JP6698137B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子および電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子および電子機器に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が、また陰極から電子が、それぞれ発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。このとき、電子スピンの統計則により、一重項励起子、及び三重項励起子が25%:75%の割合で生成する。
一重項励起子からの発光を用いる蛍光型の有機EL素子は、内部量子効率25%が限界といわれており、携帯電話やテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されつつあるものの、一重項励起子に加えて三重項励起子を利用する更なる効率化が期待されていた。
このような背景から、遅延蛍光を利用した高効率の蛍光型の有機EL素子が提案され、研究がなされている。
例えば、TADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)機構が研究されている。このTADF機構は、一重項準位と三重項準位とのエネルギー差(ΔST)の小さな材料を用いた場合に、三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が熱的に生じる現象を利用するものである。熱活性遅延蛍光については、例えば、『安達千波矢編、「有機半導体のデバイス物性」、講談社、2012年3月22日、261−262ページ』に記載されている。
このTADF機構を利用した有機EL素子が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1には、ΔSTが小さい化合物をホスト材料として含有し、蛍光発光性の化合物をドーパント材料として含有した発光層を備える有機EL素子が開示されている。特許文献1によれば、ΔSTが小さい化合物をホスト材料として用い、このホスト材料にてTADF機構を発現させることで、内部量子効率が向上する旨が記載されている。
特許文献2や特許文献3にも、特定の化合物をホスト材料として含有し、蛍光発光性の化合物をドーパント材料として含有した発光層を備える有機EL素子が開示されている。特許文献2や特許文献3によれば、特許文献1と同様、TADF機構を利用して、有機EL素子の性能向上を図っている。
国際公開第2012/133188号 国際公開第2013/180241号 中国特許出願公開第102709485号明細書
しかしながら、有機EL素子としては、発光効率をさらに向上させる必要がある。
本発明の目的は、発光効率を向上させることのできる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電子機器を提供することである。
本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と、発光層と、陰極と、を含み、前記発光層は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含み、ただし、前記発光層は、下記化合物A、下記化合物B、及び下記化合物Cを含有させた層ではなく、前記第二の材料は、遅延蛍光発光性の材料であり、前記第三の材料の一重項エネルギーは、前記第二の材料の一重項エネルギーよりも大きく、前記第一の材料は、蛍光発光性の発光材料であり、前記第一の材料は、下記一般式(101)〜(105)で表される化合物からなる群から選択される化合物である。下記一般式(101)〜(105)において、A、AD1〜AD4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数12〜50の芳香族炭化水素基であり、A、AD1〜AD4が置換基を有する場合の置換基は、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基、環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜50のアラルキル基、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルコキシ基、環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基を有するアリールオキシ基、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキルチオ基、環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基を有するアリールチオ基、炭素数1〜50のアルキル基及び環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基から選ばれる基を有するモノ置換シリル基、ジ置換シリル基又はトリ置換シリル基、環原子数5〜50でありヘテロ原子を1〜5個含む複素環基、炭素数1〜50のハロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、およびニトロ基からなる群より選ばれる。
また、本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と、発光層と、陰極と、を含み、前記発光層は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含み、ただし、前記発光層は、下記化合物A、下記化合物B、及び下記化合物Cを含有させた層ではなく、前記第二の材料は、遅延蛍光発光性の材料であり、前記第三の材料の一重項エネルギーは、前記第二の材料の一重項エネルギーよりも大きく、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)は、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M1)よりも大きく、前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)は、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)よりも大きく、前記第一の材料は、蛍光発光性の発光材料であり、前記第一の材料は、下記一般式(101)〜(105)で表される化合物からなる群から選択される化合物である。
また、本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と、発光層と、陰極と、を含み、前記発光層は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含み、ただし、前記発光層は、下記化合物A、下記化合物B、及び下記化合物Cを含有させた層ではなく、前記第二の材料は、遅延蛍光発光性の材料であり、前記第三の材料の一重項エネルギーは、前記第二の材料の一重項エネルギーよりも大きく、前記第一の材料は、蛍光発光性の発光材料であり、前記第一の材料は、アリール置換ナフタレン誘導体、アリール基置換アントラセン誘導体、アリール基置換ピレン誘導体、アリール置換クリセン誘導体、アリール置換フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物もしくはその金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体、及びナフタセン誘導体からなる群から選択される。
また、本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と、発光層と、陰極と、を含み、前記発光層は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含み、ただし、前記発光層は、下記化合物A、下記化合物B、及び下記化合物Cを含有させた層ではなく、前記第二の材料は、遅延蛍光発光性の材料であり、前記第三の材料の一重項エネルギーは、前記第二の材料の一重項エネルギーよりも大きく、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)は、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M1)よりも大きく、前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)は、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)よりも大きく、前記第一の材料は、蛍光発光性の発光材料であり、前記第一の材料は、アリール置換ナフタレン誘導体、アリール基置換アントラセン誘導体、アリール基置換ピレン誘導体、アリール置換クリセン誘導体、アリール置換フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物もしくはその金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体、及びナフタセン誘導体からなる群から選択される。
本発明の一態様に係る電子機器は、上述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を備える。
本発明によれば、発光効率を向上させることのできる有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。 過渡PLを測定する装置の概略図である。 過渡PLの減衰曲線の一例を示す図である。 発光層における第一の材料、第二の材料および第三の材料のエネルギー準位およびエネルギー移動の関係を示す図である。
以下、本発明の有機EL素子に関して、実施形態を挙げて説明する。
[第一実施形態]
(有機EL素子の素子構成)
本発明の第一実施形態に係る有機EL素子の構成について説明する。
有機EL素子は、一対の電極間に有機層を備える。この有機層は、有機化合物で構成される複数の層が積層されてなる。有機層は、無機化合物をさらに含んでいてもよい。
本実施形態の有機EL素子において、有機層のうち少なくとも1層は、発光層である。ゆえに、有機層は、例えば、一つの発光層で構成されていてもよいし、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、障壁層等の有機EL素子で採用される層を有していてもよい。
図1に、本実施形態における有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、透光性の基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機層10と、を有する。
有機層10は、発光層5と、発光層5と陽極3との間に設けられた正孔注入・輸送層6と、発光層5と陰極4との間に設けられた電子注入・輸送層7を有する。本実施形態の有機EL素子において、発光層5は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含有する。発光層5は、燐光発光性の金属錯体を含んでも良いが、本発明の実施形態では、燐光発光性の金属錯体を含まなくとも従来の蛍光素子を超える発光性能を得る事ができる。
上記「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層および正孔輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層および電子輸送層のうちの少なくともいずれか1つ」を意味する。ここで、正孔注入層および正孔輸送層を有する場合には、陽極側に正孔注入層が設けられていることが好ましい。また、電子注入層および電子輸送層を有する場合には、陰極側に電子注入層が設けられていることが好ましい。また、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層は、それぞれ、一層で構成されていても良いし、複数の層が積層されていてもよい。
(発光層)
・第一の材料
本実施形態に係る第一の材料は、蛍光発光性の発光材料である。
第一の材料は、特に発光色が限定される必要はないが、主ピーク波長が550nm以下の蛍光発光を示すことが好ましく、主ピーク波長が480nm以下の蛍光発光を示すことがより好ましい。特に、発光効率に課題を有する青色有機EL素子において、最大の効果を有すると考えられる。
主ピーク波長とは、第一の材料が10−5モル/リットル以上10−6モル/リットル以下の濃度で溶解しているトルエン溶液について、測定した発光スペクトラムにおける発光強度が最大となる発光スペクトルのピーク波長をいう。
第一の材料は、青色の蛍光発光を示すことが好ましい。また、第一の材料は、蛍光量子収率の高い材料であることが好ましい。
本実施形態に係る第一の材料としては、蛍光発光性材料を用いることができる。具体的には、例えば、ビスアリールアミノナフタレン誘導体、アリール置換ナフタレン誘導体、ビスアリールアミノアントラセン誘導体、アリール基置換アントラセン誘導体、ビスアリールアミノピレン誘導体、アリール基置換ピレン誘導体、ビスアリールアミノクリセン誘導体、アリール置換クリセン誘導体、ビスアリールアミノフルオランテン誘導体、アリール置換フルオランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、アセナフトフルオランテン誘導体、ピロメテンホウ素錯体化合物、ピロメテン骨格を有する化合物もしくはその金属錯体、ジケトピロロピロール誘導体、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体などが挙げられる。
また、本実施形態に係る第一の材料としては、下記一般式(10)で表される化合物を用いてもよい。
前記一般式(10)において、Aは、置換もしくは無置換の環形成炭素数12〜50の芳香族炭化水素基であり、このAにおける環形成炭素数12〜50の芳香族炭化水素基としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセン、フェナントレン、クリセン、ピレン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン、ペリレン、ピセン、トリフェニレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、スチルベン、ナフタセン、アセナフトフルオランテン等から誘導される基を挙げることができ、さらにこれらの芳香族炭化水素基をベンゾ化した基及び環拡張した基も挙げることができる。
前記一般式(10)において、Bは、下記一般式(11)で表される基である。
前記一般式(10)において、paは、1以上4以下の整数であり、pbは、0以上4以下の整数である。
前記一般式(11)において、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50の複素環基からなる群から選択される置換基であり、pcは0以上4以下の整数であり、前記一般式(11)において、波線部分は、前記Aで表される芳香族炭化水素基との結合箇所を表す。
前記一般式(10)および(11)において、Aが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、Bが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、paが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、pbが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、Arが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、Arが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、Arが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよく、pcが複数個ある場合には、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(10)で表される化合物としては、例えば、次に列挙する一般式の化合物を挙げることができるが、前記第一の材料は、これらの例に限定されない。以下において、AD1〜AD4は、それぞれ独立に、前記Aと同義であり、BD1〜BD4は、それぞれ独立に、前記Bと同義である。
前記Aにおける芳香族炭化水素基としては、環形成炭素数が12〜30である芳香族炭化水素基が好ましく、環形成炭素数が12〜24である芳香族炭化水素基がより好ましく、環形成炭素数が18〜20である芳香族炭化水素基がさらに好ましい。前記Aにおける芳香族炭化水素基としては、例えば、ナフチルフェニル基、ナフチル基、アセナフチレニル基、アントリル基、ベンゾアントリル基、アセアントリル基、フェナントリル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、フェナレニル基、フルオレニル基、ピセニル基、ペンタフェニル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[g]クリセニル基、s−インダセニル基、as−インダセニル基、フルオランテニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾ[b]トリフェニレニル基、ベンゾフルオレニル基、スチリルフェニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、及びそれらをさらに環拡張したもの等が挙げられ、アントリル基、ピセニル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、ベンゾフルオレニル基、スチリルフェニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基及びそれらをさらにベンゾ化した基もしくは環拡張したものが好ましく、アントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、ベンゾフルオレニル基、スチリルフェニル基、アセナフト[1,2−k]フルオランテニル基及びそれらをさらにベンゾ化した基もしくは環拡張したものがより好ましく、アントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、ベンゾフルオレニル基、アセナフト[1,2−k]フルオランテニル基、ナフタセニル基が特に好ましい。
前記Ar、ArおよびArにおける芳香族炭化水素基としては、それぞれ独立に、環形成炭素数が6〜24である芳香族炭化水素基が好ましく、環形成炭素数が6〜12である芳香族炭化水素基がより好ましい。前記Ar、ArおよびArにおける芳香族炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば、フェニル基、ナフチルフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アセナフチレニル基、アントリル基、ベンゾアントリル基、アセアントリル基、フェナントリル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、フェナレニル基、フルオレニル基、ピセニル基、ペンタフェニル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[g]クリセニル基、s−インダセニル基、as−インダセニル基、フルオランテニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾ[b]トリフェニレニル基、ベンゾフルオレニル基、スチリルフェニル基、ナフタセニル基、ペリレニル基、及びそれらをさらにベンゾ化した基もしくは環拡張したもの等が挙げられ、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
置換基を有する芳香族炭化水素基としては、フェニルナフチル基、ナフチルフェニル基、トリル基、キシリル基、シリルフェニル基、トリメチルシリルフェニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、9,9−ジフェニルフルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、シアノフェニル基等が挙げられ、トリル基、キシリル基、トリメチルシリルフェニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、9,9−ジフェニルフルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、シアノフェニル基、シリルフェニル基等が好ましい。
前記Ar、ArおよびArにおけるアルキル基としては、それぞれ独立に、炭素数が1〜10であるアルキル基が好ましく、炭素数が1〜5であるアルキル基がより好ましい。前記ArおよびArにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基(異性体を含む)、ヘキシル基(異性体を含む)、ヘプチル基(異性体を含む)、オクチル基(異性体を含む)、ノニル基(異性体を含む)、デシル基(異性体を含む)、ウンデシル基(異性体を含む)、及びドデシル基(異性体を含む)等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、及びペンチル基(異性体を含む)が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、及びt−ブチル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びt−ブチル基が特に好ましい。
前記Ar、ArおよびArにおけるアルキル基としては、それぞれ独立に、環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基であってもよい。前記Ar、ArおよびArにおけるシクロアルキル基としては、それぞれ独立に、環形成炭素数が3〜6のシクロアルキル基が好ましく、環形成炭素数が5又は6のシクロアルキル基がより好ましい。前記Ar、ArおよびArにおけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基などが挙げられ、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
前記Ar、ArおよびArにおけるアルケニル基としては、それぞれ独立に、炭素数が2〜20であるアルケニル基が好ましく、炭素数2〜10であるアルケニル基がより好ましい。前記Ar、ArおよびArにおけるアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、1−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、2−メチルアリル基、1,2−ジメチルアリル基等が挙げられる。
置換のアルケニル基としては、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2−ジフェニルビニル基、1−フェニルアリル基、2−フェニルアリル基、3−フェニルアリル基、3,3−ジフェニルアリル基、1−フェニル−1−ブテニル基、3−フェニル−1−ブテニル基等が挙げられる。
前記Ar、ArおよびArにおけるアルキニル基としては、それぞれ独立に、炭素数が2〜20であるアルキニル基が好ましく、炭素数2〜10であるアルキニル基がより好ましい。前記Ar、ArおよびArにおけるアルキニル基としては、プロパルギル基、3−ペンチニル基等が挙げられる。
前記Ar、ArおよびArにおける複素環基としては、それぞれ独立に、環形成原子数が5〜24である複素環基が好ましく、環形成原子数が5〜18である複素環基がより好ましい。前記Ar、ArおよびArにおける複素環基としては、ヘテロ原子(たとえば窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を1〜5個含む複素環基を挙げることができる。さらに、前記Ar、ArおよびArにおける複素環基としては、それぞれ独立に、例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチオフェニル基、インドリジニル基、キノリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基、インダゾリル基、ベンズイソキサゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、及びキサンテニル基などが挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基が好ましく、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基がより好ましい。
前記一般式(10)で表される化合物において、“置換もしくは無置換”というときの任意の置換基は、
炭素数1〜50(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基;
炭素数2〜20(好ましくは2〜10)のアルケニル基;
炭素数2〜20(好ましくは2〜10)のアルキニル基;
環形成炭素数3〜50(好ましくは3〜6、より好ましくは5又は6)のシクロアルキル基;
環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜24、より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基;
環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜24、より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜50(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアラルキル基;
アミノ基;
炭素数1〜50(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基;
環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜24、より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基を有するモノアリールアミノ又はジアリールアミノ基;
炭素数1〜50(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基を有するアルコキシ基;
環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜24、より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基を有するアリールオキシ基;
炭素数1〜50(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基を有するアルキルチオ基;
環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜24、より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基を有するアリールチオ基;
炭素数1〜50(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基及び環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜24、より好ましくは6〜12)の芳香族炭化水素基から選ばれる基を有するモノ置換シリル基、ジ置換シリル基又はトリ置換シリル基;
環原子数5〜50(好ましくは5〜24、より好ましくは5〜18)でありヘテロ原子(たとえば窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を1〜5個(好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個)含む複素環基;
炭素数1〜50(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のハロアルキル基;
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ましくはフッ素原子);
シアノ基;
ニトロ基からなる群より選ばれるものが好ましい。
上記置換基の中でも、とりわけ、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5又は6のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、及び環形成原子数5〜24でありヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を1〜3個含む複素環基からなる群より選ばれる置換基が好ましい。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としての炭素数1〜50のアルキル基は、前記Ar、ArおよびArにおけるアルキル基として説明したものと同義である。“置換もしくは無置換”というときの置換基としての炭素数2〜20のアルケニル基は、前記Ar、ArおよびArにおけるアルケニル基として説明したものと同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としての炭素数2〜20のアルキニル基は、前記Ar、ArおよびArにおけるアルキニル基として説明したものと同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としての環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基は、前記Ar、ArおよびArにおけるシクロアルキル基として説明したものと同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としての環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基は、前記Ar、ArおよびArにおける芳香族炭化水素基として説明したものと同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としての環形成炭素数6〜50のアラルキル基は、環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基と、炭素数1〜50アルキル基とを有し、このアルキル基部分の具体例は、上述のアルキル基と同様であり、芳香族炭化水素基部分の具体例は、上述の芳香族炭化水素基と同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのモノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基において、アルキル基部分の具体例は、上述のアルキル基と同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのモノアリールアミノ基又はジアリールアミノ基において、アリール基(芳香族炭化水素基)部分の具体例は、上述の芳香族炭化水素基と同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのアルコキシ基において、アルキル基部分の具体例は、上述のアルキル基と同義であり、アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのアリールオキシ基において、アリール基(芳香族炭化水素基)部分の具体例は、上述の芳香族炭化水素基と同義であり、アリールオキシ基は、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのアルキルチオ基において、アルキル基部分の具体例は、上述のアルキル基と同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのアリールチオ基において、アリール基(芳香族炭化水素基)部分の具体例は、上述の芳香族炭化水素基と同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのモノ置換シリル基、ジ置換シリル基又はトリ置換シリル基としては、炭素数1〜50のアルキルシリル基および環形成炭素数6〜50のアリールシリル基を挙げることができる。炭素数1〜50のアルキルシリル基としては、モノアルキルシリル基、ジアルキルシリル基、及びトリアルキルシリル基が挙げられ、たとえば各アルキル基の具体例は、上述のアルキル基と同義である。環形成炭素数6〜50のアリールシリル基としては、モノアリールシリル基、ジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基が挙げられ、各アリール基の具体例は、後述するアリール基と同様であり、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基等が挙げられる。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としての複素環基は、前記Ar、ArおよびArにおける複素環基として説明したものと同義である。
“置換もしくは無置換”というときの置換基としてのハロアルキル基は、上述のアルキル基をハロゲン化したものを挙げることができ、具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
また、本実施形態に係る第一の材料としては、下記一般式(12)で表される化合物を用いてもよい。
前記一般式(12)において、R110〜R121は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、これらR110〜R121における置換基は、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換若しくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルキニル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキルチオ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールチオ基、
置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、
置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、
置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、
置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、
アミノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基である。
・第二の材料
本実施形態に係る第二の材料は、遅延蛍光発光性の材料である。
・遅延蛍光発光性
遅延蛍光(熱活性化遅延蛍光)については、「有機半導体のデバイス物性」(安達千波矢編、講談社発行)の261〜268ページで解説されている。その文献の中で、蛍光発光材料の励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギー差ΔE13を小さくすることができれば、通常は遷移確率が低い励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動が高効率で生じ、熱活性化遅延蛍光(ThermallyActivated dela
yed Fluorescence, TADF)が発現すると説明されている。さらに、当該文献中の図10.38で、遅延蛍光の発生メカニズムが説明されている。本実施形態における第二の材料は、このようなメカニズムで発生する熱活性遅延蛍光を示す化合物である。
遅延蛍光の発光は過渡PL測定により確認できる。
図2には、過渡PLを測定するための例示的装置の概略図が示されている。
本実施形態の過渡PL測定装置100は、所定波長の光を照射可能なパルスレーザー部101と、測定試料を収容する試料室102と、測定試料から放射された光を分光する分光器103と、2次元像を結像するためのストリークカメラ104と、2次元像を取り込んで解析するパーソナルコンピュータ105とを備える。なお、過渡PLの測定は、本実施形態で説明する装置に限定されない。
試料室102に収容される試料は、マトリックス材料に対し、ドーピング材料が12質量%の濃度でドープされた薄膜を石英基板に成膜することで得られる。
試料室102に収容された薄膜試料に対し、パルスレーザー部101からパルスレーザーを照射して励起させる。励起光の90度の方向から発光を取り出し、分光器103で分光し、ストリークカメラ104内で2次元像を結像する。その結果、縦軸が時間に対応し、横軸が波長に対応し、輝点が発光強度に対応する2次元画像を得ることができる。この2次元画像を所定の時間軸で切り出すと、縦軸が発光強度であり、横軸が波長である発光スペクトルを得ることができる。また、当該2次元画像を波長軸で切り出すと、縦軸が発光強度の対数であり、横軸が時間である減衰曲線(過渡PL)を得ることができる。
例えば、マトリックス材料として、下記参考化合物H1を用い、ドーピング材料として下記参考化合物D1を用いて上述のようにして薄膜試料Aを作製し、過渡PL測定を行った。
過渡PL測定から得た減衰曲線に基づいて遅延蛍光の挙動を解析することもできる。過渡PLとは、試料にパルスレーザーを照射して励起させ、照射を止めた後のPL発光の減衰挙動(過渡特性)を測定する手法である。TADF材料におけるPL発光は、最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光成分と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光成分に分類される。最初のPL励起で生成する一重項励起子の寿命は、ナノ秒オーダーであり、非常に短い。そのため、当該一重項励起子からの発光は、パルスレーザーを照射後、速やかに減衰する。
一方、遅延蛍光は、寿命の長い三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光のため、ゆるやかに減衰する。このように最初のPL励起で生成する一重項励起子からの発光と、三重項励起子を経由して生成する一重項励起子からの発光とでは、時間的に大きな差がある。そのため、遅延蛍光由来の発光強度を求めることができる。
ここでは、前述の薄膜試料A、および薄膜試料Bを用いて減衰曲線を解析した。薄膜試料Bは、マトリックス材料として下記参考化合物H2を用い、ドーピング材料として前記参考化合物D1を用いて、上述のようにして薄膜試料を作製した。
図3には、薄膜試料Aおよび薄膜試料Bについて測定した過渡PLから得た減衰曲線が示されている。
上記したように過渡PL測定によって、縦軸を発光強度とし、横軸を時間とする発光減衰曲線を得ることができる。この発光減衰曲線に基づいて、光励起により生成した一重項励起状態から発光する蛍光と、三重項励起状態を経由し、逆エネルギー移動により生成する一重項励起状態から発光する遅延蛍光との、蛍光強度比を見積もることができる。遅延蛍光発光性の材料では、素早く減衰する蛍光の強度に対し、緩やかに減衰する遅延蛍光の強度の割合が、ある程度大きい。
本実施形態における遅延蛍光発光量は、前記図2の装置を用いて求めることができる。前記第二の材料は、当該第二の材料が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察されるPrompt発光(即時発光)と、当該励起後、即座には観察されず、その後観察されるDelay発光(遅延発光)とが存在する。本実施形態においては、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上であることが好ましい。
Prompt発光とDelay発光の量は、“Nature 492, 234−238, 2012”に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記の文献に記載のものに限定されるものではない。
また、遅延蛍光発光性の測定に用いられる試料は、例えば、第二の材料と後述する化合物TH−2とを、第二の材料の割合が12質量%となるように石英基板上に共蒸着し、膜厚100nmの薄膜を形成したものを使用することができる。
本実施形態では、第二の材料は、一つの分子中に下記一般式(2)で表される部分構造および下記一般式(2Y)で表される部分構造を有することが好ましい。
前記一般式(2)において、CNは、シアノ基である。
nは、1以上の整数である。nは、1以上5以下の整数であることが好ましく、2以上4以下の整数であることがより好ましい。
〜Zは、それぞれ独立に、窒素原子、CNと結合する炭素原子、または前記第二の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子である。例えば、ZがCNと結合する炭素原子である場合、残りの5つ(Z〜Z)のうち少なくとも一つが、前記第二の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子となる。当該他の原子は、下記一般式(2Y)で表される部分構造を構成する原子でもよいし、当該部分構造との間に介在する連結基や置換基を構成する原子でもよい。
本実施形態に係る第二の材料は、Z〜Zで構成される6員環を部分構造として有していてもよいし、当該6員環にさらに環が縮合して構成される縮合環を部分構造として有していてもよい。
(前記一般式(2Y)において、FおよびGは、それぞれ独立に環構造を表す。
mは、0あるいは1である。
mが1の場合には、Y20は、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子、ケイ素原子、またはゲルマニウム原子を表す。)
前記一般式(2Y)においてmが0の場合、前記一般式(2Y)は、下記一般式(20Y)で表される。
前記一般式(20Y)における環構造Fおよび環構造Gは、前記一般式(2Y)における環構造Fおよび環構造Gと同義である。
また、前記一般式(2Y)において、mが1の場合、前記一般式(2Y)は、下記一般式(22)〜(28)のいずれかで表される。
前記一般式(22)〜(28)における環構造Fおよび環構造Gは、前記一般式(2Y)における環構造Fおよび環構造Gと同義である。
本実施形態において、前記環構造Fおよび前記環構造Gは、5員環または6員環であることが好ましく、この5員環または6員環は不飽和環であることが好ましく、不飽和6員環であることがより好ましい。
本実施形態に係る第二の材料は、下記一般式(20)で表される化合物であることが好ましい。
前記一般式(20)において、
Aは、前記一般式(2)で表され、ただし、前記一般式(2)において、CNは、シアノ基であり、nは、1以上の整数であり、Z〜Zは、それぞれ独立に、窒素原子、CNと結合する炭素原子、Rと結合する炭素原子、Lと結合する炭素原子、またはDと結合する炭素原子であり、Z〜Zの内、CNと結合する炭素原子が少なくとも一つあり、LまたはDと結合する炭素原子が少なくとも一つあり、
前記Rは、それぞれ独立に、水素原子、または置換基であり、このRにおける置換基は、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、および置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基からなる群から選択される置換基である。
前記一般式(20)において、Dは,前記一般式(2Y)で表され、ただし、前記一般式(2Y)における環構造Fおよび環構造Gは、無置換でも置換基を有していても良く、mは、0あるいは1であり、mが1の場合には、Y20は、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、カルボニル基、CR2122、SiR2324またはGeR2526を表し、R21〜R26は、前記Rで挙げられた基と同義である。また、前記一般式(2Y)において、mが1の場合、前記一般式(2Y)は、前記一般式(22)〜(25)並びに下記一般式(21Y)〜(24Y)のいずれかで表される。
前記一般式(20)において、
(i)Lが、AとDとの間に介在している場合、
Lは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜14の芳香族複素環基、CR8182、NR83、O、S、SiR8485、CR8687−CR8889、CR90=CR91、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環基、または置換もしくは無置換の脂肪族複素環基であり、
前記R81〜R91は、それぞれ独立に、前記Rと同義である。
前記一般式(20)において、
(ii)Lが、前記第二の材料の分子中で末端に位置する場合、
Lは、前記Rで挙げられた基と同義である。
前記一般式(20)において、
fは、1以上の整数であり、
eおよびgは、それぞれ独立に、0以上の整数である。
Aが複数個の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Dが複数個の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
Lが複数個の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(20)は、例えば、下記一般式(201)〜(220)で表される。
また、前記一般式(20)中、繰り返し数fを有するカッコで括られている繰り返し単位において、Aに対してLを介してDが結合していてもよいし、Dに対してLを介してAが結合していてもよい。例えば、下記一般式(221)〜(228)のように分岐していてもよい。
本実施形態に係る第二の材料は、前記一般式(201)〜(228)で表される化合物に限定されない。
一分子のΔSTを小さく保持する目的において、前記Lは分子設計上、縮合芳香族環ではないことが好ましいが、熱活性遅延蛍光発光を得ることが可能な範囲において縮合芳香族環も採用することができる。また、一分子中にAとDを正確に配置する分子設計が必要となる事から、本実施形態に係る第二の材料は低分子材料であることが好ましい。従って、分子量が5000以下であることが好ましく、分子量が3000以下であることがより好ましい。本実施形態に係る第二の材料は、前記一般式(2)および前記一般式(2Y)の部分構造を含み、この結果、第二の材料を含む有機EL素子は熱活性遅延蛍光発光する事ができる。
本実施形態において、前記一般式(2Y)は、下記一般式(2a)および下記一般式(2x)のうち少なくともいずれかで表されることが好ましい。
前記一般式(2x)において、AおよびBは、それぞれ独立に、下記一般式(2c)で表される環構造、または下記一般式(2d)で表される環構造を示し、環構造Aおよび環構造Bは、隣接する環構造と任意の位置で縮合している。
pxおよびpyは、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり、それぞれ環構造Aおよび環構造Bの数を表す。pxが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Aは、互いに同一でも異なっていてもよい。pyが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Bは、互いに同一でも異なっていてもよい。したがって、例えば、pxが2のとき、環構造Aは、下記一般式(2c)で表される環構造が2つでもよいし、下記一般式(2d)で表される環構造が2つでもよいし、下記一般式(2c)で表される環構造を1つと、下記一般式(2d)で表される環構造を1つとの組み合わせでもよい。
前記一般式(2d)において、Zは、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、または酸素原子を表す。
前記一般式(2x)において、pxが0であって、pyがc個である場合、下記一般式(2b)で表される。
前記一般式(2b)において、cは、1以上4以下の整数である。cが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Eは、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(2b)において、Eは、前記一般式(2c)で表される環構造、または前記一般式(2d)で表される環構造を示し、環構造Eは、隣接する環構造と任意の位置で縮合している。
したがって、例えば、cが2のとき、2つの環構造Eは、前記一般式(2c)で表される環構造が2つでもよいし、前記一般式(2d)で表される環構造が2つでもよいし、前記一般式(2c)で表される環構造を1つと、前記一般式(2d)で表される環構造を1つとの組み合わせでもよい。
前記一般式(2)と前記一般式(2Y)の部分構造を一分子に同時に保有する事で、ΔSTを効果的に小さく設計することが可能である。
本実施形態に係る第二の材料は、その分子中に、下記一般式(2e)で表される構造を有していることが好ましい。
前記一般式(2e)において、R〜Rは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換基、または
前記第二の材料の分子中における他の原子と結合する単結合であり、
このR〜Rにおける置換基は、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、および置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基からなる群から選択される置換基である。
ただし、R〜Rのうち少なくともいずれかは当該単結合である。
前記一般式(2e)において、R〜Rから選ばれる置換基同士の組み合せのうち少なくとも1組は、互いに結合して、環構造を構築していてもよい。この環構造を構築する場合とは、すなわち、前記一般式(2e)において、R〜Rがそれぞれ結合する6員環の炭素原子または5員環の窒素原子の内、隣り合う炭素原子にそれぞれ結合するR〜Rおよび5員環の窒素原子に結合するRから選ばれる置換基同士が環構造を構築し得る。具体的には、前記一般式(2e)において、RとR,RとR,RとR,RとR,RとR,RとR,RとR,RとR,RとRからなる置換基の組み合わせのうち、少なくとも1組が、互いに結合して、環構造を構築し得る。
本実施形態において、置換基同士が結合して構築する環構造は、縮合環であることが好ましい。例えば、前記一般式(2e)において当該環構造を構築する場合としては、縮合6員環構造が構築される場合が考えられる。
また、本実施形態に係る第二の材料は、その分子中に、下記一般式(2y)で表される構造を有していることが好ましい。
前記一般式(2y)におけるR11〜R19は、それぞれ独立に、前記一般式(2e)におけるR〜Rと同義である。
ただし、R11〜R19のうち少なくともいずれかは、前記第二の材料の分子中における他の原子と結合する単結合である。
前記一般式(2y)において、R11〜R19から選ばれる置換基同士の組み合せのうち少なくとも1組は、互いに結合して、環構造を構築していてもよい。
前記一般式(2y)において、AおよびBは、それぞれ独立に、下記一般式(2g)で表される環構造、または下記一般式(2h)で表される環構造を示し、環構造Aおよび環構造Bは、隣接する環構造と任意の位置で縮合している。
pxは、環構造Aの数であり、0以上4以下の整数である。pxが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Aは、互いに同一でも異なっていてもよい。pyが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Bは、互いに同一でも異なっていてもよい。pyは、環構造Bの数であり、0以上4以下の整数である。したがって、例えば、pxが2のとき、2つの環構造Aは、下記一般式(2g)で表される環構造が2つでもよいし、下記一般式(2h)で表される環構造が2つでもよいし、下記一般式(2g)で表される環構造を1つと、下記一般式(2h)で表される環構造を1つとの組み合わせでもよい。
前記一般式(2g)において、R201およびR202は、それぞれ独立に、前記R〜Rと同義であり、R201およびR202が互いに結合して、環構造を構築していてもよい。R201およびR202は前記一般式(2g)の6員環を構築している炭素原子にそれぞれ結合する。
前記一般式(2h)において、Zは、CR203204、NR205、硫黄原子、または酸素原子を表し、R202〜R205は、それぞれ独立に、前記R〜Rにおける置換基と同義である。
前記一般式(2y)中、R11〜R19、R201〜R205から選ばれる置換基同士の組み合せのうち少なくとも1組は、互いに結合して、環構造を構築していてもよい。
前記一般式(2y)において、pxが0であって、pyがc個である場合、下記一般式(2f)で表される。
前記一般式(2f)におけるR11〜R19は、それぞれ独立に、前記一般式(2e)におけるR〜Rと同義である。
ただし、R11〜R19のうち少なくともいずれかは、前記第二の材料の分子中における他の原子と結合する単結合である。
前記一般式(2f)において、R11〜R19から選ばれる置換基同士の組み合せのうち少なくとも1組は、互いに結合して、環構造を構築していてもよい。
前記一般式(2f)において、Eは、前記一般式(2g)で表される環構造、または前記一般式(2h)で表される環構造を示し、この環構造Eは、隣接する環構造と任意の位置で縮合している。
cは、環構造Eの数であり、1以上4以下の整数である。cが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Eは、互いに同一でも異なっていてもよい。したがって、例えば、cが2のとき、2つの環構造Eは、前記一般式(2g)で表される環構造が2つでもよいし、前記一般式(2h)で表される環構造が2つでもよいし、下記一般式(2g)で表される環構造を1つと、前記一般式(2h)で表される環構造を1つとの組み合わせでもよい。
本実施形態に係る第二の材料は、下記一般式(2A)で表されることが好ましい。
前記一般式(2A)において、nは、1以上の整数であり、tは、1以上の整数であり、uは、0以上の整数である。
は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環または環形成原子数6〜30の芳香族複素環である。
CNは、シアノ基である。
およびDは、それぞれ独立に、前記一般式(2Y)で表され、ただし、前記一般式(2Y)における環構造Fおよび環構造Gは、無置換でも置換基を有していても良く、mは、0あるいは1であり、mが1の場合には、Y20は、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、カルボニル基、CR2122、SiR2324またはGeR2526を表し、R21〜R26は、前記Rと同義である。また、mが1である場合、前記一般式(2Y)は、前記一般式(22)〜(25)並びに前記一般式(21Y)〜(24Y)のいずれかで表される。
とDとは同じであっても異なっていても良い。tが2以上の場合、複数のDは、互いに同一でも異なっていてもよい。uが2以上の場合、複数のDは、互いに同一でも異なっていてもよい。
本実施形態において、前記Lは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14の芳香族炭化水素環であることが好ましい。環形成炭素数6〜14の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、フルオレン、フェナントレンなどが挙げられる。さらに好ましくは、環形成炭素数6〜10の芳香族炭化水素環である。
また、前記Lにおける環形成原子数6〜30の芳香族複素環としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、キナゾリン、フェナントロリン、ベンゾフラン、ジベンゾフランなどが挙げられる。
本実施形態では、前記一般式(2A)において、Lで表される芳香族炭化水素環を構築している第1の炭素原子に前記Dまたは前記Dが結合し、前記第1の炭素原子の隣の第2の炭素原子に前記CNが結合していてもよい。例えば、本実施形態に係る化合物は、下記一般式(2B)で表される部分構造のように、第1の炭素原子Cに前記Dが結合し、第1の炭素原子Cの隣の第2の炭素原子Cにシアノ基が結合していてもよい。下記一般式(2B)におけるDは、前記Dまたは前記Dと同義である。下記一般式(2B)において、波線部分は他の構造または原子との結合箇所を表す。
前記一般式(2a)や前記一般式(2b)のような構造を有するDまたはDと、シアノ基とが隣り合って前記Lで表される芳香族炭化水素環に結合していることで、化合物のΔSTの値を低減させることができる。
本実施形態において、前記tは、2以上の整数であることが好ましい。前記Lで表される芳香族炭化水素環に2以上の前記Dが結合している場合、複数のDは、互いに同一構造であっても異なる構造であってもよい。
本実施形態に係る第二の材料は、下記一般式(21)で表されることが好ましい。
前記一般式(21)中、A21およびB21は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の芳香族複素環基を表す。
21〜X28およびY21〜Y28は、それぞれ独立に、窒素原子、Rと結合する炭素原子、またはL23と結合する炭素原子を表す。ただし、X25〜X28のうち少なくともいずれかが、L23と結合する炭素原子であり、Y21〜Y24のうち少なくともいずれかが、L23と結合する炭素原子である。
は、それぞれ独立に、水素原子、または置換基であり、このRにおける置換基は、
ハロゲン原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の芳香族複素環基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、および
置換もしくは無置換のシリル基からなる群から選択される置換基である。
21およびL22は、それぞれ独立に、単結合または連結基であり、
21およびL22における連結基としては、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、
前記芳香族炭化水素基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる多重連結基、
前記複素環基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる多重連結基、又は
前記芳香族炭化水素基及び前記複素環基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる多重連結基である。
23は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以下の単環炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数6以下の単環複素環基を表す。
wは、0〜3の整数を表す。wが0のとき、X25〜X28のうち少なくともいずれかと、Y21〜Y24のうち少なくともいずれかとが直接結合する。
なお、単環炭化水素基は、縮合環ではなく、単一の炭化水素環(脂肪族環状炭化水素または芳香族炭化水素)から誘導される基であり、単環複素環基は、単一の複素環から誘導される基である。
さらに、前記一般式(21)において、下記(i)および(ii)の少なくともいずれかの条件を満たす。
(i)A21およびB21の少なくともいずれかが、シアノ基で置換された環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、またはシアノ基で置換された環形成原子数6〜30の芳香族複素環基である。
(ii)X21〜X24およびY25〜Y28の少なくともいずれかが、Rと結合する炭素原子であり、当該Rの少なくともいずれかが、シアノ基で置換された環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、またはシアノ基で置換された環形成原子数6〜30の芳香族複素環基である。
ただし、Rが複数存在する場合、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(21)において、前記A21及びB21で表される環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基または環形成原子数6〜30の芳香族複素環基が置換基を有する場合、当該置換基が、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数1〜20のハロアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルシリル基、環形成炭素数6〜30のアリール基、環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、炭素数6〜30のアラルキル基及び環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される一種以上の基であることが好ましい。複数の置換基を有する場合には、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(21)において、前記(i)の条件を満たし、前記(ii)の条件を満たさないことが好ましい。
または、前記一般式(21)において、前記(ii)の条件を満たし、前記(i)の条件を満たさないことが好ましい。
または、前記(i)の条件および前記(ii)の条件を満たすことも好ましい。
前記一般式(21)において、A21およびB21の少なくともいずれかが、
シアノ基で置換されたフェニル基、
シアノ基で置換されたナフチル基、
シアノ基で置換されたフェナントリル基、
シアノ基で置換されたジベンゾフラニル基、
シアノ基で置換されたジベンゾチオフェニル基、
シアノ基で置換されたビフェニル基、
シアノ基で置換されたターフェニル基、
シアノ基で置換された9,9−ジフェニルフルオレニル基、
シアノ基で置換された9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル基、
シアノ基で置換された9,9−ジメチルフルオレニル基、または
シアノ基で置換されたトリフェニレニル基であることが好ましい。
前記一般式(21)において、X21〜X24およびY25〜Y28の少なくとも1つはCRであり、X21〜X24およびY25〜Y28におけるRの少なくともいずれかが、
シアノ基で置換されたフェニル基、
シアノ基で置換されたナフチル基、
シアノ基で置換されたフェナントリル基、
シアノ基で置換されたジベンゾフラニル基、
シアノ基で置換されたジベンゾチオフェニル基、
シアノ基で置換されたビフェニル基、
シアノ基で置換されたターフェニル基、
シアノ基で置換された9,9−ジフェニルフルオレニル基、
シアノ基で置換された9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−2−イル基、
シアノ基で置換された9,9−ジメチルフルオレニル基、または
シアノ基で置換されたトリフェニレニル基であることが好ましい。
前記一般式(21)において、X26とY23とが、L23を介して結合しているか、
もしくは直接結合していることが好ましい。
また、前記一般式(21)において、X26とY22とが、L23を介して結合しているか、もしくは直接結合していることが好ましい。
また、前記一般式(21)において、X27とY23とが、L23を介して結合しているか、もしくは直接結合していることが好ましい。
前記一般式(21)において、wが0であることが好ましい。
または、前記一般式(21)において、wが1であることが好ましい。
前記一般式(21)において、L21およびL22が、単結合、または置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
本実施形態に係る第二の材料の具体例を以下に示す。なお、本発明における第二の材料は、これらの具体例に限定されない。
・第二の材料の製造方法
第二の材料は、例えば前記一般式(2)で表される部分構造を有し、Z〜Zのうち少なくとも1つがハロゲン原子と結合した炭素原子である市販の化合物を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等の触媒および塩基の存在下で、一般式(2Y)で表され、環構造Fおよび環構造Gと結合した窒素原子に水素原子が結合した化合物を反応させて製造することができる。
・第三の材料
本実施形態に係る第三の材料の一重項エネルギーは、前記第二の材料の一重項エネルギーよりも大きい。
本実施形態において、第三の材料は、一つの分子中に下記一般式(31)で表される部分構造および下記一般式(32)で表される部分構造のうち少なくともいずれかを含むことが好ましい。
(前記一般式(31)において、X31〜X36は、それぞれ独立に、窒素原子、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、ただし、X31〜X36の内少なくともいずれかは、前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
前記一般式(32)において、Y31〜Y38は、それぞれ独立に、窒素原子、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、ただし、Y31〜Y38の内少なくともいずれかは、前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、Y39は、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子である。)
本実施形態において、前記一般式(31)で表される部分構造は、下記一般式(33)および下記一般式(34)からなる群から選択される少なくともいずれかの基として前記第三の材料に含まれることが好ましい。
下記一般式(33)および下記一般式(34)で表されるように、結合箇所が互いにメタ位に位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)を高く保つことができるため、前記第三の材料として好ましい。
(前記一般式(33)および前記一般式(34)において、X31,X32,X34,X36は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR31であり、
31は、水素原子または置換基であり、このR31における置換基は、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、
置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、
置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、
置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R31における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
前記一般式(33)および前記一般式(34)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。)
本実施形態において、前記R31は、水素原子または置換基であって、このR31における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であることが好ましく、前記R31は、水素原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基であることがより好ましい。
本実施形態では、前記一般式(33)において、前記X31,前記X32,前記X34,前記X36は、それぞれ独立に、CR31であることが好ましい。
また、本実施形態では、前記一般式(34)において、前記X32,前記X34,前記X36は、それぞれ独立に、CR31であることが好ましい。
本実施形態において、前記一般式(32)で表される部分構造は、下記一般式(35),下記一般式(36),下記一般式(37),下記一般式(38),下記一般式(39),および下記一般式(30a)からなる群から選択される少なくともいずれかの基として前記第三の材料に含まれることが好ましい。
下記一般式(35)、下記一般式(36)、下記一般式(37)、下記一般式(38)、下記一般式(39)、および下記一般式(30a)で表されるように結合箇所が位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kを高く保つことができるため、前記第三の材料として好ましい。
(前記一般式(35)〜(39),(30a)において、
31〜Y38は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR32であり、
32は、水素原子または置換基であり、このR32における置換基は、
ハロゲン原子、
シアノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、
置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、
置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、
置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R32における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
前記一般式(35)〜(36)において、Y39は、窒素原子であり、
前記一般式(37)〜(39),(30a)において、Y39は、NR33、酸素原子、または硫黄原子であり、
33は、置換基であり、このR33における置換基は、
シアノ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、
置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキルチオ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、
置換もしくは無置換の炭素数3〜50のアルキルシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、および
置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R33における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
前記一般式(35)〜(39),(30a)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。)
本実施形態において、前記R32は、水素原子または置換基であって、このR32における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であることが好ましく、前記R32は、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基であることがより好ましい。
本実施形態では、前記一般式(35)において、Y31〜Y38は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましい。
また、前記一般式(36)および前記一般式(37)において、Y31〜Y35,Y37,Y38は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましい。
また、前記一般式(38)において、Y31,Y32,Y34,Y35,Y37,Y38は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましい。
また、前記一般式(39)において、Y32〜Y38は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましい。
また、前記一般式(30a)において、Y32〜Y37は、それぞれ独立に、CR32であることが好ましい。
これらの場合において、複数のR32は、同一でも異なっていてもよい。
本実施形態において、第三の材料は、下記一般式(30b)で表される基を含むことが好ましい。
下記一般式(30b)で表されるように結合箇所が位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kを高く保つことができるため、前記第三の材料として好ましい。
(前記一般式(30b)において、
31,X32,X34,X36は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR31であり、
31,Y32,Y34〜Y38は、それぞれ独立に、窒素原子、CR32、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、このR31およびR32における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R31および前記R32における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
39は、NR33、酸素原子、または硫黄原子であり、
33は、置換基であり、このR33における置換基は、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R33における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
32とY34とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5152を介して架橋されていてもよく、
34とY32とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5354を介して架橋されていてもよく、
51〜R54は、それぞれ独立に、前記R33における置換基と同義であり、
前記一般式(30b)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。)
例えば、前記一般式(30b)において、X32とY34とが、酸素原子、硫黄原子、またはCR5152を介して架橋される場合は、下記一般式(30b−1)で表される。
ただし、前記一般式(30b−1)において、Z31は、酸素原子、硫黄原子、またはCR5152である。
本実施形態において、前記第三の材料は、下記一般式(30c)で表される基を含むことが好ましい。
下記一般式(30c)で表されるように結合箇所が位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kを高く保つことができるため、前記第三の材料として好ましい。
(前記一般式(30c)において、
31,X32,X34,X36は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR31であり、
31,Y32,Y34,Y35,Y37,Y38は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR32であり、
41〜Y45,Y47,Y48は、それぞれ独立に、窒素原子、CR34、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
31,R32,R34は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、このR31,R32,R34における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R31,前記R32,前記R34における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
39は、NR33、酸素原子、または硫黄原子であり、
49は、NR35、酸素原子、または硫黄原子であり、
33,R35は、それぞれ独立に、置換基であり、このR33,R35における置換基は、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R33,前記R35における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
32とY34とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5152を介して架橋されていてもよく、
34とY32とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5354を介して架橋されていてもよく、
51〜R54は、それぞれ独立に、前記R33,R35における置換基と同義であり、
前記一般式(30c)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。)
例えば、前記一般式(30c)において、X32とY34とが、酸素原子、硫黄原子、またはCR5152を介して架橋される場合は、下記一般式(30c−1)で表される。
ただし、前記一般式(30c−1)において、Z32は、酸素原子、硫黄原子、またはCR5152である。
本実施形態において、前記第三の材料は、下記一般式(30d)で表される基を含むことが好ましい。
下記一般式(30d)で表されるように結合箇所が位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kを高く保つことができるため、前記第三の材料として好ましい。
(前記一般式(30d)において、
31,X32,X34,X36は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR31であり、
41,X43,X44,X45は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR36であり、
31,R36は、それぞれ独立に、置換基であり、このR31,R36における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R31,前記R36における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
32とX41とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5556を介して架橋されていてもよく、
34とX45とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5758を介して架橋されていてもよく、
55〜R58は、それぞれ独立に、置換基であり、このR55〜R58における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R55〜R58における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
前記一般式(30d)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。)
例えば、前記一般式(30d)において、X32とX41とが、酸素原子、硫黄原子、またはCR5556を介して架橋される場合は、下記一般式(30d−1)で表される。
ただし、前記一般式(30d−1)において、Z33は、酸素原子、硫黄原子、またはCR5556である。
本実施形態において、前記第三の材料は、下記一般式(30e)で表される基を含むことが好ましい。
下記一般式(30e)で表されるように結合箇所が位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kを高く保つことができるため、前記第三の材料として好ましい。
(前記一般式(30e)において、
31,X32,X34,X36は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR31であり、
41,X43,X44,X45は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR36であり、
31〜Y35,Y37,Y38は、それぞれ独立に、窒素原子、CR32、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
31,R32,R36は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、このR31,R32,R36における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R31,前記R32,前記R36における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
39は、NR33、酸素原子、または硫黄原子であり、
33は、置換基であり、このR33における置換基は、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R33における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
32とX41とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5556を介して架橋されていてもよく、
34とX45とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5758を介して架橋されていてもよく、
41とY37とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR5960を介して架橋されていてもよく、
43とY35とは、酸素原子、硫黄原子、またはCR6162を介して架橋されていてもよく、
55〜R62は、それぞれ独立に、前記R33における置換基と同義であり、
前記一般式(30e)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。)
例えば、前記一般式(30e)において、X32とX41とが、酸素原子、硫黄原子、またはCR5556を介して架橋される場合は、下記一般式(30e−1)で表される。
ただし、前記一般式(30e−1)において、Z34は、酸素原子、硫黄原子、またはCR5556である。
例えば、前記一般式(30e)において、X41とY37とが、酸素原子、硫黄原子、またはCR5960を介して架橋される場合は、下記一般式(30e−2)で表される。
ただし、前記一般式(30e−2)において、Z35は、酸素原子、硫黄原子、またはCR5960である。
本実施形態において、前記第三の材料は、下記一般式(30f)で表される基を含むことが好ましい。
下記一般式(30f)で表されるように結合箇所が位置することは、77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kを高く保つことができるため、前記第三の材料として好ましい。
(前記一般式(30f)において、
31,Y32,Y34,Y35,Y37,Y38は、それぞれ独立に、窒素原子、またはCR32であり、
41〜Y45,Y47,Y48は、それぞれ独立に、窒素原子、CR34、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
32,R34は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、このR32,R34における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R32,前記R34における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
39は、NR33、酸素原子、または硫黄原子であり、
49は、NR35、酸素原子、または硫黄原子であり、
33,R35は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、このR33,R35における置換基は、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールシリル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R33,前記R35における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
前記一般式(30f)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。)
本実施形態において、前記第三の材料は、下記一般式(30g)、下記一般式(30h)および下記一般式(30i)のうち少なくともいずれかで表される基を含んでいてもよい。
前記一般式(30g)、前記一般式(30h)および前記一般式(30i)において、Y31〜Y38,Y41〜Y48,Y51〜Y58は、それぞれ独立に、窒素原子、CR37、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
37は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、このR37における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基、置換もしくは無置換のアリールアルキルシリル基、置換もしくは無置換のトリアリールシリル基、置換もしくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R37における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
49,Y59は、それぞれ独立に、NR38、酸素原子、または硫黄原子であり、R38は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、このR38における置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキルチオ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜50のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基からなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R38における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基は、非縮合環であり、
前記一般式(30g)、前記一般式(30h)および前記一般式(30i)において、波線部分は、前記第三の材料の分子中における他の原子または他の構造との結合箇所を表す。
また、前記一般式(32)、前記一般式(35)、前記一般式(36)、前記一般式(37)、前記一般式(38)、前記一般式(39)、前記一般式(30a)、前記一般式(30b)、前記一般式(30c)、前記一般式(30e)、前記一般式(30f)、前記一般式(30h)および前記一般式(30i)においてY39、Y49が、それぞれ独立して酸素原子もしくは硫黄原子である場合、イオン化ポテンシャルIpが大きくなるため、前記第三の材料として好ましく、酸素原子である場合は、イオン化ポテンシャルIpがより大きくなるため、より好ましい。
本実施形態において、第三の材料は、芳香族炭化水素化合物、又は芳香族複素環化合物であることも好ましい。
・第三の材料の製造方法
前記一般式第三の材料は、例えば、国際公開第2012/153780号(WO2012/153780A1)や国際公開第2013/038650号(WO2013−038650A1)に記載の方法により製造することができる。
本実施形態に係る第三の材料における置換基の具体例は、例えば、以下のとおりであるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。
芳香族炭化水素基(アリ−ル基)の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾアントリル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、フルオランテニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基等を挙げることができる。
置換基を有する芳香族炭化水素基としては、トリル基、キシリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基等を挙げることができる。
具体例が示すように、アリール基は、縮合アリール基及び非縮合アリール基の両方を含む。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基が好ましい。
発光層を青色で発光させる有機EL素子の場合には、第三の材料における置換基としての芳香族炭化水素基は、非縮合芳香族炭化水素基であることが好ましい。
芳香族複素環基(ヘテロアリール基、ヘテロ芳香族環基、複素環基)の具体例としては、ピロリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピリジル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、ベンズオキサゾリル基、チエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンズチアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられ、好ましくは、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アザジベンゾフラニル基、アザジベンゾチオフェニル基等を挙げることができる。
芳香族複素環基としては、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アザジベンゾフラニル基、アザジベンゾチオフェニル基が好ましく、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾフラニル基、アザジベンゾチオフェニル基がさらに好ましい。
トリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等であり、置換若しくは無置換のアリールアルキルシリル基の具体例としては、ジフェニルメチルシリル基、ジトリルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等であり、置換若しくは無置換のトリアリールシリル基の具体例としては、トリフェニルシリル基、トリトリルシリル基等を挙げることができる。
ジアリールホスフィンオキシド基の具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジトリルホスフィンオキシド基等を挙げることができる。
また、R、R、Ar、Ar、Ar、Arが置換基を有する場合、それらの置換基は、置換若しくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数3〜30のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のトリアルキルシリル基、置換若しくは無置換のアリールアルキルシリル基、置換若しくは無置換のトリアリールシリル基、置換若しくは無置換のジアリールホスフィンオキシド基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜30の芳香族複素環基等であり、好ましくは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜30の芳香族複素環基であり、芳香族炭化水素環基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾアントリル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、フルオランテニル基等が挙げられ、芳香族複素環基の具体例としては、ピロリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピリジル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、ベンズオキサゾリル基、チエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンズチアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられる。
発光層を青色で発光させる有機EL素子の場合には、第三の材料における置換基としての芳香族複素環基は、非縮合芳香族複素環基であることが好ましい。
本実施形態に係る第三の材料の具体例を以下に示す。なお、本発明における第三の材料は、これらの具体例に限定されない。
(発光層における第一の材料、第二の材料および第三の材料の関係性)
本実施形態では、第三の材料は、発光層において、上述の本実施形態に係る第二の材料同士が分子会合することを抑制する分散材としての機能を有すると考えられる。
本実施形態に係る第二の材料は、熱活性遅延蛍光性の材料であるため、分子会合を起こし易い。分子会合体の励起エネルギー(一重項エネルギーや三重項エネルギー)は、単量体と比較して、小さい。そのため、薄膜中において第二の材料の濃度が高くなると、分子会合によるエネルギー損失が予測される。
従って、特に励起エネルギーの大きい青色蛍光発光性材料を用いた際に、第三の材料を使用することによるエネルギー損失を抑え、発光素子の効率向上に寄与することができる。また、赤色で発光する波長領域から黄色で発光する波長領域までの範囲の波長で発光する発光材料においても、キャリアバランスファクターが向上し、発光素子の効率向上に寄与することができる。
従前の蛍光型、燐光型の発光素子においては、ホスト材料や発光材料以外の機能を有する第三の材料を発光層に付加することで、本実施形態で示すような発光効率の向上は考えにくかった。しかしながら、本実施形態の熱活性遅延蛍光型の発光素子では、比較的に小さい一重項エネルギーを持つ熱活性遅延蛍光材料が発光層中のキャリア輸送を担い、より一重項エネルギーの大きい第三の材料が相対的にキャリア輸送を担い難い関係にあるため、キャリアバランスファクターを大きく変える可能性を有している。この結果、発光素子の効率向上に寄与することができる。
第三の材料の一重項エネルギーは、第二の材料の一重項エネルギーよりも高いため、励起状態の第三の材料は、第一の材料や第二の材料と比べて不安定である。そのため、第三の材料としては、発光層において、励起子生成やキャリア輸送に関与しない方が好ましい。このような第三の材料は、従来の有機EL素子において発光層に含有させる材料の選択基準からすると、特異的である。従来の蛍光発光型の有機EL素子では、電気的および光化学的に高い機能を有する材料を選択して発光層に含有させていたが、本実施形態では、励起子生成やキャリア輸送に関与しないような第三の材料を発光層に敢えて含有させているからである。
本実施形態において、第二の材料の一重項エネルギーEgS(M2)は、前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(M1)よりも大きいことが好ましい。
すなわち、EgS(M1)<EgS(M2)<EgS(M3)の関係を満たすことが好ましい。
本実施形態において、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)は、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M1)よりも大きく、前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)は、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)よりも大きいことが好ましい。
すなわち、Eg77K(M1)<Eg77K(M2)<Eg77K(M3)の関係を満たすことが好ましい。
本実施形態において、前記第二の材料の一重項エネルギーEgS(M2)と、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)との差ΔST(M2)が、下記数式(数1)の関係を満たすことが好ましい。
ΔST(M2)=EgS(M2)−Eg77K(M2)<0.3[eV] …(数1)
ΔST(M2)は、0.2[eV]未満であることが好ましい。
本実施形態において、前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(M1)と、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M1)との差ΔST(M1)が、下記数式(数2)の関係を満たすことが好ましい。
ΔST(M1)=EgS(M1)−Eg77K(M1)>0.3[eV] …(数2)
本実施形態において、前記第三の材料の一重項エネルギーEgS(M3)と、前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)との差ΔST(M3)が、下記数式(数3)の関係を満たすことが好ましい。
ΔST(M3)=EgS(M3)−Eg77K(M3)>0.3[eV] …(数3)
本実施形態において、前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)は、2.9eV以上であることが好ましい。第三の材料が、このようなエネルギーギャップEg77K(M3)を有することで、発光層において第三の材料が励起子生成やキャリア輸送に関与し難くさせることができる。
・ΔST
一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTの差に値するΔSTを小さくするには、量子化学的には、一重項エネルギーEgSと三重項エネルギーEgTにおける交換相互作用が小さいことで実現する。ΔSTと交換相互作用の関係性における物理的な詳細に関しては、例えば、次の参考文献1や参考文献2に記載されている。
参考文献1:安達千波矢ら、有機EL討論会 第10回例会予稿集、S2−5,p11〜12
参考文献2:徳丸克己、有機光化学反応論、東京化学同人出版、(1973)
このような材料は、量子計算により分子設計を行い合成することが可能であり、具体的には、LUMO、及びHOMOの電子軌道を重ねないように局在化させた化合物である。
本実施形態の第二の材料に用いるΔSTの小さな化合物の例としては、分子内でドナー要素とアクセプター要素とを結合した化合物であり、さらに電気化学的な安定性(酸化還元安定性)を考慮し、ΔSTが0eV以上0.3eV未満の化合物が挙げられる。
また、より好ましい化合物は、分子の励起状態で形成される双極子(ダイポール)が互いに相互作用し、交換相互作用エネルギーが小さくなるような会合体を形成する化合物である。本発明者らの検討によれば、このような化合物は、双極子(ダイポール)の方向がおおよそ揃い、分子の相互作用により、さらにΔSTが小さくなり得る。このような場合、ΔSTは、0eV以上0.2eV以下と極めて小さくなり得る。
・TADF機構
本実施形態の有機EL素子では、第二の材料としてΔST(M2)が小さい化合物を用いることが好ましく、外部から与えられる熱エネルギーによって、第二の材料の三重項準位から第二の材料の一重項準位への逆項間交差が起こり易くなる。有機EL素子内部の電気励起された励起子の励起三重項状態が、逆項間交差によって、励起一重項状態へスピン交換がされるエネルギー状態変換機構をTADF機構と呼ぶ。
図4は、発光層における第一の材料、第二の材料および第三の材料のエネルギー準位の関係の一例を示すものである。図4において、S0は、基底状態を表し、S1(M1)は、第一の材料の最低励起一重項状態を表し、T1(M1)は、第一の材料の最低励起三重項状態を表し、S1(M2)は、第二の材料の最低励起一重項状態を表し、T1(M2)は、第二の材料の最低励起三重項状態を表し、S1(M3)は、第三の材料の最低励起一重項状態を表し、T1(M3)は、第三の材料の最低励起三重項状態を表す。図4中のS1(M2)からS1(M1)へ向かう破線の矢印は、第二の材料の最低励起一重項状態から第一の材料の最低励起一重項状態へのフェルスター型エネルギー移動を表す。
図4に示すように、第二の材料としてΔST(M2)の小さな材料用いると、最低励起三重項状態T1(M2)は、熱エネルギーにより、最低励起一重項状態S1(M2)に逆項間交差が可能である。そして、第二の材料最低励起一重項状態S1(M2)から第一の材料の最低励起一重項状態S1(M1)へのフェルスター型エネルギー移動が生じる。この結果、第一の材料の最低励起一重項状態S1(M1)からの蛍光発光を観測することができる。このTADF機構による遅延蛍光を利用することによっても、理論的に内部効率を100%まで高めることができると考えられている。
・三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係
ここで、三重項エネルギーと77[K]におけるエネルギーギャップとの関係について説明する。本実施形態では、77[K]におけるエネルギーギャップは、通常定義される三重項エネルギーとは異なる点がある。
測定対象となる第一の材料および第三の材料に関しては、三重項エネルギーの測定は、次のようにして行われる。測定対象となる化合物をEPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比))中に、濃度が10μmol/Lとなるように溶解し、この溶液を石英セル中に入れて測定試料とした。この測定試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式1から算出されるエネルギー量を77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kとした。
換算式1:Eg77K[eV]=1239.85/λedge
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体を用いた。なお、燐光測定装置は、ここで用いた装置に限定されない。
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引く。燐光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線(すなわち変曲点における接線)が、当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の15%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
測定対象となる第二の材料に関しては、三重項エネルギーの測定は、次のようにして行われる。測定対象となる化合物(第二の材料)と、化合物TH−2とを石英基板上に共蒸着し、NMR管内に封入した試料を作製する。なお、この試料は、下記の条件にて作られたものである。
石英基板/TH−2:第二の材料(膜厚100nm,第二の材料濃度:12質量%)
この測定試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式2から算出されるエネルギー量を77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kとした。
換算式2:Eg77K[eV]=1239.85/λedge
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体を用いた。なお、燐光測定装置は、ここで用いた装置に限定されない。
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は、第一の材料および第三の材料の燐光スペクトルにおける接線の引き方と同様にして引く。
ここで、本実施形態に用いる第二の材料としては、ΔSTが小さい化合物であることが好ましい。ΔSTが小さいと、低温(77[K])状態でも、項間交差、及び逆項間交差が起こりやすく、励起一重項状態と励起三重項状態とが混在する。その結果、上記と同様にして測定されるスペクトルは、励起一重項状態および励起三重項状態の両者からの発光を含んだものとなり、いずれの状態から発光したものかについて峻別することは困難であるが、基本的には三重項エネルギーの値が支配的と考えられる。
そのため、本実施形態では、通常の三重項エネルギーEgTと測定手法は同じであるが、その厳密な意味において異なることを区別するため、次のようにして測定される値をエネルギーギャップEg77Kと称する。
・一重項エネルギーEgS
一重項エネルギーEgSは、次のようにして測定される。
測定対象となる化合物の10μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:発光強度、横軸:波長とする。)を測定した。この吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を次に示す換算式3に代入して一重項エネルギーを算出した。
換算式3:EgS[eV]=1239.85/λedge
本実施例では、吸収スペクトルを日立社製の分光光度計(装置名:U3310)で測定した。なお、吸収スペクトル測定装置は、ここで用いた装置に限定されない。
本実施形態では、一重項エネルギーEgSとエネルギーギャップEg77Kとの差をΔSTとして定義する。
本実施形態において、前記第三の材料のイオン化ポテンシャルIp(M3)と、前記第二の材料のイオン化ポテンシャルIp(M2)とが下記数式(数4)の関係を満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、発光層において第三の材料が励起子生成やキャリア輸送に関与し難くさせることができる。
Ip(M3)≧Ip(M2) …(数4)
本実施形態において、前記第三の材料のイオン化ポテンシャルIp(M3)は、6.3eV以上であることが好ましい。第三の材料が、このようなイオン化ポテンシャルIp(M3)を有することで、発光層において第三の材料が励起子生成やキャリア輸送に関与し難くさせることができる。
なお、イオン化ポテンシャルの測定は、大気下で光電子分光装置を用いて測定することができる。具体的には、材料に光を照射し、その際に電荷分離によって生じる電子量を測定することにより測定した。測定装置としては、例えば、理研計器株式会社製の光電子分光装置(装置名:AC−3)などが挙げられる。
本実施形態において、前記第三の材料の電子親和力Af(M3)と、前記第二の材料の電子親和力Af(M2)とが下記数式(数5)の関係を満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、発光層において第三の材料が励起子生成やキャリア輸送に関与し難くさせることができる。
Af(M3)≦Af(M2) …(数5)
本実施形態において、前記第三の材料の電子親和力Af(M3)は、2.8eV以上であることが好ましい。第三の材料が、このような電子親和力Af(M3)を有することで、発光層において第三の材料が励起子生成やキャリア輸送に関与し難くさせることができる。
電子親和力(アフィニティ)は、上述の方法で測定した化合物のイオン化ポテンシャルIp、および一重項エネルギーEgSの測定値を用い、次の計算式(数8)から算出することができる。
Af=Ip−EgS …(数8)
・発光層の膜厚
本実施形態の有機EL素子における発光層の膜厚は、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは7nm以上50nm以下、最も好ましくは10nm以上50nm以下である。5nm未満では発光層形成が困難となり、色度の調整が困難となるおそれがあり、50nmを超えると駆動電圧が上昇するおそれがある。
・発光層における材料の含有率
本実施形態の有機EL素子では、発光層において、第一の材料の含有率は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、第二の材料の含有率は、1質量%以上75質量%以下であることが好ましく、第三の材料の含有率は、1質量%以上75質量%以下であることが好ましい。発光層における第一の材料、第二の材料および第三の材料の合計含有率の上限は、100質量%である。なお、本実施形態は、発光層に、第一の材料、第二の材料および第三の材料以外の材料が含まれることを除外するものではない。
(基板)
基板は、有機EL素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチックなどを用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリエチレンナフタレートからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
(陽極)
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素もしくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン、および酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
これらの材料は、通常、スパッタリング法により成膜される。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛は、酸化インジウムに対し1質量%以上10質量%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。また、例えば、酸化タングステン、および酸化亜鉛を含有した酸化インジウムは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5質量%以上5質量%以下、酸化亜鉛を0.1質量%以上1質量%以下含有したターゲットを用いることにより、スパッタリング法で形成することができる。その他、真空蒸着法、塗布法、インクジェット法、スピンコート法などにより作製してもよい。
陽極上に形成されるEL層のうち、陽極に接して形成される正孔注入層は、陽極の仕事関数に関係なく正孔(ホール)注入が容易である複合材料を用いて形成されるため、電極材料として可能な材料(例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物、その他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素も含む)を用いることができる。
仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびこれらを含む合金を用いて陽極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。さらに、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
(陰極)
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。
なお、アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金を用いて陰極を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
なお、電子注入層を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、グラフェン、珪素もしくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を用いて陰極を形成することができる。これらの導電性材料は、スパッタリング法やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することができる。
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。
また、正孔注入性の高い物質としては、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等やジピラジノ[2,3−f:20,30−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)も挙げられる。
また、正孔注入性の高い物質としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることもできる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BAFLP)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。
正孔輸送層には、CBP、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(PCzPA)のようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
正孔輸送層を二層以上配置する場合、エネルギーギャップのより大きい材料を発光層に近い側に配置することが好ましい。このような材料として、後記する実施例で用いた、HT−2が挙げられる。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。具体的には低分子の有機化合物として、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Znq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体等を用いることができる。また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(ptert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。本実施態様においては、ベンゾイミダゾール化合物を好適に用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔輸送性よりも電子輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、電子輸送層には、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)などを用いることができる。
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。その他、電子輸送性を有する物質にアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を含有させたもの、具体的にはAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いてもよい。なお、この場合には、陰極からの電子注入をより効率良く行うことができる。
あるいは、電子注入層に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
(層形成方法)
本実施形態の有機EL素子の各層の形成方法としては、上記で特に言及した以外には制限されないが、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、イオンプレーティング法などの乾式成膜法や、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法、インクジェット法などの湿式成膜法などの公知の方法を採用することができる。
(膜厚)
本実施形態の有機EL素子の各有機層の膜厚は、上記で特に言及した以外には制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジニル基は環形成炭素数5であり、フラニル基は環形成炭素数4である。また、ベンゼン環やナフタレン環に置換基として例えばアルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、環形成炭素数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の炭素数は環形成炭素数の数に含めない。
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば単環、縮合環、環集合)の化合物(例えば単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば環を構成する原子の結合手を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ピリジン環は、環形成原子数が6であり、キナゾリン環は、環形成原子数が10であり、フラン環は、環形成原子数が5である。ピリジン環やキナゾリン環の炭素原子にそれぞれ結合している水素原子や置換基を構成する原子については、環形成原子数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の原子数は環形成原子数の数に含めない。
次に前記一般式に記載の各置換基について説明する。
本実施形態における環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基(アリール基)としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、ベンゾ[a]アントリル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、トリフェニレニル基、ベンゾ[k]フルオランテニル基、ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾ[b]トリフェニレニル基、ピセニル基、ペリレニル基などが挙げられる。
本実施形態におけるアリール基としては、環形成炭素数が6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜12であることが更に好ましい。上記アリール基の中でもフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ターフェニル基、フルオレニル基が特に好ましい。1−フルオレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基および4−フルオレニル基については、9位の炭素原子に、後述する本実施形態における置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基が置換されていることが好ましい。
本実施形態における環形成原子数5〜30の複素環基(ヘテロアリール基)としては、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリニル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾピリジニル基、ベンズトリアゾリル基、カルバゾリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基、モルホリル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基などが挙げられる。
本実施形態における複素環基の環形成原子数は、5〜20であることが好ましく、5〜14であることがさらに好ましい。上記複素環基の中でも1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基が特に好ましい。1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基および4−カルバゾリル基については、9位の窒素原子に、本実施形態における置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基または置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基が置換されていることが好ましい。
本実施形態における炭素数1〜30のアルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、アミル基、イソアミル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基、が挙げられる。
本実施形態における直鎖または分岐鎖のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。上記直鎖または分岐鎖のアルキル基の中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、アミル基、イソアミル基、ネオペンチル基が特に好ましい。
本実施形態におけるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。シクロアルキル基の環形成炭素数は、3〜10であることが好ましく、5〜8であることがさらに好ましい。上記シクロアルキル基の中でも、シクロペンチル基やシクロヘキシル基が特に好ましい。
アルキル基がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基としては、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基が1以上のハロゲン基で置換されたものが挙げられる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、トリフルオロメチルメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
本実施形態における炭素数3〜30のアルキルシリル基としては、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を有するトリアルキルシリル基が挙げられ、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−n−オクチルシリル基、トリイソブチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチル−n−プロピルシリル基、ジメチル−n−ブチルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジエチルイソプロピルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が挙げられる。トリアルキルシリル基における3つのアルキル基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
本実施形態における環形成炭素数6〜30のアリールシリル基としては、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基が挙げられる。
ジアルキルアリールシリル基は、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を2つ有し、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を1つ有するジアルキルアリールシリル基が挙げられる。ジアルキルアリールシリル基の炭素数は、8〜30であることが好ましい。
アルキルジアリールシリル基は、例えば、上記炭素数1〜30のアルキル基で例示したアルキル基を1つ有し、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を2つ有するアルキルジアリールシリル基が挙げられる。アルキルジアリールシリル基の炭素数は、13〜30であることが好ましい。
トリアリールシリル基は、例えば、上記環形成炭素数6〜30のアリール基を3つ有するトリアリールシリル基が挙げられる。トリアリールシリル基の炭素数は、18〜30であることが好ましい。
本実施形態における炭素数1〜30のアルコキシ基は、−OZと表される。このZの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基があげられる。
アルコキシ基がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、上記炭素数1〜30のアルコキシ基が1以上のハロゲン基で置換されたものが挙げられる。
本実施形態における環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基は、−OZと表される。このZの例として、上記環形成炭素数6〜30のアリール基が挙げられる。このアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基が挙げられる。
炭素数2〜30のアルキルアミノ基は、−NHR、または−N(Rと表される。このRの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。
環形成炭素数6〜60のアリールアミノ基は、−NHR、または−N(Rと表される。このRの例として、上記環形成炭素数6〜30のアリール基が挙げられる。
炭素数1〜30のアルキルチオ基は、−SRと表される。このRの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。
環形成炭素数6〜30のアリールチオ基は、−SRと表される。このRの例として、上記環形成炭素数6〜30のアリール基が挙げられる。
本発明において、「環形成炭素」とは飽和環、不飽和環、又は芳香環を構成する炭素原子を意味する。「環形成原子」とはヘテロ環(飽和環、不飽和環、および芳香環を含む)を構成する炭素原子およびヘテロ原子を意味する。
また、本発明において、水素原子とは、中性子数の異なる同位体、すなわち、軽水素(Protium)、重水素(Deuterium)、三重水素(Tritium)を包含する。
また、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基、環構造A,環構造B,環構造E,環構造F,環構造Gにおける置換基等、本実施形態における置換基としては、上述のようなアリール基、複素環基、アルキル基(直鎖または分岐鎖のアルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基)、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基の他に、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、およびカルボキシ基が挙げられる。
ここで挙げた置換基の中では、アリール基、複素環基、アルキル基、ハロゲン原子、アルキルシリル基、アリールシリル基、シアノ基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとした具体的な置換基が好ましい。
これらの置換基には、上記の置換基によって更に置換されてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成してもよい。
アルケニル基としては、炭素数2〜30のアルケニル基が好ましく、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、シクロペンタジエニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜30のアルキニル基が好ましく、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えば、エチニル、プロピニル、2−フェニルエチニル等が挙げられる。
アラルキル基としては、環形成炭素数6〜30のアラルキル基が好ましく、−Z−Zと表される。このZの例として、上記炭素数1〜30のアルキル基に対応するアルキレン基が挙げられる。このZの例として、上記環形成炭素数6〜30のアリール基の例が挙げられる。このアラルキル基は、炭素数7〜30のアラルキル基(アリール部分は炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜12)、アルキル部分は炭素数1〜30(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6)であることが好ましい。このアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基が挙げられる。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは前記置換基で置換されておらず、水素原子が結合していることを意味する。
なお、本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX〜YYのZZ基」という表現における「炭素数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表すものであり、置換されている場合の置換基の炭素数は含めない。ここで、「YY」は「XX」よりも大きく、「XX」と「YY」はそれぞれ1以上の整数を意味する。
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX〜YYのZZ基」という表現における「原子数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表すものであり、置換されている場合の置換基の原子数は含めない。ここで、「YY」は「XX」よりも大きく、「XX」と「YY」はそれぞれ1以上の整数を意味する。
以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、前記と同様である。
本実施形態において、前記芳香族炭化水素基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる多重連結基、前記複素環基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる多重連結基、又は前記芳香族炭化水素基及び前記複素環基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる多重連結基の例としては、前記芳香族炭化水素基および前記複素環基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる2価の基が挙げられる。前記芳香族炭化水素基及び前記複素環基から選ばれる2個から4個の基が結合してなる多重連結基としては、複素環基−芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基−複素環基、芳香族炭化水素基−複素環基−芳香族炭化水素基、複素環基−芳香族炭化水素基−複素環基、芳香族炭化水素基−複素環基−芳香族炭化水素基−複素環基、複素環基−芳香族炭化水素基−複素環基−芳香族炭化水素基等が挙げられる。好ましくは、前記芳香族炭化水素基と前記複素環基が1つずつ結合してなる2価の基、つまり複素環基−芳香族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基−複素環基である。なお、これらの多重連結基における芳香族炭化水素基および複素環基の具体例としては、芳香族炭化水素基および複素環基について説明した前述の基が挙げられる。
[実施形態の変形]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良などは、本発明に含まれるものである。
発光層は、1層に限られず、複数の発光層が積層されていてもよい。有機EL素子が複数の発光層を有する場合、少なくとも1つの発光層が前記第一の材料、第二の材料および第三の材料を含んでいればよく、その他の発光層が蛍光発光型の発光層であっても、三重項励起状態から直接基底状態への電子遷移による発光を利用した燐光発光型の発光層であってもよい。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよいし、中間層を介して複数の発光ユニットが積層された、いわゆるタンデム型の有機EL素子であってもよい。
また、例えば、発光層の陽極側や陰極側に障壁層を隣接させて設けてもよい。障壁層は、発光層に接して配置され、正孔、電子、励起子及びエキサイプレックスの少なくともいずれかを阻止することが好ましい。
例えば、発光層の陰極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、電子を輸送し、正孔が当該障壁層よりも陰極側の層(例えば、電子輸送層)に到達することを阻止する。
また、発光層の陽極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、正孔を輸送し、電子が当該障壁層よりも陽極側の層(例えば、正孔輸送層)に到達することを阻止する。
また、励起エネルギーが発光層からその周辺層に漏れ出さないように、障壁層を発光層に隣接させて設けてもよい。発光層で生成した励起子が、当該障壁層よりも電極側の層(例えば、電子輸送層や正孔輸送層)に移動することを阻止する。
発光層と障壁層とは接合していることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る有機EL素子は、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、タブレットもしくはパーソナルコンピュータ等の表示装置、および照明、もしくは車両用灯具の発光装置等の電子機器に使用できる。
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
以下、本発明に係る実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
本実施例で用いた化合物は、次の通りである。
<化合物の評価>
次に、本実施例で使用した化合物の物性を測定した。測定方法および算出方法を以下に示すとともに、測定結果および算出結果を表5に示す。
・一重項エネルギーEgS
一重項エネルギーEgSは、次のようにして測定される。
測定対象となる化合物の10μmol/Lトルエン溶液を調製して石英セルに入れ、常温(300K)でこの試料の吸収スペクトル(縦軸:発光強度、横軸:波長とする。)を測定した。この吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]を次に示す換算式3に代入して一重項エネルギーを算出した。
換算式3:EgS[eV]=1239.85/λedge
本実施例では、吸収スペクトルを日立社製の分光光度計(装置名:U3310)で測定した。
なお、吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線は以下のように引いた。吸収スペクトルの極大値のうち、最も長波長側の極大値から長波長方向にスペクトル曲線上を移動する際に、曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち下がるにつれ(つまり縦軸の値が減少するにつれ)、傾きが減少しその後増加することを繰り返す。傾きの値が最も長波長側(ただし、吸光度が0.1以下となる場合は除く)で極小値をとる点において引いた接線を当該吸収スペクトルの長波長側の立ち下がりに対する接線とする。
なお、吸光度の値が0.2以下の極大点は、上記最も長波長側の極大値には含めなかった。
・77[K]におけるエネルギーギャップEg77K
測定対象となる第一の材料および第三の材料に関しては、三重項エネルギーの測定は、次のようにして行った。ここでは、化合物MT−1および化合物MT−3を測定対象とした。測定対象となる化合物をEPA(ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2(容積比))中に、濃度が10μmol/Lとなるように溶解し、この溶液を石英セル中に入れて測定試料とした。この測定試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式1から算出されるエネルギー量を77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kとした。
換算式1:Eg77K[eV]=1239.85/λedge
測定対象となる第二の材料に関しては、三重項エネルギーの測定は、次のようにして行った。ここでは、化合物MT−2を測定対象とした。測定対象となる化合物(第二の材料)と、化合物TH−2とを石英基板上に共蒸着し、NMR管内に封入した試料を作製した。なお、この試料は、下記の条件にて作製したものである。
石英基板/TH−2:第二の材料(膜厚100nm,第二の材料濃度:12質量%)
この測定試料について、低温(77[K])で燐光スペクトル(縦軸:燐光発光強度、横軸:波長とする。)を測定し、この燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対して接線を引き、その接線と横軸との交点の波長値λedge[nm]に基づいて、次の換算式2から算出されるエネルギー量を77[K]におけるエネルギーギャップEg77Kとした。
換算式2:Eg77K[eV]=1239.85/λedge
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体を用いた。
燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線は以下のように引く。燐光スペクトルの短波長側から、スペクトルの極大値のうち、最も短波長側の極大値までスペクトル曲線上を移動する際に、長波長側に向けて曲線上の各点における接線を考える。この接線は、曲線が立ち上がるにつれ(つまり縦軸が増加するにつれ)、傾きが増加する。この傾きの値が極大値をとる点において引いた接線(すなわち変曲点における接線)が、当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とする。
なお、スペクトルの最大ピーク強度の15%以下のピーク強度をもつ極大点は、上述の最も短波長側の極大値には含めず、最も短波長側の極大値に最も近い、傾きの値が極大値をとる点において引いた接線を当該燐光スペクトルの短波長側の立ち上がりに対する接線とした。
燐光の測定には、(株)日立ハイテクノロジー製のF−4500形分光蛍光光度計本体を用いた。
・イオン化ポテンシャル
大気下で光電子分光装置(理研計器株式会社製:AC−3)を用いて測定した。具体的には、測定対象となる化合物に光を照射し、その際に電荷分離によって生じる電子量を測定することにより測定した。
・アフィニティ(電子親和力)
上述の方法で測定した化合物のイオン化ポテンシャルIpおよび一重項エネルギーEgSの測定値を用い、次の計算式から算出した。
Af=Ip−EgS
・遅延蛍光発光性
遅延蛍光発光性は図2に示す装置を利用して過渡PLを測定することにより確認した。前記化合物MT−2と前記化合物TH−2とを化合物MT−2の割合が12質量%となるように石英基板上に共蒸着し、膜厚100nmの薄膜を形成して試料を作製した。
遅延蛍光発光は、前記図2の装置を用いて求めることができる。前記化合物MT−2が吸収する波長のパルス光(パルスレーザーから照射される光)で励起された後、当該励起状態から即座に観察されるPrompt発光(即時発光)と、当該励起後、即座には観察されず、その後観察されるDelay発光(遅延発光)とが存在する。本実施形態における遅延蛍光発光とは、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上を意味し、化合物MT−2はDelay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上あることを確認している。
Prompt発光とDelay発光の量は、“Nature 492, 234−238, 2012”に記載された方法と同様の方法により求めることができる。なお、Prompt発光とDelay発光の量の算出に使用される装置は、前記図2の装置や文献に記載のものに限定されるものではない。
<有機EL素子の作製、及び評価>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
(実施例1)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HIを蒸着し、膜厚5nmの正孔注入層を形成した。
次に、正孔注入層上に、化合物HT−1を蒸着し、HI膜上に膜厚80nmの第一正孔輸送層を形成した。
次に、この第一正孔輸送層上に、化合物HT−2を蒸着し、膜厚15nmの第二正孔輸送層を形成した。
さらに、この第二正孔輸送層上に、第一の材料としての化合物MT−1と、第二の材料としての化合物MT−2と、第三の材料としての化合物MT−3と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物MT−1の濃度を1質量%、化合物MT−2の濃度を50質量%、化合物MT−3の濃度を49質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物HB−1を蒸着し、膜厚5nmの障壁層を形成した。
次に、この障壁層上に、化合物ET−1を蒸着し、膜厚20nmの電子輸送層を形成した。
次に、この電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入性電極(陰極)を形成した。
そして、この電子注入性電極上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130) / HI(5) / HT-1(80) / HT-2(15) / MT-1 : MT-2 : MT-3(25, 1%: 50% : 49%) / HB-1(5) / ET-1(20) / LiF(1) / Al(80)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。また、同じく括弧内において、パーセント表示された数字は、発光層における各材料の割合(質量%)を示す。
(比較例1)
比較例1の有機EL素子は、実施例1における発光層に代えて、第一の材料としての化合物MT−1と、第二の材料としての化合物MT−2とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして作製した。比較例1の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−1の濃度を1質量%、化合物MT−2の濃度を99質量%とした。
比較例1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(130) / HI(5) / HT-1(80) / HT-2(15) / MT-1 : MT-2(25, 1% : 99%) / HB-1(5) / ET-1(20) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例1および比較例1において作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
・駆動電圧
電流密度が0.1mA/cm、1mA/cmまたは10mA/cmとなるようにITO透明電極と金属Al陰極との間に通電したときの電圧(単位:V)を計測した。
・輝度、及びCIE1931色度
電流密度が0.1mA/cm、1mA/cmまたは10mA/cmとなるように素子に電圧を印加した時の輝度、及びCIE1931色度座標(x、y)を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ社製)で計測した。
・電流効率L/J、及び電力効率η
電流密度が0.1mA/cm、1mA/cmまたは10mA/cmとなるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを上記分光放射輝度計で計測し、得られた分光放射輝度スペクトルから、電流効率(単位:cd/A)、及び電力効率η(単位:lm/W)を算出した。
・主ピーク波長λ
得られた上記分光放射輝度スペクトルから主ピーク波長λを求めた。
・外部量子効率EQE
電流密度が0.1mA/cm、1mA/cmまたは10mA/cmとなるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを上記分光放射輝度計で計測した。得られた上記分光放射輝度スペクトルから、ランバシアン放射を行なったと仮定し外部量子効率EQE(単位:%)を算出した。
表6が示すように実施例1に係る有機EL素子は、いずれの電流密度で駆動させた場合でも、比較例1に係る有機EL素子と比べて、電流効率L/J、電力効率η、及び外部量子効率EQEが高くなった。比較例1に係る有機EL素子は、発光層に第一の材料および第二の材料だけが含有されており、発光効率が低くなったと考えられる。実施例1に係る有機EL素子は、発光層に第一の材料および第二の材料だけでなく、さらに第三の材料も含有されていたことから、比較例1に比べて発光効率が向上したと考えられる。また、実施例1では比較例1に比べ短波長化しており、青みの強い発光が観測された。即ち、第二の材料を分散させることに起因するものと考えられる。このように、実施例1によって、高効率で青色発光する有機EL素子を提供することができた。
次に、前記実施例および比較例で用いた化合物、並びに下記化合物を用いて、他の有機EL素子を作製した。
<化合物の評価>
次に、前記化合物MT−4から化合物MT−13までの物性を測定した。測定方法および算出方法を以下に示すとともに、測定結果および算出結果を表7に示す。測定方法および算出方法は、前述した方法と同様である。化合物MT−9、および化合物MT−12は、Delay発光(遅延発光)の量がPrompt発光(即時発光)の量に対して5%以上であり、遅延蛍光発光性の化合物であった。
(実施例2)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、70nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HIを蒸着し、膜厚5nmの正孔注入層を形成した。
次に、正孔注入層上に、化合物HT−1を蒸着し、HI膜上に膜厚65nmの第一正孔輸送層を形成した。
次に、この第一正孔輸送層上に、化合物HT−2を蒸着し、膜厚10nmの第二正孔輸送層を形成した。
さらに、この第二正孔輸送層上に、化合物MT−4と、化合物MT−9と、化合物MT−10と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−9の濃度を50質量%、化合物MT−4の濃度を49質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物HB−2を蒸着し、膜厚5nmの障壁層を形成した。
次に、この障壁層上に、化合物ET−1を蒸着し、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
次に、この電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入性電極(陰極)を形成した。
そして、この電子注入性電極上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例2の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-4 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例3)
実施例3の有機EL素子は、実施例2の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−6を用いたこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
実施例3の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-6 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例4)
実施例4の有機EL素子は、実施例2の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−5を用いたこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
実施例4の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-5 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例5)
実施例5の有機EL素子は、実施例2の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−7を用いたこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
実施例5の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-7 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例6)
実施例6の有機EL素子は、実施例2の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−8を用いたこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
実施例6の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-8 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例2)
比較例2の有機EL素子は、実施例2における発光層に代えて、化合物MT−9と、化合物MT−10とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例2と同様にして作製した。比較例2の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−9の濃度を99質量%とした。
比較例2の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-9 : MT-10(25, 99% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例2〜6、比較例2において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表8に示す。
表8に示すように、実施例2〜6の有機EL素子は、比較例2の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例2の有機EL素子は、発光層に化合物MT−9と、化合物MT−10とを含むだけである。比較例2の有機EL素子に対し、実施例2〜6の有機EL素子は、発光層にさらに第三の材料を含有していた。具体的には、実施例2では化合物MT−4を、実施例3では化合物MT−6を、実施例4では化合物MT−5を、実施例5では化合物MT−7を、実施例6では化合物MT−8を、それぞれ第三の材料として発光層に含有していた。その結果、実施例2〜6の有機EL素子は、比較例2の有機EL素子よりも、電流効率や外部量子効率が高かった。
(実施例7)
実施例7の有機EL素子は、実施例2の障壁層における化合物HB−2の代わりに化合物HB−3を用いたこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
実施例7の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-4 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例8)
実施例8の有機EL素子は、実施例7の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−6を用いたこと以外は、実施例7と同様にして作製した。
実施例8の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-6 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例9)
実施例9の有機EL素子は、実施例7の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−5を用いたこと以外は、実施例7と同様にして作製した。
実施例9の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-5 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例10)
実施例10の有機EL素子は、実施例7の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−7を用いたこと以外は、実施例7と同様にして作製した。
実施例10の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-7 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例11)
実施例11の有機EL素子は、実施例7の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−8を用いたこと以外は、実施例7と同様にして作製した。
実施例11の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-8 : MT-9 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例3)
比較例3の有機EL素子は、実施例7における発光層に代えて、化合物MT−9と、化合物MT−10とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例7と同様にして作製した。比較例3の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−9の濃度を99質量%とした。
比較例3の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-9 : MT-10(25, 99% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例7〜11、比較例3において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表9に示す。
表9に示すように、実施例7〜11の有機EL素子は、比較例3の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例3の有機EL素子は、発光層に化合物MT−9と、化合物MT−10とを含むだけである。比較例3の有機EL素子に対し、実施例7〜11の有機EL素子は、発光層にさらに第三の材料を含有していた。具体的には、実施例7では化合物MT−4を、実施例8では化合物MT−6を、実施例9では化合物MT−5を、実施例10では化合物MT−7を、実施例11では化合物MT−8を、それぞれ第三の材料として発光層に含有していた。その結果、実施例7〜11の有機EL素子は、比較例3の有機EL素子よりも、電流効率や外部量子効率が高かった。
(実施例12)
実施例12の有機EL素子は、実施例2の発光層における化合物MT−10の代わりに化合物MT−11を用いたこと以外は、実施例2と同様にして作製した。
実施例12の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-4 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例13)
実施例13の有機EL素子は、実施例12の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−6を用いたこと以外は、実施例12と同様にして作製した。
実施例13の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-6 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例14)
実施例14の有機EL素子は、実施例12の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−7を用いたこと以外は、実施例12と同様にして作製した。
実施例14の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-7 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例15)
実施例15の有機EL素子は、実施例12の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−8を用いたこと以外は、実施例12と同様にして作製した。
実施例15の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-8 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例4)
比較例4の有機EL素子は、実施例12における発光層に代えて、化合物MT−9と、化合物MT−11とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例12と同様にして作製した。比較例4の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−11の濃度を1質量%、化合物MT−9の濃度を99質量%とした。
比較例4の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-9 : MT-11(25, 99% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例12〜15、比較例4において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表10に示す。
表10に示すように、実施例12〜15の有機EL素子は、比較例4の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例4の有機EL素子は、発光層に化合物MT−9と、化合物MT−11とを含むだけである。比較例4の有機EL素子に対し、実施例12〜15の有機EL素子は、発光層にさらに第三の材料を含有していた。具体的には、実施例12では化合物MT−4を、実施例13では化合物MT−6を、実施例14では化合物MT−7を、実施例15では化合物MT−8を、それぞれ第三の材料として発光層に含有していた。その結果、実施例12〜15の有機EL素子は、比較例4の有機EL素子よりも、電流効率や外部量子効率が高かった。
(実施例16)
実施例16の有機EL素子は、実施例12の障壁層における化合物HB−2の代わりに化合物HB−3を用いたこと以外は、実施例12と同様にして作製した。
実施例16の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-4 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例17)
実施例17の有機EL素子は、実施例16の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−6を用いたこと以外は、実施例16と同様にして作製した。
実施例17の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-6 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例18)
実施例18の有機EL素子は、実施例16の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−7を用いたこと以外は、実施例16と同様にして作製した。
実施例18の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-7 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例19)
実施例19の有機EL素子は、実施例16の発光層における化合物MT−4の代わりに化合物MT−8を用いたこと以外は、実施例16と同様にして作製した。
実施例19の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-8 : MT-9 : MT-11(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例5)
比較例5の有機EL素子は、実施例16における発光層に代えて、化合物MT−9と、
化合物MT−11とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例16と同様にして作製した。比較例5の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−11の濃度を1質量%、化合物MT−9の濃度を99質量%とした。
比較例5の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(10) / MT-9 : MT-11(25, 99% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例16〜19、比較例5において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表11に示す。
表11に示すように、実施例16〜19の有機EL素子は、比較例5の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例5の有機EL素子は、発光層に化合物MT−9と、化合物MT−11とを含むだけである。比較例5の有機EL素子に対し、実施例16〜19の有機EL素子は、発光層にさらに第三の材料を含有していた。具体的には、実施例16では化合物MT−4を、実施例17では化合物MT−6を、実施例18では化合物MT−7を、実施例19では化合物MT−8を、それぞれ第三の材料として発光層に含有していた。その結果、実施例16〜19の有機EL素子は、比較例5の有機EL素子よりも、電流効率や外部量子効率が高かった。
(実施例20)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄を行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、70nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HIを蒸着し、膜厚5nmの正孔注入層を形成した。
次に、正孔注入層上に、化合物HT−1を蒸着し、HI膜上に膜厚65nmの第一正孔輸送層を形成した。
次に、この第一正孔輸送層上に、化合物HT−2を蒸着し、膜厚5nmの第二正孔輸送層を形成した。
さらに、この第二正孔輸送層上に、化合物CBPを蒸着し、膜厚5nmの第一障壁層を形成した。
次に、この第一障壁層に化合物MT−13と、化合物MT−12と、化合物MT−10と、を共蒸着し、膜厚25nmの発光層を形成した。発光層における化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を50質量%、化合物MT−13の濃度を49質量%とした。
次に、この発光層上に、化合物HB−2を蒸着し、膜厚5nmの第二障壁層を形成した。
次に、この第二障壁層上に、化合物ET−1を蒸着し、膜厚30nmの電子輸送層を形成した。
次に、この電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を蒸着し、膜厚1nmの電子注入性電極(陰極)を形成した。
そして、この電子注入性電極上に、金属アルミニウム(Al)を蒸着し、膜厚80nmの金属Al陰極を形成した。
実施例20の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-13 : MT-12 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例21)
実施例21の有機EL素子は、実施例20の発光層に含まれる化合物の濃度について、化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を25質量%、化合物MT−13の濃度を74質量%としたこと以外は、実施例20と同様にして作製した。
実施例21の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-13 : MT-12 : MT-10(25, 74%: 25% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例22)
実施例22の有機EL素子は、実施例20の発光層における化合物MT−13の代わりに化合物MT−5を用い、発光層に含まれる化合物の濃度について、化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を24質量%、化合物MT−5の濃度を75質量%としたこと以外は、実施例20と同様にして作製した。
実施例22の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-5 : MT-12 : MT-10(25, 75%: 24% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例6)
比較例6の有機EL素子は、実施例20における発光層に代えて、化合物MT−12と、化合物MT−10とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例20と同様にして作製した。比較例6の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を99質量%とした。
比較例6の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-12 : MT-10(25, 99% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例20〜22、比較例6において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表12に示す。
表12に示すように、実施例20〜22の有機EL素子は、比較例6の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例6の有機EL素子は、発光層に化合物MT−10と、化合物MT−12とを含むだけである。比較例6の有機EL素子に対し、実施例20〜22の有機EL素子は、発光層にさらに第三の材料を含有していた。具体的には、実施例20,21では化合物MT−13を、実施例22では化合物MT−5を、それぞれ第三の材料として発光層に含有していた。その結果、実施例20〜22の有機EL素子は、比較例6の有機EL素子よりも、電流効率、電力効率および外部量子効率が高かった。
(実施例23)
実施例23の有機EL素子は、実施例20の障壁層における化合物HB−2の代わりに化合物HB−3を用いたこと以外は、実施例20と同様にして作製した。
実施例23の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-13 : MT-12 : MT-10(25, 49%: 50% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例24)
実施例24の有機EL素子は、実施例23の発光層に含まれる化合物の濃度について、化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を25質量%、化合物MT−13の濃度を74質量%としたこと以外は、実施例23と同様にして作製した。
実施例24の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-13 : MT-12 : MT-10(25, 74%: 25% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(実施例25)
実施例25の有機EL素子は、実施例23の発光層における化合物MT−13の代わりに化合物MT−5を用い、発光層に含まれる化合物の濃度について、化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を24質量%、化合物MT−5の濃度を75質量%としたこと以外は、実施例23と同様にして作製した。
実施例25の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-5 : MT-12 : MT-10(25, 75%: 24% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例7)
比較例7の有機EL素子は、実施例23における発光層に代えて、化合物MT−12と、化合物MT−10とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例23と同様にして作製した。比較例7の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−10の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を99質量%とした。
比較例7の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-12 : MT-10(25, 99% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例23〜25、比較例7において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表13に示す。
表13に示すように、実施例23〜25の有機EL素子は、比較例7の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例7の有機EL素子は、発光層に化合物MT−10と、化合物MT−12とを含むだけである。比較例7の有機EL素子に対し、実施例23〜25の有機EL素子は、発光層にさらに第三の材料を含有していた。具体的には、実施例23,24では化合物MT−13を、実施例25では化合物MT−5を、それぞれ第三の材料として発光層に含有していた。その結果、実施例23〜25の有機EL素子は、比較例7の有機EL素子よりも、電流効率、電力効率および外部量子効率が高かった。
(実施例26)
実施例26の有機EL素子は、実施例20の発光層における化合物MT−10の代わりに化合物MT−11を用い、発光層に含まれる化合物の濃度について、化合物MT−11の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を25質量%、化合物MT−13の濃度を74質量%としたこと以外は、実施例20と同様にして作製した。
実施例26の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-13 : MT-12 : MT-11(25, 74%: 25% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例8)
比較例8の有機EL素子は、実施例26における発光層に代えて、化合物MT−12と、化合物MT−11とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例26と同様にして作製した。比較例8の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−11の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を99質量%とした。
比較例8の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-12 : MT-11(25, 99% : 1%) / HB-2(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例26、および比較例8において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表14に示す。
表14に示すように、実施例26の有機EL素子は、比較例8の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例8の有機EL素子は、発光層に化合物MT−11と、化合物MT−12とを含むだけである。比較例8の有機EL素子に対し、実施例26の有機EL素子は、発光層に化合物MT−13をさらに含有していた。その結果、実施例26の有機EL素子は、比較例8の有機EL素子よりも、電流効率、電力効率および外部量子効率が高かった。
(実施例27)
実施例27の有機EL素子は、実施例26の障壁層における化合物HB−2の代わりに化合物HB−3を用いること以外は、実施例26と同様にして作製した。
実施例27の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-13 : MT-12 : MT-11(25, 74%: 25% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
(比較例9)
比較例9の有機EL素子は、実施例27における発光層に代えて、化合物MT−12と、化合物MT−11とを共蒸着して膜厚25nmの発光層を形成したこと以外は、実施例27と同様にして作製した。比較例9の有機EL素子の発光層において、発光層における化合物MT−11の濃度を1質量%、化合物MT−12の濃度を99質量%とした。
比較例9の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
ITO(70) / HI(5) / HT-1(65) / HT-2(5) / CBP(5) / MT-12 : MT-11(25, 99% : 1%) / HB-3(5) / ET-1(30) / LiF(1) / Al(80)
〔有機EL素子の評価〕
実施例27、および比較例9において作製した有機EL素子について、前述と同様にして評価を行った。評価項目は、駆動電圧、輝度、CIE1931色度、電流効率L/J、電力効率η、主ピーク波長λ、及び外部量子効率EQEとした。評価結果を表15に示す。
表15に示すように、実施例27の有機EL素子は、比較例9の有機EL素子よりも、発光効率が高かった。比較例9の有機EL素子は、発光層に化合物MT−11と、化合物MT−12とを含むだけである。比較例9の有機EL素子に対し、実施例27の有機EL素子は、発光層に化合物MT−13をさらに含有していた。その結果、実施例27の有機EL素子は、比較例9の有機EL素子よりも、電流効率、電力効率および外部量子効率が高かった。
1…有機EL素子
2…基板
3…陽極
4…陰極
5…発光層
6…正孔注入・輸送層
7…電子注入・輸送層
10…有機層

Claims (28)

  1. 陽極と、
    発光層と、
    陰極と、を含み、
    前記発光層は、第一の材料、第二の材料および第三の材料を含み、
    前記第一の材料は、蛍光発光性の発光材料であり、
    前記第二の材料は、遅延蛍光発光性の材料であり、
    前記第二の材料は、下記一般式(2A)で表される化合物であり、
    前記第三の材料の一重項エネルギーEgS(M3)は、前記第二の材料の一重項エネルギーEgS(M2)よりも大きく、
    前記第二の材料の一重項エネルギーEgS(M2)は、前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(M1)よりも大きい、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。


    (前記一般式(2A)において、
    nは、1以上の整数であり、
    tは、1以上の整数であり、
    uは、0以上の整数であり、
    は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素環または環形成原子数6〜30の芳香族複素環であり、
    CNは、シアノ基であり、
    およびDは、それぞれ独立に、前記一般式(2Y)で表され、
    ただし、前記一般式(2Y)における環構造Fおよび環構造Gは、それぞれ独立に環構造を表し、環構造Fおよび環構造Gは、無置換でも置換基を有していても良く、
    mは、0あるいは1であり、
    mが1の場合には、Y20は、単結合、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、カルボニル基、CR2122、SiR2324またはGeR2526を表し、
    21〜R26は、それぞれ独立に、水素原子、または置換基であり、R21〜R26における置換基は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルコキシ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜60のアリールアミノ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキルチオ基、および置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30のアリールチオ基からなる群から選択される置換基であり、
    とDとは同じであっても異なっていても良く、
    tが2以上の場合、複数のDは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    uが2以上の場合、複数のDは、互いに同一でも異なっていてもよい。)
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)は、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M1)よりも大きく、
    前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)は、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)よりも大きい有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1または請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第二の材料の一重項エネルギーEgS(M2)と、前記第二の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M2)との差ΔST(M2)が、下記数式(数1)の関係を満たしている有機エレクトロルミネッセンス素子。
    ΔST(M2)=EgS(M2)−Eg77K(M2)<0.3[eV] …(数1)
  4. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第一の材料の一重項エネルギーEgS(M1)と、前記第一の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M1)との差ΔST(M1)が、下記数式(数2)の関係を満たしている有機エレクトロルミネッセンス素子。
    ΔST(M1)=EgS(M1)−Eg77K(M1)>0.3[eV] …(数2)
  5. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第三の材料の一重項エネルギーEgS(M3)と、前記第三の材料の77[K]におけるエネルギーギャップEg77K(M3)との差ΔST(M3)が、下記数式(数3)の関係を満たしている有機エレクトロルミネッセンス素子。
    ΔST(M3)=EgS(M3)−Eg77K(M3)>0.3[eV] …(数3)
  6. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において
    は、環形成炭素数6〜10の芳香族炭化水素環である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記Dまたは前記Dは、Lで表される前記芳香族炭化水素環の第1の炭素原子に結合し、
    CNは、前記第1の炭素原子に隣接する第2の炭素原子に結合する、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項または請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2A)におけるnは、2である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項から請求項のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    は、ベンゼン環である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2Y)は、下記一般式(22)によって表される、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。

    (前記一般式(22)における環構造Fおよび環構造Gは、前記一般式(2Y)中の環構造Fおよび環構造Gと同義である。)
  11. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    およびD は、それぞれ独立に、下記一般式(22)で表され、
    は、ベンゼン環である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。

    (前記一般式(22)における環構造Fおよび環構造Gは、前記一般式(2Y)中の環構造Fおよび環構造Gと同義である。)
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    環構造Fおよび環構造Gは、6員環である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  13. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2Y)は、下記一般式(2a)および下記一般式(2x)の少なくともいずれかによって表される、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。


    (前記一般式(2x)において、
    AおよびBは、それぞれ独立に、下記一般式(2c)によって表される環構造、または下記一般式(2d)によって表される環構造を表し、
    環構造Aおよび環構造Bは、隣接する環構造と任意の位置で縮合し、
    pxおよびpyは、それぞれ独立に、0以上4以下の整数であり、それぞれ環構造Aおよび環構造Bの数を表し、
    pxが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Aは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    pyが2以上4以下の整数の場合、複数の環構造Bは、互いに同一でも異なっていてもよい。)


    (前記一般式(2d)において、Zは炭素原子、窒素原子、硫黄原子または酸素原子である。)
  14. 請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2x)は、下記一般式(2b)によって表される、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。

    (前記一般式(2b)において、
    cは、1以上4以下の整数であり、
    cが2以上4以下の整数である場合、複数の環構造Eは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    Eは、前記一般式(2c)で表される環構造、または前記一般式(2d)で表される環構造を示し、環構造Eは、隣接する環構造と任意の位置で縮合している。)
  15. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2Y)は、下記一般式(2a)および下記一般式(2b)の少なくともいずれかによって表され、
    は、ベンゼン環であり、
    n、t、およびuの和は、6以下の整数である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。


    (前記一般式(2b)において、
    cは、1以上4以下の整数であり、
    cが2以上4以下の整数である場合、複数の環構造Eは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    Eは、下記一般式(2c)で表される環構造、または下記一般式(2d)で表される環構造を示し、環構造Eは、隣接する環構造と任意の位置で縮合している。)


    (前記一般式(2d)において、Z は炭素原子、窒素原子、硫黄原子または酸素原子である。)
  16. 請求項14または請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2b)中のcは、2であり、
    前記2つの環構造Eは、前記一般式(2c)によって表される1つの環構造と、前記一般式(2d)によって表される1つの環構造との組み合わせである、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  17. 請求項8から請求項16のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    は、2つのシアノ基が結合するベンゼン環であり、
    一方のシアノ基が他方のシアノ基に対してオルト位に結合する、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  18. 請求項8から請求項16のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    は、2つのシアノ基が結合するベンゼン環であり、
    一方のシアノ基が他方のシアノ基に対してメタ位に結合する、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  19. 請求項8から請求項16のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    は、2つのシアノ基が結合するベンゼン環であり、
    一方のシアノ基が他方のシアノ基に対してパラ位に結合する、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  20. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2A)中のL としての環形成原子数6〜30の芳香族複素環は、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、キナゾリン、フェナントロリン、ベンゾフラン及びジベンゾフランからなる群から選択されるいずれかの環である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  21. 請求項から請求項20のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記一般式(2A)におけるtは、4である、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  22. 請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第二の材料は、置換もしくは無置換のトリアジニル基を含まない、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  23. 請求項1から請求項22までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第三の材料は、一つの分子中に下記一般式(31)で表される部分構造の少なくとも一つと、下記一般式(32)で表される部分構造の少なくとも一つと、を含む有機エレクトロルミネッセンス素子。

    (前記一般式(31)において、X31〜X36は、それぞれ独立に、窒素原子、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、ただし、X31〜X36の内少なくともいずれかは、前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、
    前記一般式(32)において、Y31〜Y38は、それぞれ独立に、窒素原子、または前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、ただし、Y31〜Y38の内少なくともいずれかは、前記第三の材料の分子中における他の原子と結合する炭素原子であり、Y39は、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子である。)
  24. 請求項1から請求項23までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記発光層は、燐光発光性の金属錯体を含有していない有機エレクトロルミネッセンス素子。
  25. 請求項1から請求項24までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第一の材料は、主ピーク波長が550nm以下の蛍光発光を示す有機エレクトロルミネッセンス素子。
  26. 請求項1から請求項25までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第一の材料は、主ピーク波長が480nm以下の蛍光発光を示す有機エレクトロルミネッセンス素子。
  27. 請求項1から請求項26までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記第一の材料は、ピレン誘導体、アミノアントラセン誘導体、アミノクリセン誘導体、アミノピレン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、およびスチリルアミン誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物である有機エレクトロルミネッセンス素子。
  28. 請求項1から請求項27までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器。
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