブーム下げ単独操作に際して、運転室8のオペレータが図2に示す第1操作レバー70を操作すると、この第1操作レバー70と連動して生成されるパイロット信号圧が、図2に示すパイロット信号油路160を介してブーム用方向制御弁30のポート47に伝達される。これにより受圧面116から受圧面117方向へ移動する力がスプールに伝えられ、このブーム用方向制御弁30のスプールが受圧面117方向へ移動する。これと同時に油路39は空洞133と、油路40は空洞137と、空洞132は切欠き部110を介して空洞131にそれぞれ接続される。
このような動作によりブーム5等の重量を保持しているブームシリンダ14(15)のボトム室14b(15b)の圧油は、油路39へ排出され、その圧油の一部は内部再生油路31へ導かれ、残りは油路40、絞り41を介してタンク20へ導かれる。内部再生油路31に導かれた再生油は,油路141あるいは油路151を介して第2アーム用方向制御弁50のスプールの両端部を連通する第2内部再生油路63に導かれ、さらに油路151を介して供給油路である油路152,139に導かれる。したがって、ブームシリンダ14(15)のボトム室14b(15b)から排出された再生油は、チェック弁38及び油路152,139を介して、ブームシリンダ14(15)のロッド室14a(15a)に導かれ、再生が行われる。また、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油もブームシリンダ14(15)のロッド室14a(15a)に供給される。これらによってブームシリンダ14(15)はロッド室14a(15a)からボトム室14b(15b)方向に駆動力が発生し、ブーム5が下方向へ回動し、速やかなブーム下げを実現させることができる。
このような状態からオペレータが第1操作レバー70の操作を停止して中立位置に戻すと、受圧面116に作用していたパイロット信号圧が0となる。これにより、ばね115の復元力によってブーム用方向制御弁30のスプールは中立位置に戻り、接続していた油路39と空洞133、油路40と空洞137、空洞131と空洞132は再び遮断される。その結果、ボトム室14b(15b)の圧油は逃げられなくなり、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油もロッド室14a(15a)に供給できなくなり、ブーム下げは停止される。
図4に示すアーム6の単独操作については、前述と同様である。すなわち第2アーム用方向制御弁50に関連する動作については、アーム6を運転室8側へ引き寄せるアームイン操作(アームクラウド)に際し、オペレータが図2に示す第2操作レバー71を操作すると、第2操作レバー71と連動して生成されるパイロット信号圧がパイロット信号油路167を介してポート61へ伝達される。これにより、受圧面126から受圧面125方向へ移動する力が発生し、第2アーム用方向制御弁50のスプールは受圧面125方向へ移動する。これ同時に、空洞134は切欠き部118を介して空洞136と、空洞135は切欠き部119を介して空洞138と接続される。
これらの動作により、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油はボトム室16bへ供給され、ロッド室16aの油はタンク20へ排出されて、アームイン操作を行なうことができる。
また、オペレータが第2操作レバー71を中立位置に戻すと、受圧面126に作用していたパイロット信号圧は0となり、ばね124の復元力により第2アーム用方向制御弁50は中立位置に戻る。これと同時に、空洞134と空洞136、空洞135と空洞138とは再び遮断され、アームイン操作は停止される。
一方、アーム6を運転室8側とは反対方向へ押すアームアウト操作(アームダンプ)の場合は以下のようになる。オペレータが図2に示す第2操作レバー71を操作すると、パイロット信号油路166を介してポート62にパイロット信号圧が伝達される。これにより、受圧面125から受圧面126方向へ移動する力が発生し、第2アーム用方向制御弁50のスプールは受圧面126方向へ移動する。これと同時に、切欠き部121を介して空洞134と空洞135、及び切欠き部120を介して空洞136と空洞137はそれぞれ接続される。
これらの動作により、第1油圧ポンプ18から吐出される圧油はロッド室16aへ供給され、ボトム室16bの圧油はタンク20へ排出され、アームアウト操作を行なうことができる。オペレータが第2操作レバー71を中立位置に戻すとアームアウト操作が停止される。
図3は図2に対応させて描いた図であり、本実施形態における複合操作時の動作の一例を示す要部断面図である。次に、この図3に基づいて、例えばアームイン操作を行いながらブーム下げ操作を行なう複合操作について説明する。
オペレータがブーム下げ操作のために第1操作レバー70を操作するとともに、アームイン操作のために第2操作レバー71を操作すると、第1操作レバー70と連動して生成されるパイロット信号圧がパイロット信号油路160を介してポート47に伝達され、同時に、第2操作レバー71と連動して生成されるパイロット信号圧がパイロット信号油路167を介してポート61に伝達される。これにより、ブーム用方向制御弁30のスプールに受圧面116から受圧面117方向へ移動する力が発生し、第2アーム用方向制御弁50のスプールに受圧面126から受圧面125方向へ移動する力が発生する。
したがって、ブーム用方向制御弁30のスプールは受圧面117方向へ移動し、第2アーム用方向制御弁50のスプールは受圧面125方向へ移動する。これらの動作により、ブーム用方向制御弁30の油路39は空洞133と、油路40は空洞137と、空洞132は切欠き部110を介して空洞131にそれぞれ接続される。また、第2アーム用方向制御弁50側の空洞134は切欠き部118を介して空洞136と、空洞135は切欠き部119を介して空洞138とそれぞれ接続される。ここまでの動作は、前述したブーム下げ単独操作、アームイン単独操作と同様である。
前述の動作の間、第2アーム用方向制御弁50の切換位置は受圧面125側となっているが、ブーム用方向制御弁30のスプールに設けた内部再生油路31は油路141,151に連通した状態に保たれている。したがって、ブーム下げ単独操作時と同様に、このような複合操作時にあっても、ブームシリンダ14(15)のロッド室14a(15a)にボトム室14b(15b)から排出された再生油を供給することができる。
アームアウト操作を行いながらブーム下げ操作を行なう複合操作時であっても同様であり、第2アーム用方向制御弁50が受圧面126側に切換えられても、ブーム用方向制御弁30のスプールに設けた内部再生油路31は油路141,151に連通した状態に保たれている。したがって、ブーム下げ単独操作時と同様に、このような複合操作時にあっても、ブームシリンダ14(15)のロッド室14a(15a)にボトム室14b(15b)から排出された再生油を供給することができる。
このように構成した本実施形態によれば、ブームシリンダ14(15)のボトム室14b(15b)からロッド室14a(15a)へ圧油を供給する際には、ブーム用方向制御弁30に設けた内部再生油路31と第2アーム用方向制御弁50に設けた第2内部再生油路63の双方を介して再生することができる。これによって大きな再生流量を確保することができる。また、このように大きな再生流量の確保に際して、第2内部再生油路63が設けられる第2アーム用方向制御弁50は、ブームシリンダ14(15)とは異なる油圧アクチュエータであるアームシリンダ16を制御する方向制御弁を構成している。すなわち本実施形態は、大きな再生流量を確保するにあたって、ブーム用方向制御弁30で制御されるブームシリンダ14(15)とは異なるアームシリンダ16を制御する第2アーム用方向制御弁50、つまり第2方向制御弁に第2内部再生油路63を設けることができる。これにより、第2内部再生油路63を設ける第2方向制御弁の選定に対する自由度を大きくすることができ、大きな再生流量を確保するための内部再生油路31,63の製作が容易になり、すぐれた実用性を確保することができる。また、本実施形態におけるように、第2アーム用方向制御弁50で制御されるアームシリンダ16がブーム用方向制御弁30で制御されるブームシリンダ14(15)とは異なるものである場合、ブーム用方向制御弁30と第2アーム用方向制御弁50の双方を切換操作して行われるブーム下げ操作とアームシリンダ16のアームイン操作あるいはアームアウト操作との複合操作に際しても、ブームシリンダ14(15)の再生動作をブームシリンダ14(15)の単独操作時と同様に支障なく実現させることができる。
また、本実施形態は、ハウジング130に比べて取扱いやすい形状の小さな第1キャップ140、第2キャップ150に第1連通油路である油路141、第2連通油路である油路151のそれぞれを形成することから、これらの油路141,151の形成が容易であり、これに伴ってハウジング130の油路形成が単純化され、このハウジング130を容易に製作することができる。
また、本実施形態は、供給油路の一部、すなわち油路152を第2キャップ150に含ませることができるのでハウジング130に対する油路形成が単純化され、ハウジング130を容易に製作することができる。また、チェック弁38を第2キャップ150に設けることから、この点でもハウジング130にチェック弁38を設ける必要がなく、ハウジング130の製作を容易にすることができる。
なお、上記実施形態では、油圧シリンダとしてブームシリンダ14(15)を挙げ、油圧アクチュエータとしてアームシリンダ16を挙げ、第1内部再生油路である内部再生油路31をブーム用方向制御弁30に設け、第2内部再生油路63を第2アーム用方向制御弁50に設けた構成にしてあるが、本発明は、このように構成することには限られない。油圧シリンダとしてアームシリンダ16等のブームシリンダとは異なる油圧アクチュエータを設け、このアームシリンダ16等を制御するアーム用方向制御弁すなわち第1方向制御弁に第1内部再生油路である内部再生油路31を設け、アームシリンダ16等とは異なる油圧アクチュエータを制御する第2方向制御弁に第2内部再生油路を設けた構成にしてもよい。
また、このような構成の場合に、第1方向制御弁と第2方向制御弁とが同じアームシリンダ16等の油圧アクチュエータを制御する構成とすることもできる。
また、上記では、ブーム下げ時の再生を考慮して、ブームシリンダ14(15)のボトム室14b(15b)からロッド室14a(15a)へ再生油を供給する構成にしてあるが、アームシリンダ16等の他の油圧シリンダなどにあって再生油を供給する場合には、必要に応じてボトム室からロッド室へ再生油を供給する構成にしてもよく、また逆にロッド室からボトム室に再生油を供給する構成とすることもできる。また上記では、供給油路である油路152に、ブームシリンダ14(15)から油路152,139に向かう方向の圧油の流れを阻止し、ブームシリンダ14(15)方向への圧油の流れを許容するチェック弁38を設けた構成にしてあるが、第2連通油路である油路151に、油路151に向かう方向の圧油の流れを阻止し、供給油路である油路152,139方向への圧油の流れを許容する複数のチェック弁の組み合わせを設けた構成にしてもよい。また、例えばアームシリンダ16等の他の油圧シリンダなどにあって、上述のようにロッド室からボトム室へ再生油を供給する場合等には、供給油路を第1キャップ140及びハウジング130に設け、その供給油路に上述したチェック弁38と同等のチェック弁を設けてもよい。また、このように供給油路を設ける場合、第1連通油路である油路141に、油路141に向かう方向の圧油の流れを阻止し、供給油路方向への圧油の流れを許容する複数のチェック弁の組み合わせを設けた構成にしてもよい。
また、上記では、再生油をブームシリンダ14(15)のロッド室14a(15a)に供給する供給油路、すなわち油路152,139を、第2キャップ150に設けた第2連通油路を形成する油路151に連通させた構成にしてあるが、ハウジング130の油路形成に支障を生じない場合等にあっては、供給油路の一部を第1キャップ140に設けてもよく、また、第1キャップ140と第2キャップ150の双方に設けた構成としてもよい。さらに、ハウジング130の油路形成に支障を生じない場合等にあっては、第1連通油路と、第2連通油路と、供給油路とをハウジング130に設け、第1キャップ140及び第2キャップ150にこれらを設けない構成としてもよい。
また、上記実施形態では、互いに隣接するブーム用方向制御弁30に第1内部再生油路である内部再生油路31を設け、第2アーム用方向制御弁50に第2内部再生油路63を設けた構成にしてあるが、ハウジング130の形状寸法に余裕がある場合などにあっては、ブーム用方向制御弁30とは隣接しない別の方向制御弁である第2方向制御弁に第2内部再生油路63を設ける構成としてもよい。