以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
以下の説明では、補修対象の火炉壁として、ボイラの火炉壁を一例として採りあげて説明するが、本発明の適用先は、ボイラの火炉壁に限定されず、伝熱管(火炉壁管)と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成される火炉壁全般に適用可能である。例えば、幾つかの実施形態では、補修対象の火炉壁は、ボイラの火炉壁、又は、ガス化炉(石炭ガス化炉等)の水冷壁であってもよい。
(火炉壁の構成)
図1は、幾つかの実施形態に係る補修方法が適用されるボイラの火炉壁を、ボイラの炉外側から視た部分的な模式図である。なお、ボイラは、石炭焚きボイラ等の化石燃料焚きボイラであってもよく、他のボイラ(例えばソーダ回収ボイラ)であってもよい。
図1に示すように火炉壁1は、互いに間隔をあけて設けられた複数の火炉壁管2(補修対象管2Aを含む)と、隣り合う火炉壁管2同士を連結する板状のフィン部4、とを備えている。火炉壁管2には、給水や蒸気等の冷却流体が流通するようになっていてもよい。
火炉壁1を構成する火炉壁管2は、ボイラの運転時間の経過に伴い減肉や亀裂等の損傷が生じることがある。この場合、以下で説明するように、損傷が生じた火炉壁管2のうち減肉や亀裂等を含む所定区間を切除し、所定区間が切除された火炉壁管2の部分に新管を溶接で取り付ける補修が行われることがある。
(火炉壁の補修方法)
以下、幾つかの実施形態に係る火炉壁1の補修方法について説明する。図2は、一実施形態に係る火炉壁1の補修方法の概略的なフローチャートである。図3〜図5、図7、図9及び図14は、それぞれ、一実施形態に係る補修方法の過程を示す、火炉壁1の模式図である。
図2に示すように、一実施形態に係る火炉壁1の補修方法では、まず、火炉壁1を構成する複数の火炉壁管2の中から、損傷が生じた箇所等に基づいて、補修対象管2A、及び、該補修対象管2Aの管交換範囲6、フィン切除部8、及び、スリット形成部9を含む施工範囲を決定する(ステップS100)。
図1に示すように、補修対象管2Aのうち、火炉壁管2の長手方向にて管交換範囲6の延在する領域を第1領域R1とする。フィン切除部8は、フィン部4のうち、火炉壁管2の長手方向にて管交換範囲6(第1領域R1)よりも広い第2領域(フィン切除領域)R2内の部分である。スリット形成部9は、フィン部4において、火炉壁管2の長手方向にて第2領域R2に隣接する第3領域R3内に延在する。
補修対象管2Aの管交換範囲6は、後述する手順により切除され、新管に交換される部位である。一度の作業で補修対象とする補修対象管2Aの本数は限定されない。図示する例においては、複数の火炉壁管2のうち3本を補修対象管2Aとしている。フィン部4のうちフィン切除部8は、補修対象管2Aに接続されたフィン部4のうち管交換範囲6よりも広い第2領域(フィン切除領域)R2に含まれる部分であり、後述する手順により切除される部分である。フィン部4におけるスリット形成部9は、後述する手順によりスリット部15(図4参照)が形成される位置である。
上述のように決定した施工範囲には、図1に示すように、マーキング10,11(図1において破線で示す)を付しておいてもよい。なお、図1に示す火炉壁1おいて、補修対象管2Aの管交換範囲6、及び、フィン部4のうちフィン切除部8にマーキング10が付され、フィン部4におけるスリット形成部9にマーキング11が付されている。
次に、ステップS100で決定した施工範囲のうち、補修対象管2Aの管交換範囲6、及び、補修対象管2Aに接続されたフィン部4のフィン切除部8を、任意の切断装置を用いて切断し、取り除く(ステップS110)。ステップS110では、マーキング10に沿って、補修対象管2A及びフィン部4を切断し、管交換範囲6及びフィン切除部8を切除するようにしてもよい。
ステップS110で補修対象管2A及びフィン部4から管交換範囲6及びフィン切除部8が切除されると、図3に示すように、火炉壁1には、ボイラの炉外側と炉内側とを連通する開口穴16が形成される。また、各補修対象管2Aの管交換範囲6の切断箇所に一対の切除端12,12が形成され、各補修対象管2Aと、該補修対象管2Aに隣り合う火炉壁管2(他の補修対象管2Aであってもよい)との間に、第2領域R2に対応する隙間(フィン切除領域)14が形成される。隙間(フィン切除領域)14は、ステップS110で切除されたフィン切除部8に対応する位置に形成され、火炉壁管2の長手方向において、一対の切除端12,12の間の範囲よりも広範囲にわたり延在する。なお、隙間14は、開口穴16の一部である。
ステップS110で管交換範囲6及びフィン切除部8を切除したら、フィン部4を加工して、隙間(フィン切除領域)14に開口するスリット部15を形成する(ステップS120)。図4に示すように、スリット部15は、隙間14に加工する開口部15aを有する。
スリット部15は、火炉壁管2同士の間に形成される隙間(フィン切除領域)14の幅よりも小さい。このため、スリット部15は、フィン部4の一部切除により隙間(フィン切除領域)14を形成する場合に比べ、容易に形成することができる。スリット部15の幅WS(図4参照)は、例えば、複数の火炉壁管2のうち隣り合う火炉壁管2同士の距離WF(図4参照)の80%以下又は50%以下であってもよい。
幾つかの実施形態では、切削工具又は研削工具(例えばグラインダ等)によりフィン部に切込みを入れることでスリット部15を形成するようにしてもよい。上述したように、スリット部15の幅WSは、スリット部15が開口する隙間(フィン切除領域)14の幅(隣り合う火炉壁管2同士の距離WFに対応する幅)よりも狭い。このため、切削工具又は研削工具で切込みを入れるという比較的簡易な作業でスリット部15を形成することができる。
また、ステップS110で管交換範囲6及びフィン切除部8を切除したら、補修対象管2Aのうち、切除端部13の外形の形状が、補修対象管2Aの軸方向に直交する断面にて円形になるように補修対象管2Aを加工する(ステップS130)。ここで、上述の切除端部13は、補修対象管2Aの切除端12を含む部分であり、補修対象管2Aのうち火炉壁管2の長手方向において隙間(フィン切除領域)14の延在範囲に含まれる部分(即ち、第2領域R2に含まれる部分)である。補修対象管2Aの切除端部13を円形にする上述の加工は、研削工具を用いて行ってもよい。
ステップS130において切除端部13の外形の形状が円形になるように加工をすることで、後述する補修対象管2Aの位置合わせ(ステップS140)で用いる装置を用いて、適切に位置合わせをすることができる。あるいは、ステップS130において切除端部13の外形の形状が円形になるように加工をすることで、後述する溶接部の検査(ステップS170)で用いる溶接装置を適切に作動させやすくなる。
なお、ステップS130では、上述の断面上にて切除端部13の外形の形状が円形になるように加工を行うが、この形状は真円である必要はなく、溶接装置の動作に支障が出ない程度に、上述の断面上での切除端部13の外形の輪郭が滑らかであればよく、また、上述の位置合わせ用の装置で適切に位置合わせできる程度に、全体として円形に近い形状であればよい。このように、切除端部13の外形を円形に加工しておくことで、後述する位置合わせ器具40(後述)による補修対象管2Aと新管17との位置合わせ(後述するステップS140)を適切に行うことを可能としながら、後述する溶接部の検査(後述するステップS170)をスムーズに行うことができる。
なお、上述のスリット部を形成するステップS120と、補修対象管2Aの切除端部13を円形に加工するステップS130の実行順は限定されず、これらのステップ(ステップS120,S130)のどちらを先に行ってもよい。
次に、図5に示すように、補修対象管2Aのうち管交換範囲6が取り除かれた部分に、新管17の両端部18,18(図5参照)と、補修対象管2Aの一対の切除端12,12とがそれぞれ対向するように新管17を設置し、補修対象管2Aの中心軸と新管17の中心軸とが重なるように位置合わせをする(ステップS140)。また、必要に応じて、火炉壁管2(補修対象管2Aを含む)同士の間隔を調整する(ステップS150)。そして、補修対象管2Aの切除端12と新管17とを溶接により接続する(ステップS160)。なお、補修対象管2Aと新管17との位置合わせ(ステップS140)の前に、補修対象管2Aの切除端12及び新管17の端部18に溶接のための開先12a,18a(図5参照)を加工してもよい。
ステップS140では、補修対象管2Aの切除端12と新管17の端部18とを向き合わせた状態で、補修対象管2Aの中心軸と新管17の中心軸とが重なるように、補修対象管2Aの位置を調整する。ステップS6では、図6に示すように、位置合わせ器具40を用いて補修対象管2Aと新管17との位置合わせを行ってもよい。ここで、図6は、一実施形態に係る補修方法における補修対象管2Aと新管17の位置合わせの手順の一例を示す図である。
位置合わせ器具40は、補修対象管2A(火炉壁管2)及び新管17が嵌入可能な凹溝部42が形成された板状の本体部41と、2つの位置調整部材43,44とを有している。本体部41には、矩形の開口穴45が形成されており、凹溝部42内に補修対象管2A及び新管17が嵌入すると、開口穴45を介して開先12a,18aが見えるようになっている。尚、開口穴45の形状は矩形に限定されないが、後述する仮付け溶接作業の妨げにならない形状であることが好ましい。
位置調整部材43及び44はそれぞれ、U型ボルト43a及び44aと、U型ボルト43a及び44aに螺合するナット43b,43c及び44b,44cとを有している。U型ボルト43a及び44aはそれぞれ、それらの湾曲部分で補修対象管2A及び新管17を引っ掛けるとともに、それらの2つの線形部分が隙間(フィン切除領域)14を通って本体部41を貫通するように延びており、2つの線形部分にナット43b,43c及び44b,44cが螺合して、各ナットが本体部41の表面41aに接している。U型ボルト43a及び44aのそれぞれの一方の線形部分の端部には、円形板状の抜け止め部43d及び44dが設けられている。これにより、U型ボルト43a及び44aの落下を防止することができる。
各ナットの締め付けを調整することにより、補修対象管2A及び新管17の互いに対する相対位置が調節することができる。これにより、補修対象管2Aの中心軸と新管17の中心軸とが重なり、開先12aと開先18aとが互いに対向した状態で固定することができる。
位置合わせ器具40により、補修対象管2Aと新管17とが軸合わせされて固定された状態で、開口穴45を介して、開先12aと開先18aとの仮付け溶接を行う。この仮付け溶接により、円周方向に目違い及び開先ギャップを低減することができ、目違い及び開先ギャップを後続のステップS160での溶接のための許容値に収めることができる。仮付け溶接後、ナット43b,43c及び44b,44cを緩めて、位置合わせ器具40を補修部100から取り外す。
上述のように、補修対象管2Aと新管17の位置合わせ及び仮付け溶接が終了した段階では、図7に示すように、補修対象管2Aと新管17とが、仮溶接部19’によって接続されている。仮溶接部19’は、補修対象管2A(又は新管17)の周方向において部分的に延在している。
なお、上述の位置合わせ器具40のU型ボルト43a,44aは、隙間(フィン切除領域)14を通過可能であるから、炉外側での作業により、U型ボルト43a,44aを補修対象管2A及び新管17に引っ掛けたり、補修対象管2A及び新管17から取り外したりすることができる。よって、炉外側での作業により隙間(フィン切除領域)14を利用して、位置合わせ器具40を補修対象管2A及び新管17へ取り付けたり、位置合わせ器具40を補修対象管2A及び新管17から取り外したりすることができる。また、本体部41及びナット43b,43c,44b,44cを炉外側に設置することで、炉外側での作業により、ナットの締め付け調整、及び、補修対象管2Aと新管17との位置合わせをすることができる。
ここで、ステップS140では、フィン部4に、隙間(フィン切除領域)14に開口するスリット部15が形成された状態で、補修対象管2Aと新管17との位置合わせを行う。すなわち、隙間(フィン切除領域)14に隣接するスリット部を形成しない場合に比べて火炉壁1の剛性を小さく、補修対象管2Aの切除端部13が変形しやすい状態で位置合わせを行うので、補修対象管2Aの位置を調整しやすくなり、上述の位置合わせが容易となる。また、上述の位置合わせ器具40を用いることで、比較的狭いエリアで位置合わせの作業をすることができ、あるいは、火炉壁1の両側のうち一方側(例えば炉外側)での作業により補修対象管2Aと新管17の位置合わせをすることができるため、火炉壁1の補修を効率的にすることができる。
ステップS150では、必要に応じて、補修対象管2Aの切除端12と新管17の端部18とを向き合わせた状態で、補修対象管2Aの位置を調整して、火炉壁管2(補修対象管2Aを含む)同士の間隔を調整する。
例えば、図7に示す例では、補修対象管2Aと新管17とが仮溶接部19’を介して接続された状態(すなわち、ステップS160で行う本溶接の前の段階)において、火炉壁管2の間隔が大きく異なっている。すなわち、3本の補修対象管2Aのうち、紙面に向かって最も左側に位置する補修対象管2Aの両側の隙間(フィン切除領域)14の幅は、左側の隙間14の幅L3の方が、右側の隙間14の幅L4に比べて大幅に小さい。このように、補修対象管2Aに隣接する隙間(フィン切除領域)14の幅が狭い箇所があると、後段のステップS160で用いる溶接装置20(図10参照)が火炉壁管2と干渉してしまい、溶接装置20を適切に設置できない、あるいは、溶接装置20を適切に作動させることができない場合がある。そこで、このような場合、補修対象管2Aの両側の隙間(フィン切除領域)14の幅が均等化されるように、ステップS150において火炉壁管2同士の間隔を調節する。
火炉壁管2の間隔調節(ステップS150)は、例えば以下に述べる手順で行う。ここで、図8は、火炉壁管2の間隔調節(ステップS150)のフローチャートである。
まず、図8に示すように、後段のステップS160で用いる溶接装置20(図10参照)を補修対象管2Aに設置する場合又は設置後に動作させる場合に、該補修対象管2Aの両隣に位置する火炉壁管2に溶接装置20が干渉するか否かを確認する(ステップS152)。溶接装置20と火炉壁管2とが干渉しないと判定されたら(ステップS152のNo)、火炉壁管2同士の間隔を調節する必要はないため、ステップS150を終了する。一方、溶接装置20と火炉壁管2とが干渉しないと判定されたら(ステップS152のYes)、火炉壁管2同士の間隔を調整する(ステップS154)。
ステップS154では、スリット部15に楔90(90a〜90d)を挿入して、補修対象管2Aと該補修対象管2Aの隣に位置する火炉壁管2との間隔を調整するようにしてもよい。例えば、図7に示すように、補修対象管2Aに接続されるフィン部4に形成されたスリット部15(上方の2か所と下方の2か所のスリット部15)に、楔90a〜90dを挿入し、各スリット部15における各楔90a〜90dの挿入位置や挿入量を調節することにより、火炉壁管2同士の間隔を調節することができる。
ステップS154での火炉壁管2同士の間隔の調整が完了したら、再度、溶接装置20(図10参照)を補修対象管2Aに設置しする場合又は設置後に動作させる場合に、該補修対象管2Aの両隣に位置する火炉壁管2に溶接装置20が干渉するか否かを確認する(ステップS156)。、溶接装置20と火炉壁管2とが干渉すると判定されたら(ステップS156のYes)、スリット部15の長さ又は幅を拡大し、火炉壁1の剛性をさらに小さくしてから、ステップS154に戻り、再度、楔90(90a〜90d)を用いて火炉壁管2同士の間隔の調整を行う。ステップS156で溶接装置20と火炉壁管2とが干渉しないと判定されるまで、ステップS154〜ステップS158を繰り返し行う。ステップS156で溶接装置20と火炉壁管2とが干渉しないと判定されたら(ステップS156のNo)、火炉壁管2同士の間隔をさらに調節する必要はないため、ステップS150を終了する。
なお、ステップS140で補修対象管2Aと新管17との位置合わせを行う前に、上述のステップS150と同様に、ステップS140で用いる位置合わせ器具40と火炉壁管2とが干渉しないように、スリット部15に楔90を挿入することで火炉壁管2同士の間隔の調節をするようにしてもよい。
また、後述するステップS170で溶接部の検査を行う前に、上述のステップS150と同様に、ステップS170で用いる溶接部の検査装置60と火炉壁管2とが干渉しないように、スリット部15に楔90を挿入することで火炉壁管2同士の間隔の調節をするようにしてもよい。
ステップS150で火炉壁管2同士の間隔を調節した後、ステップS160で補修対象管2Aの切除端12と新管17とを溶接により接続すると、図9に示すように、補修対象管2Aと新管17とは、円周状の溶接部19を介して接続される。
ステップS160では、図10及び図11に示すように、溶接装置20を用いて溶接を行ってもよい。ここで、図10及び図11は、それぞれ、一実施形態に係る補修方法における溶接装置を用いた溶接(ステップS160)の手順の一例を示す図である。なお、図7は、火炉壁管2(補修対象管2Aを含む)の中心軸に直交する断面を示す。
図10及び図11に示すように、溶接装置20は、溶接ヘッド部24と、溶接ヘッド部24に配線23を介して電気的に接続される操作盤22と、を備えている。溶接ヘッド部24には、電源21からの電力が供給されるようになっている。
溶接ヘッド部24は、溶接ヘッド部24の一部が隙間(フィン切除領域)14内に位置するように、補修対象管2A及び新管17の外周面を囲むように設置される。すなわち、溶接ヘッド部24は、隙間(フィン切除領域)14を利用して設置される。なお、隙間(フィン切除領域)14が火炉壁管2の長手方向にて管交換範囲6(新管17の延在範囲又は第1領域R1)よりも広範囲にわたって延在するため、上述のように、溶接ヘッド部24を、補修対象管2A及び新管17の外周面を囲むように設置することができる。溶接ヘッド部24は、炉外側での作業により、溶接ヘッド部24を補修対象管2A及び新管17に設置可能に構成されている。
図11に示すように、溶接ヘッド部24は、補修対象管2A及び新管17の外周面に沿って、補修対象管2A及び新管17の中心軸周りを円周状に移動可能なトーチ部30を備えている。
トーチ部30は、トーチ本体31と、トーチ本体31に設けられたセラミック板32と、セラミック板32から突出するように設けられた電極33とを備えている。トーチ部30は、補修対象管2Aの切除端12と新管17の端部18とを突き合せた状態で、補修対象管2A及び新管17の外周面に沿って円周状に溶接(円周溶接)することが可能となっている。
この際、トーチ部30は、補修対象管2A及び新管17と隣り合う火炉壁管2との間の隙間14(フィン切除領域104)を通過して、ボイラの炉外側から炉内側へ、又は、炉内側から炉外側へと円周状に移動しながら溶接を行う。このように溶接を行うことで、補修対象管2A及び新管17の外周面に沿って、円周状の溶接部19が形成される。溶接装置20による溶接が完了したら、溶接装置20を補修部100から取り外す。
ステップS160での溶接が終了したら、補修対象管2Aと新管17を接続する溶接部19の欠陥の有無を検査するようにしてもよい(ステップS170)。溶接部19の検査は、図12及び図13に示す検査装置60を用いて行ってもよい。
ここで、検査装置60の構成について概略的に説明する。図12は、一実施形態に係る補修方法における溶接部の検査(ステップS170)の手順の一例を示す図であり、図13は、一実施形態に係る補修方法で使用される検査装置60の一例の模式図である。なお、図12は、火炉壁管2(補修対象管2Aを含む)の中心軸に直交する断面を示す図であり、図13は、補修対象管2A及び新管17の径方向から、検査装置60を視た図である。なお、図12には、溶接部19に生じた欠陥110が模式的に示されている。
図12及び図13に示す検査装置60は、検知部としての探触子62が搭載された本体部60aと、検査対象の溶接部19が設けられた補修対象管2A及び新管17に本体部60aを支持するための支持部60bと、を備える。上述の探触子62は、電気信号等を受けて発生させた超音波を検査対象に入射させ、その反射波を検知することで検査対象の状態を検査するように構成された超音波探触子であってもよく、あるいは、放射線(例えばX線等)を検査対象に照射可能な探触子であってもよい。
支持部60bは、本体部60aの両側に設けられており、検査対象(ここでは溶接部19)が設けられる補修対象管2A及び新管17を把持するように構成されている。支持部60bは本体部60aに対して不図示の付勢部材(バネ等)によって内側に付勢されている。これにより、検査装置60は付勢部材による付勢力によって、補修対象管2A及び新管17に対して安定的に支持される。
支持部60bの先端には、補修対象管2A及び新管17の外表面を周方向に沿って回動可能に設けられた車輪64が設けられている。検査装置60は、不図示の駆動機構によって車輪64が駆動されることにより、探触子62が搭載された本体部60aを周方向に沿って回転移動することで、全周検査が可能になっている。
なお、図13に示すように、本体部60aと支持部60bとの間には、火炉壁管2の延在方向に沿った隙間66が設けられている。これにより、本体部60a及び支持部60bは、不図示の駆動機構によって、隙間66の分だけ火炉壁管2の長手方向に沿った位置調整もできるように構成されている。
検査装置60は、隙間(フィン切除領域)14を利用して設置することができる。これにより、炉外側での作業により、検査装置60を適切に設置することができる。
そして、検査装置60を操作して、検査装置60の探触子62(検知部)を動かして、補修対象管2Aの全周にわたり溶接部19の欠陥の有無を検査する。図12及び図13に示す検査装置60の場合、検査装置60が補修対象管2A及び新管17に適切に支持された状態で、車輪64を駆動することにより、探触子62が搭載された本体部60aを周方向に沿って回転移動させる。この際、探触子62は、補修対象管2A及び新管17と隣り合う火炉壁管2との間の隙間(フィン切除領域)14を通過して、ボイラの炉外側から炉内側へ、又は、炉内側から炉外側へと円周状に移動しながら溶接部19の検査を行う。これにより、補修対象管2Aの全周にわたり溶接部19の検査をすることができる。
ステップS170では、隙間(フィン切除領域)14を利用して設置された検査装置60をボイラの炉外で操作することにより、溶接部19の検査を行ってもよい。
なお、ステップS170において、溶接部19に欠陥があることが判明した場合、隙間(フィン切除領域)14を利用して、溶接部19から欠陥を除去して該溶接部19を補修したり、補修対象管2Aに接続された新管17を溶接部19ごと切除し、別の新管17に交換したりすることができる。
補修対象管2Aと新管17との溶接による接続(ステップS160)、あるいは、溶接部19の検査(ステップS170)が終了したら、隙間(フィン切除領域)14、及びスリット部15を塞ぐ(ステップS180)。
ステップS180では、例えば、フィン切除部8に対応するフィン部52(図14参照)を、隙間(フィン切除領域)14に嵌め込んで溶接することにより、隙間(フィン切除領域)14を塞ぐ。このとき、図14に示すように、フィン部52は、火炉壁管2の長手方向にて隣り合うフィン部4に溶接されるとともに、火炉壁管2の配列方向(長手方向と直交する方向)にてフィン部52の両側に位置する火炉壁管2、補修対象管2A、及び、新管17にそれぞれ溶接される。これにより、フィン部52の外縁に沿って溶接部54が形成される。ステップS180でのフィン部52の溶接は、炉外側での作業により行ってもよい。
また、ステップS180では、スリット部15を溶接で埋める。これにより、スリット部15の形状に沿って、溶接部56が形成される。ステップS180でのフィン部52の溶接は、炉外側での作業により行ってもよい。
上述の実施形態に係る方法では、ステップS120において、外形が円形に加工された補修対象管2Aの切除端部13に隣接する上述の隙間(フィン切除領域)14に開口するようにフィン部4にスリット部15が形成されるので、スリット部15の幅WSは隙間(フィン切除領域)14の幅WFに比べて狭い。このため、スリット部15の加工は、ステップS110やステップS130での隙間(フィン切除領域)14の加工に比べて容易である。そして、上述のスリット部15を形成することにより、スリット部15を形成しない場合に比べて火炉壁1の剛性を小さくすることができ、これにより補修対象管2Aの切除端部13が変形しやすくなる。すなわち、上述の実施形態に係る方法によれば、簡易な方法で火炉壁1の剛性を小さくして、ステップS140やステップS160において、補修対象管2Aの切除端12と新管17の端部18とを向き合わせた状態で、補修対象管2Aの位置を調整しやすくなる。また、このように補修対象管2Aの位置を調整することで、ステップS160において、補修対象管2Aと新管17とを適切に溶接で接続することができる。したがって、火炉壁1の補修を効率的に行うことができる。
また、火炉壁の両側のうち一方側(炉外側又は炉内側)の作業で、補修対象管2Aの全周溶接(ステップS160)や、円周状の溶接部19の全周検査(ステップS170)を行うためには、例えば上述した溶接装置20や検査装置60等、補修対象管2Aの切除端部13や隙間(フィン切除領域)14を利用して設置及び使用する特殊な装置が用いられる。この点、ステップS120で上述のスリット部15を設けて火炉壁1の剛性を小さくすることで、火炉壁管2同士の間隔の調節(例えばステップS150)がしやすくなる。よって、ボイラの炉外側の作業による補修対象管2Aの溶接や溶接部19の検査を行いやすくなる。このように、炉外側の作業で溶接や溶接部検査をすることができれば、炉内側で上述のステップS100〜S180を含む工程をする必要がなくなり、ボイラの炉内に足場を設ける必要がなくなる。よって、火炉壁1の補修にかかるコストや時間を削減することができる。
なお、幾つかの実施形態では、補修対象の火炉壁はガス化炉の水冷壁であってもよい。ガス化炉の水冷壁(火炉壁)の周囲には、水冷壁を囲むように分厚い圧力容器が設けられるため、ガス化炉の外側から水冷壁の補修を行う場合には圧力容器を取り外す必要があるなど、検査に要する時間やコストが大きくなる。この点、上述したように、本発明の実施形態によれば、ステップS120で上述のスリット部15を設けて火炉壁1の剛性を小さくすることで、火炉壁管2同士の間隔の調節(例えばステップS150)がしやすくなる。よって、ガス化炉の炉内側の作業による補修対象管2Aの溶接や溶接部19の検査を行いやすくなる。このように、炉内側の作業で溶接や溶接部検査をすることができれば、炉外側で上述のステップS100〜S180を含む工程をする必要がなくなり、補修作業のためにガス化炉の外側の圧力容器を取り外す必要がなくなる。よって、火炉壁1の補修にかかるコストや時間を削減することができる。
幾つかの形態では、スリット部15を形成するステップS120の前に、補修対象管2Aの変形に応じて、フィン部4においてスリット部15を形成する位置、又は、形成するスリット部15の幅又は長さを決定するようにしてもよい。
幾つかの実施形態では、スリット部15を形成する前における、補修対象管2Aの変形に応じて、フィン部4の幅方向におけるスリット部15の形成位置を決定する。この場合、補修対象管2Aの変形に応じて、スリット部15の形成位置を適切に決定し、決定された位置にスリット部15を形成することで、火炉壁1の剛性を効果的に小さくすることができる。これにより、ステップS140やステップS150において、補修対象管2Aの位置をより調整しやすくなる。
ここで、図15A及び図15Bは、それぞれ、スリット部15の形成位置について説明するための図である。フィン部4におけるスリット部15の形成位置は、例えば以下のように決定することができる。
すなわち、図15Aに示す例では、補修対象管2Aの両隣に配置される2本の火炉壁管2(補修対象管2Aであってもよい)は第1管101と第2管102とを含み、補修対象管2Aは、これらのうち第1管101側に近づくように変形している。このとき、補修対象管2Aの変形部における補修対象管2Aと第1管101との間の距離L1(図15A参照)は、該変形部における補修対象管2Aと第2管102との間の距離L2よりも小さい。この場合、第1管101と補修対象管2Aとを連結するフィン部106の幅方向における中央(鎖線O1で示す位置)よりも補修対象管2A寄りの位置を、スリット部15Lを形成する位置として決定する。
なお、図15Aにおいて、第2管102と補修対象管2Aとを連結するフィン部108において、該フィン部108の幅方向における中央(鎖線O2で示す位置)部にスリット部15Rが形成されている。
このように、補修対象管2Aが、該補修対象管2Aの隣に位置する第1管101側に近づくように変形しているとき、第1管101側にて補修対象管2Aに隣接するフィン部106において、該補修対象管2Aに近い位置にスリット部15Lを形成することで、補修対象管2Aの変形に応じて、火炉壁の剛性を効果的に小さくすることができる。すなわち、図15Bに示すように、第1管101側に近づくように変形している補修対象管2Aを、上述のスリット部15Lを設けることで、第2管102側に近づくように変形させやすくなる。これにより、ステップS140やステップS150において補修対象管2Aの位置をより調整しやすくなる。例えば、ステップS150では、図15Bに示すように、スリット部15L及び/又はスリット部15Rに楔90a,90bを挿入することで、火炉壁管2同士の間隔をより調節しやすくなる。
幾つかの実施形態では、スリット部15を形成する前における、補修対象管2Aの変形量に応じて、フィン部4の幅方向におけるスリット部の幅WS(図4参照)を決定するようにしてもよい。例えば、補修対象管2Aの変形量が大きいほど、フィン部4の幅方向におけるスリット部の幅WSを広くするようにしてもよい。
また、幾つかの実施形態では、スリット部15を形成する前における、補修対象管2Aの変形量に応じて、火炉壁管2の長手方向におけるスリット部15の長さ(第3領域R3の長さ)を決定するようにしてもよい。例えば、補修対象管2Aの変形量が大きいほど、火炉壁管2の長手方向におけるスリット部15の長さを長くするようにしてもよい。
このように、補修対象管2Aの変形量に応じてフィン部4に形成するスリット部15の幅又は長さを決定し、このように決定された幅又は長さのスリット部15を形成することで火炉壁1の剛性を効果的に小さくすることができる。これにより、ステップS140やステップS150において補修対象管2Aの位置をより調整しやすくなる。
なお、幾つかの実施形態では、火炉壁管2の長手方向におけるスリット部15の長さは、補修対象管2Aの切除端部13の長さよりも長くなるように、スリット部15を形成してもよい。これにより、比較的容易に形成できるスリット部15の形成範囲を比較的広くすることで、効果的に、火炉壁1の剛性を小さくすることができる。
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る火炉壁の補修方法は、
火炉壁(1)の補修方法であって、
前記火炉壁を構成する複数の火炉壁管(2)のうち少なくとも1本の補修対象管(2A)の管交換範囲(6)、及び、前記補修対象管に接続されたフィン部(4)のうち前記管交換範囲よりも広いフィン切除領域(例えば上述の隙間14に対応するフィン切除部8)を切除する切除ステップ(例えば上述のステップS110)と、
前記補修対象管のうち前記複数の火炉壁管の長手方向において前記フィン切除領域の延在範囲に含まれる部位(例えば上述の切除端部13)の外形の形状が、前記補修対象管の軸方向に直交する断面にて円形になるように前記補修対象管を加工するステップ(例えば上述のステップS130)と、
前記フィン切除領域に開口するように前記フィン部にスリット部(15)を形成するステップ(例えば上述のステップS120)と、
前記スリット部の形成後、前記補修対象管の切除端(12)と新管(17)の端部(18)とを向き合わせた状態で、前記補修対象管の位置を調整するステップ(例えば上述のステップS140又はS150)と、
前記位置を調整後の前記補修対象管と前記新管とを溶接で接続するステップ(例えば上述のステップS160)と、
を備える。
上記(1)の方法では、外形が円形に加工された補修対象管の切除端部に隣接する上述のフィン切除領域に開口するようにフィン部にスリット部が形成されるので、スリット部の幅はフィン切除領域の幅に比べて狭い。このため、スリット部の加工は、フィン切除領域の加工に比べて容易である。そして、上述のスリット部を形成することにより、スリット部を形成しない場合に比べて火炉壁の剛性を小さくすることができ、これにより補修対象管の切除端部を曲げやすくなる。すなわち、上記(1)の方法によれば、簡易な方法で火炉壁の剛性を小さくして、補修対象管の切除端と新管の端部とを向き合わせた状態で、補修対象管の位置を調整しやすくなる。例えば、位置合わせ治具等による補修対象管と新管との位置合わせを容易に行うことができる。また、このように補修対象管の位置を調整することで、補修対象管と新管とを適切に溶接で接続することができる。したがって、火炉壁の補修を効率的に行うことができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、
前記スリット部の幅(WS)は、前記複数の火炉壁管のうち隣り合う火炉壁管同士の距離(WF)の80%以下である。
上記(2)の方法によれば、フィン切除領域に開口するスリット部の幅は火炉壁管同士の距離の80%以下であるから、外形が円形に加工された補修対象管の切除端部に隣接する上述のフィン切除領域の幅よりも狭い。よって、比較的簡易な作業でスリット部を形成して火炉壁の剛性を小さくすることができ、これにより補修対象管の位置調整をしやすくすることができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、
切削工具又は研削工具により前記フィン部に切込みを入れることで前記スリット部を形成する。
上記(3)の方法によれば、切削工具又は研削工具によりフィン部に切込みを入れるという比較的簡易な作業でスリット部を形成することができる。よって、比較的簡易な作業でスリット部を形成して火炉壁の剛性を小さくすることができ、これにより補修対象管の位置調整をしやすくすることができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの方法において、
前記補修方法は、
前記位置を調整するステップでは、前記スリット部に楔(90)を挿入して前記補修対象管と該補修対象管の隣に位置する火炉壁管との間隔を調整する。
上記(4)の方法によれば、スリット部に楔を挿入することで補修対象管と該補修対象管の隣の火炉壁管との間隔を効果的に調整することができる。これにより、例えば、補修対象管と該補修対象管の隣の火炉壁管との間に形成される空間を利用して、火炉壁の補修をするために用いる装置を、火炉壁管と干渉しないように適切に設置することができる。したがって、火炉壁の補修を効率的に行うことができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの方法において、
前記補修方法は、
前記スリット部を形成するステップの前における、前記補修対象管の変形に応じて、前記フィン部の幅方向における前記スリット部の形成位置を決定するステップを備える。
上記(5)の方法によれば、補修対象管の変形に応じてフィン部の幅方向におけるスリット部の形成位置を決定するようにしたので、適切に決定された形成位置にスリット部を形成することで火炉壁の所望の部位の剛性を効果的に小さくすることができる。これにより、補修対象管の位置をより調整しやすくなる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の方法において、
前記補修対象管の両隣に配置される2本の火炉壁管のうち第1管(101)側に前記補修対象管が近づくように変形している場合、前記第1管と前記補修対象管とを連結する前記フィン部(106)の幅方向における中央よりも前記補修対象管寄りに前記スリット部を形成する。
上記(6)の方法によれば、補修対象管が、該補修対象管の隣に位置する第1管側に近づくように変形しているとき、第1管側にて補修対象管に隣接するフィン部において、該補修対象管に近い位置にスリット部を形成するようにしたので、火炉壁の剛性を効果的に小さくすることができる。これにより、補修対象管の位置をより調整しやすくなる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの方法において、
前記補修方法は、
前記スリット部を形成するステップの前における、前記補修対象管の変形量に応じて、前記フィン部の幅方向における前記スリット部の幅を決定するステップを備える。
上記(7)の方法によれば、補修対象管の変形量に応じてフィン部に形成するスリット部の幅を決定するようにしたので、このように決定された幅のスリット部を形成することで火炉壁の剛性を効果的に小さくすることができる。これにより、補修対象管の位置をより調整しやすくなる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかの方法において、
前記補修方法は、
前記接続するステップの後、前記スリット部を溶接で塞ぐステップ(例えば上述のステップS180)を備える。
上記(8)の方法によれば、上記(1)で述べたように、フィン部に設けるスリット部は比較的幅が狭いので、スリット部を利用して補修対象管の位置合わせをし、該補修対象管に新管を溶接した後、該スリット部を溶接で容易に塞ぐことができる。よって、火炉壁の補修を効率的に行うことができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかの方法において、
前記補修方法は、
前記接続するステップの後、前記補修対象管と前記新管を接続する溶接部の欠陥の有無を検査するステップ(例えば上述のステップS170)と、
前記検査するステップの後、前記フィン切除領域を塞ぐステップ(例えば上述のステップS180)と、
を備える。
上記(9)の方法によれば、フィン切除領域を塞ぐ前に補修対象管と新管を接続する溶接部の欠陥の検査をする。すなわち、フィン切除領域を利用して溶接部の検査をすることができるので、例えば、作業者が火炉壁の両側のうち一方側(例えば炉外側)の空間にいながら、溶接部のうち火炉壁の前記一方側(例えば炉外側)の部分及び他方側(例えば炉内側)の部分の検査を容易に行うことができる。このため、溶接部の検査に要する時間やコストを低減することができ、したがって火炉壁の補修を効率的に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。