JP6694645B2 - 塩基性ガス吸収剤及び塩基性ガス分離回収方法 - Google Patents

塩基性ガス吸収剤及び塩基性ガス分離回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、塩基性ガスを吸収・放出する塩基性ガス吸収剤及びその塩基性ガス吸収剤を用いた塩基性ガス分離回収方法に関する。
アンモニア製造プロセスやアンモニア燃料電池等の省エネ化・高効率化のため、高温ガスからアンモニアを選択的に分離する技術が求められている。代表的なアンモニア分離回収技術として、深冷分離法が知られている。深冷分離法は、極低温でアンモニアを液化させて回収する技術である。しかし、この深冷分離法は、装置設置面積が巨大となってしまうという問題や、高温ガスの冷却に膨大な量のエネルギーを消費するという問題があり、代替方法が求められている。代替方法としては、水や酸性水溶液等を用いた吸収法や、金属塩や無機多孔体等を用いた吸着法が提案されている。これらの吸収法や吸着法は、吸収液または吸着剤を、アンモニアを含む混合ガスに接触させてアンモニアを選択的に吸収し、加熱もしくは減圧によりアンモニアを回収する技術である。
より具体的には、吸収法として、例えば特許文献1に、アンモニア合成法の生成ガスからアンモニアを分離する方法が記載されている。このアンモニアの分離方法は、アンモニア合成で得られたアンモニア、水素及び窒素を含有する混合ガスを、燐酸二水素アンモニウムを含有する水溶液に接触させてアンモニアをこの水溶液に吸収させることを特徴とする。
吸着法としては、例えば特許文献2に、アンモニアを含有するガスからのアンモニアの分離に使用される、塩化カルシウムと臭化カルシウムの混合物よりなるアンモニアの吸脱着材が記載されている。また、特許文献2には、このアンモニア吸脱着材に、アンモニアを含有するガスを、アンモニアを吸着しうる圧力点の高圧側で接触させて吸着し、次いで、アンモニアを脱着させる圧力点の低圧側に圧力を低下させて該吸着剤からアンモニアを離脱させる又はアンモニア吸着剤からアンモニアを離脱させる際に圧力を低下させることに加えて温度を上昇させることを組み合わせる、アンモニアの分離方法が記載されている。
一方、アンモニアのイオン液体に対する溶解性が検討されている。例えば非特許文献1には、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム アセテートなどのアンモニア溶解度が記載されている。非特許文献2には、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェートなどのアンモニア溶解度が記載されている。非特許文献3には、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドのアンモニア溶解度が記載されている。非特許文献4には、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム テトラフルオロボレートなどのアンモニア溶解度が記載されている。
特開2002−12420号公報 特開2007−307558号公報
A. Yokozekiら、「Vapor-liquid equilibria of ammonia + ionic liquid mixtures」、Applied Energy、2007年、84、1258−1273頁 A. Yokozekiら、「Ammonia Solubilities in Room-Temperature Ionic Liquids」、Industrial & Engineering Chemistry Research、2007年、46、1605−1610頁 Wei Shiら、「Molecular Simulation of Ammonia Absorption in the Ionic Liquid 1-ethyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide ([emim][Tf2N])」、AIChE Journal、2009年、55巻、9号、2414−2421頁 Guihua Liら、「Solubilities of ammonia in basic imidazolium ionic liquids」、Fluid Phase Equilibria、2010年、297、34−39頁
しかし、従来の吸収法は、吸着法に比べ吸収量や吸収速度に優れるものの、水を媒体としているため高温環境下で吸収剤が揮発してしまい、揮発損失するおそれがあり、高温条件下でアンモニアの吸脱着を行う事が困難であったり、水の比熱が高いため、アンモニア脱着時の昇温に要するエネルギー量が多く、吸脱着のエネルギー効率が低いという問題がある。
一方、従来の吸着法は、揮発損失を回避できるが、固体と気体の反応であるため、特に金属塩を用いる場合、吸着速度が遅いという問題がある。また、ゼオライトなどの無機多孔体を用いる場合には、前記吸収法の吸収液と比べて吸着量が少ないという問題がある。
また、非特許文献1〜4に記載されているイオン液体は、揮発損失を回避できるが、リン酸水溶液などを用いた吸収法と比較すると、吸収剤単位体積当たりのアンモニア吸収量が少ない。
従って、本発明の課題は、揮発損失が少なく、吸着速度が速く、単位体積当たりの塩基性ガスの吸収量が多い塩基性ガス吸収剤を提供すること、及びそれを用いた、エネルギー効率が高い塩基性ガス分離回収方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究開発を積み重ねた結果、プロトン供与性置換基を有する特定のカチオンからなるイオン液体は、プロトン供与性置換基とアンモニアが強く相互作用することによって、アンモニア吸収量が増加することを見出した。本発明者は、更に検討を行い、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するため、本発明の塩基性ガス吸収剤は、カチオンとアニオンとからなるイオン液体を含み、前記カチオンはプロトン供与性置換基を有する、イミダゾリウム類又はアンモニウム類であり、
前記プロトン供与性置換基は、カルボン酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
前記アニオンは、アミド、硫酸水素イオン、ホスフェイト、およびスルホネートからなる群から選ばれる少なくとも1つであると好ましい。
前記アニオンは、アミド又は硫酸水素イオンであると好ましい。
前記カチオンは1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム又はトリメチル(ヒドロキシカルボニルメチル)アンモニウムであると好ましい。
前記イオン液体は1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム ハイドロジェンスルホネート又はトリメチル(ヒドロキシカルボニルメチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドであると好ましい。
前記塩基性ガスは、アンモニアであると好ましい。
前記イオン液体は、担体に保持されていると好ましい。
また、本発明の塩基性ガス分離回収方法は、前記の塩基性ガス吸収剤を塩基性ガスを含む混合ガスと接触させることによって、塩基性ガスを前記塩基性ガス吸収剤に吸収させて、前記混合ガスから塩基性ガスを選択的に分離する吸収工程、及び
前記の塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤を加熱することで吸収した塩基性ガスを放散させて回収し、前記塩基性ガス吸収剤を再生する加熱再生工程、を含む。
また、本発明の塩基性ガス分離回収方法は、前記の塩基性ガス吸収剤を塩基性ガスを含む混合ガスと接触させることによって、塩基性ガスを前記塩基性ガス吸収剤に吸収させて、前記混合ガスから塩基性ガスを選択的に分離する吸収工程、及び
前記の塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤を減圧することで吸収した塩基性ガスを放散させて回収し、前記塩基性ガス吸収剤を再生する減圧再生工程、を含む。
また、本発明の塩基性ガス分離回収方法は、前記イオン液体が担体に保持されている前記の塩基性ガス吸収剤を含む塩基性ガス分離膜の一次側に塩基性ガスを含む混合ガスを供給することによって、塩基性ガスを前記塩基性ガス吸収剤に吸収させて、前記混合ガスから塩基性ガスを選択的に分離する工程、及び、
前記塩基性ガス分離膜の二次側に一次側より塩基性ガス分圧の低いガスを供給、もしくは二次側を減圧することで、前記塩基性ガス吸収剤から、塩基性ガスを回収する工程、を含む。
本発明の塩基性ガス吸収剤は、揮発損失が少なく、吸着速度が速く、単位体積当たりの塩基性ガスの吸収量が多い。また、該吸収剤を用いた塩基性ガス分離回収方法は、エネルギー効率が高い。
アンモニアガス吸収試験装置(大気圧)を示す図。 塩基性ガス吸収剤の各温度におけるアンモニアガス吸収量(モル比)を示すグラフ。 塩基性ガス吸収剤の各温度におけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を示すグラフ。 塩基性ガス吸収剤の各温度におけるアンモニアガス吸収量(体積モル濃度)を示すグラフ。 塩基性ガス吸収剤の各温度におけるアンモニアガス吸収量(質量モル濃度)を示すグラフ。 塩基性ガス吸収剤の温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を示すグラフ。 イミダゾリウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のH−NMRスペクトル。 イミダゾリウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後の13C−NMRスペクトル。 アンモニウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のH−NMRスペクトル。 アンモニウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後の13C−NMRスペクトル。 イミダゾリウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(200〜1100cm−1)。 イミダゾリウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(1100〜1900cm−1)。 イミダゾリウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(2600〜3300cm−1)。 イミダゾリウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(3100〜3900cm−1)。 アンモニウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(200〜1100cm−1)。 アンモニウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(1100〜1900cm−1)。 アンモニウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(2600〜3300cm−1)。 アンモニウム系の塩基性ガス吸収剤のアンモニア吸収前後のラマン分光スペクトル(3100〜3900cm−1)。
本発明の塩基性ガス吸収剤は、カチオンとアニオンとからなるイオン液体を含み、このカチオンは、プロトン供与性置換基を有する、イミダゾリウム類又はアンモニウム類である。
本発明に係るイオン液体は、単独、100℃、大気圧の条件で液体となる塩である。本発明に用いるイオン液体は、特に室温(25℃)で液体であると好ましい。すなわち、本発明に係るイオン液体の融点は、100℃以下であれば特に限定されないが、50℃未満であると好ましく、25℃未満であるとより好ましく、10℃未満であると特に好ましい。また、本発明に係るイオン液体の融点の下限は、特に限定されない。本発明に係るイオン液体には、後述するように、担体に保持された状態では固体となるものや、塩基性ガスを吸収した状態では固体となるものが含まれる。
(カチオン)
本発明に係るイオン液体を構成するカチオンは、プロトン供与性置換基を有する、イミダゾリウム類又はアンモニウム類である。
プロトン供与性置換基は、プロトンHを放出しうる置換基であり、例えば、アルコール性水酸基やフェノール性水酸基といった水酸基、スルホン酸基(別名:スルホ基・スルホン基)、カルボン酸基(別名:カルボキシル基)、りん酸基、チオール基等が挙げられる。中でもプロトン供与性置換基は、アルコール性水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましい。イオン液体を構成するカチオンのイミダゾリウム類又はアンモニウム類にプロトン供与性置換基を導入することにより、プロトン供与性置換基と塩基性ガスとが強く相互作用して塩基性ガス、特にアンモニアガスの吸収量が増加する。
本発明に係るイミダゾリウム類は、前述のプロトン供与性置換基を有するものであれば特に限定されない。イミダゾリウム類は、イミダゾール(1,3−diaza−2,4−cyclopentadiene)の水素原子が炭化水素基に置換されている化合物のカチオンであり、例えば、式1で表される。
(式1中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は無置換若しくは置換基を有する炭化水素基であり、少なくともR〜Rの1つはプロトン供与性置換基を有する炭化水素基である。)
イミダゾリウム類の炭化水素基は、特に限定されないが、例えば、無置換又は置換基を有するアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられ、環状であっても非環状であってもよく、骨格にヘテロ原子を有していてもよい。炭化水素基は、1つであっても2以上であってもよいが、1,3位の2つの窒素原子に炭化水素基を有していると好ましい。2以上の炭化水素基を有するときは、同一であっても異なっていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましい。
炭化水素基が有する置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン基;メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基などのアルキレン基;これらのアルケニレン基、アルキニレン基;アルコキシ基などが挙げられる。
イミダゾリウム類としては、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−プロピルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウムなどの1つの飽和又は不飽和の炭化水素基で置換された非対称型のイミダゾリウム;1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジプロピルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウムなどの2つの飽和又は不飽和の炭化水素基で置換された対称型のイミダゾリウム;1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムなどの2つの飽和又は不飽和の炭化水素基で置換された非対称型のイミダゾリウム;2つ以上の飽和又は不飽和の炭化水素基で置換されたイミダゾリウムなどが挙げられる。
具体的な、プロトン供与性置換基を有するイミダゾリウム類としては、プロトン供与性置換基が水酸基である、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−イミダゾリウム(略記:[2OHmim])、プロトン供与性置換基がスルホン酸基である、1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム(略記:[4SOHmim])などが挙げられる。
本発明に係るアンモニウム類は、前述のプロトン供与性置換基を有するものであれば特に限定されない。アンモニウム類は、1級〜3級アミンに水素イオンが結合してできた陽イオン又は、NH の水素原子が全て炭化水素基で置換された4級アンモニウムであり、例えば、式2で表される。
(式2中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は無置換若しくは置換基を有する炭化水素基であり、少なくともR〜Rの1つはプロトン供与性置換基を有する炭化水素基である。)
アンモニウム類の炭化水素基は、特に限定されないが、例えば、イミダゾリウム類の炭化水素基として例示したものが挙げられる。また、アンモニウム類の炭化水素基の置換基としては、イミダゾリウム類の炭化水素基の置換基として例示したものが挙げられる。
具体的な、プロトン供与性置換基を有するアンモニウム類としては、プロトン供与性置換基が水酸基である、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム(略記:[N111,2OH])、プロトン供与性置換基がカルボン酸基である、トリメチル(ヒドロキシカルボニルメチル)アンモニウム(略記:[N111,1COOH])などが挙げられる。
(アニオン)
本発明に係るアニオンは、前記の、プロトン供与性置換基を有する、イミダゾリウム類又はアンモニウム類とイオン液体を形成するものであれば、特に限定されない。
アニオンとしては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[TfN])などのイミドなどのアミド;硫酸水素イオン(別名:ハイドロジェンスルホネート、略記:[HSO]);トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェイト(略記:[e−FAP])やヘキサフルオロホスフェート(略記:[PF])などのホスフェイト、エチルサルフェート(略記:[EtSO])などのサルフェート、トリフルオロメタンスルホネート(略記:[TfO])などのスルホネート;アセテート(略記:[ace])などのカルボキシレート;チオシアネート(略記:[SCN]);テトラフルオロボレート(略記:[BF])などのボレート;フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイドなどのハライド等が挙げられる。中でも、アミド、硫酸水素イオン、ホスフェイト、およびスルホネートが好ましく、アミドおよび硫酸水素イオンがより好ましい。
これらのアニオンは、それぞれ、前述のカチオンと任意に組み合わせて用いることができる。
(イオン液体)
本発明に係るイオン液体は、公知の方法により製造することができ、原料に応じて最適な条件を採用することができる。
本発明に係るイオン液体としては、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[2OHmim][TfN])、1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[4SOHmim][TfN])、1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム ハイドロジェンスルホネート(略記:[4SOHmim][HSO])、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[N111,2OH][TfN])、トリメチル(ヒドロキシカルボニルメチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[N111,1COOH][TfN])が好ましい。
(塩基性ガス吸収剤)
本発明の塩基性ガス吸収剤は、前記の、カチオン及びアニオンからなるイオン液体を含み、このカチオンはプロトン供与性置換基を有する、イミダゾリウム類又はアンモニウム類である。
本発明の塩基性ガス吸収剤は、液状の塩基性ガス吸収液として用いることができる。例えば、前記のイオン液体を単独又は複数で用いることができ、それらを希釈剤、好ましくは高沸点溶媒、で希釈して用いることができる。例えば、主たるイオン液体の融点が常温(25℃)より高い場合には、希釈剤に溶解して液体として用いることができる。希釈剤としては、本発明に係るイオン液体を用いることもでき、他の一般にイオン液体と称されるカチオン及びアニオンからなるイオン液体類、ジエチレングリコール類、アルコール類、水などが挙げられる。塩基性ガス吸収液の蒸気圧を低減して揮発による損失を抑制するためには、イオン液体類又は高沸点のジエチレングリコール類の使用が好ましい。
また、本発明の塩基性ガス吸収剤は、担体に保持して用いることもできる。例えば、シリカゲルやゼオライト等の多孔質材料に前記のイオン液体を担持させた吸着材、シリカゲルやゼオライト等の多孔質材料表面に前記のイオン液体を化学的に結合させた吸着材、前記のイオン液体と高分子を混合して調製したゲルを用いた吸着材、ゼオライトやテフロン(登録商標)フィルタ等の多孔質膜に前記のイオン液体を含浸させた分離膜、前記のイオン液体と高分子を混合して調製したゲルを用いた分離膜等などの態様とすることができる。
また、本発明の塩基性ガス吸収剤は、本発明を阻害しない範囲で、他の成分を含むことができる。
(塩基性ガス分離回収方法)
次に、本発明の塩基性ガス吸収剤を用いた塩基性ガス分離回収方法について説明する。
本発明の、塩基性ガス分離回収方法においては、前述の塩基性ガス吸収剤を塩基性ガスを含む混合ガスと接触させることによって、塩基性ガスを前記塩基性ガス吸収剤に吸収させて、混合ガスから塩基性ガスを選択的に分離する(吸収工程)。
塩基性ガスとしては、例えば、アンモニアや、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ヒドラジン、ピリジン、エタノールアミン、エチレンジアミンなどのアミン類が挙げられる。これらのアミン類には、沸点が室温より高いもの含まれるが、これらは僅かに気化しても臭気が強い。本発明の塩基性ガス吸収剤を用いた塩基性ガス分離回収方法は、特に、アンモニアガスの分離回収に優れている。前記混合ガスは、これらの塩基性ガスを含むガス状の混合物であれば、特に限定されない。また、混合ガス中に含まれる塩基性ガスの種類及び組成も特に限定されない。
本発明の塩基性ガス分離回収方法において、塩基性ガスを、塩基性ガス吸収剤に含まれるイオン液体に化学的に吸収させる吸収工程の温度は、特に限定されないが、例えば、室温近傍(25℃±30℃)や室温(25℃)以下、10℃などである。混合ガスと塩基性ガス吸収剤の接触方法は、塩基性ガスが塩基性ガス吸収剤に吸収される限り、特に限定されない。例えば、塩基性ガス吸収剤が液状の場合には、液中に混合ガスをバブリングさせる方法、混合ガスに塩基性ガス吸収剤をシャワーやスプレーする方法などが挙げられる。
本発明の塩基性ガス分離回収方法において、塩基性ガスを、比較的低温にする代わりに、または併せて、高圧状態で塩基性ガス吸収剤に接触させて吸収させることもできる。吸収圧力は、特に限定されないが、通常大気圧以上、好ましくは2MPa以上、より好ましくは4MPa以上である。混合ガスと塩基性ガス吸収剤の接触方法は、塩基性ガスが塩基性ガス吸収剤に吸収される限り、特に限定されない。例えば、前述の室温など比較的低温で吸収させる方法と同様の方法などが挙げられる。これらは別工程で行うこともでき、同時に行うこともできる。
塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤は、例えば、混合ガスと、塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤とを分離し、分離した塩基性ガス吸収剤を加熱することで塩基性ガスを放散させて、塩基性ガス吸収剤を再生して再利用できる(加熱再生工程)。
塩基性ガス吸収剤を加熱する場合、塩基性ガスを吸収した温度よりも5〜100℃高い温度条件に設定することにより、塩基性ガスを放散できる。例えば、塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤を、吸収時の温度より高温に昇温して、吸収した塩基性ガスを放散させて回収し、前記塩基性ガス吸収剤を再生すると好ましい。100℃以下の温度条件で塩基性ガスの放散を行うと、100℃以下の未利用の低品位廃熱を利用できるため、100℃以上の熱源を必要とする従来技術と比較して省エネルギーである。
前記の加熱再生工程の代わりに、又は併せて、減圧することで塩基性ガスを放散させて、塩基性ガス吸収剤を再生して再利用することもできる。また、前記の加熱再生工程に代えて、又は別の工程として、塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤は、混合ガスと、塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤とを分離し、分離した塩基性ガス吸収剤を減圧することで塩基性ガスを放散させて、塩基性ガス吸収剤を再生して再利用できる(減圧再生工程)。
塩基性ガス吸収剤を減圧する場合、塩基性ガスを吸収した圧力よりも低圧条件に設定することにより、塩基性ガスを放散できる。圧力条件は対象とする塩基性ガス除去プロセスに応じて設定することができる。塩基性ガス吸収剤を減圧する際の温度は、特に限定されないが、塩基性ガスを吸収した温度(例えば室温近傍(25℃±30℃)や室温(25℃)、10℃など)より高い温度であると好ましい。
中でも、加熱再生工程において、温度を吸収時の温度より高温かつ100℃以下とし、吸収した塩基性ガスの50%以上を放散させて回収し、前記塩基性ガス吸収剤を再生すると好ましい。
塩基性ガス吸収剤を再生する装置は、吸収した塩基性ガスが放散され、塩基性ガス吸収剤中のイオン液体が再生されるのであれば、特に限定されない。
本発明の塩基性ガス分離回収方法は、吸収剤の揮発損失が少なく、エネルギー効率が高く、吸着速度が速く、吸収剤単位体積当たりの塩基性ガスの吸収量が多い。
(実施例)
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。測定は、以下の測定方法を用いた。圧力は、特に断りのない限り絶対圧である。
(1)NMRスペクトル
イオン液体、イオン液体を含む塩基性ガス吸収剤、又はアンモニアガスを吸収したこれらの、H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルは、Bruker社製のAscend 400を用いて測定した。特に断りの無い限り測定温度は313.2Kとし、キャピラリに封入したベンゼン−d6をロック溶媒として用いた。
(2)アンモニア吸収量(大気圧)
図1に示す、アンモニア吸収試験装置を用いて大気圧で測定を行った。アンモニア吸収試験装置は、PFA製の反応容器109にアンモニアもしくは窒素を導入するための、窒素供給ライン100、アンモニアのボンベ101、減圧弁102、三方バルブ103、流量計104、バルブ105、コイル状の熱交換器106、及びバルブ107、112、並びに、熱媒を入れる恒温槽116、その恒温槽116内の熱媒の温度を測定する白金測温体114を接続した温度表示器115、恒温槽116内の熱媒の温度を調節する冷却水循環装置117、反応容器109内に入れた回転子110を回転させるマグネチックスターラー111、マグネチックスターラーの回転数を制御するコントローラー108、液相の高さを計測するハイトゲージ113を備える。
熱交換器106及び反応容器109は、恒温槽116の熱媒に浸され、一定の温度に保たれる。反応容器109内には、回転子110が入れてあり、マグネチックスターラー111によって、反応容器109内の塩基性ガス吸収剤を撹拌できる。
以下に、このアンモニア吸収試験装置を用いた、アンモニア吸収量測定フローを記載する。
1)窒素雰囲気下で、所定量(約10cc)の塩基性ガス吸収剤をPFA製の反応容器109に取り分ける。反応容器全体の質量を分析天秤で計測し、これから風袋(反応容器109、及び回転子110)の質量を差し引き、塩基性ガス吸収剤の質量Wを得る。塩基性ガス吸収剤中のイオン液体の質量Wを、質量Wと塩基性ガス吸収剤中のイオン液体の質量含有率から求める。
2)反応容器109を恒温槽116に設置する。反応容器109をバルブ107及び112に接続する。
3)恒温槽116の温度を40℃に保ち、窒素のみを反応容器109に流通させ、容器内を窒素で置換する。一定時間(例えば60分)毎に反応容器全体の質量を分析天秤で、液相の高さHをハイトゲージ113で、それぞれ測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、反応容器全体の質量をWとする。事前に決定しておいた検量線と液相の高さHを用いて、液相容積Vを求める。
4)続いて、アンモニアを反応容器109に流通させ、塩基性ガス吸収剤にアンモニアを吸収させる。一定時間(例えば60分)毎に反応容器全体の質量を分析天秤で、液相の高さHをハイトゲージ113で、それぞれ測定する。測定毎の質量変化が0.001g以下になった際の、反応容器全体の質量をW、液相容積をVとする。
5)塩基性ガス吸収剤に吸収されたアンモニアの質量WNH3を下記式に基づき求める。
NH3=W−W
また、塩基性ガス吸収剤中のイオン液体1モルあたりのアンモニア吸収量αNH3を下記式に基づき決定する。
αNH3=(WNH3/MNH3)/(W/MIL
ここで上記式中、MNH3はアンモニアの分子量であり、MILはイオン液体の分子量である。アンモニアのモル分率xNH3、単位体積あたりのアンモニア吸収量cNH3、単位質量当たりのアンモニア吸収量wNH3は、それぞれ、下記式に基づき決定する。
NH3=(WNH3/MNH3)/(WNH3/MNH3+W/MIL
NH3=(WNH3/MNH3)/V
NH3=WNH3/W
6)恒温槽116の温度を適宜変更し、前記4)〜5)の操作と解析を行い、各温度におけるアンモニア吸収量を決定する。その後、40℃で吸収されたアンモニアの質量を再度計測し、再現性を確認する。
(3)ラマン分光スペクトル
塩基性ガス吸収剤のラマン分光スペクトルは、日本分光製のレーザーラマン分光光度計NRS−3100を用いて測定した。
参考例1)
イオン液体として、Solvionic製の1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[2OHmim][TfN])を単独で用いて、70℃で30時間減圧乾燥したものを、塩基性ガス吸収剤E1とした。[2OHmim][TfN]の構造式を式3に、H−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
塩基性ガス吸収剤E1、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤E1の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
(実施例2)
イオン液体として、Solvionic製の1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[4SOHmim][TfN])を単独で用いて、70℃で30時間減圧乾燥したものを、塩基性ガス吸収剤E2とした。[4SOHmim][TfN]の構造式を式4に、H−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
塩基性ガス吸収剤E2、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤E2の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
(実施例2’)
アンモニアのボンベ101をアンモニア標準ガス(アンモニア濃度10.1mol%)のボンベに交換し、アンモニアの分圧(PNH3)を、0.10MPaから0.010MPaに変更した以外は実施例2と同様にして、塩基性ガス吸収剤E2のアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤E2の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。図2〜図5において、[4SOHmim][TfN](NH−10.1mol%)と示した。
(実施例3)
イオン液体として、Solvionic製の1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム スルホネート(略記:[4SOHmim][HSO])を単独で用いて、40℃で96時間減圧乾燥したものを、塩基性ガス吸収剤E3とした。[4SOHmim][HSO]の構造式を式5、H−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
実施例2’と同様に、塩基性ガス吸収剤E3、アンモニアの分圧(PNH3)0.010MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤E3の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
参考例4)
イオン液体として、トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[N111,2OH][TfN])を単独で用いて、塩基性ガス吸収剤E4とした。[N111,2OH][TfN]は以下の手順で合成した。塩化トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムを超純水に溶解し、氷浴中で撹拌しながら、この水溶液にリチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの水溶液を1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で一晩撹拌した。油相のみを分取し、塩化物を除去できるまで超純水で洗浄した。塩化物の残留は、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下し、白色沈殿の有無で確認した。その後、油相を70℃で30時間減圧乾燥して、[N111,2OH][TfN]を得た。[N111,2OH][TfN]の構造式を式6に、H−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
塩基性ガス吸収剤E4、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤E4の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
(実施例5)
イオン液体として、トリメチル(ヒドロキシカルボニルメチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[N111,1COOH][TfN])を単独で用いて、塩基性ガス吸収剤E5とした。[N111,1COOH][TfN]は以下の手順で合成した。塩化トリメチル−2−(ヒドロキシカルボニル)エチルアンモニウムを超純水に溶解し、氷浴中で撹拌しながら、この水溶液にリチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの水溶液を1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で一晩撹拌した。油相のみを分取し、塩化物を除去できるまで超純水で洗浄した。塩化物の残留は、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下し、白色沈殿の有無で確認した。その後、油相を70℃で30時間減圧乾燥して、[N111,1COOH][TfN]を得た。[N111,1COOH][TfN]の構造式を式7に、H−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
塩基性ガス吸収剤E5、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤E5の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
(比較例1)
イオン液体として、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[emim][TfN])を単独で用いて、塩基性ガス吸収剤R1とした。[emim][TfN]は以下の手順で合成した。塩化1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムを超純水に溶解し、氷浴中で撹拌しながら、この水溶液にリチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの水溶液を1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で一晩撹拌した。油相のみを分取し、塩化物を除去できるまで超純水で洗浄した。塩化物の残留は、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下し、白色沈殿の有無で確認した。その後、油相を70℃で30時間減圧乾燥して、[emim][TfN]を得た。[emim][TfN]の構造式を式8に、H−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
塩基性ガス吸収剤R1、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤R1の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
(比較例2)
イオン液体として、Merck製の1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェイト(略記:[emim][e−FAP])を単独で用いて、70℃で30時間減圧乾燥したものを、塩基性ガス吸収剤R2とした。[emim][TfN]の構造式を式9に、H−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
塩基性ガス吸収剤R2、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤R2の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
(比較例3)
イオン液体として、Merck製の1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム トリフルオロメタンスルホネート(略記:[emim][TfO])を単独で用いて、50℃で30時間減圧乾燥したものを、塩基性ガス吸収剤R2とした。[emim][TfO]の構造式を式10に、H−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
塩基性ガス吸収剤R2、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤R2の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図7、13C−NMRスペクトルを図8に、ラマン分光スペクトルを図11〜図14に示す。
(比較例4)
イオン液体として、Iolitec製のトリメチルブチルアンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[N1114][TfN])を単独で用いて、70℃で30時間減圧乾燥したものを、塩基性ガス吸収剤R2とした。[emim][TfO]の構造式を式11に、H−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
塩基性ガス吸収剤R4、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤R4の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
(比較例5)
イオン液体として、(2−クロロエチル)トリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(略記:[N111,2Cl][TfN])を単独で用いて、塩基性ガス吸収剤R5とした。[N111,2Cl][TfN]は以下の手順で合成した。塩化(2−クロロエチル)トリメチルアンモニウムを超純水に溶解し、氷浴中で撹拌しながら、この水溶液にリチウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの水溶液を1秒に1滴の割合で滴下した。滴下終了後、室温で一晩撹拌した。油相のみを分取し、塩化物を除去できるまで超純水で洗浄した。塩化物の残留は、洗浄後の超純水に硝酸銀水溶液を滴下し、白色沈殿の有無で確認した。その後、油相を70℃で30時間減圧乾燥して、[N111,2Cl][TfN]を得た。[N111,2Cl][TfN]の構造式を式12に、H−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
塩基性ガス吸収剤R5、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量を、温度を変化させて測定した。その結果を表1に示す。また、塩基性ガス吸収剤R2の各温度におけるアンモニアガス吸収量を、図2(モル比)、図3(モル分率)、図4(体積モル濃度)及び図5(質量モル濃度)に示す。また、特に温度298Kにおけるアンモニアガス吸収量(モル分率)を図6に示す。
アンモニア吸収後のH−NMRスペクトルを図9、13C−NMRスペクトルを図10に、ラマン分光スペクトルを図15〜図18に示す。
(比較例6〜16)
表2に示すイオン液体を塩基性ガス吸収剤R6〜R16とする。塩基性ガス吸収剤R6〜R16の、温度298K、アンモニアの分圧(PNH3)0.10MPaにおけるアンモニア吸収量(モル分率)を表2及び図6に示す。
100 窒素供給ライン
101 アンモニアのボンベ
102 減圧弁
103 三方バルブ
104 流量計
105 バルブ
106 熱交換器
107 バルブ
108 マグネチックスターラーのコントローラー
109 反応容器
110 回転子
111 マグネチックスターラー
112 バルブ
113 ハイトゲージ
114 白金測温体
115 温度表示器
116 恒温槽
117 冷却水循環装置

Claims (10)

  1. カチオンとアニオンとからなるイオン液体を含み、前記カチオンはプロトン供与性置換基を有する、イミダゾリウム類又はアンモニウム類であり、
    前記プロトン供与性置換基は、カルボン酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つである、塩基性ガス吸収剤。
  2. 前記アニオンは、アミド、硫酸水素イオン、ホスフェイト、およびスルホネートからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項に記載の塩基性ガス吸収剤。
  3. 前記アニオンは、アミド又は硫酸水素イオンである、請求項1又は2に記載の塩基性ガス吸収剤。
  4. 前記カチオンは1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム又はトリメチル(ヒドロキシカルボニルメチル)アンモニウムである、請求項1〜のいずれか1項に記載の塩基性ガス吸収剤。
  5. 前記イオン液体は1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−(4−スルホブチル)−3−メチル−イミダゾリウム ハイドロジェンスルホネート又はトリメチル(ヒドロキシカルボニルメチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドである、請求項1〜のいずれか1項に記載の塩基性ガス吸収剤。
  6. 前記塩基性ガスは、アンモニアである、請求項1〜のいずれか1項に記載の塩基性ガス吸収剤。
  7. 前記イオン液体は、担体に保持されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の塩基性ガス吸収剤。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の塩基性ガス吸収剤を塩基性ガスを含む混合ガスと接触させることによって、塩基性ガスを前記塩基性ガス吸収剤に吸収させて、前記混合ガスから塩基性ガスを選択的に分離する吸収工程、及び
    前記の塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤を加熱することで吸収した塩基性ガスを放散させて回収し、前記塩基性ガス吸収剤を再生する加熱再生工程、を含む塩基性ガス分離回収方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の塩基性ガス吸収剤を塩基性ガスを含む混合ガスと接触させることによって、塩基性ガスを前記塩基性ガス吸収剤に吸収させて、前記混合ガスから塩基性ガスを選択的に分離する吸収工程、及び
    前記の塩基性ガスを吸収した塩基性ガス吸収剤を減圧することで吸収した塩基性ガスを放散させて回収し、前記塩基性ガス吸収剤を再生する減圧再生工程、を含む塩基性ガス分離回収方法。
  10. 請求項に記載の塩基性ガス吸収剤を含む塩基性ガス分離膜の一次側に塩基性ガスを含む混合ガスを供給することによって、塩基性ガスを前記塩基性ガス吸収剤に吸収させて、前記混合ガスから塩基性ガスを選択的に分離する工程、及び、
    前記塩基性ガス分離膜の二次側に一次側より塩基性ガス分圧の低いガスを供給、もしくは二次側を減圧することで、前記塩基性ガス吸収剤から、塩基性ガスを回収する工程、を含む塩基性ガス分離回収方法。
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