JP3950259B2 - 掘削機の油圧操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、掘削作業機を有し、該作業機を油圧アクチュエーターで駆動し、該油圧アクチュエーターの作動を切り換える切換バルブをパイロット式で操作する構成において、エンジン停止後においても切換操作可能とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からバックホー等の掘削作業機において、本機よりアームやブーム等を介してバケットやフォークを装着して、前記アームやブーム等は油圧シリンダー等の油圧アクチュエーターを作動させることによって作業を行うようにしている。この油圧アクチュエーターを作動させるために、切換バルブが使用され、この切換バルブの切換は手動により行われていたが、操作力が若干大きいために長時間操作を行うと疲れてしまう。そこで、油圧パイロット式の切換バルブを用いて、メインの油圧切換バルブをパイロットバルブ(リモコン弁)を切り換えることによって、軽い操作で切り換えられるようした技術が採用されるようになってきた。
【0003】
しかし、パイロット式の切換バルブを用いた場合、作業機を上昇した位置で止めて作業を終了すると、操作レバーの操作だけではメインの油圧切換バルブを切り換えることができないので、油圧が徐々に抜けて作業機の下方に位置した部品等を壊したり、油圧ホースを交換するときに作動油が噴き出したりしていた。これを防止するには作業機を下げた状態にすればよいのであるが、エンジンを再び始動させて油圧を上げてからパイロットバルブを切換操作する必要があるため面倒な操作となっていたのである。そこで、パイロットバルブだけを操作できるように、パイロットバルブの操作油圧回路にアキュムレータを配置した技術が公知となっている。例えば、特開平6−299575号の技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アキュムレータは別部品で構成されるため、バルブケース等に後付けする構成となり、コストアップとなり、また、アキュムレータを取り付けるためのスペースや配管等が必要となって、油圧制御装置が大きくなり、取り付け位置が制限されることがあったのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
掘削作業機(5)を、ブームシリンダー(16)とアームシリンダー(17)とバケットシリンダー(19)と旋回モーター(22)によって駆動し、該油圧アクチュエーターへの圧油の送油を切り換えるブーム昇降切換バルブ(35)と、アーム回動切換バルブ(36)と、バケット回動切換バルブ(37)と、旋回切換バルブ(39)を、パイロット式の切換バルブとし、それぞれの切換バルブはパイロット油路を介してパイロットバルブ(40・41)と接続され、該パイロットバルブ(40・41)は運転席(3)の前部に設けた操作レバーの回動によって切り換え可能とし、前記パイロットバルブ(40・41)へは油圧ポンプ(P4)からパイロット油圧を供給すべく構成し、該油圧ポンプ(P4)とパイロットバルブ(40・41)との間にセーフティバルブ(47)を設け、該セーフティバルブ(47)を、油圧ポンプ(P4)のポンプケース(45)に付設し、更に、該ポンプケース(45)には、アキュムレータ(50)を一体的に付設し、作業時において油圧ポンプ(P4)から吐出された作動油が、該アキュムレータ(50)に蓄圧され、エンジン(30)を停止させると、該セーフティバルブ(47)が切り換えられてアキュムレータ(50)内に油圧が維持され、前記エンジン(30)を停止させた後において、該セーフティバルブ(47)を手動又は自動で切り換えて、操作レバーを操作すれば、該アキュムレータ(50)からの圧油がパイロットバルブ(40・41)を介して、前記切換バルブに送油され、該切換バルブを切り換え可能とし、掘削作業機(5)を上昇させることは不可能だが、下降を可能としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、掘削作業機をバックホーとした本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1はバックホーの全体側面図、図2は油圧回路図、図3は同じく要部の油圧回路図、図4は油圧ポンプの平面図、図5は同じく正面図、図6は同じく側面図である。
【0007】
まず、バックホーの全体構成から説明する。図1において、左右一対のクローラー2を装備したクローラー式走行装置1の上部に、旋回可能に旋回台4を取り付け、該旋回台4上に運転席3や操作レバー等を収納したキャビン6配設し、該キャビン6の右側に掘削作業機5の基部を支持している。該旋回台4の後部は平面視半円状に構成され、クローラー式走行装置1の幅内で旋回できるようにしている。前記キャビン6の後部には、エンジンやバッテリーや燃料タンク等を配置してカバー7で覆っている。また、前記クローラー式走行装置1の前部に排土板9が装着している。
【0008】
前記掘削作業機5は、第一ブーム11、第二ブーム12、第三ブーム13よりなる三つに分割されたブームと、該ブームの先端に取り付けられたアーム14とバケット15からなり、第一ブーム11は旋回台4に前後方向に上下回動可能に枢支され、該第一ブーム11と旋回台4との間に、ブームシリンダー16が取り付けられ、該ブームシリンダー16の伸縮によりブームを上下回動可能としている。前記第三ブーム13に、アーム14が前後方向に回動可能に枢支され、該アーム14と第三ブーム13との間にアームシリンダー17が介装されて、該アームシリンダー17の伸縮よりアーム14を回動可能とし、該アーム14の先端にバケット15を枢結して、両者の間にバケットシリンダー19が介装され、バケットシリンダー19を伸縮させることによって、バケット15をダンプさせたり掬い込み動作させることができる。
【0009】
また、前記第一ブーム11の先端に第二ブーム12が左右回動可能に枢支され、該第二ブーム12先端に第三ブーム13が左右回動可能に枢支され、該第一ブーム11と第三ブーム13の間には第二ブームと平行となるようにオフセットロッドが枢結され、該オフセットロッドと略平行にオフセットシリンダー21が第二ブーム12と第三ブーム13の間に介装されている。こうして、第一ブーム11と第二ブーム12と第三ブーム13とオフセットロッドによって平行4連リンク機構が構成され、オフセットシリンダー21を伸縮させることで、アーム14及びバケット15は前後方向のまま左右平行移動され、側溝掘り作業等でオフセットさせた状態で作業できるようにしている。
【0010】
次に前記油圧シリンダーを駆動するための油圧回路について説明する。図2に示すように、エンジン30の出力軸に第一油圧ポンプP1、第二油圧ポンプP2、第三油圧ポンプP3、第四油圧ポンプP4が並列に駆動できるように連設され、該第一油圧ポンプP1と第二油圧ポンプP2の吐出側には操向切換バルブ31・32を介してクローラー式走行装置1に設けた油圧モーター33・34と接続されて、切換バルブや変速レバーの操作で走行および左右旋回が可能としている。
【0011】
また、第一油圧ポンプP1の吐出油路から分岐して、ブーム昇降切換バルブ35、バケット回動切換バルブ37、オフセット駆動切換バルブ38に圧油を供給可能に接続され、前記第二油圧ポンプP2の吐出油路は旋回切換バルブ39、アーム回動切換バルブ36に圧油を供給可能に接続されている。
【0012】
そして、前記ブーム昇降切換バルブ35の二次側にブームシリンダー16が接続され、アーム回動切換バルブ36の二次側にアームシリンダー17が、バケット回動切換バルブ37の二次側にバケットシリンダー19が、オフセット駆動切換バルブ38の二次側にオフセットシリンダー21が、旋回切換バルブ39の二次側に旋回モーター22がそれぞれ接続されている。ただし、排土板を昇降するシリンダー及び切換バルブは図示していない。
【0013】
また、ブーム昇降切換バルブ35、アーム回動切換バルブ36、バケット回動切換バルブ37、旋回切換バルブ39はパイロット式の切換バルブであって、それぞれの操作部はパイロット油路を介してパイロットバルブ40・41と接続されている。該パイロットバルブ40・41は運転席3の前部に設けた操作レバーの回動によって切り換え、前記油圧シリンダーを作動できるようにしている。そして、前記パイロットバルブ40・41へは前記第四油圧ポンプP4からパイロット油圧が供給されるようにしている。
【0014】
前記第一油圧ポンプP1、第二油圧ポンプP2、第三油圧ポンプP3、第四油圧ポンプP4はポンプユニットUとしてポンプケース45内に収納されており、図2、図3に示すように、ポンプケース45に前記ポンプP1・P2・P3・P4に加えて一体的に第一・第二セーフティバルブ46・47とリリーフバルブ49と本発明のアキュムレータ50が設けられている。前記第一セーフティバルブ46の二次側はパイロット油路を介してクローラー式走行装置1に設けたブレーキ解除用バルブと接続され、前記第二セーフティバルブ47の二次側がフィルター51・51を介して前記パイロットバルブ40・41と接続されている。
【0015】
そして、第二セーフティバルブ47の一次側にはポンプポートともう一つのサブポンプポートがあり、このサブポンプポートに本発明のアキュムレータ50が接続されている。そして、図4乃至図6に示すように、該アキュムレータ50はポンプケース45に一体的に設けられており、ポンプユニットUはポンプケース45の中央にポンプ軸52が横架されて、一端を突出してエンジン30の出力軸と連結している。該ポンプケース45内には四つの油圧ポンプP1・P2・P3・P4が収納され、底部に設けた吸入ポートより作動油を吸入し、ポンプケース45上面に油圧ポンプP1・P2・P3の吐出ポート61・62・63がそれぞれ設けられている。
【0016】
そして、ポンプケース45の側面に電磁バルブからなる前記第一・第二セーフティバルブ46・47を収納したバルブケース53が固設され、該バルブケース53の一側にソレノイド46a・47aが突設され、他側にアキュムレータ50が配設されて連通されている。該アキュムレータ50はポンプケース45と一体的に形成され、または、着脱可能に形成され、前記バルブケース53側方の空間に配置され、ソレノイド46a・47aとは反対側に配置して、無駄なスペースを有効に利用できる形状としている。そして、バルブケース53の上面と側面と下面にパイロット油圧の吐出ポート64〜67が配設されている。
【0017】
このように、前記パイロット油圧を供給する油圧ポンプP4と油圧アクチュエーターの切換バルブ35〜39との間にセーフティバルブ47を設け、該セーフティバルブ47をポンプケース45に付設し、該セーフティバルブ47のバルブケース45側部にアキュムレータ50を配置したので、バルブケース側部の空間を有効に利用することが可能となり、省スペースのアキュムレータを構成することが可能となるのである。
【0018】
このように構成において、バックホーによって掘削作業を終了してブームを上げた状態でエンジン30を停止した場合、掘削作業機5の自重とわずかなリークによってブームが下降する可能性があるので、下げておくほうが好ましい。そこで、操作レバーを操作すると従来ではパイロット油圧がかかっていないために、ブーム昇降切換バルブ35やアーム回動切換バルブ36やバケット回動切換バルブ37を切り換えることはできないが、本発明では、作業時において油圧ポンプP4から吐出された作動油がアキュムレータ50に蓄圧されており、エンジン30を停止させると、第二セーフティバルブ47が切り換えられてアキュムレータ50内に油圧が維持され、エンジン30を停止させた後において、第二セーフティバルブ47を切り換えて、操作レバーを操作すれば、アキュムレータ50からの圧油がパイロット油路を介して切換バルブの操作部に送油されて切り換えることができるのである。このとき、上昇させることはできないが、下降させることはできるのである。但し、前記第二セーフティバルブ47は本実施例では電磁バルブとしてソレノイドの作動によって切り換えられるようにしているが、手動によっても切り換えられるバルブとすることも可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
掘削作業機(5)を、ブームシリンダー(16)とアームシリンダー(17)とバケットシリンダー(19)と旋回モーター(22)によって駆動し、該油圧アクチュエーターへの圧油の送油を切り換えるブーム昇降切換バルブ(35)と、アーム回動切換バルブ(36)と、バケット回動切換バルブ(37)と、旋回切換バルブ(39)を、パイロット式の切換バルブとし、それぞれの切換バルブはパイロット油路を介してパイロットバルブ(40・41)と接続され、該パイロットバルブ(40・41)は運転席(3)の前部に設けた操作レバーの回動によって切り換え可能とし、前記パイロットバルブ(40・41)へは油圧ポンプ(P4)からパイロット油圧を供給すべく構成し、該油圧ポンプ(P4)とパイロットバルブ(40・41)との間にセーフティバルブ(47)を設け、該セーフティバルブ(47)を、油圧ポンプ(P4)のポンプケース(45)に付設し、更に、該ポンプケース(45)には、アキュムレータ(50)を一体的に付設し、作業時において油圧ポンプ(P4)から吐出された作動油が、該アキュムレータ(50)に蓄圧され、エンジン(30)を停止させると、該セーフティバルブ(47)が切り換えられてアキュムレータ(50)内に油圧が維持され、前記エンジン(30)を停止させた後において、該セーフティバルブ(47)を手動又は自動で切り換えて、操作レバーを操作すれば、該アキュムレータ(50)からの圧油がパイロットバルブ(40・41)を介して、前記切換バルブに送油され、該切換バルブを切り換え可能とし、掘削作業機(5)を上昇させることは不可能だが、下降を可能としたので、アキュムレータを別部品として新たに構成して配管途中に配置する必要がなくなり、部品点数を削減して、組立工数を減少し、コスト低減化も図れたのである。
また、アクチュエーターの残圧を抜くことができて、メンテナンス時に配管を外した時等に作動油の吹き出しを防止することができ、また、エンジン停止後において、アキュムレータからの圧油によって作業機を安定した姿勢に操作できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バックホーの全体側面図である。
【図2】 油圧回路図である。
【図3】 同じく要部の油圧回路図である。
【図4】 油圧ポンプの平面図である。
【図5】 同じく正面図である。
【図6】 同じく側面図である。
【符号の説明】
5 掘削作業機
11 第一ブーム
16 ブームシリンダー
30 エンジン
35 ブーム昇降切換バルブ
45 ポンプケース
50 アキュムレータ
53 バルブケース
P1〜P4 油圧ポンプ
Claims (1)
- 掘削作業機(5)を、ブームシリンダー(16)とアームシリンダー(17)とバケットシリンダー(19)と旋回モーター(22)によって駆動し、該油圧アクチュエーターへの圧油の送油を切り換えるブーム昇降切換バルブ(35)と、アーム回動切換バルブ(36)と、バケット回動切換バルブ(37)と、旋回切換バルブ(39)を、パイロット式の切換バルブとし、それぞれの切換バルブはパイロット油路を介してパイロットバルブ(40・41)と接続され、該パイロットバルブ(40・41)は運転席(3)の前部に設けた操作レバーの回動によって切り換え可能とし、前記パイロットバルブ(40・41)へは油圧ポンプ(P4)からパイロット油圧を供給すべく構成し、
該油圧ポンプ(P4)とパイロットバルブ(40・41)との間にセーフティバルブ(47)を設け、該セーフティバルブ(47)を、油圧ポンプ(P4)のポンプケース(45)に付設し、更に、該ポンプケース(45)には、アキュムレータ(50)を一体的に付設し、作業時において油圧ポンプ(P4)から吐出された作動油が、該アキュムレータ(50)に蓄圧され、エンジン(30)を停止させると、該セーフティバルブ(47)が切り換えられてアキュムレータ(50)内に油圧が維持され、前記エンジン(30)を停止させた後において、該セーフティバルブ(47)を手動又は自動で切り換えて、操作レバーを操作すれば、該アキュムレータ(50)からの圧油がパイロットバルブ(40・41)を介して、前記切換バルブに送油され、該切換バルブを切り換え可能とし、掘削作業機(5)を上昇させることは不可能だが、下降を可能としたことを特徴とする掘削機の油圧操作装置。
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