ところで、例えば、タンカー、大型客船などの外国航路に就航する船舶は、航海日数が長くなり、また、このような巨大な船舶では、大量の燃料を消費することになる。このため、コストを削減するために、公海上などの航海状態では、比較的に価格の安い低質油である、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油が使われている。
一方、港湾内では、内燃機関の作動・停止などが多くなり、このため、燃料効率などの良好で比較的高価な高質油である、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油が使用されている。
このため、このような船舶では、A重油とC重油を切り換えて内燃機関に供給している。この場合、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合には、前述したように、問題が生じる。
このため、本出願人は、供給ラインを介して異なる種類の燃料を、例えば、船舶の内燃機関などの被利用機器に供給する燃料供給装置の動粘度制御装置を既に提供している。
図11は、この従来の燃料供給装置100の概略を示すブロック図である。
図11に示したように、燃料供給装置100は、動粘度制御装置102を備えており、例えば、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油を収容した第1の燃料タンク104と、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油を収容した第2の燃料タンク106を備えている。
そして、第1の燃料タンク104に収容されたA重油は、第1の開閉弁108を介して、第1の取出しライン110を介して、三方弁からなる燃料切換弁112に導入されるようになっている。
同様に、第2の燃料タンク106に収容されたC重油は、第2の開閉弁114を介して、第2の取出しライン116を介して、燃料切換弁112に導入されるようになっている。
この燃料切換弁112により切り換えられた燃料(A重油またはC重油)は、供給ライン118を介して、燃料供給ポンプ120を通過することにより所定の圧力で、内燃機関があるメインエンジン122に供給されるように構成されている。
また、メインエンジンで消費されない余剰の燃料は、循環開閉弁124を介して、循環ライン126を通り循環するように構成されている。すなわち、循環ライン126を流れる流体の種類に応じて、図示しない切換弁を介して、第1の燃料タンク104、または、第2の燃料タンク106に還流されるようになっている。
さらに、燃料供給ポンプ120の下流側には、加熱装置を構成する、例えば、蒸気によって加熱するヒーター128を備えている。このヒーター128には、図示しない蒸気源からヒーター128に蒸気を供給する蒸気供給ライン130と、蒸気源からヒーター128に供給される蒸気量を調整するため開度が調整できる蒸気比例弁136を備えている。
また、このヒーター128を通過することによって、熱交換された水分を貯留するリザーバー132が接続されている。
一方、供給ライン118のヒーター128の下流側には、センサー部134が設けられており、このセンサー部134には、粘度センサー(差圧センサー)138と、温度センサー140が設けられている。
なお、粘度センサー138は、粘性流体が一定の内径を有する細管内を一定流量の層流状態で流れた場合に、細管内の上流側と下流側で発生する圧力差と、流量との関係から、ハーゲン・ポアズイユ(Hagen−Poiseuille)流の法則により、連続的に粘度を求める細管式粘度計から構成されている。
また、これらの粘度センサー138と、温度センサー140は、動粘度制御部142に接続されている。これらの粘度センサー138からの粘度情報と、温度センサー140からの温度情報に基づいて、動粘度制御部142において、供給ライン118を流れる燃料の動粘度を算出するように構成されている。
そして、動粘度制御部142の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部142によって、供給ライン118に供給される燃料の粘度が高すぎる場合には、蒸気比例弁136の開度を上げて、蒸気源からヒーター128に供給される蒸気量を上昇させて、ヒーター128によって、供給ライン118に供給される燃料の粘度を低下させるように構成されている。
一方、動粘度制御部142の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部142によって、供給ライン118に供給される燃料の粘度が低すぎる場合には、蒸気比例弁136の開度を下げて、蒸気源からヒーター128に供給される蒸気量を減少させて、熱交換によって、供給ライン118に供給される燃料の粘度を上昇させるように構成されている。
これによって、供給ライン118に供給される燃料の粘度を所定の範囲内になるようにして、前述したような供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止するように構成されている。
なお、動粘度制御装置102には、動粘度制御部142に接続された制御パネル144が設けられており、制御モード切換、温度設定および温度表示、動粘度設定および動粘度表示、各種アラーム表示などをするように構成されている。
ところで、粘度センサー(差圧センサー)138からの信号は、粘度データであるので、流れる流体に対しては、動粘度に換算する必要がある。
すなわち、粘度データを、動粘度に換算する場合、下記の式、
動粘度(cSt)=粘度(cP)/密度(g/cm3)
で換算する必要がある。
しかしながら、従来の動粘度制御部142は、アナログの基板から構成されており、燃料の種類が相違しても、一定の密度で処理を行って、動粘度を算出して制御するように構成されている。
実際の燃料の密度は、例えば、C重油であるMFOでは、0.93(15℃)であり、A重油であるMDOでは、0.83(15℃)であって、その違いは、約10%程度もある。
従って、動粘度制御部142によって、供給ライン118に供給される燃料の粘度を正確に算出することができず、蒸気比例弁136の開度の調整によるヒーター128による加熱温度が正確に制御できないことになる。
その結果、供給ライン118に供給される燃料の粘度を所定の範囲内に制御できず、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができない。
また、燃料の切り換え時には、例えば、A重油からC重油に切り替える際に、密度が10%程度違うので、単純に切換えると、ショックが発生するとともに、混合状態の燃料の密度に追随することができない。
このため、供給ライン118に供給される燃料の粘度を所定の範囲内に制御できず、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができない。
本発明は、このような現状に鑑み、動粘度制御部によって、供給ラインに供給される流体の粘度を正確に算出することができ、例えば、蒸気比例弁の開度の調整による加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御できる流体供給装置の動粘度制御装置、および、流体供給装置の動粘度制御方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に制御でき、これにより、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる流体供給装置の動粘度制御装置、および、流体供給装置の動粘度制御方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、流体の切り換え時において、ショックが発生せずに、混合状態の流体の密度に正確に追随することができ、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に正確に制御でき、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる流体供給装置の動粘度制御装置、および、流体供給装置の動粘度制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の流体供給装置の動粘度制御装置は、
供給ラインを介して流体を被利用機器に供給する流体供給装置の動粘度制御装置であって、
前記供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の粘度を測定する粘度センサーと、
前記供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の温度を測定する温度センサーと、を備え、
前記流体の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブルを記憶した記憶部と、
前記粘度センサーからの粘度データと、前記温度センサーからの温度データに基づいて、前記記憶部に記憶された密度変換テーブルを用いて、流体の種類に応じた動粘度を算出する演算処理部とを備えた動粘度制御部を備え、
前記動粘度制御部において、流体の種類に応じて入力された流体の比重データと、前記密度変換テーブルに基づく密度データが相違して、比重補正が必要であると判断された場合、
前記演算処理部において、前記記憶部に記憶された密度変換テーブルを入力された流体の比重データに基づいてキャリブレーションして、動粘度を算出するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体供給装置の動粘度制御方法は、
供給ラインを介して流体を被利用機器に供給する流体供給装置の動粘度制御方法であって、
前記供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の粘度を測定する粘度センサーからの粘度データと、
前記供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の温度を測定する温度センサーからの温度データに基づいて、
前記流体の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブルを用いて、流体の種類に応じた動粘度を算出し、
前記流体の種類に応じて入力された流体の比重データと、前記密度変換テーブルに基づく密度データが相違して、比重補正が必要であると判断された場合、
前記密度変換テーブルを入力された流体の比重データに基づいてキャリブレーションして、動粘度を算出することを特徴とする。
このように構成することによって、供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の粘度を測定する粘度センサーからの粘度データと、供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の温度を測定する温度センサーからの温度データに基づいて、流体の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブルを用いて、流体の種類に応じた動粘度を算出するようになっている。
従って、粘度センサーからの粘度データと、温度センサーからの温度データに基づいて、流体の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブルから、流体の種類に応じた動粘度を正確に算出することができる。
すなわち、使用する流体の密度データを記録することにより、粘度センサーからの粘度データと、温度センサーからの温度データに基づいて、例えば、流体温度1℃ごとの密度変換テーブルを作成することにより、制御精度が向上することになる。
その結果、動粘度制御部によって、供給ラインに供給される流体の粘度を正確に算出することができ、例えば、蒸気比例弁の開度の調整によって、加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御できる。
また、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に制御でき、これにより、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
このように構成することによって、流体の種類に応じて入力された流体の比重データと、密度変換テーブルに基づく密度データが相違して、比重補正が必要であると判断された場合、密度変換テーブルを入力された流体の比重データに基づいてキャリブレーションして、動粘度を算出している。
従って、流体の種類に応じて入力された流体の比重データに基づいて、密度変換テーブルを較正しているので、より正確な流体の種類に応じた動粘度を正確に算出することができる。
その結果、加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御でき、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に制御でき、これにより、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
また、本発明の流体供給装置の動粘度制御装置は、
前記動粘度制御部において、前記供給ラインに供給される流体の種類を切り換える際に、
前記流体の混合比率の変動に応じて、動粘度を算出するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体供給装置の動粘度制御方法は、
前記供給ラインに供給される流体の種類を切り換える際に、
前記流体の混合比率の変動に応じて、動粘度を算出することを特徴とする。
このように、供給ラインに供給される流体の種類を切り換える際に、流体の混合比率の変動に応じて、混合密度を算出して動粘度を算出している。
従って、流体の切り換え時において、ショックが発生せずに、混合状態の流体の密度に正確に追随することができ、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に正確に制御でき、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
また、本発明の流体供給装置の動粘度制御装置は、
前記動粘度制御部において、前記供給ラインに供給される流体の種類を切り換える際に、
前記演算処理部において、供給ラインを流れる流体の切り換えに要する時間である切換時間M1、切り換え時からの経過時間M2に基づいて、
前記記憶部に記憶された密度変換テーブルを参照して、
切り換え前の流体の密度D1+(切り換え後の流体の密度D2−切り換え前の流体の密度D1)×経過時間M2/切換時間M1
の式に基づいて、混合密度を算出して動粘度を算出するように構成されていることを特徴とする。
また、本発明の流体供給装置の動粘度制御方法は、
前記供給ラインに供給される流体の種類を切り換える際に、
前記供給ラインを流れる流体の切り換えに要する時間である切換時間M1、切り換え時からの経過時間M2に基づいて、
前記密度変換テーブルを参照して、
切り換え前の流体の密度D1+(切り換え後の流体の密度D2−切り換え前の流体の密度D1)×経過時間M2/切換時間M1
の式に基づいて、混合密度を算出して動粘度を算出することを特徴とする。
このように構成することによって、流体切換時の混合状態での、各流体の密度テーブルから、経過時間をパラメータとし、混合流体の密度を算出して正確な制御を行っている。
従って、流体の切り換え時において、ショックが発生せずに、混合状態の流体の密度に正確に追随することができ、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に正確に制御でき、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
また、本発明では、前記動粘度制御部の演算処理部で算出された動粘度に基づいて、前記供給ラインに配設された加熱装置の加熱温度を制御するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、算出された動粘度に基づいて、供給ラインに配設された加熱装置の加熱温度を制御するので、例えば、蒸気比例弁の開度の調整によって、加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御でき、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に制御できる。
これにより、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
また、本発明では、前記流体が、MGO(Marine Gas Oil)、または、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油と、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油であることを特徴とする。
このように構成することによって、MGO(Marine Gas Oil)、または、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油と、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油に対して、動粘度制御部によって、供給ラインに供給される燃料の粘度を正確に算出することができ、例えば、蒸気比例弁の開度の調整によって、加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御できる。
また、供給ラインに供給される燃料の粘度を所定の範囲内に制御でき、これにより、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
さらに、これらのA重油、C重油の燃料の切り換え時において、ショックが発生せずに、混合状態の燃料の密度に正確に追随することができ、供給ラインに供給される燃料の粘度を所定の範囲内に正確に制御でき、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
また、本発明では、前記被利用機器が、内燃機関、ボイラー、または、プラント機器であることを特徴とする。
このように、本発明の流体供給装置の動粘度制御装置、および、流体供給装置の動粘度制御方法を、例えば、内燃機関である船舶のディーゼル機関、ボイラーに適用することができる。
また、本発明では、前述のいずれかに記載の動粘度制御装置を備えたことを特徴とする流体供給装置である。
本発明によれば、供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の粘度を測定する粘度センサーからの粘度データと、供給ラインに配設され、供給ラインを流れる流体の温度を測定する温度センサーからの温度データに基づいて、流体の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブルを用いて、流体の種類に応じた動粘度を算出するようになっている。
従って、粘度センサーからの粘度データと、温度センサーからの温度データに基づいて、流体の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブルから、流体の種類に応じた動粘度を正確に算出することができる。
すなわち、使用する流体の密度データを記録することにより、粘度センサーからの粘度データと、温度センサーからの温度データに基づいて、例えば、流体温度1℃ごとの密度変換テーブルを作成することにより、制御精度が向上することになる。
その結果、動粘度制御部によって、供給ラインに供給される流体の粘度を正確に算出することができ、例えば、蒸気比例弁の開度の調整によって、加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御できる。
このように構成することによって、流体の種類に応じて入力された流体の比重データと、密度変換テーブルに基づく密度データが相違して、比重補正が必要であると判断された場合、密度変換テーブルを入力された流体の比重データに基づいてキャリブレーションして、動粘度を算出している。
また、このように構成することによって、流体の種類に応じて入力された流体の比重データと、密度変換テーブルに基づく密度データが相違して、比重補正が必要であると判断された場合、密度変換テーブルを入力された流体の比重データに基づいてキャリブレーションして、動粘度を算出している。
従って、流体の種類に応じて入力された流体の比重データに基づいて、密度変換テーブルを較正しているので、より正確な流体の種類に応じた動粘度を正確に算出することができる。
その結果、加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御でき、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に制御でき、これにより、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の流体供給装置を燃料供給装置10に適用した実施例の概略を示すブロック図である。
図1に示したように、燃料供給装置10は、動粘度制御装置12を備えており、例えば、MGO(Marine Gas Oil)、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油を収容した第1の燃料タンク14と、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油を収容した第2の燃料タンク16を備えている。
そして、第1の燃料タンク14に収容されたA重油は、第1の開閉弁18を介して、第1の取出しライン20を介して、三方弁からなる燃料切換弁22に導入されるようになっている。
同様に、第2の燃料タンク16に収容されたC重油は、第2の開閉弁24を介して、第2の取出しライン26を介して、燃料切換弁22に導入されるようになっている。
この燃料切換弁22により切り換えられた燃料(A重油またはC重油)は、供給ライン28を介して、燃料供給ポンプ30を通過することにより所定の圧力で、被利用機器として、内燃機関であるメインエンジン32に供給されるように構成されている。
また、メインエンジン32で消費されない余剰の燃料は、循環開閉弁34を介して、循環ライン36を通り循環するように構成されている。すなわち、循環ライン36を流れる流体の種類に応じて、図示しない切換弁を介して、第1の燃料タンク14、または、第2の燃料タンク16に還流されるようになっている。
さらに、燃料供給ポンプ30の下流側には、加熱装置を構成する、例えば、蒸気によって加熱するヒーター38を備えている。このヒーター38には、図示しない蒸気源からヒーター38に蒸気を供給する蒸気供給ライン40と、蒸気源からヒーター38に供給される蒸気量を調整するため開度が調整できる蒸気比例弁46を備えている。
また、このヒーター38を通過することによって、熱交換された水分を貯留するリザーバー42が接続されている。
一方、供給ライン28のヒーター38の下流側には、センサー部44が設けられており、このセンサー部44には、粘度センサー(差圧センサー)48と、温度センサー50が設けられている。
なお、粘度センサー48は、粘性流体が一定の内径を有する細管内を一定流量の層流状態で流れた場合に、細管内の上流側と下流側で発生する圧力差と、流量との関係から、ハーゲン・ポアズイユ(Hagen−Poiseuille)流の法則により、連続的に粘度を求める細管式粘度計から構成されている。
また、これらの粘度センサー48と、温度センサー50は、動粘度制御部52に接続されている。これらの粘度センサー48からの粘度情報と、温度センサー50からの温度情報に基づいて、動粘度制御部52において、供給ライン28を流れる燃料の動粘度を算出するように構成されている。
そして、動粘度制御部52の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部52によって、供給ライン28に供給される燃料の粘度が高すぎる場合には、蒸気比例弁46の開度を上げて、蒸気源からヒーター38に供給される蒸気量を上昇させて、ヒーター38によって、供給ライン28に供給される燃料の粘度を低下させるように構成されている。
一方、動粘度制御部52の動粘度の算出結果に基づいて、動粘度制御部52によって、供給ライン28に供給される燃料の粘度が低すぎる場合には、蒸気比例弁46の開度を下げて、蒸気源からヒーター38に供給される蒸気量を減少させて、熱交換によって、供給ライン28に供給される燃料の粘度を上昇させるように構成されている。
これによって、供給ライン28に供給される燃料の粘度を所定の範囲内になるようにして、前述したような供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止するように構成されている。
なお、動粘度制御装置12には、動粘度制御部52に接続された制御パネル54が設けられている。また、制御パネル54には、例えば、MGO(Marine Gas Oil)、または、MDO(Marine Diesel Oil)からなるA重油と、MFO(Marine Fuel Oil)からなるC重油などの燃料の切り換えを行うための燃料切換部56と、制御モード切換、温度設定および温度表示、動粘度設定および動粘度表示、各種アラーム表示などを行うための表示設定部58とを備えている。
ところで、粘度センサー(差圧センサー)48からの信号は、粘度データであるので、流れる流体に対しては、動粘度に換算する必要がある。
すなわち、粘度データを、動粘度に換算する場合、下記の式、
動粘度(cSt)=粘度(cP)/密度(g/cm3)
で換算する必要がある。
しかしながら、図11に示した従来の燃料供給装置100では、動粘度制御装置102の動粘度制御部142は、アナログの基板から構成されており、燃料の種類が相違しても、一定の密度で処理を行って、動粘度を算出して制御するように構成されている。
そのため、実際の燃料の密度は、例えば、C重油であるMFOでは、0.93(15℃)であり、A重油であるMDOでは、0.83(15℃)であって、その違いは、約10%程度もある。
従って、動粘度制御部142によって、供給ライン118に供給される燃料の粘度を正確に算出することができず、蒸気比例弁136の開度の調整によるヒーター128による加熱温度が正確に制御できないことになる。
その結果、供給ライン118に供給される燃料の粘度を所定の範囲内に制御できず、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができない。
また、燃料の切り換え時には、例えば、A重油からC重油に切り替える際に、密度が10%程度違うので、単純に切換えると、ショックが発生するとともに、混合状態の燃料の密度に追随することができない。
このため、供給ライン118に供給される燃料の粘度を所定の範囲内に制御できず、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができない。
このため、図1に示したように、本発明の燃料供給装置10では、動粘度制御装置12の動粘度制御部52には、例えば、RAM、HDDなどのメモリーから構成される記憶部60と、例えば、CPUなどから構成される演算処理部62とが備えられている。
そして、本発明の燃料供給装置10では、動粘度制御装置12の動粘度制御部52、制御パネル54などが、図2のブロック図に示したように、作動するように構成されている。
すなわち、動粘度制御部52の記憶部60には、図2に示したように、燃料の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブル64が、デフォルトで記憶されている。
密度変換テーブル64は、図2に示したように、例えば、MFO密度変換テーブル64A、MDO密度変換テーブル64B、MGO密度変換テーブル64Cが、1℃毎の密度変換テーブルとして予め、動粘度制御部52の記憶部60に記憶されている。
また、センサー部44の粘度センサー(差圧センサー)48からの信号、温度センサー50からの信号が、動粘度制御部52の演算処理部62に取り込まれるようになっている。
この場合、センサー部44の粘度センサー48からの信号は、メインエンジン32のプランジャポンプの作動による脈動があるので、アナログフィルター65でフィルタリングされた後、アナログ−デジタル変換回路(ADC)66でデジタル信号に変換され、デジタルフィルタ(FIR)67で脈動を除去した後に取り込まれる。
また、温度センサー50からの信号についても、アナログフィルター68でフィルタリングされた後、アナログ−デジタル変換回路(ADC)69でデジタル信号に変換され、デジタルフィルタ(FIR)70で処理された後に取り込まれる。
そして、動粘度制御部52の演算処理部62に取り込まれた、粘度センサー48からの粘度データと、温度センサー50からの温度データに基づいて、図2に示したように、燃料の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブル64を用いて、燃料の種類に応じた動粘度を算出する。
具体的には、動粘度制御部52の演算処理部62では、図2の符号51に示したように、温度センサー50からの温度データに基づいて、密度変換テーブル64から密度データを得る。
そして、この密度データと粘度センサー48からの粘度データとに基づいて、
動粘度=粘度/密度の計算式に基づいて、動粘度が計算処理されるようになっている。
そして、図2に示したように、この算出された動粘度データに基づいて、PID制御74、PWM制御76を行い、定電流回路78を介して、蒸気比例弁46の開度を調整して、蒸気源からヒーター38に供給される蒸気量を制御するように構成されている。
これにより、供給ライン28に供給される燃料の粘度を所定の範囲内になるようにして、供給ラインに供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止するように構成されている。
なお、粘度センサー48の故障時には、表示設定部58において、エラー表示をするとともに、制御モードが温度制御に移行するように構成されている。
また、粘度センサー48と、温度センサー50の両方のセンサーが故障した際には、エラー表示をするとともに、制御モードが手動モードに移行するようになっている。
この場合、温度センサー50の方が、粘度センサー48に比較して、故障の確立が低いが、温度センサー50の故障時は、各燃料で、5〜15cSt(センチストークス)程度の温度データをデフォルトで有しており、動粘度制御を行うように構成されている。
以下に、動粘度制御部52において、粘度センサー48からの粘度データと、温度センサー50からの温度データに基づいて、密度変換テーブル64を用いて、燃料の種類に応じた動粘度を算出する方法について、図3〜図10のフローチャートに基づいて、詳細に説明する。
(1)動粘度算出通常モード
以下に、燃料の種類に応じた動粘度を算出する方法について、動粘度算出通常モードについて、図3〜図6のフローチャートに基づいて、詳細に説明する。
(1−1)MGOの動粘度算出通常モード(MODE1)
図3のフローチャートに示したように、ステップS1において動粘度演算処理が開始される。
そして、ステップS2において、温度センサー50からの信号について、アナログフィルター68でフィルタリングされた後、アナログ−デジタル変換回路(ADC)69でデジタル信号に変換される。
また、同様にして、粘度センサー48からの信号について、アナログフィルター65でフィルタリングされた後、アナログ−デジタル変換回路(ADC)66でデジタル信号に変換される。
なお、この場合、粘度、温度の測定も、トリマーなどのアナログキャリブレーションではなく、ADのバイナリ―データによるデジタルキャリブレーションによって行われる。
次に、ステップS3において、デジタル信号に変換された温度センサー50からの信号について、デジタルフィルタ(FIR)70で脈動が除去される。
同様に、デジタル信号に変換された粘度センサー48からの信号について、デジタルフィルタ(FIR)67で処理される。
そして、ステップS4において、デジタルフィルタ(FIR)70でフィルタリングされた温度データについて、OFFSET値、SPAN値を用いて、ソフトウェアによって調整(キャリブレーション)され、ステップS5において、温度データが確定される。
次に、ステップS6において、デジタルフィルタ(FIR)67でフィルタリングされた粘度データについて、OFFSET値、SPAN値を用いて、ソフトウェアによって調整(キャリブレーション)される。
具体的には、この粘度データのキャリブレーションは、以下の様にして行われる。
例えば、粘度0.0〜45.0cPで、0.0〜180.0mVが、粘度センサー48の仕様だった場合、先ず、粘度回路に0.0mVを入力する。
その時のバイナリーデータを、OFFSET値(例えば、仮に95bit)として記憶する。次に、粘度回路に180mVを入力し、その時のバイナリ―データを、SPAN値(例えば、仮に910bit)として記憶する。
粘度センサー48の特性は、アナログ−デジタル変換回路(ADC)66に取り込み時に、ほぼ1次式になるように設計しているので、仮に498bitの入力があった場合、Fullscale×(Input data - OFFSET data)/(SPAN data - OFFSET data)の関係式が成り立ち、これにより、45.0cP×(498bit−95bit)/(910bit−95bit)=22.25cPの粘度を算出するようになっている。
なお、温度データのキャリブレーションについても、同様に行われるようになっている。
次に、図4のフローチャートに示したように、ステップS7において、例えば、燃料がA重油であるMGOであるか否かについて、燃料の種類が判断される。
そして、ステップS7において、燃料がMGOであると判断された場合には、ステップS8において、比重補正が必要か否か判断される。
ステップS8において、比重補正が必要と判断された場合には、ステップS9において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)が入力される。
そして、ステップS9において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)が入力された後、ステップS10において、記憶部60に記憶された密度変換テーブルをキャリブレーションして、動粘度を算出するようになっている。
すなわち、MGO密度変換テーブル64Cと、ユーザーによって入力されたMGOの比重データ(15℃/4℃)に基づいて、デフォルトのMGO密度変換テーブル64Cを、1℃の間隔でキャリブレーションを行うようになっている。
具体的には、例えば、MGO密度変換テーブル64Cと、ユーザーによって入力されたMGOの比重データ(15℃/4℃)がずれていた場合、15℃で、0.2ずれていたら、0.2シフトさせて、ゲインを変更することにより行われる。
すなわち、密度(15℃)に換算して、動粘度テーブルを補正する。
実際の燃料油のデータにより、MGO密度変換テーブル64Cを補正するので、より精度が向上することになる。例えば、ユーザーが入力した比重データを密度データに換算する式である下記の式を用いて精度を向上させる。
d(15℃)=S(15/4℃)×0.99997
ここで、d:密度、S:比重である。
そして、ステップS11において、このキャリブレーションされたMGO密度変換テーブル64Cを用いて、動粘度を算出して、動粘度データが確定され、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
一方、ステップS8において、比重補正が不要と判断された場合には、ステップS13において、デフォルトのMGO密度変換テーブル64Cに基づいて、1℃の間隔で動粘度を算出して、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
(1−2)MDOの動粘度算出通常モード(MODE2)
さらに、ステップS7において、燃料がMGOでないと判断された場合には、図5のフローチャートに示したように、ステップS14において、他の種類の燃料、A重油であるMDOでであるか否かについて、燃料の種類が判断される。
そして、ステップS14において、燃料がMDOであると判断された場合には、上記の燃料がMGOであると判断された場合と同様な演算処理が行われるようになっている。
すなわち、図5のフローチャートに示したように、ステップS15において、比重補正が必要か否か判断される。
ステップS15において、比重補正が必要と判断された場合には、ステップS16において、ユーザーによって、MDOの比重データ(15℃/4℃)が入力される。
そして、ステップS16において、ユーザーによって、MDOの比重データ(15℃/4℃)が入力された後、ステップS17において、記憶部60に記憶された密度変換テーブルをキャリブレーションして、動粘度を算出するようになっている。
すなわち、MDO密度変換テーブル64Bと、ユーザーによって入力されたMDOの比重データ(15℃/4℃)に基づいて、デフォルトのMDO密度変換テーブル64Bを、1℃の間隔でキャリブレーションを行うようになっている。
そして、ステップS11において、このキャリブレーションされたMDO密度変換テーブル64Bを用いて、動粘度を算出して、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
一方、ステップS15において、比重補正が不要と判断された場合には、ステップS18において、デフォルトのMDO密度変換テーブル64Bに基づいて、1℃の間隔で動粘度を算出して、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
(1−3)MFOの動粘度算出通常モード(MODE3)
さらに、ステップS14において、燃料がMDOでないと判断された場合には、図6のフローチャートに示したように、ステップS19において、他の種類の燃料、C重油であるMFOであるか否かについて、燃料の種類が判断される。
そして、ステップS19において、燃料がMFOであると判断された場合には、上記の燃料がMGOであると判断された場合と同様な演算処理が行われるようになっている。
すなわち、図6のフローチャートに示したように、ステップS20において、比重補正が必要か否か判断される。
ステップS20において、比重補正が必要と判断された場合には、ステップS21において、ユーザーによって、MFOの比重データ(15℃/4℃)が入力される。
そして、ステップS21において、ユーザーによって、MFOの比重データ(15℃/4℃)が入力された後、ステップS22において、記憶部60に記憶された密度変換テーブルをキャリブレーションして、動粘度を算出するようになっている。
すなわち、MFO密度変換テーブル64Aと、ユーザーによって入力されたMFOの比重データ(15℃/4℃)に基づいて、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aを、1℃の間隔でキャリブレーションを行うようになっている。
そして、ステップS11において、このキャリブレーションされたMFO密度変換テーブル64Aを用いて、動粘度を算出して、動粘度データが確定され、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
一方、ステップS20において、比重補正が不要と判断された場合には、ステップS23において、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aに基づいて、1℃の間隔で動粘度を算出して、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
このように構成することによって、供給ライン28に配設され、供給ライン28を流れる燃料の粘度を測定する粘度センサー48からの粘度データと、供給ライン28に配設され、供給ライン28を流れる燃料の温度を測定する温度センサー50からの温度データに基づいて、燃料の種類(例えば、A重油であるMGO、MDOと、C重油であるMFO)に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブル64(例えば、MFO密度変換テーブル64A、MDO密度変換テーブル64B、MGO密度変換テーブル64C)を用いて、燃料の種類に応じた動粘度を算出するようになっている。
従って、粘度センサー48からの粘度データと、温度センサー50からの温度データに基づいて、燃料の種類に応じた温度と粘度に対応する密度データを予め格納した密度変換テーブル64から、燃料の種類に応じた動粘度を正確に算出することができる。
すなわち、使用する燃料の密度データを記録することにより、粘度センサー48からの粘度データと、温度センサー50からの温度データに基づいて、例えば、燃料温度1℃ごとの密度変換テーブル64を作成することにより、制御精度が向上することになる。
その結果、動粘度制御部52によって、供給ライン28に供給される燃料の粘度を正確に算出することができ、例えば、蒸気比例弁46の開度の調整によって、加熱装置であるヒーターによる加熱温度を正確に制御できる。
また、供給ライン28に供給される燃料の粘度を所定の範囲内に制御でき、これにより、供給ライン28に供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
さらに、燃料の種類に応じて入力された燃料の比重データと、密度変換テーブル64に基づく密度データが相違して、比重補正が必要であると判断された場合、密度変換テーブル64を入力された燃料の比重データに基づいてキャリブレーションして、動粘度を算出している。
従って、燃料の種類に応じて入力された燃料油の比重データに基づいて、密度変換テーブル64を較正しているので、より正確な燃料の種類に応じた動粘度を正確に算出することができる。
その結果、加熱装置であるヒーター38による加熱温度を正確に制御でき、供給ライン28に供給される燃料の粘度を所定の範囲内に制御でき、これにより、供給ライン28に供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
なお、以上では、ステップS9において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)を入力したが、ステップS9において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)と、MDOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)とを一度に入力するようにしても良い。
この場合には、ステップS17のユーザーによるMDOの比重データ(15℃/4℃)の入力、ステップS24のユーザーによるMFOの比重データ(15℃/4℃)の入力を省略することができる。
(2)動粘度算出切換モード
以下に、燃料の種類に応じた動粘度を算出する方法について、動粘度算出切換モードについて、図7〜図10のフローチャートに基づいて、詳細に説明する。
すなわち、供給ラインに供給される流体の種類を切り換える際に、流体の混合比率の変動に応じて、動粘度を算出している。
このように、供給ラインに供給される流体の種類を切り換える際に、流体の混合比率の変動に応じて、混合密度を算出して動粘度を算出している。
従って、流体の切り換え時において、ショックが発生せずに、混合状態の流体の密度に正確に追随することができ、供給ラインに供給される流体の粘度を所定の範囲内に正確に制御でき、供給ラインに供給される流体の粘度が適切でない場合に生じる、被利用機器、例えば、内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
具体的には、下記のMODE4〜MODE7のステップによって行われるようになっており、以下にその詳細について、図6〜図10を参照しながら説明する。
(2−1)MGOからMFOへの切り換え(MODE4)
すなわち、図6に示したように、ステップS19において、燃料がMFOでないと判断された場合には、図7のフローチャートに示したように、ステップS24において、MGOからMFOへの切り換えであるかが判断される。
そして、ステップS24において、MGOからMFOへの切り換えであると判断された場合には、ステップS25において、比重補正が必要か否か判断される。
ステップS25において、比重補正が必要と判断された場合には、ステップS26において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)とが入力される。
そして、ステップS26において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)とが入力された後、ステップS27において、記憶部60に記憶された密度変換テーブルをキャリブレーションして、動粘度を算出するようになっている。
すなわち、MGO密度変換テーブル64Cと、MFO密度変換テーブル64Aと、ユーザーによって入力されたMGOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)に基づいて、デフォルトのMGO密度変換テーブル64Cと、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aとを、1℃の間隔でキャリブレーションを行うようになっている。
そして、ステップS28において、ユーザーによって、供給ライン28を流れる燃料の切り換え(MGO→MFOへの切り換え)に要する時間である切換時間M1が入力される。
すなわち、使用する燃料の切り換え時に、メータ表示と制御データをショックレスにするため、ユーザーに、供給ライン28などの配管の長さから算出した燃料の切換時間M1、すなわち、この場合には、A重油であるMGOから、混合状態、C重油であるMFOまで要する燃料の切換時間M1が入力される(例えば、デフォルトは30分で、120分まで)。
これは、燃料の切り換え時には、例えば、A重油からC重油に切り替える際に、密度が10%程度違うので、単純に切換えると、ショックが発生するとともに、混合状態の燃料の密度に追随することができないからである。
次に、ステップS28において、ユーザーによって、切換時間M1が入力された後、ステップS29において、混合密度を算出して動粘度を算出する。
すなわち、供給ライン28に供給される燃料の種類を切り換える際に、
供給ライン28を流れる燃料の切り換えに要する時間である切換時間M1、切り換え時からの経過時間M2に基づいて、
前述したようにキャリブレーションを行った後のMGO密度変換テーブル64Cと、MFO密度変換テーブル64Aとを参照して、
切り換え前の燃料の密度D1+(切り換え後の燃料の密度D2−切り換え前の燃料の密度D1)×経過時間M2/切換時間M1
の式に基づいて、混合密度を算出して動粘度を算出するようになっている。
なお、この場合、混合密度の算出は、1℃の間隔で、1分毎に行われるようになっている。
そして、ステップS29において、動粘度を算出した後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
一方、ステップS25において、比重補正が不要と判断された場合には、デフォルトのMGO密度変換テーブル64Cと、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aとを用いて、ステップS28のユーザーによる切換時間M1の入力、ステップS29の混合密度の算出による動粘度の算出を経た後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
(2−2)MDOからMFOへの切り換え(MODE5)
すなわち、図7に示したように、ステップS24において、MGOからMFOへの切り換えでないと判断された場合には、図8のフローチャートに示したように、ステップS30において、MDOからMFOへの切り換えであるかが判断される。
なお、以下の作動は、上記の「MGOからMFOへの切り換え(MODE4)」と同様に実施される。
すなわち、ステップS30において、MGOからMFOへの切り換えであると判断された場合には、ステップS31において、比重補正が必要か否か判断される。
ステップS31において、比重補正が必要と判断された場合には、ステップS32において、ユーザーによって、MDOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)とが入力される。
そして、ステップS32において、ユーザーによって、MDOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)とが入力された後、ステップS33において、記憶部60に記憶された密度変換テーブルをキャリブレーションして、動粘度を算出するようになっている。
すなわち、MDO密度変換テーブル64Bと、MFO密度変換テーブル64Aと、ユーザーによって入力されたMDOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)に基づいて、デフォルトのMDO密度変換テーブル64Bと、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aとを、1℃の間隔でキャリブレーションを行うようになっている。
そして、ステップS34において、ユーザーによって、供給ライン28を流れる燃料の切り換え(MDO→MFOへの切り換え)に要する時間である切換時間M1が入力される。
次に、ステップS34において、ユーザーによって、切換時間M1が入力された後、ステップS35において、混合密度を算出して動粘度を算出する。
すなわち、供給ライン28に供給される燃料の種類を切り換える際に、
供給ライン28を流れる燃料の切り換えに要する時間である切換時間M1、切り換え時からの経過時間M2に基づいて、
前述したようにキャリブレーションを行った後のMDO密度変換テーブル64Bと、MFO密度変換テーブル64Aとを参照して、
切り換え前の燃料の密度D1+(切り換え後の燃料の密度D2−切り換え前の燃料の密度D1)×経過時間M2/切換時間M1
の式に基づいて、混合密度を算出して動粘度を算出するようになっている。
なお、この場合、混合密度の算出は、1℃の間隔で、1分毎に行われるようになっている。
そして、ステップS35において、動粘度を算出した後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
一方、ステップS31において、比重補正が不要と判断された場合には、デフォルトのMDO密度変換テーブル64Bと、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aとを用いて、ステップS34のユーザーによる切換時間M1の入力、ステップS35の混合密度の算出による動粘度の算出を経た後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
(2−3)MFOからMGOへの切り換え(MODE6)
すなわち、図8に示したように、ステップS30において、MDOからMFOへの切り換えでないと判断された場合には、図9のフローチャートに示したように、ステップS36において、MFOからMGOへの切り換えであるかが判断される。
なお、以下の作動は、上記の「MGOからMFOへの切り換え(MODE4)」と同様に実施される。
すなわち、ステップS36において、MFOからMGOへの切り換えであると判断された場合には、ステップS37において、比重補正が必要か否か判断される。
ステップS37において、比重補正が必要と判断された場合には、ステップS38において、ユーザーによって、MFOの比重データ(15℃/4℃)と、MGOの比重データ(15℃/4℃)とが入力される。
そして、ステップS38において、ユーザーによって、MFOの比重データ(15℃/4℃)と、MGOの比重データ(15℃/4℃)とが入力された後、ステップS39において、記憶部60に記憶された密度変換テーブルをキャリブレーションして、動粘度を算出するようになっている。
すなわち、MFO密度変換テーブル64Aと、MGO密度変換テーブル64Cと、ユーザーによって入力されたMFOの比重データ(15℃/4℃)と、MGOの比重データ(15℃/4℃)に基づいて、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aと、デフォルトのMGO密度変換テーブル64Cとを、1℃の間隔でキャリブレーションを行うようになっている。
そして、ステップS40において、ユーザーによって、供給ライン28を流れる燃料の切り換え(MFO→MGOへの切り換え)に要する時間である切換時間M1が入力される。
次に、ステップS40において、ユーザーによって、切換時間M1が入力された後、ステップS41において、混合密度を算出して動粘度を算出する。
すなわち、供給ライン28に供給される燃料の種類を切り換える際に、
供給ライン28を流れる燃料の切り換えに要する時間である切換時間M1、切り換え時からの経過時間M2に基づいて、
前述したようにキャリブレーションを行った後のMFO密度変換テーブル64Aと、MGO密度変換テーブル64Cとを参照して、
切り換え前の燃料の密度D1+(切り換え後の燃料の密度D2−切り換え前の燃料の密度D1)×経過時間M2/切換時間M1
の式に基づいて、混合密度を算出して動粘度を算出するようになっている。
なお、この場合、混合密度の算出は、1℃の間隔で、1分毎に行われるようになっている。
そして、ステップS41において、動粘度を算出した後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
一方、ステップS37において、比重補正が不要と判断された場合には、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aと、デフォルトのMGO密度変換テーブル64Cとを用いて、ステップS40のユーザーによる切り換え時間M1の入力、ステップS41の混合密度の算出による動粘度の算出を経た後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
(2−4)MFOからMDOへの切り換え(MODE7)
すなわち、図9に示したように、ステップS36において、MFOからMGOへの切り換えでないと判断された場合には、図10のフローチャートに示したように、ステップS42において、MFOからMDOへの切り換えであるかが判断される。
なお、以下の作動は、上記の「MGOからMFOへの切り換え(MODE4)」と同様に実施される。
すなわち、ステップS42において、MFOからMDOへの切り換えであると判断された場合には、ステップS43において、比重補正が必要か否か判断される。
ステップS43において、比重補正が必要と判断された場合には、ステップS44において、ユーザーによって、MFOの比重データ(15℃/4℃)と、MDOの比重データ(15℃/4℃)とが入力される。
そして、ステップS44において、ユーザーによって、MFOの比重データ(15℃/4℃)と、MDOの比重データ(15℃/4℃)とが入力された後、ステップS45において、記憶部60に記憶された密度変換テーブルをキャリブレーションして、動粘度を算出するようになっている。
すなわち、MFO密度変換テーブル64Aと、MDO密度変換テーブル64Bと、ユーザーによって入力されたMFOの比重データ(15℃/4℃)と、MDOの比重データ(15℃/4℃)に基づいて、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aと、デフォルトのMDO密度変換テーブル64Bとを、1℃の間隔でキャリブレーションを行うようになっている。
そして、ステップS46において、ユーザーによって、供給ライン28を流れる燃料の切り換え(MFO→MDOへの切り換え)に要する時間である切換時間M1が入力される。
次に、ステップS46において、ユーザーによって、切換時間M1が入力された後、ステップS47において、混合密度を算出して動粘度を算出する。
すなわち、供給ライン28に供給される燃料の種類を切り換える際に、
供給ライン28を流れる燃料の切り換えに要する時間である切換時間M1、切り換え時からの経過時間M2に基づいて、
前述したようにキャリブレーションを行った後のMFO密度変換テーブル64Aと、MDO密度変換テーブル64Bとを参照して、
切り換え前の燃料の密度D1+(切り換え後の燃料の密度D2−切り換え前の燃料の密度D1)×経過時間M2/切換時間M1
の式に基づいて、混合密度を算出して動粘度を算出するようになっている。
なお、この場合、混合密度の算出は、1℃の間隔で、1分毎に行われるようになっている。
そして、ステップS47において、動粘度を算出した後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
一方、ステップS43において、比重補正が不要と判断された場合には、デフォルトのMFO密度変換テーブル64Aと、デフォルトのMDO密度変換テーブル64Bとを用いて、ステップS46のユーザーによる切換時間M1の入力、ステップS47の混合密度の算出による動粘度の算出を経た後、ステップS11において、動粘度データが確定され、ステップS12において、動粘度演算処理が終了する。
なお、以上では、ステップS26において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)とを入力したが、ステップS26において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)と、MDOの比重データ(15℃/4℃)とを一度に入力するようにしても良い。
また、ステップS9において、ユーザーによって、MGOの比重データ(15℃/4℃)と、MDOの比重データ(15℃/4℃)と、MFOの比重データ(15℃/4℃)とを一度に入力して、動粘度算出切換モードにおける入力を省略することもできる。
さらに、ステップS28において、全ての場合(MODE4〜MODE7)の供給ライン28を流れる燃料の切り換えに要する時間である切換時間M1を入力するようにしても良い。
このように構成することによって、供給ライン28に供給される燃料の種類(例えば、A重油であるMGO、MDOと、C重油であるMFO)を切り換える際に、供給ライン28を流れる燃料の切り換えに要する時間である切換時間M1、切り換え時からの経過時間M2に基づいて、密度変換テーブル(例えば、MFO密度変換テーブル64A、MDO密度変換テーブル64B、MGO密度変換テーブル64C)を参照して、
切り換え前の燃料の密度D1+(切り換え後の燃料の密度D2−切り換え前の燃料の密度D1)×経過時間M2/切換時間M1
の式に基づいて、混合密度を算出して動粘度を算出している。
すなわち、燃料切換時の混合状態での、各燃料の密度テーブルから、経過時間をパラメータとし、混合燃料の密度を算出して正確な制御を行っている。
従って、燃料の切り換え時において、ショックが発生せずに、混合状態の燃料の密度に正確に追随することができ、供給ライン28に供給される燃料の粘度を所定の範囲内に正確に制御でき、供給ライン28に供給される燃料の粘度が適切でない場合に生じる内燃機関の始動不良、作動不良、焼き付きなどを防止することができる。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、燃料として、A重油であるMGO、MDOと、C重油であるMFOについて適用したが、その他の流体の燃料などにも適用することも可能である。
また、上記実施例では、A重油であるMGO、MDOと、C重油であるMFOの3種類の燃料を切り換える場合について説明したが、切り換える燃料、すなわち、切り換える流体の数などは適宜変更することができる。
また、加熱装置として、蒸気比例弁46を備えた蒸気によって加熱するヒーター38を用いたが、シーズヒーター、赤外線などその他の公知の過熱装置を用いることも可能である。
さらに、上記実施例では、本発明を流体供給装置を燃料供給装置10に適用したが、その他の流体、例えば、プラント機器の原料に適用することも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。