JP6696922B2 - 粉粒体混合物の混入物質分離回収方法 - Google Patents

粉粒体混合物の混入物質分離回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、二次電池の電極の製造工程において、粉粒状の導電材料の集まりの中に混入している異物粒子を分離させた状態で、この導電材料を回収する等、粉粒状の一の物質の集まりの中に混じっている粉粒状の他の物質を分離させた状態で、一の物質の集まりを回収する粉粒体混合物の混入物質分離回収方法に関する。
例えば、リチウムイオン二次電池等、非水電解質二次電池の電極を製造するにあたり、その材料に導電材料が使用され、導電材料は、一定の品質管理を経た上で、電極の製造工程に供給される。導電材料の一つであるアセチレンブラック(acetylene black)(以下、「AB材」と称する)の場合、AB材は、平均粒子径0.3μm程度という細かな粉末状であり、当該AB材の製造工程の中には、ステンレス製管内でAB材を送出する工程もある。この工程の際、管材の劣化等に起因したステンレス製の金属粒子が、送出されるAB材の集まりの中に、異物として混じり込んでしまうことがある。このような金属粒子は、製品としてAB材の出荷前に行う品質検査が実施されるものの、AB材の集まりの中に残留してしまう傾向にある。電極の製造工程には、このような金属粒子が、AB材の集まりに混じった状態で供給される場合があり得る。
設定した規格より大きい粒子径、例えば、50〜100μm程度の粒子径の金属粒子は、二次電池の電極にとって阻害要因となるため、電極の製造工程では、AB材の集まりに混ざった金属粒子を、AB材の集まりと分離させて取り除く必要がある。AB材の集まりと金属粒子とを分離するには、「ふるい方式」や「質量差分離方式」が考えられる。ふるい方式は、金属粒子が混じったAB材の集まりを、メッシュ構造の金網でふるいに掛ける手法である。質量差分離方式は、金属粒子が混ざったAB材の集まりに遠心力をかけ、金属粒子とAB材との質量差に基づく遠心力の大きさの差により、金属粒子とAB材とを分離しようとする手法である。
また、音波を利用した粒子の分離技術として、例えば、特許文献1が開示されている。特許文献1は、流路内に流れる浮遊微粒子を、音響放射力と静電気力とにより、連続的に分離させるのにあたり、浮遊微粒子の一部を、静電気力により流路の一方側側壁に導くと共に、音響放射力を作用させるための定在波を走査し、この定在波による音場の節の位置を変化させることで、浮遊微粒子の他の一部を、流路の他方側側壁に導く技術である。特許文献1では、サブミリ流路内を流れる浮遊微粒子の中で、大径粒子と小径粒子とが、連続的に効率良く分離できるとされている。
特開2007−229557号公報
しかしながら、ふるい方式による分離では、金網の目開きが大きいと、捕捉対象の金属粒子までもが、AB材と共にメッシュを通過してしまうこともあり、分離精度が低下してしまう。その反対に、目開きを数十μm程度とメッシュを細密にすると、金網全体に対する開口率は20%程度にまで下がり、一塊状になったAB材が、金網を通過することができないこともあり、AB材の集まりが金網上に残り易く、それに伴う目詰まりが起こり易い。そのため、金属粒子を分離した状態にあるAB材の回収率、すなわち歩留まりは非常に低い。また、金属粒子が規格より小さい粒子であれば、金属粒子はメッシュを通過しても問題ないが、金属粒子の大きさや形状は一様ではなく、金属粒子が、規格の大きさを超えた細長形状である場合には、金属粒子はメッシュを通過できてしまうこともあり、問題となる。その他にも、金網には、メッシュの摩耗や破損が生じることもあり、金網のメンテナンスを定期的に行わなければならない上に、メッシュの破損を検出することも困難であり、破片や摩耗粉の混入というリスクもある。
また、質量差分離方式による分離では、金属粒子が混じったAB材の集まりのような微小粒子の場合、金属粒子の質量は一様でないものの、個々の粒子に作用する遠心力は、非常に小さく、AB材の集まりと規格外の金属粒子とを、精度高く分離することは困難である。精度高く分離するには、高い遠心力発生機構に加え、風の抵抗力差など他の機能効果を併用する機構も必要であり、設備として非常に大掛かり、かつ高コストなものとなるという問題がある。
また、特許文献1の分離技術では、超音波による定在波を空間中に発生させるため、高価な超音波発生装置に加え、発信源と反射板の設置にも高精度な加工が必要であり、さらに振動数を走査する制御装置が必要となり、装置全体が非常に高価なものとなる。また、空間中で粒子を捕捉するため、粒子に作用する重力相当分の捕捉力が必要であり、定在波の節を外れた部分では、粒子の捕捉力が不足し、粒子が捕捉できない。そのため、定在波の節で捕捉できる粒子の量は非常に少なく、捕捉力の不足から捕捉した粒子が落下することも多い。そのような状況から、捕捉した粒子は、非常に遅い速度でしか動かせない。特許文献1でも、その速度は、数十μm/sとある。
特に、例えば、自動車に搭載するリチウムイオン二次電池向けの電極等を、量産体制で製造する場合には、金属粒子の混じったAB材(粉粒体混合物)が、電極の製造工程に大量に供給される。この場合、粉粒体混合物から規格外の金属粒子を回収する工程も、量産設備のインライン上で行いたいこともある。しかしながら、特許文献1の分離技術では、大径粒子と小径粒子とを分離するのに、サブミリ流路が必要となるため、特許文献1による単位時間当たりの粒子分離処理能力は、量産体制に必要な処理能力に及ばないこともあり、量産体制の下では、特許文献1の分離技術は適さない。また、特許文献1の分離技術では、大径粒子の集まりと小径粒子の集まりとが、サブミリ流路内で分離された後、それぞれの集まりをサブミリ流路内から回収する技術の開示もなく、AB材の集まりと分離した規格外の金属粒子が、回収できない。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、粉粒状の一の物質の集まりの中に混じっている粉粒状の他の物質を分離させた状態で、一の物質の集まりを回収するのにあたり、他の物質を、効率良くかつ高い精度に分離させ、一の物質を簡単に回収することができる粉粒体混合物の混入物質分離回収方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、粉粒状の一の物質の集まりである粉粒体集合群に、粉粒状の他の物質が少なくとも1種混じった粉粒体混合物で、前記粉粒体集合群を、前記他の物質と分離して回収するのにあたり、前記粉粒体混合物を、広範囲に平たく分散した状態で載置する載置面と、回収された物質を載置する回収面と、音波を出力する音源と、を備え、前記載置面は、前記音源から送波される前記音波の反射波を生成する条件を満たす態様に形成され、前記音源と前記載置面とは相対的に移動可能であること、前記音源は、前記一の物質または前記他の物質のいずれか一方の対象物質の比重に対応した周波数の音波を、前記載置面と鉛直方向上方に対向する位置から前記載置面に向けて送波し、定在波の音響場を形成することにより、前記粉粒体混合物のうち、前記対象物質を、前記定在波の節で捕捉すること、前記対象物質は、前記音源と前記載置面との相対移動により、前記定在波の節で捕捉された状態で、前記載置面を離れて前記回収面に移されること、を特徴とする。
この態様によれば、載置面に載置された粉粒体混合物の中から非対象物質を、載置面上で、非接触で簡単に分離することができ、非対象物質と分離した対象物質が、回収面に効率良く回収できる。しかも、載置面上で分離して回収面に移された対象物質の集まりの中には、非対象物質がほとんど混ざり込むことがなく、非対象物質と分離して、回収面に回収された対象物質の分離精度は、例えば、90%以上等、極めて高くすることができる。さらに、非接触であることから、分離装置に起因する新たな異物が混入するというリスクもない。
上記の態様においては、前記音波は、可聴域帯に属する周波数のサイン波であり、前記音源は、音波制御部で発生させた電気信号を、音声として、前記音波に変換する音波拡声部を有し、前記音波拡声部と前記載置面とが、相対的に移動可能であること、が好ましい。
この態様によれば、音波拡声部から発する音波に基づく定在波の音響場を、載置面上に形成するため、定在波の節から多少外れた位置でも、対象となる粒子(対象物質)が落下することがないため、対象物質が大量に捕捉できる。また、載置面に対し音波拡声部の移動により、この定在波の音響場は、載置面から回収面へと音波拡声部のこの移動に、追従することができる。それによって、捕捉された粒子群も定在波と共に移動するが、ここでも、粒子が落下することがないため、捕捉されたこれらの粒子群についても簡単に追従可能である。さらに、定在波の腹に位置する粒子や、一旦節の捕捉から外れた粒子に対しても、定在波の移動により、必ず節が複数回通過し、二重三重と複数重に捕捉されるため、このような粒子は、波間から漏れることもなく載置面全面に亘って処理可能である。また、可聴域帯に属する周波数の音波は、指向性が比較的広く、載置面の幅広い範囲に届き易いことから、定在波の音響場もより幅広い範囲で形成され易くなり、載置面に載せた粉粒体混合物の中から、対象物質は、定在波の節でより多く捕捉することができる。
上記の態様においては、搬送面の送出により、前記搬送面に載せた被運搬物を搬送先に運ぶ搬送手段を備え、前記載置面は、前記搬送手段の前記搬送面であること、が好ましい。
この態様によれば、本発明に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法を実施する分離回収装置として、本発明の音源と回収面のほか、搬送手段を必要するだけであり、このような分離回収装置は、極めて簡単な構造で構成することができる。また、対象物質が、例えば、自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池の電極を製造する材料等として使用される場合、搬送手段を装備した上述の分離回収装置は、例示した電極の製造工程を担う種々の生産設備を設置した生産ラインに、インラインで設置可能となり、本発明に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、電極の量産体制下にも対応することができる。
上記の態様においては、前記搬送面に垂直な上下方向、かつ前記搬送面の送出方向に対し、直交する方向を回収方向とすると、前記音源は、少なくとも1つ以上設けられ、前記載置面の上方の領域にある第1領域と、前記回収方向に対し、前記載置面の外側の領域にある第2領域との間を、自在に移動できること、が好ましい。
この態様によれば、搬送面に載置された粉粒体混合物の中から非対象物質を、搬送面上で分離した後、対象物質は回収面に、非対象物質は別の場所に、それぞれ別々に自動化して回収することができる。そのため、粉粒体混合物の中から、非対象物質を分離した後の対象物質を回収するのに、その回収に伴うコストが抑制できる。
上記の態様においては、前記対象物質は、前記一の物質であり、前記一の物質の比重は、前記他の物質の比重より小さいこと、が好ましい。
この態様によれば、定在波の音響場は、他の物質の比重より小さい一の物質の比重に合わせた周波数の音波に基づいて形成されているため、一の物質に対応した定在波では、一の物質より比重の大きい他の物質は、その節で捕捉できず、回収面に運ばれることもない。したがって、他の物質と分離した後の一の物質が、高い分離精度で回収面に回収できていると共に、他の物質が、回収面に回収した一の物質の集まりの中に入ってしまうのを、確実に阻止することができる。
上記の態様においては、前記一の物質は、非水電解質二次電池の電極の製造に必要な電極材料であり、前記他の物質は、前記電極材料の製造工程で残留した金属製の異物であること、が好ましい。
この態様によれば、例えば、設定した規格より大きい金属粒子等を対象とした異物が、供給先から受け取る電極材料入りの集合体の中から簡単に短時間で除去でき、高精度に回収された電極材料だけが、非水電解質二次電池の電極の製造に供給できる。そのため、一連の電極の製造工程の生産効率が、例えば、「ふるい方式」や「質量差分離方式」、特許文献1のような分離技術等の従来技術を用いた場合に比して、大幅に向上する。ひいては、非水電解質二次電池のコストの低減化を実現することができる。
本発明に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法によれば、粉粒状の一の物質の集まりの中に混じっている粉粒状の他の物質を分離させた状態で、一の物質の集まりを回収するのにあたり、他の物質を、効率良くかつ高い精度に分離させ、一の物質を簡単に回収することができる。
本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法を説明する模式図であり、粉粒体混合物内のAB材を定在波の節で捕捉する直前の状態を示す図である。 図1に続き、粉粒体混合物内のAB材を定在波の節で捕捉した状態を示す図である。 本実施形態に係る粉粒体混合物を搬送するコンベアの概略を示す図であり、対応する図1の状態を平面視で示す説明図である。 図3に続き、対応する図2の状態を平面視で示す説明図である。 図4に続き、AB材がAB材回収容器の回収面に移された様子を、平面視で示す説明図である。 図5に示す状態を、正面視で示す説明図である。 本実施形態に係る粉粒体混合物を搬送するコンベアに、複数のスピーカーを設置した様子を示す説明図である。 本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法に用いる音源で、スピーカーの発信周波数と、定在波の節による捕捉能力との関係を示すグラフである。 本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法に関する検証実験1の方法を、正面視で模式的に示した説明図であり、スピーカーの移動前で、疑似コンベアの搬送面に配した粉粒体混合物の状態を示す図である。 検証実験1の結果をまとめた表である。 検証実験1で、疑似コンベアの搬送面に残留した金属粒子の様子を示す説明図である。 検証実験1で、受け皿の皿回収面に集められたAB材の様子を示す説明図である。 本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法に関する検証実験2の方法を、正面視で模式的に示す説明図である。 図13に続き、検証実験2の方法を、平面視で模式的に示した説明図である。 検証実験2の結果をまとめた表である。 検証実験2で、プレートの載置面に残留した金属粒子の様子を示す説明図である。 検証実験2で、受け皿の皿回収面に集められたAB材の様子を示す説明図である。
以下、本発明に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法のうち、粉粒状の一の物質は、本実施形態では、例えば、自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池の電極を製造するのにあたり、導電材料の一つとして使用されるアセチレンブラック(acetylene black)(以下、「AB材」と称する)を対象としている。
前述したように、メーカー等から納入された状態では、リチウムイオン二次電池の電極を製造する上で、許容範囲を超える粉粒状の金属粒子(他の物質)が、AB材の集まりであるAB材集合群(粉粒体集合群)に、異物として混じっているため、AB材集合群にこの異物を含んだAB材混合物(粉粒体混合物)は、電極の製造工程に供給できない。本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、AB材集合群を、AB材混合物に混じった金属粒子と分離して回収するのに行われ、電極の製造工程に供給する前に実施される。
はじめに、AB材混合物について、簡単に説明する。AB材は、一定の大きさに分級されたAB材集合群において、平均粒子径0.3μm程度という細かな粉末状であり、嵩比重0.05(アセチレンブラックの物性値である真の比重は2.0)である。金属粒子は、AB材の製造工程で残留した金属製の異物であり、AB材を送出するのに用いる管材の劣化等に起因して生じたステンレス製の粉粒体で、AB材の送出と共に混ざり込んだ比重8.0の粒子である。このような金属粒子は、例えば、数μm程度の小さな粒子径のほか、数十〜100μm程度にも及ぶ大きな粒子径も含まれており、設定した規格(例えば、数十μmを超える粒子径)より大きい金属粒子は、二次電池の性能に大きく影響を及ぼすことから、電極を構成する上で阻害要因となり、排除の対象となる。
次に、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法について、説明する。図1は、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法を説明する模式図であり、粉粒体混合物内のAB材を定在波の節で捕捉する直前の状態を示す図である。図2は、図1に続き、粉粒体混合物内のAB材を定在波の節で捕捉した状態を示す図である。
本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、例えば、生産ラインで、電極の製造工程を担う種々の生産設備の一つとして、インライン上に配設されたコンベア20(搬送手段)で実施されるほか、品質検査を行う場所で行うバッチ処理式の専用テーブル等上で実施される。この粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、AB材混合物1を、広範囲に平たく分散した状態で載置する載置面7と、回収された物質を載置する回収面8と、音波を出力する音源10と、を必要とする。載置面7は、音源10から送波される音波の反射波を生成する条件を満たす態様に形成された面である。
音源10は、本実施形態では、図1及び図2に示すように、音波制御部11で発生させた電気信号を、音声として、音波に変換するスピーカー12(音波拡声部)を有する。音源10と載置面7とは相対的に移動可能であり、本実施形態の場合、スピーカー12と載置面7とが、相対的に移動可能である。音源10は、可聴域帯に属する周波数の音波を、載置面7と鉛直方向上方に対向する位置に配置したスピーカー12により、載置面7に向けて送波する。この音波は、対象物質3であるAB材4の比重に対応した周波数であり、本実施形態では、170Hzのサイン波である。
音源10は、スピーカー12より発する音波に、例えば、載置面7上で、直径数〜数十cmに拡がる幅広の指向性を有すると共に、単振動する媒質(空気)によって、嵩比重0.05で平均粒子径0.3μm程度の粉末状のAB材4を、数〜数百μm程度の振幅で動かすことを可能とした仕様(音の強さ、音圧、音圧レベル)で構成されている。載置面7は、例えば、金属等からなり、進行波として、スピーカー12より発するサイン波を、吸収せずにスピーカー12側に反射できる条件を具備した材質からなる面(空気の音響インピーダンスに対し、スピーカー12から発する音波を反射できる音響インピーダンスを有する界面)である。スピーカー12の出力は6Wである。
コンベア20について、簡単に説明する。図3は、本実施形態に係る粉粒体混合物を搬送するコンベアの概略を示す図であり、対応する図1の状態を平面視で示す説明図である。図4は、図3に続き、対応する図2の状態を平面視で示す説明図である。図5は、図4に続き、AB材がAB材回収容器の回収面に移された様子を、平面視で示す説明図であり、図5に示す状態を、正面視で示す説明図を、図6に示す。なお、図3と図4では、図を見易くする目的で、2つの音波領域の位置をずらして図示しているため、図3及び図4に示す音波領域と、図5に示す音波領域は一致していない。
図3〜図6に示すように、コンベア20は、送出方向Fに搬送面21を送出することにより、搬送面21に載せた被運搬物を搬送先に運ぶ周知の搬送手段であり、被運搬物であるAB材混合物1を、搬送面21の搬入側(図3中、下側)から搬出側(同図、上側)に搬送する。コンベア20は、図示しない制御装置により、例えば、設定された送り速度で搬送面21を送出する動作や、送出する搬送面21の停止、搬送面21のインチング送り動作等、搬送面21の送り速度を自在に可変できる仕様で構成されている。搬送面21は、前述した載置面7であり、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、載置面7として、搬送面21に載せたAB材混合物1を対象に、AB材集合群2と金属粒子5とを分離して、AB材集合群2を回収する。
コンベア20において、搬送面21に垂直な上下方向V、かつ搬送面21の送出方向Fに対し、直交する方向を回収方向Cとすると、図5及び図6に示すように、AB材回収容器30が、搬送面21の下側を、回収方向Cに沿い、搬送面21とクロスした配置で設置されている。AB材回収容器30は、底面である容器回収面31を有し、容器回収面31の縁を側壁で覆った箱状に形成されており、AB材混合物1から金属粒子5を取り除いたAB材集合群2を回収する容器である。すなわち、AB材回収容器30の容器回収面31が、前述した回収面8である。
また、搬送面21の搬出側の最先端には、金属粒子回収容器40が、その一部を搬送面21の下側に位置する配置で設置されている。金属粒子回収容器40は、底面である容器回収面41を有し、容器回収面41の縁を側壁で覆った箱状に形成されており、AB材混合物1に混入していた金属粒子5を回収する容器である。
コンベア20と共に、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法を行う場合には、音源10は、1つのコンベア20に付き、1つ以上設けられている。図5及び図6に示すように、スピーカー12は、載置面7(搬送面21)の上方の領域にある第1領域45と、回収方向Cに対し、この搬送面21の外側の領域にある第2領域46との間を、自在に移動可能に設置されている。すなわち、第2領域46は、AB材回収容器30の容器回収面31のうち、上下方向Vに対し、搬送面21と重ならない範囲の部分である。スピーカー12と搬送面21との間は、発振距離d=8(mm)で一定に保たれている。
なお、1つのコンベア20に付き、複数の音源10を設けて良い。図7は、実施形態に係る粉粒体混合物を搬送するコンベアに、複数のスピーカーを設置した様子を示す説明図である。スピーカー12が1つの場合、スピーカー12が、搬送面21を回収方向Cに横切って、第1領域45と第2領域46との間を往復するため、スピーカー12の移動距離が大きく、移動時間が長くなる。図7に例示するように、2つ(複数)のスピーカー12を回収方向Cに並べて配置されると、1つ当たりのスピーカー12の移動距離がより小さくなり、移動時間の短縮化を図ることができる。
本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法では、スピーカー12が、進行波として、170Hzのサイン波を載置面7に向けて送波し続けると、その反射波として、載置面7で反射したサイン波と、次に送波される進行波との重合により、定在波SWが生じる。進行波と反射波とは、単振動の波動であり、進行波と反射波とを重ね合わせた合成波(定在波SW)の波長をλとすると、定在波SWでは、節と腹とが、1/2λ毎に交互に同じ位相・同じ周期で生じる。節は、媒質に振動が生じず、媒質に変位が生じない振幅0(振幅を「0」と、限りなく「0」に近い場合を含む)とする位置である。腹は、媒質に振動が最も大きく生じ、媒質に変位が最も大きい最大振幅値となる位置である。
ここで、本出願人が、AB材4と金属粒子5とを試料に、定在波の節による試料の捕捉能力と、スピーカーの発信周波数との関係について、調査する実験を行った。図8は、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法に用いる音源で、スピーカーの発信周波数と、定在波の節による捕捉能力との関係を示すグラフである。実験の結果、定在波の節で試料を最も捕捉し易い条件として、図8に示すように、AB材4では、スピーカーの発信周波数がピークトップの170Hzにあるときであった。反対に、金属粒子5では、スピーカーの発信周波数を300Hzまで可変させても、定在波の節で金属粒子5を捕捉できる能力はなかった。
前述したように、AB材混合物1の成分は、平均粒子径0.3μm程度で嵩比重0.05(真の比重2.0)の粉末状のAB材4と、粒子径数十〜100μm程度で比重8.0の粒子状の金属粒子5であり、AB材4は、金属粒子5より軽くて小さいため、AB材4は、金属粒子5より定在波の節で捕捉し易いと考えられる。すなわち、定在波の媒質は、大気中の空気であり、金属粒子5より軽くて小さいAB材4が、単振動する空気により、運ばれ易い状態にある。そして、定在波SWが生じている音響場の下に、AB材4が晒されると、AB材4は、その自重と共に、空気の単振動による力を受けて、腹から節の位置に集められ、この節の位置で捕捉されるものと考えられる。
次に、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法により、AB材集合群2を、AB材混合物1に混じった金属粒子5と分離して回収するまでの一連の工程について、説明する。はじめに、AB材混合物1が、コンベア20の搬送面21に載せられて、搬出側に向けて送出される(図3)。その一方で、搬送面21の動きを一時停止した状態で、あるいは、搬送面21をゆっくりと送出した状態で、図1及び図3に示すように、スピーカー12は、発振距離dの位置で、回収方向Cに往復運動しながら、搬送面21上のAB材混合物1に向けて周波数170Hzのサイン波を送波する。これにより、図2及び図4に示すように、スピーカー12と搬送面21との間で定在波SWの音響場が生じるため、AB材混合物1のうち、AB材4が、この定在波SWの節NDで捕捉される。節NDで捕捉されたAB材4は、次第に局部的に集まり、AB材集合群2に成長する。
節NDで捕捉されたAB材4は、図5及び図6に示すように、搬送面21に対しスピーカー12を移動させることより、定在波SWの節NDに捕捉された状態で、移動するスピーカー12に追従し、搬送面21を離れて第1領域45から第2領域46へと移され、容器回収面31に向けた自由落下により、AB材回収容器30内に回収される。このとき、AB材4は、搬送面21上を滑るだけで、落下することがないため、簡単に追従可能である。さらに、定在波SWの腹に位置するAB材4の粒子や、一旦節NDの捕捉から外れたAB材4の粒子に対しても、定在波SWの移動により、必ず節NDが複数回通過し、二重三重と複数重に捕捉されるため、このようなAB材4は、波間から漏れることもなく搬送面21全面に亘って処理可能である。
他方、金属粒子5は、図5に示すように、定在波SWの有無に関係なく、コンベア20の搬送面21に載せられたまま、搬出側の最先端まで送出され、容器回収面41に向けた自由落下により、金属粒子回収容器40内に回収される。かくして、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法により、AB材集合群2と、AB材混合物1に混じった金属粒子5とが、それぞれ分離され、AB材集合群2はAB材回収容器30内に、金属粒子5は金属粒子回収容器40内に、それぞれ回収される。
ここで、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法の有意性を確認する目的で、2つの検証実験を行った。検証実験1は、コンベア20をモデルとした疑似コンベアを、試験装置に用いた実験である。検証実験2は、品質検査を行う場所等で行うバッチ処理式の専用テーブルをモデルとしたプレートを、試験装置に用いた実験である。検証実験2では、実験の繰り返し数は3である。
検証実験1について、図9〜図12を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法に関する検証実験1の方法を、正面視で模式的に示した説明図であり、スピーカーの移動前で、疑似コンベアの搬送面に配した粉粒体混合物の状態を示す図である。図10は、検証実験1の結果をまとめた表である。図11は、検証実験1で、疑似コンベアの搬送面に残留した金属粒子の様子を示す説明図であり、受け皿の皿回収面に集められたAB材の様子を示す説明図を、図12に示す。
検証実験1では、図9に示すように、前述したコンベア20に見立てた疑似コンベア20Aが、受け皿30Aの皿回収面31Aに載置されている。この疑似コンベア20Aは、直方体形状に形成されたステンレス製の箱であり、その上部に、搬送面21(載置面7)に相当する搬送面21Aを有している。受け皿30Aは、底面である皿回収面31Aを有し、皿回収面31Aの縁を側壁で覆った皿である。音源10は、発信周波数170Hzのサイン波による音波を、スピーカー12より搬送面21Aに向けて送波する。
搬送面21Aには、AB材混合物1が、当該疑似コンベア20Aの長手方向に沿い、広範囲に平たく分散した状態で載置されている。このAB材混合物1は実験前に、図10に示すように、AB材4を0.0308(g)、金属粒子5(図10では、「SUS粉末」と表記)を0.1504(g)、双方を調合して作製した総量0.1812(g)の人為的混合物である。スピーカー12は、搬送面21Aと鉛直方向上方に対向する位置である高さ10(mm)の位置に、高さを一定に保って設置され、図9中の矢印に示すように、搬送面21Aの両端縁(図9中、左右両側の縁)を完全に横切った態様でジグザグ状に、一定速度で移動する。
検証実験1の結果を示す。図10及び図11に示すように、搬送面21Aに残留する金属粒子5は、0.1496(g)であった。これは、金属粒子5の投入量0.1504(g)に対し、実に99.47%に相当する量である。他方、疑似コンベア20Aを取り除いた後の受け皿30Aの皿回収面31Aには、定在波SWの節ND(図2、図4参照)で捕捉されたAB材4が、スピーカー12の移動に追従して、搬送面21Aから皿回収面31Aに移されており、AB材混合物1の中からAB材4の集まりAB材集合群2が、受け皿31Aに回収されていることを確認できた。
次に、検証実験2について、図13〜図17を用いて説明する。図13は、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法に関する検証実験2の方法を、正面視で模式的に示す説明図であり、その平面視で模式的に示した説明図を、図14に示す。図15は、検証実験2の結果をまとめた表である。図16は、検証実験2で、プレートの載置面に残留した金属粒子の様子を示す説明図であり、受け皿の皿回収面に集められたAB材の様子を示す説明図を、図17に示す。
検証実験2では、図13に示すように、バッチ処理式の専用テーブルに見立てたプレート50が、受け皿60の皿回収面61に載置されている。このプレート50は、例えば、円盤状に形成された金属製等の試料台であり、その上部に、載置面7に相当するプレート上面51を有している。受け皿60は、底面である皿回収面61を有し、皿回収面61の縁を側壁で覆った皿である。音源10は、発信周波数170Hzのサイン波による音波を、スピーカー12よりプレート上面51に向けて送波する。スピーカー12は、プレート上面51の鉛直方向上方に対向する位置である高さ10(mm)の位置に、高さを一定に保ったまま設置され、図13に示すように、プレート上面51を径方向に完全に横切った態様による往復直線運動で、一定速度で移動する。
プレート上面51には、AB材混合物1は、広範囲に平たく分散した状態で載置されている。このAB材混合物1は実験前に、図15に示すように、AB材4を[1回目;0.0510(g)、2回目;0.0502(g)、3回目;0.0505(g)]、金属粒子5(図15では、「SUS粉末」と表記)を[1回目;0.0292(g)、2回目;0.0301(g)、3回目;0.0307(g)]、双方を調合して作製した総量[1回目;0.0802(g)、2回目;0.0803(g)、3回目;0.0812(g)]の人為的混合物である。
検証実験2の結果を示す。図15に示すように、プレート上面51に残留する試料(AB材混合物1)は、[1回目;0.0305(g)、2回目;0.0311(g)、3回目;0.0308(g)]であり、受け皿60の皿回収面61に移されたと推定されるAB材4の量は、[1回目;0.0497(g)、2回目;0.0492(g)、3回目;0.0504(g)]であった。これは、AB材4の投入量[1回目;0.0510(g)、2回目;0.0502(g)、3回目;0.0505(g)]に対し、実に[1回目;97.45%、2回目;98.01%、3回目;99.80%]に相当する量である。
検証実験2の結果について、考察する。図16及び図17に示すように、AB材混合物1の中からAB材4の集まりAB材集合群2を、受け皿60に回収できていることが確認できた。AB材集合群2が受け皿60に回収できた理由として、プレート上面51(載置面7)に載置されたAB材混合物1が、周波数170Hzのサイン波による音波に基づく定在波SW(図2参照)の音響場に晒されたことにより、AB材混合物1中の、AB材4の集まりであるAB材集合群2が、この定在波SWの節ND(図4参照)で捕捉された状態になる。節NDで捕捉されたAB材4は、スピーカー12の移動に追従して、プレート上面51から皿回収面61に移されたためと推察できる。
次に、本実施の形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法の作用・効果について、説明する。本実施の形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、粉粒状のAB材4の集まりである粉粒体集合群2に、その異物として、粉粒状の金属粒子5が混じった粉粒体混合物1で、粉粒体集合群2を、金属粒子5と分離して回収するのにあたり、粉粒体混合物1を、広範囲に平たく分散した状態で載置する載置面7(搬送面21,21A、プレート上面51)と、回収されたAB材4を載置する回収面8(容器回収面31、皿回収面31A,61)と、音波を出力する音源10と、を備え、載置面21は、音源10から送波される音波の反射波を生成する条件を満たす態様に形成されており、音源10と載置面21とは相対的に移動可能であること、音源10は、対象物質3(AB材4)の比重に対応した周波数170Hzの音波を、載置面21の鉛直方向上方に対向する位置から載置面21に向けて送波し、定在波SWの音響場を形成することにより、粉粒体混合物1のうち、AB材4を、定在波SWの節NDで捕捉すること、AB材4は、音源10と載置面21との相対移動により、定在波SWの節NDで捕捉された状態で、載置面21を離れて回収面31に移されること、を特徴とする。
この特徴により、載置面7に載置されたAB材混合物1の中から金属粒子5を、載置面21上で、非接触で簡単に分離することができ、金属粒子5と分離したAB材4の集まりである粉粒体集合群2が、回収面31(AB材回収容器30の容器回収面31)に効率良く回収できる。しかも、載置面21上で分離して回収面31に移された粉粒体集合群2の中には、金属粒子5がほとんど混ざり込むことがなく、金属粒子5と分離して、AB材回収容器30に回収された粉粒体集合群2の分離精度は、100%近くと極めて高い。さらに、金属粒子5とAB材4との分離を非接触で行うことから、分離装置に起因する新たな異物が混入するというリスクもない。他方で、AB材4が、載置面21上で分離して回収面31に回収された後、載置面21上に残留した金属粒子5が、金属粒子回収容器40の容器回収面41に回収された状態では、回収された金属粒子5の集まりの中には、AB材4は、ほとんど混入しない。そのため、AB材混合物1を載置面21に載せたときの粉粒体集合群2の投入量に対し、AB材回収容器30に回収された粉粒体集合群2の歩留まりが、高くなる点でも、本実施の形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、優れている。
従って、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法によれば、粉粒状のAB材4の集まり(粉粒体集合群2)の中に混じっている粉粒状の金属粒子5を、粉粒体集合群2と分離させて回収するのにあたり、金属粒子5を、非常に安価で効率良く、非接触でかつ高い精度で分離させ、粉粒体集合群2(AB材4)を簡単に回収することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法では、音波は、可聴域帯に属する周波数170Hzのサイン波であり、音源10は、音波制御部11で発生させた電気信号を、音声として、音波に変換するスピーカー12を有し、スピーカー12と載置面7(搬送面21,21A、プレート上面51)とが、相対的に移動可能であること、を特徴とする。
この特徴により、スピーカー12から発する音波に基づく定在波SWの音響場を、載置面21上に形成するため、定在波SWの節NDから多少外れた位置でも、対象物質3であるAB材4が落下することがないため、AB材4が大量に捕捉できる。また、載置面7に対しスピーカー12の移動により、この定在波SWの音響場は、載置面21から回収面8へとスピーカー12の移動に追従することができる。それによって、捕捉されたAB材集合群2も定在波SWと共に移動するが、ここでも、AB材4が落下することがないため、捕捉されたこれらのAB材集合群2についても簡単に追従可能である。また、前述したように、AB材4は、搬送面21上を滑るだけで、落下することがないため、簡単に追従可能である。加えて、定在波SWの腹に位置する粒子(AB材4)や、一旦節NDの捕捉から外れた粒子(AB材4)に対しても、定在波SWの移動により、必ず節NDが複数回通過し、二重三重と複数重に捕捉されるため、このようなAB材4は、波間から漏れることもなく搬送面21全面に亘って処理可能である。さらに、周波数170Hzの音波は、指向性が広く、載置面21の幅広い範囲に届き、かつ媒質の最大振幅も比較的大きいことから、定在波SWの音響場もより幅広い範囲で形成され易くなり、載置面21に載せたAB材混合物1の中から、対象物質3であるAB材4が、定在波SWの節NDで、より多く捕捉できる。また、サイン波の音波を発する音源10は、市場に数多く流通しているため、非常に安価である。
また、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法では、搬送面21の送出により、搬送面21に載せた粉粒体混合物1を搬送先に運ぶコンベア20を備え、載置面7は、コンベア20の搬送面21であること、を特徴とする。
この特徴により、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法を実施する分離回収装置として、音源10とコンベア20のほか、AB材回収容器30や金属粒子回収容器40を必要するだけであり、分離回収装置は、極めて簡単な構造で構成できるため、低コストである。また、AB材回収容器30に回収されなかったAB材4や、金属粒子回収容器40に回収されなかった金属粒子5が、このような分離回収装置の構造体や構成部品等の装置本体に、付着物として残留してしまうことも、ほとんどない。そのため、分離回収装置のメンテナンスは容易で、その作業性も良い。加えて、本実施形態のように、AB材4が、自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池の電極を製造する材料として使用される場合、コンベア20を装備した上述の分離回収装置は、電極の製造工程を担う種々の生産設備を設置した生産ラインに、インラインで設置可能となり、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法は、電極の量産体制下にも対応することができる。
また、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法では、搬送面21に垂直な上下方向V、かつ搬送面21の送出方向Fに対し、直交する方向を回収方向Cとすると、音源10は、少なくとも1つ以上設けられ、搬送面21(載置面7)の上方の領域にある第1領域45と、回収方向Cに対し、搬送面21の外側の領域にある第2領域46との間を、自在に移動できること、を特徴とする。
この特徴により、搬送面21に載置されたAB材混合物1の中から金属粒子5を、搬送面21上で分離した後、AB材4(粉粒体集合群2)は、AB材回収容器30の容器回収面31(回収面31)に、金属粒子5は、金属粒子回収容器40の容器回収面41に、それぞれ別々に自動化して回収することができる。そのため、AB材混合物1の中から、金属粒子5を分離した後の粉粒体集合群2を回収するのに、その回収に伴うコストが抑制できる。
また、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法では、対象物質3は、AB材4であり、AB材4の比重は、金属粒子5の比重より小さいこと、を特徴とする。この特徴により、定在波SWの音響場は、金属粒子5の比重より小さいAB材4の比重に合わせて、周波数170Hzの音波に基づいて形成されているため、AB材4に対応した定在波SWでは、AB材4より比重の大きい金属粒子5は、その節NDで捕捉できず、回収面31(AB材回収容器30の容器回収面31)に運ばれることもない。したがって、金属粒子5と分離した後の粉粒体集合群2が、高い分離精度でAB材回収容器30に回収できていると共に、金属粒子5が、回収した粉粒体集合群2に入ってしまうのを、確実に阻止することができる。
また、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法では、AB材4は、リチウムイオン二次電池の電極の製造に必要な電極材料であり、金属粒子5は、電極材料の製造工程で残留したステンレス属製の異物であること、を特徴とする。この特徴により、設定した規格より大きい金属粒子5が、AB材混合物1から簡単に短時間で除去でき、高精度に回収されたAB材4(AB材集合群2)が、リチウムイオン二次電池の電極の製造に供給できる。そのため、一連の電極の製造工程の生産効率が、例えば、「ふるい方式」や「質量差分離方式」、特許文献1のような分離技術等の従来技術を用いた場合に比して、大幅に向上する。ひいては、リチウムイオン二次電池のコストの低減化が実現できる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、AB材4を定在波SWの節NDで捕捉するのに、周波数170Hzのサイン波による音波をスピーカー12から出力したが、音源から出力する音波は、疑似サイン波でも良い。また、音波の周波数は、実施形態に限定されるものでなく、定在波の節で捕捉できる本発明の対象物質の物性に対応していれば、どのような周波数値でも良い。
(2)また、実施形態では、スピーカー12の出力を6Wとしたが、音源から発する音波の出力値は、適宜変更可能である。
(3)また、実施形態では、周波数170Hzのサイン波による音波を、スピーカー12から発すると、その音が周囲に拡散されるため、本実施形態に係る粉粒体混合物の混入物質分離回収方法を行う場合には、必要に応じて、指向性の高いスピーカーを用いることや、防音対策が施されていても良い。
(4)また、実施形態では、AB材4の集まりである粉粒体集合群2に、金属粒子5が混じった粉粒体混合物1を挙げたが、粉粒体混合物は、一の物質の集まりの中に、他の物質を複数種の含む構成でも良く、本発明の粉粒体混合物の混入物質分離回収方法では、本発明の対象物質は、このような粉粒体混合物に含まれる複数種の他の物質の中から、特定の物質だけを、定在波の節で捕捉するものであっても良い。
(5)また、実施形態では、リチウムイオン二次電池の電極を製造するのに用いるAB材4を、一の物質とし、AB材4の製造工程で残留した金属粒子5を、他の物質としたが、一の物質は、この他にも、例えば、薬品、塗料材等の粉体状の物質でも良く、他の物質は、このような一の物質といっしょに混じる異物であっても良い。
1 粉粒体混合物
2 粉粒体集合群
3 対象物質
4 AB材(一の物質)
5 金属粒子(他の物質)
7 載置面
8 回収面
10 音源
11 音波制御部
12 スピーカー(音波拡声部)
20 コンベア(搬送手段)
21,21A 搬送面(載置面)
31 容器回収面(回収面)
31A,61 皿回収面(回収面)
45 第1領域
46 第2領域
51 プレート上面(載置面)
SW 定在波
ND 節
V 上下方向
F 送出方向
C 回収方向

Claims (6)

  1. 粉粒状の一の物質の集まりである粉粒体集合群に、粉粒状の他の物質が少なくとも1種混じった粉粒体混合物で、前記粉粒体集合群を、前記他の物質と分離して回収するのにあたり、
    前記粉粒体混合物を、広範囲に平たく分散した状態で載置する載置面と、回収された物質を載置する回収面と、音波を出力する音源と、を備え、
    前記載置面は、前記音源から送波される前記音波の反射波を生成する条件を満たす態様に形成され、前記音源と前記載置面とは相対的に移動可能であること、
    前記音源は、前記一の物質または前記他の物質のいずれか一方の対象物質の比重に対応した周波数の音波を、前記載置面と鉛直方向上方に対向する位置から前記載置面に向けて送波し、定在波の音響場を形成することにより、前記粉粒体混合物のうち、前記対象物質を、前記定在波の節で捕捉すること、
    前記対象物質は、前記音源と前記載置面との相対移動により、前記定在波の節で捕捉された状態で、前記載置面を離れて前記回収面に移されること、
    を特徴とする粉粒体混合物の混入物質分離回収方法。
  2. 請求項1に記載する粉粒体混合物の混入物質分離回収方法において、
    前記音波は、可聴域帯に属する周波数のサイン波であり、
    前記音源は、音波制御部で発生させた電気信号を、音声として、前記音波に変換する音波拡声部を有し、
    前記音波拡声部と前記載置面とが、相対的に移動可能であること、
    を特徴とする粉粒体混合物の混入物質分離回収方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載する粉粒体混合物の混入物質分離回収方法において、
    搬送面の送出により、前記搬送面に載せた被運搬物を搬送先に運ぶ搬送手段を備え、
    前記載置面は、前記搬送手段の前記搬送面であること、
    を特徴とする粉粒体混合物の混入物質分離回収方法。
  4. 請求項3に記載する粉粒体混合物の混入物質分離回収方法において、
    前記搬送面に垂直な上下方向、かつ前記搬送面の送出方向に対し、直交する方向を回収方向とすると、
    前記音源は、少なくとも1つ以上設けられ、前記載置面の上方の領域にある第1領域と、前記回収方向に対し、前記載置面の外側の領域にある第2領域との間を、自在に移動できること、
    を特徴とする粉粒体混合物の混入物質分離回収方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する粉粒体混合物の混入物質分離回収方法において、
    前記対象物質は、前記一の物質であり、前記一の物質の比重は、前記他の物質の比重より小さいこと、
    を特徴とする粉粒体混合物の混入物質分離回収方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載する粉粒体混合物の混入物質分離回収方法において、
    前記一の物質は、非水電解質二次電池の電極の製造に必要な電極材料であり、前記他の物質は、前記電極材料の製造工程で残留した金属製の異物であること、
    を特徴とする粉粒体混合物の混入物質分離回収方法。
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