JP6695215B2 - 熱硬化性プラスチックの成形装置 - Google Patents
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Description
ここで、ランナレス成形は、材料を溶融し、その溶融した材料を硬化させないように予熱しながらランナレス成形金型に供給するための材料供給装置(一般的にはスクリュー式供給装置)が必要である。また、この材料供給装置での予熱温度の管理(温度制御)も必要である。このため、設備が複雑となり、設備投資も大きくなる。よって、制御が容易で、設備コストを低減することができるさまざま熱硬化性プラスチックの成形装置が提案されている。
また、閉塞手段によって、材料供給口を閉塞すると共に、この材料供給口に連なるポットを封止するので、閉塞手段の構造が複雑化してしまう。このため、閉塞手段を交換する等の成形作業が煩雑になってしまうと共に、製造コストが増大するという課題がある。
また、上側ボディに閉塞手段であるプランジャを設け、上側ボディと下側ボディとの相対移動によって、プランジャとポットとが協働してプラスチック材料を封止するように構成している。このため、プランジャの構成が簡素化できる。よって、成形作業を容易化でき、さらに製造コストも低減できる。
また、プランジャ全体を成形作業の工程に応じて複数用意する必要がなく、成形部だけを複数用意すればよくなるので、成形装置の製造コストを低減できる。
また、取出し駒によってプラスチック材料を取り出した後、蟻溝の溝延在方向に沿ってプラスチック材料をスライド移動させるだけで、取出し駒からプラスチック材料を取り外すことができる。このため、成形作業をさらに容易化できる。
図1は、熱硬化性プラスチックの成形装置(以下、単に成形装置という)1の断面図であって、型開き状態を示す。
同図に示すように、成形装置1は、上側に配置された金属製の材料供給ブロック(材料供給部)10と、材料供給ブロック10の下方に配置された金属製の可動型40と、可動型40を昇降する昇降台60と、後述のポット15に未溶融のプラスチック材料90を供給するためのホッパ装置80と、を主要構成として備えている。なお、以下の説明では、成形装置1を設置した状態で、重力方向上側を単に上側、重力方向下側を単に下側、重力方向に直交する方向を水平方向などと称して説明する。
下側ボディ13は、上側ボディ12の下方に配置されている。下側ボディ13は、上側ボディ12に支持装置(不図示)を介して昇降可能に支持されている。また、下側ボディ13には、上側に開口部15aが形成されるようにポット15が凹設されている。ポット15は、上下方向からみて略四角状に形成されている。このように形成されたポット15に、未溶融のプラスチック材料90が供給される。
ここで、上側ボディ12と下側ボディ13とが最も離間した型開き状態では、ポット15からプランジャ70が完全に抜けており、上側ボディ12と下側ボディ13との間からポット15の開口部15aが完全に露出した状態になる。
中間ブロック43には、材料供給ブロック10に設けられている充填通路18と同数のキャビティ45が設けられている。キャビティ45は、中間ブロック43を厚さ方向(上下方向)に貫通するように形成されている。
以下、この温度を硬化温度と称する。なお、加熱装置49は、可動型40と一体に構成しなくてもよく、予め加熱装置49で所定温度に加熱しておいた可動型40を、加熱装置49から取り外して昇降台60に載置するようにしてもよい。
なお、ここでいう最終サイクル(最終成形)とは、サイクルの開始時にポット15に1サイクル分のプラスチック材料90が残っている状態で行うサイクルであり、この実施形態では3サイクル目となる。このリミットスイッチ65は、ポット15内の材料が一定量以下となったことを検出し、可動型40のストローク量が所定値に達したことを検出するストローク量検出手段と言うことができる。
ホッパ本体81は、上部が開口した箱状に形成されている。ホッパ本体81の底部81aには、プラスチック材料90を排出するための排出口83が貫通形成されている。
第1スライドプレート84は、ホッパ本体81の下面に配置され、ホッパ本体81の排出口83を下側から閉塞可能に設けられている。また、第1スライドプレート84は、先端側がホッパ本体81の下面からポット15の開口部15aの真上に至る間をスライド移動可能なように設けられている。
図2、図3は、プランジャ70の斜視図である。
図2に示すように、プランジャ70は、ポット15の形状に対応するように略四角形のブロック状に形成されている。プランジャ70は、上側ボディ12に固定されるベース部71と、ベース部71の下面に設けられ、このベース部71に対して着脱自在に設けられた成形部72と、により構成されている。
ベース部71の下面(成形部72との合わせ面)には、T溝73が下面全体にわたって形成されている。また、T溝73は、水平方向からみてT字状になるように形成されている。
より具体的には、最終サイクル終了後にポット15に残存している溶融されたプラスチック材料90を、ポット15から取出す際に使用される(詳細については、後述の熱硬化性プラスチックの成形方法で説明する)。このため、成形駒75の下面(ベース部71とは反対側の面)75aは、平坦面とされているが、取出し駒76の下面76aには、複数(例えば、本実施形態では2つ)の蟻溝77が形成されている。蟻溝77は、取出し駒76の下面76a全体に渡って形成されている。
次に、図1、図4〜図12に基づいて、成形装置1を用いて実施する熱硬化性プラスチックの成形方法を説明する。
図4〜図7、図9は、成形装置1を用いて実施する熱硬化性プラスチックの成形方法の工程説明図である。図8、図10、図11は、熱硬化性プラスチックの成形方法の各工程での成形装置1の状態を示す断面図である。
ここで、前述したように、成形装置1のサイクルの開始時では、ポット15にプラスチック材料90が残っている状態になっている。このため、図4では、成形が終了した時点(型締めされた状態)で、成形装置1にプラスチック材料90が残っている状態を示す。なお、通常の成形サイクル(成形品(製品)を成形するサイクル)では、プランジャ70の成形部72として、成形駒75(図2参照)が採用される。
また、型開き状態とした後、可動型40を昇降台60から取り外し、可動型40からプラスチック製品92を取り出すと共に、別の可動型40を昇降台60上にセットし(すなわち、可動型40の段取り換えを行い)、次のサイクルに備える。なお、プラスチック製品92の成形方法については、以下に詳述する。
この状態では、材料供給ブロック10の上側ボディ12と下側ボディ13とが、予熱装置14によって溶融保持温度に予熱されている。また、可動型40は、加熱装置49によって硬化温度に加熱されている。
そして、ポット15へのプラスチック材料90の供給終了後に、型締めするために、昇降台60を上昇させていく。昇降台60が上昇すると、可動型40の全体が上昇する。そして、まず、可動型40の浮遊ブロック44が材料供給ブロック10の断熱プレート17に当接し、ここで、浮遊ブロック44の上昇が停止される。このとき、材料供給ブロック10の充填通路18と浮遊ブロック44のスプル46とが連通する。
つまり、昇降台60の上昇停止タイミング(型締め位置)は昇降台60の位置により管理する。ここで、図9、図10は、最終サイクル(3サイクル目)における型締め状態を示している。
なお、型締め状態において材料供給ブロック10と可動型40とが当接するが、材料供給ブロック10の下側ボディ13の下面には断熱プレート17が設けられているので、可動型40から材料供給ブロック10への熱伝導が防止され、ポット15内の溶融プラスチック91が硬化温度になることはない。
図12は、本実施形態における成形サイクルを示すタイムスケジュールである。
前述したように、各サイクルにおいて昇降台60の上昇停止タイミング(型締め位置)は、昇降台60の位置により管理している。そして、1サイクル毎にポット15内の溶融プラスチック91が減少していくので、型締め位置(可動型40あるいは昇降台60の位置)が1サイクル毎に上昇していく。しかしながら、1サイクル目と2サイクル目における型締め位置では昇降台60がリミットスイッチ65の高さまで達していない(リミットスイッチ65の高さまで上側ボディ12に下側ボディ13が接近していない)ので、プラスチック材料90の補充は行わない。
(1)下側ボディ13に設けられたポット15に、未溶融の熱硬化性のプラスチック材料90を供給し、ポット15内でプラスチック材料90を溶融する工程。
(2)キャビティ45を有する可動型40を材料供給ブロック10に押圧することにより、ポット15内で溶融した溶融プラスチック91を圧縮し、材料供給ブロック10の充填通路18から押し出して可動型40のキャビティ45とスプル46に充填し、これらキャビティ45、スプル46に充填された溶融プラスチック91を加熱し硬化させる工程。
(3)可動型40を材料供給ブロック10から離反させて、キャビティ45、スプル46で硬化させたプラスチック製品92を取り出す工程(製品成形工程)。
(4)可動型40のストローク量が所定値に達した場合には、当該サイクルの終了後に、型開き状態とし、再び材料供給ブロック10のポット15に未溶融のプラスチック材料90を供給する工程。
(5)可動型40のストローク量が所定値に達した場合で、且つ熱硬化性プラスチックの成形作業を完了させる場合、ポット15内に残存している溶融されたプラスチック材料90を取り出す工程(取出し工程)。
そして、取出し駒76は、下面76aに複数の蟻溝77が形成されているので、取出し駒76を簡素な構造としつつ、ポット15に残存している溶融されたプラスチック材料90の取り出しを容易に行うことができる。また、取出し駒76に取り付いたプラスチック材料90を取り外す際は、蟻溝77の溝延在方向に沿ってプラスチック材料90をスライド移動させるだけで、取出し駒76からプラスチック材料90を取り外すことができる。このため、成形作業をさらに容易化できる。
例えば、上述の実施形態では、ポット15へのプラスチック材料90の補給を3サイクル毎とした場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ポット15の容量設定により、2サイクル毎や4サイクル毎、またはそれ以上とすることが可能である。
10…材料供給ブロック(材料供給部)
12…上側ボディ
13…下側ボディ
14…予熱装置(予熱手段)
15…ポット
15a…開口部
18…充填通路
40…可動型
45…キャビティ
49…加熱装置(加熱手段)
65…リミットスイッチ(ストローク量検出手段)
70…プランジャ
71…ベース部
72…成形部
73…T溝
74…T字凸部(凸部)
75…成形駒
76…取出し駒
76a…下面
77…蟻溝
90…プラスチック材料
Claims (5)
- 上下方向に相対移動可能な上側ボディおよび下側ボディを有し、
前記下側ボディに設けられ、未溶融の熱硬化性のプラスチック材料を複数の成形サイクル分量だけ収容可能なポットと、
前記上側ボディに設けられ、該上側ボディと前記下側ボディとの相対移動によって前記ポットに挿入されることで、該ポットと協働して前記プラスチック材料を封止するプランジャと、
前記下側ボディに設けられ、前記ポット内で溶融された前記プラスチック材料を導出する充填通路と、
を有する材料供給部と、
前記ポットに供給された未溶融の前記プラスチック材料を溶融可能な温度に前記材料供給部を加熱する予熱手段と、
キャビティを有し、前記材料供給部の下方に配置されて上下方向に移動可能に設置され、上方移動により前記材料供給部に当接したときに前記材料供給部の前記充填通路と前記キャビティとが連なり、さらなる上方移動により、前記ポット内で溶融された前記プラスチック材料が前記キャビティに充填される可動型と、
前記可動型の前記キャビティに充填された前記プラスチック材料を硬化可能な温度に前記可動型を加熱する加熱手段と、
上側ボディの下側ボディとの合わせ面に設けられ、前記可動型の上昇量が所定値に達したことを検出するストローク量検出手段と、
を備え、
前記上側ボディおよび前記下側ボディは、これら上側ボディと下側ボディとの間で前記ポットが開口するように上下方向に相対移動することを特徴とする熱硬化性プラスチックの成形装置。 - 前記プランジャは、
前記上側ボディに固定されたベース部と、
前記ベース部の前記下側ボディ側に、前記ベース部に対して着脱可能に設けられた成形部と、
に分割構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性プラスチックの成形装置。 - 前記成形部は、
未溶融の前記プラスチック材料が供給されている前記ポットを封止して前記プラスチック材料の成形を行う際に用いられる成形駒と、
最終成形後に残存する前記プラスチック材料を取り出すための取出し駒と、
からなることを特徴とする請求項2に記載の熱硬化性プラスチックの成形装置。 - 前記取出し駒の前記ベース部とは反対側の面に、蟻溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の熱硬化性プラスチックの成形装置。
- 前記ベース部の前記成形部側の面に、前記上下方向に沿う断面形状がT字状のT溝が形成されており、
前記成形部の前記ベース部側の面に、前記T溝に前記上下方向と直交する水平方向から挿入可能な凸部が形成されていることを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の熱硬化性プラスチックの成形装置。
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