以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置17を備えた画像形成装置100を正面側から視た概略断面図である。
画像形成装置100は、原稿Gの画像を読み取って記録用紙等の記録シートPに画像を形成する複写機能を有しており、原稿Gの画像を読み取る画像読取装置200と、記録シートPに画像を形成する画像形成装置100の本体300とを備えている。
画像形成装置100の本体300は、シート供給部310と、シート搬送部320と、画像形成部330と、シート排出部340とを備えており、水平に設置されるようになっている。
画像形成部330において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は、単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、画像形成部330においては、感光体ドラム11、帯電器12、現像装置14、転写装置15における中間転写ローラ152及びドラムクリーニング装置16は各色に応じた4種類の画像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdが構成されており、各画像ステーションPa,Pb,Pc,Pd間で実質的に同じ構成の部材には同一符号を付している。
画像形成装置100の本体300では、画像形成を行うにあたり、転写装置15における中間転写ベルト151を矢印方向Cに周回移動させつつ感光体ドラム11を回転させ、帯電器12により感光体ドラム11の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置13により感光体ドラム11表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置14により感光体ドラム11表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム11表面にトナー像(未定着画像)を形成する。これにより、各感光体ドラム11表面に各色のトナー像が形成される。その後、感光体ドラム11表面の残留トナーをドラムクリーニング装置16により除去及び回収する。
引き続いて、中間転写ベルト151を矢印方向Cに周回移動させつつ、転写バイアスが印加された中間転写ローラ152により各感光体ドラム11表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト151に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト151上にカラーのトナー像を形成する。これにより、中間転写ベルト151表面にカラーのトナー像が形成される。その後、中間転写ベルト151表面の残留トナーをベルトクリーニング装置153により除去及び回収する。
一方、シート供給部310では、シート供給ローラ部312により給紙カセット311に積載された記録シートPを給紙カセット311から引出して、シート搬送部320におけるシート搬送経路321を通じて画像形成部330に搬送する。なお、シート搬送経路321には、レジストローラ322、各搬送ローラ324及び排出ローラ325が設けられており、レジストローラ322は、記録シートPを一旦停止させて、記録シートPの先端を揃えた後、中間転写ベルト151と2次転写装置154における転写ローラ154aとの間の転写ニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録シートPの搬送を開始する。
シート供給部310からシート搬送部320におけるシート搬送経路321を通じて画像形成部330に搬送されてきた記録シートPを中間転写ベルト151と転写ローラ154aとの間の転写ニップ域に挟み込んで搬送しつつ、転写バイアスが印加された転写ローラ154aにより中間転写ベルト151表面におけるカラーのトナー像を記録シートP上に転写する。そして、定着装置17の定着ローラ171と加圧ローラ172との間に記録シートPを挟み込んで加熱及び加圧し、記録シートP上のカラーのトナー像を定着させ、さらに、シート排出部340に向けて搬送し、排出ローラ325を介してシート排出部340における排出トレイ341へ排出する。
また、記録シートPの表面だけではなく、裏面の画像形成を行う場合は、定着装置17にて表面にトナー像が定着された記録シートPを排出ローラ325により反転経路323に向けて逆方向に搬送して、反転経路323により記録シートPの表裏を反転させ、記録シートPをレジストローラ322へ再度導き、記録シートPの表面と同様にして、記録シートPの裏面にトナー像を形成して定着し、記録シートPをシート排出部340における排出トレイ341に排出する。
次に、本発明の実施の形態に係る定着装置17について説明する。
<実施の形態1>
図2は、実施の形態1に係る定着装置17を正面側から視た概略縦断面図、図3は、実施の形態1に係る定着装置の要部を正面側から視た概略斜視図、図4は、実施の形態1に係る定着装置のクリーニング手段の構成を示す斜視図、図5は、実施の形態1に係る定着装置のクリーニング手段を一部拡大して示す斜視図である。
定着装置17は、記録シートP上におけるトナー像(トナーTからなる未定着画像)を定着する定着ローラ171(定着部材の一例)と、定着ローラ171に対向する加圧ローラ172(定着部材の一例)とを備えている。定着装置17は、定着ローラ171と加圧ローラ172とを相互に圧接した状態で、定着ローラ171と加圧ローラ172との間に定着ニップ域である定着ニップ部Nを形成する。なお、定着装置17は、図示を省略したが、加圧ローラ172を定着ローラ171に向けて押圧する押圧手段として作用する押圧装置をさらに備えている。この押圧装置は、従来公知の構成とすることができ、ここでは説明を省略する。なお、このことは以後の実施の形態においても同様である。
実施の形態1では、定着ローラ171は、ハロゲンヒータランプ等の熱源174を備えており、熱源174によって定着ローラ171の外周表面(ローラ表面)171dが加熱されるようになっている。
具体的には、定着ローラ171は、回転軸171aが定着装置17の本体フレームFLに軸受け(図示省略)を介して回転自在に設けられている。定着ローラ171は、円筒状の芯金171bと、弾力性(クッション性、柔軟性)を有する表面層171cとを備えており、芯金171bの内側には、熱源174が設けられている。これにより、定着ローラ171は、熱源174によって外周表面(ローラ表面)171dが加熱され、外周表面(ローラ表面)171dの熱を記録シートP上のトナーTに伝導する。そして、定着ローラ171は、記録シートPを間にして加圧ローラ172に圧接された状態で加圧ローラ172との間の定着ニップ部Nに記録シートPを挟持しながら、該記録シートP上のトナーTを加圧ローラ172と共に加熱定着する。
芯金171bとしては、例えば、快削鋼材(SUM材)、ステンレス鋼材(SUS材)、アルミニウム、鉄、銅等の金属或いはそれらの合金等の材料を用いることができる。また、表面層171cとしては、例えば、多孔質の樹脂材料、発泡樹脂材料を用いることができる。発泡樹脂材料としては、代表的には、ウレタンゴム(発泡ウレタン)、シリコンゴム(発泡シリコン)等の発泡ゴムを例示できる。
一方、加圧ローラ172は、回転軸172aが定着装置17の本体フレームFLに軸受け(図示省略)を介して回転自在に設けられている。加圧ローラ172は、芯金172bと、離型性を有する離型層172cとを備えており、芯金172b上に離型層172cが設けられている。
芯金172bとしては、定着ローラ171と同様の材料を用いることができる。また、離型層172cとしては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂を用いることができる。
このような構成の定着装置17において、定着ローラ171には、定着ローラ171の外周表面(具体的には、表面層171cの表面)171dに接触する接触部材が設けられている。具体的には、定着ローラ171の外周表面の温度を検出する温度検出手段である接触型サーミスタ(以下、単にサーミスタともいう。)190が設けられている。
また、定着ローラ171には、定着ローラ171の外周表面171dに付着したトナーや紙粉等の微小物を回収するためのクリーニング手段180が設けられている。
クリーニング手段180は、定着ローラ171の外周表面171dの幅方向X(図2では紙面に垂直な方向)の全幅に接触してクリーニングする全幅クリーニング部材(第1クリーニング部材)181と、サーミスタ190が接触する領域に接触してクリーニングする補助クリーニング部材(第2クリーニング部材)182とを備えている。
本実施の形態1では、この全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とが一体に構成されている。
すなわち、クリーニング手段180は、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に支持するための1枚の板状の支持体183を備えている。この支持体183は、定着ローラ171の外周表面171dに対峙して、幅方向Xの全長に渡って延設された第1支持板184と、この第1支持板184の幅方向Xに直交する前後方向Yの一方の側縁部184aから、前後方向Yに向かって延設された定着ローラ171の外周表面171dに対峙する第2支持板185とを備えており、第1支持板184の他方の側縁部184bの複数箇所(この例では中央部の1箇所と幅方向Xの両端部の2箇所の計3箇所)から延設された固定板186が、本体フレームFLにねじ止め等によって取り付け固定される構成となっている。
また、第2支持板185は、定着ローラ171の外周表面171dにおいて、サーミスタ190が接触する領域に対峙して設けられている。この例では、サーミスタ190は、定着ローラ171の外周表面171dの幅方向Xにおいて、一方の端部の位置と、そこから中央部寄りの位置の2箇所に設けられている。従って、第2支持板185も、これらに対応して、第1支持板184の一方の側縁部184aの2箇所に設けられている。
全幅クリーニング部材181は、第1支持板184の一方の面側(すなわち、定着ローラ171の外周表面171dに対向する面側)に取り付け固定されており、補助クリーニング部材182は、第2支持板185の一方の面側(すなわち、定着ローラ171の外周表面171dに対向する面側)に取り付け固定されている。
ここで、全幅クリーニング部材181及び補助クリーニング部材182の材質としては、フェルトやゴム等を例示することができる。
このような構成において、第2支持板185の延設基端部の両側に一対のスリット187,187が形成されている。このスリット187は、一方の側縁部184aから他方の側縁部184bに向かって平行に切り込むことによって形成されており、その切り込み長さによって、定着ローラ171の外周表面171dへの補助クリーニング部材182の接触圧を調整可能となっている。すなわち、支持体183は、金属材料による板金加工または樹脂成形等によって形成されており、材料自体に弾性力を有している。従って、第2支持板185の延設基端部の両側にスリット187を形成して第2支持板185の延設長さを調整することで、定着ローラ171の外周表面171dへの接触圧を調整することができる。
ここで、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182との接触圧を変えるだけであれば、固定板186の固定部(ねじ止めする部分)186aから全幅クリーニング部材181までのY方向の距離(ストローク)と、固定部186aから補助クリーニング部材182までのY方向の距離(ストローク)とを単に変えることで調整可能である。しかし、ストロークだけで接触圧を調整しようとすると、固定部186aから補助クリーニング部材182までのY方向の距離(ストローク)が長くなる可能性がある。クリーニング手段180を定着装置17の本体フレームFL内に配置することを考慮すると、固定部186aから補助クリーニング部材182までのY方向の距離(ストローク)をあまり長くすることができない。そのため、本実施の形態1では、スリット187を形成することで、固定部186aからのY方向の距離(ストローク)が短くても接触圧の調整を可能としたものである。
ここで、本実施の形態1では、補助クリーニング部材182の接触圧は、全幅クリーニング部材181の接触圧に対して、50〜80%の範囲内に設定されている。サーミスタ190が接触する領域は元々全幅クリーニング部材181でもクリーニングされているため、補助クリーニング部材182はあくまで全幅クリーニング部材181の補助でよい。そのため、接触圧も全幅クリーニング部材181の接触圧と同じである必要はなく、上記の通り、全幅クリーニング部材181の接触圧に対して、50〜80%の範囲内の任意の接触圧に設定されていればよい。
ここで、補助クリーニング部材182が固定されている第2支持板185とスリット187との関係について具体例を挙げて説明する。
本実施の形態1では、支持体183は板金加工されており、その板圧tは0.15mmである。従って、補助クリーニング部材182が固定されている第2支持板185の板圧tも0.15mmである。この板圧において、図5に示すように、第2支持板185の幅aは20mm、第1支持板184の一方の側縁部184aから第2支持板185の先端側縁部185aまでの長さbは8mm、スリット187の長さcは5mmに設定されている。すなわち、この設定では、a:b:c=1:0.4:0.25、の比率となっている。ただし、この比率はあくまで具体的な一例であり、実際には、a:b:c=1:0.2〜0.5:0.1〜0.5、の範囲内でbとcの比率を調整することで、全幅クリーニング部材181の接触圧に対して補助クリーニング部材182の接触圧を、50〜80%の範囲内の任意の接触圧に調整することができる。なお、このような第2支持板185とスリット187との具体的な関係は、以降の実施の形態1〜5においても同様である。
実施の形態1によれば、サーミスタ190が接触している定着ローラ171の外周表面171dを、全幅クリーニング部材181と、サーミスタ190の位置に対応した補助クリーニング部材182とによって綺麗にクリーニングすることができる。また、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、個別に取り付ける場合に比べて部品点数を削減でき、定着ローラ171周辺での設置スペースも容易に確保することができる。さらに、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、定着ローラ171の外周表面171dへの接触圧を個別に調整するといった手間を省くことができる。
<実施の形態2>
図6は、実施の形態2に係る定着装置17を正面側から視た概略縦断面図である。
実施の形態1に係る定着装置17では、サーミスタ190及びクリーニング手段180を定着ローラ171側に設けているが、実施の形態2では、サーミスタ190及びクリーニング手段180を加圧ローラ172側に設けた構成としている。実施の形態2では、加圧ローラ172は、ハロゲンヒータランプ等の熱源174を備えており、熱源174によって加圧ローラ172の外周表面(ローラ表面)172dが加熱されるようになっている。従って、加圧ローラ172側にもサーミスタ190が配置されている。
なお、サーミスタ190及びクリーニング手段180の構成は、その配置位置が加圧ローラ172側である点を除けば、上記実施の形態1の構成とほぼ同じであるので、ここでは同部材に同符号を付すこととし、簡単な説明に留めるものとする。
すなわち、加圧ローラ172には、加圧ローラ172の外周表面(具体的には、離型層172cの表面)172dに接触して加圧ローラ172の温度を検出する温度検出手段である接触型サーミスタ190が設けられている。また、クリーニング手段180は、支持体183の第1支持板184及び第2支持板185が加圧ローラ172の外周表面172dに対峙し、全幅クリーニング部材181は、第1支持板184の一方の面側(すなわち、加圧ローラ172の外周表面172dに対向する面側)に取り付け固定されており、補助クリーニング部材182は、第2支持板185の一方の面側(すなわち、加圧ローラ172の外周表面172dに対向する面側)に取り付け固定されている。
なお、図示は省略しているが、本実施の形態2においても、サーミスタ190は、加圧ローラ172の外周表面172dの幅方向Xにおいて、一方の端部の位置と、そこから中央部寄りの位置の2箇所に設けられている。従って、第2支持板185も、これらに対応して、第1支持板184の一方の側縁部の2箇所に設けられている。
実施の形態2によれば、サーミスタ190が接触している加圧ローラ172の外周表面172dを、全幅クリーニング部材181と、サーミスタ190の位置に対応した補助クリーニング部材182とによって綺麗にクリーニングすることができる。また、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、個別に取り付ける場合に比べて部品点数を削減でき、加圧ローラ172周辺での設置スペースも容易に確保することができる。さらに、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、加圧ローラ172の外周表面172dへの接触圧を個別に調整するといった手間を省くことができる。
<実施の形態3>
図7は、実施の形態3に係る定着装置17を正面側から視た概略縦断面図、図8は、実施の形態3に係る定着装置の要部を正面側から視た概略斜視図である。実施の形態3に係る定着装置17は、ベルト定着方式の定着装置である。
定着装置17は、定着ローラ175を含む複数(ここでは二つ)のローラ(ここでは定着ローラ175及び加熱ローラ176)と、定着ローラ175及び加熱ローラ176に巻き掛けられた無端状の定着ベルト177とを備えている。
定着装置17は、さらに加圧ローラ178を備えており、定着ベルト177を間にして定着ローラ175と加圧ローラ178とを相互に押圧した状態で、定着ベルト177と加圧ローラ178との間に定着ニップ域である定着ニップ部Nを形成するようになっている。
定着ローラ175は、定着ベルト177を介して記録シートP上における未定着のトナーTに対向するようになっており、加熱ローラ176は、定着ベルト177を加熱するようになっている。
具体的には、定着ローラ175は、定着ベルト177を介在させた状態で記録シートP上における未定着のトナーTに対向し、加圧ローラ178に対して定着ベルト177を介在させた状態で、定着ベルト177と加圧ローラ178との間の記録シートP上における未定着のトナーTに対向して未定着のトナーTを加圧ローラ178と共に押圧する。
定着ローラ175は、回転軸175aが定着装置17の本体フレームFLに軸受け(図示省略)を介して回転自在に設けられている。定着ローラ175は、芯金175bと、弾力性(クッション性、柔軟性)を有する弾力層175cとを備えている。
具体的には、定着ローラ175は、芯金175bの外表面に弾力層175cが設けられている。すなわち、定着ローラ175は、外表面に弾力層175cが形成されたローラとされている。
芯金175bは、円柱状(中実)の金属製芯材からなっている。芯金175bとしては、例えば、快削鋼材(SUM材)、ステンレス鋼材(SUS材)、アルミニウム、鉄、銅等の金属或いはそれらの合金等の材料を用いることができる。
弾力層175cとしては、例えば、多孔質の樹脂材料、発泡樹脂材料を用いることができる。発泡樹脂材料としては、代表的には、ウレタンゴム(発泡ウレタン)、シリコンゴム(発泡シリコン)等の発泡ゴムを例示できる。
加熱ローラ176は、回転軸176aが定着装置17の本体フレームFLに軸受け(図示省略)を介して回転自在に設けられている。加熱ローラ176は、円筒状の芯金176bを備えており、この芯金176bの内側には、加熱ローラ176を加熱する熱源(ここではハロゲンヒータランプ)179が設けられている。これにより、加熱ローラ176が熱源179によって加熱され、加熱ローラ176の熱が定着ベルト177に伝導され、さらに、定着ベルト177を介して定着ローラ175のローラ表面に伝導されて定着ローラ175が加熱される。
定着ベルト177は、柔軟性を有する筒状の基体の表面に、離型層として、耐熱性及び離型性に優れた合成樹脂材料(例えばPFAやPTFE等のフッ素系樹脂)が形成された2層構成となっている。また、定着ベルト177の寄り力(回転軸芯方向にずれる力)を低減するために、ベルト基材の内面に、フッ素系樹脂等のコーティングを施してもよい。
加圧ローラ178は、回転軸178aが定着装置17の本体フレームFLに軸受け(図示省略)を介して回転自在に設けられている。加圧ローラ178は、芯金178bと、離型性を有する離型層178cとを備えており、芯金178b上に離型層178cが設けられている。
芯金178bは、中空円筒状の金属製芯材からなっている。芯金178bとしては、定着ローラ175と同様の材料を用いることができる。
離型層178cとしては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂を用いることができる。
このような構成の定着装置17において、定着ベルト177には、そのベルト表面(外周表面)177aに接触する接触部材が設けられている。具体的には、定着ベルト177の外周表面の温度を検出する温度検出手段である接触型サーミスタ(以下、単にサーミスタともいう。)190が設けられている。
また、定着ベルト177には、定着ベルト177のベルト表面177aに付着したトナーや紙粉等の微小物を回収するためのクリーニング手段180が設けられている。なお、クリーニング手段180の構成自体は、図4及び図5を用いて説明した構成と同じであるので、ここでは同符号を用いて説明を行うものとする。
クリーニング手段180は、定着ベルト177のベルト表面177aの幅方向X(図7では紙面に垂直な方向)の全幅に接触してクリーニングする全幅クリーニング部材(第1クリーニング部材)181と、サーミスタ190が接触する領域に接触してクリーニングする補助クリーニング部材(第2クリーニング部材)182とを備えている。本実施の形態3でも、上記実施の形態1と同様、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とが一体に構成されている。
すなわち、クリーニング手段180は、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に支持するための1枚の板状の支持体183を備えている。この支持体183は、定着ベルト177のベルト表面177aに対峙して、幅方向Xの全長に渡って延設された第1支持板184と、この第1支持板184の幅方向Xに直交する前後方向Yの一方の側縁部184aから、前後方向Yに向かって延設された定着ローラ171の外周表面171dに対峙する第2支持板185とを備えており、第1支持板184の他方の側縁部184bの複数箇所(この例では中央部と幅方向Xの両端部の3箇所)から延設された固定板186が、本体フレームFLにねじ止め等によって取り付け固定される構成となっている。
また、第2支持板185は、定着ベルト177のベルト表面177aにおいて、サーミスタ190が接触する領域に対峙して設けられている。この例では、サーミスタ190は、定着ベルト177のベルト表面177aの幅方向Xにおいて、一方の端部の位置と、そこから中央部よりの位置の2箇所に設けられている。従って、第2支持板185も、これらに対応して、第1支持板184の一方の側縁部の2箇所に設けられている。
全幅クリーニング部材181は、第1支持板184の一方の面側(すなわち、定着ベルト177のベルト表面177aに対向する面側)に取り付け固定されており、補助クリーニング部材182は、第2支持板185の一方の面側(すなわち、定着ベルト177のベルト表面177aに対向する面側)に取り付け固定されている。
ここで、全幅クリーニング部材181及び補助クリーニング部材182の材質としては、上記実施の形態1と同様、フェルトやゴム等を例示することができる。
このような構成において、第2支持板185の延設基端部の両側に一対のスリット187,187が形成されている。このスリット187は、一方の側縁部184aから他方の側縁部184bに向かって平行に切り込むことによって形成されており、その切り込み長さによって、定着ベルト177のベルト表面177aへの補助クリーニング部材182の接触圧を調整可能となっている。すなわち、支持体183は、金属材料による板金加工または樹脂成形等によって形成されており、材料自体に弾性力を有している。従って、第2支持板185の延設基端部の両側にスリット187を形成して第2支持板185の延設長さを調整することで、定着ベルト177のベルト表面177aへの接触圧を調整することができる。
ここで、本実施の形態3でも、上記実施の形態1と同様、補助クリーニング部材182の接触圧は、全幅クリーニング部材181の接触圧に対して、50〜80%の範囲内に設定されている。
実施の形態3によれば、サーミスタ190が接触している定着ベルト177のベルト表面177aを、全幅クリーニング部材181と、サーミスタ190の位置に対応した補助クリーニング部材182とによって綺麗にクリーニングすることができる。また、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、個別に取り付ける場合に比べて部品点数を削減でき、定着ベルト177周辺での設置スペースも容易に確保することができる。さらに、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、定着ベルト177のベルト表面177aへの接触圧を個別に調整する必要もない。
<実施の形態4>
図9は、実施の形態4に係る定着装置17を正面側から視た概略縦断面図である。
実施の形態3に係る定着装置17では、サーミスタ190及びクリーニング手段180を定着ベルト177側に設けているが、実施の形態4では、サーミスタ190及びクリーニング手段180を加圧ローラ178側に設けた構成としている。実施の形態4では、加圧ローラ178は、ハロゲンヒータランプ等の熱源179を備えており、熱源179によって加圧ローラ178の外周表面(ローラ表面)178dが加熱されるようになっている。従って、加圧ローラ178側にもサーミスタ190が配置されている。
なお、サーミスタ190及びクリーニング手段180の構成は、その配置位置が加圧ローラ178側である点において、図6に示す実施の形態2の構成と同じであるので、ここでは同部材に同符号を付すこととし、簡単な説明に留めるものとする。
すなわち、加圧ローラ178には、加圧ローラ178の外周表面(具体的には、離型層178cの表面)178dに接触して加圧ローラ178の温度を検出する温度検出手段である接触型サーミスタ190が設けられている。また、クリーニング手段180は、支持体183の第1支持板184及び第2支持板185が加圧ローラ178の外周表面178dに対峙し、全幅クリーニング部材181は、第1支持板184の一方の面側(すなわち、加圧ローラ178の外周表面178dに対向する面側)に取り付け固定されており、補助クリーニング部材182は、第2支持板185の一方の面側(すなわち、加圧ローラ178の外周表面178dに対向する面側)に取り付け固定されている。
なお、図示は省略しているが、本実施の形態4においても、サーミスタ190は、加圧ローラ178の外周表面178dの幅方向Xにおいて、一方の端部の位置と、そこから中央部寄りの位置の2箇所に設けられている。従って、第2支持板185も、これらに対応して、第1支持板184の一方の側縁部の2箇所に設けられている。
実施の形態4によれば、サーミスタ190が接触している加圧ローラ178の外周表面178dを、全幅クリーニング部材181と、サーミスタ190の位置に対応した補助クリーニング部材182とによって綺麗にクリーニングすることができる。また、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、個別に取り付ける場合に比べて部品点数を削減でき、加圧ローラ178周辺での設置スペースも容易に確保することができる。さらに、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、加圧ローラ178の外周表面178dへの接触圧を個別に調整する必要もない。
<実施の形態5>
上記実施の形態1〜4では、補助クリーニング部材182をサーミスタ190が接触する領域に対峙して設けた構成として説明しているが、定着部材に接触する接触部材はサーミスタ190だけでなく、剥離爪(剥離手段)195も接触している。従って、本実施の形態5では剥離爪195に着目し、剥離爪195が接触する領域に補助クリーニング部材182を対峙して設けた構成としている。
図10は、実施の形態5に係る定着装置17を正面側から視た概略縦断面図、図11は、実施の形態5に係る定着装置の要部を正面側から視た概略斜視図、図12は、実施の形態5に係る定着装置のクリーニング手段の構成を示す斜視図である。
すなわち、定着ローラ171の外周表面171dには、温度を検出する温度検出手段である接触型サーミスタ190の他に、定着ニップ部Nを通過した記録シートPを定着ローラ171の外周表面171dから剥離するための剥離爪195が設けられている。ただし、図10では、加圧ローラ172の外周表面172dにも、定着ニップ部Nを通過した記録シートPを加圧ローラ172の外周表面172dから剥離するための剥離爪195が設けられているが、本実施の形態5では、定着ローラ171側に設けられた剥離爪195のみを対象としている。
本実施の形態5と上記実施の形態1との違いは、補助クリーニング部材182を設けた箇所のみであり、その他の構成は上記実施の形態1と同様である。
簡単に説明すると、本実施の形態5では、クリーニング手段180は、定着ローラ171の外周表面171dの幅方向X(図10では紙面に垂直な方向)の全幅に接触してクリーニングする全幅クリーニング部材(第1クリーニング部材)181と、剥離爪195が接触する領域に接触してクリーニングする補助クリーニング部材(第2クリーニング部材)182とを備えている。
すなわち、クリーニング手段180は、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に支持するための1枚の板状の支持体183を備えている。この支持体183は、定着ローラ171の外周表面171dに対峙して、幅方向Xの全長に渡って延設された第1支持板184と、この第1支持板184の幅方向Xに直交する前後方向Yの一方の側縁部184aから、前後方向Yに向かって延設された定着ローラ171の外周表面171dに対峙する第2支持板185とを備えており、第1支持板184の他方の側縁部184bの複数箇所(この例では中央部の1箇所と幅方向Xの両端部の2箇所の計3箇所)から延設された固定板186が、本体フレームFLにねじ止め等によって取り付け固定されている。
また、第2支持板185は、定着ローラ171の外周表面171dにおいて、剥離爪195が接触する領域に対峙して設けられている。この例では、剥離爪195は、図11に示すように、定着ローラ171の外周表面171dの幅方向Xにおいて、中央部の2箇所と、幅方向の両端部の2箇所の計4箇所に設けられている。従って、第2支持板185も、これらに対応して、第1支持板184の一方の側縁部184aの4箇所に設けられている。
全幅クリーニング部材181は、第1支持板184の一方の面側(すなわち、定着ローラ171の外周表面171dに対向する面側)に取り付け固定されており、補助クリーニング部材182は、第2支持板185の一方の面側(すなわち、定着ローラ171の外周表面171dに対向する面側)に取り付け固定されている。
このような構成において、本実施の形態5でも、第2支持板185の延設基端部の両側に一対のスリット187,187が形成されている。このスリット187の構成は、上記実施の形態1で説明した構成と同様である。
なお、実施の形態5では、上記実施の形態1と同様に、定着ローラ171と加圧ローラ172からなる定着装置17の定着ローラ171側に本発明のクリーニング手段180を適用した場合について説明しているが、この他にも、上記実施の形態2と同様に、定着ローラ171と加圧ローラ172からなる定着装置17の加圧ローラ172側に上記実施の形態5に係る構成のクリーニング手段180を適用してもよい。この場合、図13に示すように、剥離爪195は、加圧ローラ172の外周表面172dの幅方向Xにおいて、中央部寄りの2箇所に設けられているので、補助クリーニング部材182もこれらに対応して、第1支持板184の一方の側縁部の2箇所に設けられている。
また、上記実施の形態3と同様に、定着ベルト177と加圧ローラ178からなる定着装置17の定着ベルト177側に上記実施の形態5に係る構成のクリーニング手段180を適用してもよく、上記実施の形態4と同様に、定着ベルト177と加圧ローラ178からなる定着装置17の加圧ローラ178側に上記実施の形態5に係る構成のクリーニング手段180を適用してもよい。
実施の形態5によれば、剥離爪195が接触している定着ローラ171の外周表面171dを、全幅クリーニング部材181と、剥離爪195の位置に対応した補助クリーニング部材182とによって綺麗にクリーニングすることができる。また、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、個別に取り付ける場合に比べて部品点数を削減でき、定着ローラ171周辺での設置スペースも容易に確保することができる。さらに、全幅クリーニング部材181と補助クリーニング部材182とを一体に構成することで、定着ローラ171の外周表面171dへの接触圧を個別に調整する必要もない。
<実施の形態6>
図14A〜図14Dは、第2支持板185の延設基端部の両側に形成されているスリット187の形状に関する実施の形態である。上記実施の形態1〜5では、スリット187は、第1支持板184の一方の側縁部184aから他方の側縁部184bに向かって平行に切り込んだ形状としている。
これに対し、図14Aでは、第2支持板185の延設基端部の両側に形成される一対のスリット187,187を、第1支持板184の一方の側縁部184aから他方の側縁部184bに行くに従って、互いの方向に傾斜させて漸次接近するように形成している。すなわち、一対のスリット187,187を八の字状に形成している。
また、図14Bでは、第2支持板185の延設基端部の両側に形成される一対のスリット187,187を、第1支持板184の一方の側縁部184aに沿って互いの方向に接近するように(すなわち、一直線状に)形成している。
また、図14Cに示すスリット187は、第2支持板185の延設基端部の両側部分を残して、その中央部分を第1支持板184の一方の側縁部184aに沿って所定長さだけ切り欠いた(穴を開けた)形状としている。ここで、スリット187の穴の形状としては、図示のような細い溝状の穴でもよいし、四角形状や円形状、楕円形状等種々の形状の穴とすることができる。
また、図14Dに示すスリット187は、第2支持板185の延設基端部の一方の側から他方の側に向かって、第1支持板184の一方の側縁部184aに沿って所定長さだけ切り欠いた形状としている。
なお、上記実施の形態1〜5では、補助クリーニング部材182は、接触部材であるサーミスタ190が接触する領域に対応する箇所または剥離爪195が接触する領域に対応する箇所のいずれか一方に設けた構成としているが、サーミスタ190が接触する領域に対応する箇所及び剥離爪195が接触する領域に対応する箇所の両方に設けてもよい。
また、上記実施の形態1〜5では、クリーニング手段180を定着ローラ(加熱ローラ)側または加圧ローラ側のいずれか一方に設けているが、定着ローラ(加熱ローラ)側及び加圧ローラ側の両方にクリーニング手段180を設けてもよい。
なお、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。