JP6691397B2 - 吸気加熱装置及びガスタービン - Google Patents

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Description

本発明は、吸気加熱装置及びガスタービンに関するものである。
内燃機関の吸気流体を加熱する吸気加熱装置として、下記特許文献1には、ガスタービンの空気予熱システムが開示されている。ガスタービンを用いた発電設備等においては、定格負荷だけでなく部分負荷でも高効率を望む声が増えている。ガスタービンは、吸気温度によって出力特性が変わり、吸気温度を下げると出力が増加、吸気温度を上げると出力が減少する特徴がある。この性質を利用し、ガスタービンを部分負荷で運転する代わりに、吸気温度を上げることで、電力需要が少ない場合でもガスタービンを定格で運転することが可能となる。
特開2010−121623号公報
ところで、上記先行技術では、ガスタービン排熱を利用する排熱回収ボイラからの蒸気を、吸気流体を加熱する加熱器の熱交換流路に流通させ、吸気温度を上げている。しかしながら、ガスタービンの吸気流体の加熱量は、常に一定ではなく、発電需要や外気条件(温度、湿度、大気圧)、ガスタービン運転条件、蒸気条件等によって変化する。この場合、熱媒体である蒸気量を制御する必要があるが、熱交換流路の伝面(表面積)は一定であるため、供給する熱媒体の量によっては、表面温度にムラが生じることがある。例えば、吸気流体の加熱量が極端に少ない場合、蒸気量も少なくなるため、熱交換流路の蒸気入口付近のみ温度が高くなる等、熱交換流路の伝面の表面温度にムラが生じる。そうすると、吸気流体の温度にもムラが生じ、ガスタービンが許容する吸気温度分布を満足せず、ガスタービンを正常に運転できない場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、吸気流体の加熱量が増減しても吸気流体の温度のムラを低減できる吸気加熱装置及びガスタービンの提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、内燃機関の吸気口に接続された吸気流路と、前記吸気流路を流通する吸気流体を加熱する加熱器と、を有する吸気加熱装置であって、前記加熱器は、前記吸気流路において前記吸気流体と熱交換する熱媒体を流通させる複数の熱交換流路を有し、前記複数の熱交換流路は、第1の向きに前記熱媒体を流通させる第1の熱交換流路と、前記第1の熱交換流路とは反対の第2の向きに前記熱媒体を流通させる第2の熱交換流路と、を含む、という構成を採用する。
また、本発明においては、前記第1の熱交換流路と前記第2の熱交換流路は、交互に配置されている、ことを特徴とする、という構成を採用する。
また、本発明においては、前記複数の熱交換流路は、前記熱媒体を流通させる方向において分割されている、という構成を採用する。
また、本発明においては、前記熱媒体を流通させる方向は、前記吸気流路の断面形状の長手方向である、という構成を採用する。
また、本発明においては、前記第1の熱交換流路と前記第2の熱交換流路は、前記吸気流体が流通する方向において、交互に配置されており、前記複数の熱交換流路に対して選択的に前記熱媒体を供給可能な熱媒体供給装置と、前記吸気流体の加熱量に応じて、前記熱媒体を流通させる前記第1の熱交換流路と前記第2の熱交換流路の数を交互に増減させるように前記熱媒体供給装置を制御する制御装置と、を有する、という構成を採用する。
また、本発明においては、吸気流体を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された前記吸気流体を燃焼させる燃焼器と、前記燃焼器で生成された燃焼ガスで回転するタービンと、を有するガスタービンであって、前記コンプレッサの吸気口に、先に記載の吸気加熱装置が接続されている、という構成を採用する。
本発明によれば、吸気流体が吸気流路において、第1の向きに熱媒体を流通させる第1の熱交換流路と、第1の熱交換流路とは反対の第2の向きに熱媒体を流通させる第2の熱交換流路とによって加熱される。例えば、吸気流体の加熱量が極端に少なく、熱媒体の供給量も少ない場合は、熱交換流路の入口付近の温度が高く、熱交換流路の出口付近の温度が低くなり易いが、第1の熱交換流路と第2の熱交換流路は、熱媒体の流れが反対向きであるため、一方の出口付近の低温加熱が他方の入口付近の高温加熱によって補われ、結果として吸気流体の温度が一様になる。
したがって、本発明では、吸気流体の加熱量が増減しても吸気流体の温度のムラを低減できる。
本発明の第1実施形態における吸気加熱装置を備える発電設備の構成図である。 本発明の第1実施形態における吸気流路おける加熱器の配置を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態における加熱器の熱交換流路の構成を示す正面図である。 CFDシミュレーションで用いた吸気加熱装置の解析モデルにおける熱交換流路の配置及び熱媒体の流れを示す模式図である。 解析モデル(従来の形態)のCFDシミュレーション結果であって、(a)は吸気流路の全体に亘る温度分布を示し、(b)はガスタービンの吸気口における温度分布を示す。 解析モデル(本発明の一実施形態)のCFDシミュレーション結果であって、(a)は吸気流路の全体に亘る温度分布を示し、(b)はガスタービンの吸気口における温度分布を示す。 解析モデル(本発明の一実施形態)のCFDシミュレーション結果であって、(a)は吸気流路の全体に亘る温度分布を示し、(b)はガスタービンの吸気口における温度分布を示す。 本発明の第2実施形態における吸気加熱装置を備える発電設備の概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における吸気加熱装置30を備える発電設備1の概略構成図である。
発電設備1は、図1に示すように、ガスタービン発電機10と、排熱回収ボイラ20と、を備えるコージェネレーション発電設備である。ガスタービン発電機10は、ガスタービン11と、発電機12と、を備える。
ガスタービン11は、コンプレッサ13と、燃焼器14と、タービン15と、後述する吸気加熱装置30と、を備える。コンプレッサ13は、タービン15と同軸で接続されており、タービン15の回転によって回転し、吸気流体を圧縮して燃焼器14に供給する。コンプレッサ13の入口には、インレットガイドベーン13aが設けられており、吸気量が制御される。また、コンプレッサ13には、ブリード弁13bが設けられており、圧力が規定値を超えないように制御される。
燃焼器14は、コンプレッサ13によって圧縮された圧縮流体と、燃料とを混合して燃焼させ、燃焼ガスを生成する。タービン15は、燃焼器14において生成された燃焼ガスによって回転し、当該回転によって得られた回転エネルギーを回転軸を通じてコンプレッサ13及び発電機12に伝達する。発電機12は、タービン15から伝達された回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。
排熱回収ボイラ20は、ボイラ本体21と、低圧側予熱器22と、低圧側スチームドラム23と、低圧側蒸発器24と、低圧側過熱器25と、高圧側予熱器26と、高圧側スチームドラム27と、高圧側蒸発器28と、高圧側過熱器29と、を備える。ボイラ本体21は、タービン15の排気口と接続され、タービン15を回転させた後の燃焼排ガスが供給される。燃焼排ガスは、ボイラ本体21を流通する過程で熱回収され、ボイラ本体21の後端に設けられた煙突21aから排気される。
低圧側予熱器22は、ボイラ本体21において最下流側に配置され、燃焼排ガスとの熱交換によって水を予熱する。低圧側予熱器22は、ポンプ22aによって水の一部を循環させる。低圧側予熱器22は、蒸気タービンの復水器から水を供給されてもよい。低圧側予熱器22で予熱された水は、低圧側スチームドラム23に供給される。低圧側スチームドラム23は、供給された水を低圧側蒸発器24に導入し、蒸気を生成させる。低圧側スチームドラム23には、脱気器23aが設けられており、空気やその他の溶解ガスを除去するように構成されている。
低圧側蒸発器24は、ボイラ本体21において低圧側予熱器22よりも上流側に配置され、燃焼排ガスとの熱交換によって水を加熱し、蒸気を生成する。蒸気は、低圧側スチームドラム23に導入される。低圧側スチームドラム23に導入された蒸気の一部は、低圧側過熱器25に供給される。低圧側過熱器25は、ボイラ本体21において低圧側蒸発器24よりも上流側に配置され、燃焼排ガスとの熱交換によって蒸気を過熱し、蒸気タービン等に供給する。低圧側スチームドラム23に導入された蒸気の残部は、後述する吸気加熱装置30に供給される。
低圧側スチームドラム23に導入された水の一部は、ポンプ23bによって高圧側予熱器26に供給される。なお、ポンプ23bによって輸送される水の一部は、高圧側予熱器26をバイパスして、高圧側過熱器29に供給される。高圧側予熱器26は、ボイラ本体21において低圧側過熱器25よりも上流側に配置され、燃焼排ガスとの熱交換によって水を予熱する。高圧側予熱器26で予熱された水は、高圧側スチームドラム27に供給される。高圧側スチームドラム27は、供給された水を高圧側蒸発器28に導入し、蒸気を生成させる。
高圧側蒸発器28は、ボイラ本体21において高圧側予熱器26よりも上流側に配置され、燃焼排ガスとの熱交換によって水を加熱し、蒸気を生成する。蒸気は、高圧側スチームドラム27に導入される。高圧側スチームドラム27に導入された蒸気は、高圧側過熱器29に供給される。高圧側過熱器29は、ボイラ本体21において高圧側蒸発器28よりも上流側に配置され、燃焼排ガスとの熱交換によって蒸気を過熱し、蒸気タービン等に供給する。
吸気加熱装置30は、吸気流路31と、加熱器32と、熱媒体供給装置33と、制御装置34と、を備える。吸気流路31は、コンプレッサ13の吸気口に接続され、吸気流体として外気を吸気する。加熱器32は、吸気流路31を流通する吸気流体を加熱する。加熱器32は、吸気流路31において、吸気流体と熱交換する熱媒体を流通させる熱交換器であり、吸気流路31に介装された複数の熱交換流路(後述する図3参照)を備える。
熱媒体供給装置33は、加熱器32に熱媒体として蒸気を供給する。熱媒体供給装置33は、蒸気管35と、流量調節弁36と、開閉弁37と、を備える。蒸気管35は、低圧側スチームドラム23と加熱器32とを接続し、低圧側スチームドラム23から加熱器32に蒸気を供給する。流量調節弁36は、蒸気管35を流通する蒸気の流量を調節する。開閉弁37は、蒸気管35において流量調節弁36の下流側に設けられ、蒸気管35を開閉する。なお、加熱器32に供給された蒸気は、脱気器等に排出される。
制御装置34は、熱媒体供給装置33(流量調節弁36及び開閉弁37)を制御する。吸気流路31には、加熱器32とガスタービン11の入口との間に温度センサ38が複数取り付けられている。温度センサ38は、加熱器32によって加熱されてガスタービン11に吸気される吸入流体の温度を測定する。温度センサ38の測定結果は、制御装置34に送られる。
制御装置34は、吸気流体の加熱量に基づいて、熱媒体供給装置33を制御する。具体的に、制御装置34は、外気温度、外気湿度、大気圧、インレットガイドベーン13aの開度、ブリード弁13bの開度、電力需要、吸気流体の目標温度、温度センサ38の測定温度から吸気流体の加熱量を算出する。制御装置34は、算出した吸気流体の加熱量に基づいて、例えば、吸気流体の目標温度に対して温度センサ38の測定温度が低いときは、流量調節弁36の開度を大きくし、また、吸気流体の目標温度に対して温度センサ38の測定温度が高いときは、流量調節弁36の開度を小さくする。
図2は、本発明の第1実施形態における吸気流路31おける加熱器32の配置を示す斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態における加熱器32の熱交換流路50の構成を示す正面図である。なお、これらの図には、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。水平面内の所定方向をX軸方向(吸気流体の排出方向)、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
吸気流路31は、図2に示すように、Y軸方向に延びる水平ダクト40と、水平ダクト40の中央部から鉛直下方に延びる鉛直ダクト41と、を備える略T字状に形成されている。水平ダクト40は、Y軸方向に延在する略矩形状のダクトである。水平ダクト40の断面形状は、Z軸方向よりもX軸方向に長い。水平ダクト40は、Y軸方向における一端部40aと他端部40bから外気を吸入する。水平ダクト40の一端部40aと他端部40bには、それぞれ加熱器32が介装されている。なお、加熱器32の上流側には、図示しない吸気フィルター等が設けられている。
鉛直ダクト41は、Z軸方向に延在する略矩形状のダクトであり、水平ダクト40の中央部に接続される。鉛直ダクト41には、水平ダクト40の一端部40aと他端部40bのそれぞれから吸気されて加熱器32で加熱された吸気流体が合流して導入される。鉛直ダクト41の一端部41aに導入された吸気流体は、消音器42を通り、鉛直ダクト41他端部41bからガスタービン11に供給される。鉛直ダクト41の他端部41bは、鉛直ダクト41の下端部においてX軸方向を向いて環状に開口している。
加熱器32は、図3に示すように、吸気流体と熱交換する熱媒体(蒸気)を流通させる複数の熱交換流路50を有する。複数の熱交換流路50は、図示しないケーシングに収容され、XZ平面上においてパネル状(平面状)に配置されている。蒸気管35は、分岐して複数の熱交換流路50のそれぞれに接続されている。複数の熱交換流路50は、ベアコイル、フィンコイル等の複数の蒸気コイルから構成されている。本実施形態の熱交換流路50は、ヘッダー51,52と、チューブ53と、図示しないフィンと、を備える。
ヘッダー51,52は、Z軸方向に延び、X軸方向に間隔をあけて一対で設けられている。ヘッダー51には、熱媒体が供給される入口部54が設けられている。ヘッダー52には、熱媒体を排出する出口部55が設けられている。出口部55は、吸気流体との熱交換によって凝縮した熱媒体(水)を排出するため、ヘッダー52の下端部に設けられている。チューブ53は、X軸方向に延び、Z軸方向に間隔をあけてヘッダー51,52の間に複数設けられている。チューブ53の間には、図示しないフィンが複数架設される。
複数の熱交換流路50は、第1の向き(X軸方向における−側)に熱媒体を流通させる第1の熱交換流路50Aと、第1の熱交換流路50Aとは逆向きの第2の向き(X軸方向における+側)に熱媒体を流通させる第2の熱交換流路50Bと、を含む。本実施形態では、Z軸方向における上段に配置された熱交換流路50が、第1の熱交換流路50Aから形成されている。また、Z軸方向における中断に配置された熱交換流路50が、第2の熱交換流路50Bから形成されている。また、Z軸方向における下段に配置された熱交換流路50が、第1の熱交換流路50Aから形成されている。このように、複数の熱交換流路50は、吸気流体が流通する方向(Y軸方向)と直交する方向(Z方向)において、互い違いに配置されている。
また、上段、中段、下段の熱交換流路50は、それぞれ熱媒体を流通させる方向において分割されている。ここで、熱媒体を流通させる方向とは、図2に示す吸気流路31(水平ダクト40)の断面形状の長手方向(X軸方向)とされている。すなわち、上段の熱交換流路50は、X軸方向において2つの第1の熱交換流路50Aから形成されている。また、中段の熱交換流路50は、X軸方向において2つの第2の熱交換流路50Bから形成されている。また、下段の熱交換流路50は、X軸方向において2つの第1の熱交換流路50Aから形成されている。
続いて、図4及び図5〜図7に示すCFDシミュレーション結果を参照して、上記構成の吸気加熱装置30の作用効果について説明する。
図4は、CFDシミュレーションで用いた吸気加熱装置30の解析モデル30A,30B,30C(図5〜図7参照)における熱交換流路50の配置及び熱媒体の流れを示す模式図である。図5〜図7は、解析モデル30A,30B,30CのCFDシミュレーション結果であって、(a)は吸気流路31の全体に亘る温度分布を示し、(b)はガスタービン11の吸気口(鉛直ダクト41の他端部41b)における温度分布を示す図である。なお、図5〜図7において、CFDシミュレーションの解析条件(蒸気量、蒸気温度等)は同じである。
解析モデル30A(従来の形態)は、図4(a)に示すように、上段、中段、下段の熱交換流路50が熱媒体を流通させる方向において分割されておらず、また、上段、中段、下段の熱交換流路50において熱媒体を流通させる方向が同一である。
また、解析モデル30B(本発明の一実施形態)は、図4(b)に示すように、上段、中段、下段の熱交換流路50が熱媒体を流通させる方向において分割されていないが、上段と下段の熱交換流路50が第1の熱交換流路50Aから形成され、中段の熱交換流路50が第2の熱交換流路50Bから形成されている。
また、解析モデル30C(上述した本発明の一実施形態)は、図4(c)に示すように、上段、中段、下段の熱交換流路50が熱媒体を流通させる方向においてそれぞれ分割されており、上段と下段の熱交換流路50が第1の熱交換流路50Aから形成され、中段の熱交換流路50が第2の熱交換流路50Bから形成されている。
従来の形態である解析モデル30Aでは、図5(a)に示すように、上段、中段、下段それぞれの熱交換流路50において入口部付近(X軸方向における+側)の温度が高く、出口部付近(X軸方向における−側)の温度が低くなることが分かる。この解析モデル30Aでは、図5(b)に示すように、ガスタービン11の吸気口(鉛直ダクト41の他端部41b)の外周付近が高温に、内周付近が低温になっており、吸気流体の温度にムラが生じていることが分かる。
一方、本発明の一実施形態に係る解析モデル30Bでは、図6(a)に示すように、上段と下段の熱交換流路50(第1の熱交換流路50A)において入口部付近(X軸方向における+側)の温度が高く、出口部付近(X軸方向における−側)の温度が低くなり、また、中段の熱交換流路50(第2の熱交換流路50B)において入口部付近(X軸方向における−側)の温度が高く、出口部付近(X軸方向における+側)の温度が低くなることが分かる。この解析モデル30Bでは、図6(b)に示すように、解析モデル30Aと比べて、ガスタービン11の吸気口の外周付近の高温領域が小さくなっている、すなわち、吸気流体の温度ムラが低減していることが分かる。
この解析モデル30Bによれば、吸気流体が吸気流路31において、第1の向きに熱媒体を流通させる第1の熱交換流路50Aと、第1の熱交換流路50Aとは反対の第2の向きに熱媒体を流通させる第2の熱交換流路50Bとによって加熱される。図6(a)のCFDシミュレーション結果に示すように、吸気流体の加熱量が極端に少なく、熱媒体の供給量も少ない条件では、熱交換流路50の入口部付近の温度が高く、熱交換流路50の出口部付近の温度が低くなり易いが、第1の熱交換流路50Aと第2の熱交換流路50Bは、熱媒体の流れが反対向きであるため、一方の出口部付近の低温加熱が他方の入口部付近の高温加熱によって補われ、結果として吸気流体の温度が一様になる。したがって、吸気流体の加熱量が増減しても吸気流体の温度のムラを低減できる。
また、解析モデル30Bの熱交換流路50を熱媒体を流通させる方向において分割した解析モデル30Cでは、図7(a)に示すように、上段と下段の熱交換流路50(第1の熱交換流路50A)において高温部と低温部がX軸方向に交互に配置され、また、中段の熱交換流路50(第2の熱交換流路50B)においても高温部と低温部がX軸方向に交互に配置され、高温部と低温部が加熱器32全体で市松模様状に配置される。この解析モデル30Cでは、図7(b)に示すように、解析モデル30Bよりもガスタービン11の吸気口の外周付近の高温領域が小さくなり、吸気流体の温度分布を一様にできていることが分かる。
すなわち、解析モデル30Cでは、上段、中段、下段の熱交換流路50が、それぞれ熱媒体を流通させる方向(X軸方向)において分割されており、高温部(熱交換流路50の入口部付近)と低温部(熱交換流路50の出口部付近)が配置される間隔(ピッチ)が短くなるため、一方の出口部付近の低温加熱が他方の入口部付近の高温加熱によって補われ易くなり、結果として吸気流体の温度が一様になる。
また、熱媒体を流通させる方向(X軸方向)は、図2に示すように、吸気流路31の断面形状の長手方向である。吸気流路31の断面形状の長手方向においては、当該断面形状の短手方向よりも熱交換する範囲が広く、吸気流体との熱交換によって熱媒体が冷え易いため、温度ムラが生じ易い。このため、上述の実施形態のように、吸気流路31の断面形状の長手方向において、複数の熱交換流路50のそれぞれを分割することが好ましい。
このように、上述の本実施形態によれば、ガスタービン11の吸気口に接続された吸気流路31と、吸気流路31を流通する吸気流体を加熱する加熱器32と、を有するガスタービン11の吸気加熱装置30であって、加熱器32は、吸気流路31において吸気流体と熱交換する熱媒体を流通させる複数の熱交換流路50を有し、複数の熱交換流路50は、第1の向きに熱媒体を流通させる第1の熱交換流路50Aと、第1の熱交換流路50Aとは反対の第2の向きに熱媒体を流通させる第2の熱交換流路50Bと、を含む、という構成を採用することによって、吸気流体の加熱量が増減しても吸気流体の温度のムラを低減できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、本発明の第2実施形態における吸気加熱装置30aを備える発電設備1の概略構成図である。
第2実施形態の吸気加熱装置30aは、吸気流体が流通する方向に配置された複数の熱交換流路50を有する。複数の熱交換流路50は、吸気流体が流通する方向において、第1の熱交換流路50Aと第2の熱交換流路50Bが交互に配置されて成る。熱媒体供給装置33は、これら複数の熱交換流路50に対して選択的に熱媒体を供給可能な構成となっている。すなわち、第2実施形態の熱媒体供給装置33は、流量調節弁36の下流側で分岐し、複数の熱交換流路50に接続された蒸気管35のそれぞれに、開閉弁37a,37b,37cを備える。
制御装置34は、吸気流体の加熱量に応じて、熱媒体を流通させる第1の熱交換流路50Aと第2の熱交換流路50Bの数を交互に増減させるように熱媒体供給装置33を制御する。例えば、開閉弁37aを開いて上流側の第1の熱交換流路50Aに熱媒体を供給している状態で、電力需要の変化により吸気流体の加熱量を増加させる必要性が生じた場合、制御装置34は、開閉弁37bを開いて第2の熱交換流路50Bに熱媒体を供給する。さらに吸気流体の加熱量を増加させる必要性が生じた場合、制御装置34は、次に開閉弁37cを開いて下流側の第1の熱交換流路50Aに熱媒体を供給する。また、その後、吸気流体の加熱量を減少させる必要性が生じた場合、制御装置34は、開閉弁37cを閉じて下流側の第1の熱交換流路50Aへの熱媒体の供給を停止する。
このように、第2実施形態の吸気加熱装置30aは、複数の熱交換流路50に対して選択的に熱媒体を供給可能な熱媒体供給装置33と、吸気流体の加熱量に応じて、熱媒体を流通させる第1の熱交換流路50Aと第2の熱交換流路50Bの数を交互に増減させるように熱媒体供給装置33を制御する制御装置34と、を有する。この構成によれば、熱媒体を流通させる方向が互いに逆向きの第1の熱交換流路50Aと第2の熱交換流路50Bに交互に熱媒体が供給されるため、吸気流体の温度分布を一様にしながら吸気流体の加熱量を増減させることができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、第1の熱交換流路50Aと第2の熱交換流路50Bは、交互に配置されている構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、複数の熱交換流路50の上段と中段が第1の熱交換流路50Aであって、下段が第2の熱交換流路50Bであっても、熱媒体を流通させる方向が逆向きであるため吸気流体の温度ムラを低減できる効果は得られる。しかしながら、上記実施形態のように、第1の熱交換流路50Aと第2の熱交換流路50Bを交互に配置する方が、吸気流体の温度ムラをより効果的に低減できる。
また、例えば、上記実施形態では、熱媒体を流通させる方向が、吸気流路31の断面形状の長手方向である構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、チューブ53をZ軸方向に延在させ、熱媒体を吸気流路31の断面形状の短手方向に流通させる構成であってもよく、また、当該断面形状の短手方向において熱交換流路50を分割してもよい。しかしながら、熱媒体を吸気流路31の断面形状の短手方向に流通させる構成を採用する場合、チューブ53の一本一本の長さが短くなり、設置本数も増えるため、上記実施形態のように、吸気流路31の断面形状の長手方向において複数の熱交換流路50を分割する形態を採用することが好ましい。
また、吸気流路31の断面形状は、矩形状に限定されず、他の多角形や円形、楕円形等であってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、図3に示すように熱媒体を流通させる方向(X軸方向)において分割した熱交換流路50が、同じ向きに熱媒体を流通させる構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、熱媒体を流通させる方向において分割した熱交換流路50が、互いに逆向きに熱媒体を流通させる構成であってもよい。
また、例えば、上記第1実施形態では、複数の熱交換流路50を、吸気流体が流通する方向と直交する方向において上段、中段、下段の3段で配置した構成について説明したが、2段でも、4段以上で配置する構成であってもよい。
また、例えば、上記第1実施形態では、複数の熱交換流路50を、熱媒体を流通させる方向において2つに分割した構成について説明したが、複数の熱交換流路50を3つ以上に分割する構成であってもよい。
また、例えば、上記第2実施形態では、複数の熱交換流路50を、吸気流体が流通する方向において3段で配置した構成について説明したが、2段でも、4段以上で配置する構成であってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、加熱器32の熱媒体として蒸気を例示したが、上記以外の熱媒体、例えば、例えばエチレングリコール(分子式:C)、ジエチレングリコール(分子式:C10)、プロピレングリコール(C)、トリエチレングリコール(分子式:C14)、プロピレンカーボネイト(分子式:C)、プロピレンエチレングリコール(分子式:C)あるいはホルムアミド(分子式:CHNO)、等であってもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の吸気加熱装置をガスタービンに適用した場合を例示したが、本発明は、例えば、レシプロエンジンやジェットエンジン等の他の内燃機関にも適用できる。
11 ガスタービン(内燃機関)
30(30a) 吸気加熱装置
31 吸気流路
32 加熱器
33 熱媒体供給装置
34 制御装置
50 熱交換流路
50A 第1の熱交換流路
50B 第2の熱交換流路

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸気口に接続される吸気流路と、前記吸気流路を流通する吸気流体を加熱する加熱器と、を有する吸気加熱装置であって、
    前記加熱器は、前記吸気流路において前記吸気流体と熱交換する熱媒体を流通させる複数の熱交換流路を有し、
    前記複数の熱交換流路は、
    前記吸気流路の断面形状の長手方向において分割され、当該長手方向において間隔をあけた複数個所から第1の向きに前記熱媒体を流通させる第1の熱交換流路と、
    前記吸気流路の断面形状の長手方向において分割され、当該長手方向において間隔をあけた複数個所から前記第1の熱交換流路とは反対の第2の向きに前記熱媒体を流通させる第2の熱交換流路と、を含み、
    前記第1の熱交換流路及び前記第2の熱交換流路は、前記吸気流路の断面形状の短手方向において、交互に配置されている、ことを特徴とする吸気加熱装置。
  2. 前記第1の熱交換流路と前記第2の熱交換流路は、さらに、前記吸気流体が流通する方向において、交互に配置されており、
    前記複数の熱交換流路に対して選択的に前記熱媒体を供給可能な熱媒体供給装置と、
    前記吸気流体の加熱量に応じて、前記熱媒体を流通させる前記第1の熱交換流路と前記第2の熱交換流路の数を交互に増減させるように前記熱媒体供給装置を制御する制御装置と、を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の吸気加熱装置。
  3. 吸気流体を圧縮するコンプレッサと、
    前記コンプレッサで圧縮された前記吸気流体を燃焼させる燃焼器と、
    前記燃焼器で生成された燃焼ガスで回転するタービンと、を有するガスタービンであって、
    前記コンプレッサの吸気口に、請求項1または2に記載の吸気加熱装置が接続されている、ことを特徴とするガスタービン。
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