JP6693478B2 - 入力装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タッチパッドやタッチパネルのように、指等の操作体による入力操作を可能とする入力装置に関するものである。
従来の入力装置として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の入力装置(電子機器)は、操作体(例えば操作者の指)が接触する接触面と、接触面を支持する筐体と、筐体に対して接触面を移動させる駆動装置とを備えている。そして、操作体の位置情報をもとに、駆動装置によって接触面が移動されるようになっている。
これにより、操作体の移動方向に対して逆方向に接触面を移動させることで、操作体に対して抗力を与え、また操作体の移動方向と同一方向に接触面を移動させることで、引き込み力(誘導力)を与えるようになっている。
特開2016−184428号公報
特許文献1の入力装置では、操作体の移動量が大きい場合では、これに応じて接触面の移動量も大きくする必要が生ずる。よって、その分、筐体において接触面の可動範囲を大きくとる必要が生じ、筐体の大型化を招き、現実性に欠けるものとなってしまう。
そこで、本発明者らは、先の出願(特願2017−44196)において、操作体の移動先の方向に往復する振動を操作面に発生させると共に、往復する振動の往路側と復路側とで振動の速度あるいは加速度が異なるように制御する入力装置を提案した。
この入力装置においては、振動の速度あるいは加速度が大きい方向においては、操作面と操作体との間に滑りが発生して、慣性の法則によって、操作体は、操作面の動きに追従しにくく、その位置に取り残される形となる。逆に、振動の速度あるいは加速度が小さい方向においては、操作面と操作体との間の摩擦力が作用して、慣性の法則によって、操作体には、操作面の動きと共に移動される力が働きやすくなる。
これにより、小さな可動領域で、振動の速度あるいは加速度が小さい側に効果的な引込み力を得ることができるようにし、従来技術のように、操作体の移動量が大きい場合に、これに応じて接触面の移動量も大きくしなければならないといった問題を解消するようにした。
しかしながら、操作体の操作面に対する操作荷重(押圧力)によっては、操作面と操作体との間の摩擦力が変化して、安定的な引込み力が得られない場合があり、引込みの触覚が異なってしまうことが分かった。よって、操作荷重に応じて発生させる振動を制御することが考えられるが、操作荷重を把握するための荷重検出部が新たに必要となり、構成部品の増加(コストアップ)を伴ってしまう。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、荷重検出部を用いることなく操作体の操作荷重を推定して、推定した操作荷重に基づいて振動制御することで、安定的な引込み力が得られる入力装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
本発明では、操作側となる操作面(111)に対する操作体(F)の操作状態を検出する検出部(112)と、
検出部によって検出される操作状態に応じて、所定の機器(50)に対する入力を行う制御部(130)と、
操作面の拡がる方向に操作面を振動させる駆動部(120)と、が設けられ、
操作体が操作面に接触しているときに、駆動部に対して制御部が、検出部による操作状態から推定される操作体の移動先(52a)の方向に往復する振動を操作面に発生させると共に、往復する振動の往路側と復路側とで振動の速度あるいは加速度が異なるように制御する振動制御を実行する入力装置において、
制御部は、検出部による操作状態から、操作面における操作体の接触面積および接触形状を把握して、接触面積および接触形状を基に操作体の操作面に対する操作荷重(W)を推定すると共に、振動制御を実行する際に、推定した操作荷重に応じて、往路側あるいは復路側における振動の速度あるいは加速度の大きさを変更することを特徴としている。
この発明によれば、制御部(130)によって、振動制御が実行されると、操作面(111)において、操作体(F)の移動先(52a)の方向に往路側と復路側とで、速度あるいは加速度が異なる振動が発生される。振動の速度あるいは加速度が大きい方向においては、操作面(111)と操作体(F)との間に滑りが発生して、慣性の法則によって、操作体(F)は、操作面(111)の動きに追従しにくく、その位置に取り残される(置いていかれる)形となる。逆に、振動の速度あるいは加速度が小さい方向においては、操作面(111)と操作体(F)との間の摩擦力が作用して、慣性の法則によって、操作体(F)には、操作面(111)の動きと共に移動される力が働きやすくなり、総じて操作体(F)は、振動の速度あるいは加速度が小さい方向に引込まれる形となる。
よって、上記のように振動制御を実行することで、小さな可動領域で、振動の速度あるいは加速度が小さい側に効果的な引込み力を得ることができる。したがって、従来技術のように、操作体の移動量が大きい場合に、これに応じて接触面の移動量も大きくしなければならないといった問題を無くすことができる。
ここで、操作体(F)による操作荷重(W)が変化すると、操作面(111)と操作体(F)との間の摩擦力(Fr)が変化する。これに伴い、操作面(111)と操作体(F)との間の滑り状態が変化して、引込み力が変化してしまう。つまり、引込みの触覚が変化してしまう。
本発明では、制御部(130)は、検出部(112)による操作状態から操作面(111)における操作体(F)の接触面積および接触形状を把握し、この把握した接触面積および接触形状を基に、操作体(F)の操作面(111)に対する操作荷重(W)を推定する。よって、操作荷重(W)を検出するための専用の荷重検出部の設定を不要とすることができる。
そして、制御部(130)は、振動制御を実行する際に、推定した操作荷重(W)に応じて、往路側あるいは復路側における振動の速度あるいは加速度の大きさを変更するようにしている。これにより、操作荷重(W)に伴う、引込み力の変化を抑制することが可能となり、安定的な引込み力を得ることができる(詳細後述)。
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
車両における入力装置の搭載状態を示す説明図である。 第1実施形態における入力装置を示すブロック図である。 操作荷重と摩擦力との関係を説明するためのグラフである。 制御部が行う制御内容を示すフローチャートである。 1軸方向への指操作が行われる様子を示す説明図である。 斜め方向(2軸方向)への指操作が行われる様子を示す説明図である。 操作面に対して指が触れた領域を示す説明図である。 指が触れた領域の2軸方向のそれぞれの長さ(接触形状の特徴)を示す説明図である。 指の接触形状の特徴から、操作面への指の接触部位を推定するためのテーブルである。 指の接触部位と接触面積とに基づいて、操作荷重を推定するためのテーブルである。 操作荷重に対して標準振動パターンを変更する際の要領を示す説明図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
第1実施形態の入力装置100を図1〜図11に示す。本実施形態の入力装置100は、例えば、ナビゲーション装置50を操作するための遠隔操作デバイスに適用したものである。入力装置100は、ナビゲーション装置50と共に、車両10に搭載されている。ナビゲーション装置50は、本発明の所定の機器に対応する。
ナビゲーション装置50は、地図上における自車の現在位置情報、進行方向情報、あるいは操作者の希望する目的地への案内情報等を表示する航路誘導システムである。図1に示すように、ナビゲーション装置50は、表示部としての液晶ディスプレイ51を有している。液晶ディスプレイ51は、車両10のインストルメントパネル13の車両幅方向の中央部に配置されて、表示画面52が操作者によって視認されるようになっている。
ナビゲーション装置50は、入力装置100に対して別体で形成されており、入力装置100から離れた位置に設定されている。ナビゲーション装置50と入力装置100とは、例えば、Controller Area Networkバス(CANバス(登録商標))によって接続されている。
液晶ディスプレイ51の表示画面52には、地図上における自車位置が表示されると共に、地図の拡大表示、縮小表示、および目的地案内設定等のための各種操作ボタン52aが表示されるようになっている(図5、図6)。操作ボタン52aは、いわゆる操作アイコンと呼ばれるものである。また、表示画面52には、後述する操作部110(操作面111)における操作者の指F(操作体)の位置に対応するように、例えば、矢印状にデザインされたポインタ52bが表示されるようになっている。
入力装置100は、図1、図2に示すように、車両10のセンターコンソール11にて、アームレスト12と隣接する位置に設けられ、操作者の手の届き易い範囲に配置されている。入力装置100は、操作部110、駆動部120、および制御部130等を備えている。
操作部110は、いわゆるタッチパッドを形成するものであり、操作者の指Fによって、ナビゲーション装置50に対する入力操作を行う部位となっている。操作部110は、操作面111、およびタッチセンサ112等を有している。
操作面111は、アームレスト12と隣接する位置で操作者側に露出して、操作者が指操作を行う平面部となっており、例えば、表面全体にわたって指の滑りを良くする素材等が設けられることで形成されている。操作面111上における操作者の指操作により、表示画面52に表示される各種操作ボタン52aに対する操作(選択、押込み決定等)のための入力ができるように設定されている。表示画面52における操作ボタン52aは、本発明の操作面における「操作状態から推定される操作体の移動先」に対応する。
タッチセンサ112は、操作面111の裏面側に設けられた、例えば、静電容量式の検出部である。タッチセンサ112は、矩形の平板状に形成されており、センサ表面に対する操作者の指Fによる操作状態を検出するようになっている。
タッチセンサ112は、操作面111上のx軸方向(図5、図6)に沿って延びる電極と、y軸方向(図5、図6)に沿って延びる電極とが格子状に配列されることにより形成されている。これら各電極は、後述する制御部130と接続されている。
各電極は、センサ表面に近接する操作者の指Fの位置で(操作位置座標で)、静電容量(所定の静電容量値)を発生させるようになっており、発生される静電容量の信号(感度値)が制御部130に出力されるようになっている。センサ表面は、絶縁材よりなる絶縁シートによって覆われている。尚、タッチセンサ112としては、上記静電容量式のものに限らず、他の感圧式等、各種タイプのものを使用することができる。
上記操作面111およびタッチセンサ112は、筐体によって支持されている。筐体は、例えば、センターコンソール11の内部に配置されている。
駆動部120は、操作面111の拡がる方向に操作面111を、x、y軸の2軸方向に振動させるものであり、操作面111の周囲4辺の少なくとも1辺に設けられている。駆動部120は、後述する制御部130と接続されており、制御部130によって振動発生の制御がなされるようになっている。
駆動部120は、2軸方向のうち、1軸方向のみの振動を有効にすることで、操作面111には1軸方向(x軸方向、あるいはy軸方向)の振動を発生させ、また、2軸方向の振動を同時に有効にすることにより、操作面111には両振動を合成した斜め方向の振動を発生させることができるようになっている。
また、駆動部120は、往復する振動の往路側と復路側とにおいて、振動の速度あるいは加速度が異なるように作動することができるようになっている。
駆動部120としては、例えば、ソレノイド、ボイスコイルモータ等の電磁アクチュエータ、あるいはピエゾ等の振動体、更には、上記振動体とバネとが組み合わされたもの等を用いることができる。例えば、1つの振動体が2軸方向の振動を発生させるものであれば、操作面111の周囲4辺のうち少なくとも1つの辺部に1つの振動体を設けることで、駆動部120を形成することができる。あるいは、振動体が1軸方向のみの振動を発生させるものであれば、操作面111の周囲の隣合う2つの辺部にそれぞれ1つの振動体(合計2つ)を設けることで、駆動部120を形成することができる。あるいは、1軸方向の振動体とバネとの組合せを、対向する辺部に設けて、振動方向が直交するように2組設けることで駆動部120を形成することができる。
制御部130は、CPU、RAM、および記憶媒体等を有している。制御部130は、タッチセンサ112から得られる信号から、操作者の指Fの操作状態として、操作面111上における指Fの接触位置(表示画面52上のポインタ52bの位置)、接触面積、接触形状、各種操作ボタン52aのうち操作者の指F(ポインタ52b)から一番近い操作ボタン52aへの方向、および操作者の指F(ポインタ52b)から一番近い操作ボタン52aまでの距離等を取得する。
加えて、制御部130は、操作状態として、操作面111上において、操作ボタン52aに相当する位置での押込み操作の有無等を取得する。そして、制御部130は、これらの操作状態に応じて駆動部120による振動の発生状態を制御するようになっている(詳細後述)。
本実施形態の入力装置100の構成は以上のようになっており、以下、作動および作用効果について、図3〜図11を加えて説明する。
まず、本入力装置100における操作荷重Wと、摩擦力Frとの関係について、図3を用いて、簡単に説明しておく。
図3(a)に示すように、一般的に物体同士が相対運動することで発生する摩擦力Frは物体固有の摩擦係数μに垂直抗力(=垂直荷重=操作荷重)Nを乗ずることで算出できると知られている。したがって、操作面111上における指Fに対する摩擦力Frによってもたらされる本入力装置100での引込み力は、垂直荷重N、つまり操作荷重Wによって変化する。
ここで、図3(b)に示すように、摩擦係数μは、変形のない剛体であれば物体固有の値をもち、その値は垂直荷重Nには依存しない(μ=一定)。しかしながら、図3(c)に示すように、操作者の指F等の弾性体では、操作荷重Wによって接触部が変形することで、その変形に応じて真の接触面積が変動し、摩擦係数μも変化する(μ1=変動)ことも知られている。
したがって、図3(d)に示すように、本入力装置100における操作者の指Fと操作面111との摩擦力Frは、操作者の操作状態に応じて変動する操作荷重Wと、それに伴って変化する摩擦係数μ1とを乗じて算出されることになる。
以下、制御部130が実行する制御内容について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部130は、図4に示すステップS100で、タッチセンサ112から得られる信号によって、操作者の指Fが操作面111にタッチ(接触)しているか否かを判定する。制御部130は、否と判定すれば、ステップS110で、駆動部120による操作面111への振動発生を停止して、ステップS100を繰り返し、肯定判定すれば、ステップS120に移行する。尚、図5、図6に示すように、操作者の指Fが操作面111にタッチされると、表示画面52におけるポインタ52bの表示が有効となって、操作面111上における操作者の指Fの接触位置に対応するように、ポインタ52bが表示画面52に表示される。
ステップS120では、制御部130は、タッチセンサ112から得られる信号から、指Fが操作面111に触れている接触面積を算出する(図7)。接触面積は、タッチセンサ112における各電極のうち、静電容量の発生した領域の面積として算出される。尚、指Fの接触位置は、例えば、接触している領域の中心位置として捉えることができる。
次に、ステップS130で、制御部130は、指Fが操作面111に触れている形状(接触形状)の特徴を抽出する。制御部130は、図8に示すように、接触領域において、x軸方向の最大値と最小値との差をX長(x軸方向の長さ)、y軸方向の最大値と最小値との差をY長(y軸方向の長さ)とし、両長さの比(X長/Y長)をもって、接触形状を抽出する。X長は、本発明の所定方向の長さに対応し、Y長は、本発明の直交方向の長さに対応する。両長さの比を以下、縦横比Aと呼ぶことにする。
尚、図7、図8では、接触領域(楕円)の中心軸(長軸および短軸)は、x軸およびy軸に対して傾きのないものとして例示している。
図9の中段に示すように、縦横比Aが相対的に小さいと、接触形状は極めて細長い楕円であることを示し、また、縦横比Aが相対的に大きいと接触形状は、円に近いものであることを示し、更に、縦横比Aが中間的な値であると、接触形状は、通常イメージされる楕円に近いものであることを示す。
次に、ステップS140で、制御部130は、操作面111に触れる指Fの部位(接触部位)を、図9の下段に示すように、縦横比Aに基づいて推定する。図9は、指Fの接触部位を推定するための指の部位テーブルの一例であり、推定する接触部位を3種類とした場合を示している。
例えば、縦横比Aが0.3よりも小さい場合であると、接触形状は、細長の楕円となり、制御部130は、接触部位が指Fの側面であると推定する。また、縦横比Aが0.3以上で0.6よりも小さい場合であると、接触形状は、一般的な楕円となり、制御部130は、接触部位が指Fの腹であると推定する。更に、両長さの比が0.6以上の場合であると、接触形状は、円に近いものとなって、制御部130は、接触部位が指Fの先端(指先)であると推定する。
次に、ステップS150で、制御部130は、図10に示すように、指Fの接触部位と接触面積とから、操作面111に対する指Fの操作荷重Wを推定する。図10は、操作荷重Wを推定するための操作荷重テーブルの一例であり、接触部位ごとに、3水準の接触面積を設定して、それらに対応する3水準の操作荷重(1〜3)を推定するものとしている。尚、各接触部位において、接触面積の大小を判定する閾値として、指Fの側面でタッチした場合では、20および30を用い、指Fの腹でタッチした場合では、80および120を用い、指先でタッチした場合では、40および60を用いている。
指Fの接触面積が同じであっても、接触部位によって、発生する操作荷重Wは異なり、接触面積だけから操作荷重Wを推定すると、誤差が大きくなる可能性がある。よって、本実施形態では、接触部位ごとに接触面積に応じて、操作荷重Wが推定されるようになっている。まず、操作面積が大きくなる程、操作荷重Wは大きくなるように設定されている。図10中では、操作荷重1<操作荷重2<操作荷重3、である。加えて、操作部位については、操作荷重Wが同レベルであっても、指Fの側面、指先、指の腹の順で、操作面積の条件が大きくなるように設定されている。
次に、ステップS160で、制御部130は、操作者の指Fが各種操作ボタンのうち、いずれかの操作ボタン52aを選択中か否かを判定する。制御部130は、操作者の指Fの位置がいずれかの操作ボタン52aに重なる位置にあると選択中(Yes)であると判定し、操作者の指Fの位置がいずれかの操作ボタン52aに重ならない位置であると選択中ではない(No)と判定する。
尚、操作者の指Fがいずれかの操作ボタン52aを選択中ではないという状態は、いずれかの操作ボタン52aに対して操作者の指Fは離れた位置にあり、いずれかの操作ボタン52aに向けて移動されている状態を示す。制御部130は、ステップS160で、否と判定すると、ステップS170に移行する。
ステップS170では、制御部130は、操作者の指Fの操作状態から、指Fの移動先となる操作ボタン52aを推定する。ここでは、現在の指Fの位置から一番近い操作ボタン52aを移動先の操作ボタン52aとして推定する。
そして、制御部130は、表示画面52におけるポインタ52bの位置(操作面111上の操作者の指Fの位置)から、操作者の指Fが移動しようとする操作ボタン52aの位置へのベクトルを算出する。ベクトル算出にあたって、制御部130は、ポインタ52bの位置と操作ボタン52aの位置との距離(ベクトルの長さ)と、ポインタ52bの位置から操作ボタン52aの位置に向かう方向(ベクトルの向き)とを算出する。
次に、ステップS180で、制御部130は、算出したベクトルの方向に引込み力を発生させるための標準振動パターンを設定すると共に、ステップS150で推定した操作荷重Wに応じて、標準振動パターンを一部変更する。
即ち、制御部130は、まず、標準振動パターンとして、算出したベクトルの向き(操作体の移動先の方向)に往復する振動を設定する。例えば、制御部130は、上記ベクトルがxyの2軸方向のうち、いずれか一方の軸方向(例えばy軸方向)であると、図5に示すように、その軸方向に沿う振動を設定する。また、制御部130は、上記ベクトルが2軸に対して傾いている場合であると、図6に示すように、2軸方向の合成によって得られる斜め方向の振動を設定する。
そして、制御部130は、往復する振動の往路側と復路側とで振動の速度あるいは加速度が異なるように設定する。ここでは、往路側は、操作者の指Fが移動しようとする方向としており、制御部130は、図11中の波形例における実線で示すように、復路側よりも往路側の速度あるいは加速度が小さくなるように標準振動パターンを設定する。尚、図11では、振動の速度あるいは加速度のうち、一例として、加速度を振動の制御対象として示している。
更に、制御部130は、推定した操作荷重Wに応じて、標準振動パターンにおける速度あるいは加速度の大きさを変更した変更振動パターンを設定する。変更振動パターンは、図11中の波形例において破線で示したものである。
変更振動パターンの設定要領は、以下の通りである。即ち、制御部130は、操作荷重Wが予め定めた規定範囲の荷重よりも大きいときに、標準振動パターンにおける往路側はそのままとして、復路側の速度あるいは加速度を大きく設定する(図11中の上段)。また、制御部130は、操作荷重Wが規定範囲の荷重よりも小さいときに、標準振動パターンにおける復路側はそのままとして、往路側の速度あるいは加速度を小さく設定する(図11中の下段)。尚、操作荷重Wが規定範囲の荷重であると、標準振動パターンを変更することなく、そのまま使用するように設定する(図11中の中段)。
尚、往路側あるいは復路側の振動の速度あるいは加速度の大きさを設定、更には変更するにあたっては、振動の振幅を変更する、振動の周波数を変更する、あるいは往路側と復路側の波形におけるデューティ比(復路側振動時間/(往路側振動時間+復路側振動時間))を変更することで対応可能である。
例えば、振動の振幅を大きくすることで、振動の速度あるいは加速度を大きくし、振動の振幅を小さくすることで振動の速度あるいは加速度を小さくすることができる。また、振動の周波数を大きくすることで、振動の速度あるいは加速度を大きくし、振動の周波数を小さくすることで振動の速度あるいは加速度を小さくすることができる。更には、デューティ比を小さくすることで、復路側の速度あるいは加速度を大きくし、往路側の速度あるいは加速度を小さくすることができる。逆に、デューティ比を大きくすることで、復路側の速度あるいは加速度を小さくし、往路側の速度あるいは加速度を大きくすることができる。
そして、ステップS190にて、制御部130は、上記のようにベクトルの方向、および操作荷重Wに応じて設定した振動パターン(標準振動パターン、あるいは変更振動パターン)となるように、駆動部120を駆動させて、操作面111を振動させる。尚、標準振動パターンに基づく操作面111への振動付加は、本発明の振動制御に対応する。 ステップS190の後、操作者の指Fによって、操作者が希望する操作ボタン52aが選択されるまで(ステップS160でYes場合)、制御部130は、ステップS100、S120〜S190を繰り返す。
上記ステップS100、S120〜S190を繰り返す中で、ステップS160で、肯定判定すると、制御部130は、ステップS200で、操作ボタン52aに対する押込み操作があったか否かを判定する。押込み操作は、操作者の操作ボタン52aに対する選択決定を示す操作であり、操作者が操作面111上で、操作ボタン52aに対応する位置で指を押込むことで行われる。ステップS200で肯定判定すると、制御部130は、ステップS210で押込み決定処理を行う。つまり、操作ボタン52aに対応する指示をナビゲーション装置50に対して行う。尚、ステップS200で否定判定すると、ステップS100に戻る。
そして、ステップS220で、制御部130は、操作者の指Fに対してクリック感を与えるための振動(クリック感振動)を発生させる。ここでは、駆動部120を流用して、上記ステップS180、S190における引込み用の振動とは異なり、駆動部120を単発的に振動させることで、操作者が押込み操作をしたことが認識できるようにする。
以上のように本実施形態では、推定された操作荷重Wが規定範囲の荷重であると、操作面111において、制御部130によって、操作者の指Fの移動先(操作ボタン52a)の方向に往路側と復路側とで、速度あるいは加速度が異なる振動が発生される(標準振動パターンによる振動制御)。振動の速度あるいは加速度が大きい方向においては、操作面111と指Fとの間に滑りが発生して、慣性の法則によって、操作者の指Fは、操作面111の動きに追従しにくく、その位置に取り残される(置いていかれる)形となる。逆に、振動の速度あるいは加速度が小さい方向においては、操作面111と指Fとの間の摩擦力Frが作用して、慣性の法則によって、操作者の指Fには、操作面111の動きと共に移動される力が働きやすくなり、総じて操作者の指Fは、振動の速度あるいは加速度が小さい方向に引込まれる形となる。
よって、上記のように振動制御を実行することで、小さな可動領域で、振動の速度あるいは加速度が小さい側に効果的な引込み力を得ることができる。したがって、従来技術のように、操作体の移動量が大きい場合に、これに応じて接触面の移動量も大きくしなければならないといった問題を無くすことができる。
また、本実施形態では、振動の往路側を移動先の方向としており、制御部130は、駆動部120に対して、復路側よりも往路側の速度あるいは加速度を小さくするようにしている。これにより、操作ボタン52aに近づいて行こうとしている操作者の指Fに対して、この操作ボタン52aに引込ませるような引込み力を発生させることができる。
ここで、指Fによる操作荷重Wが変化すると、操作面111と指Fとの間の摩擦力Frが変化する。これに伴い、操作面111と指Fとの間の滑り状態が変化して、引込み力が変化してしまう。つまり、引込みの触覚が変化してしまう。
本実施形態では、制御部130は、タッチセンサ112による操作状態から操作面111における指Fの接触面積および接触形状を把握し、この把握した接触面積および接触形状を基に、指Fの操作面111に対する操作荷重Wを推定する。よって、操作荷重Wを検出するための専用の荷重検出部の設定を不要とすることができる。
そして、制御部130は、振動制御を実行する際に、推定した操作荷重Wに応じて、往路側あるいは復路側における振動の速度あるいは加速度の大きさを変更するようにしている。
具体的には、操作荷重Wが規定範囲の荷重よりも大きいときは、標準振動パターンに対して、制御部130は、復路側の振動の速度あるいは加速度を大きくしている。
操作荷重Wが大きくなると摩擦力Frも大きくなって、指Fは、操作面111上で滑りにくくなり、振動の往路側、および復路側の両方向で指Fが滑らずに移動を繰り返し、結果的に指Fの位置が変化しない(引込み力が得られない)。
よって、操作荷重Wが大きいとき、復路側の速度あるいは加速度を標準振動パターンよりも大きくすることで(図11上段)、操作面111と指Fとの間の滑りがより多く発生するようにすることができる。したがって、振動の復路側において、指Fが操作面111の動きに追従しにくくすることができ、操作荷重Wが大きい場合でも復路側(引込みと逆方向)に指が移動しようとするのを抑制することができる。
逆に、操作荷重Wが規定範囲の荷重よりも小さいときは、標準振動パターンに対して、制御部130は、往路側の振動の速度あるいは加速度を小さくしている。
操作荷重Wが小さくなると摩擦力Frも小さくなって、指Fは、操作面111上で滑りやすくなり、振動の往路側における操作面111の動きに対して移動されにくくなる(引込み力が小さくなる)。よって、指Fは、振動の往路側、および復路側の両方向で滑りやすくなり、結果的に指Fが移動しない(引込み力が得られない)。
よって、操作荷重Wが小さいとき、往路側の速度あるいは加速度を標準振動パターンよりも小さくすることで(図11下段)、操作面111と指Fとの間の滑りが起きにくくすることができる。したがって、振動の往路側において、指Fが操作面111の動きに追従しやすくすることができ、操作荷重Wが小さい場合でも往路側(引込み側)に指が移動しやすくすることができる。
以上のことから、制御部130は、振動制御を実行する際に、専用の荷重検出部の設定を不要として、推定した操作荷重Wに応じて、往路側あるいは復路側における振動の速度あるいは加速度の大きさを変更することで、操作荷重Wに伴う、引込み力の変化を抑制することが可能となり、安定的な引込み力を得ることができる。安定的な引込み力によって、操作荷重Wによらず、引込みの触覚が同等に維持される。
また、制御部130は、操作荷重Wを推定する際に用いる接触形状については、指Fが触れた領域のX長と、Y長との比(縦横比A)を用いて、抽出(把握)するようにしている。これにより、容易に、且つ的確に接触形状を抽出することができる。
また、制御部130は、接触形状から操作面111に対する指Fの接触部位(指Fの側面、腹、指先等)を推定し、接触部位ごとに、接触面積に対する操作荷重Wを推定するようにしている。これにより、単に接触面積だけに基づいて操作荷重Wを推定する場合に比べて、接触部位を考慮することで、操作荷重Wを推定する際の誤差を抑制することができる。
また、制御部130は、タッチセンサ112より操作状態として、操作面111に対する押込み操作を取得すると(ステップS200)、駆動部120に対して、引込みのための振動とは異なり、操作者の指Fに対してクリック感を与えるクリック感振動を発生させるようにしている(ステップS220)。これにより、駆動部120を流用して、操作者に選択決定操作を認識させることができる。
(その他の実施形態)
上記第1実施形態では、図9で説明したように、接触形状を抽出するために、縦横比Aを判定する判定値として、0.3、0.6等を用いたが、これに限定されるものではなく、他の判定値を用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、図9で説明したように、接触部位を推定するために、パターン1〜3(指Fの側面、腹、指先等)としたが、これに限定されるものではなく、2パターン、あるいは4パターン以上としてもよい。例えば、接触部位として、指Fの腹でタッチされる場合に、指Fと操作面111との成す角度に応じて、「指Fの腹」を更に複数の水準に設定することが可能である。あるいは、接触部位として、指Fの腹でタッチされる場合に、指Fの軸線周りの回転角度に応じて、「指Fの腹」を更に複数の水準に設定することが可能である。
また、上記第1実施形態では、図10で説明したように、操作荷重Wを推定するにあたって、接触面積を3水準にし、これに対応する3水準の操作荷重W(1〜3)としたが、接触面積(操作荷重W)の水準は、任意に設定することができる。
また、上記第1実施形態では、図10で説明したように、操作荷重Wを推定するために、接触面積の大小を判定する閾値として、20、30、40、60、80、120等を用いたが、これに限定されるものではなく、任意の値に設定可能である。
また、上記第1実施形態では、指Fが操作面111にタッチされた領域における楕円の長軸および短軸は、x軸およびy軸に対して傾きの無いものとして例示したが、両軸に対して傾きをもつものへの適用も可能である。この場合では、楕円の傾きを算出し、傾きを考慮した縦横比Aを算出して、操作荷重Wを推定するようにすればよい。尚、楕円の傾きは、最小二乗法による近似や、「Very Fast Ellipse Detection for Embedded Vision Applications」等の既知の方法で算出することができる。
また、上記第1実施形態では、制御部130は、操作者の指Fの操作状態から、指Fの移動先となる操作ボタン52aを推定するにあたって、現在の指Fの位置から一番近い操作ボタン52aを移動先の操作ボタン52aとして推定するようにした。しかしながら、これに限定されることなく、例えば、過去の所定期間における操作者の使用頻度の高い操作ボタン52aを移動先となる操作ボタン52aとして推定してもよい。あるいは、現時点での操作者の指Fの移動しようとするその先にある操作ボタン52aを移動先となる操作ボタン52aとして推定してもよい。
また、上記第1実施形態では、操作ボタン52aに近づいていく操作者の指Fに対して操作ボタン52a側に引込み力を発生させるものとしたが、これに加えて、操作者の指Fが操作ボタン52aの近傍から離れようとするときに、操作ボタン52a側に向かう引込み力を発生させるものとしてもよい。この場合は、操作者の指Fが操作ボタン52aに対して離れていく方向に振動を発生させ、離れていく方向を往路側、その反対方向を復路側とし、復路側の振動の速度あるいは加速度を往路側よりも小さくするようにしてやればよい。
また、上記第1実施形態では、操作部110として、いわゆるタッチパッド式のもとしたが、これに限らず、液晶ディスプレイ51の表示画面52が透過されて操作面111に視認されるいわゆるタッチパネル式のものにも適用可能である。
また、上記第1実施形態では、図4で説明したステップS200〜ステップS220で、押込み操作があると、クリック感を与えるクリック感振動を発生させるものとした。しかしながら、本発明は、基本的には、往路側と復路側とで振動の速度あるいは加速度が異なるようにすることで、引込み力を発生させると共に、推定した操作荷重Wに応じて、速度あるいは加速度を変更することで引込み力の安定化を図るものとしており、ステップS200〜ステップS220を廃止したものとしてもよい。
また、上記第1実施形態では、操作体を操作者の指Fとして説明したが、これに限らず、ペンを模したスティック等としてもよい。
また、上記第1実施形態では、入力装置100による入力制御の対象(所定の機器)として、ナビゲーション装置50としたが、これに限定されることなく、車両用の空調装置、あるいは車両用オーディオ装置等の他の機器にも適用することができる。
50 ナビゲーション装置(所定の機器)
52a 操作ボタン(移動先)
100 入力装置
111 操作面
112 タッチセンサ(検出部)
120 駆動部
130 制御部
F 操作者の指(操作体)
W 操作荷重

Claims (4)

  1. 操作側となる操作面(111)に対する操作体(F)の操作状態を検出する検出部(112)と、
    前記検出部によって検出される前記操作状態に応じて、所定の機器(50)に対する入力を行う制御部(130)と、
    前記操作面の拡がる方向に前記操作面を振動させる駆動部(120)と、が設けられ、
    前記操作体が前記操作面に接触しているときに、前記駆動部に対して前記制御部が、前記検出部による前記操作状態から推定される前記操作体の移動先(52a)の方向に往復する振動を前記操作面に発生させると共に、前記往復する振動の往路側と復路側とで前記振動の速度あるいは加速度が異なるように制御する振動制御を実行する入力装置において、
    前記制御部は、前記検出部による前記操作状態から、前記操作面における前記操作体の接触面積および接触形状を把握して、前記接触面積および前記接触形状を基に前記操作体の前記操作面に対する操作荷重(W)を推定すると共に、前記振動制御を実行する際に、前記操作荷重に応じて、前記往路側あるいは前記復路側における前記振動の速度あるいは加速度の大きさを変更する入力装置。
  2. 前記制御部は、前記操作面において、前記操作体が触れた領域の所定方向(X)の長さと、前記所定方向に直交する直交方向(Y)の長さとの比をもって、前記接触形状を把握する請求項1に記載の入力装置。
  3. 前記制御部は、前記接触形状から前記操作面に対する前記操作体の接触部位を推定し、前記接触部位ごとに、前記接触面積に対する前記操作荷重を推定する請求項2に記載の入力装置。
  4. 前記制御部は、前記検出部より前記操作状態として、前記操作面に対する押込み操作を取得すると、前記駆動部に対して、前記振動とは異なり、前記操作体に対してクリック感を与えるクリック感振動を発生させる請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の入力装置。
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