JP6276195B2 - 血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するための方法、集成装置、センサ、及びコンピュータ・プログラム製品 - Google Patents

血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するための方法、集成装置、センサ、及びコンピュータ・プログラム製品 Download PDF

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Description

本書の開示内容は、血液中のヘモグロビン濃度の非侵襲的測定、典型的には、被検体の総ヘモグロビン(THb)及びヘモグロビン画分(fractions) の非侵襲的測定に関するものである。本書の開示内容はまた、装置(これは、典型的には、パルス・オキシメータである)に関し、また該装置のためのセンサ及びコンピュータ・プログラム製品に関するものである。ヘモグロビン画分は、本書では、様々なヘモグロビン種(species) の濃度百分率を表す。
伝統的に、ヘモグロビンの測定は、被検体の血液の体外分析に基づいて行われている。コオキシメータ(co-oximeter) として知られている測定デバイスは、典型的には500nmと650nmとの間の幾つかの波長で溶血サンプルを通る分光透過量/吸収量を測定することによってヘモグロビン濃度を決定する。
コオキシメータに関連した主な欠点は、測定が侵襲性であること、すなわち、被検体から血液サンプルを採る必要があることである。また更に、コオキシメータはかなり高価な検査デバイスであり、また頻繁な点検保守を必要とする。
非侵襲的インビボ(in-vivo) ヘモグロビン測定を行うための1つの既知の手法は、いわゆる閉塞−解放(OR)測定手法であり、これは、患者の血流の人工的に誘起された変化に基づくものである。典型的なORに基づく測定デバイスは、患者の指に適用されるリング形状のカフを利用している。該デバイスは更に、収縮期血圧よりも大きい圧力を加えることによって指の血流の一時的な停止状態を生成し且つ該収縮期血圧よりも大きい圧力を解放することによって血流の遷移を生成するための加圧装置を備えている。血流の様々な状態の際に測定セッションを実施し、次いで様々な状態の際の血液吸収特性を分析して、ヘモグロビンのような血液成分の濃度を決定する。
また、血流の人工的に誘起された変化と、2つ以上の波長による光透過量/吸収量測定とを組み合わせることも知られている.これらの波長には、典型的には、ヘモグロビン及び水の濃度をそれぞれ決定するために、イソベティック(isobetic)波長(805nm)、及び水吸収率が大きい波長(1310nm又は1550nm)が含まれる。また、心拍動信号のみを使用して総ヘモグロビン濃度を測定するために、イソベティック波長805nm及び水吸収波長1250nmを使用することも知られている。一組の方程式及び全部で6つの波長を使用することにより、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン及びメトヘモグロビン画分を、総ヘモグロビン濃度と同時に求めることができる。
侵襲的手法と比較して、非侵襲的光学式ヘモグロビン又はヘマトクリット測定は、苦痛を伴う血液サンプルの採取及び感染の危険性を除くことを含む明瞭な利点がある。また更に、非侵襲的測定は実施するのがより簡単であり、且つ看護スタッフの訓練がより少なくて済む。
しかしながら、上記の非侵襲的手法には、以下に述べるように、幾つかの欠点もある。
第1に、血流の全て又は一部を停止させることに基づくデバイスは、光学式測定のために測定デバイスの光学部品及び空気圧部品の同期した動作を必要とするので、かなり複雑になる。
第2に、これらの測定を連続的に実施することができず、各測定のために或る特定の測定期間が必要である。典型的には、測定サイクルが手動で開始され、これにより、デバイスを、被検体/患者の症状に基づいてヘモグロビン測定の必要性が認識された後にスポット検査に適するようにする。その結果として、このような非侵襲的ヘモグロビン・メータは突然のヘモグロビン又は血液の喪失について警報を発するために使用することができない。
第3に、標準的なパルス・オキシメータに使用される通常の低コストのシリコン検出器は、それらの応答が約1100nmの波長で終わるので、可視領域及び近赤外領域で使用できるに過ぎない。従って、約1200〜1300nmの波長のような短波長赤外領域における水の吸収量の測定を可能にするために、より高価な検出器技術、例えば、InGaAs検出器を使用しなければならない。この要求は、この波長範囲のより高価な赤外エミッタと相まって、センサのコストを、シリコン技術のエミッタ及び検出器センサと比較して多数倍増大させる。
第4に、総ヘモグロビン濃度並びに(オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン及びメトヘモグロビン百分率を含む)全てのヘモグロビン画分の測定には、2つの検出器の使用を必要とする。と云うのは、1つの検出器では、同時測定のために必要とされる(約600nmから約1300nmまでの)全ての波長をカバーすることができないからである。典型的には、一酸化炭素ヘモグロビンが700nm以下の光のみを吸収するので、正確な一酸化炭素ヘモグロビン測定値を得るためには依然としてシリコン検出器が必要であり、この場合、標準的なInGaAs検出器を使用することができない。
また、装置の様々な波長におけるインビボ測定信号に及ぼす組織(tissue)の効果を示す理論的関係が形成されるヘモグロビン測定方法も知られている。ヘモグロビン濃度は理論的関係に基づいて決定することができるが、インビボ信号に及ぼすインビボ組織の効果が、インビボ測定を遂行する全ての波長について一貫していることを必要とする。この方法は、パラメータの1つとしてヘモグロビン濃度を含む組織モデルを使用すること、及び一貫性が得られるまで該モデル内のヘモグロビン濃度を調節することを必要とする。反復により最終的な結果を見つけ出そうとしているので、この方法は実際にはむしろ間接的な測定方法であり、その結果は依然として他の組織パラメータに左右されることがある。従って、上記の欠点を除去する直接的な仕組みを得ることが望ましい。また、血液中の総ヘモグロビン及びヘモグロビン画分の両方を計算するために同じ波長セットのセンサを使用して、簡潔で低コストの問題解決手法により非侵襲的に且つ連続的に血液組成の全体像を求めることができることも望ましい。
本書では上述した問題に対処し、それについては以下の説明から理解されよう。
費用対効果の高いやり方でヘモグロビン濃度の測定を可能にするために、ヘモグロビン画分を当該モデルの変数として含むモデルを介して総ヘモグロビン濃度を示す変数を定義する計算モデルを備えたデバイスが提供される。該モデルは、測定された吸収量が全吸収量における散乱の寄与分を含むように構成することができる。これらの特徴により、約1100nm以下の波長での(すなわち単一の低コストの検出器による)唯一組の測定信号を用いて、血液組成の全体像を求めることができる。
一実施形態では、血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するための方法が提供され、本方法は、計算モデルを設定する段階を有し、該計算モデルは、総ヘモグロビン濃度を示す第1の変数と、組織を通る光透過量を示す第2の変数及び様々なヘモグロビン種の濃度百分率を示す第3の変数を含む一組の変数との間の関係(relationship)を表す。本方法は更に、被検体からインビボ測定信号を取得する段階と、該インビボ測定信号に基づいて、前記第2及び第3の変数についてのインビボ値を決定する段階と、前記第2及び第3の変数のインビボ値並びに前記計算モデルに基づいて、前記第1の変数を求める段階とを有する。
別の実施形態では、血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するための装置又は集成装置が提供され、本装置は、総ヘモグロビン濃度を示す第1の変数と、組織を通る光透過量を示す第2の変数及び様々なヘモグロビン種の濃度百分率を示す第3の変数を含む一組の変数との間の関係を表す計算モデルを有する。本集成装置は更に、被検体から得られたインビボ測定信号に基づいて、前記第2及び第3の変数についてのインビボ値を決定するように構成された第1の計算ユニットと、前記第2及び第3の変数のインビボ値並びに前記計算モデルに基づいて、前記第1の変数を求めるように構成された第2の計算ユニットとを有する。
更に別の実施形態では、血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するためのコンピュータ・プログラム製品が提供され、本コンピュータ・プログラム製品は、計算モデルを受け取るように構成された第1のプログラム製品部分を有し、該計算モデルは、総ヘモグロビン濃度を示す第1の変数と、組織を通る光透過量を示す第2の変数及び様々なヘモグロビン種の濃度百分率を示す第3の変数を含む一組の変数との間の関係を表す。本コンピュータ・プログラム製品は更に、被検体から得られたインビボ測定信号に基づいて、前記第2及び第3の変数についてのインビボ値を決定するように構成された第2のプログラム製品部分と、前記第2及び第3の変数のインビボ値並びに前記計算モデルに基づいて、前記第1の変数を求めるように構成された第3のプログラム製品部分とを有する。
本発明の様々な他の特徴、目的及び利点は、以下の詳しい説明及び添付の図面から当業者には明らかになろう。
図1は、多波長パルス・オキシメータの一実施形態のブロック図である。 図2は、赤血球懸濁液中に見られるヘマトクリットと中間変数との間の経験的関係を例示する。 図3は、組織の実効減衰係数と中間変数との間の関係を例示する。 図4は、被検体のヘモグロビンの決定法の一実施形態を例示する流れ図である。 図5は、パルス・オキシメータの処理ユニット内の複数の演算エンティティの例を示す。 図6は、パルス・オキシメータ・システムの例を示す。
パルス・オキシメータは、コンピュータ制御の測定ユニットと、被検体(典型的には、被検体の指又は耳朶)に取り付けられるセンサ又はプローブとを有する。センサは、組織の中に光信号を送出する少なくとも1つの光源と、組織を透過した又は組織から反射された信号を受け取る少なくとも1つの光検出器とを含む。送出した信号及び受け取った信号に基づいて、組織による光吸収量を決定することができる。各心拍サイクル中に、組織による光吸収は周期的に変化する。拡張期には、吸収は、静脈血、非脈動動脈血、組織内の細胞及び流体、骨、並びに色素によって生じ、他方、収縮期には、パルス・オキシメータのセンサがその上に取り付けられている組織部分への動脈血の流入によって吸収の増加が生じる。パルス・オキシメータは、収縮期中のピーク吸収値と拡張期中の背景吸収値との間の差を決定することによって、この脈動動脈血部分の測定に焦点を合わせている。このように、パルス・オキシメータによる測定は、吸収の脈動成分が動脈血のみに起因するとの仮定に基づいている。
2つのヘモグロビン種、すなわち、オキシヘモグロビン(HbO2 )とデオキシヘモグロビン(RHb)とを区別するために、吸収の測定を2つの異なる波長で行わなければならない。すなわち、伝統的なパルス・オキシメータのセンサは、LED又はレーザのような2つの異なる光源を含んでいる。広く使用されている波長の値は、660nm(赤)及び940nm(赤外)である。これは、前記2つのヘモグロビン種がこれらの波長で実質的に異なる吸収を生じるからである。各光源は、典型的には数百ヘルツである周波数(繰返し数)で照射する。
図1は、多波長パルス・オキシメータの一実施形態のブロック図である。エミッタ・ユニット100から放出された光が、指102のような患者の組織の中へ入る。エミッタ・ユニットは、LEDのような光源101を多数含み、各光源は専用の波長を持つ。各波長は1つの測定チャンネルを形成し、そのチャンネルでフォトプレチスモグラフ波形データが取得される。本書に開示の装置の実施形態では、光源/波長の数は少なくとも3つ、典型的には、4〜10であり、また全ての波長は1ミクロン未満の範囲内に、すなわち、約1100nm以下にすることができる。すなわち、水の吸収は測定する必要がない。
組織の中を伝播した又は組織から反射された光は検出器ユニット103によって受け取られ、検出器ユニット103は、この例では1つの光検出器104を有する。エミッタ及び検出器ユニットは、パルス・オキシメータのセンサ113を形成する。
光検出器は、受け取った光信号を電気パルス列へ変換して、入力増幅器ユニット106へ供給する。これらの増幅された測定チャンネル信号は制御・処理ユニット107へ供給され、該制御・処理ユニット107は、各波形チャンネルについて信号をディジタル化されたフォーマットに変換する。
制御・処理ユニットは更に、複数の光源を交代して作動するようにエミッタ駆動ユニット108を制御する。前に述べたように、各光源は、典型的には、毎秒数百回の照射を行う。このように各光源が患者の心拍数と比べて高い繰返し数で照射することにより、制御・処理ユニットは患者の各心拍サイクルの間に各波長で多数のサンプルを得る。これらのサンプルの値は患者の心拍サイクルに従って変化し、この変化は動脈血によって引き起こされる。
各波長におけるディジタル化されたフォトプレチスモグラフ(PPG)信号データは、制御・処理ユニットのメモリ109に記憶し、その後で制御・処理ユニットの計算アルゴリズムによって更に処理することができる。
ヘモグロビン画分及び総ヘモグロビン(THb)のようなヘモグロビン特性の決定のために、制御・処理ユニットは、1つ以上の計算アルゴリズムを実行するように構成され、これらの計算アルゴリズムは制御・処理ユニットのメモリに記憶することができる。求められた濃度は、ユーザー・インターフェース116の表示ユニット114のスクリーン上に表示される。ユーザー・インターフェース116はまた、ユーザー入力デバイス115を含む。1つ又は複数の計算アルゴリズムは、被検体から得られたインビボ測定信号と(総ヘモグロビン(THb)濃度及びヘモグロビン画分のような)所望のヘモグロビン特性との間の(数学的)関係を表す計算モデル111を設定する。一実施形態では、1つ又は複数の計算アルゴリズムは、2つの論理的エンティティ、すなわち、測定されたデータを用いて中間変数をモデル化するモデル112aと、中間変数を総ヘモグロビンに関係付ける関係112bとを有することができる。モデル112aは、被検体からの測定可能なパラメータの関数として中間変数を定義する較正関数として作用する。更に別の実施形態では、関係112bは省略することができ、その場合、計算モデルは、測定された信号、ヘモグロビン画分及び他の組織パラメータを当該モデルの独立変数として用いて、総ヘモグロビンを直接モデル化する回帰モデルとすることができる。計算モデルのためのデータは、メモリに記憶して、その後に、以下に述べるように、パルス・オキシメータで使用することができる。パルス・オキシメータを実際に使用する前に行われる動作は、このような状況では、「オフライン」動作を呼ばれ、他方、実際のインビボ測定は「オンライン」動作と呼ばれる。
公知のように、いわゆるランベルト−ベール(Lambert-Beer)の法則は、光が物質によってどのように吸収されるかを表現している。ランベルト−ベールの法則によれば、入射光ビームの強度は、それが吸収性サンプルを通過するにつれて指数関数的に低下する。ここで、用語「機能的光透過率(FLT;functional light transmittance)」が、サンプルを通過した入射光の割合FLTi =I/I0 を表すために用いられ、この場合、I0 は入射光の強度であり、Iはサンプルを通過した光の強度であり、iは光の波長である。ランベルト−ベールの法則に従って、FLTi =I/I0 =exp(−αx)であり、ここで、αは実効減衰係数であり、またxは光路長である。
本書に開示の測定方法の一実施形態では、上記の中間パラメータが、光透過/吸収のDC成分を示す独立変数を用いるモデルを介して決定される。図2及び図3は、ヘモグロビン濃度の決定に関する方法の基本的段階を例示する。ヘモグロビン濃度の決定は、赤血球(RBC)懸濁液において経験的に検証された関係に基づいている(R.Graaffの論文「Tissue Optics Applied to Reflectance Pulse Oximetry 」、Groningen :University of Groningen 、1993年、188頁、ISBN90−9006681−0)。RBC懸濁液において、単一の赤血球の散乱は近隣の複数の赤血球の存在によって影響される。該論文では、懸濁液の単位体積あたりの等価散乱係数(reduced scattering coefficient)μs ’が、式μs ’=σs /Very ×Hct×(1−Hct)×(1.4−Hct)によって、ヘマトクリットHctの関数として記述されている。ここで、Hctはヘマトクリット、すなわち、赤血球の体積分率であり、σs は単一のRBCの等価散乱係数であり、またVery は単一のRBCの体積である。他方、RBC懸濁液における単位体積当りの吸収係数μa はヘマトクリットに正比例し、またμa =σa /Very ×Hctと書くことができ、ここで、σa は単一の赤血球の吸収係数である。従って、積μa ×μs ’は、次式
μa ×μs
=(σa ×σs /Very 2)×Hct×Hct×(1−Hct)×(1.4−Hct)
=Ccell×Hct×Hct×(1−Hct)×(1.4−Hct) :(式1)
によって表され、ここで、Ccellは1つの血球の吸収効率及び散乱効率を記述する。ヘマトクリットと積μa ×μs ’との間のこの関係が図2に表されている。ここで、積μa ×μs ’は上記の中間変数として用いられ、該中間変数を介してヘモグロビン濃度を決定することができる。中間変数は、それ自身内に血液に閉じ込められているヘモグロビンのスペクトル吸収のシグネチャーを有する第1部分(σa 又はμa )と、RBC懸濁液中の赤血球の密度を示す第2部分[Hct×Hct×(1−Hct)×(1.4−Hct)]とを持つ。これにより、測定された吸収量は、組織による全光減衰量の中の散乱の寄与分を考慮に入れている。
前に述べたように、厚さxの組織層を通る光透過量は、次式
I=I0 ×exp(−αx) :(式2)
によって記述され、ここで、I0 は入射光強度であり、またαは組織層についての実効減衰係数である。いわゆる拡散近似を用いて光輸送方程式を解くことによって、実効減衰係数
α2 =3×μa ×(μa +μs ’) :(式3)
が得られる。
赤血球懸濁液ではμa <<μs ’であるので、RBC懸濁液についての実効減衰係数は次式
α2 =3×μa ×μs ’ :(式4)
によって簡単に近似することができる。
実際の組織では、血液は支配的な吸収体であり、従って、インビボ組織の全吸収量に対する血液以外の組織の寄与分は低い。指のような実際の組織を通る透過量は、組織中の血液と、光源−検出器の線から外れて光ビームを散乱する媒体における減衰効果との和によって決定される。血液の無い組織の散乱効果は血液における散乱よりも小さく、また更に、血液の無い組織における吸収も非常に小さいので、実効減衰係数に対する組織による全寄与分は小さいままである。このような前提の下では、生体組織を通る透過量は血液の特性を良く反映しており、従って、
α2 =3×μa ×μs ’〜[log(I/I0 )]2 /x2
〜[log(I/I0 )]2 :(式5)
であり、ここで、μa は吸収係数であり、またμs ’は全血液中での散乱係数である。すなわち、組織層の実効減衰係数は、log(FLTi )、すなわち、組織を通った全光透過量の割合の対数に比例する。log(I/I0 )と中間変数μa ×μs ’との間のこの関係が、図3に例示されている。
測定方法の一実施形態では、先ず、式5を使用して、測定された光透過量と血液における実効減衰量との間の経験的関係が設定される。この関係は、中間変数μa ×μs ’を決定するために使用することができる。次いで、式1(図2)を用いることにより、中間変数に基づいてヘマトクリットを決定することができる。装置の較正は、計算を理想的な全血キュベット(cuvette) 環境へ伝達する変換(transformation)として作用し、該環境では中間変数と所望のヘモグロビン特性との間に関係が存在する。従って、装置に記憶されている較正データを用いることにより、インビボ信号/変数を理論的領域の変数に変換することができ、理論的領域内では、所望のヘモグロビン特性を前記変数から導き出すことができる。
図3に例示されている関係は、パルス・オキシメータ・センサにおいて使用される全ての波長λでの測定された組織透過率FLT(λ)=I(λ)/I0 (λ)を用いることによって設定することができる。一実施形態では、中間変数μa ×μs ’と実際の光透過率との関係は、回帰モデルの独立変数としてlog(FLT(λ))及び[log(FLT(λ))]2 を使用して線形回帰によって見つけることができる。従って、以前の理論に厳密に従う代わりに、上記の簡単な理論から偏差を明らかにするために、項log(FLT(λ))を回帰モデルにおいて保つことができる。中間変数μa ×μs ’が波長依存性であるので、変数μa ×μs ’について異なる推定値が得られることがある。各波長で得られた推定値は、或る特定の基準波長、好ましくは、オキシヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンのイソベティック波長(805nm)における変数μa ×μs ’に対応するように変換することができる。ヘモグロビン種の組成、すなわち、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン及びメトヘモグロビンが知られているとき、変換は、先ず、各波長における全μa がヘモグロビン種HbXj の吸収係数μa HbXiの重み付き和として決定されることを意味し、ここで、重みはヘモグロビン種の相対濃度である。すなわち、μa (λ)=HbO2×μa HbO2(λ)+RHb×μa RHb (λ)+HbMet×μa HbMet (λ)+HbCO×μa HbCO(λ)であり、ここで、HbO2、RHb、HbMet、及びHbCOは、それぞれ、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、及び一酸化炭素ヘモグロビンの濃度百分率である。
次いで、同じ全μa (λREF )が、基準波長λREF について決定される。基準波長の吸収量と他の波長の吸収量の各々との間の比が変換係数F(λ)を決定し、従って、μa (λREF )=F(λ)×μa (λ)。同様に、波長λにおける散乱効率は、赤血球が球であると近似し、その半径がaであり、屈折率がmであり、z=2×π×a/λであるとして、散乱係数
μs ’≒σs =3.28×π×a2 ×z0.37×(m−1)2.09=定数×λ-0.37
について、公知のミー(Mie )理論近似(R.Graaffの論文「Tissue Optics Applied to Reflectance Pulse Oximetry 」、Groningen :University of Groningen 、1993年、188頁、ISBN90−9006681−0)を用いることによって、基準波長λREF における散乱効率に対応するように変換することができる。この結果、第2の変換係数G(λ)=(λ/λREF 0.37が生じる。従って、μa ×μs ’についての全変換係数はF(λ)×G(λ)である。換言すると、基準波長λREF における変数μa ×μs ’は、F(λ)×G(λ)と波長λにおける変数μa ×μs ’とを乗算したものに等しい。
パルス・オキシメータを較正するために、血液サンプルが被検体から取り出され、次いでヘマトクリット値Hct及び濃度画分HbXj が決定されて、更に、図2の関係を用いて、基準波長における中間変数μa ×μs ’の値を決定するように使用される。
基準波長で中間変数について得られた上記の相異なる推定値μa (λREF )×μs ’(λREF )を使用して、例えば全ての異なる推定値を平均することによって、最終的な推定値 <μa ×μs ’> を形成することができる。この値は、同時に測定された光透過率、又は実際にはそれらの対数と関連付けられる。その結果、較正プロセスにより関係式
<μa ×μs ’> = f1 (log(FLT(λi )),[log(FLT(λi )]2 ,HbXj ,φi ); i=1・・・N :(式6)
が得られる。ここで、fは線形回帰によって得ることのできる較正関数であり、またFLTは光透過率であり、またHbXjはヘモグロビン画分を表し、またφi は、皮膚の色のような様々な組織の影響を補償するために必要とされる波長λにおける潜在的な他の独立パラメータを表す。
図4は、被検体の血液特性を得るための方法の一実施形態において実施される諸段階を例示する。先ず、段階41〜43においてパルス・オキシメータを較正するためにオフライン動作が実施される。段階41において、安定なHctレベルで採られた血液サンプルから広範囲のヘマトクリットHct値を決定することができ、また前に述べたようにして、中間変数について最終的な推定値を決定することができる。このようにして、段階41において、パルス・オキシメータについて、図2に従った関係が生成され、これにより、その後のインビボ測定において、得られた中間変数に基づいてヘマトクリット値を決定することができる。この関係は、段階41において、パルス・オキシメータのメモリに記憶される。
段階42において、較正関数fのために必要とされるパラメータ/変数(FLTi 、HbXj 、φi )を、ヘマトクリット値の上記範囲内において各安定なHctについて決定することができる。次いで段階43において、Hctの各レベルで該パラメータ/変数及び中間変数の最終的な推定値を用いて、パルス・オキシメータについての較正関数f(式6)を見つける。この較正関数はパルス・オキシメータのメモリに記憶される。このように、段階42及び43において、式6に従った較正関数が前に述べたように定められて、パルス・オキシメータに記憶される。較正関数は、既知の数学的方法を用いることによって従属変数(中間変数)をモデル化する回帰モデルとすることができる。
装置の較正を形成する段階41〜43は、典型的には、装置の製造段階で実施され、その後は、装置はヘモグロビン濃度の連続監視を何時でも行える状態になっている。
パルス・オキシメータが使用されるとき、被検体からインビボ測定信号を得るためにオンライン測定が遂行される。インビボ測定信号に基づいて、較正関数のパラメータ、すなわち、回帰モデルの独立変数が決定される(段階44)。前に述べたように、これらの独立変数は、ヘモグロビン画分HbXj を含むことができる。それらの画分は、(波長kにおける)インビボ測定差分吸収信号dAk invivo =(AC/DC)k をランベルト−ベール・モデルに従って対応する非散乱信号dAk LB に変換するように構成された変換(transformation)を用いることによって、決定することができる。典型的な変換利用のパルス・オキシメータでは、測定されたインビボ信号は、先ず、ランベルト−ベール・モデルに適用可能である信号へ変換され、次いでランベルト−ベール・モデルにおいて適用可能な線形集合の方程式を解いて、様々なヘモグロビン種の分画(fractional)濃度を求める。数学的には、変換利用のパルス・オキシメータの動作は、次式
dAi LB =g(dAk invivo ,Pk
のように表すことができ、ここで、dAi LB は波長iにおける仮想のランベルト−ベール・モデル信号であり、dAk invivo は波長k(k=1...M、ここで、Mは波長の数である)における測定されたインビボ信号であり、gは組織内での光子の光路長を統計的に記述する変換関数であり、またPk は被検体の組織の吸収及び散乱特性を示す1つ以上の組織属性変数を表す。ランベルト−ベール・モデルに従った差分吸収信号は、4つの異なるヘモグロビン種HbXj (デオキシヘモグロビン、オキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン、及びメトヘモグロビン)について且つ8つの波長について、次式のように書くことができる。
ここで、HbO2、RHb、HbMet、及びHbCOは、それぞれ、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、メトヘモグロビン、及び一酸化炭素ヘモグロビンの濃度であり、またεマトリクスは、8つの波長における4つの異なるヘモグロビン種の消散(extinction)係数についてのマトリクスであり、またcは定数である。4つよりも多数の波長があり、これによって4つよりも多数の測定信号があるが、依然として4つのみのヘモグロビン濃度が未知であるとき、濃度画分(fraction)は、例えば、最小二乗法で、求めなければならない。すなわち、
c×(HbXj )=(εij T εij-1(εij T )×(dAi LB )、
ここで、εij T は消散マトリクスεijの転置であり、i=1...M、及びj=1...4であり、この場合、M>4は波長の数である。最後に、定数cは、濃度画分の総和が100%になるように決定される。
次に段階45において、記憶されている較正関数と得られたパラメータに基づいて、 中間変数μa ×μs ’の推定値を決定することができる。最後に、段階46において、パルス・オキシメータに段階41で記憶された式1を用いて、ヘマトクリットを決定することができる。オプションとして、関係式THb=330g/1×Hct(ここで、Hctは得られたヘマトクリット値である)を用いて、測定されたヘマトクリット値に対応する総ヘモグロビン濃度を計算することができる。総ヘモグロビンが知られているとき、段階44において得られたヘモグロビン画分百分率は、これらの百分率と総ヘモグロビン値とから絶対画分値を導き出すことによって補完することができる。更に、絶対オキシヘモグロビン値に基づいて、動脈血中の酸素成分を決定することができる。
差分吸収信号dALB自身(式8)は、理想的な非散乱LB血液キュベットにおいて定められる中間変数の別の例である。これは第1部分ε×HbXj を持ち、該第1部分はそれ自身内にヘモグロビン吸収のシグネチャーを担持する。定数cは第2部分であり、これは、総ヘモグロビン濃度及び脈動血液体積に比例し、c=THb×dlであり、ここで、dlはLB血液キュベット内のパルス駆動(pulsed)光路長である。
上記の実施形態では、dALBについての回帰モデルが、測定された差分吸収値dAinvivo及び測定されたヘモグロビン画分HbXj を独立変数として保持することによって作成される。数学的に、この回帰モデルは、
dAi LB =f2 (dAk invivo ,HbXj ,Pk
と書くことができ、該式において、付加的なパラメータPk は交絡(confounding) 組織効果を表現し、またf2 は較正関数である(また、kは波長kを表す)。回帰モデルは正規化LB光路長に対して作成され、従って、信号dALBは総ヘモグロビンTHbを直接与えることができる。事実、この実施形態は、測定された信号、ヘモグロビン濃度画分及び可能な組織パラメータを当該モデルの独立変数として用いて、THbの直接回帰モデル
THb=f3 (dAk invivo ,HbXj ,Pk
に等価なものと見なすことができ、ここでf3 は較正関数である。
更なる組み合わせによる実施形態では、μa ×μs ’及びdAの両方を、総ヘモグロビンをモデル化する回帰モデル
THb=f4 (log(FLTk ),dAk invivo ,HbXj ,Pk
の独立変数として用いることができ、ここで、f4 は較正関数である。この実施形態では、独立変数は線形形式又は二次形式であってよく、また交差項も含むことができる。このように、組織の光透過を示すモデル変数として、組織を通った全光透過量の割合の対数を表す変数(log(FLT))と、組織を通った脈動(pulsating)光透過量を表す変数(dAinvivo)との両方を含むことができる。
オンライン計算プロセスに関して、制御・処理ユニット107の機能は、図5に示されているように、複数の演算ユニットに分割することができる。変数決定ユニット51が、測定されたインビボ信号に基づいて回帰モデル変数の値を決定するように構成される。ヘモグロビン画分が回帰モデル変数に従属しているので、このユニットはインビボ・ヘモグロビン画分を出力する。変換ユニット52は、インビボ領域から、中間変数が適用可能である血液キュベット領域への変換を実施するように構成される。このために、変換ユニットは、較正関数(すなわち、装置の作動の前に装置の第1のメモリ・ユニット53に記憶されていたモデル係数)を使用する。更に、計算ユニット54が、変換ユニットから出力された中間変数に基づいて最終的なヘモグロビン特性、ヘマトクリット又はTHbを計算するように構成される。このために、計算ユニットは、装置の作動の前に装置の第2のメモリ・ユニット55に記憶されていた関係を使用する。ここで、図5は、制御・処理ユニットの機能を、ヘモグロビン濃度の決定の観点から論理的機能に関して分割していることに留意されたい。実際の装置では、それらの機能は、装置又はシステムの複数の要素又はユニットの間に様々なやり方で分散させることができる。計算モデルは中間変数なしで構築することもできるので、上記の機能はまた、ユニット51が、ヘモグロビン画分を含むモデル変数のインビボ値を決定するように構成された第1の計算ユニットを形成すると共に、他のユニットが、前記変数を用いて、最終的なヘモグロビン特性、すなわち、ヘマトクリット及び場合により総ヘモグロビンをも求めるように構成された第2の計算ユニットを形成するように、全体的なレベルで分割することができる。
上述の問題解決手法は、総ヘモグロビン及びヘモグロビン画分の両方の測定を、低コストで高出力のシリコン・エミッタ、及び低コストのシリコン光検出器を含む単一のセンサ又は装置で可能にする。すなわち、短波長赤外領域で必須であるより高価な検出器技術が必要とされない。カバーされる波長範囲は、典型的には、600〜1000nmであり、これはまた、血液中の水の量が直接測定されないことを意味する。
濃度測定は通常のSpO2 測定に依存しているので、必要とされる唯一の機器は、複数の(少なくとも3つの)波長を用いるパルス・オキシメータである。また更に、被検体の血液の流れを制御するための集成装置のような何らかの追加のハードウエアは必要とされない。当該測定はまた遂行するのが容易であり、且つ連続的に実施することができ、更に、複雑でないアルゴリズムが、低減した演算能力で、血液組成の全体像を得ることを可能にする。従って、当該測定及び装置は、病院、診療所、家庭などのような様々な場所でのヘモグロビン濃度の診断及び監視に適しており、その理由は、本問題解決手法が、血液組成の自動的で連続的な評価を、コスト効果の良いやり方で臨床設備及びセルフケアデバイスに導入するのを可能にするからである。
図1のパルス・オキシメータは、通常のSpO2 アルゴリズムに加えて、装置の製造段階でパルス・オキシメータのメモリに記憶させることのできる1つ又は複数のヘモグロビン計算アルゴリズムを含む。前に述べたように、この1つ又は複数の計算アルゴリズムは、所望のヘモグロビン特性(THb及び/又はHct)とインビボ信号/パラメータとの間の関係を記述する計算モデルを形成する。しかしながら、計算モデルの要素、すなわち、変数及び方程式は、必ずしも実際のパルス・オキシメータ内に又はその制御・処理ユニット内に記憶させる必要はなく、計算モデルのこれらの要素は、被検体に取り付けられたセンサ、実際のパルス・オキシメータのデバイス(すなわち、制御・処理ユニット)、及び/又は通信ネットワークの間に分散させることができることに留意されたい。従って、完全なパルス・オキシメータは、コンパクトな又は分散型デバイスとして具現化することができる。以下では、この点に関連して、複数の取り得るデバイス構成を表すために用語「集成装置」を用いる。図6は、集成装置の一例を示し、この例では、制御・処理ユニット107が、計算モデル又はそのコンポーネント(例えば、更新された係数など)を記憶するネットワーク構成要素62からネットワークを介して計算モデル又はそのコンポーネントをダウンロード/アップロードするためのネットワーク・インターフェース61を備えている。このことは、図に破線で示されている。1つ又は複数の計算アルゴリズム112又はそのコンポーネントはまた、図6に示されているように、センサ113内に記憶させることができる。制御・処理ユニットはまた、異なるセンサ種類について異なる計算アルゴリズムを保持することができる。センサは、該センサに使用することのできる計算アルゴリズムを識別する識別子を備えることができる。集成装置の一実施形態では、制御・処理ユニットは、通常のセンサ(2つの波長)、及び上述の計算アルゴリズムを用いる改良センサの両方に適合可能である。制御・処理ユニット107は、センサの種類を認識し且つモデル識別子を読み取るための認識モジュール63を備えることができる。認識モジュールは改良センサがそれに接続されたことを検出した場合、決定し表示すべき血液特性に従って、該センサ及び/又はネットワークからデータをダウンロードすることができる。デバイスのユーザーは、ユーザー・インターフェース116を介して表示すべきデータを選択することができる。
パルス・オキシメータはまた、被検体の血液中の物質の濃度を決定することのできるデバイスへアップグレードすることができる。このようなアップグレードは、デバイスに上記の諸段階を実施させることのできるソフトウエア・モジュールをパルス・オキシメータへ供給することによって、具現化することができる。ソフトウエア・モジュールは、コード又はメモリのようなデータ記憶媒体上で、或いは通信ネットワークを介して供給することができる。ソフトウエア・モジュールは、1つ又は複数の計算アルゴリズム又はそのコンポーネントを備えることができ、並びに/或いは1つ又は複数のアルゴリズム又はそのコンポーネント(例えば、回帰モデル係数など)を保持する外部メモリにアクセスするように構成された演算エンティティを備えることができる。ソフトウエア・モジュールは、3つの部分、すなわち、計算モデルを受け取るように構成された第1の部分と、被検体から得られたインビボ測定信号に基づいて、(ヘモグロビン画分のような)モデル変数についてのインビボ値を決定するように構成された第2の部分と、モデル変数のインビボ値及び計算モデルに基づいて、THb(又はヘマトクリット)を求めるように構成された第3の部分とを有することができる。
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が本発明を作成し使用できるようにするために、様々な例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない構造的要素又は演算要素を持つ場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素又は演算要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
101 光源
102 指
104 光検出器
111 計算モデル
116 ユーザー・インターフェース

Claims (16)

  1. 血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するための方法であって、
    計算モデルを設定する段階であって、該計算モデルが、総ヘモグロビン濃度を示す第1の変数と、組織を通る光透過量を示す第2の変数及びオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン及びメトヘモグロビンの濃度百分率を示す第3の変数を含む一組の変数との間の関係を表している、当該段階と、
    被検体からインビボ測定信号を取得する段階と、
    前記インビボ測定信号に基づいて、前記第2及び第3の変数についてのインビボ値を決定する段階と、
    前記第2及び第3の変数の前記インビボ値並びに前記計算モデルに基づいて前記第1の変数を求める段階と、
    を有する方法。
  2. 前記計算モデルを設定する前記段階において、前記計算モデルは、全血キュベット領域に適用可能な中間変数と前記第1の変数との間の第1の関係を含むと共に、前記中間変数と前記第2及び第3の変数との間の第2の関係を含んでいる、請求項1記載の方法。
  3. 前記計算モデルを設定する前記段階において、前記中間変数は、単位体積当りの吸収係数μa と単位体積当りの等価散乱係数μs ’との積を表している、請求項2記載の方法。
  4. 前記計算モデルを設定する前記段階において、前記第1の変数は総ヘモグロビン及びヘマトクリットの内の一方である、請求項1記載の方法。
  5. 前記計算モデルを設定する前記段階において、前記第2の変数は、前記組織を通る全光透過量を示す変数の対数を表している変数を含んでいる、請求項1記載の方法。
  6. 前記計算モデルを設定する前記段階において、前記第2の変数は、前記組織を通る脈動光透過量を示す変数を含んでいる、請求項1記載の方法。
  7. 前記取得する段階は、約1100nm以下の波長においてインビボ測定信号を取得する段階を含んでいる、請求項1記載の方法。
  8. 血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するための集成装置であって、
    総ヘモグロビン濃度を示す第1の変数と、組織を通る光透過量を示す第2の変数及びオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン及びメトヘモグロビンの濃度百分率を示す第3の変数を含む一組の変数との間の関係を表す計算モデルと、
    被検体から得られたインビボ測定信号に基づいて、前記第2及び第3の変数についてのインビボ値を決定するように構成された第1の計算ユニットと、
    前記第2及び第3の変数の前記インビボ値並びに前記計算モデルに基づいて前記第1の変数を求めるように構成された第2の計算ユニットと、
    を有する集成装置。
  9. 前記計算モデルは、全血キュベット領域に適用可能な中間変数と前記第1の変数との間の第1の関係を含むと共に、前記中間変数と前記第2及び第3の変数との間の第2の関係を含んでいる、請求項8記載の集成装置。
  10. 前記中間変数は、単位体積当りの吸収係数μa と単位体積当りの等価散乱係数μs ’との積を表している、請求項9記載の集成装置。
  11. 前記第1の変数は総ヘモグロビン及びヘマトクリットの内の一方である、請求項8記載の集成装置。
  12. 前記第2の変数は、前記組織を通る全光透過量を示す変数の対数を表している変数を含んでいる、請求項8記載の集成装置。
  13. 前記第2の変数は、前記組織を通る脈動光透過量を示す変数を含んでいる、請求項8記載の集成装置。
  14. 前記インビボ測定信号は、約1100nm以下の波長におけるインビボ測定信号である、請求項8記載の集成装置。
  15. 血液中のヘモグロビン濃度を決定することを意図した集成装置ための、被検体に取付け可能であるセンサであって、
    約1100nm以下の複数の測定波長で被検体の組織を通る輻射線を放出するように構成されたエミッタ・ユニットと、
    前記複数の波長の前記輻射線を受け取って、前記複数の測定波長に対応する複数のインビボ測定信号を生成するように構成された少なくとも1つの光検出器を有する検出器ユニットと、を有しており、
    ここで、当該センサは、ヘモグロビン濃度を決定するために用いるべき計算モデルを識別する識別子を記憶するメモリを有し、前記計算モデルが、総ヘモグロビン濃度を示す第1の変数と、組織を通る光透過量を示す第2の変数及びオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン及びメトヘモグロビンの濃度百分率を示す第3の変数を含む一組の変数との間の関係を表していること、
    を特徴とするセンサ。
  16. 血液中のヘモグロビン濃度を非侵襲的に測定するためのコンピュータ・プログラム製品であって、
    計算モデルを受け取るように構成された第1のプログラム製品部分であって、該計算モデルが、総ヘモグロビン濃度を示す第1の変数と、組織を通る光透過量を示す第2の変数及びオキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン及びメトヘモグロビンの濃度百分率を示す第3の変数を含む一組の変数との間の関係を表している、当該第1のプログラム製品部分と、
    被検体から得られたインビボ測定信号に基づいて、前記第2及び第3の変数についてのインビボ値を決定するように構成された第2のプログラム製品部分と、
    前記第2及び第3の変数の前記インビボ値並びに前記計算モデルに基づいて前記第1の変数を求めるように構成された第3のプログラム製品部分と、
    を有するコンピュータ・プログラム製品。
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