JP6695075B2 - 脱液装置および脱液方法 - Google Patents

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本発明は、脱液装置および脱液方法に関する。
セルロースナノファイバー(CNF)とは、植物起因のセルロースをナノ化処理(機械的解繊やTEMPO触媒酸化など)した、繊維幅が数〜数十nm、繊維長が数百nmの微小繊維である。このCNFは、軽量、高弾性、高強度、低線熱膨張性を有している。また、CNFは、繊維径が光の波長よりも短く、素材そのものにほとんど可視光吸収が無いため、光散乱・吸収が抑制される。このため、CNFによって、透過性の高い薄膜を得ることができるという特長を有している。
一方、照明材、光学材料、雑貨等の素材として、アクリルやメタクリルポリマー(PMMA)が使用されている。このアクリルやメタクリルポリマー(PMMA)は、硬度に優れ、耐候性と透明性を兼備した材料である。しかし、物理的強度などではポリカーボネート(PC)等の他の透明性ポリマーに対して低いので、使用する用途が限定されている。
従来、浸漬法による複合化ではあるが、CNFと樹脂を複合利用することによって透明材料を構築した例がある(例えば、非特許文献1)。したがって、CNFを、アクリルやメタクリルポリマー(PMMA)等に混合すれば、その透明性を維持しつつ物理的強度を増大できる可能性があると考えられる。
特開2015−34873号公報
ところで、CNFは水溶媒中に分散した状態で提供されるのが一般的である。これは、CNF製造の段階で水を使用すること、および、CNFは親水性が高く水分を分離することが困難だからである。したがって、CNFを製造現場から加工工場に運搬する場合に、大量の水分とともにCNFを運搬しなければならず、多大な運送コストとエネルギーが必要となる。このため、CNFの水分を除去して、CNFの水分量を減少させることが求められている。
特許文献1には、CNFの懸濁液を吸引濾過してCNFシートを製造する方法は開示されているが、濾過フィルターの孔径はCNFが通過しない大きさのものを使用しているため(段落0027参照)、濾過に非常に時間がかかり脱水効率が悪い。また、ろ過フィルターの目詰まりによるろ過効率の低下がある。
現状では、CNF等のナノファイバーから効果的に脱水する方法は開発されておらず、かかる装置および方法が求められている。
また、ナノファイバーに限られず、非常に微細な粒子や繊維状混合物質等の混合物質(微小混合物質)が水やアルコールやヘキサンなどの溶媒に分散した懸濁液やコロイド状になって溶媒中に存在しているコロイド状液は、比表面積が高く、微粒子表面に相対的に多量の溶媒を包含することから、微小混合物質を分離する(脱液)することが難しい。したがって、かかる懸濁液やコロイド状液から脱液する装置や方法も求められている。
本発明は上記事情に鑑み、ナノファイバーや微小混合物質を含む懸濁液やコロイド状液などの被処理物から効率よく脱液することができる脱液装置および脱液方法を提供する。
(脱液装置)
第1発明の脱液装置は、溶媒とナノファイバー等の微小な混合物質を含む被処理物が配置される脱液シートを備えた脱液部と、該脱液部の脱液シートとの間に被処理物を挟んで加圧する加圧部と、を備えており、前記脱液シートは、前記混合物質を透過し得る孔径の孔や前記混合物質を透過し得る幅の流路等を有する透液性シートを複数枚重ねて形成された積層部分を有していることを特徴とする。
第2発明の脱液装置は、第1発明において、前記脱液部は、前記脱液シートが、その積層部分では、前記複数枚の透液性シートが重なり合った状態で同じ方向に移動するように設けられており、該積層部分の下流側では、反加圧部側の透液性シートが順次他のシートから離間するように設けられていることを特徴とする。
第3発明の脱液装置は、第2発明において、前記脱液シートは、前記複数枚の透液性シートが無端ベルトとなっており、前記脱液部は、該脱液シートを駆動する駆動部を備えており、該駆動部は、前記複数枚の透液性シートを移動させる駆動ローラと、前記複数枚の透液性シートの周回移動を案内する案内ローラとを備えていることを特徴とする。
第4発明の脱液装置は、第1、第2または第3発明において、前記脱液部は、前記脱液シートに対して反加圧部側に設けられた吸引手段を備えていることを特徴とする。
(脱液方法)
第5発明の脱液方法は、溶媒とナノファイバー等の微小な混合物質を含む被処理物を脱液する方法であって、前記混合物質を透過し得る孔径の孔や前記混合物質を透過し得る幅の流路等を有する透液性シートを複数枚重ねて形成された積層シートの上に被処理物を配置して、該被処理物を積層シートに向かって加圧しながら、複数枚の透液性シートを反加圧側の透液性シートから順に除去することを特徴とする。
第6発明の脱液方法は、溶媒とナノファイバー等の微小な混合物質を含む被処理物を脱液する方法であって、前記混合物質を透過し得る孔径の孔や前記混合物質を透過し得る幅の流路等を有する透液性シートを複数枚重ねて形成された積層シートの上に配置し、積層シート上の被処理物を加圧する加圧工程と、前記積層シートにおける反加圧側の透液性シートを除去するシート除去工程と、を順に繰り返すことを特徴とする。
第7発明の脱液方法は、第5または第6発明において、前記積層シートの反加圧側から吸引することを特徴とする。
(脱液装置)
第1発明によれば、透液性シートを複数枚重ねて脱液シートを形成しているので、各透液性シートが被処理物に含まれる混合物質を透過し得る孔径の孔や混合物質を透過し得る幅の流路等を有するものであっても、混合物質の漏洩を防止しつつ被処理物を脱液することができる。しかも、各透液性シートは混合物質を透過し得る孔径の孔や混合物質を透過し得る幅の流路等を有するものであるので、混合物質を透過しない孔径のシートを使用する場合に比べて、脱液効率を高くできる。そして、ある程度脱液されて混合物質が漏洩しにくくなった状態で、脱液シートの反加圧側の透液性シートを除去すれば、脱液性を高めることができる。
第2発明によれば、被処理物を積層部分に載せれば、混合物質の漏洩を防止しつつ被処理物を連続して脱液できる。しかも、積層部分の下流側では、脱液シートの反加圧側の透液性シートを除去するので、脱液シートの透液性の低下を防止することができる。
第3発明によれば、脱液部がコンベア状に形成されているので、脱液部の構成を簡素化できる。
第4発明によれば、吸引手段によって被処理物に含まれる溶媒を吸引して除去できるので、被処理物を脱液する効率を高くすることができる。
(脱液方法)
第5および第6発明によれば、混合物質を透過し得る孔径の孔や混合物質を透過し得る幅の流路等を有する透液性シートを重ねた状態で被処理物を脱液しているので、混合物質の漏洩を防止しつつ被処理物を脱液することができる。しかも、各透液性シートは混合物質を透過し得る孔径の孔や混合物質を透過し得る幅の流路等を有するものであるので、混合物質を透過しない孔径のシートを使用する場合に比べて、脱液効率を高くできる。そして、ある程度脱液されて混合物質が漏洩しにくくなった状態で、脱液シートの反加圧側の透液性シートを除去すれば、脱液性を高めることができる。
第7発明によれば、被処理物に含まれる溶媒を吸引して除去できるので、被処理物を脱液する効率を高くすることができる。

本実施形態の脱液装置1Aの概略説明図である。 他の実施形態の脱液装置1Bの概略説明図である。
本発明の脱液装置は、ナノファイバーや微小混合物質を含む懸濁液やコロイド状液などの被処理物を脱液する装置であって、効率よく懸濁液やコロイド状液などを脱液できるようにしたことに特徴を有している。
本発明の脱液装置によって脱液される被処理物は、ナノファイバー等の微小な混合物質(例えば10μm以下の混合物質)が液体に懸濁したスラリーや、ナノファイバー等の微小な混合物質がコロイド状になっているコロイド状液などである。この被処理物を構成する液体は、水や、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール、アセトニトリル、ヘキサン等を挙げることができるが、上述したような混合物質を分散させることができるものであればよい。
上述したナノファイバーは、一般的に、「直径(繊維幅)が1〜100nmであって、長さ(繊維長)が直径の100倍以上の繊維状物質」と定義されるものである。
かかるナノファイバーは、種々の素材から製造される。例えば、植物由来のナノファイバーは、セルロース、アガロースなど(原料:木材、草、綿花など)から製造することができる。また、動物由来のナノファイバーは、キチン、キトサン、ケラチン、コラーゲンなど(原料:カニ殻、羊毛など)から製造することができる。さらに、人工ポリマー、カーボンナノファイバー、グラフェンなどの人工物からもナノファイバーを製造することができる。
また、上述したような素材からナノファイバーを製造する製法もとくに限定されない。例えば、電界紡糸法、物理的衝撃法、凍結乾燥法、気相成長法などの方法によって、所定の繊維幅や繊維長を有するナノファイバーを製造することができる。
本発明のナノファイバー回収方法によって回収されるナノファイバーの一例として、セルロースナノファイバーがある。このセルロースナノファイバーは、繊維幅が数〜数十nm、繊維長が数百nmの微小繊維である植物起因のセルロースをナノ化処理(機械的解繊やTEMPO触媒酸化など)したものである。かかるセルロースナノファイバーの製造方法は種々の方法で製造される。例えば、上述した機械的解繊やTEMPO触媒酸化などの方法によって製造することができる。
以下の説明では、被処理物が水分を多量に含むナノファイバーの場合を代表として説明する。また、以下では、図面に基づいて本発明の脱液装置を説明するが、各部の動きや配置などを分かりやすくするために、図面における各部の大きさやナノファイバーシートの厚さなどは、実際の大きさや実際の相対的な大きさとは異なっている。
(本実施形態の脱液装置1)
図1に示すように、本実施形態の脱液装置1は、脱液部2と加圧部3とを備えている。
脱液部2は、脱液シート10と、この脱液シート10を駆動する駆動部20と備えており、脱液シート10と駆動部20によってコンベア状に形成されている。
脱液シート10は、透液性を有するシートであり、3枚の透液性シート11〜13から構成されているが、詳細は後述する。
駆動部20は、駆動ローラ21と複数の案内ローラ22とを備えている。駆動ローラ21は、モータなどによって回転駆動されるものであり、回転すると脱液シート10の3枚の透液性シート11〜13が複数の案内ローラ22に案内されて周回移動するようになっている。例えば、駆動ローラ21と脱液シート10(図1であれば透液性シート13)との間の摩擦力によって、脱液シート10が駆動するようになっていてもよい。また、駆動ローラ21にスプロケット等を設けて、脱液シート10の3枚の透液性シート11〜13にスプロケットの歯と係合する部分(例えば係合孔など)を設ければ、駆動ローラ21が回転すると脱液シート10を移動させることができる。なお、摩擦によって脱液シート10を移動させる場合には、透液性シート12は透液性シート13との間の摩擦で移動し、透液性シート11は透液性シート12との間の摩擦で移動することになる。
加圧部3は、無端ベルト3aを有するコンベアであって、無端ベルト3aと脱液部2の脱液シート10との間に一定の隙間を有するように配設されている。この加圧部3は、無端ベルト3aが脱液部2の脱液シート10と接近している部分(つまり隙間を形成している部分)において、無端ベルト3aと脱液シート10が同じ方向に移動するように設けられている。図1では、上記部分では、無端ベルト3a、脱液シート10ともに左方向に移動するように設けられている。
そして、脱液部2の脱液シート10と加圧部3の無端ベルト3aが接近する部分(図1では右側の端部)近傍には、ノズルNが設けられている。このノズルNは、脱液する被処理物、つまり、ナノファイバーNFを脱液シート10上(言い換えれば、脱液シート10と加圧部3の無端ベルト3aの隙間)に供給するものである。なお、このノズルNから供給されるナノファイバーNFは水分を多量に含んだものである。例えば、ナノファイバーNFの固形分濃度が0.1重量%以上のものである。
本実施形態の脱液装置1が以上のような構造を有しているので、以下のように、ナノファイバーNFを連続して脱液することができる。
まず、脱液部2の脱液シート10と加圧部3の無端ベルト3aを移動させながら、ノズルNからナノファイバーNFを連続して脱液シート10上に供給する。脱液シート10が3枚の透液性シート11〜13によって形成されているので、ナノファイバーNFは脱液シート10を通過せず脱液シート10上に留まる。やがて、ナノファイバーNFは無端ベルト3aに挟まれて加圧されて脱液されるが、このときにも、脱液された水だけが脱液シート10を通して脱液シート10の下方に落下する。
脱液部2の脱液シート10および加圧部3の無端ベルト3aとともにナノファイバーNFは移動する。この間、ナノファイバーNFは脱液シート10と無端ベルト3aに挟まれることによって脱液が進み、脱液されたナノファイバーシートNSとなって脱液シート10と無端ベルト3aから排出される。例えば、供給されるナノファイバーNFの固形分濃度が1重量%程度であれば、このナノファイバーシートNSは、固形分濃度が5重量%程度まで脱液されたものとすることができる。
なお、ナノファイバーシートNSの固形分濃度は、供給されるナノファイバーNFの固形分濃度や、脱液シート10や無端ベルト3aの構成、また、脱液シート10と無端ベルト3aの移動速度等によって変化するが、供給される固形分濃度に対して、5倍程度の固形分濃度とすることが可能である。
また、無端ベルト3aは、その素材などはとくに限定されない。例えば、後述する脱液シート10の透液性シート11〜13と同様のシートを使用してもよいし、透液性を有しない樹脂性シートや金属製シート等であっても使用することができる。無端ベルト3aの素材には、ナノファイバーNFの性質(含水率)や脱液後のナノファイバーNFの用途などに応じて、適切なものを使用すればよい。
(脱液シート10)
脱液シート10は、3枚の透液性シート11〜13から構成されている。3枚の透液性シート11〜13は、表裏を貫通するような孔や流路を有する通水性を有するものである。例えば、3枚の透液性シート11〜13は、金網やプラスチックワイヤー、多数の貫通孔を有するシート(例えばパンチングシートなど)、不織布、毛布などによって形成されたものである。この3枚の透液性シート11〜13は、その孔の孔径や流路の幅などが必ずしもナノファイバーNFが通過できないものである必要はなく、ナノファイバーNFが通過しうるものであってもよい。例えば、3枚の透液性シート11〜13として金網を採用する場合には、50〜500メッシュ程度のものを透液性シート11〜13として使用することができる。
各透液性シート11〜13は無端ベルトであり、駆動部20の複数の案内ローラ22によって支持されていずれもループ状に形成されている。具体的には、各透液性シート11〜13は、両端部で折り返されて、両端間の部分が水平になるように複数の案内ローラ22によって支持されている。
また、この3枚の透液性シート11〜13は、その長さが異なっている。具体的には、透液性シート11がもっとも長く、透液性シート12、透液性シート13の順で長さが短くなっている。この長さの相違に起因して、透液性シート11〜13は上述した水平になっている部分の長さが異なっている。具体的には、透液性シート11、透液性シート12、透液性シート13の順で水平部分の長さが短くなっている。
さらに、透液性シート11〜13は、長尺なものの内部に短尺なものが収容された状態となるように配設されている。つまり、透液性シート11のループ内に透液性シート12が収容され、透液性シート12のループ内に透液性シート13が収容されている。
そして、透液性シート11〜13は、その一端部(図1では右端部)から他端部(図1では左端部)に向かう部分の途中までは重なるように配設されている。この直線状(水平)になっている部分(図1のLの部分)が、特許請求の範囲にいう積層部分に相当する。なお、積層部分は、3枚の透液性シート11〜13のすべてが重なっている部分と、透液性シート11と透液性シート12のみが重なっている部分の両方の領域を含んでいる。
この透液性シート11〜13の右端部には、駆動部20の駆動ローラ21が設けられており、この駆動ローラ21によって、透液性シート11〜13の全てを移動させるように構成されている。つまり、駆動ローラ21を駆動すれば、全ての透液性シート11〜13が同じ速度で同じ方向に移動するように構成されている。
そして、脱液シート10は、積層部分の下流側において、加圧部3側と反対側に位置する透液性シート13が離れて透液性シート11、12だけが積層された状態となり、その後、透液性シート12が離れて透液性シート11のみになるようになっている。このように、積層された状態から順次透液性シートが離れることによって、ナノファイバーNFの漏洩を防止しつつ、脱液効率を向上することができる。つまり、積層枚数が多い位置では透液性を抑えることによって、ナノファイバーNFの漏洩を抑えつつ脱液を実施する。その間にナノファイバーNFの密度が高まり粘性が増大することによって、ナノファイバーNFが漏洩しにくくなった状態で脱液シート10の透液性を高めることによって、脱液性を高めることができるのである。
ここで、脱液シート10では、ナノファイバーNFを透過しうる孔径を有する透液性シート11〜13を重ねることによって、ナノファイバーNFの漏洩を防止しつつ脱液している。上記のような透液性シート11〜13によってナノファイバーNFの抜けを防止できるメカニズムは以下のように推察される。
ナノファイバーNFは、非常に多量の水を含んでいるので、ナノファイバーNFを透過しうる孔径を有する透液性シート上にナノファイバーNFを載せた場合には、透液性シートの孔を通過してナノファイバーNFが漏れ出てしまう。なお、この際、ナノファイバーNFは、水が孔を透過する流れに追従して孔を通過していると考えられる。
しかし、ナノファイバーNFを透過しうる孔径を有する透液性シートでも、複数枚重ねることによって、水が流れる際の流路が長くなり、流路抵抗が大きくなる。このことは、円管を流れる流体の流速の関係式を表すハーゲンポワズイユ式(式1)を参考として説明可能である。すなわち、金網にあるメッシュ孔を擬似的に円管と見なすと、金網を重ねることは円管長を延長することになる。

U=R(P1−P2)/8μL (式1)

なお、式中のP1は上流の圧力、P2は下流の圧力、μは粘度、Lは円管の長さ、Rは円管の直径、Uは円管を流れる流体の平均流速を意味している。
例えば、透液性シートが金網であれば、図1に示すように、金網を形成するワイヤー(図1であれば11a〜12b)に沿って水が流れるが、金網を積層することによって、表面から裏面までつながるワイヤー表面の長さが長くなり上式に従い流路抵抗が大きくなり、流速も低下する。流速が低下すると流体中に分散する固体は流れへの追従ができず、金網等のワイヤー表面や流路の屈曲部への衝突時に運動量を失い、表面に析出(保持)されるものと思われる。したがって、ナノファイバーNFを透過しうる孔径を有する透液性シートを重ねた場合でも、ナノファイバーNFは透液性シートを透過できず、透液性シートの表面にとどめられるのである。
とくに、透液性シートを重ねることで、透液性シートを通過する水の流速が低下し、水がシート上に多く保持されるため、水は透液性シート間の隙間に溜まる。溜まった水は上方から下方に流れる水の抵抗となり、さらに水の流速が低下するので、より一層ナノファイバーNFは透液性シートを透過しにくくなる。すると、ナノファイバーNFを透液性シートの表面にとどめやすくなる。
一方、重なり合っている透液性シート間の隙間に溜まった水をそのままにしていれば、水が抜けにくい状態が維持されて脱液性が低下する。さらに、ナノファイバーNFの脱液が進行し、粘度が高くなるとハーゲンポワズイユ式に従ってさらに流速が低下し、ナノファイバーNFが析出する。ただし、流路抵抗が高くなりすぎると、本来除去したい水そのものがシート内に長時間とどまることとなり、脱液効率が低下する。そこで、水が溜まった状態がある程度の期間経過した後、下方に位置する透液性シートを除去すれば、ハーゲンポワズイユ式に従い、流路長さが低減し、流路抵抗が低くなる。このことで、透液性シート間の隙間に溜まった水を除去できるので、上方に位置していた透液性シートの透液性が向上し、脱液性を向上させることができる。ここで、脱液性が向上した際に、ナノファイバーNFの漏洩が考慮される。しかし、脱液されたナノファイバーNFはその密度が向上し、ナノファイバーNF分散液の粘度が高くなっている。すると、ハーゲンポワズイユ式に従い、ナノファイバーNFの粘度の増加により流路抵抗は高くなり、その流速は低下するので、ナノファイバーNFの漏洩は防ぐことができる。
以上のように、ナノファイバーNFの濃縮に併せてシートの枚数を変化(減らす)ことで、ナノファイバーNFの脱液に適した流速に制御できる。したがって、本実施形態の脱液装置1では、脱液シート10がナノファイバーNFを透過しうる孔径を有する透液性シート11〜13を重ねて形成されたものであっても、ナノファイバーNFの漏洩を防止しつつ脱液できる。
なお、上記説明では、本実施形態の脱液装置1によってナノファイバーNFを脱液できる理由を説明した。この説明は、他の被処理物において本実施形態の脱液装置1によって脱液できる理由にも適用される。つまり、粒子状の混合物質などが溶媒中に存在する懸濁液やコロイド状液も同様の原理で、混合物質の漏洩を防止しつつ脱液できる。
(吸引機構)
脱液部2の脱液性を向上させる上では、脱液シート10に対して加圧部3と反対側に吸引機構15〜17を設けて、ナノファイバーNFの水分を吸引してもよい。かかる吸引機構15〜17を設ければ、加圧と重力だけで水分を除去する場合に比べて、水分除去を迅速に実施できる。
かかる吸引機構は、脱液シート10上のナノファイバーNFの水分を吸引できるものであれば、どのようなものでも採用することができる。例えば、一般的な抄紙機に使用されているサクションボックス等と同等の構造を有するものを採用することができる。
また、吸引機構の吸引力は、各吸引機構が吸引する位置において、脱液効率を高くしつつナノファイバーNFの透過を極力抑えることができる程度に調整することが望ましい。例えば、積層部分において吸引する場合であれば、隣接する透液性シート間に水が溜まった状態を維持できる程度の吸引力とすれば、ナノファイバーNFの漏洩を防ぎやすくなるので好ましい。
また、無端ベルト3aに対して加圧部3と反対側(図1では無端ベルト3aの上方)にも吸引機構を設けてもよい。加圧部3の無端ベルト3aに透液性を有するものを使用すれば、一部の水は無端ベルト3aを通過して無端ベルト3aの上方に透液する場合がある。無端ベルト3aの上方に吸引機構を設けておけば、この水がナノファイバーNFに戻ることを防止できるので、脱液効率を向上させることができる。この場合、吸引機構の吸液力は無端ベルト3aを通してナノファイバーNFを吸い込まない程度の吸引力に調整されていることが望ましい。
なお、加圧部3の無端ベルト3aとして、脱液シート10における積層部分と同等の構造を有する積層シートを採用してもよい。この場合、吸引機構の吸引力をある程度強くしても、無端ベルト3aを通してナノファイバーNFが吸引されることを防ぐことができる。すると、加圧部3にも脱液機能を持たせることができるので、ナノファイバーNFの脱液効率を高くすることができる。
もちろん、加圧部3自体を脱液部2と同等の構造に形成してもよい。
(脱液シート10について)
脱液シート10を構成する3枚の透液性シート11〜13は、必ずしも、透液性シート11、透液性シート12、透液性シート13の順で長さが短くなっていなくてもよい。加圧部3と反対側の透液性シート(図1では透液性シート13)から順に、積層された状態から離脱するようになっていればよい。例えば、透液性シート11〜13の長さが全て同じでも、積層部分の下流側の部分における透液性シート12、13のレイアウトを調整すれば、反加圧部3側の透液性シートから順に離脱させることができる。
なお、3枚の透液性シート11〜13は、全て同じ通水性を有するもの(金網であれば同じメッシュのもの)を使用してもよいし、シートによって通水性を変化させてもよい。例えば、透液性シート11〜13のうち、ナノファイバーNFが直接載せられる透液性シート11に最も透液性が高いものを使用し、透液性シート12、透液性シート13の順で透液性が低くなるようにしてもよい。すると、脱液性をある程度高く維持しつつ、ナノファイバーNFの漏洩を防止することができる。
また、脱液シート10を構成する透液性シートは、3枚に限られず2枚でもよいし、4枚以上でもよい。脱液するナノファイバーNFの状態に応じて、適切な枚数に調整すればよい。例えば、ナノファイバーNFの濃度が薄い場合(つまりナノファイバーNFの粘度が低い場合)には、ナノファイバーNFの漏洩を防止するために、透液性シートの枚数を多くすることが好ましい。逆に、ナノファイバーNFの濃度が濃い場合(つまりナノファイバーNFの粘度が高い場合)には、脱液処理を速くするために、透液性シートの枚数を少なくすることが好ましい。
(他の実施形態の脱液装置1B)
上述した脱液装置1を使用すれば、連続してナノファイバーNFを脱液処理することができるが、バッチ処理を行うのであれば、脱液装置は図2に示すような構成でもよい。
図2に示すように、脱液装置1Bは、複数枚の透液性シートS1〜S3を有する脱液シートSを備えている。この透液性シートS1〜S3は、上述した脱液シート10の透液性シート11〜13と実質的に同じ性質および機能を有するものである。つまり、透液性を有しかつナノファイバーNFを通過させることができる程度の孔径の貫通孔等を有するものである。脱液装置1Bでは、この脱液シートSの上面にナノファイバーNFを配置して脱液処理が行われる。
脱液シートSは、中空な空間を有する筒状の部材H上に配置されている。具体的には、脱液シートSを透過した水が部材Hの中空な空間内に落下するように配設されている。なお、部材Hの中空な空間は、真空ポンプなどの吸引手段に連通されていてもよい。
図2において、符号Pは、脱液シートS上のナノファイバーNFを加圧する加圧部材である。そして、符号Paは、加圧部材PによってナノファイバーNFを加圧する際に、脱液シートSとの間にナノファイバーNFを挟むシートを示している。
以上のような構成であるので、脱液装置1Bは、脱液シートSの上にナノファイバーNFを載せて、その上にシートPaを載せて加圧部材Pで加圧すれば、ナノファイバーNFを脱液することができる。
そして、加圧を継続しながらシートS1〜S3のうち、加圧部材Pと反対側に位置するシートを順次除去すれば(図2(B)、(C)参照)、ナノファイバーNFの脱液が進行し、所望の固形分濃度となるようにナノファイバーNFを脱液することができるのである。
なお、シートを除去する際には、上述したように加圧を継続しつつシートを除去してもよいし、一旦加圧を止めてもよい。つまり、加圧とシートの除去を順に繰り返して、脱液を進行させてもよい。
本発明の脱液装置は、ナノファイバーや微小混合物質を含む懸濁液やコロイド状液などを脱液してシートや成形体を形成する装置に適している。
1 脱液装置
2 脱液部
3 加圧部
3a 無端ベルト
3h 貫通孔
10 脱液シート
11 透液性シート
12 透液性シート
13 透液性シート
15 吸引機構
16 吸引機構
17 吸引機構
20 駆動部
21 駆動ローラ
22 案内ローラ
P 加圧部材
S1 シート
S2 シート
S3 シート
NF ナノファイバー

Claims (7)

  1. 溶媒とナノファイバー等の微小な混合物質を含む被処理物が配置される脱液シートを備えた脱液部と、
    該脱液部の脱液シートとの間に被処理物を挟んで加圧する加圧部と、を備えており、
    前記脱液シートは、
    前記混合物質を透過し得る孔径の孔や前記混合物質を透過し得る幅の流路を有する透液性シートを複数枚重ねて形成された積層部分を有している
    ことを特徴とする脱液装置。
  2. 前記脱液部は、
    前記脱液シートが、その積層部分では、前記複数枚の透液性シートが重なり合った状態で同じ方向に移動するように設けられており、
    該積層部分の下流側では、反加圧部側の透液性シートが順次他のシートから離間するように設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の脱液装置。
  3. 前記脱液シートは、
    前記複数枚の透液性シートが無端ベルトとなっており、
    前記脱液部は、
    該脱液シートを駆動する駆動部を備えており、
    該駆動部は、
    前記複数枚の透液性シートを移動させる駆動ローラと、前記複数枚の透液性シートの周回移動を案内する案内ローラとを備えている
    ことを特徴とする請求項2記載の脱液装置。
  4. 前記脱液部は、
    前記脱液シートに対して反加圧部側に設けられた吸引手段を備えている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の脱液装置。
  5. 溶媒とナノファイバー等の微小な混合物質を含む被処理物を脱液する方法であって、
    前記混合物質を透過し得る孔径の孔や前記混合物質を透過し得る幅の流路を有する透液性シートを複数枚重ねて形成された積層シートの上に被処理物を配置して、
    該被処理物を積層シートに向かって加圧しながら、複数枚の透液性シートを反加圧側の透液性シートから順に除去する
    ことを特徴とする脱液方法。
  6. 溶媒とナノファイバー等の微小な混合物質を含む被処理物を脱液する方法であって、
    前記混合物質を透過し得る孔径の孔や前記混合物質を透過し得る幅の流路を有する透液性シートを複数枚重ねて形成された積層シートの上に配置し、
    積層シート上の被処理物を加圧する加圧工程と、
    前記積層シートにおける反加圧側の透液性シートを除去するシート除去工程と、を順に繰り返す
    ことを特徴とする脱液方法。
  7. 前記積層シートの反加圧側から吸引する
    ことを特徴とする請求項5または6記載の脱液方法。

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