以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態に基づくセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置について説明する。なお、本実施形態においては、グルコースを特定成分とするCGMSとして構成されたシステムを用いたセンサ挿入方法、分析方法、およびこのセンサ挿入方法ならびに分析方法に用いられるセンサ挿入装置について説明するが、本発明に係るセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置はこのような用途に限定されない。本発明に係る分析方法としては、センサを体内に挿入することにより、特定成分の分析を行う方法であればよい。なお、分析は、連続的あるいは周期的に行ってもよい。また、センサ挿入装置としては、使用されるセンサに応じて、様々な構成を採用することができる。以下の実施形態においては、センサとして電気化学に基づく原理を利用した電気化学センサを用いた場合を例に説明するが、本発明におけるセンサは、電気化学センサ以外のセンサであってもよい。
図1〜図3は、本実施形態におけるユニット固定工程を示している。まず、図1に示すように、センサ挿入ユニット1、ユニットベース3および接合テープ31を用意する。センサ挿入ユニット1は、センサ10を内蔵しており、センサ10を使用者の挿入対象部位に挿入するためのユニットである。センサ10は、使用者の体内に挿入されることにより、連続的または周期的な分析を実現するためのものである。
センサ10の構成は特に限定されないが、本実施形態においては、人体への影響を回避可能なたとえばポリイミド樹脂からなる針状または極細帯状の基材を有するデバイスである。また、センサ10の前記基材には、電気化学の原理に基づいた分析を実現すべく、たとえば先端部分に分析電極(図示略)が形成されている。該分析電極は、たとえば前記基材上に形成された配線パターンの一部によって形成されている。前記配線パターンは、適宜選択された金属からなり、印刷やメッキなどの手法によって形成される。また、センサ10は、後述する電極パッド101を有する。電極パッド101は、後述するセンサ制御ユニット2と電気的に接続されるためのものであり、本実施形態においては、センサ10の根元側に形成されている。なお、本実施形態においては、センサ10は、1回のみのセンサ挿入および分析に用いられた後に廃却される、ディスポーザブルタイプとして構成されている。
センサ挿入ユニット1は、センサ10を挿入するための挿入部11を有している。挿入部11は、使用前の状態においてセンサ挿入ユニット1に内蔵されたセンサ10を適宜保持していてもよい。また、挿入部11は、使用者の任意の操作によって、センサ10を使用者の体内に挿入する機能を果たす。このような機能を実現するに、挿入部11には、センサ10を体内に挿入しうる推進力を付勢するための、たとえばばね(図示略)などの付勢手段が備えられる。また、挿入部11は、センサ10を体内に挿入した後に、センサ10をセンサ挿入ユニット1から離脱させる機能を有する。この離脱は、挟持などによるセンサ10の保持を解除することや、センサ10の一部を切断することなどによって実現され、挿入部11にはこれらの機能を達成する離脱手段が適宜備えられる。挿入部11は、たとえば操作部14を使用者が押下することにより、上述した挿入動作および離脱動作を行う。
センサ挿入ユニット1の形状および材質は特に限定されず、センサ10を体内に適切に挿入する機能を果たしうる構成であればよい。本実施形態においては、センサ挿入ユニット1は、全体として細長い角柱状とされている。また、センサ挿入ユニット1は、樹脂などからなる筐体や金属からなる剛性負担部位などを適宜有する。さらに、センサ挿入ユニット1は、使用者の便宜から、一体的に形成されたものであってもよいし、複数の部分に分離可能な構成であってもよい。また、本実施形態においては、センサ挿入ユニット1は、挿入対象部位の表面に対して斜めにセンサ10を挿入することが意図された形状とされている。
さらに、本実施形態においては、センサ挿入ユニット1は、係合部12を有している。係合部12は、ユニットベース3と係合するものであり、挿入対象部位に対してセンサ挿入ユニット1を固定するために用いられる。係合部12とユニットベース3との係合は、たとえば係合部12に形成された爪(図示略)をユニットベース3に形成された凹部または孔(いずれも図示略)に係合させることによって実現できるが、このような構成に限定されるものではない。本実施形態においては、センサ制御ユニット2が配置されることが意図された領域を挟んで2つの係合部12が設けられている。なお、本実施形態においては、センサ挿入ユニット1は、使い捨てではなく、複数回のセンサ挿入に繰り返し用いられることが意図されている。
ユニットベース3は、センサ挿入ユニット1を使用者の挿入対象部位に固定するために用いられる。また、本実施形態においてはさらに、ユニットベース3は、センサ制御ユニット2を挿入対象部位に固定するために用いられる。すなわち、かかる構成のユニットベース3が用いられた場合、センサ挿入ユニット1とセンサ制御ユニット2とは、ユニットベース3を介して互いの相対位置が規制される構成であるといえる。
ユニットベース3は、挿入対象部位に接合されるものであり、本実施形態においては、接合テープ31によって接合される。接合テープ31は、ユニットベース3を前記挿入対象部位に接合させる手段の一例であり、センサ挿入ユニット1およびセンサ制御ユニット2が固定されたユニットベース3を挿入対象部位に対して適切に固定しうる接合力を発揮可能な構成であればよい。また、ユニットベース3を前記挿入対象部位に接合する手段は、接合テープ31に限定されず、たとえばユニットベース3の裏面に塗布された接着剤であってもよい。さらに、本実施形態のセンサ挿入方法および分析方法を実現するための好ましい構成としてユニットベース3を用いる構成が採用されているが、本発明に係るセンサ挿入方法および分析方法はこれに限定されず、たとえばユニットベース3を用いることなくセンサ挿入ユニット1やセンサ制御ユニット2を前記挿入対象部位に固定する構成であってもよい。なお、本実施形態においては、ユニットベース3は、1回のみのセンサ挿入および分析に用いられた後に廃却される、ディスポーザブルタイプとして構成されている。
図1に示すように、センサ挿入ユニット1の係合部12をユニットベース3に係合させることにより、センサ挿入ユニット1とユニットベース3とを固定する。また、この固定に前後して、ユニットベース3に接合テープ31を貼付しておく。
次いで、図2に示すように、ユニットベース3に対してセンサ制御ユニット2を取り付ける。センサ制御ユニット2の取り付けは、たとえばユニットベース3に形成された溝または凹部(いずれも図示略)にセンサ制御ユニット2の一部を係合させることによって行う。本実施形態においては、ユニットベース3にセンサ制御ユニット2を係合させることにより、センサ制御ユニット2全体の相対位置がセンサ挿入ユニット1に対して固定され、センサ制御ユニット2全体がセンサ挿入ユニット1に対しては移動しない状態となる。このような状態は、センサ挿入ユニット1とセンサ制御ユニット2との相対位置が規制されている状態の一例に相当する。
本実施形態においては、センサ制御ユニット2は、挿通部21およびスライド部22を有している。挿通部21は、センサ挿入ユニット1から挿入されるセンサ10を前記挿入対象部位へと向かわせるべく、センサ10を挿通させる空間である。挿通部21の具体的構成としては、たとえばセンサ制御ユニット2を図中上下方向に貫通する孔が挙げられる。
スライド部22は、センサ制御ユニット2のその他の部位に対して相対動可能とされた部位である。本実施形態においては、スライド部22は、センサ制御ユニット2の図中後方に位置しており、接合テープ31が広がる方向に沿って図中前後方向にスライド可能とされている。スライド部22が図中後方に退避していることによって、挿通部21が形成されている。本実施形態においては、スライド部22が後方に退避するとともに挿通部21が形成された状態が、本発明で言うセンサ挿入許容状態に相当する。なお、本実施形態においては、センサ制御ユニット2は、使い捨てではなく、複数回のセンサ挿入に繰り返し用いられることが意図されている。
図2に示すセンサ制御ユニット2のユニットベース3への取り付けが完了すると、本実施形態のセンサ挿入装置A1が完成した状態となる。センサ挿入装置A1は、上述したセンサ挿入ユニット1、センサ制御ユニット2およびユニットベース3を備えて構成されている。
次いで、図3に示すように、接合テープ31を使用者の身体の一部である挿入対象部位81に貼付することにより、ユニットベース3を挿入対象部位81に接合する。これにより、接合テープ31およびユニットベース3を介して、センサ挿入ユニット1およびセンサ制御ユニット2が挿入対象部位81に対して固定される。この際、センサ制御ユニット2は、前記センサ挿入許容状態をとりつつ挿入対象部位81に対して固定され、且つセンサ挿入ユニット1との相対位置が規制されている。
図4は、本実施形態におけるセンサ挿入工程を示している。本工程においては、使用者がセンサ挿入ユニット1に設けられた操作部14を押すなどの所定の操作を行うことにより、センサ挿入ユニット1の挿入部11によってセンサ10がセンサ制御ユニット2の挿通部21を通じて挿入対象部位81へと挿入される。この際、上述した付勢手段による推進力によって、センサ10の所望部分が、挿入対象部位81内に挿入される。
なお、本実施形態においては、センサ10がたとえばポリイミド樹脂などの可撓性材料によって構成されているため、穿刺補助部材(図示略)とともにセンサ10を、挿入部11によって挿入対象部位81に挿入する構成とされている。この穿刺補助部材は、センサ10の挿入対象部位81への穿刺を補助するためのものであり、たとえば針状、断面U字状、あるいは極細帯状などとされた金属等からなる比較的高剛性の細長い部材である。また、センサ10を挿入した後には、センサ10とは別に前記穿刺補助部材を挿入対象部位81から除去する機能を挿入部11が発揮する。また、前記穿刺補助部材の除去に並行して、挿入部11は、センサ10を離脱させる。この離脱は、挟持などによるセンサ10の保持を解除することや、センサ10の一部を切断することなどによって実現すればよい。このような処理により、挿入されたセンサ10が挿入対象部位81内に残存し、本発明で言うセンサ挿入工程が完了する。当該穿刺補助部材は、1回のみのセンサ挿入および分析に用いられた後に廃却される、ディスポーザブルタイプとして構成されている。なお、センサ10が、センサ挿入工程を単体で実現しうる剛性を有する場合は、前記穿刺補助部材を用いない構成としてもよい。
なお、センサ挿入ユニット1(挿入部11)が図示された姿勢で挿入対象部位81に対して固定されることにより、センサ10は、挿入対象部位81の表面に対して傾いた姿勢で挿入されている。また、センサ10が比較的高剛性である場合などは、上述した穿刺補助部材を用いることなく当該センサ挿入工程を行ってもよい。
次いで、図5に示すように、センサ挿入ユニット1をユニットベース3から離脱させる。これにより、挿入対象部位81には、接合テープ31を介してユニットベース3およびセンサ制御ユニット2が固定され、センサ10が挿入された状態となる。
次いで、図6に示すように、センサ接続工程を行う。本実施形態においては、センサ制御ユニット2のスライド部22を図中前方にスライドさせることにより、挿通部21を閉塞させ、センサ制御ユニット2内においてセンサ10を保持する格好となる。また、このスライド動作を利用して、センサ制御ユニット2とセンサ10との電気的接続を行う。これにより、センサ制御ユニット2は、本発明で言うセンサ接続状態をとる。なお、図示されたスライド部22のスライド処理は、接合テープ31が広がる方向、すなわち挿入対象部位81の表面に沿った方向に移動させる処理の一例である。このような移動方向は、挿入対象部位81に挿入されたセンサ10に対して交差している。
図7は、センサ接続工程が完了した状態のセンサ制御ユニット2を示している。図示された例においては、センサ10に複数の電極パッド101が形成されている。複数の電極パッド101の形状、配置および個数は特に限定されない。また、センサ制御ユニット2には、複数の電極パッド101と接続されるべき複数のコネクタ27が設けられている。本実施形態においては、スライド部22をスライドさせることにより、複数の電極パッド101と複数のコネクタ27とが当接する。これにより、センサ10とセンサ制御ユニット2との電気的接続が達成され、センサ接続状態となる。
また、図示された例においては、センサ制御ユニット2は、制御部25および送信部26を有している。制御部25は、センサ10を利用した電気化学的分析を実現するとともに、送信部26に対して分析結果となるべき電気信号を送るとともに送信制御を指令するものである。送信部26は、センサ制御ユニット2外に分析結果に係る電気信号を送信するものである。本実施形態においては、送信部26は、無線通信を用いた送信が可能に構成されている。
データ処理ユニット4は、センサ制御ユニット2から送信された分析結果に係る電気信号を受信するユニットであり、図示された例においては、受信部41、制御部42、記憶部43および表示部44を備えている。受信部41は、センサ制御ユニット2からの電気信号を受信するものであり、本実施形態においては、無線通信を用いた受信が可能に構成されている。
制御部42は、受信部41によって受信された分析結果に係る電気信号を対象として、たとえば所定のプログラムを実行することによりデータ処理を行うものである。また、制御部42は、必要に応じて、分析結果データを記憶部43に記憶させる。記憶部43は、たとえば半導体メモリ素子からなり、制御部42によって分析結果データの読み書きが可能に構成されている。表示部44は、たとえば液晶ディスプレイであり、現在日時などと現況データのほか、受信部41による受信状態、制御部42による処理状態、記憶部43による記憶状態、および任意に選択された分析結果などを適宜表示する。
なお、データ処理ユニット4は、1つのみのセンサ制御ユニット2を対象としてデータの送受信を行う構成であってもよいし、複数のセンサ制御ユニット2を対象としてデータの送受信を行う構成であってもよい。このような構成のセンサ制御ユニット2およびデータ処理ユニット4は、本実施形態における分析方法を行うための分析システムを構成する。
図7に示す分析システムが構築された後は、連続的にまたは周期的に、センサ10を用いた分析工程が行われる。分析工程の実行は、センサ制御ユニット2に備えられた時刻計測手段に基づいて、センサ制御ユニット2が実行タイミングを司る構成であってもよいし、データ処理ユニット4に備えられた時刻計測手段に基づいて、データ処理ユニット4からの要求によってセンサ制御ユニット2が分析する構成であってもよい。連続的に分析を行う場合は、センサ10を用いた分析が実質的に常時行われ、この分析結果が電気信号としてセンサ制御ユニット2の送信部26からデータ処理ユニット4の受信部41に送信される。送信部26から受信部41への送信は、実質的に常時行われてもよいし、所定の時間間隔をおいて、所定の期間における分析結果がまとめて送信されてもよい。この場合、センサ制御ユニット2がデータ処理ユニット4の記憶部43に類似のデータ記憶手段を備えることが好ましい。
次に、本実施形態のセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置A1の作用について説明する。
本実施形態によれば、図2に示すように、ユニット固定工程が完了すると、センサ挿入ユニット1とセンサ挿入許容状態をとったセンサ制御ユニット2との相対位置が規制されている。これに引き続き、図4に示すセンサ挿入工程を終えた後は、図6に示すように、センサ制御ユニット2にセンサ挿入許容状態からセンサ接続状態をとらせることにより、センサ10とセンサ制御ユニット2との接続が完了する。このため、挿入されたセンサ10に対して何ら位置や移動方向などが規制されていないセンサ制御ユニット2を、使用者が手探りなどの状態でセンサ10に接続することが強いられることがなく、使用者が痛みを感じることが軽減される。したがって、本実施形態によれば、より適切にセンサ10とセンサ制御ユニット2とを接続することができる。
また、本実施形態においては、ユニット固定工程のうち図1および図2に示す作業を、挿入対象部位81に接合する前に、たとえば机上において行うことができる。これは、同様の作業を身体の一部である挿入対象部位81に沿わせるようにして行うよりも容易かつ確実に行うことが可能である。したがって、意図しない固定作業の不備によって、センサ10の挿入が阻害されたり、分析が適切に行われないといった事態を回避することができる。
さらに、本実施形態においては、図6に示すように、センサ制御ユニット2にセンサ挿入許容状態からセンサ接続状態をとらせる際には、スライド部22を挿入対象部位81の表面に沿った方向に移動させる。センサ10は、挿入対象部位81の表面に対して傾斜した方向に挿入されているため、スライド部22の移動方向もセンサ10に対して交差したものとなる。これにより、スライド部22を移動させる際に、センサ制御ユニット2によってセンサ10を挿入対象部位81のさらに奥方に押し込むといった挙動を回避することが可能である。これは、使用者に不当な痛感を与えることを防止するのに適している。
図8〜図30は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図8および図9は、本発明の第2実施形態に基づくセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置を示している。本実施形態においては、図8に示すユニット固定工程において、センサ制御ユニット2を固定したユニットベース3を接合テープ31によって挿入対象部位81に接合する。次いで、挿入対象部位81に接合されたユニットベース3にセンサ挿入ユニット1を固定することにより、図9に示すように、ユニット固定工程が完了し、センサ挿入装置A2が完成する。なお、図8に示す動作は、ユニットベース3を挿入対象部位81に接合した後に、センサ制御ユニット2をユニットベース3に対して固定する手順であってもよい。この後は、図4〜図7を参照して説明したセンサ挿入工程およびセンサ接続工程を順次実行し、分析を行う。
このような実施形態によっても、より適切にセンサ10とセンサ制御ユニット2とを接続することができる。
図10〜図13は、本発明の第3実施形態に基づくセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置を示している。本実施形態においては、まず、図10に示すように、ユニット固定工程において、挿入対象部位81に接合テープ31によってユニットベース3を接合する。また、センサ挿入ユニット1にセンサ制御ユニット2を取り付けておく。
本実施形態においては、センサ制御ユニット2は、センサ挿入ユニット1の2つの係合部12に対して係合することにより、センサ挿入ユニット1に対する相対位置が規制される構成である。一方、ユニットベース3は、センサ制御ユニット2の移動を積極的に規制する構成とはなっていない。本実施形態においては、たとえば、2つの係合部12の各々に図中前後方向に延びる溝(図示略)が設けられている。これらの溝にセンサ制御ユニット2の一部が係合することにより、センサ制御ユニット2は、センサ挿入ユニット1に対して図中前後方向にスライド可能であるものの、それ以外の移動が阻止された状態となる。この状態は、センサ挿入ユニット1とセンサ制御ユニット2との相対位置が規制された状態の一例である。
また、本実施形態においては、図10に示されたように、センサ挿入ユニット1からセンサ10が挿入される際にセンサ10が通過する経路に対して、センサ制御ユニット2全体が図中後方に退避した状態とされている。この状態が本実施形態におけるセンサ挿入許容状態である。また、センサ制御ユニット2には、挿通部21が形成されている。本実施形態の挿通部21は、図中前方に開口し、且つ図中前後方向に延びており、図中上下方向においてセンサ制御ユニット2を貫通するスリット状である。このような挿通部21が設けられていることにより、センサ10が挿入されるセンサ挿入工程においては、センサ10が通過する経路にセンサ制御ユニット2が重なっていても、センサ10に挿通部21を通過させることにより、センサ10とセンサ制御ユニット2との干渉を回避することができる。なお、センサ制御ユニット2の全体が明瞭に後退していることにより、センサ10とセンサ制御ユニット2との干渉が回避される構成であってもよい。
次いで、図11に示すように、センサ制御ユニット2が固定されたセンサ挿入ユニット1をユニットベース3に対して固定する。これにより、本実施形態のユニット固定工程が完了する。これにより、本実施形態のセンサ挿入装置A3が完成する。
次いで、図12に示すように、挿入部11を操作することにより、センサ10を挿入対象部位81へと挿入する。これにより、本実施形態のセンサ挿入工程が完了する。
次いで、図13に示すように、センサ制御ユニット2を係合部12の上述した溝(図示略)に沿って図中前方にスライドさせる。これにより、センサ制御ユニット2の挿通部21の奥方にセンサ10が相対的に移動する格好となる。挿通部21の奥方部分に上述した複数のコネクタ27を配置しておくことなどにより、センサ10の複数の電極パッド101と複数のコネクタ27と当接させる。これにより、本実施形態におけるセンサ接続工程が実行され、センサ制御ユニット2がセンサ接続状態をとる。なお、少なくとも、センサ制御ユニット2がセンサ接続状態をとった後は、センサ制御ユニット2は、ユニットベース3に対して直接固定される。これにより、センサ挿入ユニット1を取り除いた後も、センサ制御ユニット2は、ユニットベース3に固定され、且つセンサ接続状態が維持される。
このような実施形態によっても、より適切にセンサ10とセンサ制御ユニット2とを接続することができる。また、本実施形態においては、センサ制御ユニット2のセンサ挿入ユニット1に対する取り付けを机上において行うことができる。これは、たとえば、センサ10の挿入経路とセンサ制御ユニット2との位置合わせをより正確に行うことができるなどの利点がある。
図14〜図16は、本発明の第4実施形態に基づくセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置を示している。本実施形態においては、図14に示すように、センサ挿入ユニット1の2つの係合部12に対してセンサ制御ユニット2を固定する。係合部12に対するセンサ制御ユニット2の固定は、上述したセンサ挿入装置A3における構成と同様である。
次いで、図15に示すように、センサ挿入ユニット1の係合部12とユニットベース3とを固定する。また、これと前後して、ユニットベース3に接合テープ31を貼付する。
次いで、図16に示すように、接合テープ31によってユニットベース3を挿入対象部位81に接合する。これにより、本実施形態のユニット固定工程が完了し、本実施形態のセンサ挿入装置A4が完了する。この後は、図12を参照して説明したセンサ挿入工程おおび図13を参照して説明したセンサ接続工程を順次実行すればよい。
このような実施形態によってもより適切にセンサ10とセンサ制御ユニット2とを接続することができる。また、本実施形態によれば、図15に示すように、机上においてセンサ挿入ユニット1、センサ制御ユニット2およびユニットベース3の相互の固定を終えておくことができる。このため、挿入対象部位81付近においては、接合テープ31によってユニットベース3を接合する作業のみを行えばよい。これは、使用者が行う位置合わせなどの負担を軽減するのに好ましい。
なお、センサ挿入装置A1およびセンサ挿入装置A2においては、センサ制御ユニット2の一部であるスライド部22がスライドすることにより、センサ制御ユニット2がセンサ挿入許容状態からセンサ接続状態をとっている。一方、センサ挿入装置A3およびセンサ挿入装置A4においては、センサ制御ユニット2の全体がスライドすることにより、センサ制御ユニット2がセンサ挿入許容状態からセンサ接続状態をとっている。かかる構成は、適宜選択可能であり、センサ挿入装置A1およびセンサ挿入装置A2において、センサ制御ユニット2全体がスライドする構成としてもよい。また、センサ挿入装置A3およびセンサ挿入装置A4において、センサ制御ユニット2の一部がスライドする構成であってもよい。また、センサ制御ユニット2にセンサ挿入許容状態からセンサ接続状態を取らせる際には、挿入対象部位81に対してセンサ挿入ユニット1が固定された状態であってもよいし、センサ制御ユニット2の構成によってはセンサ挿入ユニット1が取り除かれた状態であってもよい。
さらに、センサ制御ユニット2の全体または一部が、挿入対象部位81の表面に沿って移動する構成は、上述した効果を奏する点で好ましいが、本発明はこれに限定されない。センサ制御ユニット2は、センサ挿入許容状態からセンサ接続状態をとるために、さまざまな移動態様あるいは変形態様を採用することができる。
図17〜図22は、本発明の第5実施形態に基づくセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置を示している。本実施形態のセンサ挿入装置A5は、図17に示すように、センサホルダ13を備えている。センサホルダ13は、センサ10が搭載されており、センサ挿入ユニット1の挿入部11の先端に保持されている。本実施形態のセンサ10は、挿入方向に沿って延びる前半部分と、センサホルダ13に沿って図中左右方向に延びる後半部分とを有する屈曲形状とされている。センサ制御ユニット2は、センサ挿入ユニット1の後部に保持されている。また、本実施形態においては、挿入部11に具備された穿刺補助部材111を図示している。なお、センサホルダ13は、1回のみのセンサ挿入および分析に用いられた後に廃却される、ディスポーザブルタイプとして構成されている。
センサ挿入装置A5を用意した後は、図18に示すユニット固定工程を行う。本実施形態においては、挿入対象部位81に接合テープ31によって接合されたユニットベース3に対して、センサ挿入ユニット1を上述した実施形態で述べた手法と同様の手法によって固定する。
次いで、図19に示すセンサ挿入工程を行う。同図に示すように、使用者がたとえば操作部14を押下することにより、センサ挿入ユニット1内において挿入部11が斜め下方に前進する。この際、挿入部11に保持された穿刺補助部材111、センサホルダ13およびこのセンサホルダ13に搭載されたセンサ10が、ともに斜め下方に移動させられる。そして、穿刺補助部材111の先端とセンサ10の先端とが、挿入対象部位81に挿入される。この挿入においては、主に穿刺補助部材111が穿刺機能を発揮し、センサ10は穿刺補助部材111に伴って挿入対象部位81に挿入される。また、このセンサ挿入工程において、たとえばセンサホルダ13の一部がユニットベース3に係合するなどにより、センサホルダ13がユニットベース3に取り付けられる。
穿刺補助部材111およびセンサ10が挿入された後は、図20に示すように、挿入部11が直ちに斜め上方に後退する。この際、挿入部11によるセンサホルダ13の保持が解かれ、穿刺補助部材111のみが挿入部11によって挿入対象部位81から除去される。
次いで、図21に示すセンサ接続工程を行う。本実施形態においては、センサ挿入ユニット1の後部に保持されたセンサ制御ユニット2を、たとえばセンサ挿入ユニット1の溝(図示略)などに沿わせて図中左方にスライドさせることにより、センサ制御ユニット2とセンサホルダ13とを合体させる。この際、センサ10の電極パッド(図示略)とセンサ制御ユニット2のコネクタ(図示略)とが接続される。センサ挿入ユニット1の溝などが、センサ制御ユニット2を移動する際のガイドとして機能し、皮下に挿入後のセンサ10に過剰な力を加えることがなく、使用者が痛みを感じることが軽減される。
次いで、センサ挿入ユニット1とユニットベース3との係合を解くなどにより、センサ挿入ユニット1を挿入対象部位81から取り除く。これにより、図22に示すように、本実施形態のセンサ挿入方法が完了する。この後は、上述した実施形態と同様に、センサ10を用いた分析工程を行う。
このような実施形態によってもより適切にセンサ10とセンサ制御ユニット2とを接続することができる。また、本実施形態から理解されるように、センサ10は、全体が直状に延びた構成に限定されず、挿入対象部位81に挿入可能な態様であれば、屈曲形状などの様々な形状をとりうる。さらに、センサ10をセンサホルダ13と合体させることによって、センサ10の電極パッドとセンサ制御ユニット2のコネクタとを接続するため、可撓性を有するセンサ10がふらつくなどにより、センサ制御ユニット2との接続が困難となることを回避することができる。
なお、センサ挿入許容状態からセンサ制御ユニット2のみを移動させることにより、センサ10とセンサ制御ユニット2とが導通されたセンサ接続状態に移行する実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。センサ制御ユニット2を保持したセンサ挿入ユニット1ごと移動させることにより、センサ制御ユニット2をセンサ10に導通させる構成としてもよい。その場合、センサ制御ユニット2は、センサホルダ13と合体したら、そこで固定されるが、センサ挿入ユニット1は、ユニットベース3の外側まで移動し、センサ挿入ユニット1をユニットベース3及び挿入対象部位81から離脱させてもよい。
なお、以上の実施形態では、センサ制御ユニット2の一部もしくは全体を挿入対象部位81の表面に沿った方向に移動させことにより、センサ挿入許容状態からセンサ接続状態に移行しているが、センサ制御ユニット2の状態変化の方法は、それに限定されない。例えば、センサ制御ユニット2の一部もしくは全体を、挿入対象部位81の表面に沿った方向ではなく、上方向や斜め上方向に移動させてもよい。
図23〜図25は、本発明の第6実施形態に基づくセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置を示している。図23に示すように、本実施形態のセンサ挿入装置A6は、センサ制御ユニット2の構成が異なる他は、上述したセンサ挿入装置A1と類似の構成とされている。センサ制御ユニット2が、ユニットベース3を介してセンサ挿入ユニット1に対して相対位置が固定されている。本実施形態においては、センサ制御ユニット2は、ユニットベース3に対して回動可能に支持されている。この回動により、センサ制御ユニット2は、本発明で言うセンサ挿入許容状態とセンサ接続状態とをとる。図23においては、センサ制御ユニット2は、センサ挿入許容状態をとっている。
図24に示すセンサ挿入工程においては、センサ挿入ユニット1の挿入部11によってセンサ10が、センサ制御ユニット2の図中奥方に確保された挿通部21を通じて挿入対象部位81へと挿入される。そして、センサ挿入ユニット1をユニットベース3から離脱させる。これにより、挿入対象部位81には、接合テープ31を介してユニットベース3およびセンサ制御ユニット2が固定され、センサ10が挿入された状態となる。
次いで、図25に示すセンサ接続工程においては、センサ制御ユニット2をユニットベース3に対して回動させることにより、センサ制御ユニット2とセンサ10との電気的接続を行う。これにより、センサ制御ユニット2は、本発明で言うセンサ接続状態をとる。
このような実施形態によっても、より適切にセンサ10とセンサ制御ユニット2とを接続することができる。
図26〜図30は、本発明の第7実施形態に基づくセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置を示している。図26に示すように、本実施形態のセンサ挿入装置A7は、センサ挿入ユニット1が、図中下方に開口を有している。このセンサ挿入ユニット1の内部に、ユニットベース3が設置されている。また、センサ制御ユニット2は、センサ挿入ユニット1の前記開口から挿入され、センサ挿入ユニット1の内部に固定される。挿入部11は、ばね等の機構により、図中斜め右上と図中斜め左下を結ぶ方向において進退動可能とされている。
ユニットベース3の下面には、接合テープ31が設けられている。また、ユニットベース3は、係合部32を有している。係合部32は、後述する工程において、センサ制御ユニット2と係合することにより、ユニットベース3とセンサ制御ユニット2とを一体化させる部位である。図26に示すように、センサ挿入ユニット1の前記開口を挿入対象部位81に接触させる。
次いで、たとえば使用者が操作部14を押下することにより、図27に示すように、挿入部11を図中斜め左下に向けて前進させる。この際、挿入部11とともに電気化学センサ10およびユニットベース3が、前進する。そして、電気化学センサ10の先端部分が、挿入対象部位81に進入する。また、ユニットベース3の接合テープ31が挿入対象部位81に当接すると、接合テープ31の接着力により、ユニットベース3が挿入対象部位81に接合される。これが、本実施形態におけるセンサ挿入工程およびユニット固定工程である。
次いで、図28に示すように、挿入部11を図中斜め右上に向けて後退させる。ベースユニット3は、センサ挿入ユニット1から外される。この際、電気化学センサ10の所望部分を挿入対象部位81側に残存させる。この結果、挿入対象部位81に接合されたユニットベース3に電気化学センサ10の所望部分が組み込まれた状態となる。
次いで、図29に示すように、センサ挿入ユニット1を図中右方へと移動させる。この際、センサ挿入ユニット1とともに、挿入部11およびセンサ制御ユニット2が図中右方へと移動する。これにより、センサ制御ユニット2とユニットベース3の係合部32とが係合する。また、この際に、センサ制御ユニット2は、センサ挿入ユニット1から外れる。係合部32は、センサ制御ユニット2と係合することにより、センサ制御ユニット2をユニットベース3に対して回動可能に支持する構成とされている。なお、このような係合部32の具体的構成は、種々に設定可能である。また、係合部32と同様の機能を果たす部位をセンサ制御ユニット2に設けてもよいし、センサ制御ユニット2およびユニットベース3の双方に設けてもよい。
次いで、センサ挿入ユニット1をさらに図中右方へと移動させる。図29に示した状態以降においては、センサ制御ユニット2は、ユニットベース3に係合している。このため、センサ挿入ユニット1とともに挿入部11のみが図中右方へと移動し、電気化学センサ10の所望部分、センサ制御ユニット2およびユニットベース3は、センサ挿入ユニット1とともには移動しない。そして、斜め右上方向に向くように起立したセンサ制御ユニット2は、図中右方へと移動するセンサ挿入ユニット1の先端部分によって、図30に示すように回動させられる。センサ挿入ユニット1の先端部分がセンサ制御ユニット2を完全に通過すると、センサ制御ユニット2は、たとえば水平な姿勢となるように倒され、ユニットベース3と結合する。また、この結合において、電気化学センサ10がセンサ制御ユニット2に電気的に接続される。これが、本実施形態におけるセンサ接続工程である。センサ挿入ユニット1を挿入対象部位から取り除いた後は、所定の分析処理を行う。なお、センサ挿入ユニット1によってセンサ制御ユニット2を適切に回動したりユニットベース3に対して押し付けたりすることを目的として、センサ挿入ユニット1の先端にローラ(図示略)を設けてもよい。
このような実施形態によっても、より適切にセンサ10とセンサ制御ユニット2とを接続することができる。また、図27に示すセンサ挿入工程に続いて、図28に示す挿入部11の後退を行った後は、図29および図30に示すように、センサ挿入ユニット1を挿入対象部位81に沿って移動させることにより、センサ制御ユニット2およびユニットベース3の結合や電気化学センサ10のセンサ制御ユニット2への接続を一括して行うことができる。これは、センサ挿入方法を効率よく行うのに適している。また、使用者は、センサ挿入ユニット1を触れる操作のみをすれば、センサ制御ユニット2およびユニットベース3に触れずとも、センサ制御ユニット2とユニットベース3との結合や、センサ接続工程を行うことができる。これは、センサ制御ユニット2およびユニットベース3等の衛生状態の向上に好ましい。
本発明に係るセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るセンサ挿入方法、分析方法およびセンサ挿入装置の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。