JP6695929B2 - 水素透過膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素透過膜及びその製造方法に関する。
高純度の水素を得るための材料として、水素を選択的に透過させる水素透過膜が提案されている。水素透過膜として、Pd合金膜を含む膜が知られている。Pd合金膜として、PdCu合金膜が知られている。
水素透過膜用のPdCu合金膜に関して、特許文献1(特開2008−81765号公報)には、特定のパラジウム錯体を含むパラジウム合金メッキ液、及びそのめっき液により形成された水素分離膜が開示されている。特許文献1には、具体例として、塩化パラジウム、硝酸銅、アスパラギン、クエン酸二カリウム、及びリン酸水素二カリウムを含むめっき液を用いて合金膜を形成したことが記載されている。
また、非特許文献1には、SUS304上に電解PdCuめっき皮膜を成膜した後、PdCu皮膜を剥離した点、得られたPdCu皮膜がPd63wt%−Cu37wt%の皮膜であり、水素透過性を有する合金比率であるPd60wt%−Cu40wt%に非常に近い値であった点、熱処理前後のPdCu皮膜の結晶性を確認したところ、熱処理前ではα相のみ確認されたが、熱処理後はβ相が形成されていた点、及び、PdCu合金皮膜の水素透過性はα相とβ相が混在することによりその効果が得られる事から、得られたPdCu合金皮膜は水素透過膜としての機能を有すると考えられる点が記載されている。
特開2008−81765号公報
水素透過膜向け電解PdCu合金めっき皮膜の作成、表面技術協会 第125回講演大会要旨集、141ページ
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1のいずれにおいても、得られたPdCu合金膜が、実際に水素透過膜として機能したか否かについては、記載がない。そして、本発明者らの知見によれば、電解めっきによりPdCu合金膜を形成し、非特許文献1に記載されるように熱処理を行ってβ相(体心立方相)を形成したとしても、それだけでは水素透過膜として十分な水素透過性能を得ることができない。
そこで、本発明の課題は、十分な水素透過性能を有する、PdCu合金膜を利用した水素透過膜、及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する為に、本発明は以下の事項を含む。
〔1〕Pd及びCuを含む合金膜を含み、
前記合金膜が、
電解めっき膜であり、
BCC構造を有し、
前記合金膜におけるPd:Cu比率(原子比)が、6:4〜4:6である、
水素透過膜。
〔2〕前記合金膜の膜厚が1〜100μmである、前記〔1〕に記載の水素透過膜。
〔3〕Pd及びCuを含む合金膜を作製する工程と、
前記合金膜の結晶構造の少なくとも一部を、非酸素存在下で、BCC構造に変化させる工程と、
前記BCC構造に変化させる工程の後に、加熱条件下で、前記合金膜を酸素により処理する工程と、
前記酸素により処理する工程の後に、前記合金膜を還元性ガスにより処理する工程と、
を備える、
水素透過膜の製造方法。
〔4〕前記合金膜を作製する工程は、電解めっきにより前記合金膜を成膜する工程を含む、前記〔3〕に記載された製造方法。
〔5〕前記BCC構造に変化させる工程は、減圧状態で前記合金膜を熱処理する工程を含んでいる、前記〔3〕又は〔4〕に記載された製造方法。
〔6〕前記還元性ガスが水素を含む、前記〔3〕乃至〔5〕のいずれかに記載された製造方法。
〔7〕更に、前記酸素により処理する工程の後に、前記合金膜を含む環境を減圧状態にする工程を備え、
前記還元性ガスにより処理する工程は、前記減圧状態にする工程の後に、前記合金膜を含む環境に前記還元性ガスを導入する工程を含んでいる、前記〔3〕乃至〔6〕のいずれかに記載された製造方法。
〔8〕前記還元性ガスにより処理する工程が、加熱条件下で実施される、前記〔3〕乃至〔7〕のいずれかに記載された製造方法。
〔9〕更に、
前記還元性ガスにより処理する工程の後に、前記合金膜を含む環境を減圧し、再度減圧状態にする工程と、
前記再度減圧状態にする工程の後に、前記合金膜を冷却する工程と、
前記冷却する工程の後に、前記合金膜を含む環境を大気圧に戻す工程と、
を備える、前記〔3〕乃至〔8〕のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、十分な水素透過性能を有する、PdCu合金膜を利用した水素透過膜、及びその製造方法が提供される。
図1は、合金膜のSEM写真を示す。 図2は、合金膜のX線回折強度スペクトルを示す。 図3は、合金膜における押し込み試験結果を示す。
1:水素透過膜の製造方法
本発明の実施形態に係る水素透過膜の製造方法は、Pd及びCuを含む合金膜を作製する工程(ステップS1)、合金膜の結晶構造の少なくとも一部を、酸素非存在下でBCC(body−centered cubic,;体心立方格子)構造に変化させる工程(ステップS2)、BCC構造に変化させる工程の後に、加熱条件下で合金膜を酸素により処理する工程(ステップS3)、及び、酸素により処理する工程の後に、前記合金膜を還元性ガスにより処理する工程(ステップS4)を備える。
一般に、Pd合金膜について水素透過性能を高めるためには、結晶構造の一部がBCC構造となっている必要があると考えられている。しかしながら、PdCu合金膜の場合、単に結晶構造の一部をBCC構造にしただけでは、十分な水素透過性能が得られない。これに対して、本発明によれば、結晶構造の一部を酸素非存在下でBCC構造に変化させた後に、合金膜を加熱条件下で酸素により処理し、更に還元性ガスにより処理することにより、PdCu合金膜の水素透過性能を高めることができる。
以下に、各工程について詳述する
ステップ1:合金膜の成膜
Pd及びCuを含む合金膜を作製する。本実施形態では、PdCuめっき液を用いた電解めっきにより、合金膜を作製する。
すなわち、まず、PdCuめっき液を準備する。
PdCuめっき液としては、例えば、ジクロロテトラアンミンパラジウム等のパラジウムイオン供給源、硫酸銅などの銅イオン供給源、及びポリリン酸塩等の添加剤を含むめっき液を用いることができる。
次に、準備したPdCuめっき液を使用して、電解めっきにより、導電性の基材上にPd及びCuを含む合金膜を析出させる。
めっき時の浴温は、例えば、20〜80℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃である。
電流密度は、例えば0.5〜3.0A/dm2、好ましくは1.0〜2.0A/dm2である。
合金膜の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜30μm、より好ましくは5〜20μmである。
また、電解めっきは、得られる合金膜のPd:Cu比率(原子比)が4:6〜6:4、好ましくは4.5:5.5〜5.5:4.5となるような条件で実施する。
尚、基材として、合金膜との間の密着性が低い材料(例えばSUS304)を用いた場合には、合金膜の成膜後、基材から合金膜を剥離することができる。その結果、合金膜を単独で水素透過膜として利用することができる。
但し、用途によっては、基材から合金膜を剥離すること無く、基材と合金膜との積層体を水素分離膜として使用してもよい。
ステップ2:結晶構造の変換
ステップS1で成膜された合金膜は、通常FCC(face−centered cubic;面心立方格子)構造となっている。そこで、この合金膜の結晶構造の少なくとも一部を、酸素非存在下で、BCC構造に変化させる。具体的には、高真空電気炉を用いて、合金膜を減圧状態で熱処理する。減圧状態で熱処理を行うことにより、合金膜の結晶構造の少なくとも一部をBCC構造に変化させることができる。
この際の熱処理温度は、例えば好ましくは300℃以上、より好ましくは400℃以上である。また、熱処理温度の上限は、例えば600℃以下、好ましくは500℃以下である。
熱処理時間は、例えば10分〜10時間、好ましくは20分〜5時間、より好ましくは30分から3時間である。
尚、本明細書において、減圧状態とは、例えば100Pa以下、好ましくは50Pa以下、より好ましくは10Pa以下の状態であることを意味するものとする。
ステップ3:酸素処理
続いて、合金膜を、加熱条件下で、酸素により処理する。
具体的には、ステップS2と同程度の温度及び圧力条件下に合金膜を配置し、合金膜を含む環境、すなわち高真空電気炉に酸素含有ガス(好ましくは空気)を導入する。酸素は、例えば、圧力が大気圧にまで戻るように、導入される。
ステップ4:還元性ガスによる処理
続いて、加熱状態を維持したまま、合金膜を含む環境を再度減圧し、減圧状態にする。次いで、合金膜を含む環境に還元性ガスを導入する。還元性ガスは、例えば、圧力が大気圧に戻るまで、導入される。
還元性ガスとしては、例えば水素、グリーンガス(3%水素+アルゴン)などを用いることができ、好ましくは水素が用いられる。
ステップS5:冷却
合金膜を冷却した後、高真空電気炉から取り出す。これにより、本実施形態に係る水素透過膜を得ることができる。
尚、PdCu合金膜は、低温条件下(約300℃以下)において水素を吸蔵する性質を有している。そのため、ステップS4の後、単に冷却を行うと、合金膜に水素が吸蔵する場合がある。水素が吸蔵すると、皮膜が固く脆くなる場合がある。合金膜に水素が吸蔵することを避けるため、好ましくは、冷却前に、高真空電気炉を再度減圧し、減圧状態にする。そして、減圧状態で冷却を行った後、圧力を大気圧に戻す。その後、合金膜を取り出す。このような手順を用いることにより、冷却時における水素の吸蔵を防ぐことができる。
2:水素透過膜
本実施形態に係る水素透過膜は、上述の方法で得られる合金膜を有する。この合金膜を単独で水素透過膜として使用してもよいし、合金膜を他の材料と組み合わせて水素透過膜として使用してもよい。
尚、上記の方法により得られる合金膜は、BCC構造を有し、Pd:Cu比率(原子比)が4:6〜6:4である。
合金膜がBCC構造を有しているか否かは、例えば、X線回折において確認することができる。具体的には、BCC構造が存在する場合、CuKα線を用いたX線回折において、回折角2θ=43±0.5の位置にピークが存在する。一方、FCC構造が存在する場合、CuKα線を用いたX線回折において、回折角2θ=42±0.5の位置にピークが存在する。
上記の合金膜において、好ましくは、CuKα線を用いた水素透過膜のX線回折において、回折角2θ=43±0.5の位置に現れるピークのピーク強度が、回折角2θ=42±0.5の位置に現れるピークのピーク強度よりも大きい。
以上説明したように、本実施形態によれば、合金膜の結晶構造を変換した後(ステップS2)に、加熱条件下での酸素処理(ステップS3)及び還元性ガスによる処理(ステップS4)を実施することにより、高い水素透過性能を有するPdCu合金膜を得ることができる。
本実施形態によれば、例えば3〜20mL/分/cm2、好ましくは5〜20mL/分/cm2の水素透過性能を有する合金膜を得ることができる。尚、ここでいう水素透過性能は、450℃、差圧1気圧で測定した場合の値を言う。
尚、本実施形態では、ステップ1(合金膜の作製)において電解めっきにより合金膜を作製する例について説明した。但し、電解めっきではなく、圧延によって合金膜を作製した場合であっても、ステップS2乃至S4の処理を実施することにより、高い水素透過性能を得ることができる。
但し、好ましくは、本実施形態に係る水素透過膜に使用される合金膜は、電解めっき膜であることが好ましい。水素透過性能は、水素透過膜の膜厚に依存する。膜厚が薄い程、高い水素透過性能を得ることができる。本実施形態に係るPdCuめっき液を使用した場合には、圧延法と比べて、薄い膜を安定的に作成しやすくなる。また、本実施形態に係るPdCuめっき液を使用した場合には、圧延法と比べて緻密で微小な結晶構造の合金膜を得ることができ、その結果、耐久性に優れた合金膜を得ることができる。
電解めっき膜であるか否かは、例えば、合金膜の断面のSEM写真を観察することにより、確認することができる。すなわち、電解めっき膜である場合、その断面に観察される結晶粒の大きさが、圧延法等で得られた膜と比べて小さくなる。例えば、合金膜の断面を20,000倍のSEM写真により観察した場合に、5μm×5μmの視野内における最大結晶粒の周囲長が4μm以下であれば、その合金膜は電解めっき膜であると考えられる。圧延法などで得られた膜である場合、その「最大結晶粒の周囲長」は、通常、4μmを超える。
尚、本実施形態では、ステップS2において、減圧状態で熱処理を行うことにより、結晶構造をBCC構造に変化させる例について説明した。但し、非酸素存在下であれば、必ずしも減圧状態である必要は無く、例えば、還元性ガス(例えばアルゴン及び3%水素)の存在下で熱処理を行っても、結晶構造をBCC構造に変化させることができる。
[実験例]
続いて、本発明をより詳細に説明するため、出願人により行われた実験例について説明する。
[水素透過性能の検討]
(実施例1)
ステップS1:合金膜の成膜
PdCuめっき液を用意した。PdCuめっき液としては、ジクロロテトラアンミンパラジウム(Pd濃度8g/L)、硫酸銅(Cu濃度3g/L)、及びポリリン酸塩を含むめっき液を用意した。
基材としてSUS304を準備した。準備した基材上に、準備したPdCuめっき液を用いて電解めっきを行い、PdCu合金膜を析出させた。析出後、PdCu合金膜を基材から剥離した。
電解めっきの条件は、以下の通りとした。
浴温:50℃
電流密度:1.5A/dm2
得られた合金膜におけるPd:Cu原子比をEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)により測定したところ、5:5であった。
合金膜の膜厚は、10μmであった。
ステップS2:減圧状態での加熱処理
次に、得られた合金膜を高真空電気炉内に配置した。炉内を減圧状態として、合金膜を加熱した。加熱温度は450℃とし、加熱時間は1時間とした。
ついで、室温まで冷却した後、圧力を大気圧に戻し、合金膜を高真空電気炉から取り出した。
ステップS3:高温状態での酸素処理
次に、合金膜を、水素透過量測定装置にセットした。合金膜の環境を再び減圧状態とした。また、450℃に合金膜を加熱した。そして、水素透過量測定装置内に空気を導入し、圧力を大気圧に戻した。すなわち、高温状態での酸素処理を実施した。
ステップS4:水素ガスによる処理(水素透過試験)
次に、加熱状態を維持したまま、水素透過量測定装置内を再度減圧状態にした。減圧状態にした後、水素透過量測定装置内に水素を導入し、圧力を大気圧に戻した。
この際、加熱状態を維持したまま、水素透過試験を行い、合金膜の水素透過性能を測定した。水素透過試験については、次の手順により実施した。水素透過量測定装置内において、予め、1次側空間と2次側空間とを隔てるように合金膜を配置しておいた。1次側空間と2次側空間との間の差圧が1気圧となるように、1次側空間に水素を供給した。そして、1次側空間から合金膜を介して2次側空間に流れる水素量を測定した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、基材上にPdCuめっき液を用いて合金膜を成膜した。
但し、減圧状態における加熱処理以降の処理(ステップS2及び3)を行うことなく、成膜された合金膜をそのまま水素透過量測定装置に投入した。水素透過量測定装置内を減圧状態とした後、室温にて装置内に水素を導入しつつ、水素透過試験を行い、水素透過性能を測定した(ステップS4)。
(比較例2)
実施例1と同様の方法により、基材上にPdCuめっき液を用いて合金膜を成膜した(ステップS1)。得られた合金膜を、実施例1と同様に高真空電気炉に投入し、減圧状態で加熱処理を行った(ステップS2)。但し、実施例1とは異なり、高温状態での酸素処理(ステップS3)を実施することなく、水素透過試験(ステップS4)を行った。すなわち、ステップS2の後、高真空電気炉から取り出した合金膜を水素透過量測定装置にセットし、装置内を減圧状態とし、450℃に加熱した後、水素を装置内に導入し、水素透過試験を行い、水素透過性能を測定した。
(実施例2)
圧延法により作成したPdCu合金膜(膜厚10μm)を準備した。準備したPdCu合金膜について、実施例1と同様の処理(ステップS1〜S4)を施し、水素透過試験を行った。
(比較例3)
実施例2と同様に、圧延法により作成したPdCu合金膜(膜厚10μm)を準備した。但し、比較例1と同様に、減圧状態での加熱処理以降の処理(ステップS2及びS3)を行うことなく、室温で水素透過試験を実施し、水素透過性能を測定した。
(比較例4)
実施例2と同様に、圧延法により作成したPdCu合金膜(膜厚10μm)を準備した。その後、比較例2と同様に処理を行い、水素透過試験を実施した。すなわち、得られた合金膜に対して、減圧状態で加熱処理を行った(ステップS2)。減圧状態のままで室温まで冷却し、冷却後、圧力を大気圧に戻し、合金膜を高真空電気炉から取り出した。その後、合金膜を水素透過量測定装置に移し、装置内を減圧状態にし、高温状態での酸素処理(ステップS3)を実施すること無く、450℃に加熱し、水素透過試験を行った(ステップS4)。
(実施例3)
実施例1と同様の手順で、合金膜の水素透過量を測定した。但し、水素透過量測定時の加熱温度を、450℃ではなく300℃とした。
実施例1〜3及び比較例1〜4の水素透過試験の結果を表1に示す。
表1に示されるように、比較例1及び比較例3では、水素透過量が0であった。すなわち、減圧状態における加熱処理を行わない場合、合金膜が水素透過性能を有しないことが判った。また、比較例2及び4では、水素透過量(mL/分/cm2)がそれぞれ2.30及び2.21であった。減圧状態で加熱処理を行うことによって、合金膜に水素透過性能を付与できることが確認された。但し、その水素透過量は依然として小さく、水素透過膜として使用可能なレベル(例えば、3mL/分/cm2以上)の水素透過性能は得られなかった。
一方、実施例1〜3では、水素透過量が、比較例2及び4と比べて、著しく向上しており、水素透過膜として使用可能なレベルの水素透過性能、例えば、3mL/分/cm2以上を有していた。すなわち、減圧状態の加熱処理の後に、加熱状態での酸素処理、及び、還元性ガスによる処理を行うことによって、単に減圧状態での加熱処理だけを行った場合と比べて、水素透過量が著しく高まることが判った。
[表面状態の検討]
比較例1及び3(ステップS1の後、ステップS4の前)、比較例2(ステップS2の後、ステップS4の前)及び実施例1及び2(ステップS4の後)に係る合金膜について、その表面状態をSEM写真により観察した。また、実施例1については、高温状態での酸素処理後、水素ガスによる処理前(ステップS3とS4の間)のサンプルについても、その表面状態をSEM写真により観察した。SEM写真を図1に示す。図1に示されるように、比較例1及び2と、実施例1との間には、表面状態に大きな違いがあった。すなわち、加熱条件下において酸素処理を実施し、加熱状態を維持したまま再び減圧状態にし、その後水素を導入して大気圧に戻すことにより、合金膜の構造が変化することが判った。
[結晶構造の検討]
次に、比較例1(ステップS1の後、ステップS4の前)及び比較例2(ステップS2の後、ステップS4の前)の合金膜に対して、X線回折強度スペクトルを測定した。測定結果を、図2に示す。図2に示されるように、比較例1では、FCC構造のピーク(図中、A)のみが観察された。すなわち、減圧状態における加熱処理前における合金膜は、FCC構造であることが判った。一方、比較例2は、主にBCC構造のピーク(図中、B)を示し、わずかにFCC構造のピークも見られた。具体的には、比較例2では、BCC構造のピークである回折角2θ=43±0.5におけるピーク強度が、FCC構造のピークである回折角2θ=42±0.5におけるピーク強度よりも、十分に大きかった。すなわち、比較例2に係る合金膜の結晶構造は、主にBCC構造であり、わずかにFCC構造が混相していることが判った。
X回折強度スペクトルの結果から、合金膜に対して減圧状態で加熱処理を施すことにより、結晶構造の少なくとも一部がFCC構造からBCC構造に変化することが判った。しかしながら、BCC構造を有する比較例2においても、表1に示したように、十分な水素透過性能は得られていない。すなわち、結晶構造をBCC構造に変化させるだけでは、所望する水素透過性能は得られないことが理解できる。
[機械的特性の検討]
実施例1と同様の条件で、PdCuめっき液を用いて、電解めっきにより、膜厚が5μm及び10μmであるPdCu合金膜を成膜し、めっき後、基材から合金膜剥離した。
また、圧延法により、膜厚が5μm及び10μmであるPdCu合金膜を用意した。
各合金膜を、円形の非支持領域を有する支持部材によって支持した。次いで、非支持領域の中心部において、合金膜に対して垂直に棒状の治具を押し当て、合金膜が破れるまで、合金膜の変位量と、棒状の治具が受ける力(試験力)との関係を測定した。
試験結果を図3に示す。図3における各スペクトルは、以下の条件に対応している。
スペクトルA:電解めっき5μm
スペクトルB:電解めっき10μm
スペクトルC:圧延膜5μm
スペクトルD:圧延膜10μm
図3に示されるように、実施例1と同様の条件で電解めっきにより成膜した合金膜は、圧延法で得られた合金膜よりも、膜が突き破れるまでの変位量及び試験力が大きかった。すなわち、電解めっきにより得た合金膜の方が、圧延膜よりもしなやかであり、耐久性に優れていることが判った。

Claims (9)

  1. PdCu合金膜を含み、
    前記合金膜が、
    電解めっき膜であり、
    BCC構造(body−centered−cubic;体心立法格子)を有し、
    前記合金膜におけるPd:Cu比率(原子比)が、6:4〜4:6であり、
    3〜20mL/分/cm 2 の水素透過性能を有する、
    水素透過膜。
  2. 前記合金膜の膜厚が1〜100μmである、請求項1に記載の水素透過膜。
  3. PdCu合金膜を作製する工程と、
    前記合金膜の結晶構造の少なくとも一部を、非酸素存在下で、BCC構造に変化させる工程と、
    前記BCC構造に変化させる工程の後に、加熱条件下で、前記合金膜を酸素により処理する工程と、
    前記酸素により処理する工程の後に、前記合金膜を還元性ガスにより処理する工程と、を備える、
    水素透過膜の製造方法。
  4. 前記合金膜を作製する工程は、電解めっきにより前記合金膜を成膜する工程を含む、請求項3に記載された製造方法。
  5. 前記BCC構造に変化させる工程は、減圧状態で前記合金膜を熱処理する工程を含んでいる、請求項3又は4に記載された製造方法。
  6. 前記還元性ガスが水素を含む、請求項3乃至5のいずれかに記載された製造方法。
  7. 更に、前記酸素により処理する工程の後に、前記合金膜を含む環境を減圧状態にする工程を備え、
    前記還元性ガスにより処理する工程は、前記減圧状態にする工程の後に、前記合金膜を含む環境に前記還元性ガスを導入する工程を含んでいる、請求項3乃至6のいずれかに記載された製造方法。
  8. 前記還元性ガスにより処理する工程が、加熱条件下で実施される、請求項3乃至7のいずれかに記載された製造方法。
  9. 更に、
    前記還元性ガスにより処理する工程の後に、前記合金膜を含む環境を減圧し、再度減圧状態にする工程と、
    前記再度減圧状態にする工程の後に、前記合金膜を冷却する工程と、
    前記冷却する工程の後に、前記合金膜を含む環境を大気圧に戻す工程と、
    を備える、請求項3乃至8のいずれかに記載の製造方法。
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