以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1〜5に示すように、遊技機1は、いわゆるパチスロ機である。遊技機1は、コイン、メダル、遊技球又はトークン等の他、遊技者に付与された又は付与される、遊技価値の情報を記憶したカード等の遊技媒体を用いて遊技可能なものであるが、以下ではメダルを用いるものとして説明する。
なお、以後の説明において、遊技機1から遊技者に向かう側(方向)を遊技機1の前側(前方向)と称し、前側とは逆側を後側(後方向、奥行方向)と称し、遊技者から見て右側及び左側を遊技機1の右側(右方向)及び左側(左方向)とそれぞれ称する。また、前側及び後側を含む方向は、前後方向又は厚み方向と称し、右側及び左側を含む方向は、左右方向又は幅方向と称する。前後方向(厚み方向)及び左右方向(幅方向)に直交する方向を上下方向又は高さ方向と称する。
図1及び図2に示すように、遊技機1の外観は、矩形箱状の筐体2により構成されている。筐体2は、遊技機本体として前面側に矩形状の開口を有する金属製のキャビネットGと、キャビネットGの前面上部に配置された上ドア機構UDと、キャビネットGの前面下部に配置された下ドア機構DDとを有している。
また、キャビネットGの上面壁G4には、左右方向に関して所定間隔隔てて、上下方向に貫通する2つの開口G41が形成されている。そして、この2つの開口G41それぞれを塞ぐように木製の板部材G42が上面壁G4に取り付けられている。
図3に示すように、上ドア機構UD及び下ドア機構DDは、キャビネットGの開口の形状及び大きさに対応するように形成されている。上ドア機構UD及び下ドア機構DDは、キャビネットGにおける開口の上部及び下部を閉塞可能に設けられている。上ドア機構UDは、上側表示窓UD1を中央部に有している。上側表示窓UD1には、光を透過する透明パネルUD11が設けられている。
下ドア機構DDには、上部の略中央部に、矩形状の開口部として形成されたメイン表示窓DD4が設けられている。メイン表示窓DD4の裏面側には、キャビネットGの内部側から取り付けられたリールユニットRUが装着されている。さらに、リールユニットRUの背面には、主制御基板MSが取り付けられている。
リールユニットRUは、複数種類の図柄が各々の外周面に描かれた3個のリールRL(左リール),RC(中リール),RR(右リール)を主体に構成されている。これらのリールRL,RC,RRは、それぞれが縦方向に一定の速度で回転できるように並列状態(横一列)に配設される。リールRL,RC,RRは、メイン表示窓DD4を通じて、各リールRL,RC,RRの動作や各リールRL,RC,RR上に描かれている図柄が視認可能となる。
メイン表示窓DD4には、その表面部に、矩形状のアクリル板等からなる透明パネルDD41が取り付け固定されており、遊技者等がリールユニットRUに触れることができないようになっている。メイン表示窓DD4の下方には、略水平面の第1,第2,第3台座部DD2a,DD2b,DD2cが形成されている。メイン表示窓DD4の右側に位置する第1台座部DD2aには、メダルを投入するためのメダル投入口DD5が設けられている。メダル投入口DD5は、遊技者によりメダルが投入される開口である。メダル投入口DD5から投入されたメダルは、クレジットされるか又はゲームに賭けられる。
メイン表示窓DD4の左側に位置する第2台座部DD2bには、クレジットされているメダルを賭けるための、有効ライン設定手段としての最大BETボタンDD8(MAXBETボタンともいう)が設けられている。最大BETボタンDD8が押されると、メダルの投入枚数として「3」が選択される。
メイン表示窓DD4の前面側に位置する第3台座部DD2cには、液晶表示装置DD20が設けられている。液晶表示装置DD20は、液晶表示パネル(液晶パネル)のパネル面にタッチ式の位置入力装置としてのタッチセンサパネルが配されてなる、いわゆるタッチパネルとなっている。なお、タッチセンサパネルとしては、例えば、人体の一部(指先等)や静電ペン等の接触を検知して、その検知信号を出力する静電容量方式のものであってもよく、又は、ペン先等の堅い物質の接触を検知して、その検知信号を出力する方式のもの、あるいは、その他の方式のものや構造のもの(インセル構造等)であってもよい。
液晶表示装置DD20は、SUI(スマート・ユーザ・インターフェイス)として機能するもので、その表示画面上に、例えば、遊技の進行に伴って遊技回数等の遊技情報が表示されるとともに、遊技者による選択又は入力を求めるためのメッセージや入力キー等が表示される。
なお、液晶表示装置DD20においては、その表示画面上に、例えば、遊技の進行に伴って、遊技に関する演出に応じた内容(演出情報)を表示することも可能である。また、液晶表示装置DD20としては、例えば、演出役物としての機能を有するアタッチメントや、専用のアタッチメントとして、ジョグダイヤル又はプッシュボタン等を装着できるようにしてもよい。また、液晶表示装置DD20は、その機能を、後述する表示ユニットA等に振り分けることにより、省略することもできる。
最大BETボタンDD8の前面側には、遊技者の操作によりリールRL,RC,RRを回転駆動させるとともに、メイン表示窓DD4内で図柄の変動表示を開始させるスタートレバーDD6が設けられている。スタートレバーDD6は、所定の角度範囲で傾動自在に取り付けられる。
スタートレバーDD6の右側で、液晶表示装置DD20の前面側には、遊技者の押下操作(停止操作)により3個のリールRL,RC,RRの回転をそれぞれ停止させるための3個のストップボタンDD7L,DD7C,DD7Rが設けられている。
最大BETボタンDD8の左側には、C/PボタンDD13が設けられている。C/PボタンDD13は、遊技者がゲームで獲得したメダルのクレジット/払出しを押しボタン操作で切り換えるものである。このC/PボタンDD13の切り換えにより払出しが選択されている状態(非クレジット状態)においては、下ドア機構DDの下部側のコインガードプレート部に設けたメダル払出口DD14(キャンセルシュート)からメダルが払出され、払出されたメダルは、メダル受け部DD15に溜められる。
スタートレバーDD6、及び、ストップボタンDD7L,DD7C,DD7Rの下部側には、腰部パネルDD18(腰部導光板)が配置されている。腰部パネルDD18は、アクリル板等を使用した化粧用パネルとして構成される。腰部パネルDD18には、遊技機1の機種を表す名称や種々の模様等が印刷により描かれている。
また、メダル払出口DD14の左側にはスピーカDD25Lが、右側にはスピーカDD25Rが、それぞれ設けられている。スピーカDD25L,DD25Rは、遊技者に遊技に関する種々の情報を声や音楽等の音により報知する。また、メイン表示窓DD4の左側及び右側には、第1サブ表示装置DD19L及び第2サブ表示装置DD19Rがそれぞれ配置されている。これらのサブ表示装置DD19L,DD19Rは、例えば入賞成立時のメダルの払出枚数やクレジットされている残メダル枚数を表示する。通常は、遊技機1にクレジットされるメダルの最大枚数は50枚であるため、50以下のクレジット枚数が表示される。なお、最大枚数の50枚のメダルがクレジシットされている状態では、投入されたメダルはそのままメダル払出口DD14より払出される。また、サブ表示装置DD19L,DD19Rは、タッチパネルを前面に備えていてもよい。
図4に示すように、キャビネットG内は、中間支持板G1により上部空間と下部空間とに仕切られている。すなわち、中間支持板G1は、キャビネットG内を上部空間と下部空間とに仕切る仕切板として機能している。上部空間は、キャビネットG内の上ドア機構UDの後側となる空間であり、表示ユニットA等が収容される。また、下部空間は、キャビネットG内の下ドア機構DDの後側となる空間であり、リールユニットRUや、遊技機1全体の動作を司る主制御基板MS等が収容される。
(表示ユニットA)
図5に示すように、表示ユニットAは、キャビネットG内の中間支持板G1上に交換可能に載置される。表示ユニットAは、映像表示用の照射光を出射する照射ユニットBと、照射ユニットBからの照射光が照射されることにより映像を出現させるスクリーン装置Cとを有したいわゆるプロジェクションマッピング装置である。
ここで、プロジェクションマッピング装置は、構造物や自然物等の立体物の表面に映像を投影するためのものであって、例えば、後述のスクリーンである役物に対して、その位置(投影距離や角度等)や形状に基づいて生成される、演出情報に応じた映像を投影することにより、高度で、かつ迫力のある演出を可能とする。
表示ユニットAは、前方に開口が形成された筐体A1を有する。この筐体A1は、照射ユニットBの上部を形成するプロジェクタカバーB1、及び、スクリーン装置Cのスクリーン筐体C10(図12、図13等参照)とで構成されている。詳細は後述するが、スクリーン筐体C10は、底板C1、右側板C2、左側板C3、及び背板C4を有した箱方形状をなしている。プロジェクタカバーB1は、スクリーン筐体C10の上面に交換可能に取り付けられる。
(表示ユニットA:照射ユニットB)
図6に示すように、照射ユニットBは、照射光を前方に出射するプロジェクタ装置B2と、プロジェクタ装置B2の前方に配置され、プロジェクタ装置B2からの照射光を斜め下後方に配置されたスクリーン装置Cの方向に反射するミラー機構B3と、プロジェクタ装置B2及びミラー機構B3を収容したプロジェクタカバーB1とを有している。
(表示ユニットA:照射ユニットB:プロジェクタ装置B2)
プロジェクタ装置B2は、ケースB22によって外装されつつプロジェクタカバーB1に取り付けられ、キャビネットG内の後部に配置されている。プロジェクタ装置B2は、水平配置された平板状の上側台座B220及び下側台座B221を介してプロジェクタカバーB1に取り付けられている。ケースB22は、その上面全体が開口されている。これにより、下側台座B221の下面には、ケースB22に収容されたレンズユニットB21や光学機構B24(図21参照)が位置する。レンズユニットB21は、光学機構B24の複数のLED光源240R,240G,240B(図33参照)から出射してDMD241(Digital Micromirror Device:図33参照)で反射した照射光を、レンズ等を介して前方のミラー機構B3に向けて出射するように配置されている。このプロジェクタ装置B2の詳細については、図21〜33を用いて後述する。
(表示ユニットA:照射ユニットB:ミラー機構B3)
図6及び図7に示すように、プロジェクタ装置B2の前方(照射光の出射方向)には、ミラー機構B3が配置されている。ミラー機構B3は、ミラーホルダB31により光学ミラーB32を保持している。このミラー機構B3は、プロジェクタカバーB1におけるリフレクタ保持部B11の内側面に設けられている。リフレクタ保持部B11は、プロジェクタカバーB1の前面中央部に形成されており、上ドア機構UDを開いたときに前側に露出するように配置されている。なお、ミラー機構B3は、リフレクタ保持部B11に対してその間隔が調整可能に取り付けられている。これにより、プロジェクタ装置B2から出射した照射光の進行方向に対する光学ミラーB32の反射角度を微調整することができる。
(表示ユニットA:照射ユニットB:プロジェクタカバーB1)
図7に示すように、プロジェクタ装置B2及びミラー機構B3は、プロジェクタカバーB1に収容されている。なお、プロジェクタ装置B2の下面B2aは、その前部に、後方から前方に向けて上方に傾斜する傾斜面B2a1を有している。図8に示すように、プロジェクタカバーB1は、水平配置された上壁部B12と、上壁部B12の前側に配置されたリフレクタ保持部B11と、上壁部B12の左右方向において左右対称に配置された側壁部B13,B13とを有している。上壁部B12は、前部がキャビネットGよりも前方に突出している(図5参照)。上壁部B12の前部の中央部には、リフレクタ保持部B11が前方に突出した形態に形成されており、突出により形成された空間部に上述のミラー機構B3が角度調整可能に保持されている。
また、側壁部B13,B13は、下端部から左右水平方向に突出した突出部B131を有している。突出部B131は、前部側の第1突出部B131aと、後部側の第2突出部B131bとを有している。第1突出部B131aは、プロジェクタカバーB1がキャビネットGに装着されたときに、キャビネットGの開口部に対応するように位置する。各側壁部B13,B13から突出した第1突出部B131aの先端同士の左右方向に沿う距離は、キャビネットGの開口部の左右方向に関する幅よりも僅かに短い距離に設定されている。一方、第2突出部B131bは、プロジェクタカバーB1がキャビネットGに装着されたときに、キャビネットGの開口部から後方の空間部に対応するように位置する。各側壁部B13,B13から突出した第2突出部B131bの先端同士の左右方向に沿う距離は、キャビネットGの空間部の幅よりも僅かに短い距離に設定されている。すなわち、各側壁部B13,B13は、第1突出部B131aの先端同士の左右方向に沿う距離よりも、第2突出部B131bの先端同士の左右方向に沿う距離が広くなるように形成されている。これにより、プロジェクタカバーB1は、キャビネットGにおける内部空間の大部分を覆うことが可能になっている。
また、第2突出部B131bの先端部には、上下方向に貫通するネジ穴B131Cが形成されている。プロジェクタカバーB1を右側板C2及び左側板C3(図5参照)に対して固定する際には、ネジ穴B131Cを介して右側板C2及び左側板C3のそれぞれにネジがねじ込まれる。また、各側壁部B13,B13の下端部から水平方向に突出部B131が突出することにより、プロジェクタカバーB1の両側端部には、この突出部B131と側壁部B13とで、その前端から凹部B132が後方に向けて連続して形成されている。
図9に示すように、表示ユニットAをキャビネットGに装着したときに、この凹部B132とキャビネットGとで空間BSが画定される。また、プロジェクタカバーB1の上壁部B12及び側壁部B13の形状は、各側壁部B13の下端部と、この下端部から突出した第2突出部B131bの先端部との距離が、第2突出部B131bの後方部よりも前方部の方が大きくなるように構成されている(図8参照)。これにより、空間BSの前方空間は後方空間に比べて大きな空間となる。また、表示ユニットAをキャビネットGに装着したときにおいて、キャビネットGの上面壁G4に形成された開口G41と、空間BSの前方空間とは、上面視において少なくとも一部が重なる。この空間BSは、島設備に遊技機1を設置固定するための作業空間として利用される。
(表示ユニットA:照射ユニットB:多孔板B15)
図10に示すように、プロジェクタカバーB1の下面側には、複数の孔B151を有した多孔板B15が設けられている。多孔板B15は、金属(例えば、ステンレス、鉄、鋼、アルミ等)製の板に打ち抜き加工を施すことにより複数の孔を開けたパンチングメタルである。複数の孔B151は、多孔板B15の全面において略均等に分散して形成されている。多孔板B15は、多孔板B15の全面において空気を流通可能にしており、プロジェクタ装置B2の下側から上側あるいは上側から下側への空気の流動を可能にしている。孔B151のサイズ及び個数は、外部からプロジェクタカバーB1内を目視できない程度に設定されている。孔B151は、丸、四角、六角形等の形状に形成されており、孔径は、3〜5mm程度となっている。
多孔板B15は、プロジェクタカバーB1の第1突出部B131a及び第2突出部B131bを下側位置から覆うように形成されている。多孔板B15は、前部側の上側部B15aと、中部側の傾斜部B15bと、後部側の下側部B15cとを有している。上側部B15aは、水平配置されている。傾斜部B15bは、上側部B15aの後辺から斜め下後方に曲折するように形成されている。下側部B15cは、傾斜部B15bの後辺から水平方向に曲折するように形成されている。
多孔板B15の上側部B15aは、プロジェクタカバーB1の側壁部B13,B13に取り付けられている。これにより、多孔板B15は、プロジェクタカバーB1の前部を上側部B15aで下側から覆い、プロジェクタカバーB1の中部から後部にかけて傾斜部B15b及び下側部B15cで下側から覆うように配置されている。また、傾斜部B15bは、上面視において、プロジェクタ装置B2の下面B2aにおける傾斜面B2a1を囲むように配置されている。そして、図7に示すように、傾斜部B15bの傾斜角度(水平面に対する傾斜角度)は、傾斜面B2a1の傾斜角度と略同じにされている。多孔板B15の下方には、スクリーン装置Cにおけるフロントスクリーン機構E1が配置されている。
フロントスクリーン機構E1は、照射光による映像の出現を禁止する待機姿勢となる上側に配置されたフロント待機位置と、照射光による映像の出現を許可する露出姿勢となる下側に配置されたフロント露出位置との間を回動可能にされており、待機姿勢におけるフロントスクリーン機構E1は、多孔板B15の傾斜部B15bに略平行に近接した傾斜姿勢にされている。一方、フロントスクリーン機構E1が露出姿勢となったときには、多孔板B15の下方に大きな空間部が出現し、この空間部に存在する空気が流動抵抗のない状態で多孔板B15に到達し、複数の孔B151を通過することによって、スクリーン装置C内への空気の流入を容易にして冷却効果を高めることを可能にしている。
また、多孔板B15は、プロジェクタカバーB1の下面を覆うように設けられることによって、例えば図11に示すように、前側に位置した遊技者の目線位置がスクリーン装置Cの上下方向及び左右方向の中心部の水平線上に存在し、この目線位置から照射ユニットBを見上げる状態になったとしても、多孔板B15により照射ユニットBの内部を目視されないようにしている。
(表示ユニットA:スクリーン装置C)
図12に示すように、上記のように構成された照射ユニットBは、スクリーン装置Cの上面にネジ締結により連結されている。例えば、上述したように、プロジェクタカバーB1の突出部B131に形成されたネジ穴B131Cを介して、スクリーン装置Cの右側板C2及び左側板C3それぞれの上面にネジがねじ込まれている。これにより、表示ユニットAは、照射ユニットBとスクリーン装置Cとをユニット化して一体的に取り扱うことが可能になっている。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:スクリーン機構)
スクリーン筐体C10の内部には、照射ユニットBからの照射光の照射により映像を出現させる複数のスクリーン機構が照射対象を切替え可能に設けられている。具体的には、図13に示すように、複数のスクリーン機構としては、固定スクリーン機構D、フロントスクリーン機構E1、及びリールスクリーン機構F1が設けられている。固定スクリーン機構D、フロントスクリーン機構E1、及びリールスクリーン機構F1それぞれの投影面は、映像表現を多様化するために、互いに異なる形状をなしている。また、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1は、プロジェクタ装置B2やミラー機構B3に対して相対的に位置が変位する可動式のスクリーンであり、それぞれ、フロントスクリーン駆動機構E2及びリールスクリーン駆動機構F2(図20参照)により駆動される。なお、フロントスクリーン機構E1とリールスクリーン機構F1とでは、フロントスクリーン機構E1の方が大型で重くなっている。このため、フロントスクリーン機構E1を駆動させる際には、リールスクリーン機構F1を駆動させる際よりも大きな駆動力を要する。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:スクリーン筐体C10)
スクリーン装置Cは、上述したように、箱形形状のスクリーン筐体C10を有している。図13に示すように、スクリーン筐体C10は、水平配置された底板C1と、底板C1の右端部に立設された右側板C2と、底板C1の左端部に立設された左側板C3と、底板C1の後端部に立設された背板C4とを有している。これにより、底板C1に対して右側板C2と左側板C3と背板C4とがネジ締結により連結されることによって、遊技者が位置する前面側と、照射ユニットBが位置する上面側とが開放された箱形形状のスクリーン筐体C10が形成されている。
底板C1、右側板C2、左側板C3、及び背板C4は、それぞれが別個に所定形状に成型されており、固定スクリーン機構D等の所定の機能部品が位置決め配置可能にされている。これにより、スクリーン装置Cのユニット全体として共通化を図れない場合でも、底板C1、右側板C2、左側板C3、及び背板C4の板部材単位で共通化することが可能になっている。また、板部材毎の部分的な交換が可能であるため、遊技機1の機種毎に容易に仕様変更することが可能になっている。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:スクリーン筐体C10:底板C1)
スクリーン筐体C10の底板C1は、上面視が長方形の平板形状に形成されている。底板C1の上面は、中央部に配置された中央載置部C11と、中央載置部C11を中心として左右方向に配置された右載置部C12及び左載置部C13とを有している。これらの載置部C11,C12,C13は、凹状に形成されている。中央載置部C11は、固定スクリーン機構Dの下端部が嵌合されることによって、固定スクリーン機構Dを位置決め可能に載置している。右載置部C12は、右可動体ベースC5の下端部が嵌合されことによって、右可動体ベースC5を位置決め可能に載置している。左載置部C13は、左可動体ベースC6の下端部が嵌合されことによって、左可動体ベースC6を位置決め可能に載置している。なお、右可動体ベースC5及び左可動体ベースC6それぞれの、左右方向内側の側面には、模様が凹凸により立体的に形成されている。すなわち、右可動体ベースC5及び左可動体ベースC6は、装飾部材としても機能する。以上のように、底板C1には、固定スクリーン機構D、右可動体ベースC5及び左可動体ベースC6が位置決め配置可能にされている。
また、底板C1の前部C14は、下方に曲折することによって、先端部が底板C1の下面よりも下方に位置されている。前部C14には、複数の貫通穴C141が形成されている。前部C14は、表示ユニットAがキャビネットGの中間支持板G1(図5参照)に載置されながら組み込まれる際に、中間支持板G1の前面に当接することによって、キャビネットG内の後方への位置決めを行うことを可能にしている。そして、表示ユニットAは、前部C14の貫通穴C141を介してキャビネットGの前面にネジ締結されることによって、キャビネットGの前面側からの表示ユニットAの組み込み作業及び据え付け作業を行うことが可能になっている。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:スクリーン筐体C10:右側板C2、左側板C3)
図13及び図14に示すように、スクリーン筐体C10の右側板C2及び左側板C3は、操作用開口部C21,C31を有している。操作用開口部C21,C31は、取っ手として形成されており、操作用開口部C21,C31に手を引っかけることによって表示ユニットAを持ち運ぶことができるようになっている。操作用開口部C21,C31は、フロントスクリーン駆動機構E2のクランクギアE21,E21の側方に配置されている。操作用開口部C21,C31は、水平方向に長手方向を一致させた長方形状に形成されている。操作用開口部C21,C31の開口面積は、クランクギアE21,E21を外部から人手により操作することができる程度に設定されている。
これにより、表示ユニットAをキャビネットGに組み込んだ後に、待機位置のフロントスクリーン機構E1を手動で移動させる場合は、先ず、上ドア機構UDが開放されたキャビネットGの前面側から表示ユニットAを取り出す。具体的には、キャビネットGの前面側に位置した作業者がキャビネットGに対する表示ユニットAのネジ締結を解除してネジを取り外す。そして、キャビネットG内に手を伸ばして表示ユニットAの操作用開口部C21,C31を両手で把持し、表示ユニットAをキャビネットG外に取り出す。この後、取り外した表示ユニットAの一方の操作用開口部C21からスクリーン装置C内に手を伸ばし、操作用開口部C21から水平方向に見えるクランクギアE21を回転させることによって、ロック状態のフロントスクリーン機構E1を待機位置から容易に移動させることができる。待機位置からの移動によりロック状態が解除されると、フロントスクリーン機構E1を所望の位置に素早く回動させることができる。
なお、上ドア機構UDを開けた状態で、キャビネットGの開口の前方から、キャビネットGの側面壁G2とスクリーン装置Cの右側板C2との間のスペース内に手を伸ばし、操作用開口部C21からクランクギアE21を操作することによって、クランクギアE21を回転させることができる。この場合には、表示ユニットAをキャビネットG外に取り外さなくても、フロントスクリーン機構E1のロック状態を解除することができる。
また、右側板C2には、モータ収容部C22が形成されている。このモータ収容部C22により、リールスクリーン駆動機構F2(図20参照)の駆動モータF24が位置決め配置される。また、右側板C2及び左側板C3それぞれには、フロントスクリーン駆動機構E2におけるクランクギアE21のギア軸E21aを回動自在に支持する第1支持部C23、及び、フロントスクリーン駆動機構E2における中間ギアE23のギア軸となるシャフト部材E3を回転自在に支持する第2支持部C24が形成されている。以上のように、フロントスクリーン駆動機構E2及びリールスクリーン駆動機構F2は、右側板C2及び左側板C3により位置決め配置される。なお、フロントスクリーン駆動機構E2の右フロントスクリーン駆動機構E2Bと、リールスクリーン駆動機構F2とは、左右方向に関して、右可動体ベースC5と右側板C2との間に配置される。また、左フロントスクリーン駆動機構E2Aは、左右方向に関して、左可動体ベースC6と左側板C3との間に配置される。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:スクリーン筐体C10:背板C4)
図15に示すように、スクリーン筐体C10の背板C4は、平板状に形成されており、その背面の下部には、中継基板CKを位置決め配置するための凹部COが形成されている。中継基板CKは、表示ユニットAにおける各種機能部品(例えば、プロジェクタ装置B2等)と、表示ユニットA以外の各種機能部品(後述するサブ制御装置SS等)との配線(不図示)を中継するための中継基板である。
背板C4には、操作用開口部C41が形成されている。操作用開口部C41は、右側下部に配置されており、フロントスクリーン駆動機構E2の中間ギアE23に対向されている。操作用開口部C41は、中間ギアE23を手動で操作可能なサイズに形成されている。これにより、表示ユニットAをキャビネットGに組み込んだ後に、待機位置のフロントスクリーン機構E1を手動で移動させる場合は、先ず、表示ユニットAをキャビネットGから取り外す。この後、操作用開口部C41からスクリーン装置C内に手を伸ばし、操作用開口部C41から水平方向に見える中間ギアE23を回転させることによって、ロック状態のフロントスクリーン機構E1を待機位置から容易に移動させることができる。
また、背板C4は、右側板C2及び左側板C3それぞれの後方端よりも前方に配置されている。これにより、表示ユニットAをキャビネットGの中間支持板G1に載置した際には、キャビネットGの背面壁G3、並びに、スクリーン装置Cの右側板C2、左側板C3及び背板C4により空間GSが画定されることになる。すなわち、背面壁G3と背板C4との間には隙間が確保される。これにより、中継基板CKを背板C4の背面に設けたとしても、この空間GSにより中継基板CKがキャビネットGの背面壁G3に干渉することを防止することができる。
また、中間支持板G1における、空間GSに面する位置には、貫通穴G11が形成されている(図5参照)。この貫通穴G11は、その開口が、上面視において中継基板CKを囲むように形成されている。そして、中継基板CKは、キャビネットGの下部空間に収容される機器(後述するサブ制御装置SS等)からの配線が接続されるコネクタCK1を、貫通穴G11に臨ませるように配設している。これにより、表示ユニットAの中継基板CKと、キャビネットGの下部空間に収容される機器との電気的な接続は、下部空間に収容される機器からの配線を、貫通穴G11に挿通させてコネクタCK1に接続することで行うことが可能となる。
このように中継基板CKは、スクリーン装置Cの外側に配置されることによって、配線作業が容易化されているとともに、スクリーン装置C内に中継基板CK用の設置スペースを確保することを不要にし、スクリーン装置C内の設計の自由度を拡大させている。また、中継基板CKから発生する熱を、キャビネットGの背面壁G3に形成された通気穴G3a(図2参照)を介して機外に排出することが容易となる。
また、キャビネットGの上部空間に配置される中継基板CKと、キャビネットGの下部空間に収容された機器とを接続する配線は、中間支持板G1の後方部に形成された貫通穴G11を通ることになるため、キャビネットG内の各種機器の後方に配線を配することが容易となる。その結果として、配線の取り回しの自由度を高めることができる。
なお、中継基板CKは、キャビネットG内の後方部に配置されることになるため、中継基板CKに対して光が届きにくく、その結果、中継基板CKのコネクタCK1への配線の接続作業が困難となる場合もあり得る。そこで、キャビネットGの下部空間に収容された機器からの配線の中継基板CKへの接続を容易にするために、中継基板CKのコネクタCK1が、貫通穴G11を通って中間支持板G1よりも下方に突出するように構成されていてもよい。また、コネクタCK1の色を、光の反射率が高い色(例えば、白色)にしていてもよい。
以上説明したように、固定スクリーン機構D、右可動体ベースC5及び左可動体ベースC6は、底板C1に位置決め配置されている。リールスクリーン駆動機構F2の駆動モータF24は、右側板C2に位置決め配置され、フロントスクリーン駆動機構E2のギア軸E21a、及びシャフト部材E3は、右側板C2及び左側板C3に位置決め配置されている。そして、中継基板CKは、背板C4に対して位置決め配置されている。以上のように、固定スクリーン機構D、スクリーン駆動機構F2,E2、及び中継基板CKは、それぞれ、底板C1、側板C2,C3、背板C4のうちの一つの板に位置決め配置されており、且つ互いに異なる板に位置決め配置されている。したがって、表示ユニットA全体では、遊技機1の機種間で共通化が図れない場合でも、板単位では、機種間で共通化を図ることができる。その結果として、機種毎にそれぞれ表示ユニットを製造する場合と比べて、安価に表示ユニットを製造することが可能となる。
また、スクリーン筐体C10の各板C1〜C4は、ネジ締結により連結されているため、ネジを緩めることで、各板C1〜C4同士の連結を解除することができる。つまり、スクリーン筐体C10は、各板C1〜C4を交換可能に組み立てられている。これにより、表示ユニットの機能部品を板単位で交換することが可能となるため、表示ユニットAの交換対象外の機能部品を再利用しつつ、表示ユニットAの仕様を変更することが可能となる。
また、図13及び図20に示すように、右可動体ベースC5は、右フロントスクリーン駆動機構E2B及びリールスクリーン駆動機構F2より左内側に配置される。また、左可動体ベースC6は、左フロントスクリーン駆動機構E2Aよりも右内側に配置される。その結果として、装飾部材である、右可動体ベースC5及び左可動体ベースC6により、これら駆動機構E2,F2を遊技者から目視し難くすることができる。その結果、遊技機1の美観を向上させることができる。また、底板C1には、右可動体ベースC5及び左可動体ベースC6を配置するための凹部が形成されているため、これらを容易に底板C1に位置決め配置することが可能となる。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:スクリーン位置関係)
図16に示すように、固定スクリーン機構Dは、照射光の照射方向に存在する固定露出位置に固定状態で設けられている。図17に示すように、フロントスクリーン機構E1は、フロント露出位置とフロント待機位置との間を回動可能に設けられている。固定露出位置とフロント露出位置との位置関係は、フロント露出位置が照射光の照射方向であって且つ固定露出位置よりも前方に存在するように設定されている。これにより、フロントスクリーン機構E1がフロント露出位置に移動した場合は、フロントスクリーン機構E1が固定スクリーン機構Dを前方から覆い隠した状態にすることによって、照射光による映像をフロントスクリーン機構E1だけに出現可能にしている。フロントスクリーン機構E1がフロント待機位置に移動した場合は、固定スクリーン機構Dを露出させることによって、照射光による映像を固定スクリーン機構Dに出現可能にしている。つまり、フロントスクリーン機構E1がフロント露出位置に配置されると、フロントスクリーン機構E1がプロジェクタ装置B2の投影対象となる。これに対して、フロントスクリーン機構E1がフロント待機位置に配置されると、固定スクリーン機構Dがプロジェクタ装置B2の投影対象となる。
図18に示すように、リールスクリーン機構F1は、リール露出位置とリール待機位置との間を回動可能に設けられている。リール露出位置と固定露出位置との位置関係は、リール露出位置が照射光の照射方向であって且つ固定露出位置よりも前方に存在するように設定されている。これにより、リールスクリーン機構F1がリール露出位置に移動した場合は、リールスクリーン機構F1が固定スクリーン機構Dを前方から覆い隠した状態にすることによって、照射光による映像をリールスクリーン機構F1だけに出現可能にしている。リールスクリーン機構F1がリール待機位置に移動した場合は、固定スクリーン機構Dを露出させることによって、照射光による映像を固定スクリーン機構Dに出現可能にしている。つまり、リールスクリーン機構F1がリール露出位置に配置されると、リールスクリーン機構F1がプロジェクタ装置B2の投影対象となる。これに対して、リールスクリーン機構F1がフロント待機位置に配置されると、固定スクリーン機構Dがプロジェクタ装置B2の投影対象となる。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:固定スクリーン機構D)
図13及び図14に示すように、固定スクリーン機構Dは、スクリーン筐体C10の底板C1上にネジ締結により固定されている。固定スクリーン機構Dは、正面反射部D1、右面反射部D2、左面反射部D3、及び下面反射部D4を有している。これらの反射部D1〜D4の反射面は、照射ユニットBからの照射光が投影される投影面であり、照射ユニットBからの照射光の光軸に対してそれぞれ異なる角度に設定されている。
なお、固定スクリーン機構Dは、照射光の光軸に対して複数の異なる角度の反射面を有する構成であれば、例えば2面や3面、5面の反射部を有してもよいし、あるいは、光軸に対して連続的に異なる角度となる、曲率中心点が前面側に位置する湾曲状や円弧状の反射面の反射部を備えていてもよい。
上記の正面反射部D1は、反射面が前側の遊技者に対して対向配置されており、固定スクリーン機構Dの前方上部に配置された照射ユニットBからの反射光の大部分を前方に反射するように設定されている。右面反射部D2及び左面反射部D3は、正面反射部D1の右辺部及び左辺部に接合されており、正面反射部D1を中心として左右対称に配置されている。右面反射部D2及び左面反射部D3は、正面反射部D1における左右方向の幅よりも前端部間の幅が拡大するように配置されている。これにより、右面反射部D2及び左面反射部D3は、反射面に対する照射光の反射方向が正面反射部D1方向に向かい易くなることによって、照射光による映像を出現させながら照射光の一部を正面反射部D1方向に反射するようになっている。また、下面反射部D4についても、反射面に対する照射光の反射方向が正面反射部D1方向に向かい易くなることによって、照射光による映像を出現させながら照射光の一部を正面反射部D1方向に反射するようになっている。
上記の固定スクリーン機構Dは、反射面の明度がフロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の各反射面の明度よりも低く設定されている。すなわち、固定スクリーン機構Dは、照射光が反射面を反射する光量が、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の反射面を反射する光量よりも少なくされている。これにより、固定スクリーン機構Dは、反射部D1〜D4の乱反射による光の混合による白ぼけが防止されている。なお、固定スクリーン機構Dは、正面反射部D1の明度よりも他の反射部D2,D3,D4の明度が低くされていてもよい。この場合には、他の反射部D2,D3,D4における照射光の正面反射部D1への反射を低減できるため、正面反射部D1において映像を強く出現させながら白ぼけを低減することができる。
なお、明度としては、L*a*b*表色系(L*a*b*色空間)やL*u*v*表色系(L*u*v*色空間)におけるBrightnessを採用することができるが、白を基準として、その他の色を相対値で表すことができるのであれば、どのように定義することも可能である。
固定スクリーン機構Dの反射面の明度と、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の反射面の明度とは、固定スクリーン機構Dの反射面の明度が、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の反射面の明度よりも低ければ特に限定されない。例えば、固定スクリーン機構Dの反射面の明度を、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の反射面の明度よりも、5〜25%(又は10〜20%)程度低い値とすればよい。
固定スクリーン機構Dの反射面の明度を、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の反射面の明度よりも低くするためには、固定スクリーン機構Dの基材に塗布する塗料の色を、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の基材に塗布する塗料の色よりも、黒くすればよい。例えば、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の基材に塗布する塗料として白色のものを使用し、固定スクリーン機構Dの基材に塗布する塗料としては、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の基材に塗布する塗料に対して黒色顔料が添加されたものを使用すればよい。
このような塗料において、白色顔料(例えば、酸化チタン)と黒色顔料(例えば、カーボンブラック)との割合を異ならせることによって、スクリーン機構の反射面の明度を変化させることができる。例えば、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の基材に塗布する塗料には、白色顔料と黒色顔料とのうち白色顔料のみが含まれ、固定スクリーン機構Dの基材に塗布する塗料には、白色顔料と黒色顔料の双方が含まれるようにしてもよい。また、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の基材に塗布する塗料よりも、固定スクリーン機構Dに塗布する塗料の方が、白色顔料に対する黒色顔料の割合が(例えば、5〜25%(又は10〜20%)程度)高くなるようにしてもよい。なお、これらのスクリーン機構の基材に塗布する塗料としては、従来公知のスクリーン用塗料を適宜採用することができ、スクリーンの型(例えば、拡散型や反射型)に応じて調整することができる。
なお、固定スクリーン機構Dの基材に塗布する塗料に黒色顔料を含ませるのではなく、固定スクリーン機構Dの基材を成形する前に、当該基材の材料となる樹脂中に黒色顔料を分散させることにより、基材自体に色を付け、基材自体の明度を低くしてもよい。
また、光の乱反射を防止するという観点からは、周囲壁(底板C1、右側板C2、左側板C3、及び、背板C4)等、スクリーン筐体C10を構成する部材やスクリーン筐体C10の内部に配置された他の部材(スクリーン以外の部材)の明度も低くすることが望ましい。それらの部材の明度は、固定スクリーン機構Dの反射面の明度よりも低いことが望ましく、例えば、周囲壁については、スクリーンとして映像が投影されることを考慮する必要がないため、明度は低ければ低いほど望ましい。すなわち、周囲壁の色は、黒に近いほど望ましい。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:フロントスクリーン機構E1)
図19に示すように、フロントスクリーン機構E1は、投影面E11aを全面に有した長方形状のフロントスクリーン部材E11と、第1模様面E12a等の模様を両面に有したフロントスクリーン支持台E12とを有している。フロントスクリーン部材E11は、薄板状の平面パネルにスクリーン塗料を塗布することにより形成されている。これにより、フロントスクリーン部材E11は、投影面E11aが平坦状に形成されている。
一方、フロントスクリーン支持台E12は、フロントスクリーン部材E11を保持する保持凹部E121を有している。保持凹部E121は、フロントスクリーン部材E11の投影面E11aに対して僅かに拡大した状態で相似する開口形状を有しており、フロントスクリーン部材E11全体を収容している。また、保持凹部E121は、深さが深部と浅部との2段階に設定されている。浅部は、フロントスクリーン支持台E12の周縁部に形成された段部E121aと、中心部を通過する短手方向の両端にかけて直線状に形成された段部E121bとで実現されている。
これにより、保持凹部E121に収容されたフロントスクリーン部材E11は、周縁部の段部E121aと中心部を通過する直線状の段部E121bとに当接及び支持され、残りの深部部分から離隔された状態にされている。この結果、深部部分におけるフロントスクリーン支持台E12の変形が、フロントスクリーン部材E11を変形させて投影面E11aに歪みを引き起こすことが防止されている。
また、フロントスクリーン支持台E12は、投影面E11aの周囲の一部領域に第1模様面E12aを有している。第1模様面E12aは、フロントスクリーン機構E1がフロント露出位置に位置されたときに、前方の遊技者から目視可能にされている。さらに、フロントスクリーン支持台E12は、第1模様面E12aとは反対側の面全体に第2模様面E12bを有している。第2模様面E12bは、フロントスクリーン機構E1がフロント待機位置に位置されたときに、前方の遊技者から目視可能にされている。これらの第1模様面E12a及び第2模様面E12bは、例えば遊技の演出に関連した模様が凹凸により立体的に形成されている。
上記のように構成されたフロントスクリーン部材E11とフロントスクリーン支持台E12とは、別個に形成された後に、接着剤で接着されることにより一体化されている。これにより、フロントスクリーン機構E1は、フロントスクリーン支持台E12に模様等を形成する際の成形収縮等によりひけが発生することがあっても、このひけがフロントスクリーン部材E11から機械的に分離した状態で発生するため、フロントスクリーン部材E11における投影面E11aのひけによる歪みの発生を防止することが可能になっている。
なお、フロントスクリーン部材E11とフロントスクリーン支持台E12との固着方法としては、接着剤での接着に限らず、ネジ締結等の任意の方法を採用することができる。
フロントスクリーン部材E11を構成する平面パネル、及び、フロントスクリーン支持台E12は、それぞれ射出成形により作製される。フロントスクリーン部材E11を構成する平面パネル、及び、フロントスクリーン支持台E12の材料としては、射出成形を行った場合にひけが発生し得る熱可塑性樹脂(例えば、ABS樹脂等)を適宜採用することができる。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:フロントスクリーン駆動機構E2)
上記のフロントスクリーン機構E1は、フロントスクリーン駆動機構E2の駆動力により回動可能にされている。図13及び図14に示すように、フロントスクリーン駆動機構E2は、フロントスクリーン機構E1の左端部下面に連結された左フロントスクリーン駆動機構E2Aと、フロントスクリーン機構E1の右端部下面に連結された右フロントスクリーン駆動機構E2Bとを有している。
図17に示すように、フロントスクリーン機構E1は、フロント待機位置に配置されたとき(待機姿勢のとき)において、後方の端部から前方の端部に向けて上り傾斜となるように、構成されている。このフロントスクリーン機構E1の傾斜は、多孔板B15の傾斜部B15b、及び、プロジェクタ装置B2の下面B2aにおける傾斜面B2a1と略平行である。
以上のように、フロント待機位置に配置されたときにフロントスクリーン機構E1の姿勢を、その後方の端部から前方の端部に向けて上り傾斜となる傾斜姿勢にすることで、水平面と平行な姿勢とした場合と比べて、照射ユニットBにより照射された照射光がフロントスクリーン機構E1により妨げられることを抑制することができる。これにより、フロント待機位置に配置されたときのフロントスクリーン機構E1の上下方向位置を、固定スクリーン機構Dに対して近づけることができる。その結果として、表示ユニットAの限られたスペース内においても、フロントスクリーン機構E1を大型化することができる。加えて、上述したように、プロジェクタ装置B2の下面B2aは、傾斜面B2a1を有しているため、フロント待機位置に配置されたときのフロントスクリーン機構E1の上下方向位置を、プロジェクタ装置B2に対して近づけることができる。その結果として、フロントスクリーン機構E1をさらに大型化することができる。
図14に示すように、右フロントスクリーン駆動機構E2Bは、クランク部材E22とクランクギアE21と中間ギアE23とモータ軸ギアE24と駆動モータE25とを有している。右フロントスクリーン駆動機構E2Bにおけるクランク部材E22は、その上端部(一端部)が、フロントスクリーン機構E1の右端部背面において、フロント露出位置に配置されたとき(露出姿勢のとき)に上部となる位置に連結されている。
クランク部材E22は、中間位置において、右可動体ベースC5(図13参照)に回動自在に軸支されている。これにより、クランク部材E22は、中間位置を回動中心として上端部及び下端部(他端部)を回動可能にしている。なお、この中間位置は、フロントスクリーン機構E1の回動中心軸と一致する。
なお、上述したように、フロントスクリーン機構E1の回動中心軸は、フロント露出位置に配置されたフロントスクリーン機構E1の中心位置よりも上方に配置されている。また、クランク部材E22は、その上端部(一端部)が、フロントスクリーン機構E1の右端部背面において、フロント露出位置に配置されたとき(露出姿勢のとき)に上部となる位置に連結されている。以上の構成により、フロントスクリーン機構E1における、フロント待機位置とフロント露出位置との間の動作範囲を小さくすることができるため、フロントスクリーン機構E1を大型化することが可能となる。
クランク部材E22の下側領域には、図示しないスライド溝が形成されている。スライド溝は、側面視U字形状となるように形成されている。このスライド溝には、スライド部材E26(図14参照)が移動自在に係合されている。すなわち、スライド部材E26は、常時、スライド溝に当接状態にされている。このスライド部材E26は、クランクギアE21の偏心位置に回転自在に軸支されている。クランクギアE21のギア軸E21aは、図13に示すように、右可動体ベースC5、及び右側板C2の第1支持部C23に回転自在に軸支されている。クランクギアE21のギア軸E21aは、フロントスクリーン機構E1が待機姿勢又は露出姿勢である場合において、ギア軸E21aと偏心位置とを結ぶ線分が、クランク部材E22の中間位置とスライド部材E26の中心点とを結ぶ線分に対して直交する関係を有するように設定されている。
これにより、フロントスクリーン機構E1が待機姿勢又は露出姿勢である場合においては、クランク部材E22の下側領域を回動させる方向に力が働いても、この力の全成分の付与方向にギア軸E21aが存在し、固定端として作用するため、スライド部材E26が移動することはない。この結果、クランク部材E22の中間位置とクランクギアE21のギア軸E21aとを固定端とし、スライド部材E26を自由端とする0自由度の三節リンクによるトラス構造が形成されるため、フロントスクリーン機構E1を手で押した場合でも、クランク部材E22及びクランクギアE21が強固なブレーキとして作用することによって、フロントスクリーン機構E1が動くことはない。
上記のクランクギアE21には、中間ギアE23が噛合されている。この中間ギアE23は、右可動体ベースC5、及び右側板C2の第2支持部C24に回動自在に軸支されている。この中間ギアE23には、モータ軸ギアE24が噛合されている。モータ軸ギアE24は、駆動モータE25の駆動軸が接続されている。これにより、右フロントスクリーン駆動機構E2Bは、駆動モータE25の回転駆動力をモータ軸ギアE24及び中間ギアE23を介してクランクギアE21に伝達可能にされている。
ここで、クランクギアE21に付与された回転駆動力の全成分は、スライド部材E26の旋回軌跡の接線方向に一致する。また、フロントスクリーン機構E1が待機姿勢又は露出姿勢である場合において、ギア軸E21aとスライド部材E26の偏心位置とを結ぶ線分が、クランク部材E22の中間位置とスライド部材E26の中心点とを結ぶ線分に対して直交する関係を有するように設定されているため、旋回軌跡の接線方向がクランク部材E22のスライド溝に平行となっている。これにより、フロントスクリーン機構E1が待機姿勢又は露出姿勢である場合において、クランクギアE21に回転駆動力が付与されると、クランクギアE21が容易に回転を開始する。
クランクギアE21に回転駆動力が付与された場合は、偏心位置に設けられたスライド部材E26がスライド溝に沿って移動自在にされているため、クランク部材E22の中間位置とクランクギアE21のギア軸E21aとを固定端とし、スライド部材E26をスライド溝に沿って移動自在の自由端にした1自由度の二節リンクが形成される。そして、スライド部材E26が回動すると、このスライド部材E26がスライド溝に沿って摺動することでクランク部材E22が中間位置を支点として回動し、クランク部材E22の上側領域を回動させることになる。この結果、フロントスクリーン機構E1がフロント待機位置及びフロント露出位置間を移動することになる。
本実施形態において、駆動モータE25は、ステッピングモータであり、中継基板CK及びサブ中継装置SNを介してサブ制御装置SSに電気的に接続されており(図34参照)、このサブ制御装置SSにより駆動制御される。なお、駆動モータE25は、中継基板CKを介して主制御基板MSに接続され、主制御基板MSにより駆動制御されるものとしてもよい。
また、フロントスクリーン機構E1の移動速度は、待機姿勢又は露出姿勢にある停止状態の0から徐々に加速し、待機姿勢及び露出姿勢間の中間姿勢において最大速度となった後、徐々に減速し、露出姿勢又は待機姿勢になったときに再び停止状態の0になる。これにより、クランクギアE21の角加速度が小さな状態(慣性モーメント)で回動を開始及び停止させることができるため、クランクギアE21に必要なトルクを小さくすることが可能になり、結果として駆動機構(中間ギアE23、モータ軸ギアE24、駆動モータE25)の過負荷による故障や消耗を低減することが可能になっている。
上記のように構成された右フロントスクリーン駆動機構E2Bは、モータ軸ギアE24と駆動モータE25とを除いて、左フロントスクリーン駆動機構E2Aと同一構成とされている。そして、左フロントスクリーン駆動機構E2Aと右フロントスクリーン駆動機構E2Bとは、左右対称に配置されている。左フロントスクリーン駆動機構E2Aの中間ギアE23と右フロントスクリーン駆動機構E2Bの中間ギアE23とは、シャフト部材E3を介して連結されている(図13参照)。
以上の構成において、駆動モータE25が駆動されると、モータ軸ギアE24が回動される。このモータ軸ギアE24の回動に伴い、左フロントスクリーン駆動機構E2A及び右フロントスクリーン駆動機構E2Bそれぞれの中間ギアE23,E23、及びシャフト部材E3が一体となって回動する。そして、この中間ギアE23,E23の回動に連動して、クランクギアE21,E21が回動されることで、フロントスクリーン機構E1が回動中心軸周りに回動して、フロント待機位置とフロント露出位置との間を移動することになる。
以上のように、左フロントスクリーン駆動機構E2A及び右フロントスクリーン駆動機構E2Bそれぞれの中間ギアE23,E23をシャフト部材E3により連結することで、駆動モータE25の回転駆動力を、2つのクランク部材E22に均等に伝達することが可能となる。したがって、これら中間ギアE23,E23がシャフト部材E3により連結されていない場合と比べて、2つのクランク部材E22の一方に、駆動負荷が集中することを防止することができる。また、駆動モータE25は、固定スクリーン機構Dの右方に配置された右フロントスクリーン駆動機構E2Bに設けられているため、固定スクリーン機構Dの配置を阻害することがない。
加えて、シャフト部材E3を、フロントスクリーン機構E1の回動軸として用いていない。このため、シャフト部材E3の配置の自由度が高まり、シャフト部材E3を固定スクリーン機構D等の別役物の配置を阻害しないように配置させることが可能となる。その結果として、フロントスクリーン機構E1の回動範囲や大きさを所望の程度に維持しつつ、別役物の配置の自由度を高めることができる。
また、シャフト部材E3が固定スクリーン機構Dよりも後方に配置されるため、固定スクリーン機構Dに投影される光がシャフト部材E3により阻害されることはない。また、フロントスクリーン機構E1の回動中心軸は、固定スクリーン機構Dの後端位置よりも前方に配置されているため、固定スクリーン機構Dの後端位置よりも後方に配置されている場合と比べて、フロントスクリーン機構E1と回動中心軸との間の長さ(クランク部材E22の長さ)を短くすることができる。このため、キャビネットG内のスペースが限られており表示ユニットAを大型化することができないときでも、フロントスクリーン機構E1の大きさを所望の程度に維持することができる。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:リールスクリーン機構F1)
図18に示すように、リールスクリーン機構F1は、湾曲形状の平板からなる。リールスクリーン機構F1は、回動方向に近似した形状に湾曲された、側面視円弧状の形状をなしている。リールスクリーン機構F1の表面は、周縁部に模様が形成されていると共に、周縁部の内周領域が投影面F1aとされている。この投影面F1aは、リールスクリーン機構F1がリール露出位置に配置されたときに、プロジェクタ装置B2からの光の照射方向上流側に凸となる円弧面である。また、リールスクリーン機構F1における、回動中心側である裏面には、模様が形成されている。この裏面の模様は、リールスクリーン機構F1がリール待機位置に位置されたときに、前方の遊技者から目視可能にされている。
リールスクリーン機構F1は、リールスクリーン駆動機構F2の駆動力により、リール待機位置とリール露出位置との間で回動可能にされている。そして、リールスクリーン機構F1がリール露出位置に位置されたときに、その投影面F1aは、照射光の照射により映像を出現可能になっている。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:リールスクリーン駆動機構F2)
図20に示すように、リールスクリーン駆動機構F2は、2つのアーム部材F21(右側図示されず)、円弧状ギアF22、モータ軸ギアF23、及び駆動モータF24を有している。2つのアーム部材F21は、その一端部がリールスクリーン機構F1の右端部背面及び左端部背面それぞれに連結されている。また、2つのアーム部材F21の他端部の外側面には、左右方向外側に向けて突出する支持軸F21a(左側図示されず)が形成されている。これら支持軸F21aは、右可動体ベースC5及び左可動体ベースC6にそれぞれ回動自在に支持されている。これにより、2つのアーム部材F21は、支持軸F21aを回動中心として回動可能となる。なお、これら支持軸F21aは、リールスクリーン機構F1の回動中心軸と一致する。
円弧状ギアF22は、右側に配置される支持軸F21aの先端部に固定されている。この円弧状ギアF22には、モータ軸ギアF23が噛合されている。モータ軸ギアF23には、駆動モータF24の駆動軸が接続されている。本実施形態において、駆動モータF24は、ステッピングモータであり、中継基板CK及びサブ中継装置SNを介してサブ制御装置SSに電気的に接続されており(図34参照)、このサブ制御装置SSにより駆動制御される。なお、駆動モータF24は、中継基板CKを介して主制御基板MSに接続され、主制御基板MSにより駆動制御されるものとしてもよい。
以上の構成において、サブ制御装置SSによる制御の下、駆動モータF24が駆動すると、モータ軸ギアF23が回動する。このモータ軸ギアF23の回動に伴い、円弧状ギアF22が回動する。そして、この円弧状ギアF22の回動に連動して、アーム部材F21が回動されることで、リールスクリーン機構F1が回動中心軸周りに回動して、リール待機位置とリール露出位置との間を動作することになる。
(表示ユニットA:スクリーン装置C:センサ機構CS)
上述したように、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1それぞれの動作範囲は、互いに一部が重複している(図17及び図18参照)。また、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1は、それぞれ異なる駆動機構E2,F2により駆動される。つまり、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1それぞれの駆動は、連動(同期)していない。このためスクリーン機構E1,F1同士の干渉(接触)を防ぐには、スクリーン機構E1,F1それぞれの位置を把握しておく必要がある。そこで、本実施形態において、サブ制御装置SS(図34参照)は、フロント待機位置を原点位置として、この原点位置からの駆動モータE25のステップ数に基づいて、フロントスクリーン機構E1の位置を把握している。同様にして、リール待機位置を原点位置として、この原点位置からの駆動モータF24のステップ数に基づいて、リールスクリーン機構F1の位置を把握している。
しかしながら、フロントスクリーン機構E1やリールスクリーン機構F1の動作が正常に行われていない場合や、電源遮断中に手動でフロントスクリーン機構E1やリールスクリーン機構F1が動かされてしまった場合、サブ制御装置SSは、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1の正確な位置を把握することができない。このような状況でフロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1を動作させると、これらが干渉し合う可能性がある。
そこで、本実施形態において、スクリーン装置Cは、フロントスクリーン機構E1及びリールスクリーン機構F1それぞれの位置を検出するための図示しないセンサ機構を備えている。そして、サブ制御装置SSは、センサ機構からの検出結果に基づき、これらスクリーン機構E1,F1を原点位置(待機位置)に復帰させる復帰動作を実行する。
例えば、上述したように、フロント待機位置及びリール待機位置それぞれは、スクリーン機構E1,F1の動作範囲における重複範囲に配置されているため、フロントスクリーン機構E1がフロント露出位置に配置されているときには、リールスクリーン機構F1がリール露出位置に配置されない。このため、センサ機構が、フロントスクリーンがフロント露出位置に存在することを検出している場合には、リールスクリーン機構F1がリール露出位置に存在しないことを示している。
(スクリーンの表面加工)
次に、スクリーンの表面加工について説明する。固定スクリーン機構Dの正面反射部D1、右面反射部D2、左面反射部D3、及び下面反射部D4、フロントスクリーン部材E11の投影面E11a、並びにリールスクリーン機構F1の投影面F1aといった投影対象のスクリーン等には、適度な性能を実現するためにシボ加工が施される。シボ加工は、表面にシボ(しわ模様)が形成される加工のことである。投影対象のスクリーン等は、シボ加工がされている金型を用いて成型され、これによって投影対象のスクリーン等の表面にしわ模様が形成される。このような表面のしわ模様によって、光源の映り込みを効果的に防止でき、さらに、良好な投射映像の映りを実現することができる。
シボ加工には、「梨地」と呼ばれる模様が含まれ、本実施形態においては、例えば、平均深さが25μm〜30μm程度で、抜け勾配が3%以上である梨地のパターン(梨地No.5)が好ましい。
また、スクリーン等の表面加工としては、適度な性能を実現するために2層塗装が施される。2層塗装は、特性の異なる塗料がそれぞれ上下に(2層に)塗装されることを意味する。例えば、下塗りには、高反射性を有する高輝度塗料(例えば、金属調塗料の「超高輝度シルバー」である2P−600シルバー)を用い、上塗りには、艶消し塗料(例えば、「艶消し白」であるHG−650白)を用いることができる。また、HG−650白に、5%程度の艶消し剤(シリカ)を添加するようにもできる。
このような塗装において、上塗りの膜厚は、例えば、22〜23μmであり、下塗りの膜厚は、例えば、1μm前後である。このような塗装により、グロス60°での光沢度は、4〜5となる。
なお、2P−600シルバーは、アルミ顔料に蒸着アルミを使用し、塗膜中のアルミ顔料の重量濃度(PWC)が20〜30%と、一般シルバーの塗料より高く設定されており、より高い光沢値(反射性能)を示す。また、HG−650白の組成は、樹脂が20〜30%、酸化チタンが30〜40%、艶消し剤であるシリカが5〜10%、添加剤が0.5〜2%、及び溶剤が30〜40%である。
この他、上塗り塗料として、HG−650白に艶消し剤として様々な平均粒径を持つガラス系又は樹脂系のビーズを所定割合だけ添加した塗料や、当該ビーズに加えてシリカを添加した塗料を用いることもできる。また、HG−650Fクリヤーや、HG−650Fクリヤーに艶消し剤として様々な平均粒径を持つビーズを所定割合だけ添加した塗料を用いることもできる。膜厚についても、例えば、16〜23μmまでといったように、様々に調整可能である。なお、HG−650Fクリヤーの組成は、樹脂が20〜30%、艶消し剤であるシリカが2〜5%、添加剤が0.5〜2%、及び溶剤が60〜70%である。
また、他の下塗り塗料として、HG−650白や、HG−650白に艶消し剤として様々な平均粒径を持つガラス系又は樹脂系のビーズを所定割合だけ添加した塗料を用いることもできる。また、膜厚についても、例えば、1〜21μmまでといったように、様々に調整可能である。
上述のように、投影対象のスクリーン等をシボ加工によって形成したり、2層塗装を施したりすることにより、光源の映り込みを効果的に防止することができ、さらに良好な投射映像の映りを実現することができる。また、シボ加工がされたスクリーンや役物等に対して、上述した2層塗装を施すこともできる。また、投影対象となるスクリーン等の素材は、例えば黒色又は白色のABS樹脂や透明のポリカーボネート樹脂であるが、これらに限られるものではない。
(表示ユニットA:照射ユニットB:プロジェクタ装置B2の電気的及び光学的構成)
図21に示すように、プロジェクタ装置B2は、電気的な構成要素として、プロジェクタ制御基板B23、光学機構B24、及び中継基板CKを備えている。プロジェクタ装置B2には、中継基板CKを介して後述するサブ制御装置SS(図34参照)が接続される。サブ制御装置SSは、スクリーンや役物の演出動作に応じて、プロジェクタ制御基板B23を制御し、光学機構B24を介して、スクリーンや役物に照射光を投影することにより、視覚的な演出として映像を表示する。また、表示ユニットAの組み立て工程等においては、プロジェクタ装置B2の中継基板CKに調整用PC(パーソナルコンピュータ)1000が接続される。この調整用PC(パーソナルコンピュータ)1000は、プロジェクタ装置B2により投影される照射光の位置調整やピント初期設定を行うために用いられる(詳細については後述する)。なお、本実施形態においては、プロジェクタ装置B2の調整機器として調整用PC1000を採用しているが、プロジェクタ装置B2の調整機器としては、調整用プログラム(アプリケーションソフト)がインストールされたタブレットPCやいわゆるスマートフォン、あるいは専用の端末装置であってもよい。
プロジェクタ制御基板B23は、制御LSI230、EEPROM(登録商標)231、DLP(登録商標)制御回路232、及びLEDドライバ233を備える。図33に示すように、光学機構B24は、レンズユニットB21の周辺に配置される構成要素として、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を発するLED光源240R,240G,240B、DMD241、レンズユニットB21の投射レンズ210についてフォーカス調整を行うためのフォーカス機構242等を備える。
制御LSI230は、サブ制御装置SSの指令に基づいて、照射光を投影するようにDLP制御回路232を制御する。制御LSI230は、サブ制御装置SSの指令に基づいて、フォーカス機構242を制御して投射レンズ210を光軸方向に移動させることにより、照射光の投影に際してフォーカス調整を行う。EEPROM231には、制御LSI230による制御プログラムやプロジェクタ装置B2の設定・調整に関わるデータが記憶されている。
プロジェクタ装置B2のDLPシステムは、主として、DLP制御回路232、LEDドライバ233、並びに光学機構B24のLED光源240R,240G,240B及びDMD241により構成される。
DMD241は、半導体チップの主面上に、表示解像度に応じたピクセル相当のミラーを集積したものである。DMD241は、各ミラーの直下にあるメモリー素子の静電界作用により、主面に対して各ミラーが対角線に沿う軸周りに+10°又は−10°傾くように構成されたものである。このような構成により、DMD241の各ミラーは、ON状態(所定方向に光を反射する状態)とOFF状態(所定方向外に光を反射する状態)とに切り換えられる。すなわち、DMD241の各ミラーは、ON状態のとき、LED光源240R,240G,240Bから図示しないダイクロイックミラー等を介して入射した光を、再びダイクロイックミラー等を介してレンズユニットB21へと導く一方、OFF状態のとき、LED光源240R,240G,240Bからダイクロイックミラー等を介して入射した光をレンズユニットB21以外の方向に向けて反射する。
DLP制御回路232は、LED光源240R,240G,240Bを駆動するLEDドライバ233を制御し、LED光源240R,240G,240BからのRGB各色の光を図示しないダイクロイックミラー等を介して時分割方式でDMD241に入射させる。このとき、DLP制御回路232は、投影する映像に応じて、どのタイミングでどのピクセルに対応したミラーをON状態又はOFF状態とするか、すなわち、RGB各色の光のうちどの色の光をどのタイミングで所定方向に反射させるかを判定し、DMD241の各ミラーのON・OFF状態を制御する。
このようなDLP制御回路232の制御により、DMD241で所定方向に反射した光は、レンズユニットB21へと進み、投射レンズ210を透過することでミラー機構B3に入射し、最終的にミラー機構B3で反射することによって投影対象へと導かれる。これにより、投影対象となるスクリーンや役物に対して照射光が投影され、演出に応じた映像が形成される。
本実施形態において、プロジェクタ装置B2は、いわゆるDLPプロジェクタとして構成される。また、プロジェクタ装置B2は、ミラー機構B3によって照射光を折り返すことにより投影対象までの投影距離を稼ぐとともに、例えばコントラスト比を1000:1とすることによって、照射光の投影距離をできるだけ短くするようにしている。これにより、プロジェクタ装置B2を備えた表示ユニットAは、より安価かつ小型に構成されるとともに、遊技機1のキャビネットGにおける限られたスペースに対して容易に搭載される。
(表示ユニットA:照射ユニットB:プロジェクタ装置B2の機械的構成)
図22及び図23に示すように、プロジェクタ装置B2は、外装となる構成要素として、ケースB22、レンズユニットカバーB222、アンダーカバーB223、上側台座B220、及び下側台座B221を有する。ケースB22の前部開口B22kには、レンズユニットカバーB222が取り付けられる。ケースB22の下面には、アンダーカバーB223が覆うように配置される。アンダーカバーB223は、ステーB223aを介して下側台座B221に支持されるとともに、ケースB22の下面適部にも固定される。プロジェクタ装置B2は、上側台座B220及び下側台座B221を介してプロジェクタカバーB1の上壁部B12(図8参照)の下面に取り付けられる。本実施形態では、上壁部B12の下面に上側台座B220が固定されるとともに、ケースB22の上面開口を覆うようにその上端部に対して下側台座B221が取り付けられ、上側台座B220の下面に下側台座B221が連結される。このようなプロジェクタ装置B2の取り付け調整手順については後述する。
図23、図24、及び図33に示すように、プロジェクタ装置B2は、内部の構成要素として、レンズユニットB21、LED光源240R,240G,240Bを搭載したLED基板240Ra,240Ga,240Ba、DMD241を搭載したDMD基板241a、複数のヒートシンク243R,243G,243B,243D、吸気用ファン244A,244B、排気用ファン245、及びプロジェクタ制御基板B23を有する。ケースB22には、レンズユニットカバーB222でレンズユニットB21の投射レンズ210が覆われつつレンズユニットB21が収容されるとともに、LED基板240Ra,240Ga,240Ba、DMD基板241a、複数のヒートシンク243R,243G,243B,243D、吸気用ファン244A,244B、排気用ファン245が収容される。プロジェクタ制御基板B23は、ケースB22の下面に固定される。
レンズユニットB21は、図示しないダイクロイックミラーや反射板等を収容する光学ケースB21a、投射レンズ210を含むレンズ群210A、レンズ群210Aを保持しつつ光学ケースB21aの前部に設けられるレンズホルダB21b、及びレンズホルダB21bの一部を光軸方向(前後方向)に移動可能とするように光学ケースB21aの前部右側に設けられるフォーカス機構242を有する。光学ケースB21aには、LED光源240R,240G,240BやDMD241を外部から内部へと臨ませる開口が設けられている。レンズホルダB21bは、後側部分が光学ケースB21aの前部に固定される一方、この後側部分に対して前側部分がフォーカス機構242によって前後方向(光軸方向)に相対移動させられ、前側部分に投射レンズ210が保持されている。レンズホルダB21bの前側部分及び投射レンズ210は、レンズユニットカバーB222に覆われる。レンズユニットカバーB222には、投射レンズ210からの照射光を透過する透光面B222aが設けられており、投射レンズ210から出射した光は、透光面B222aを透過してミラー機構B3へと進む。
LED基板240Raは、ケースB22内において、光学ケースB21aの後部右側に隣接するように配置され、光学ケースB21aの内部にLED光源240Rを臨ませている。LED基板240Gaは、ケースB22内において、光学ケースB21aの後部奥側に隣接するように配置され、光学ケースB21aの内部にLED光源240Gを臨ませている。LED基板240Baは、ケースB22内において、光学ケースB21aの後部左側に隣接するように配置され、光学ケースB21aの内部にLED光源240Bを臨ませている。DMD基板241aは、ケースB22内において、光学ケースB21aの左側面に隣接するように配置され、光学ケースB21aの内部にDMD241を臨ませている。ここで、本実施形態において、LED光源240R,240G,240B、及びDMD241の発熱特性としては、LED光源240G及びLED光源240Bが相対的に高い傾向を示す一方、LED光源240R及びDMD241が相対的に低い傾向を示すようになっている。
図24(a)に示すように、レンズホルダB21bの右側には、フォーカス機構242が配置され、レンズホルダB21bの前部には、投射レンズ210が配置される。レンズホルダB21bの前部は、フォーカス機構242によって投射レンズ210の光軸方向に移動可能とされる。フォーカス機構242は、その詳細について省略するが、ステッピングモータ、リードスクリュー、キャリッジ等を備え、レンズホルダB21bの前部を光軸方向に移動可能に構成されている。
すなわち、投射レンズ210は、レンズホルダB21bの前部と一体になってフォーカス機構242により移動可能とされ、図24(a)に示すように、光軸方向に沿って後側から前側に向かって、又は、前側から後側に向かって移動する。
図24(a)に示すように、LED光源240R,240G,240Bからの光は、図示しないコリメータやダイクロイックミラー等を介してDMD241に達し、このDMD241で反射した後、ダイクロイックミラー等でレンズ群210Aへと導かれ、最終的に投射レンズ210を通って出射する。
投射レンズ210は、上述の通り、光軸方向に移動するよう構成される。その結果、フォーカス調整が行われ、移動により位置を変えたスクリーンや役物に対して、ピントの合った鮮明な映像が映し出される。
このようなプロジェクタ装置B2は、サブ制御装置SSから演出等の映像に係る映像データが送信され、スクリーンや役物に映像を投影するようにサブ制御装置SSによって制御される。一方、サブ制御装置SSは、スクリーン駆動機構E2,F2を制御することにより、スクリーン機構E1,F1を演出内容に応じて移動させる。
ここで、サブ制御装置SSは、演出によるスクリーン機構E1,F1の移動に応じてプロジェクタ装置B2を制御し、移動したスクリーン機構E1,F1の投影面E11a,F1aや固定スクリーン機構Dの投影面に、映像が鮮明に投影されるようにフォーカス調整を行う。
ヒートシンク243Rは、ケースB22内の右側に配置され、LED基板240Raの背面に部分的に接触している。ヒートシンク243Gは、ケースB22内の後側に配置され、LED基板240Gaの背面に部分的に接触している。ヒートシンク243Bは、ケースB22内の中央に配置され、LED基板240Baの背面に部分的に接触している。ヒートシンク243Dは、ケースB22内の左側に配置され、DMD基板241aの背面に部分的に接触している。ここで、本実施形態において、ヒートシンク243R,243G,243B,243Dのフィン外形サイズとしては、ヒートシンク243R及びヒートシンク243Gが相対的に大きい一方、ヒートシンク243B及びヒートシンク243Dが相対的に小さくなっている。これらのヒートシンク243R,243G,243B,243Dは、LED基板240Ra,240Ga,240Ba及びDMD基板241aそれぞれにおいて発生した熱を空気中に放散することにより、光学特性を大きく変化させるまで光学素子や基板の温度を上昇させないように効率よく放熱する。放熱部材であるヒートシンク243R,243G,243B,243Dは、放熱効果を高めるために導熱性の高いアルミニウム素材が用いられ、空気との接触面積を大きくするために複数の放熱フィンを有している。
吸気用ファン244Aは、ケースB22の右側前部の背面に近接するように配置され、ヒートシンク243Rに近接している。吸気用ファン244Bは、ケースB22の左側部の背面に近接するように配置され、ヒートシンク243Dに近接している。排気用ファン245は、ケースB22の後部の背面に近接するように配置され、ヒートシンク243Gに近接している。
ここで、図31及び図32に示すように、吸気用ファン244Aが近接するケースB22の右側前部には、吸気口B22Aが設けられており、吸気口B22Aに対向してヒートシンク243Rが近接するケースB22の右側後部には、排気口B22Eが設けられている。吸気用ファン244Bが近接するケースB22の左側部の一部には、吸気口B22Bが設けられており、この吸気口B22Bと並ぶようにケースB22の左側部の他の部分には、ケースB22内の空きスペースSを通じて3つのヒートシンク243G,243B,243Dまで空気が達するように吸気口B22Cが設けられている。排気用ファン245が近接するケースB22の後部には、排気口B22Dが設けられている。
すなわち、図33に示すように、プロジェクタ装置B2のケースB22内においては、吸気口B22Aから吸気用ファン244Aによって強制的に吸気された後、ヒートシンク243Rから熱を奪いつつ排気口B22Eから排気される空気の流れとして空気流路P1が形成される。また、ケースB22内においては、吸気口B22Bから吸気用ファン244Bによって強制的に吸気された後、ヒートシンク243D、ヒートシンク243B、及びヒートシンク243Gから熱を奪いつつ排気口B22Dから排気用ファン45によって強制的に排気される空気の流れとして空気流路P2が形成される。さらに、ケースB22内においては、吸気口B22Cから吸気された後、主としてヒートシンク243Gやヒートシンク243Bから熱を奪いつつ排気口B22Dから排気用ファン45によって強制的に排気される空気の流れとして空気流路P3が形成される。
プロジェクタ制御基板B23は、アンダーカバーB223で覆われつつケースB22の下面に取り付けられる。プロジェクタ制御基板B23には、制御LSI230、EEPROM231、DLP制御回路232、及びLEDドライバ233等が搭載されている。プロジェクタ制御基板B23は、ケースB22内に配置されたLED基板240Ra,240Ga,240Ba及びDMD基板241a、さらにフォーカス機構242と電気的に接続される。
(表示ユニットA:照射ユニットB:プロジェクタ装置B2の位置・姿勢調整)
図25〜27に示すように、上側台座B220は、プロジェクタカバーB1の上壁部B12(図6及び図8参照)に固定される板金部材であり、矩形状の本体部2200、本体部2200の左右両側を下方及び外方に折り曲げることで形成され、本体部2200と段差を有して左右両側に延出する左端部2201a及び右端部2201b、並びに本体部2200の後側から後方へと部分的に延出する後端部2202を有する。本体部2200及び後端部2202には、下側台座B221を連結するための3つの連結孔2200Aが設けられている。これら3つの連結孔2200Aは、本体部2200に沿う平面内(水平面内)において同一直線上に位置しないように配置されている。左端部2201a及び右端部2201bのそれぞれには、上壁部B12の下面にネジ締結によって固定するための複数の角孔2201cが設けられている。本実施形態において、角孔2201cは、左端部2201a及び右端部2201bのそれぞれに3つずつ配置され、前後方向に等間隔に設けられている。角孔2201cの縦横内径寸法は、これに挿入して締結される取付ネジT(図28参照)のネジ軸径よりも大きくなっている。
下側台座B221は、上側台座B220の本体部2200及び後端部2202に概ね対応する板金部材である。下側台座B221には、3つの連結孔2200Aに対応して上向きに突出するように3つの連結ネジ部2210が一体形成されている。これら3つの連結ネジ部2210も、下側台座B221に沿う平面内(水平面内)において同一直線上に位置しないように配置されている。下側台座B221は、連結ネジ部2210のそれぞれにコイルバネ2211を外嵌しつつ連結ネジ部2210の先端を連結孔2200Aに挿通し、本体部2200や後端部2202との間にコイルバネ2211を挟んだ状態としつつ、上側台座B220の上面側から連結ネジ部2210の先端にワッシャー2212を介してナット2213を締結することにより、上側台座B220の下面に懸架された状態で連結される。また、図23に示すように、下側台座B221には、ケースB22をネジ止めするための複数のネジ孔2214、及びステーB223aをネジ止めするための複数のネジ孔2215が設けられている。下側台座B221は、ケースB22やステーB223aを介してアンダーカバーB223を支持した状態で上側台座B220の下面に連結される。
すなわち、図23及び図25〜27に示すように、上側台座B220と下側台座B221とは、3箇所の連結部R1,R2,R3のそれぞれにおいて互いの間隔を調整可能に連結される。連結部R1,R2,R3のそれぞれは、上側台座B220の連結孔2200A、並びに下側台座B221の連結ネジ部2210、コイルバネ2211、ワッシャー2212、及びナット2213により構成される。
このような上側台座B220及び下側台座B221を用いることにより、プロジェクタ装置B2は、プロジェクタカバーB1の上壁部B12に対して位置決め調整かつ光軸調整可能に取り付けられる。
図28は、プロジェクタカバーB1の上壁部B12に対する上側台座B220の取付形態を示したものである。図28(a)の下図は、上側台座B220の角孔2201cに対して取付ネジTが挿入・締結された状態を示す図であり、図28(a)の上図は、図28(a)の下図に示すB−B’線に沿う断面図である。なお、図28は、上側台座B220の左端部2201aに形成された角孔2201cの周辺を示すが、左端部2201a及び右端部2201bにおけるその余の角孔2201cの周辺も同様である。
図28(a)に示すように、角孔2201cには、下方から取付ネジTが挿入されるとともに、角孔2201cのほぼ中央に取付ネジTが配置される。取付ネジTは、上壁部B12の上面及び左端部2201aの下面に添うように配置されたワッシャーWを介して、上壁部B12の上面側に位置するナットNと螺結される。これにより、上側台座B220の左端部2201aは、プロジェクタカバーB1の上壁部B12に対してネジ止めにより取り付けられる。上側台座B220の右端部2201bも、プロジェクタカバーB1の上壁部B12に対して同様のネジ止めにより取り付けられる。
ここで、図28(a)において符号Aで示す斜線部分は、取付ネジTのネジ軸と角孔2201cとの間に形成される隙間である。図28(a)では、取付ネジTのネジ軸が、角孔2201cのほぼ中央に配置され固定されている。このとき、取付ネジTのネジ軸は、符号Aの斜線部分の範囲(調整範囲)のなかで移動可能となる。すなわち、取付ネジTの角孔2201cに対する相対位置を、角孔2201cの開口範囲内において微調整することにより、上側台座B220の左端部2201aをプロジェクタカバーB1の上壁部B12に対して位置決め調整することができる。同様に、上側台座B220の右端部2201bも、プロジェクタカバーB1の上壁部B12に対して位置決め調整することができる。
図28(b)は、図28(a)に対して上側台座B220の左端部2201aを矢印Eの方向にずらした状態を示している。図28(b)の上図は、図28(b)の下図に示すD−D’線に沿う断面図である。この図28(b)に示す状態では、取付ネジTのネジ軸が角孔2201cの開口範囲内において相対的に左寄りに偏位さられ、符号Cに示す斜線部分の範囲(調整範囲)のなかで移動可能になっている。
このように、上側台座B220は、角孔2201cの開口範囲となる所定の調整範囲のなかで位置決め調整されつつ、プロジェクタカバーB1の上壁部B12に対して取り付けられる。すなわち、プロジェクタ装置B2は、上側台座B220の左端部2201a及び右端部2201bに設けられた複数の角孔2201cにより、上壁部B12に対する取り付け位置が左右方向及び前後方向に調整される。これにより、プロジェクタ装置B2から照射される光の方向は、基準方向として、左右方向に垂直で前後方向に一致するように容易に調整される。
図29は、上側台座B220に対する下側台座B221の連結構造を示したものである。図29は、連結部R2において、連結孔2200A、連結ネジ部2210、コイルバネ2211、ワッシャー2212、及びナット2213により、下側台座B221が上側台座B220に連結されている状態を示す断面図である。なお、図29は、1箇所の連結部R2を示すが、その余の連結部R1,R3も同様である。
下側台座B221の連結ネジ部2210は、上側台座B220の本体部2200の下面側から連結孔2200Aに挿入され、本体部2200の上面側に配置されたワッシャー2212を介してナット2213に螺結される。連結ネジ部2210には、コイルバネ2211が外嵌されており、このコイルバネ2211は、連結孔2200Aの周縁部において本体部2200の下面と下側台座B221の上面との間に狭持される。このようなコイルバネ2211により、上側台座B220と下側台座B221との連結部R2付近の部分は、互いに離反する方向(上下方向)に付勢されるので、連結ネジ部2210とナット2213との螺合部分における緩み防止が図られる。
このような連結部R2においては、ナット2213を締め付ける方向あるいは緩める方向に適宜回すことにより、コイルバネ2211で付勢されつつも上側台座B220と下側台座B221との間隔が変化させられる。具体的には、ナット2213を締め付ける方向に回すと、連結R2における上側台座B220と下側台座B221との間隔が狭められることとなる。このとき、上側台座B220は、図29において図示しない上壁部B12に固定されている。そのため、下側台座B221の連結部R2付近の部分は、ナット2213を適宜締め付けることで上側台座B220に対して近づく方向に変位し、より上位へと高さ位置が調整されることとなる。一方、ナット2213を緩める方向に回すと、連結R2における上側台座B220と下側台座B221との間隔が拡大されることとなる。すなわち、下側台座B221の連結部R2付近の部分は、ナット2213を適宜緩めることで上側台座B220に対して遠ざかる方向に変位し、より下位へと高さ位置が調整されることとなる。
他の連結部R1,R3においても、上記と同様にナット2213の締め付け量を適宜調整することにより、下側台座B221の連結部R1,R3付近の高さ位置を容易に調整することができる。このような連結部R1,R2,R3は、上側台座B220や下側台座B221に沿う平面内(水平面内)において同一直線上に位置しないように、具体的には互いに結んだ線が三角形をなすように配置されている。すなわち、下側台座B221は、3箇所の連結部R1,R2,R3のそれぞれにおいてナット2213の締め付け量により高さ位置を微調整することができるので、下側台座B221の姿勢を、前後方向、左右方向、及び上下方向のいずれ方向に対しても3次元空間内における傾き具合を調整することができる。
このような下側台座B221の姿勢調整は、下側台座B221に支持されたプロジェクタ装置B2からスクリーン等に対して光を照射しながら行われる。その際、スクリーン等には、照射光により映像が投影され、その映像を確認しながら下側台座B221の姿勢が調整される。これにより、プロジェクタ装置B2から照射される光の光軸方向は、スクリーン等の表面に適切な表示態様で映像が映し出されるように調整される。すなわち、光軸方向については、下側台座B221の姿勢調整により、映像の表示態様としていわゆる台形ひずみ等が生じないように前もって調整することができる。
図30に示すように、光軸方向の調整等は、プロジェクタ装置B2に接続された調整用PC1000を用いて行われる。上側台座B220及び下側台座B221を介して上壁部B12に取り付けられたプロジェクタ装置B2は、工場での検査時等において、光軸方向の調整のほか、スクリーン等に対する表示映像のチェックが行われ、映像を投影表示するために必要な各種の調整が実施される。調整用PC1000は、調整作業に際して一時的にプロジェクタ装置B2の中継基板CKに接続される(図21参照)。調整用PC1000を操作すると、調整用PC1000から送信される所定のコマンドにより、プロジェクタ装置B2における照射光の投影位置やフォーカス調整等に関する光学パラメータが変更される。このようにして適切に調整された投影位置や光学パラメータは、水平方向及び垂直方向の調整値データとして、プロジェクタ装置B2のEEPROM231に記憶される(図21参照)。EEPROM231に記憶された水平方向及び垂直方向の調整値データは、工場出荷後の搬送等のためにプロジェクタ装置B2への電源供給が行われず、遊技機1が遊技場に設置された場合でも、そのまま使用することができる。
図28〜30を参照して上述したことから明らかなように、プロジェクタ装置B2は、主に上側台座B220の上壁部B12に対する取り付け位置に応じて左右方向及び前後方向に位置決めされるとともに、下側台座B221の3次元空間内における姿勢に応じて光軸方向が調整される。
なお、本実施形態においては、上側台座B220と下側台座B221とを互いに連結するための連結部を3箇所に設けたが、少なくとも3箇所が同一直線上にないという条件を満たせば、4箇所以上に連結部を設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、上側台座B220に連結孔2200Aを設けるとともに、下側台座B221に連結ネジ部2210を設けているが、これらの連結孔や連結ネジ部を上下反対に設けてもよい。連結ネジ部は、本実施形態のように台座と一体に形成されたものに限らず、一方の台座に対して固定可能なものであればよい。例えば、連結ネジ部としては、下側台座を貫通して固定されるボルトでもよい。
(表示ユニットA:照射ユニットB:プロジェクタ装置B2の吸排気構造)
図31〜33に示すように、プロジェクタ装置B2のケースB22には、3つの吸気口B22A,B22B,B22Cが設けられているとともに、2つの排気口B22D,B22Eが設けられている。3つの吸気口B22A,B22B,B22Cのうち、2つの吸気口B22A,B22Bには、吸気用ファン244A,244Bが設けられる一方、1つの吸気口B22Cには、吸気用ファンが設けられない。また、2つの排気口B22D,B22Eのうち、一方の排気口B22Dには、排気用ファン245が設けられる一方、他方の排気口B22Eには、排気用ファンが設けられない。
吸気口B22Aにおいては、吸気用ファン244AによってケースB22内に強制的に空気が取り入れられ、この空気の流れが空気流路P1としてヒートシンク243Rを通ることでヒートシンク243Rから熱を奪う。その後、空気流路P1は、ヒートシンク243Rから排気口B22Eへと直線的に流れ、排気口B22EからケースB22外へと自然に排出(排熱)される。
吸気口B22Bにおいても、吸気用ファン244BによってケースB22内に強制的に空気が取り入れられる。この空気の流れは、空気流路P2として空きスペースSの一部を通りつつ複数のヒートシンク243D,243B,243Gを通ることにより、これら複数のヒートシンク243D,243B,243Gから熱を奪う。その後、空気流路P2は、排気用ファン245に引き込まれることで排気口B22Dの方へと曲がるように流れ、排気口B22DからケースB22外へと強制的に排出(排熱)される。
吸気口B22Cにおいては、主として排気用ファン245の引き込み力によってケースB22内に半強制的に空気が取り入れられる。この空気の流れは、空気流路P3として空きスペースSの相当部分を通りつつ主にヒートシンク243B,243Gを通ることにより、これら複数のヒートシンク243B,243Gから熱を奪う。その後、空気流路P3も、排気用ファン245に引き込まれることで排気口B22Dの方へと曲がるように流れ、空気流路P2と合流しつつ排気口B22DからケースB22外へと強制的に排出(排熱)される。この吸気用ファン244A,244B及び排気用ファン245は、プロジェクタ装置B2の冷却装置として機能する。
本実施形態においては、先述したように、LED光源240G,240Bが相対的に高い発熱特性を示す一方、LED光源240R及びDMD241が相対的に低い発熱特性を示す。発熱特性が高いLED光源240G,240Bが搭載されたLED基板240Ga,240Baは、複数の空気流路P2,P3が通るヒートシンク243G,243Bに熱的に接触している。
ここで、複数の空気流路P2,P3は、別々の吸気口B22B,B22Cから流入しつつも一の排気口B22Dで合流し、この排気口B22Dを共通通気口として排気口B22Dから流出するようになっている。これにより、複数の空気流路P2,P3は、合流しつつ強制的に排出されることでスムーズな流れとなり、複数のヒートシンク243G,243Bに対しても効率よく熱を奪い取って冷却することができる。
また、複数の空気流路P2,P3は、排気用ファン245によって効率よく強制的に排出されるので、プロジェクタ装置B2内のLED光源240G,240BやDMD241といった複数の光学素子による熱だまりを効果的に解消することができ、レンズ等の光学部品の過熱を防ぐことができる。
さらに、一の排気口B22Dに通じる2つの空気流路P2,P3によってそれより多い3つのヒートシンク243D,243B,243Gが冷却されるので、これらのヒートシンク243D,243B,243Gに対応して設けられたDMD241やLED光源240B,240Gといった複数の光学素子をより効率よく冷却することができる。
なお、本実施形態では、2つの空気流路P2,P3が一の排気口245で合流するようになっているが、例えば空気流路P1も排気口245にて合流させることにより、3つ以上の空気流路をまとめて一の排気口から排出させるようにしてもよい。
(キャビネットG)
図34に示すように、キャビネットGの上部空間には、表示ユニットAが設けられている。また、キャビネットGの下部空間の底部には、電源装置DE及びホッパ機構HPが設けられており、電源装置DE及びホッパ機構HPの背面側(キャビネットGの背面壁G3側)に、サブ制御装置SSが設けられている。すなわち、ホッパ機構HPは、サブ制御装置SSよりも手前側に配置されている。ホッパ機構HPとサブ制御装置SSとの間には、板金BKが設置されている。また、サブ制御装置SSと中間支持板G1との間には、サブ中継装置SNが設けられている。ホッパ機構HPの上方には、外部から金属製のメダルが補給されるメダル補給機構MH(補給口に相当)が設けられており、メダル補給機構MHから、ホッパ機構HPにメダルが投下される。
本実施形態において、板金BKは、サブ制御装置SSとは当接していない。なお、板金BKは、サブ制御装置SSの底部に直接取り付けられていてもよい。また、中間支持板G1の下面に着脱自在に取り付けられた薄板状のサブ中継装置SNと、キャビネットGの背面壁G3に着脱自在に取り付けられた薄板状のサブ制御装置SSとは、側面視でL字を逆さまにしたような状態で配置されている。
上記構成によれば、サブ制御装置SSとホッパ機構HPとの間に板金BKを設けているため、例え、メダルがホッパ機構HPに投下されサブ制御装置SS側へ飛び出したとしても、板金BKによってメダルがサブ制御装置SSに物理的に接触することを防止することができる。また、サブ制御装置SSとホッパ機構HPとの間に板金BKを設けているため、ホッパ機構HPにおける金属製のメダル同士の接触による輻射(電磁場)の影響も板金BKによって防止することができる。また、サブ制御装置SSは、キャビネットGの下部空間の奥側に設けられ、背面壁G3と板金BKによって挟み込まれているため、サブ制御装置SSは、板金BKを外さなければ、キャビネットGから外すことができない。これにより、サブ制御装置SSに対するセキュリティ性を高めている。
(下ドア機構DD:下部扉ロック機構G51)
図35に示すように、下部扉ロック機構G51は、下ドア機構DDの裏面壁における右端部に固定された被係止部G511と、キャビネットGの右端部に固定された係止部G512と、シリンダー錠G513とを有している。
被係止部G511は、凹形状をした枠G511cの両端に亘って形成された棒状の、2つの被係止棒G511a,G511bを上部及び下部に有している。
係止部G512は、長尺の筒G5122と、筒G5122の中を上下方向に摺動自在に配置された長尺の係止板G5121を有している。
係止板G5121は、被係止棒G511a,G511bに係止する爪形状をした爪部G5121a,G5121bを有している。爪部G5121a,G5121bは、係止板G5121の摺動に伴い、筒G5122の中を上下方向に摺動することにより、筒G5122に設けられた開口部G5122a,G5122bに挿入された被係止棒G511a,G511bに対して係止したり、係止が解除されたりする。また、係止板G5121は、上方向に付勢されるバネを有している。
爪部G5121a,G5121bは、係止板G5121が下ドア機構DDをロックする高さ位置であるときに被係止棒G511a,G511bに対して係止する一方、係止板G5121が下ドア機構DDをロックする高さ位置からロックを解除する高さ位置に下降されたときに、被係止棒G511a,G511bに対する係止が解除されるように設定されている。また、爪部G5121a,G5121bは、先端面が斜め下方向に傾斜されており、被係止棒G511a,G511bとの当接により押し下げられるようになっている。
係止部G512は、図示しないが、中部において引下げ部を有している。引下げ部は、シリンダー錠G513に鍵が挿入され、回転されるのに伴い、係止板G5121を下方に引き下げ可能にしている。これにより、係止板G5121の引き下げに従って下降することによって、爪部G5121a,G5121bと被係止棒G511a,G511bとの係止が解除可能にされている。
(上ドア機構DU:上部扉ロック機構G52)
上部扉ロック機構G52は、図35に示すように、上ドア機構DUの裏面壁における右端部に固定された被係止部G521と、キャビネットGの右端部に固定された係止部G522とを有している。
被係止部G521は、凹形状をした枠G521cの両端に亘って形成された棒状の、2つの被係止棒G521a,G521bを上部及び下部に有している。
係止部G522は、長尺の筒G5222と、筒G5222の中を上下方向に摺動自在に配置された長尺の係止板G5221を有している。
係止板G5221は、被係止棒G521a,G521bに係止する爪形状をした爪部G5221a,G5221bを有している。爪部G5221a,G5221bは、係止板G5221の摺動に伴い、筒G5222の中を上下方向に摺動することにより、筒G5222に設けられた開口部G5222a,G5222bに挿入された被係止棒G521a,G521bに対して係止したり、係止が解除されたりする。
爪部G5221a,G5221bは、係止板G5221が上ドア機構DUをロックする高さ位置であるときに被係止棒G521a,G521bに対して係止する一方、係止板G5221が上ドア機構DUをロックする高さ位置からロックを解除する高さ位置に下降されたときに、被係止棒G521a,G521bに対する係止が解除されるように設定されている。また、爪部G5221a,G5221bは、先端面が斜め下方向に傾斜されており、被係止棒G521a,G521bとの当接により押し下げられるようになっている。
係止部G522の筒G5222には、上ドア機構DUの下方に開口部(図示略)が形成されており、係止板G5221に設けられた突起部(図示略)が、開口部を介してキャビネットGの内部側に突出している。この突起部を下方に引き下げることにより、係止板G5221が下降し、これに伴い爪部G5221a,G5221bと被係止棒G521a,G521bとの係止が解除可能にされている。
ここで、突起部は、上方にスライドされ、係止板G5221が上ドア機構DUをロックする高さ位置である状態のときに、下ドア機構DDの上部に当接するように配置される。
上記構成によれば、下ドア機構DDが閉まった状態では、下ドア機構DDの上部が突起部に物理的に干渉することにより、係止板G5221が摺動するのを制止し、爪部G5221a,G5221bと被係止棒G521a,G521bとの係止を解除できないようにすることができ、上ドア機構DUの開放をできないように施錠することが可能となる。
一方、下ドア機構DDが開いた状態では、下ドア機構DDの上部の突起部に対する物理的な干渉が解除されるため、係止板G5221が筒G5222の中を摺動可能となり、爪部G5221a,G5221bの被係止棒G521a,G521bに対する係止が解除され、上ドア機構DUのキャビネットGに対する施錠を解除することができる。
これにより、上ドア機構DUの施錠を解除するには、先に、下部扉ロック機構G51によって下ドア機構DDの施錠解除操作が必要となる。すなわち、上ドア機構DUを開けるには、下部扉ロック機構G51に対して施錠解除操作を行い、下ドア機構DDを開けた後、上部扉ロック機構G52に対する施錠解除操作が必要とされるので、キャビネットGの上部空間に対するセキュリティを高めることができる。また、キャビネットGの上部空間に対しては、キャビネットGの下部空間よりもセキュリティを高めることができ、キャビネットGの下部空間に対しては、キャビネットGの上部空間に比べて、スムーズにアクセスができる場所にすることができる。
また、下ドア機構DDの施錠を解除するためには、鍵によってシリンダー錠G513を開錠する必要がある。遊技機1の管理者にとって、鍵は、コンパクトで持ち運びに適しているため、管理し易いという利点がある。
また、係止板G5221の摺動により、爪部G5221a,G5221bが、被係止棒G521a,G521bに引っ掛かったり、引っ掛かりが解除されたりする。これにより、係止板G5221の摺動に連動させた、上ドア機構DUのキャビネットGの上部空間に対する施錠が可能となる。
また、上部扉ロック機構G52は、軸支された端部とは反対側の端部に設けられ、上ドア機構DUが開閉される側に配置されるため、上部扉ロック機構G52を開錠するために、下ドア機構DDを大きく開けなくて済む。これにより、上ドア機構DUを開錠するために、不必要にキャビネットGの下部空間を、外部に晒さずに済み、セキュリティ性を高めることができる。
なお、本実施形態において、下ドア機構DDとキャビネットGとの間には、下ドア機構DDが閉まる方向に所定のトルクがかかるワンウェイヒンジを採用している。これにより、下ドア機構DDを閉める際には、トルクがかかり、急激な負荷をかけずに静かに下ドア機構DDをキャビネットGに対して閉めることができる。これにより、下ドア機構DDによって物理的に干渉される突出部B131に対しては、急激な負荷がかかることを防止することができる。
(下部扉DD1、リールユニットRU、及び、主制御基板MSの関係性)
図36に示すように、遊技機1の下ドア機構DDは、下部扉DD1と、リールユニットRUと、主制御基板MSとを含む構成である。
下部扉DD1は、キャビネットG(筐体に相当)に対して開閉自在に設けられている。図36に示すように、リールユニットRUは、下部扉DD1の背面側(キャビネットGの内部側(下部空間側))に、着脱可能に設けられている。主制御基板MSは、リールユニットRUの背面側(キャビネットGの内部側(下部空間側))に、着脱可能に設けられている。
なお、主制御基板MSは、スタートレバーDD6、及び、ストップボタンDD7L,DD7C,DD7R等(図3参照)により出力された指令信号に基づいて、リールユニットRUのリールRL,RC,RRの回転を停止させることにより、リールRL,RC,RRに配された図柄を停止表示させる。
上記のような、下部扉DD1、リールユニットRU、及び、主制御基板MSの位置的関係性によって、下部扉DD1、リールユニットRU、及び、主制御基板MSを一体化することにより、遊技機1の組み立て・部品交換・分解する際の作業を容易に行うことができる。
また、主制御基板MSは、遊技を制御する重要な構成であり、不正な取り外しを防止する対策が必要であるが、主制御基板MSは、リールユニットRUと一体化されているため、その取り外しを困難にすることができる。
また、主制御基板MSは、下部扉DD1の内部側に設けられたリールユニットRUの背面に設けられている。これにより、主制御基板MSは、下部扉DD1及びリールユニットRUの厚み分だけ、下部扉DD1から遠いキャビネットGの奥側に配置することができる。このため、下部扉DD1と主制御基板MSとの間に物理的な距離を確保することができ、例え下部扉DD1の隙間から不正侵入された場合であっても、主制御基板MSへの到達が困難になり、セキュリティ性を向上させることができる。
また、下部扉DD1、リールユニットRU、及び、主制御基板MSは、一体化されているため、遊技機1の仕様を変更する場合、下部扉DD1の外装の変更、リールユニットRUのリールの図柄の変更、及び、遊技内容の変更を、まとめて行うことができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に係るパチスロ機に限定されるものではなく、例えばいわゆるパチンコ機に適用してもよい。
以上、本発明の実施形態に係る遊技機1について説明した。上述した実施形態に係る遊技機1は、基本的に、以下の特徴及び作用効果を有することを付記として開示する。
[付記A−1]
照射光により映像を投影する投影装置(例えば、プロジェクタ装置B2)と、
前記投影装置により投影された映像を表示可能な複数の投影面(例えば、反射部D1〜D4の反射面、投影面E11a、投影面F1a)と、
前記複数の投影面のうち少なくとも一の投影面を可動投影面(例えば、投影面E11a、投影面F1a)として変位させる駆動機構(例えば、フロントスクリーン駆動機構E2、リールスクリーン駆動機構F2)と、
前記投影装置の上方に位置する上壁(例えば、上壁部B12)と、を備え、
前記複数の投影面は、表面加工が施され、
前記駆動機構は、前記投影装置に対して前記可動投影面を相対的に変位させるように構成されており、
前記投影装置と前記上壁との間には、上側台座(例えば、上側台座B220)及び下側台座(例えば、下側台座B221)が設けられ、
前記上側台座は、前記上壁に対して面内位置を調整可能に取り付けられるとともに、前記下側台座は、前記投影装置を支持しつつ、前記上側台座に対して3箇所以上で間隔を調整可能に取り付けられることを特徴とする。
このような構成によれば、プロジェクタ装置B2に対して可動部位となる投影面E11a及び投影面F1aを相対的に変位させつつ、当該投影面E11a,F1aや反射部D1〜D4の反射面といった複数のスクリーン面に対して映像を投影させることにより、これらのスクリーン面において立体的かつ動的に映像が表示されるので、スクリーン面における立体的な視覚効果や動的な視覚効果を高めることができる。
また、プロジェクタ装置B2は、上壁部B12に対する上側台座B220の面内位置を適宜調整することにより、この上側台座B220を介して上壁部B12の適正な位置に取り付けられるとともに、そうして上壁部B12に位置決めされた上側台座B220に対して下側台座B221の上下間隔を3箇所以上の連結部R1,R2,R3で適宜調整することにより、この下側台座B221を介して支持される姿勢が適正となるように取り付けられる。したがって、プロジェクタ装置B2の面内配置位置及び空間内姿勢を上側台座B220及び下側台座B221を用いて簡単に調整することができ、ひいては映像視覚効果の高い高品位な映像を複数の投影面に映し出すことができる。
[付記A−2]
前記上側台座及び前記下側台座は、同一直線上にない3箇所以上の複数の連結部(例えば、連結部R1,R2,R3)で互いに連結され、
前記複数の連結部のそれぞれには、
前記上側台座及び前記下側台座のうちの一方から突出するとともに他方を貫通してネジ締結される連結ネジ部(例えば、連結ネジ部2210)と、
前記連結ネジ部に外嵌されるとともに前記上側台座と前記下側台座との間に配置されるコイルバネ(例えば、コイルバネ2211)と、が設けられることを特徴とする。
このような構成によれば、上側台座B220と下側台座B221とは、同一直線上にない3以上の連結部R1,R2,R3における互いの間隔が、連結ネジ部2210のネジ締結量を加減するだけで個別に調整可能とされるとともに、コイルバネ2211の弾性付勢力により調整後の間隔が一定に保たれるので、空間内の互いに直交する前後方向、左右方向、上下方向の3軸方向に対してプロジェクタ装置B2の各姿勢を微調整することができ、例えば上下方向、左右方向、前後方向のいずれの方向にもプロジェクタ装置B2を適正な姿勢で保持することができる。
[付記A−3]
前記投影装置、前記複数の投影面、前記駆動機構、及び前記上壁は、遊技機の適部(例えば、キャビネットG内の上部空間)に対して着脱自在な表示ユニット(例えば、表示ユニットA)として一体化されていることを特徴とする。
このような構成によれば、例えば遊技機本体となるキャビネットGに装着する前の表示ユニットA単位で、複数のスクリーン面に対するプロジェクタ装置B2の位置や姿勢を、上側台座B220及び下側台座B221を介して調整するだけでよいので、その調整作業をより簡単に行うことができるとともに、遊技機1自体の組み立て作業とは別に行うことができ、遊技機1の組み立て作業を効率的に行うことができる。
[付記B−1]
照射光により映像を投影するための複数の光学素子(例えば、LED光源240R,240G,240B、DMD241)を有する投影装置(例えば、プロジェクタ装置B2)と、
前記投影装置により投影された映像を表示可能な複数の投影面(例えば、反射部D1〜D4の反射面、投影面E11a、投影面F1a)と、
前記複数の投影面のうち少なくとも一の投影面を可動投影面(例えば、投影面E11a、投影面F1a)として変位させる駆動機構(例えば、フロントスクリーン駆動機構E2、リールスクリーン駆動機構F2)と、を備え、
前記駆動機構は、前記投影装置に対して前記可動投影面を相対的に変位させるように構成されており、
前記投影装置は、
複数の通気口(例えば、吸気口B22A,B22B,B22C、排気口B22D,B22E)と、
前記複数の通気口のいずれかに付設される複数の冷却装置(例えば、吸気用ファン244A,244B、排気用ファン245)と、
前記複数の光学素子で発生した熱を放散させるための複数の放熱部材(例えば、ヒートシンク243R,243G,243B,243D)と、を有し、
前記複数の通気口における一の通気口(例えば、吸気口B22A,B22B,B22C)から前記複数の放熱部材のうち少なくとも一の放熱部材を通って他の通気口(例えば、排気口B22D,B22E)へと至る空気流路(例えば、空気流路P1,P2,P3)が複数形成され、
前記複数の空気流路のうち少なくとも2つの空気流路(例えば、空気流路P2,P3)は、前記複数の通気口のうちいずれか一の通気口(例えば、排気口B22D)を共通通気口としてこれに通じていることを特徴とする。
このような構成によれば、プロジェクタ装置B2に対して可動部位となる投影面E11a及び投影面F1aを相対的に変位させつつ、当該投影面E11a,F1aや反射部D1〜D4の反射面といった複数のスクリーン面に対して映像を投影させることにより、これらのスクリーン面において立体的かつ動的に映像が表示されるので、スクリーン面における立体的な視覚効果や動的な視覚効果を高めることができる。
また、プロジェクタ装置B2においては、吸気口B22A,B22Bや排気口B22Dに付設される吸気用ファン244A,244B及び排気用ファン245と、LED光源240R,240G,240BやDMD241といった複数の光学素子に対応する複数のヒートシンク243R,243G,243B,243Dとが設けられるとともに、吸気口B22A,B22B,B22Cからヒートシンク243R,243G,243B,243Dを通って排気口B22D,B22Eへと至る複数の空気流路P1,P2,P3が形成され、そのうち2つの空気流路P2,P3が一の共通通気口となる排気口B22Dに通じ、この排気口B22Dから排出されるようになっている。
これにより、少なくとも2つの空気流路P2,P3が排気口B22Dを通じて合流することで空気の流れがスムーズとなり、光学素子で発生した熱がヒートシンク243G,243B,243Dから空気流路P2,P3を通じて排気口B22Dの外部へと効率よく運び去られるので、相対的に発熱特性が高いLED光源240G,240Bであっても効率よく冷却することができ、ひいてはレンズ等といった他の光学部品への熱的な影響を低減することができる。したがって、遊技機1によれば、光学素子や光学部品の過熱を効果的に防ぐことで光学素子や光学部品の過熱による損耗を低減することができ、ひいては映像視覚効果の高い高品位な映像を長期間に渡って映し出すことができる。
[付記B−2]
前記複数の冷却装置はファンであって、当該複数の冷却装置には、排気用ファン(例えば、排気用ファン245)が含まれ、
前記排気用ファンは、前記共通通気口に付設されることを特徴とする。
このような構成によれば、複数の空気流路P2,P3が共通通気口となる排気口B22Dにて合流することによっても、排気用ファン245によって効率よく排気(排熱)されるので、プロジェクタ装置B2内の複数の光学素子による熱だまりを効果的に解消することができる。
[付記B−3]
前記共通通気口に通じる少なくとも一の前記空気流路(例えば、空気流路P2)は、前記複数の放熱部材のうち少なくとも2つの放熱部材(例えば、ヒートシンク243D,243B,243G)を通るように形成されることを特徴とする。
このような構成によれば、共通通気口の排気口B22Dに通じる複数の空気流路P2,P3によってそれより多い数のヒートシンク243D,243B,243Gが冷却されるので、複数のヒートシンク243D,243B,243Gに対応するDMD241やLED光源240B,240Gといった複数の光学素子をより効率よく冷却することができる。
[付記B−4]
前記投影装置、前記複数の投影面、及び前記駆動機構は、遊技機の適部(例えば、キャビネットG内の上部空間)に対して着脱自在な表示ユニット(例えば、表示ユニットA)として一体化されていることを特徴とする。
このような構成によれば、遊技機本体となるキャビネットGに装着する前の表示ユニットA単位で、複数のスクリーン面に対するプロジェクタ装置B2の位置や姿勢を調整するだけでよいので、その調整作業をより簡単に行うことができるとともに、遊技機1自体の組み立て作業とは別に行うことができ、遊技機1の組み立て作業を効率的に行うことができる。