JP6691564B2 - 内燃機関の吸気通路 - Google Patents

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Description

本発明は、吸気通路が主流路とタンブル流路とに仕切られた内燃機関の吸気構造に関する。
内燃機関の吸気通路において、吸気通路が高負荷用通路(主流路)と低負荷用通路(タンブル流路)とに仕切られ、低負荷用通路を二つに分割した通路とし、バルブガイドボスの突起を避けて吸気バルブステムの上流側で高負荷用通路に合流する構造が、例えば下記特許文献1に示されている。
しかし、下記特許文献1の構造では、流路断面の小さい吸気ポートの幅内で低負荷用通路(タンブル流路)を二つに分割するため、流路断面がさらに減少し吸入空気量が低下する。また、バルブガイドボスを避けるように低負荷用通路を高負荷用通路に接続すると構造が複雑となり、製造上の制約を受け易くなる。
特開平11−210479号公報(図1〜図6)
本発明は、上記従来技術に鑑みなされたものであって、タンブル流路と、タンブル流路を除く主流路とに吸気流れ方向に沿って仕切られ、タンブル流路は二つの分割タンブル流路に分岐する内燃機関の吸気通路において、タンブル流路の流路断面が大きく取れて、タンブル流路を流れる吸入空気量の低下が防止され、分割タンブル流路と主流路との接続が簡易な構造となる内燃機関の吸気通路を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、
スロットル弁より下流側で、仕切部により、通った吸気が前記燃焼室内でタンブル過流を発生するように構成されたタンブル流路と同タンブル流路を除く主流路とに吸気流れ方向に沿って仕切られ、前記タンブル流路は、下流側に向けて二つの分割タンブル流路に分岐する分岐部を有する内燃機関の吸気通路において、
前記二つの分割タンブル流路は、前記主流路よりカム軸線方向外側に偏位し、吸気バルブステム軸線視で、前記二つの分割タンブル流路の最大幅は、前記主流路の幅よりも大きく形成され、前記分割タンブル流路の下流側は、前記主流路のカム軸線方向外側に接続されてなり、前記各分割タンブル流路は、吸気バルブステム軸線視で、湾曲形状であり、前記分割タンブル流路と前記主流路との前記接続部の中心は、吸気バルブステム軸線視で、吸気バルブステム軸線と交差しカム軸線方向と平行な仮想線上に設けられたことを特徴とする内燃機関の吸気通路である。
上記構成によれば、
タンブル流路内の吸気を燃焼室に導く際に、分割タンブル流路が、主流路より幅広くカム軸線方向外側に偏位し、吸気バルブステムを避けて主流路の外側に接続するので、タンブル流路の流路断面が大きく取れて、タンブル流路を流れる吸入空気量の低下が防止されるとともに、分割タンブル流路と主流路との接続が簡易な構造となる。
また、分割タンブル流路への分岐部と、主流路への接続部との間を滑らかに形成できて、直線形状に比べ製造が容易であり、分割タンブル流路と主流路との接続部を吸気バルブステムより排気弁寄りに設けず、接続部の中心を吸気バルブステム軸線の左右に設けても、分割タンブル流路が湾曲して形成されているので、分割タンブル流路を流れる吸気を勢いを保ったまま主流路の吸気バルブステムより排気弁寄りに流入させることができ、そのため、吸気バルブステムが干渉せず、分割タンブル流路を流れる吸気の吸入効率を向上させることができ、吸気弁口の排気弁寄りの側から燃焼室に送り込めるので、タンブル渦流を効果的に発生できる。
前記構成において、
前記タンブル流路は前記吸気通路の燃焼室側に位置し、前記主流路は前記吸気通路の燃焼室側と反対側に位置して、前記分割タンブル流路と前記主流路の接続部は、前記燃焼室に向けて屈曲した下流側の前記主流路における、カム軸線方向視でシリンダヘッドの吸気弁ステムガイドと重ならない位置に設けられてもよい。
その構成によれば、
分割タンブル流路と主流路の接続部を、シリンダヘッドの吸気弁ステムガイドと重ならない位置に設けたので、分割タンブル流路が主流路と合流する際に、分割タンブル流路の吸気が吸気弁ステムガイドで干渉されることを抑制することができる。
前記構成において、
前記分割タンブル流路への前記分岐部は、前記タンブル流路の全長の上流端から7部目以上の位置に設けられてもよい。
その構成によれば、
タンブル流路が燃焼室に近い位置で分割タンブル流路に分岐するので、流路抵抗が抑制され、吸気の吸入効率が良い。
本発明の内燃機関の吸気通路によれば、
タンブル流路内の吸気を燃焼室に導く際に、分割タンブル流路が、主流路より幅広くカム軸線方向外側に偏位し、吸気バルブステムを避けて主流路の外側に接続するので、タンブル流路の流路断面が大きく取れて、タンブル流路を流れる吸入空気量の低下が防止されるとともに、分割タンブル流路と主流路との接続が簡易な構造となる。
また、分割タンブル流路への分岐部と、主流路への接続部との間を滑らかに形成できて、直線形状に比べ製造が容易であり、分割タンブル流路と主流路との接続部を吸気バルブステムより排気弁寄りに設けず、接続部の中心を吸気バルブステム軸線の左右に設けても、分割タンブル流路が湾曲して形成されているので、分割タンブル流路を流れる吸気を勢いを保ったまま主流路の吸気バルブステムより排気弁寄りに流入させることができ、そのため、吸気バルブステムが干渉せず、分割タンブル流路を流れる吸気の吸入効率を向上させることができ、吸気弁口の排気弁寄りの側から燃焼室に送り込めるので、タンブル渦流を効果的に発生できる。
本発明の内燃機関の吸気通路を備えた一実施形態のパワーユニットを搭載した自動二輪車の右側面図である。 車体カバーを外した図1の自動二輪車の後部右側面図である。 図2のパワーユニットを取出して、図2に示すと略同じ配向により示す、パワーユニットの要部側面断面図である。 周囲の構造を省き、中に形成された空間自体を、物体のごとく図示する図であり、図3と略同じ方向から見た吸気路、吸気通路、燃焼室等の側面図である。 図4中V−V矢視の、吸気バルブステム軸線Y視による、同様の吸気通路、燃焼室等の前面図である。 周囲の構造を省き、中に形成された空間自体を、物体のごとく図示する図であり、図3と略同じ方向から見た吸気路、吸気通路、燃焼室等の側面断面図である。 図4、図6中VII−VII矢視の、吸気バルブステム軸線Y視による、同様の吸気通路、燃焼室等の前面断面図である。
図1から図7に基づき、本発明の内燃機関の吸気構造の一実施形態につき説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係る内燃機関の吸気構造を備えたパワーユニットを、車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。本実施形態において車両は小型車両であり、具体的には自動二輪車である。
ただし、スロットルボディ7の吸気路70、および吸気通路80に関しては、それらを吸気流れ方向に沿って分割する仕切部81の上方を「上」側、下方を「下」側として記載する。(図3参照)。
また、図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
図1に、本発明の内燃機関の吸気構造を備えた一実施形態のパワーユニット3を搭載した自動二輪車1の右側面を示す。
本実施形態の自動二輪車1は、いわゆるスクータ型自動二輪車であり、車体前部1Aと車体後部1Bとが、低いフロア部1Cを介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレーム2は、概ねダウンチューブ21とメインパイプ22(図2参照)とからなる。
すなわち車体前部1Aのヘッドパイプ20からダウンチューブ21が下方へ延出し、ダウンチューブ21は下端で水平に屈曲してフロア部1Cの下方を後方へ延び、図2に示されるようにその後端において車幅方向に配設された連結フレーム23を介して、左右一対のメインパイプ22が連結され、メインパイプ22は連結フレーム23から傾斜部22aをなして斜め後方に立ち上がって、途中、傾斜をゆるめるように屈曲して後方に延びている。
メインパイプ22の傾斜部22aの上方には収納ボックス11と燃料タンク12が支持されるとともに、収納ボックス11と燃料タンク12はその上方に取付けられた乗員シート13で塞がれ、収納ボックス11、燃料タンク12を含め、乗員シート13の下方は、車体カバー10で覆われている。
一方、車体前部1Aにおいては、ヘッドパイプ20に軸支されて上方にハンドル14が設けられ、下方にフロントフォーク15が延びてその下端に前輪16が軸支されている。
図2に、車体カバー10を外した自動二輪車1の後部右側面を示すように、メインパイプ22の傾斜部22aの下端付近にブラケット24が突設され、ブラケット24にリンク部材25を介してパワーユニット3が揺動可能に連結支持されている。
パワーユニット3は、その前部が単気筒4ストロークサイクルの空冷式内燃機関(以下、単に「内燃機関」という。)30であり、クランクケース部50aを構成するパワーユニットケース50の前部に、クランク軸51を車幅方向に配して回転自在に軸支し、シリンダ軸線Cを略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢にあって、パワーユニットケース50の下端から前方に突出したハンガアーム52の端部が、メインパイプ22のブラケット24に取付けられたリンク部材25を介して上下揺動自在に連結される。
パワーユニット3には、クランクケース部50aを構成するパワーユニットケース50の前部に略水平に大きく前傾して内燃機関30を構成するシリンダブロック31、シリンダヘッド32、シリンダヘッドカバー33が順次積み上げられるように締結されるほか、クランクケース部50aから左側後方にかけてベルト式無段変速機等を備えた動力伝動ケース部55が一体に延在し、その後部にパワーユニット3の出力軸である後車軸56が設けられ、後輪17が取り付けられている。
すなわち、パワーユニット3はいわゆるスイングユニットであり、パワーユニット3の後部の動力伝動ケース部55と、メインパイプ22の後部との間には図示しないリヤクッションが介装されている。
図2に示されるように、パワーユニット3の上部では、内燃機関30の大きく前傾したシリンダヘッド32の上部からインレットパイプ6が延出して後方に湾曲し、インレットパイプ6に接続されたスロットルボディ7がシリンダブロック31の上方に位置し、スロットルボディ7にコネクティングチューブ85を介して接続するエアクリーナ装置86が動力伝動ケース部55の上方に配設されている。
一方、シリンダヘッド32の下部から下方に延出した排気管38は、後方へ屈曲し右側に偏って後方に延びて後輪17の右側のマフラ39に接続される。
図3は、図2のパワーユニット3を取出して、図2に示すと略同じ配向により示す、パワーユニット3の要部側面断面図である。
パワーユニット3における内燃機関30は、シリンダブロック31、シリンダヘッド32、シリンダヘッドカバー33の左半面の断面が示され、パワーユニットケース50は、左ケース半体50Lが、図示しない右ケース半体との合わせ面50bを図示手前に向けて示される。
パワーユニットケース50は、左右割りの左ケース半体50Lと図示されない右ケース半体とを合体して構成されるもので、右ケース半体は、クランクケース部50aの右半体をなし、左ケース半体50Lは、前部がクランクケース部50aの左半体をなすとともに、後方に延設されて、クランク軸51と後輪17の後車軸56との間の前後に図示しない長尺のベルト式無段変速機と減速ギヤ機構等を含む伝動装置を収容する動力伝動ケース部55を形成する。
而して、内燃機関30のクランクケース部50aのクランク軸51の回転動力は、動力伝動ケース部55内のベルト式無段変速機と減速ギヤ機構を介して、後輪17に伝達される(図1、図2参照)。
シリンダブロック31のシリンダボア31a内を往復動するピストン34は、クランクケース部50aのクランク軸51のクランクピン51aと、コネクティングロッド35により連結されている。
シリンダブロック31のシリンダボア31a内に摺動自在に嵌合されるピストン34の頂面34aと、頂面34aが対向するシリンダヘッド32の燃焼室天井面32aとの間には燃焼室36が構成される。
本実施形態において内燃機関30は、SOHC型式の2バルブシステムを採用しており、シリンダヘッド32に動弁機構9が設けられている。動弁機構9を覆うように、シリンダヘッド32にはシリンダヘッドカバー33が重ねられて被せられる。
シリンダヘッドカバー33内の動弁機構9に動力伝達を行うため、図示しない無端状のカムチェーンが、クランクケース部50a、シリンダブロック31、シリンダヘッド32のクランク軸51方向の一方側に設けられた図示しないカムチェーン室を通って、カム軸91とクランク軸51との間に架設され、カム軸91はクランク軸51に同期して1/2の回転速度で回転する。
なお、シリンダヘッド32において前記カムチェーン室と反対側(クランク軸51方向の他方側)から燃焼室36内に向かって図示しない点火プラグが嵌挿されている。
図3に示されるように、シリンダ軸線Cを略水平に近く大きく前傾したシリンダヘッド32において、燃焼室天井面32aに開口した吸気弁口40と排気弁口41からは、各々吸気ポート42と排気ポート43が互いに上下に離れる方向に湾曲しながら延出して形成される。
吸気ポート42の上流端は、シリンダヘッド32の上方に向けて開口し、インレットパイプ6と接続して、連続した吸気通路80が構成され、インレットパイプ6の上流側に、スロットルボディ7が接続される。
排気ポート43の下流端は、シリンダヘッド32の下方に向けて開口し、排気管38(図2参照)に連結される。
シリンダヘッド32における吸気ポート42の湾曲外壁部42aに一体に円筒状の吸気弁ステムガイド44が嵌着され、吸気弁ステムガイド44に吸気バルブステム46cを摺動可能に支持された吸気弁46が、吸気ポート42の燃焼室36に臨む吸気弁口40を開閉する。
また、シリンダヘッド32における排気ポート43の湾曲外壁部43aに一体に嵌着された排気弁ステムガイド45に排気バルブステム47cを摺動可能に支持された排気弁47が、排気ポート43の燃焼室36に臨む排気弁口41を開閉する。
吸気弁46および排気弁47はその傘部46a、47aが、いずれも燃焼室36に臨む吸気弁口40、排気弁口41を閉じるように、弁ばね48により上方に付勢されているが、図3に示すように、カム軸91の吸気カム92、排気カム93に当接揺動する吸気ロッカアーム94、排気ロッカアーム95によって、吸気弁46、排気弁47のステムエンド46b、47bが押し下げられて、所定のタイミングで吸気弁46、排気弁47が開弁し、吸気ポート42と燃焼室36、また、排気ポート43と燃焼室36が連通し、所定のタイミングの吸気、排気がなされる。
以上のような本実施形態の内燃機関30において、燃焼室36でのより好ましい燃焼を得るために燃焼室36において燃料・空気混合気のタンブル渦流T、すなわち縦回転を与えるための吸気構造が構成されている。
すなわち、内燃機関30の吸気ポート42の上流端には、インシュレ−タ61を介してインレットパイプ6が接続して、インレットパイプ6の上流側に、スロットルボディ7が接続される。
スロットルボディ7は、内燃機関30の燃焼室36に連なる吸気通路80の一部を構成する断面略円形の吸気路70を有し、その上流側は、コネクティングチューブ85を介して、エアクリーナ装置86(図2参照)に接続している。
スロットルボディ7は、吸気路70の吸気流れ方向Fと垂直、すなわち吸気路70の中心軸線と垂直に交差し略水平に配向するスロットル弁軸76によってスロットルボディ7内に回転自在に軸支されて、吸気路70の通路面積を可変制御し、吸気路70を開閉し得るスロットル弁75を備えている。
スロットル弁75はバタフライ式のもので、スロットル弁軸76と、スロットル弁軸76に中央が固定され共に一体的に回転する一端部77Aと他端部77Bを備えた円盤状の弁体77とを有する。
スロットル弁75は運転者の操作等により、図3図示において時計回りに開弁方向に回動可能となっているとともに、弁体77は図示しない復帰ばねにより、回動する一端部77Aが吸気路70の内面70aに当接するとともに、回動する他端部77Bが吸気路70の内面70aに当接する全閉位置に位置するように、閉弁方向に反時計回りに付勢されている。
本実施形態では、スロットルボディ7の吸気路70は略水平に配向しており、下端側弁体が一端部77Aであり、上端側弁体が他端部77Bである
図3に示されるように、本実施形態において、吸気通路80は、インレットパイプ6から吸気ポート42へと続けて仕切部81によって、吸気流れ方向Fに沿って分割され、通った吸気が燃焼室36内でタンブル過流Tを発生するように構成されたタンブル流路80Aと、タンブル流路80Aを除く主流路80Bとに仕切られている。
本実施形態において、シリンダ軸線C方向において吸気通路80の燃焼室36側、すなわち仕切部81によって仕切られた下側部分がタンブル流路80A、吸気通路80の燃焼室36側と反対側、すなわち上側部分が主流路80Bとなる。
なお、本明細書において、吸気通路80や吸気路70、スロットル弁75についての「上、下」とは、シリンダ軸線C方向においてシリンダヘッドカバー33方向を「上」、燃焼室36方向を「下」といい、空間上の絶対的な「上、下」の意味ではない。
仕切部81は、インレットパイプ側仕切部81Aと、インシュレータ側仕切部81Bと、吸気ポート側仕切部81Cが、吸気流の上流側から下流側へと連続して位置して構成される。
上側の主流路80Bと下側のタンブル流路80Aとは、インレットパイプ6から吸気ポート42へ縦通し仕切部81により、スロットル弁75の下流側の吸気通路80を上下に区画することで画成される。
なお、仕切部81の吸気通路80幅方向の面とスロットル弁軸76とは平行である。
したがって、スロットルボディ7の吸気路70の下流側に接続するインレットパイプ6の吸気通路80のタンブル流路80Aの入口開口(本発明における「上流端」)80Aoは、スロットル弁75の一端部77Aの下流側に位置して開口し、主流路80Bの入口開口80Boは、スロットル弁75の他端部77Bの下流側に位置して開口する。
なお、インレットパイプ6には、主流路80Bに上方外部から貫通して、吸気弁口40に向けて燃料を噴射供給するように配置された燃料噴射弁87が取り付けられる。
また、図3に示されるように、シリンダヘッド32のタンブル流路80Aは、途中の分岐部82で、下流側に向けて二つの分割タンブル流路80Aaに分割され、主流路80Bよりカム軸線方向X外側に偏位する。
分割された二つの分割タンブル流路80Aaは、カム軸線方向X視でシリンダヘッド32の吸気弁ステムガイド44と重ならないように、下流側が吸気バルブステム46cを挟むように、燃焼室36に向けて屈曲した下流側の主流路80Bのカム軸線方向X外側に接続されている。図3においては、吸気流れ方向左側、図示向う側の分割タンブル流路80Aaと、その主流路80Bへの接続部83が示されている。
そのため、タンブル流路80Aを流れた吸気を、図3中小矢印が示すように、吸気弁46の傘部46aの上方を通過させたうえで、吸気弁46の排気弁47寄りの傘部46aの背面と燃焼室天井面32aとの間からシリンダボア31a内に流入させことができるので、燃焼室36内においてタンブル渦流Tが発生しやすくすることができる。そのように、タンブル流路80Aは、通過した吸気がタンブル渦流Tを発生させるように構成されている。
本実施形態では、内燃機関30の低負荷時のスロットル弁75の徐開時に吸気を多くタンブル流路80Aに導き、内燃機関30の高負荷時にはスロットル弁75の開度(スロットル開度)に応じて吸気を支障なくタンブル流路80Aと主流路80Bとに導くことを可能としている。
なお、本明細書で記載する「徐開」とは、スロットル弁全閉時から内燃機関低負荷時における所定開度までのことであり、低負荷における内燃機関の特性により任意に設定することができる。本実施形態では、スロットル弁全閉時からスロットル開度30%までの領域を想定しているが、その開度に限定されることはない。
本実施形態のスロットル弁75は、図3に示されるように、全閉位置において、一端部77Aの、吸気流れ方向Fの下流側における吸気路70の内面70aとの当接角αが鋭角であり、他端部77Bの、吸気流れ方向Fの下流側における吸気路70の内面70aとの当接角βが鈍角である。
そのような状態の全閉位置から、スロットル弁75が徐開位置になると、吸気は、吸気路70の上流側から、一端部77Aと吸気路70の内面70aとの間に形成される間隙(以下、「鋭角側間隙」という)71A、および他端部77Bと吸気路70の内面70aとの間に形成される間隙(以下、「鈍角側間隙」という)71Bを通り、吸気路70の下流側からインレットパイプ6の吸気通路80へと流れる。
鋭角側間隙71Aを通過した吸気は、強い収束する流れとして下流に向かう一方、鈍角側間隙71Bを通過した吸気は、スロットル弁軸76の下流側を含む広い負圧域に発散する流れとして広がり、その一部は逆流して、鋭角側間隙71Aを通過した収束する流れに合流する。
そこで、スロットル弁75の下流側に接続する吸気通路80に仕切部81を設置して、吸気通路80を吸気流れ方向Fに沿って仕切り、鋭角側間隙71A側、すなわちスロットル弁75の一端部77Aの下流側にタンブル流路80Aを配置し、鈍角側間隙71B側、すなわちスロットル弁75の他端部77Bの下流側に、タンブル流路80Aより断面面積が大きくスロットル弁軸76の下流側を含む主流路80Bを配置し、スロットル弁75の徐開時に、主流路80Bの逆流をタンブル流路80Aに合流させて取り込むことで、タンブル流路80Aに吸気を偏流させている。
なお、本発明において、内燃機関30の低負荷時やスロットル弁75の徐開時にタンブル流路80Aに吸気を多く導く機構は、上記の本実施形態のスロットル弁75に限定されるものではなく、スロットル弁の構造、配置、動作の異なるものでもよく、スロットル弁の他にタンブル流路へ吸気を導く別の制御弁を加えたもの等であってもよい。
何れにおいても、本発明は、吸気通路80のタンブル流路80Aの構成等に特徴を有する。
図4は、周囲の構造を省き、中に形成された空間自体を、物体のごとく図示する図であり、本実施形態の図3と略同じ方向から見た吸気路70、吸気通路80、燃焼室36等の側面図である。
なお、図3と異なり、図示上、シリンダ軸線Cを上下方向に配している。
図5は、図4中V−V矢視の、吸気バルブステム軸線Y視による、同様の吸気通路80、燃焼室36等の前面図である。
図6は、周囲の構造を省き、中に形成された空間自体を、物体のごとく図示する図であり、本実施形態の図3と略同じ方向から見た吸気路70、吸気通路80、燃焼室36等の側面断面図である。空間の断面は、ドットハッチングで示す。
なお、図3と異なり、図示上、シリンダ軸線Cを上下方向に配している。
図7は、図4、図6中VII−VII矢視の、吸気バルブステム軸線Y視による、同様の吸気通路80、燃焼室36等の前面断面図である。
以下、本実施形態のタンブル流路80Aに係る特徴を述べる。
図4、図6に示されるように、吸気通路80は、インレットパイプ6においてタンブル流路80Aと、タンブル流路80Aを除く主流路80Bとに、吸気流れ方向Fに沿って仕切られ、シリンダヘッド32に入ると、燃焼室36の手前の接続部83で、タンブル流路80Aが主流路80Bに接続する。
図7に示されるように、タンブル流路80Aは、下流側に向けて左右、二つの分割タンブル流路80Aa、80Aaに分割する分岐部82を有し、二つの分割タンブル流路80Aa、80Aaは左右の最外側が、主流路80Bよりカム軸線方向X外側に偏位しており、図5に示されるように、吸気バルブステム軸線Y視で、二つの分割タンブル流路80Aa、80Aaの最大幅Wa(左方の分割タンブル流路80Aaの左外側端と、右方の分割タンブル流路80Aaの右外側端との距離の最大値を指す)は、主流路80Bの幅Wbよりも大きい。
そして、下流に向けて二つの分割タンブル流路80Aa、80Aaが、それぞれ主流路80Bに向けて湾曲し、各分割タンブル流路80Aa、80Aaの下流側は、主流路80Bのカム軸線方向X外側に左右の接続部83で接続されている。
したがって、タンブル流路80A内の吸気を燃焼室36に導く際に、二つの分割タンブル流路80Aa、80Aaが、主流路80Bより幅広くカム軸線方向X外側に偏位し、吸気バルブステム46cを避けて主流路80Bの左右の外側に接続部83で接続するので、二つの分割タンブル流路80Aa、80Aaを1合計したタンブル流路80Aの流路断面が大きく取れて、タンブル流路80Aを流れる吸入空気量の低下が防止されるとともに、分割タンブル流路80Aa、80Aaと主流路80Bとの接続が簡易な構造となっている。
また、タンブル流路80Aは吸気通路80のうちの燃焼室36側に位置し、主流路80Bは吸気通路80のうちの燃焼室36側と反対側に位置しており、分割タンブル流路80Aa、80Aaと主流路80Bとの接続部83は、燃焼室36に向けて屈曲した下流側の主流路80Bにおける、カム軸線方向X視で、シリンダヘッド32の吸気弁ステムガイド44と重ならない位置に設けられている(図3参照)。
そのように、分割タンブル流路80Aa、80Aaと主流路80Bとの接続部83が、主流路80Bにおける左右方向で見て吸気弁ステムガイド44と重ならない位置、すなわち吸気弁ステムガイド44より下方位置の燃焼室36側に設けられたので、分割タンブル流路80Aa、80Aaが主流路80Bと合流する際に、分割タンブル流路80Aa、80Aaの吸気が吸気弁ステムガイド44によって干渉されることが抑制される。
図7に示されるように、各分割タンブル流路80Aaは、吸気バルブステム軸線Y視で、湾曲形状をしており、分割タンブル流路80Aaの分岐部82と、主流路80Bへの接続部83との間を滑らかに形成できて流路抵抗が低減し、シリンダヘッド32の鋳造時に容易に形成できるので、機械加工で流路を直線形状に形成する場合に比べ製造が容易となっている。
また、図6に示されるように、分割タンブル流路80Aaの分岐部82は、タンブル流路80Aの全長Lの上流端、すなわち入口開口80Aoから7部目(0.7L)以上の距離Laの位置に設けられており、タンブル流路80Aが燃焼室36に近い位置で分割タンブル流路80Aaに分岐するので流路抵抗が抑制され、吸気の吸入効率が良くなっている。
図6、図7に示されるように、分割タンブル流路80Aaと主流路80Bとの接続部83の中心83aは、吸気バルブステム軸線Y視で、吸気バルブステム軸線Yと交差しカム軸線方向Xと平行な仮想線A上に設けられている。
そのため、図3を参照して、分割タンブル流路80Aaと主流路80Bとの接続部83を吸気バルブステム46cより排気弁47寄りに設けずに、接続部83の中心83aを上記仮想線A上、すなわち吸気バルブステム軸線Yの左右に設けても、分割タンブル流路80Aaが湾曲して形成されているので、分割タンブル流路80Aaを流れる吸気を、その勢いを保ったまま、主流路80Bの吸気バルブステム46cよりも排気弁47寄りに流入させることができ、旧雨季に吸気バルブステム46cが干渉せず、分割タンブル流路80Aaを流れる吸気の吸入効率を向上させることができる。
そして、吸気は、吸気弁口40の排気弁47寄りの側から燃焼室36に送り込まれるので、タンブル渦流Tを効果的に発生できる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能であり、本発明の要旨の範囲で、車両、内燃機関等が、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
なお、説明の便宜上、図示の実施形態の左右配置のものについて説明したが、左右配置の異なるものであっても、発明の要旨の範囲であれば本発明に含まれる。
1…自動二輪車、2…車体フレーム、3…パワーユニット、6…インレットパイプ、7…スロットルボディ、9…動弁機構、30…内燃機関、31…シリンダブロック、31a…シリンダボア、32…シリンダヘッド、33…シリンダヘッドカバー、34…ピストン、36…燃焼室、42…吸気ポート、42a…湾曲外壁部、43…排気ポート、44…吸気弁ステムガイド、46…吸気弁、46a…傘部、46b…ステムエンド、46c…吸気バルブステム、50…パワーユニットケース、50L…左ケース半体、51…クランク軸、61…インシュレ−タ、70…吸気路、70a…内面、71A…鋭角側間隙、71B…鈍角側間隙、70…吸気路、70a…内面、71A…鋭角側間隙、71B…鈍角側間隙、75…スロットル弁、77…弁体、77A…一端部、77B…他端部、80…吸気通路、80A…タンブル流路、80Aa…分割タンブル流路、80Ao…入口開口、上流端、80B…主流路、81…仕切部、82…分岐部、83…接続部、83a…中心、91…カム軸、C…シリンダ軸線、F…吸気流れ方向、T…タンブル渦流、X…カム軸線方向、Y…吸気バルブステム軸線、A…仮想線、Wa…二つの分割タンブル流路80Aa、80Aaの最大幅、Wb…主流路80Bの幅、α…当接角(鋭角)、β…当接角(鈍角)、L…タンブル流路80Aの全長、La…分岐部82までの距離

Claims (3)

  1. スロットル弁(75)より下流側で、仕切部(81)により、通った吸気が燃焼室(36)内でタンブル過流(T)を発生するように構成されたタンブル流路(80A)と同タンブル流路(80A)を除く主流路(80B)とに吸気流れ方向(F)に沿って仕切られ、前記タンブル流路(80A)は、下流側に向けて二つの分割タンブル流路(80Aa)に分岐する分岐部(82)を有する内燃機関(30)の吸気通路(80)において、
    前記二つの分割タンブル流路(80Aa)は、前記主流路(80B)よりカム軸線方向(X)外側に偏位し、吸気バルブステム軸線(Y)視で、前記二つの分割タンブル流路(80Aa)の最大幅(Wa)は、前記主流路(80B)の幅(Wb)よりも大きく形成され、
    前記分割タンブル流路(80Aa)の下流側は、前記主流路(80B)のカム軸線方向(X)外側に接続されてなり、
    前記各分割タンブル流路(80Aa)は、吸気バルブステム軸線(Y)視で、湾曲形状であり、 前記分割タンブル流路(80Aa)と前記主流路(80B)との接続部(83)の中心(83a)は、吸気バルブステム軸線(Y)視で、吸気バルブステム軸線(Y)と交差しカム軸線方向(X)と平行な仮想線(A)上に設けられたことを特徴とする内燃機関の吸気通路。
  2. 前記タンブル流路(80A)は前記吸気通路(80)の燃焼室(36)側に位置し、前記主流路(80B)は前記吸気通路(80)の燃焼室(36)側と反対側に位置して、
    前記分割タンブル流路(80Aa)と前記主流路(80B)の前記接続部(83)は、前記燃焼室(36)に向けて屈曲した下流側の前記主流路(80B)における、カム軸線方向(X)視でシリンダヘッド(32)の吸気弁ステムガイド(44)と重ならない位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気通路
  3. 前記分割タンブル流路(80Aa)への前記分岐部(82)は、前記タンブル流路(80A)の全長の上流端(80Ao)から7部目以上の位置に設けられたことを特徴とする請求項に記載の内燃機関の吸気通路
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