JP6702537B2 - コンプレッションリング及び内燃機関の組み立て方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンプレッションリング及び内燃機関の組み立て方法に関する。
内燃機関のシリンダに装着されるピストンの外周面に形成されたリング溝には、ピストンリングとして、コンプレッションリング(圧力リング)とオイルリングとが設けられる。コンプレッションリングは、高圧の燃焼ガスが燃焼室側からクランク室側へ流出すること(ブローバイ)やシリンダ内の余分なオイル(潤滑油)がクランク室側から燃焼室側に流出すること(オイル上がり)を抑制する機能を有する。このようなコンプレッションリングには気密性が優れていることが要求されるが、シリンダとの熱膨張差を吸収するために、コンプレッションリングに適度な隙間を形成した合口を設けておく必要がある。
一方で、近年、エタノール等のアルコールのみからなる燃料又はアルコールと他の燃料とを混合した燃料(以下、アルコール燃料)を使用可能な内燃機関が知られている。これに関連して、特許文献1には、アルコール燃料用の内燃機関に使用されるピストンリングにおいて、クラックや剥離の発生を抑制するための技術として、ピストンリングの摺動面にCr−B−V−N系の合金皮膜を被覆する技術が開示されている。
国際公開第2016/002810号
しかしながら、上述のようなアルコール燃料を使用する内燃機関においては、燃焼時の未燃アルコールと燃焼時に発生する水分とが燃焼室内のオイルに含まれるカルシウム成分と反応することによって、炭酸カルシウムや硫酸カルシウム等のアルコール燃料生成物が生じることがある。アルコール燃料生成物は、コンプレッションリングの合口を形成する一対の合口端面に堆積する。ここで、ガソリンエンジンにおいては、オイル中に含まれるオレフィンとガソリンに含まれる成分とが熱や酸の作用により反応することでスラッジが発生するが、これはヘドロ状の物質である。一方、アルコール燃料生成物はカルシウムを含むことから、ガソリンエンジンにおけるスラッジよりも硬質となる。ここで、堆積したアルコール燃料生成物(堆積物)が存在する状態でコンプレッションリングが摺動し、合口端部同士が接近して接触する(突き当たる)ことがある。このとき、夫々の合口端面の堆積物同士は、全面で接触する。そのため、接触面積が大きくなり、堆積物が砕けることなくアルコール燃料生成物が堆積し続け、堆積物の体積が増加する。そして、体積が増加した堆積物同士が接触して合口が押し広げられることによって、コンプレッションリングの外周面がシリンダ内壁に強く押し付けられる。その結果、コンプレッションリングの外周面の皮膜が剥離するといった損傷が発生する虞があった。
本発明は、上記したような種々の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルコール燃料用の内燃機関に設けられるコンプレッションリングにおいて、合口端面に堆積したアルコール燃料生成物によるコンプレッションリングの損傷を抑制することが可能な技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用した。即ち、本発明は、アル
コール燃料用の内燃機関のシリンダに装着されるピストンに形成されたリング溝に設けられるコンプレッションリングであって、リング本体と、前記リング本体に設けられ、該コンプレッションリングが前記シリンダに装着された状態において、互いに対向することで合口空間を形成する一対の合口端面と、を有し、前記合口空間は、前記一対の合口端面同士の間隔である端面間隔が相対的に狭い第1領域と、前記端面間隔が前記第1領域よりも相対的に広い第2領域であって、前記第1領域に隣接するとともに該コンプレッションリングの周囲空間とつながっている第2領域と、を有する、コンプレッションリングである。
本発明の合口空間は、コンプレッションリングがシリンダに装着された状態において、端面間隔が狭い第1領域と、端面間隔が第1領域よりも広い第2領域とを有する。ここで、端面間隔が一様である場合にアルコール燃料生成物が一対の合口端面に堆積したとき、夫々の合口端面の堆積物間の間隔も略一様となる。そのため、堆積物が存在する状態で一対の合口端面が接近して夫々の合口端面の堆積物同士が接触する場合、夫々の堆積物の全面同士が接触する。一方、本発明によると、アルコール燃料生成物が一対の合口端面に堆積したとき、夫々の合口端面の堆積物間の距離は、端面間隔の狭い第1領域において相対的に小さくなる。そのため、堆積物が存在する状態で一対の合口端面が接近して夫々の合口端面の堆積物同士が接触する場合、夫々の堆積物を第1領域のみにおいて接触させることができる。つまり、第1領域においては堆積物が接触しつつも第2領域においては堆積物が接触しない状態とすることができる。これにより、端面間隔が一様の場合と比較して、堆積物同士の接触面積を小さくすることができる。堆積物の接触面積を小さくすることにより、堆積物同士が接触したときに接触箇所に作用する応力が大きくなるため、接触箇所において堆積物を微細に砕くことができる。更に、本発明は、端面間隔が第1領域よりも広い第2領域がコンプレッションリングの周囲空間につながって(連通して)いることから、堆積物の破片をコンプレッションリングの周囲へ容易に排出することができる。これにより、合口空間内の堆積物の体積を減少させ、堆積物同士が接触し難くすることができる。これにより、合口空間が堆積物によって押し広げられることが抑制される。その結果、合口端面に堆積したアルコール燃料生成物によるコンプレッションリングの損傷を抑制することができる。ここで、本発明における「アルコール燃料」とは、内燃機関(エンジンとも呼ぶ)を動作させるための燃料であって、エタノール等のアルコールのみからなる燃料、又はアルコールと他の燃料(例えば、ガソリン)とが混合された燃料のことを指す。即ち、アルコール燃料とは、アルコールを含有する燃料である。また、「端面間隔」とは、例えば、合口端面同士の最短距離である。その場合、例えば、第1領域の端面間隔は、合口端面同士の第1領域における最短距離となり、第2領域の端面間隔は、合口端面同士の第2領域における最短距離となる。但し、端面間隔の定義はこれに限定しない。また、「コンプレッションリングの周囲空間」とは、コンプレッションリングの周囲の空間のことを指す。コンプレッションリングの周囲空間は、コンプレッションリングの外側、内側、上側、下側の空間を含む。また、コンプレッションリングの「内側」又は「径方向内側」とは、コンプレッションリングの内周面側のことを指し、「外側」又は「径方向外側」とは、その反対側(即ち、コンプレッションリングの外周面側)のことを指す。また、コンプレッションリングの「軸方向」とは、コンプレッションリングの中心軸に沿う方向のことを指す。
また、前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの径方向に隣接しており、前記第1領域は、前記合口空間において前記径方向内側に位置し、前記第2領域は、前記合口空間において前記径方向外側に位置してもよい。これにより、堆積物の破片をコンプレッションリングの外周面側に排出し易くすることができる。
また、前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの径方向に隣接しており、前記第1領域は、前記合口空間において前記径方向外側に位置し、前記第2領域は
、前記合口空間において前記径方向内側に位置してもよい。これにより、堆積物の破片をコンプレッションリングの内周面側に排出し易くすることができる。ここで、内燃機関において、シリンダ内壁とピストン外周面との間に所定の離間距離が確保されることで、隙間(ピストンクリアランス)が形成されている。そして、燃焼ガスが合口空間とピストンクリアランスとが重複する領域(ブローバイ領域)を通り抜けることでクランク室側に流出することがあり、これがブローバイガスとなる。これに対して、本発明は、端面間隔が相対的に狭い第1領域を径方向外側に配置することにより、ブローバイ領域における端面間隔を相対的に狭くすることができる。その結果、ブローバイガスを低減することができる。
更に、前記第1領域が前記合口空間において前記径方向外側に位置し、前記第2領域が前記合口空間において前記径方向内側に位置する場合において、前記第1領域は、前記径方向外側に位置する外側第1領域と、前記径方向内側に位置するとともに前記第2領域に隣接する内側第1領域と、を有し、前記外側第1領域の前記径方向における幅は、前記ピストンが前記シリンダに装着された場合に前記シリンダの内壁と前記ピストンの外周面との間に確保される所定の離間距離以上であり、前記端面間隔は、前記外側第1領域において最も狭くなっていてもよい。ブローバイ領域においては、燃焼ガスの通り抜けによってアルコール燃料生成物が堆積し難いことから、端面間隔を狭くすることができる。本発明は、ブローバイ領域を含む外側第1領域において端面間隔を最も狭くすることによって、ブローバイガスを更に低減することができる。
更に、前記外側第1領域は、前記端面間隔が一様となるように形成されていてもよい。ブローバイ領域を含む外側第1領域において、端面間隔を一様に且つ最も狭くすることによって、ブローバイ領域の略全域において端面間隔を最も狭くすることができる。その結果、ブローバイガスを更に低減することができる。
また、前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの径方向に隣接しており、前記第2領域は、前記径方向外側に位置する外側第2領域と、前記径方向内側に位置する内側第2領域と、を有し、前記第1領域は、前記外側第2領域と前記内側第2領域とに挟まれていてもよい。これによれば、堆積物の破片をコンプレッションリングの外周面側と内周面側の両方から排出し易くすることができる。
また、前記合口空間は、前記端面間隔が前記第1領域から前記第2領域に亘って徐々に広くなるように形成されていてもよい。合口空間を徐々に広げることにより、合口空間の容積を大きくすることができる。その結果、堆積物が接触し難くすることができる。また、端面間隔が連続的に広がるため、堆積物が接触したときの接触面積をより小さくすることができる。このような構成は、例えば、一対の合口端面が軸方向視において略ハの字を形成することで実現することができる。
但し、前記合口空間は、前記端面間隔が前記第1領域と前記第2領域とで段階的に変化するように形成されていてもよい。
また、前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの軸方向に隣接しており、前記合口空間は、前記端面間隔が前記第1領域から前記第2領域に亘って徐々に広くなるように形成されていてもよい。
更に、前記合口空間は、該コンプレッションリングの前記軸方向に面する両面のうち、一方の面側に位置する第1の第2領域と、他方の面側に位置する第2の第2領域と、を有し、前記第1領域は、前記第1の第2領域と前記第2の第2領域とに挟まれていてもよい。
これによれば、堆積物の破片をコンプレッションリングの軸方向に面する両面側から排出し易くすることができる。
また、本発明は、アルコール燃料用の内燃機関の組み立て方法として捉えることもできる。即ち、本発明は、アルコール燃料用の内燃機関の組み立て方法であって、シリンダに装着されたピストンに形成されたリング溝にコンプレッションリングを装着する工程を含み、前記コンプレッションリングは、リング本体と、前記リング本体に設けられ、該コンプレッションリングが前記シリンダに装着された状態において、互いに対向することで合口空間を形成する一対の合口端面と、を有し、前記合口空間は、前記一対の合口端面同士の間隔である端面間隔が相対的に狭い第1領域と、前記端面間隔が前記第1領域よりも相対的に広い第2領域であって、前記第1領域に隣接するとともに該コンプレッションリングの周囲空間とつながっている第2領域と、を有してもよい。
本発明によれば、アルコール燃料用の内燃機関に設けられるコンプレッションリングにおいて、合口端面に堆積したアルコール燃料生成物によるコンプレッションリングの損傷を抑制することが可能となる。
実施形態1に係るコンプレッションリングの上面図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングの合口部分の斜視図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングの使用状態における合口部分の上面図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングが設けられたアルコール燃料用内燃機関の全体図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングの使用状態における合口部分の上面図であって、ブローバイ領域と堆積領域を説明するための図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 比較例に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 比較例に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態をリング外周面側から見たときの図である。 実施形態1の変形例1に係るコンプレッションリングの使用状態における合口部分の上面図である。 実施形態1の変形例2に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 実施形態1の変形例3に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 実施形態1の変形例4に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 実施形態1の変形例5に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 実施形態1の変形例6に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 実施形態1の変形例7に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。 実施形態2に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態をリング外周面側から見たときの図である。 実施形態2の変形例に係るコンプレッションリングの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態をリング外周面側から見たときの図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施例に記載されている構成は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施形態1>
図1は、第1実施形態に係るコンプレッションリング10の上面図である。図2は、コンプレッションリング10の合口部分の斜視図である。図3は、コンプレッションリング10の使用状態における合口部分の上面図である。但し、図3では、ピストン20及びシリンダ30の図示を省略している。図4は、コンプレッションリング10が設けられたアルコール燃料用内燃機関(以下、内燃機関)100の全体図である。図5は、コンプレッションリング10の使用状態における合口部分の上面図であって、ブローバイ領域7Aと堆積領域7Bを説明するための図である。以下、図1〜5を参照しながら、実施形態1に係るコンプレッションリング10の構造について説明する。
図1に示すように、コンプレッションリング10は、円環形状を形成するリング本体9と、合口に形成された空間である合口空間7と、を有している。図2に示すように、コンプレッションリング10は、周長方向と直交する断面が略矩形状となるように形成されている。但し、コンプレッションリング10の該断面形状は、矩形状に限定されない。図4に示すように、コンプレッションリング10は、アルコール燃料を使用する内燃機関100に用いられる。ここで、本明細書における「アルコール燃料」とは、内燃機関(エンジンとも呼ぶ)を動作させるための燃料であって、エタノール等のアルコールのみからなる燃料、又はアルコールと他の燃料(例えば、ガソリン)とが混合された燃料のことを指す。即ち、アルコール燃料とは、アルコールを含有する燃料である。アルコール燃料は、例えば、アルコール含有量が10%以上の燃料である。但し、アルコール燃料のアルコール含有量はこれに限定されない。また、本明細書における「周長方向」とは、特に指定しない限りはコンプレッションリング10の周長方向のことを指す。また、「径方向」とは、特に指定しない限りはコンプレッションリング10の径方向のことを指す。また、コンプレッションリング10の「内側」又は「径方向内側」とは、コンプレッションリング10の内周面側のことを指し、「外側」又は「径方向外側」とは、その反対側(即ち、コンプレッションリング10の外周面側)のことを指す。また、「軸方向」とは、特に指定しない限りはコンプレッションリング10の中心軸に沿う方向のことを指す。
図4に示すように、コンプレッションリング10は、内燃機関100において、シリンダ30に装着されたピストン20の外周に形成されたリング溝202に設けられて使用される。ここで、コンプレッションリング10がシリンダ30に装着された状態を、「使用状態」と称する。より詳しくは、「使用状態」は、コンプレッションリング10が、内燃機関100において、シリンダ30に装着されたピストン20のリング溝202に設けられた状態のことを指す。コンプレッションリング10は、使用状態において外周面がシリンダ内壁301に当接するように自己張力を有している。使用状態においては、コンプレッションリング10の外周面がシリンダ内壁301に摺接することで、ピストン外周面201とシリンダ内壁301の隙間(ピストンクリアランス)が塞がれ、燃焼ガスが燃焼室40からクランク室50側に漏れることが抑制される。
ここで、内燃機関100におけるシリンダ30の軸方向を「上下方向」と定義する。またシリンダ30の軸方向のうち、燃焼室40側を「上側」(図4における上方向)と定義し、その反対側(即ち、クランク室50側)を「下側」と定義する。使用状態におけるコンプレッションリング10の軸方向は、内燃機関100の上下方向、即ち、シリンダ30
の軸方向と一致する。以下、コンプレッションリング10の外周面をリング外周面3と称し、内周面をリング内周面4と称する。また、コンプレッションリング10の軸方向に面する両面について、使用状態において上側に位置する面をリング上面5と称し、下側に位置する面をリング下面6と称する。
図2に示すように、コンプレッションリング10は、第1合口端部101と第2合口端部102とを有している。コンプレッションリング10が使用状態にあるとき、第1合口端部101の先端面である第1合口端面1と第2合口端部102の先端面である第2合口端面2とが隙間を空けて対向することによって、合口空間7が形成されている。第1合口端面1は、リング外周面3と接続される端縁である第1外側端縁13と、リング内周面4と接続される端縁である第1内側端縁14と、リング上面5と接続される端縁である第1上側端縁15と、リング下面6と接続される端縁である第1下側端縁16と、を有する。第2合口端面2は、リング外周面3と接続される端縁である第2外側端縁23と、リング内周面4と接続される端縁である第2内側端縁24と、リング上面5と接続される端縁である第2上側端縁25と、リング下面6と接続される端縁である第2下側端縁26と、を有する。第1外側端縁13と第2外側端縁23は、第1合口端面1と第2合口端面2の径方向外側の端部に位置するとともに周長方向において対向する一対の端縁である。図3に示すように、第1外側端縁13と第2外側端縁23とが対向することによって合口空間7において径方向外側に形成される開口を、外側合口開口83と称する。外側合口開口83は、即ち、リング外周面3側の開口である。同様に、第1内側端縁14と第2内側端縁24は、第1合口端面1と第2合口端面2の径方向内側の端部に位置するとともに周長方向において対向する一対の端縁である。第1内側端縁14と第2内側端縁24とが対向することによって合口空間7において径方向内側に形成される開口を、内側合口開口84と称する。内側合口開口84は、即ち、リング内周面4側の開口である。
ここで、図3に示すように、合口空間7は、コンプレッションリング10が使用状態にあるとき、端面間隔が相対的に狭い領域である第1領域71と、端面間隔が第1領域71よりも相対的に広い領域である第2領域72と、を有する。ここで、本明細書における「端面間隔」とは、第1合口端面1と第2合口端面2の間隔のことを指す。端面間隔は、例えば、指定領域における第1合口端面1と第2合口端面2の最短距離としてもよい。その場合、図3に示すように、第1領域71の端面間隔dは、第1領域71における第1合口端面1と第2合口端面2の最短距離とすることができ、第2領域72の端面間隔dは、第2領域72における第1合口端面1と第2合口端面2の最短距離とすることができる。但し、端面間隔の定義はこれに限定しない。また、図3に示すように、第2領域72と第1領域71は、径方向に隣接している。そして、第2領域72は、コンプレッションリング10の周囲空間とつながっている。ここで、「コンプレッションリング10の周囲空間」とは、コンプレッションリング10の周囲の空間のことを指し、コンプレッションリング10の外側、内側、上側、下側の空間を含む。
図5は、コンプレッションリング10の使用状態における合口部分の上面図であって、ブローバイ領域7Aと堆積領域7Bを説明するための図である。図5に示すように、内燃機関100においては、シリンダ内壁301とピストン外周面201との間に所定の離間距離dが確保されることで、隙間(ピストンクリアランス)Cが形成されている。ここで、図5で示すように、使用状態において合口空間7とピストンクリアランスCとが重複する領域を、ブローバイ領域7Aと称する。ブローバイ領域7Aは、詳細には、使用状態における合口空間7において、ピストン外周面201よりも径方向外側であって外側合口開口83よりも径方向内側の領域である。また、使用状態における合口空間7からブローバイ領域7Aを除いた領域を、堆積領域7Bとする。堆積領域7Bを図5の合口空間7内においてハッチングで示す。堆積領域7Bは、詳細には、使用状態における合口空間7において、ピストン外周面201よりも径方向内側であって内側合口開口84よりも径方向
外側の領域である。また、堆積領域7Bは、合口空間7において、リング外周面3よりもピストンクリアランスCの幅dより径方向内側の全領域と捉えることもできる。図5に示すように、第1領域71及び第2領域72の一部は、堆積領域7Bと重複している。
図6は、コンプレッションリング10の合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。アルコール燃料を使用する内燃機関100においては、燃焼時の未燃アルコールと燃焼時に発生する水分とが燃焼室内のオイルに含まれるカルシウム成分と反応することによって、アルコール燃料生成物が生じる。アルコール燃料生成物は、例えば、炭酸カルシウムや硫酸カルシウムである。生成されたアルコール燃料生成物は、第1合口端面1及び第2合口端面2に堆積する。なお、燃焼室40のガス圧が高圧になると、燃焼室40からピストンクリアランスC内に流出した燃焼ガスが、ピストンクリアランスC内をシリンダ軸に沿って真っ直ぐ下降しながらコンプレッションリング10に到達する。コンプレッションリング10に到達した燃焼ガスは、ブローバイ領域7Aを通り抜け、クランク室50側に流出する。高圧の燃焼ガスが通り抜けることから、ブローバイ領域7Aにはアルコール燃料生成物が堆積し難くなっている。これにより、アルコール燃料生成物は、主に合口空間7からブローバイ領域7Aを除いた堆積領域7Bに堆積する。以下、堆積したアルコール燃料生成物を、堆積物60と称する。特に、第1合口端面1における堆積物60を堆積物601と称し、第2合口端面2における堆積物60を堆積物602と称する。堆積物60は、アルコール燃料生成物が堆積する方向(第1合口端面1又は第2合口端面2の法線方向)へ経時的にその厚みを増加させる。堆積物601及び堆積物602の厚みは、略一様となる。
ここで、図7及び図8は、比較例に係るコンプレッションリング10Kの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す図である。図7は、合口部分の上面図である。また、図8は、合口部分をリング外周面3側から見たときの図である。図7及び図8に示すように、コンプレッションリング10Kは、第1合口端面1と第2合口端面2の何れもが周長方向と略直交する平坦面に形成されている。このような合口端面の形状のことを、ストレート形状と呼ぶこともできる。第1合口端面1と第2合口端面2をストレート形状とすることによって、第1合口端面1と第2合口端面2とが略平行となっている。そのため、コンプレッションリング10Kにおいては、コンプレッションリング10とは異なり、使用状態において端面間隔が略一様となっている。このような端面間隔が略一様であるコンプレッションリング10Kにおいて、アルコール燃料生成物が第1合口端面1及び第2合口端面2に堆積したとき、夫々の合口端面の堆積物間の間隔も略一様となる。そのため、堆積物60が存在した状態で第1合口端部101と第2合口端部102が接近し、堆積物601と堆積物602が接触する場合、図7及び図8に示すように、堆積領域7Bの略全域において堆積物601と堆積物602が接触することとなる。即ち、夫々の堆積物60が全面同士で接触する。全面接触であることから堆積物60同士の接触面積が大きくなる。そのため、堆積物60が砕けることなくアルコール燃料生成物が堆積し続け、合口空間7内の堆積物60の体積が増加する。そして、体積が増加した堆積物60同士が接触し、合口空間7が押し広げられることによって、リング外周面3がシリンダ内壁301に強く押し付けられる。その結果、比較例に係るコンプレッションリング10Kでは、リング外周面3の皮膜が剥離する等して損傷が生じる虞がある。
これに対し、本実施形態に係るコンプレッションリング10は、上述のように、合口空間7が、端面間隔が相対的に狭い領域である第1領域71と、端面間隔が第1領域71よりも相対的に広い領域である第2領域72と、を有している。そのため、合口空間7において端面間隔が一様ではなく変化している。これにより、アルコール燃料生成物が第1合口端面1及び第2合口端面2に堆積したとき、夫々の合口端面の堆積物間の距離は、端面間隔の狭い第1領域71において相対的に小さくなる。これにより、第1合口端面1と第2合口端面2が接近することによって堆積物601と堆積物602が接触する場合に、堆
積物601と堆積物602が第1領域71のみにおいて接触した状態とすることができる。具体的には、図6に示すように、端面間隔が相対的に狭い第1領域71においては堆積物601と堆積物602が接触しつつも端面間隔が相対的に広い第2領域72においては接触しない状態とすることができる。これにより、堆積物601と堆積物602の接触面積を、比較例に係るコンプレッションリング10Kよりも小さくすることができる。堆積物601と堆積物602の接触面積を小さくすることによって、接触時に接触箇所に生じる応力を大きくすることができる。そうすることにより、図6に示すように、第1領域71での接触箇所において堆積物60を微細に砕くことができる。そして、第2領域72が第1領域71に隣接していることにより、第1領域71で砕かれた堆積物60の破片を第2領域72に導くことができる。更に、第2領域72がコンプレッションリング10の周囲空間につながっていることにより、堆積物60の破片を合口空間7の外部に排出することができる。これにより、合口空間7における堆積物601又は堆積物602の体積を減少させることができる。そのため、堆積物601と堆積物602が接触し難くなり、合口空間7が堆積物60によって押し広げられることが抑制される。その結果、リング外周面3の損傷を抑制することができる。このように、コンプレッションリング10によれば、アルコール燃料用の内燃機関100において、アルコール燃料生成物が堆積することによるリング外周面3の損傷を抑制することができる。また、第1領域71及び第2領域72の一部が堆積領域7Bと重複していることから、アルコール燃料生成物が堆積する堆積領域7B内に、端面間隔が相対的に狭い領域と相対的に広い領域の両方が存在することができる。これにより、堆積物60の接触面積を小さくすることができる。なお、第1領域71と第2領域72は、夫々の少なくとも一部が堆積領域7Bと重複していればよい。
また、コンプレッションリング10は、相対的に端面間隔が広い第2領域72が径方向外側に位置することにより、堆積物601と堆積物602の接触によって砕かれた堆積物60の破片をリング外周面3側から排出し易くすることができる。特に、端面間隔が外側合口開口83において最大となっているため、堆積物60の破片が合口空間7の外部に排出され易くなっている。堆積物60は、端面間隔が最も広い外側合口開口83側に位置するピストンクリアランスCへ排出される。
更に、図3に示すように、第1合口端部101と第2合口端部102は、軸方向視において周長方向に対して傾斜することで、径方向外側が広がるハの字状を形成している。これにより、コンプレッションリング10における合口空間7は、端面間隔が第1領域71から第2領域72に亘って徐々に広くなるように形成されている。より具体的には、端面間隔は、内側合口開口84において最も狭く、径方向外側に向かうに従って徐々に広がり、外側合口開口83において最も広くなっている。端面間隔を徐々に広げることにより、合口空間7の容積を、比較例に係るコンプレッションリング10Kの合口空間7の容積よりも大きくすることができる。これにより、堆積物601と堆積物602が接触するために要するアルコール燃料生成物の堆積量をより大きくすることができる。その結果、堆積物601と堆積物602が接触し難くすることができる。また、端面間隔が連続的に広がるため、堆積物601と堆積物602が接触したときの接触面積をより小さくすることができる。但し、合口空間7は、端面間隔が第1領域71と第2領域72とで段階的に変化するように形成されていてもよい。
このようなコンプレッションリング10を備えたアルコール燃料用の内燃機関100は、シリンダ30に装着されたピストン20に形成されたピストン外周面201にコンプレッションリング10を装着する工程を経て組み立てることができる。内燃機関100は、コンプレッションリング10を備えることによって、アルコール燃料生成物が堆積することによるリング外周面3の損傷を抑制することができる。
[変形例1]
図9は、実施形態1の変形例1に係るコンプレッションリング10Aの使用状態における合口部分の上面図である。図9に示すように、コンプレッションリング10Aでは、第1合口端面1が軸方向視において周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されている点でコンプレッションリング10と相違する。合口空間7は、端面間隔が相対的に狭い第1領域71と、端面間隔が第1領域71よりも相対的に広い第2領域72と、を有していればよく、そうすることによって、堆積物60の接触面積を小さくすることができる。そのため、図9に示すコンプレッションリング10Aのように、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
[変形例2]
図10は、実施形態1の変形例2に係るコンプレッションリング10Bの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。図10に示すように、コンプレッションリング10Bは、第1領域71と第2領域72とが径方向に隣接している点で共通し、第1領域71が合口空間7において径方向外側に位置し、第2領域72が径方向内側に位置する点でコンプレッションリング10と相違する。図10に示すように、第1領域71は、合口空間7において、径方向の最も外側に位置する。コンプレッションリング10Bは、第1合口端面1と第2合口端面2とが軸方向視において径方向内側が広がるハの字状を形成している。即ち、コンプレッションリング10Bでは、端面間隔は、外側合口開口83において最も狭く、径方向内側に向かって徐々に広がり、内側合口開口84において最も広くなっている。
上述したように、燃焼ガスは、使用状態において合口空間7とピストンクリアランスCとが重複する領域であるブローバイ領域7Aを通り抜けることでクランク室50側に流出する。このようにして流出する燃焼ガスは、所謂ブローバイガスであり、低減することが好ましい。コンプレッションリング10Bは、相対的に端面間隔が狭い第1領域71が合口空間7において径方向外側に位置することによって、ブローバイ領域7Aの軸方向視における面積を小さくすることができる。即ち、燃焼ガスの通路を狭くすることができる。その結果、コンプレッションリング10Bによれば、アルコール燃料生成物の堆積によるリング外周面3の損傷を抑制しつつも、コンプレッションリング10よりもブローバイガスを低減することができる。なお、図10に示すように、堆積物601と堆積物602は、第1領域71において接触して砕かれ、第1領域71において砕かれた堆積物60の破片は、第1領域71の内側に配置された第2領域72に導かれ、内側合口開口84からコンプレッションリング10Bの周囲空間に排出される。なお、コンプレッションリング10Bは、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
[変形例3]
図11は、実施形態1の変形例3に係るコンプレッションリング10Cの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。図11に示すように、コンプレッションリング10Cにおける合口空間7は、第1領域71が合口空間7において径方向外側に位置し、第2領域72が径方向内側に位置している。コンプレッションリング10Cでは、端面間隔が第1領域71と第2領域72とで段階的に変化するように合口空間7が形成されている。また、第1領域71は、径方向外側に位置するとともに端面間隔が一様な外側第1領域711と、径方向内側に位置するとともに第2領域72に隣接する内側第1領域712と、を有する。外側第1領域711は、合口空間7において、径方向の最も外側に位置する。そして、外側第1領域711の径方向における幅は、ピストン20がシリンダ30に装着された場合にシリンダ内壁301とピストン外周面201との間に確保される離間距離dと同等である。離間距離dは、即ち、ピストンクリアランスCの径方向における幅である。離間距離dは、例えば、0.3mm程度である
。また、合口空間7の端面間隔は、外側第1領域711において最も狭くなっている。なお、外側第1領域711の径方向における幅は、ピストンクリアランスCの径方向における幅d以上であればよい。つまり、外側第1領域711は、ブローバイ領域7Aを含む領域であればよい。
上述したように、ブローバイ領域7Aには、燃焼ガスの通り抜けるため、アルコール燃料生成物が堆積し難い。従って、ブローバイ領域7Aにおける端面間隔を決定する際には、堆積物の接触を考慮しなくともよい。そのため、ブローバイ領域7Aにおいては、端面間隔を狭くしてもよい。コンプレッションリング10Cは、外側第1領域711を径方向の外側に形成し、外側第1領域711の径方向における幅をピストンクリアランスCの径方向における幅d以上とし、外側第1領域711において端面間隔を最も狭くすることによって、ブローバイ領域7Aにおいて端面間隔を最も狭くすることができる。その結果、コンプレッションリング10Bよりもブローバイガスを更に低減することができる。更に、コンプレッションリング10Cは、ブローバイ領域7Aを含む外側第1領域711において、端面間隔が一様となっている。これにより、ブローバイ領域7Aの略全域において端面間隔を最も狭くすることができる。その結果、ブローバイガスを更に低減することができる。なお、第1領域71の端面間隔は、例えば、使用状態において第1合口端面1と第2合口端面2とが直接突き当たることのない最も狭い間隔としてもよい。また、コンプレッションリング10Cにおいても、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
[変形例4]
図12は、実施形態1の変形例4に係るコンプレッションリング10Dの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。図12に示すように、コンプレッションリング10Dは、端面間隔が内側第1領域712から第2領域72に亘って徐々に広くなるように形成されている点で変形例3に係るコンプレッションリング10Cと相違する。より詳細には、内側第1領域712と第2領域72において、第1合口端面1と第2合口端面2とが軸方向視において径方向内側が広がるハの字状を形成している。端面間隔を徐々に広げることにより、合口空間7の容積を大きくし、堆積物601と堆積物602が接触し難くすることができる。また、端面間隔が連続的に広がるため、堆積物601と堆積物602が接触したときの接触面積をより小さくすることができる。なお、コンプレッションリング10Dにおいても、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
[変形例5]
図13は、実施形態1の変形例5に係るコンプレッションリング10Eの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。コンプレッションリング10Eは、外側第1領域711の端面間隔が径方向外側から径方向内側に向かうに従って徐々に広くなるように形成されている点で変形例4に係るコンプレッションリング10Dと相違する。図13に示すコンプレッションリング10Eのように、外側第1領域711は、端面間隔が外側合口開口83において最も狭くなっており、径方向内側に向かうに従って徐々に広がっていてもよい。端面間隔を外側合口開口83において最も狭くしているため、コンプレッションリング10よりもブローバイガスを低減することができる。また、コンプレッションリング10Eにおいても、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
[変形例6]
図14は、実施形態1の変形例6に係るコンプレッションリング10Fの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。図14に示すように、コンプレッションリング10Fは、内側第1領域712と第2領域72における第1
合口端面1と第2合口端面2の夫々が、軸方向視においてリング外周面3側に膨らんだ略円弧状を形成している点で変形例4に係るコンプレッションリング10Dと相違する。これによれば、合口空間7の容積をより大きくすることができ、堆積物601と堆積物602が接触し難くすることができる。また、コンプレッションリング10Fにおいても、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
[変形例7]
図15は、実施形態1の変形例7に係るコンプレッションリング10Gの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態を示す上面図である。図15に示すように、コンプレッションリング10Gでは、端面間隔が、径方向における略中央付近で最も狭くなっており、当該中央付近から径方向外側及び径方向内側に向かうに従って徐々に広くなっている。これにより、合口空間7には、リング外周面3側に位置する外側第2領域723と、リング内周面4側に位置する内側第2領域724と、外側第2領域723と内側第2領域724とに挟まれた第1領域71と、が形成されている。外側第2領域723と内側第2領域724の端面間隔は、第1領域71における端面間隔よりも相対的に広くなっている。
このようなコンプレッションリング10Gによると、図15に示すように、第1合口端面1と第2合口端面2が接近することによって堆積物601と堆積物602が接触する場合に、堆積物601と堆積物602が端面間隔の最も狭い第1領域71のみにおいて接触した状態とすることができる。これにより、堆積物601と堆積物602の接触面積を小さくし、堆積物60を微細に砕くことができる。また、コンプレッションリング10Gは、端面間隔が相対的に広い外側第2領域723と内側第2領域724とが、夫々、径方向外側と径方向内側に位置することにより、堆積物60の破片をリング外周面3側とリング内周面4側の両方から排出し易くすることができる。堆積物60の破片は、外側合口開口83側のピストンクリアランスC又は内側合口開口84からコンプレッションリング10Gの周囲空間に排出される。
また、コンプレッションリング10Gの合口空間7は、端面間隔が第1領域71から外側第2領域723及び内側第2領域724に亘って徐々に広くなるように形成されている。端面間隔を徐々に広げることにより、合口空間7の容積を大きくし、堆積物601と堆積物602が接触し難くすることができる。また、端面間隔が連続的に広がるため、堆積物601と堆積物602が接触したときの接触面積をより小さくすることができる。ここで、コンプレッションリング10Gにおいても、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
<実施形態2>
図16は、実施形態2に係るコンプレッションリング10Hの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態をリング外周面3側から見たときの図である。図16に示すように、コンプレッションリング10Hは、第1領域71と第2領域72が軸方向に隣接している点で実施形態1と異なる。
図16に示すように、第1上側端縁15と第2上側端縁25は、第1合口端面1と第2合口端面2の上側の端部に位置するとともに周長方向において対向する一対の端縁である。第1上側端縁15と第2上側端縁25とが対向することによって合口空間7において上側に形成される開口を、上側合口開口85と称する。同様に、第1下側端縁16と第2下側端縁26は、第1合口端面1と第2合口端面2の下側の端部に位置するとともに周長方向において対向する一対の端縁である。第1下側端縁16と第2下側端縁26とが対向することによって合口空間7において下側に形成される開口を、下側合口開口86と称する
図16に示すように、第1合口端面1は、第1上側端縁15と第1下側端縁16とを接続するとともに第2合口端面2側に膨らんだ曲面に形成されている。第2合口端面2は、第2上側端縁25と第2下側端縁26とを接続するとともに第1合口端面1側に膨らんだ曲面に形成されている。このような第1合口端面1及び第2合口端面2の形状は、比較例に係るコンプレッションリング10Kの合口端部をR加工することによって、容易に得ることができる。図16に示すように、端面間隔は、軸方向における略中央付近で最も狭くなっており、当該中央付近から上方向及び下方向に向かうに従って徐々に広くなっている。これにより、合口空間7には、リング上面5側に位置する上側第2領域725と、リング下面6側に位置する下側第2領域726と、上側第2領域725と下側第2領域726とに挟まれた第1領域71と、が形成されている。上側第2領域725と下側第2領域726の端面間隔は、第1領域71における端面間隔よりも相対的に広くなっている。
このようなコンプレッションリング10Hによると、図16に示すように、第1合口端面1と第2合口端面2が接近することによって堆積物601と堆積物602が接触する場合に、堆積物601と堆積物602が端面間隔の最も狭い第1領域71のみにおいて接触した状態とすることができる。これにより、堆積物601と堆積物602の接触面積を小さくし、堆積物60を微細に砕くことができる。また、コンプレッションリング10Hは、端面間隔が相対的に広い上側第2領域725と下側第2領域726が、夫々、軸方向上側と軸方向下側に位置することにより、堆積物60の破片をリング上面5側とリング下面6側の両方から排出し易くすることができる。堆積物60の破片は、上側合口開口85又は下側合口開口86からコンプレッションリング10Hの周囲空間に排出される。これにより、合口空間7における堆積物601又は堆積物602の体積が減少するため、堆積物601と堆積物602の接触が抑制される。その結果、リング外周面3の損傷を抑制することができる。なお、上側第2領域725が本発明における「第1の第2領域」に相当し、下側第2領域726が本発明における「第2の第2領域」に相当する。
また、コンプレッションリング10Hにおいて、合口空間7は、端面間隔が第1領域71から上側第2領域725及び下側第2領域726に亘って徐々に広くなるように形成されている。端面間隔を徐々に広げることにより、合口空間7の容積を大きくし、堆積物601と堆積物602が接触し難くすることができる。また、端面間隔が連続的に広がるため、堆積物601と堆積物602が接触したときの接触面積をより小さくすることができる。なお、コンプレッションリング10Hは、第1合口端面1と第2合口端面2の何れか一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
[変形例]
図17は、実施形態2の変形例に係るコンプレッションリング10Jの合口部分に堆積したアルコール燃料生成物同士が接触した状態をリング外周面3側から見たときの図である。図17に示すように、合口空間7において、第1領域71が軸方向の最も下側に位置し、第2領域72が軸方向の最も上側に位置してもよい。コンプレッションリング10Jにおいて、端面間隔は、下側合口開口86において最も狭く、上方向に向かうに従って徐々に広がり、上側合口開口85において最も広くなっている。このようなコンプレッションリング10Jによると、堆積物601と堆積物602は、端面間隔が相対的に狭い第1領域71において接触して砕かれる。第1領域71において砕かれた堆積物60の破片は、第1領域71の上側に配置された第2領域72に導かれ、上側合口開口85からコンプレッションリング10Jの周囲空間に排出される。なお、コンプレッションリング10Jは、第1領域71と第2領域72の上下位置を逆としてもよい。その場合、堆積物60の破片は下側合口開口86からコンプレッションリング10の周囲空間に排出される。ここで、コンプレッションリング10Jにおいても、第1合口端面1と第2合口端面2の何れ
か一方が、周長方向と略直交する平坦面(ストレート形状)に形成されてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した種々の形態は、可能な限り組み合わせることができる。
100 :内燃機関
10 :コンプレッションリング
101 :第1合口端部
102 :第2合口端部
1 :第1合口端面
2 :第2合口端面
3 :リング外周面
4 :リング内周面
5 :リング上面
6 :リング下面
7 :合口空間
8 :合口開口
9 :リング本体
20 :ピストン
201 :ピストン外周面
202 :リング溝
30 :シリンダ
301 :シリンダ内壁
40 :燃焼室
50 :クランク室
60 :堆積物

Claims (11)

  1. アルコール燃料用の内燃機関のシリンダに装着されるピストンに形成されたリング溝に設けられるコンプレッションリングであって、
    リング本体と、前記リング本体に設けられ、該コンプレッションリングが前記シリンダに装着された状態において、互いに対向することで合口空間を形成する一対の合口端面と、を有し、
    前記合口空間は、前記一対の合口端面同士の間隔である端面間隔が相対的に狭い第1領域と、前記端面間隔が前記第1領域よりも相対的に広い第2領域であって、前記第1領域に隣接するとともに該コンプレッションリングの周囲空間とつながっている第2領域と、を有する、
    コンプレッションリング。
  2. 前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの径方向に隣接しており、
    前記第1領域は、前記合口空間において前記径方向内側に位置し、
    前記第2領域は、前記合口空間において前記径方向外側に位置する、
    請求項1に記載のコンプレッションリング。
  3. 前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの径方向に隣接しており、
    前記第1領域は、前記合口空間において前記径方向外側に位置し、
    前記第2領域は、前記合口空間において前記径方向内側に位置する、
    請求項1に記載のコンプレッションリング。
  4. 前記第1領域は、前記径方向外側に位置する外側第1領域と、前記径方向内側に位置するとともに前記第2領域に隣接する内側第1領域と、を有し、
    前記外側第1領域の前記径方向における幅は、前記ピストンが前記シリンダに装着された場合に前記シリンダの内壁と前記ピストンの外周面との間に確保される所定の離間距離以上であり、
    前記端面間隔は、前記外側第1領域において最も狭くなっている、
    請求項3に記載のコンプレッションリング。
  5. 前記外側第1領域は、前記端面間隔が一様となるように形成されている、
    請求項4に記載のコンプレッションリング。
  6. 前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの径方向に隣接しており、
    前記第2領域は、前記径方向外側に位置する外側第2領域と、前記径方向内側に位置する内側第2領域と、を有し、
    前記第1領域は、前記外側第2領域と前記内側第2領域とに挟まれている、
    請求項1に記載のコンプレッションリング。
  7. 前記合口空間は、前記端面間隔が前記第1領域から前記第2領域に亘って徐々に広くなるように形成されている、
    請求項1から6の何れか一項に記載のコンプレッションリング。
  8. 前記合口空間は、前記端面間隔が前記第1領域と前記第2領域とで段階的に変化するように形成されている、
    請求項1から6の何れか一項に記載のコンプレッションリング。
  9. 前記第1領域と前記第2領域は、該コンプレッションリングの軸方向に隣接しており、
    前記合口空間は、前記端面間隔が前記第1領域から前記第2領域に亘って徐々に広くな
    るように形成されている、
    請求項1に記載のコンプレッションリング。
  10. 前記第2領域は、該コンプレッションリングの前記軸方向に面する両面のうち、一方の面側に位置する第1の第2領域と、他方の面側に位置する第2の第2領域と、を有し、
    前記第1領域は、前記第1の第2領域と前記第2の第2領域とに挟まれている、
    請求項9に記載のコンプレッションリング。
  11. アルコール燃料用の内燃機関の組み立て方法であって、
    シリンダに装着されたピストンに形成されたリング溝にコンプレッションリングを装着する工程を含み、
    前記コンプレッションリングは、
    リング本体と、前記リング本体に設けられ、該コンプレッションリングが前記シリンダに装着された状態において、互いに対向することで合口空間を形成する一対の合口端面と、を有し、
    前記合口空間は、前記一対の合口端面同士の間隔である端面間隔が相対的に狭い第1領域と、前記端面間隔が前記第1領域よりも相対的に広い第2領域であって、前記第1領域に隣接するとともに該コンプレッションリングの周囲空間とつながっている第2領域と、を有する、
    アルコール燃料用の内燃機関の組み立て方法。
JP2018087385A 2018-04-27 2018-04-27 コンプレッションリング及び内燃機関の組み立て方法 Active JP6702537B2 (ja)

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