JP6698422B2 - ヘマトクリット値測定装置および方法 - Google Patents

ヘマトクリット値測定装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、血管を流れる血液中の赤血球の体積割合をヘマトクリット値として測定するヘマトクリット値測定装置および方法に関する。
従来より、生体情報を検知するための装置としてウェアラブルセンサシステムが用いられている。このウェアラブルセンサシステムでは、様々なセンサをシャツや手首、上腕部などに装着して、時々刻々変化する生体情報をモニタリングできる。
図15にウェアラブルセンサシステムの一例を示す。このウェアラブルセンサシステム100は、手首に血流センサ101、衣類に電極を備える心電位センサ102、耳にヘマトクリット値センサ103を備えている。ヘマトクリット値センサ103は、血管を流れる血液中の赤血球の体積割合をヘマトクリット値として検出する。
ヘマトクリット値センサ103で検出されるヘマトクリット値でわかる有害事象として、日常生活では、熱中症による脱水症状(暑熱環境下における人の脱水症状)がもたらすヘマトクリット値の上昇、腎疾患による貧血がもたらすヘマトクリット値の低下が挙げられる。また、体外循環装置である人工透析装置では、除水による血圧低下によるヘマトクリット値の低下や、人工心臓では、血液抗凝固剤による出血によるヘマトクリット値の上昇が知られている。
このようなヘマトクリット値の測定には、通常では、ミクロヘマトクリット遠心分離法、血液ガス分析装置等を用いることが一般である。この一般的な方法では、検査に採血を伴うため、連続的な測定(モニタリング)が困難である。このような課題に対して、近赤外光を使って採血せずに血液状態を把握するセンサ技術が知られている。この近赤外光を使ったセンサ技術は、臨床上重要な知見を与えうるモニタリングに有効であり、水の吸光度がヘモグロビンの吸光度に比べ大きい波長、ヘモグロビンの吸光度が水の吸光度に比べ大きい波長の2つの波長を利用して推定する方法が利用される。
例えば、図16に示すように、透析チューブ201に対する非観血ヘマトクリット測定として、2つの近赤外発光ダイオード(LED)202,203(光源)の異なる波長810nm、1300nmの散乱光をフォトダイオード204,205(光検出器)で検出して、赤血球と血漿の等吸収点からの差分により、血液206中のヘマトクリット値を推定する方法がある(例えば、非特許文献1参照)。ダイオード202,203やフォトダイオード204,205には、波長域に応じて、シリコン、GaAlAsやInGaAsP等の材料が用いられる。本方式では光が伝搬する光路長の定義がチューブの物理サイズから可能であることから、2点での計測結果から、所定の比例係数により、拡散反射光量とヘマトクリット値の関係式を求めることができる。
一方、生体組織への適用では、脈動による動脈の膨張(拡張)・収縮を利用して、所定の光波長における拡散透過光強度の平均値と山・谷の比を計測して、生体組織に関する信号を除外して動脈血と相間のある信号を計測することと、光が伝搬する光路長を正規化するために、異なる2波長の拡散透過光強度の比を取った上で、統計的に求めた所定の係数と拡散反射光強度比によって構成される多項式でヘマトクリット値を推定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に示された方法では、組織水分量の変動が課題であり、生体組織に含まれている水分量の比率(組織水分比率)の変動の影響によって、測定されるヘマトクリット値の精度が低下する。このことから、前述の2波長に加えて、多波長で水分比率の差異に対応するヘマトクリット値を推定する手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、皮膚温による水吸収特性がもたらす測定誤差を低減するために、皮膚の温度を制御してヘマトクリット値を推定する手法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
特表平09−508291号公報 特表2004−523320号公報 特表2003−533261号公報
江國翔太、山海嘉之、"キャリブレーションを必要としない光学的手法による非侵襲・連続的ヘマトクリット計測"、IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems、Vol.135, No.4, pp.387-395.
しかしながら、従来の生体組織に対するヘマトクリット値測定装置では、ヘマトクリット値や組織水分比率に対しても、光吸収と光散乱は依存することが知られており、特に光散乱は波長に依存するため、異なる2波長の比を取っても、組織水分量や光散乱による誤差を完全には除外することができず、ヘマトクリット値の測定精度を高めることが困難であるという課題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ヘマトクリット値の測定精度をさらに高めることが可能なヘマトクリット値測定装置および方法を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、血管(301)を流れる血液中の赤血球の体積割合をヘマトクリット値として測定するヘマトクリット値測定装置(10)において、血管(301)を含む生体組織(303)に対して第1の波長(λA)の光を照射する第1の光源(1−1)と、血管(301)を含む生体組織(303)に対して第1の波長(λA)とは異なる第2の波長(λB)の光を照射する第2の光源(1−2)と、生体組織(303)内を拡散伝搬して外部へ出射される第1の波長(λA)の光および第2の波長(λB)の光の光量を拡散反射光量として検出する光検出器(2)とを備え、第1の波長(λA)の光および第2の波長(λB)の光のうち1つは、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光であることを特徴とする。
本発明では、第1の光源(1−1)から血管(301)を含む生体組織(303)に対して第1の波長(λA)の光を照射し、第2の光源(1−2)から血管(301)を含む生体組織(303)に対して第2の波長(λB)の光を照射する。この照射される第1の波長(λA)の光と第2の波長(λB)の光とは波長が異なっている。また、第1の波長(λA)の光および第2の波長(λB)の光のうち1つは、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光とされている。例えば、第1の波長(λA)の光をヘモグロビンに主要な吸収を呈する波長の光とし、第2の波長(λB)の光をヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光とする。なお、本発明において、ヘモグロビンの光吸収係数をμaHb、水の光吸収係数をμawとした場合、等しい光吸収係数とはμaHb≒μawのことを意味する。また、ヘモグロビンの光吸収係数を等価光吸収係数γμaHb、水の光吸収係数を等価光吸収係数ημawとした場合、γμaHb≒ημawのことを意味する。
本発明では、第1の波長(λA)の光および第2の波長(λB)の光のうち1つをヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光とするので、このヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光の拡散反射光量の変動から生体組織(303)に含まれている水分量の比率を組織水分比率として算出し、この算出した組織水分比率を用いて他方の波長の光の拡散反射光量の変動から算出されるヘマトクリット値を補正するようにして、生体組織(303)に含まれる水分量の影響を排除した真のヘマトクリット値を推定するようにし、ヘマトクリット値の測定精度をさらに高めることが可能となる。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
以上説明したように、本発明によれば、第1の波長の光および第2の波長の光のうち1つをヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長とすることにより、光ヘマトクリット値の測定精度をさらに高めることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係るヘマトクリット値測定装置の要部の構成を示す図である。 図2は、光源から皮膚に対して光(近赤外光)を照射した状態を示す図である。 図3は、拍動による血管の拡張・収縮時の血球の光吸収変化および血中の水の光吸収変化を示す図である。 図4は、ヘモグロビン(Hb)と水(water)の光級数係数の波長依存性(分光スペクトル)を示す図である。 図5は、生体組織中の光路を模式的に示す図である。 図6は、生体組織中の光路を模式的に示す図である。 図7は、波長800nmの場合のヘマトクリット値Hおよび組織水分比率Fwに対する拡散反射光量差ΔRdの検出位置依存性を示す図である。 図8は、波長1000nmの場合のヘマトクリット値Hおよび組織水分比率Fwに対する拡散反射光量差ΔRdの検出位置依存性を示す図である。 図9は、波長800nmの検出位置3mmにおけるヘマトクリット値Hに対する拡散反射光量差ΔRdを示す図である。 図10は、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の選択を説明するための図である。 図11は、波長1400nmの場合のヘマトクリット値Hおよび組織水分比率Fwに対する拡散反射光量差ΔRdの検出位置依存性を示す図である。 図12は、λ=1200〜1300nm近傍における等価光吸収係数の波長依存性を模式的に表した図である。 図13は、波長1300nmの場合のヘマトクリット値Hおよび組織水分比率Fwに対する拡散反射光量差ΔRdの検出位置依存性を示す図である。 図14は、波長1300nm近傍の検出位置3mmにおけるFwに対する拡散反射光量差ΔRdを示す図である。 図15は、ウェアラブルセンサシステムの一例を示す図である。 図16は、透析チューブに対する非観血ヘマトクリット測定を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るヘマトクリット値測定装置の要部の構成を示す図である。このヘマトクリット値測定装置10は、血管301を含む生体組織303に対して皮膚302側から第1の波長λAの光(近赤外光)を照射する第1の光源1(1−1)と、血管301を含む生体組織303に対して皮膚302側から第1の波長λAとは異なる第2の波長λBの光(近赤外光)を照射する第2の光源1(1−2)と、生体組織303内を拡散伝搬して外部へ出射される第1の波長λAの光および第2の波長λBの光の光量を拡散反射光量として検出する光検出器2と、ヘマトクリット値算出処理部3とを備えている。
このヘマトクリット値測定装置10において、第1の波長λAの光はヘモグロビンに主要な吸収を呈する波長の光とされ、第2の波長λBの光はヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光とされている。また、ヘマトクリット値算出処理部3は、第1の拡散反射光量変動観測部31と、第2の拡散反射光量変動観測部32と、ヘマトクリット値算出部33と、組織水分比率算出部34と、ヘマトリック値推定部35とを備えおり、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
第1の拡散反射光量変動観測部31は、血管301の拡張時と伸縮時の第1の波長λAの光の拡散反射光量の変動ΔRd(λA)を観測し、第2の拡散反射光量変動観測部32は、血管301の拡張時と伸縮時の第2の波長λBの光の拡散反射光量の変動ΔRd(λB)を観測する。拡散反射光量の変動ΔRdについては後述する。
ヘマトクリット値算出部33は、第1の拡散反射光量変動観測部31によって観測された第1の波長λAの光の拡散反射光量の変動ΔRd(λA)より血管301を流れる血液のヘマトクリット値Hを算出する。組織水分比率算出部34は、第2の拡散反射光量変動観測部32によって観測された第2の波長λBの光の拡散反射光量の変動ΔRd(λB)より生体組織303に含まれている水分量の比率を組織水分比率Fwとして算出する。ヘマトリック値推定部35は、ヘマトクリット値算出部33によって算出されたヘマトクリット値Hを組織水分比率算出部34によって算出された組織水分比率Fwを用いて補正することによって生体組織303に含まれる水分量の影響を排除した真のヘマトクリット値Hctを推定する。
以下、このヘマトクリット値測定装置10の構成に至るまでの経緯について説明する。
ヘマトクリット値Hの測定に際しては、図2に示すように光源1から皮膚302に対して光(近赤外光)を照射して、生体組織303内を拡散伝搬して皮膚302の外部へ出射される光の光量を拡散反射光量として光検出器2で検出する。
血管の収縮と拡張に応じた血液成分計測はパルスオキシメータでの酸化・還元ヘモグロビン測定で良く知られている。本実施の形態のヘマトクリット値測定装置10でも、拍動による血管の拡張・収縮時の光吸収変化(図3参照)を利用する。図3において、Iは血球の光吸収変化を示し、IIは血中の水の光吸収変化を示す。
拡張・収縮時の拡散反射光量Icmp,Iexpは、媒質の光吸収係数μと光路長lから、ダランベール則に則り、次式で表すことができる。
ここで,I0は入射した光量、μabは血液の光吸収係数、μatは組織の光吸収係数、lbcは光源1と光検出器2との間の血液中の平均光路長、ltcは光源1と光検出器2との間の組織中の平均光路長である。
図4に分光スペクトルを示すように、血管中の血液の光吸収は、酸化・還元ヘモグロビンが支配的な吸収を示す700〜1000[nm]の範囲ではヘマトクリット値に比例する。皮膚内の水分や血液中の血漿による光吸収は、組織水分量や血球成分による水体積排除に比例する。以上から、ヘモグロビンおよび水の光吸収係数をμaHb,μawとすると、光吸収係数μaHb,μawは次式で表すことができる。
ここで、Hはヘマトクリット値,Fwは組織水分比率,βはタンパク質等による光学定数への影響を示す比例乗数,γ、ηは血液中ヘマトクリット値による光学定数への影響を示す比例乗数である。これらの定数は実際には、個人差,計測部位による変動の影響が大きく、絶対測定誤差を生じることが想定される。
次に,拍動による血管の拡張時と収縮時の波長λにおける拡散反射光量の変動ΔRdを求めることで生体組織303における背景吸収等を省略することができる。図5に模式的に示すように、光路長の一部Δlbにおいて光吸収係数の変調が生じて、拡散反射光量が振幅変調される。実際にはΔlbは生体内散乱により一意に定めることができない。Δlbの等価的な光路長をΔldとすると、拡散反射光量の変動ΔRdは次式で表すことができる。
次に、酸素飽和度の影響が小さい波長800nm(λ1)近傍におけるΔRdを求めると、μaHb>>μawを仮定することにより,式(5)を単純化して、下記の式(6)とすることができる。
ここで、Δld1は検出位置dにおける等価的な光路長である。式(6)からヘマトクリット値Hは、下記(7)式として表すことができる。
また、検出位置dに対して、近傍の△d離れた位置でのΔRdとの差から、ヘマトクリット値H下記(8)式としても表すことができる。
式(7)に基づいて、HとΔRdの関係をモンテカルロ計算から求める。算定モデル式妥当性の調査には、モンテカルロ法による光散乱シミュレーションを用いた。複数の層で構成される組織に対する光の伝播(境界反射・拡散反射・吸収・透過)を再現することが可能である。拍動による血液層の拡張・収縮は、血液層の厚さを変化させて表現した。ヘマトクリット値Hと組織水分比率Fwを変動させたときのヘマトクリット値を推定する。例えば、ヘマトクリット値H=(0.2,0.4,0.6)、組織水分比率Fw=(0.4,0.6,0.8)というように変動させてヘマトクリット値を推定する。
図6に示すように、光の入射位置をX=0mmとして、検出位置dに対して層上に構成された生体組織303内部を散乱して光検出器2に到達した光の拡散反射光量を求める。生体組織303には分光より求められた光吸収係数、光散乱係数を用いた。波長800nmにおいて、異なるH,Fwに対して異なる検出位置dの拡散反射光量差(拡散反射光量の変動)ΔRdを図示したのが、図7である。異なるHに対して、略直線の傾きは、γμaHbにも依存し、拡散反射光量差ΔRdが距離に従い減少しているが、組織水分比率Fwに対しては傾きの影響が小さいことがわかる。
次に、波長1000nm(λ2)近傍におけるΔRdを求めると、μaHb>μawであるが,水の吸収係数を無視できないため,式(5)を次式で表せる。
同様に、波長1000nmにおいて、異なるH,Fwに対して異なる検出位置の拡散反射光量差ΔRd計算したのが、図8である。異なるHに対して、略直線の傾きは、γμaHbとμawの両方に依存し、拡散反射光量差ΔRdが減少し、組織水分比率Fwに対しても傾きの影響が生じていることがわかる。従って、組織水分の変化量が影響する可能性がある。
図9に、波長800nmの場合の検出位置(3mm)におけるヘマトクリット値Hに対する拡散反射光量差ΔRdを示す図である。図7では明確ではなかったが、組織水分比率Fwを0.4〜0.8まで変化させた場合には、無視できない程度の拡散反射光量差ΔRdが変化して、Hの測定誤差が生じる。必ずしも組織水分比率Fwの影響を無視できないため、Fwの補正が必要である。
Fwの補正においては、μaHb<<μawとなる波長を選択する方法が知られている。図10に分光データを示すが、ヘモグロビンの吸収係数μaHbを無視できる波長1400nm(λ4)を用いて,式(5)を次式で表せる。
波長1400nmにおいて、異なるH,Fwに対して異なる検出位置の拡散反射光量差ΔRdを計算したのが、図11である。式(10)からも分かるように、組織水分比率Fwに大きく依存するが、Hにも依存するため、Fwの推定量にも誤差が生じうる。また、Δld1と比較して、Δld4は、吸収係数、散乱係数の媒質の差異から、大きく異なることが明らかであり、波長800nmにおけるFwの影響を排除するような補正を行うためには不適切である。
そこで、本実施の形態では、波長1400nmよりも波長が短くγμaHb≒ημawとなる波長λ3を選択することにより、Fwをより精度よく推定するようにする。この場合、式(5)は、γHμaHb≒ηHμawとなることから、次のように表せる。
なお、この場合、実際のヘモグロビンの光吸収係数はμaHbであるが、比例定数ηを乗じた光吸収係数μaHb(等価光吸収係数γμaHb)をヘモグロビンの光吸収係数として扱う。また、実際の水の光吸収係数はμawであるが、比例定数ηを乗じた光吸収係数μaw(等価光吸収係数ημaw)を水の光吸収係数として扱う。
このような2波長(λ1,λ3)を選択することで、光散乱の差を小さく、伝播距離Δldの差を小さくすることができる。本実施の形態では、800nmの波長λ1の第1の波長λAとして用い、λ=1200〜1300nm近傍における、光吸収係数γμaHb≒ημawとなる波長λ3を第2の波長λBとして用いる。
次に、波長選択方法について説明する。図12は、λ=1200〜1300nm近傍における等価光吸収係数の波長依存性を模式的に表した図である。図4からも分かるように、波長が大きくなるに従ってヘモグロビンの光吸収係数γμaHbは減少する一方、水の光吸収係数ημawは増加する傾向を示す。ここで波長を掃引しながら、観測した拡散反射光量差ΔRdの極大値となる波長を求めることで、(5)式における(1−ηH−Fw−β)μawとγHμaHbの大よその等価光吸収波長λe1を求めることができる。図12に示す通り、光吸収係数γμaHb≒ημawとなる波長はその等価光吸収波長λe1よりも長波長であると考えられる。または、γ=ηとして、μaHb≒μawとなる波長λe2を吸収係数μaHb,μawに関する分光データより実験的に求めても良い。
実験的に求めた波長1300nm近傍において、異なるH,Fwに対して異なる検出位置の拡散反射光量差ΔRd計算したのが、図13である。Fwに大きく依存するが、Hにも依存するため、Fwの推定量の精度を上げることができる。図14に示したのが、検出位置(3mm)におけるFwに対する拡散反射光量差ΔRdを示す図である。図13では明確ではなかったが、Hを0.2〜0.6まで変化させた場合でも、拡散反射光量差ΔRdの変化は無視できる。
波長1300nm(λ3)の光を用いた場合において、すなわち第2の波長λBの光として波長1300nmの光を用いた場合において、β、μaw(λ3)、Δld3と計測したΔRd(λ3,d)からHの影響を排除して、次式からFwを推定できる。
以上から、波長800nm(λ1(λA)),波長1300nm(λ3)近傍の波長(λB)の光を用いた場合において、上記(12)式からFwを推定することにより、γ、μaHb(γ1)、Δld1と計測したΔRd(λ1,d)から、下記の(13)式によって、組織水分比率Fwの影響を排除した真のH(Hct)を推定できる。なお、(13)式において、αはFwのH換算係数である。
実際の測定では、事前に生体に疑似的な光散乱を生ずる標準試料や血液を用いて、図9、図14の検量カーブ(線形式)を求めた上で二つの波長でのΔRdを測定して、真のヘマトクリット値H(Hct)を推定する。より精度を高めるためには、測定開始時点において、採血による実測ヘマトクリット値H0によりパラメータ値の調整を行っても良い。
以上のように、本実施の形態は、ヘモグロビンに主要な吸収を呈する波長λAと、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数μaHb≒μaw(γμaHb≒ημaw)を呈する波長λBの二つの光を用いて、拡散反射光量ΔRdの変動を測定することにより、予め作成した検量カーブに基づき、組織水分比率Fwの影響を排除した真のヘマトクリット値H(Hct)を推定できる。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本実施の形態を説明したが、本実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態の構成や詳細には、本実施の形態の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1(1−1)…第1の光源、1(1−2)…第2の光源、2…光検出器、3…ヘマトクリット値算出処理部、10…ヘマトクリット値測定装置、31…第1の拡散反射光量変動観測部、32…第2の拡散反射光量変動観測部、33…ヘマトクリット値算出部、34…組織水分比率算出部、35…ヘマトリック値推定部、301…血管、302…皮膚、303…生体組織。

Claims (4)

  1. 血管を流れる血液中の赤血球の体積割合をヘマトクリット値として測定するヘマトクリット値測定装置において、
    前記血管を含む生体組織に対して第1の波長の光を照射する第1の光源と、
    前記血管を含む生体組織に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を照射する第2の光源と、
    前記生体組織内を拡散伝搬して外部へ出射される前記第1の波長の光および前記第2の波長の光の光量を拡散反射光量として検出する光検出器とを備え、
    前記第1の波長の光および前記第2の波長の光のうち1つは、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光であり、
    前記血管の拡張時と伸縮時の前記第1の波長の光の前記拡散反射光量の変動を観測する第1の拡散反射光量変動観測手段と、
    前記血管の拡張時と伸縮時の前記第2の波長の光の前記拡散反射光量の変動を観測する第2の拡散反射光量変動観測手段と、
    前記第1の拡散反射光量変動観測手段によって観測された前記第1の波長の光の拡散反射光量の変動より前記血管を流れる血液のヘマトクリット値を算出するヘマトクリット値算出手段と、
    前記第2の拡散反射光量変動観測手段によって観測された前記第2の波長の光の拡散反射光量の変動より前記生体組織に含まれている水分量の比率を組織水分比率として算出する組織水分比率算出手段と、
    前記ヘマトクリット値算出手段によって算出されたヘマトクリット値を前記組織水分比率算出手段によって算出された組織水分比率を用いて補正することによって前記生体組織に含まれる水分量の影響を排除した真のヘマトクリット値を推定するヘマトクリット値推定手段と
    を備える
    ことを特徴とするヘマトクリット値測定装置。
  2. 請求項1に記載されたヘマトクリット値測定装置において、
    前記第1の波長の光は、ヘモグロビンに主要な吸収を呈する波長の光であり、
    前記第2の波長の光は、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光である
    ことを特徴とするヘマトクリット値測定装置。
  3. ヘマトクリット値測定装置の作動方法であって、
    前記ヘマトクリット値測定装置は、第1の光源と、第2の光源と、光検出器と、第1の拡散反射光量変動観測部と、第2の拡散反射光量変動観測部と、ヘマトクリット値算出部と、組織水分比率算出部と、ヘマトクリット値推定部とからなり、
    前記第1の光源が、血管を含む生体組織に対して第1の波長の光を出射する第1ステップと、
    前記第2の光源が、血管を含む生体組織に対して前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射する第2ステップと、
    前記光検出器が、前記生体組織内を拡散伝搬して外部へ出射される前記第1の波長の光および前記第2の波長の光の光量を拡散反射光量として検出する第3ステップとを備え、
    前記第1の波長の光および前記第2の波長の光のうち1つは、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光であり、
    前記第1の拡散反射光量変動観測部が、前記血管の拡張時と伸縮時の前記第1の波長の光の前記拡散反射光量の変動を観測する第4ステップと、
    前記第2の拡散反射光量変動観測部が、前記血管の拡張時と伸縮時の前記第2の波長の光の前記拡散反射光量の変動を観測する第5ステップと、
    前記ヘマトクリット値算出部が、前記第4ステップによって観測された前記第1の波長の光の拡散反射光量の変動より前記血管を流れる血液のヘマトクリット値を算出する第6ステップと、
    前記組織水分比率算出部が、前記第5ステップによって観測された前記第2の波長の光の拡散反射光量の変動より前記生体組織に含まれている水分量の比率を組織水分比率として算出する第7ステップと、
    前記ヘマトクリット値推定部が、前記第6ステップによって算出されたヘマトクリット値を前記第7ステップによって算出された組織水分比率を用いて補正することによって前記生体組織に含まれる水分量の影響を排除した真のヘマトクリット値を推定する第8ステップと
    を備える
    ことを特徴とするヘマトクリット値測定装置の作動方法。
  4. 請求項3に記載されたヘマトクリット値測定装置の作動方法において、
    前記第1の波長の光は、ヘモグロビンに主要な吸収を呈する波長の光であり、
    前記第2の波長の光は、ヘモグロビンと水とで等しい光吸収係数を呈する波長の光であ

    ことを特徴とするヘマトクリット値測定装置の作動方法。
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