JP6691179B2 - クラッチ付きギアポンプ及び塗装装置 - Google Patents

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Description

本発明はクラッチ付きギアポンプ及び塗装装置に係り、特に被塗装物として自動車のボディーに複数色の塗料を塗装する技術に関する。
被塗装物に塗料を塗装する塗装装置、特に自動車のボディーに塗料を塗装する自動車用の塗装装置では、複数色(数色〜数十色)の塗料を使用して塗装する。このため、複数色の塗料供給ラインに複数台のギアポンプを設け、各塗料を色ごとに塗料噴霧機に圧送供給している。
このような塗装装置では、単一の駆動モータにより複数台のギアポンプを駆動する。そして、各塗料供給ラインに設けた開閉バルブのON−OFF操作によって塗料の供給をON−OFFすることにより、複数色の塗料の色の切り替えをしている。
したがって、開閉バルブがOFFの状態でもギアポンプは駆動しており、ギアポンプは大きな負荷がかかった状態で回転駆動することになる。この結果、ギアポンプが早期に摩耗して塗料の漏洩が生じるという問題がある。特に、自動車用の塗装業界で使用されている塗料は色材として顔料を使用した塗料であり、顔料によるギアポンプの摩耗が大きいという問題だけでなく、摩耗によって顔料が変形したり沈殿したりするという問題がある。
この問題の対策として、特許文献1には、単一の駆動モータから複数台の各ギアポンプへの回転駆動動力を個別に断続するクラッチをギアポンプごとに配設し、各塗料供給ラインに設けた開閉バルブがOFFのときには対応するクラッチを切ることでギアポンプが駆動しないようにした塗装装置が提案されている。
特開平8−52396号公報
ところで、塗装装置に使用されるギアポンプには塗装性能を確保するために精密な定量性が要求される。このため、駆動モータからの回転駆動力を正確にギアポンプに伝達し、精度良くギアポンプを回転して定量性を確保する必要がある。
また、塗装装置に使用されるギアポンプは、塗料の色の種類が変わることが多く、ギアポンプを取り付け台から外して洗浄する等のメンテナンスが必要になる。
更には、自動車用の塗装装置では、上述のように複数色(数色〜数十色)の塗料を使用して塗装するので、塗料供給ラインを増やす場合にはギアポンプの増設が必要になる。
かかる観点から特許文献1の塗装装置を見ると、次の点において十分とは言えない。
(1)クラッチを設けた場合、ギアポンプとクラッチとを精度良く軸芯出しする必要があると共に、クラッチを構成する2枚のディスク同士が軸芯ズレしないことが必要になる。しかし、ギアポンプとクラッチとを精度良く軸芯出しするのは難しく、カップリング部材を介して連結している。また、ギアポンプとクラッチの精度良い軸芯出しができたとしても、クラッチを構成する2枚のディスク同士の軸芯が回転時に軸芯ズレしないようにすることは難しい。したがって、ギアポンプとクラッチの軸芯出し精度やクラッチにおける軸芯ズレがギアポンプの定量性の悪化につながる(以下、「軸芯出し及び軸芯ズレの問題」という)。
(2)また、ギアポンプには精密な定量性が要求されることから、クラッチは滑ることなくトルクを伝達できる噛み合いクラッチが好ましい。しかし、上記したように、塗装装置は、単一の駆動モータで複数のギアポンプを駆動する方式なので、クラッチを構成する2枚のディスクのうち駆動モータ側のディスクは常時回転していることになる。したがって、噛み合い時にはクラッチを停止して行うことが原則な噛み合いクラッチは使用できず、通常は摩擦クラッチを使用している。しかし、摩擦クラッチはトルクを伝達するときに滑り易いと共に軸芯ズレする恐れがある。また、クラッチが滑ることでクラッチからギアポンプへの動力伝達性が悪くなり定量性が低下し、塗装性能が悪くなるという問題がある(以下、「動力伝達性の問題」という)。
(3)ギアポンプやクラッチを取り付け台から外して洗浄した後、取り付け台に組み付ける際には、軸芯出し用の測定器を用いて時間をかけて再度、軸芯出しをし直さなくてはならず、メンテナンス性が悪いと共に組み付けコストが高くなる(以下、「メンテナンス性の問題」という)。
(4)また、ギアポンプに別設でクラッチを配置する従来の取り付け台は、複数のギアポンプと複数のクラッチとの軸芯を正確に対応させた状態でギアポンプとクラッチとの両方を個別に固定することのできる複雑な構造の取り付け台が必要になる。このため、従来の取り付け台は、複雑形状の取り付け台を製作し易く且つ取り付け台の振動を押さえる効果があり、精度の良い軸芯出しを行い易い鋳物構造物を使用している。しかし、取り付け台として鋳物構造物を使用すると、構造が複雑で製作コストがかかるだけでなく、鋳物構造物の場合には鋳型によって取り付け台に取り付けるギアポンプの台数が決定してしまう。また、鋳物構造物は割れ易く加工性が良くないためにギアポンプを増設する場合の柔軟性にも欠ける。例えば、7台のギアポンプを取り付ける鋳物構造物の取り付け台を使用していたが、ギアポンプを10台に増設したい場合、7台用の取り付け台をもう一基追加しなくてはならない。このように、ギアポンプの取り付け台数を変えた各種の鋳型を予め用意することで対応せざるを得ない(以下、「ギアポンプ増設の問題」という)。
このように、クラッチをギアポンプごとに配設することで、ギアポンプの摩耗を低減できるが、上記したように解決しなくてはならない問題がある。
このような背景から、軸芯出し及び軸芯ズレの問題、動力伝達性の問題、メンテナンス性の問題、及びギアポンプ増設の問題を解決することが要望されている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来課題となっていた軸芯出し及び軸芯ズレの問題、動力伝達性の問題、メンテナンス性の問題、及びギアポンプ増設の問題を解決することができるクラッチ付きギアポンプ及び塗装装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のクラッチ付きギアポンプは、ギアポンプとクラッチとを1つの装置として一体構造に形成したクラッチ付きギアポンプであって、クラッチは、ギアポンプを回転駆動するポンプ回転軸に支持されたポンプ側ディスクと、ポンプ側ディスクに対面して設けられ、駆動モータを動力源としてクラッチを回転駆動するクラッチ回転軸に支持されたモータ側ディスクと、ポンプ側ディスクと前記モータ側ディスクのディスク面同士を接離することによりクラッチ接続及びクラッチ切断を行う接離手段と、ポンプ側ディスクとモータ側ディスクのディスク面同士が噛み合ってクラッチ接続を行う噛み合い手段と、を有し、噛み合い手段は、モータ側ディスクが回転状態のまま噛み合い可能で且つポンプ側ディスクとモータ側ディスクとの軸芯ズレを許容可能な噛み合い構造に形成されていることを特徴とする。
ここで、ギアポンプとクラッチとを1つの装置として一体構造に形成するとは、ギアポンプとクラッチとの別々の装置をカップリング部材等で単に連結することではなく、1つの装置として一体的に構成することを意味する。
このように、ギアポンプとクラッチとを1つの装置として一体構造に形成したクラッチ付きギアポンプとして構成することによって、クラッチ付きギアポンプの製作時に軸芯出しを一度精度良く行っておけば、従来のようにギアポンプとクラッチとを取り付け台に組み付けるたびに(メンテナンス後の組み付けも含む)に軸芯出しする必要がない。
また、ギアポンプとクラッチとの軸芯出しが必要ないので、従来のように複雑な構造で加工性の悪い鋳物構造物の取り付け台を使用する必要がなく、クラッチ付きギアポンプを固定支持できるだけの取り付け台でよい。これにより、取り付け台を簡単な構造にできるだけでなく、加工性に優れた材料を使用できるので、ギアポンプ増設に適した取り付け台を簡単に製作することができる。
また、ポンプ側ディスクとモータ側ディスクのディスク面同士が噛み合ってクラッチ接続を行う噛み合い手段は、モータ側ディスクが回転状態のまま噛み合い可能で且つポンプ側ディスクとモータ側ディスクとの軸芯ズレを許容可能な噛み合い構造に形成した。これにより、軸芯がずれていても駆動モータの回転動力をポンプ側ディスクに良く伝えることができるので、ギアポンプの定量性が良くなる。
したがって、従来問題となっていた軸芯出し及び軸芯ズレの問題、動力伝達性の問題、メンテナンス性の問題、及びギアポンプ増設の問題を解決することができる。
本発明のクラッチ付きギアポンプにおいて、噛み合い手段の噛み合い構造は、ポンプ側ディスクとモータ側ディスクのそれぞれのディスク面の外周部に沿って形成された円弧曲板状の凸部と円弧曲板状の凹部とが交互に連続形成され、ディスク面同士が接触した時に互いのディスク面の凸部と凹部とが噛み合うことによりクラッチ接続し、凸部がディスク面に対する断面形状が台形状に形成され、凹部がディスク面に対する断面形状が逆台形状に形成されると共に、凸部の円弧方向の長さが凹部の円弧方向の長さよりも短く形成され、円弧曲板状に形成された凸部及び凹部の台形状の側辺とディスク面とが接する接線がディスク面の軸芯を通るように構成されることが好ましい。
ここで、円弧曲板状とは、円弧状に曲がった板を指し、リング状のバームクーヘン(お菓子)を扇型に切断した形状あるいは開いた扇子の紙地部分の形状を言う。
このように、凸部はディスク面に対する断面形状が台形状に形成され、凹部はディスク面に対する断面形状が逆台形状に形成されると共に、凸部の円弧方向の長さが凹部の円弧方向の長さよりも短く形成されている。これにより、噛み合い方式のクラッチでありながら、モータ側ディスクを回転状態のままでスムーズにクラッチ接続及びクラッチ切断を行うことができる。
また、ポンプ側ディスクとモータ側ディスクのそれぞれのディスク面の外周部に沿って形成された円弧曲板状の凸部と円弧曲板状の凹部との台形状の側辺とディスク面とが接する接線がディスク面の軸芯を通るようにした。これにより、ポンプ側ディスクとモータ側ディスクとが軸芯ズレした状態で凸部と凹部とが噛み合ったとしても、凸部と凹部の側面同士が点接触と面接触とを繰り返しながら安定に回転し動力を伝達することができる。
本発明のクラッチ付きギアポンプにおいて、円弧曲板状に形成された凸部及び凹部の台形状の側辺の傾斜角度が前記ディスク面に対して15〜30°の範囲であることが好ましい。傾斜角度をディスク面に対して15〜30°の範囲にすることで、モータ側ディスクを回転状態のままで一層スムーズにクラッチ接続及びクラッチ切断を行うことができる。
本発明のクラッチ付きギアポンプにおいて、噛み合い手段には、ポンプ側ディスクとモータ側ディスクのディスク面同士の間に潤滑油を供給する潤滑油供給ポケットが設けられていることが好ましい。これにより、モータ側ディスクを回転状態のままで一層スムーズにクラッチ接続及びクラッチ切断を行うことができる。
本発明のクラッチ付きギアポンプにおいて、接離手段は、ポンプ側ディスクのディスク面をモータ側ディスクのディスク面に対して離間する方向に付勢するスプリングを有するスプリング機構と、スプリングの付勢力に抗してポンプ側ディスクのディスク面とモータ側ディスクのディスク面とを接触する方向に圧縮エアーで押圧する押圧手段と、で構成されることが好ましい。
このように、スプリングの付勢力に抗してポンプ側ディスクのディスク面とモータ側ディスクのディスク面とを接触する方向に押圧する手段として圧縮エアーによる押圧手段を設けたので、クラッチ付きギアポンプに防爆性を持たせることができる。
本発明のクラッチ付きギアポンプにおいて、スプリング機構は、スプリングと、モータ側ディスクのディスク面の中心部から軸芯方向に円柱状に穿設された開口穴と、開口穴の基端位置に設けられ、モータ側ディスクの回転に連動しない軸受と、軸受に支持されてモータ側ディスクと同一軸芯を中心に回転自在なスプリング受け部と、ポンプ回転軸の先端部にポンプ側ディスクのディスク面の中心部から軸芯方向に突起して設けられ、ポンプ側ディスクと同一軸芯を有する突起部と、を備え、スプリングの一端部がスプリング受け部に支持され、スプリングの他端部が突起部に巻回されると共にポンプ側ディスクのディスク面に形成されたリング状の段差溝に当接状態で支持され、接離手段によるディスク面同士の離間時にもスプリングの他端部が突起部から外れないように構成されることが好ましい。
上記構成のスプリング機構を設けることにより、ポンプ回転軸の突起部とスプリング受け部との間に支持されたスプリングの曲げ復元力がポンプ側ディスクのディスク面とモータ側ディスクのディスク面との軸芯を一致させるように作用するので、クラッチ接続及びクラッチ切断においてディスク面同士が軸芯ズレするのを抑制できる。しかも、スプリングをスプリング受け部及びクラッチ回転軸の回転に連動しない軸受を介してクラッチ回転軸に支持するようにしたので、モータ側ディスクが回転しても連動してスプリングが回転することがない。この結果、モータ側ディスクが常時回転していてもスプリングが開口穴に接触して摩耗するのを防止できる。
また、上述の噛み合い手段を軸芯ズレ許容可能な噛み合い構造にしたことと上述のスプリング機構を設けたことと相まって、安定して回転し動力を伝達することができる。
前記目的を達成するために、本発明の塗装装置は、被塗装物を塗装する塗料噴霧機に異なる色の塗料を供給する複数の塗料供給ラインと、複数の塗料供給ラインにそれぞれ設けられた複数のギアポンプと、複数のギアポンプを回転駆動する単一の駆動モータと、駆動モータから複数のギアポンプへの回転駆動力を接離する複数のクラッチと、を少なくとも構成要素とした塗装装置であって、ギアポンプとクラッチとを1つの装置として一体形成した複数のクラッチ付きギアポンプと、単一の駆動モータと、複数のクラッチ付きギアポンプに前記単一の駆動モータの回転駆動力を伝達する動力伝達機構と、を取り付け台に取り付けたギアポンプユニットを設け、複数のクラッチ付きギアポンプと複数の塗料供給ラインとをそれぞれ連通させたことを特徴とする。
本発明の塗装装置によれば、ギアポンプとクラッチとを1つの装置として一体形構造に成した複数のクラッチ付きギアポンプと、単一の駆動モータと、複数のクラッチ付きギアポンプに単一の駆動モータの回転駆動力を伝達する動力伝達機構と、を取り付け台に取り付けたギアポンプユニットを設けたので、上記説明したように、従来課題となっていた軸芯出し及び軸芯ズレの問題、メンテナンス性の問題、組み付けコストの問題、及びギアポンプ増設問題を解決することができる。
本発明の塗装装置において、クラッチ付きギアポンプは、本発明の上記クラッチ付きギアポンプであることが好ましい。
本発明の塗装装置において、取り付け台は、クラッチ付きギアポンプを取り付ける複数のポンプ取り付け部と駆動モータを取り付ける1つのモータ取り付け部とが金属板を用いて加工形成された板状構造の本体用取り付け台と、クラッチ付きギアポンプを取り付ける少なくとも1つのポンプ取り付け部が金属板を用いて加工形成された板状構造の増設用取り付け台と、を備え、本体用取り付け台と増設用取り付け台とには、互いを着脱自在に連結する連結部が形成されていることが好ましい。
上記説明のように、クラッチ付きギアポンプはギアポンプ部とクラッチ部とを1つの装置として一体化している。したがって、従来のように鋳物構造物のような複雑な構造の取り付け台を使用する必要がなく、クラッチ付きギアポンプを固定支持するだけでよい。したがって、加工性に優れた金属板を使用して簡単な板状構造の取り付け台を製作することができる。
また、金属板であれば、鋳物構造物のように鋳型を必要とせず製作コストも安価である。
したがって、金属板で製作した本体用取り付け台と増設用取り付け台とに互いを着脱自在に連結する連結部を加工形成すれば、クラッチ付きギアポンプの増設に応じて本体用取り付け台に増設用取り付け台を連結するだけで、ギアポンプ増設を簡単に行うことができる。
本発明のクラッチ付きギアポンプ及び塗装装置によれば、従来問題となっていた軸芯出し及び軸芯ズレの問題、動力伝達性の問題、メンテナンス性の問題、及びギアポンプ増設の問題を解決することができる。
本発明の塗装装置の全体構成を説明する説明図 ギアポンプユニットの本体用取り付け台に増設用取り付け台を連結してギアポンプ増設を行った斜視図 ギアポンプユニットの本体用取り付け台に増設用取り付け台を連結している図 クラッチ付きギアポンプの断面図 クラッチ付きギアポンプのギアポンプ部の吸込側と吐出側とを示す図 クラッチ付きギアポンプにおけるクラッチの接離手段、スプリング機構及び噛み合い手段を説明する部分拡大図 噛み合い手段の噛み合い構造の凹凸を説明する説明図
以下添付図面に従って、本発明に係るクラッチ付きギアポンプ及び塗装装置の好ましい実施の形態について詳述する。
[塗装装置]
図1は、本発明の実施の形態の塗装装置の全体構成を説明する説明図である。
図1に示すように、塗装装置10は、被塗装物(図示せず)を塗装する塗料噴霧機12に異なる色の塗料を供給する複数の塗料供給ライン14(14A,14B,14C,14D,14E)と、複数の塗料供給ライン14にそれぞれ設けられた複数のギアポンプ16(16A,16B,16C,16D,16E)と、複数のギアポンプ16を回転駆動する単一の駆動モータ18と、駆動モータ18から複数のギアポンプ16への回転駆動力を接離する複数のクラッチ20(20A,20B,20C,20D,20E)と、を少なくとも構成要素として構成される。
これらの構成要素において、ギアポンプ16とクラッチ20とを1つの装置として一体構造に形成した複数のクラッチ付きギアポンプ22(22A,22B,22C,22D,22E)と、単一の駆動モータ18と、複数のクラッチ付きギアポンプ22に駆動モータ18の回転駆動力を伝達する動力伝達機構24と、を取り付け台26に取り付けたギアポンプユニット28を設け、複数のクラッチ付きギアポンプ22と複数の塗料供給ライン14とをそれぞれ連通させるようにした。
図1では、5つの塗料供給ライン14を設けた一例で示してあるが、使用する塗料の色数によって異なる。例えば、被塗装物として自動車のボディーを塗装する自動車用の塗装装置の場合には、数ライン〜数十ラインになることもある。
図1に示すように、各塗料供給ライン14は、ギアポンプユニット28を挟んでクラッチ付きギアポンプ22の吸込側に接続する上流側供給ライン30(30A,30B,30C,30D,30E)と、クラッチ付きギアポンプ22の吐出側に接続する下流側供給ライン32(32A,32B,32C,32D,32E)とで構成される。
上流側供給ライン30には、塗料を貯留する塗料用タンク34(34A,34B,34C,34D,34E)と、塗料用タンク34の溶剤をクラッチ付きギアポンプ22に送液する塗料用ポンプ36(36A,36B,36C,36D,36E)とが設けられる。
一方、下流側供給ライン32には、塗料を被塗装物に噴霧する塗料噴霧機12と、塗料噴霧機12から噴出する塗料の色を替える塗料色替装置38とが設けられる。
塗料色替装置38には、各塗料供給ライン14に対応した5個の塗料用開閉弁40(40A,40B,40C,40D,40E)が設けられる。
なお、本発明の実施の形態の塗装装置10では、クラッチ20により塗料噴霧機12から噴出する塗料の色の切り替えを行うことができるので、塗料の早い吐出応答性を必要としない場合には塗料色替装置38を設けなくてもよい。しかし、自動車のボディーを塗装する自動車用の塗装装置10のように早い吐出応答性を必要とする場合には、塗料色替装置38を設けた方が好ましい。
また、上流側供給ライン30には三方弁42(42A,42B,42C,42D,42E)が設けられ、三方弁42を介して塗料供給ライン14から分岐した溶剤ライン44(44A,44B,44C,44D,44E)が設けられる。溶剤ライン44には、塗料供給ライン14を洗浄する溶剤(例えばシンナー)を貯留する溶剤用タンク46(46A,46B,46C,46D,46E)と、溶剤用タンク46の溶剤をクラッチ付きギアポンプ22の吸込側に送液する溶剤用ポンプ48(48A,48B,48C,48D,48E)が設けられる。
また、塗料色替装置38には溶剤用開閉弁50を介して溶剤補助ライン52が設けられ、溶剤補助ライン52には塗料色替装置38を洗浄する溶剤(例えばシンナー)を貯留する溶剤補助タンク54と、溶剤補助タンク54の溶剤を塗料色替装置38に送液する溶剤補助ポンプ56が設けられる。
[ギアポンプユニット]
本発明の実施の形態の塗装装置10では、上記したように、ギアポンプ16とクラッチ20とを1つの装置として一体構造に形成した複数のクラッチ付きギアポンプ22を取り付け台26に取り付けてギアポンプユニット28を構成するようにした。
したがって、従来のように、ギアポンプ16とクラッチ20との軸芯出しのために、鋳物構造物で形成した精密構造の取り付け台にする必要がない。これにより、以下に説明するように、本発明におけるギアポンプユニット28を取り付ける取り付け台26は、クラッチ付きギアポンプ22を増設し易い加工適正に優れた金属板を使用して板状構造に形成することができる。なお、取り付け台26は塗装装置10の図示しない装置フレーム等に支持される。
図2は、ギアポンプユニット28において、クラッチ付きギアポンプ22の増設を説明する斜視図である。図3は、ギアポンプユニット28の取り付け台26を説明する説明図であり、(A)は側面図、(B)は上面図である。なお、図3の(B)では、クラッチ付きギアポンプ22も図示している。
図2及び図3に示すように、取り付け台26は、ギアポンプユニット28の最小ユニットである1つの駆動モータ18と複数(図2では2台で示す)のクラッチ付きギアポンプ22と動力伝達機構24とを取り付ける本体用ユニット台26Aと、少なくとも1台(図2では2台で示す)のクラッチ付きギアポンプ22と動力伝達機構24とを取り付ける増設用ユニット台26Bと、で構成される。
なお、本実施の形態では、本体用ユニット台26Aにクラッチ付きギアポンプ22を2台配設する場合、増設用ユニット台26Bにクラッチ付きギアポンプ22を2台配設する場合で説明する。しかし、本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bに配設するクラッチ付きギアポンプ22の台数は2台に限定するものではない。また、動力伝達機構24として歯車24Aの例で以下に説明するが、駆動モータ18の回転駆動力を複数のクラッチ付きギアポンプ22に伝達できるものであれば、歯車に限定されない。歯車24Aは、駆動モータ18の回転軸72、クラッチ付きギアポンプ22の回転軸74に設けられる他に歯車24A同士の間を連結する小型の歯車24Aが設けられる。即ち、駆動モータ18とクラッチ付きギアポンプ22の歯車24A同士、及びクラッチ付きギアポンプ22同士の歯車24Aの間に介在された小型の歯車24Aを有し、小型の歯車24Aは取り付け台26に固定された軸受68(図2参照)に回転自在に支持される。
図3の(A)に示すように、本体用ユニット台26Aは、金属板によって板状構造に形成される。本体用ユニット台26Aには、クラッチ付きギアポンプ22を取り付ける2個のポンプ取り付け部58と、駆動モータ18を取り付ける1つのモータ取り付け部60と、クラッチ付きギアポンプ22と駆動モータ18との間及びクラッチ付きギアポンプ22同士の間に配置される歯車24Aを取り付ける2個の歯車取り付け部62とが加工形成される。金属板としては、例えば鉄、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、これらの合金等のように、切削加工、折れ曲げ加工、穴あけ加工、接合加工(溶接等)の加工性に優れた材質であることが好ましい。
本体用ユニット台26Aにおけるモータ取り付け部60、ポンプ取り付け部58、及び歯車取り付け部62には、駆動モータ18の回転軸72、クラッチ付きギアポンプ22の回転軸74、及び歯車24Aを取り付ける取り付け孔65がそれぞれ形成される。また、モータ取り付け部60及びポンプ取り付け部58の取り付け孔65の両側には、駆動モータ18及びクラッチ付きギアポンプ22の胴体部をボルト77,77(図4,図6参照)で固定するボルト孔78,78…が形成される。なお、歯車24Aの軸受68は取り付け台26に図示しないボルトで固定される。
増設用ユニット台26Bは、本体用ユニット台26Aと同様に、金属板で板状構造に形成される。また、増設用ユニット台26Bでは、2台のクラッチ付きギアポンプ22を取り付ける2個のポンプ取り付け部58と、2個のクラッチ付きギアポンプ22同士の間に配置される歯車24Aを取り付ける1個の歯車取り付け部62とが加工形成される。
そして、増設用ユニット台26Bにおけるポンプ取り付け部58と歯車取り付け部62とには、本体用ユニット台26Aと同様に、クラッチ付きギアポンプ22及び歯車24Aを取り付ける取り付け孔65がそれぞれ加工形成される。また、ポンプ取り付け部58の両側には、クラッチ付きギアポンプ22の胴体部をボルト77,77(図4,図6参照)で固定するボルト孔78,78…が形成される。
本体用ユニット台26Aと増設用ユニット台26Bとは、本体用ユニット台26Aには駆動モータ18の取り付け部60があるが、増設用ユニット台26Bには駆動モータ18の取り付け部60がない点が相違する。
このように、本発明のクラッチ付きギアポンプ22は、ギアポンプ16とクラッチ20とを一体構造にしたことにより、従来のように、ギアポンプ16とクラッチ20との軸芯を正確に対応させた状態でギアポンプ16とクラッチ20との両方を個別に固定するための精密な鋳物構造物で形成した取り付け台が必要なくなる。
したがって、本発明におけるギアポンプユニット28に使用する取り付け台26は、上記したように台の駆動モータ18と複数台のクラッチ付きギアポンプ22を配列して固定するだけの極めて簡単な板状構造にすることができる。
また、本体用ユニット台26Aの一端部と増設用ユニット台26Bの一端部には、本体用ユニット台26Aと増設用ユニット台26Bとを着脱自在に連結する連結部96A,96Bが形成されている。また、増設用ユニット台26Bの他端部には、増設用ユニット台26B同士を着脱自在に連結する連結部96Cが形成されている。
本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bの連結部96A,96Bの金属板の厚みは、本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bの厚みの1/2に形成される。そして、本体用ユニット台26Aの連結部96Aと増設用ユニット台26Bの連結部96Bとを重ね合わせたときに元の金属板の厚みになるようにしている。増設用ユニット台26Bの連結部96C(図参照)の厚みも同様である。
また、本体用ユニット台26Aの連結部96Aの基端位置に係合溝98が形成されると共に、先端位置に係合突起100が形成される。同様に、増設用ユニット台26Bの連結部96Bの基端位置に係合溝98が形成されると共に先端位置に係合突起100が形成されている。これにより、本体用ユニット台26Aと増設用ユニット台26Bの連結部96A,96B同士を重ね合わせたときに、お互いの係合溝98と係合突起100とが嵌合する。増設用ユニット台26Bの連結部96Bの反対側の連結部96Cにも同様に係合溝98と係合突起100とが形成され、別の増設用ユニット台26Bの連結部96Bに形成された係合突起100と係合溝98に係合する。
本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bのそれぞれの連結部96A,96Bには、上下位置に一対のボルト孔102,102が形成され、連結部96A,96B同士を重ね合わせたときにボルト孔102同士が重なる。そして、重なったボルト孔102同士をボルト103,103で連結することにより、本体用ユニット台26Aと増設用ユニット台26Bとを連結する。同様に、増設用ユニット台26Bの連結部96Cにも上下位置にボルト孔102が形成され、増設用ユニット台26B同士の連結部96B,96Cを重ね合わせたときにボルト孔102同士が重なる。そして、重なったボルト孔102同士をボルト103,103で連結することにより、増設用ユニット台26B同士を連結する。
また、本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bのそれぞれの連結部96A,96Bには、上下方向の中央位置に棒状の芯金部材64が貫通する芯金孔66が形成される。同様に、増設用ユニット台26Bの連結部96Cの上下方向の中央位置に棒状の芯金部材64が貫通する芯金孔66が形成される。
図2及び図3の(B)に示すように、棒状の芯金部材64は、一端に軸受64Aが内蔵された歯車24Aが設けられると共に他端部周面に雄ネジ64Bが刻設される。そして、本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bのそれぞれの連結部96A,96Bを連結した状態で芯金部材64を芯金孔66に貫通し、ナット部材70を雄ネジ64Bに螺合することにより、芯金部材64を取り付け台26に固定する。
この芯金部材64は、図3の(B)に示すように、本体用ユニット台26Aに取り付けたクラッチ付きギアポンプ22の回転軸芯と増設用ユニット台26Bに取り付けたクラッチ付きギアポンプの回転軸芯との距離W1、W2が等距離になるように設計されている。
また、芯金部材64の歯車24Aと雄ネジ64Bとの間には鍔部材64Cが設けられ、本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bのそれぞれの連結部96A,96Bを連結した状態で芯金部材64を芯金孔66に貫通したときに鍔部材64Cが連結部96A,96Bに当たる。これにより、芯金部材64に備えた歯車24Aと、本体用ユニット台26A及び増設用ユニット台26Bに取り付けたクラッチ付きギアポンプの歯車24Aとが、取り付け台26に対して面一になるように設計されている。なお、増設用ユニット台26B同士の連結部96B,96Cに使用される芯金部材64も同様である。
上記の如く形成されたギアポンプユニット28の取り付け台26によれば、クラッチ付きギアポンプ22の数に応じて、本体用ユニット台26Aの連結部96Aに増設用ユニット台26Bの連結部96Bを連結し、増設用ユニット台26Bの連結部96Cに更に別の増設用ユニット台26Bの連結部96Bを連結すれば、所望の数だけクラッチ付きギアポンプ22を簡単に増設することができる。
また、上記構成の芯金部材64を取り付け台26の連結部96A、96B(又は96B,96C)に設けることにより、クラッチ付きギアポンプ22の使用数に応じて、本体用ユニット台26Aに増設用ユニット台26Bを増設しても、駆動モータ18からの回転動力を全てのクラッチ付きギアポンプ22に正確に伝達することができる。
[クラッチ付きギアポンプ]
図4は、取り付け台26に取り付けられたクラッチ付きギアポンプ22を軸芯方向で切断した断面図である。図5はクラッチ付きギアポンプ22の構成要素であるギアポンプ16を軸芯方向に対して直交する方向で切断した縦断面図である。図6は、クラッチ付きギアポンプ22におけるクラッチ20の接離手段128、スプリング機構130及び噛み合い手段132を説明する部分拡大図である。なお、軸芯方向とは、ギアポンプ16やクラッチ20が回転する回転中心線の方向を言う。
図4に示すように、クラッチ付きギアポンプ22は、以下説明するように、ギアポンプ16とクラッチ20とを1つの装置として一体構造に形成したものである。
(ギアポンプ)
図4及び図5に示すように、ギアポンプ16は、駆動回転する駆動ギア104と、駆動ギア104の回転に歯合して従動回転する従動ギア106と、駆動ギア104及び従動ギア106を収容する筒状のギアケース108と、ギアケース108の端面開口を閉塞するバックプレート82と、ギアケース108に隣接するシリンダケース118との間を区画してシールするシールプレート84とで構成される。
駆動ギア104はポンプ回転軸110に支持され、従動ギア106は従動回転軸113に支持されると共に、ポンプ回転軸110及び従動回転軸113は、バックプレート82とシールプレート84とに軸受を介さない状態で回転自在に支持される。また、一般的に、ポンプ回転軸110と駆動ギア104とは、キー溝にキーを差し込むことで結合するが、本発明においてはポンプ回転軸110とは直交する方向に立てたピン86を駆動ギア104のピン孔に差し込むようにした。これにより、キー溝とキーとの結合に比べてギアポンプ16に塗料が残存しにくくなる。
また、ポンプ回転軸110は、シールプレート84に形成された開口部を介してシリンダケース118に延設される。
これにより、図5に示すように、駆動ギア104及び従動ギア106が矢印方向に回転すると、ギアポンプ16の吸込口116から吸い込まれた塗料は吐出口117から所定量吐出される。
(クラッチ)
図4及び図6に示すように、クラッチ20を構成する各部材は、ギアケース108に隣接したシリンダケース118と、シリンダケース118に隣接したクラッチケース120と、に収納される。なお、ギアケース108、シリンダケース118、及びクラッチケース120の各ケース同士を固着結合する方法は特に示さないが、例えばボルト締結、接着剤結合、金属であれば溶接等を使用することができる。
また、クラッチケース120の端面が段差構造112に形成され、この段差構造112に取り付け台26に形成した取り付け孔65(図3参照)が嵌まるようになっている。また、クラッチケース120の端面の段差構造112の両側位置には、クラッチ付きギアポンプ22を取り付け台26にボルト77、77で固定するボルト穴121,121が形成される。そして、クラッチ付きギアポンプ22を取り付け台26の取り付け孔65に嵌め込むことにより、クラッチケース120のボルト穴121と、取り付け台26の取り付け孔65の両側に形成したボルト孔78と、が一致する。この状態で、ボルト孔78を介してボルト77、77をボルト穴121に捻じ込むことで、クラッチ付きギアポンプ22を取り付け台26に固定する。
クラッチ20は、主として、ギアポンプ16のポンプ回転軸110に支持された円板状のポンプ側ディスク122と、ポンプ側ディスク122に対面して設けられ、駆動モータ18を動力源としてクラッチ20を回転駆動するクラッチ回転軸124に支持された円板状のモータ側ディスク126と、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のディスク面122A、126A同士を接離する接離手段128と、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のディスク面122A、126A同士が噛み合ってクラッチ接続を行う噛み合い手段132(図6参照)と、を有し、噛み合い手段132は、モータ側ディスク126が回転状態のまま噛み合い可能で且つポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126との軸芯ズレを許容可能な噛み合い構造に形成されている。
図4に示すように、ギアポンプ16のポンプ回転軸110は、ギアケース108に位置する大径部110Aと、シリンダケース118に位置する小径部110Bと、シリンダケース118からクラッチケース120側に少し入り込むように位置して小径部110Bよりも更に小径な突起部110Cとで構成される。突起部110Cは、径断面が四角形状に形成され、突起部110Cの一部がポンプ側ディスク122の中心孔(図示せず)に嵌合することで、ポンプ側ディスク122をポンプ回転軸110に固定する。
また、小径部110Bの外周には液封止する軸シール構造134が設けられる。軸シール構造134としては、例えばオイルシール、メカニカルシール等を好適に採用できる。
そして、ポンプ回転軸110の小径部110Bの先端部には、ポンプ側ディスク122の中心部が固定される。また、クラッチケース120の内周面とポンプ側ディスク122の外周面との間にはドーナツ状の軸受136が介在される。この軸受136は、軸受136の外輪がクラッチケース120の内周面に軸芯方向に延設されたスライド機構(図示せず)を介してクラッチケース120に固定され、内輪がポンプ側ディスク122に固定されている。このスライド機構は、後記する接離手段128に関係する。
スライド機構としては、軸受136が軸芯方向にスライド自在にクラッチケース120に支持される機構であればどのようなものでもよいが、例えば軸芯方向に形成された蟻溝と蟻溝に嵌合するレールとを採用することができる。そして、蟻溝とレールとの一方をクラッチケース120の内面に設け、他方を軸受136の外面に設ける。これにより、ポンプ側ディスク122はクラッチケース120に対して回動自在且つ軸芯方向にスライド自在に支持される。
また、駆動モータ18からの回転駆動力で駆動回転するクラッチ回転軸124は、モータ側ディスク126を固定する大径部124Aと歯車24Aが取り付けられる小径部124Bとで構成される。クラッチ回転軸124の大径部124Aの先端部には、モータ側ディスク126の中心部が固定される。クラッチ回転軸124の小径部124Bの基端位置には、駆動モータ18(図1及び図2参照)からの回転駆動力を伝達する上記した動力伝達部材である歯車24Aが取り付けられる。
また、クラッチケース120の内周面とモータ側ディスク126の外周面との間にはドーナツ状の軸受138が介在される。そして、軸受138の外輪がクラッチケース120に固定されると共に内輪がモータ側ディスク126に固定される。
更に、クラッチケース120の内周面とクラッチ回転軸124の大径部124Aの外周面との間であって軸芯方向の前後位置には、ドーナツ状の一対の軸受140、140が介在される。そして、軸受140の外輪がクラッチケース120に固定されると共に内輪がクラッチ回転軸124の大径部124Aに固定される。
これにより、モータ側ディスク126はクラッチケース120に対して回動自在に支持される。また、モータ側ディスク126は駆動モータ18の回転に連動して回転するので、駆動モータ18を駆動しているときには、モータ側ディスク126は常に回転していることになる。
(接離手段)
図4に示すように、接離手段128は、主として、ポンプ側ディスク122のディスク面122Aをモータ側ディスク126のディスク面126Aに対して離間する方向に付勢するスプリング156を有するスプリング機構130と、ポンプ側ディスク122をモータ側ディスク126の方向に圧縮エアーで押圧する押圧手段158とで構成される。
また、図4に示すように、押圧手段158は、シリンダケース118に設けられ軸芯方向にスライド自在なドーナツ状のシリンダ部材162と、シリンダケース118に設けられシリンダ部材162をモータ側ディスク126の方向に押圧する圧縮エアーを供給する圧縮エアー供給口164と、図示しない圧縮エアー供給装置から圧縮エアー供給口164に圧縮エアーを供給するエアーホース167とで構成される。
シリンダ部材162は、シリンダケース118のクラッチケース120側の端面からリング状に穿設されたシリンダ穴166にスライド自在(軸芯方向)に嵌合している。そして、シリンダ部材162はシリンダ穴166の軸芯方向に延設されたスライド機構(図示せず)を介してシリンダケース118に固定されると共にシリンダ部材162の先端部が上記したスライド自在な軸受136に当接している。
スライド機構としては、シリンダ部材162が軸芯方向にスライド自在にシリンダ穴166に支持される機構であればどのようなものでもよいが、軸受136のところで説明したと同様に軸芯方向に形成された蟻溝と蟻溝に嵌合するレールとを採用することができる。そして、蟻溝とレールとの一方をシリンダ穴166の内周面に設け、他方をシリンダ部材162の外周面に設ける。
また、シリンダ部材162の基端面とシリンダ穴166の底面との間にはリング状隙間165が形成され、圧縮エアー供給口164から供給された圧縮エアーが充満する。圧縮エアー供給口164はシリンダケース118の外周面から前記したリング状隙間165に連通する穿設孔として形成される。圧縮エアー供給口164の内面には雌ネジが刻設され、エアーホース167の先端に設けられた連結具167Aの外面には雄ネジが刻設される。そして、圧縮エアー供給口164の雌ネジとエアーホース167の連結具167Aの雄ネジとを螺合する。これにより、エアーホース167を圧縮エアー供給口164に確実に連結する。
また、シリンダ部材162とシリンダ穴166の周面との間には一対のOリング168,168が介在され、圧縮エアー漏れを防止している。
そして、クラッチ接続する場合には、圧縮エアー供給装置から圧縮エアー供給口164に供給された圧縮エアーによってシリンダ部材162を矢印方向(モータ側ディスク126の方向)にスライドする。このシリンダ部材162のスライドに連動して軸受136も矢印方向にスライドする。これにより、軸受136に支持されたポンプ側ディスク122が、スプリング156の付勢力に抗してモータ側ディスク126に当接する。この結果、ディスク面122A,126A同士の凸部150と凹部152とが噛み合いクラッチ接続が行われる。
このように、スプリング156を有するスプリング機構130と圧縮エアーを使用した押圧手段158とで接離手段128を構成することで、クラッチ付きギアポンプ22を防爆仕様に形成することができる。次に、スプリング機構について説明する。
(スプリング機構)
図4及び図6に示すように、スプリング機構130は、スプリング156と、モータ側ディスク126のディスク面126Aの中心部から軸芯方向に円柱状に穿設された開口穴146と、開口穴146の基端位置(開口穴の底部位置)に設けられ、モータ側ディスク126の回転に連動しない軸受148と、軸受148に支持されて開口穴146の軸芯を中心に回転自在なスプリング受け部144と、ポンプ回転軸110の先端部にポンプ側ディスク122のディスク面122Aの中心部から軸芯方向に突起して設けられた突起部110Cと、を備え、スプリング156の一端部がスプリング受け部144に支持され、スプリング156の他端部が突起部110Cに巻回されると共にポンプ側ディスク122のディスク面122Aに形成されたリング状の段差溝160に当接状態(固定しない)で支持され、接離手段128によるディスク面122A,126A同士の離間時にもスプリング156の他端部が突起部110Cから外れないように構成される。
スプリング受け部144を支持する軸受148は、外輪がクラッチ回転軸124の大径部124Aに固定され、内輪がスプリング受け部144の回転軸144Aに固定される。これにより、スプリング受け部144の回転とクラッチ回転軸124の回転とは縁切りされている。
また、スプリング156の他端部はポンプ回転軸110の突起部110Cに緩く巻回される。この場合、接離手段128によりポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126とのディスク面122A、126A同士の離間した時にもポンプ側ディスク122のディスク面122Aをモータ側ディスク126のディスク面126Aに対して離間する方向に付勢するスプリング156が伸び動作して段差溝160に当接した状態を維持し、スプリング156は突起部110Cから外れることはない。
上述のスプリング機構130の構成において、ポンプ回転軸110の突起部110Cの軸芯はポンプ側ディスク122のディスク面122Aと同一軸芯上(即ち、ポンプ回転軸110の回転軸芯上)にあるように設計されている。また、スプリング受け部144の軸芯はモータ側ディスク126のディスク面126Aと同一軸芯上(即ち、クラッチ回転軸124の回転軸芯上)にあるように設計されている。
このように構成したスプリング機構130によれば、ポンプ回転軸110の突起部110Cとスプリング受け部144との間に支持されたスプリング156の曲げ復元力がポンプ回転軸110とクラッチ回転軸124との回転軸芯を一致させるように作用する。ここで、スプリング156の曲げ復元力とは、スプリング156の両端を引っ張ったり圧縮したりした時の弾性力とは異なり、スプリング156に曲げ方向の力を加えた時に真っ直ぐに戻ろうとする復元力を言う。このスプリング156の曲げ復元力により、ポンプ回転軸110とクラッチ回転軸124との軸芯を常に一直線に保持しようとするので、クラッチ接続及びクラッチ切断においてディスク面122A,126A同士が軸芯ズレするのを抑制できる。
更には、スプリング156をスプリング受け部144及びクラッチ回転軸124の回転に連動しない軸受148を介してクラッチ回転軸124に支持するようにしたので、スプリング156の摩耗を防止できる。
即ち、クラッチ回転軸124は、駆動モータ18の駆動に連動して常に回転しており、クラッチ切断時においてもモータ側ディスク126はクラッチ接続していない空回り状態で回転することになる。したがって、仮にスプリング156の他端部をモータ側ディスク126に設けた開口穴146の底壁に当接支持したとすると、スプリング156の他端部と開口穴146の底壁との擦れによりスプリング156が摩耗していく。
また、スプリング156の外周面と開口穴146の内壁面との接触抵抗でスプリング156が回転する方向の外力を受けた場合にもスプリング156の外周面は擦れて摩耗していく。これにより、スプリング156の弾性力が変動し、後記する接離手段128の構成要素でもあるスプリング156の付勢力が変動し、接離手段128の精度が低下する。
しかし、本発明において、スプリング156は軸受148に回転自在に支持されたスプリング受け部144によってクラッチ回転軸124の回転とは縁切りされている。したがって、クラッチ回転軸124が回転してもスプリング受け部144は回転しない。この結果、スプリング受け部144とスプリング156とが擦れて摩耗したりスプリング156が捻じれたりすることはない。
また、スプリング156の周面と開口穴146の内壁面との接触抵抗でスプリング156が回転する方向の外力を受けた場合には、スプリング156はスプリング受け部144及び軸受148により外力に応じて回転して外力を吸収するので、スプリング156の外周面が摩耗するのを防止できる。
これにより、接離手段128におけるスプリング156の弾性力を常に一定に保つことができると共に、クラッチ切断したときにモータ側ディスク126の回転がスプリング156を介してポンプ側ディスク122に伝達されることはない。
(噛み合い手段)
図7の(A)はポンプ側ディスク122のディスク面122Aの正面図、(B)は(A)のa−a線に沿った断面図、(C)は凸部150の厚み及び傾斜角度θ3を示す説明図である。なお、図7はポンプ側ディスク122のディスク面122Aのみの図であるが、モータ側ディスク126のディスク面126Aも同様である。
図6及び図7を使用して、モータ側ディスク126が回転状態のまま噛み合い可能で且つポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126との軸芯ズレを許容可能な噛み合い手段132の噛み合い構造について説明する。
図6及び図7の(A)に示すように、噛み合い手段132の噛み合い構造は、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のそれぞれのディスク面122A,126Aの外周部に沿って凸部150と凹部152とが交互に連続して形成される。そして、接離手段128によって、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のディスク面122A,126A同士が接触した時に互いのディスク面122A,126Aの凸部150と凹部152とが噛み合う。これにより、クラッチ接続される。
また、図7の(B)及び(C)に示すように、凸部150はディスク面122A(又は126A)から突起して形成され、ディスク面122A(又は126A)の周方向に円弧曲板状に形成される。
更に、図7の(C)に示すように、凸部150は、ディスク面122A(又は126A)に対して直交する断面が台形状に形成される。一方、凹部152は、ディスク面122A(又は126A)から凸部150の厚み分だけ窪んで形成され、ディスク面122A(又は126A)の周方向に円弧曲板状の窪みとして形成される。また、凹部152は、ディスク面122A(又は126A)に対して直交する断面が逆台形状に形成される。
凸部150の中心角θ1は凹部152の中心角θ2よりも小さく、円弧曲板状に形成された凸部150の円弧方向の長さL1は凹部152の円弧方向の長さL2よりも小さくなるように形成されている。なお、図7の(A)では、円弧曲板状の凸部150及び凹部152の円弧方向の長さL1,L2は、ディスク面半径方向の中心位置で測定した長さで示している。
このように、ディスク面122A,126Aの外周部に沿って凸部150と凹部152とを交互に連続し、凸部150と凹部152を円弧曲板状の台形状(又は逆台形状)にすると共に、凸部150の円弧方向の長さL1を凹部152の円弧方向の長さL2よりも小さくする構造に形成した。これにより、モータ側ディスクク126が常時回転した状態であっても、クラッチ接続のためにポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のディスク面122A、126A同士が近づいたときに、一方のディスク面122Aの凸部150(又は凹部152)が他方のディスク面126Aの凹部152(又は凸部150)にスムーズに入り込むことができる。したがって、ディスク面122A、126A同士の凸部150と凹部152とが噛み合い易くなるので、噛み合い方式のクラッチであってもスムーズなクラッチ接続を行うことができる。また、クラッチ切断する場合にスムーズなクラッチ切断を行うことができる。
また、図4及び図6に示すように、噛み合い手段132には、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のディスク面122A、126A同士の間に潤滑油を供給する潤滑油供給ポケット154が設けられている。即ち、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126とが接触した位置におけるディスク122,126同士の外周面とクラッチケース120の内周面との間にはリング状の潤滑油供給ポケット154が形成されている。そして、この潤滑油供給ポケット154に潤滑油(例えばグリース)が溜まっており、ディスク面122A、126A同士が離間した状態では潤滑油がディスク面122A、126A同士の間に入り込む。これにより、ディスク面122A、126A同士の凸部150と凹部152とが更に噛み合い易くなるので、一層スムーズなクラッチ接続を行うことができる。また、クラッチ切断する場合にスムーズなクラッチ切断を行うことができる。
噛み合い手段132は、モータ側ディスク126の回転駆動力がポンプ側ディスク122に確実に伝達されるようにディスク面122A、126A同士の凸部150と凹部152とが噛み合えば問題なく、ガッチリと噛み合う必要はない。
したがって、図7の(C)に示すように、凸部150は、ディスク面122A(又は126A)に対して直交する断面が台形状に形成されると共に、凸部150の厚みD(凸部150と凹部152の段差距離)は0.5〜1mmの範囲に薄く形成されることが好ましい。更には、台形状の凸部150の側面角度θ3はディスク面122A(又は126A)に対して15〜30°の範囲であることが好ましい。
図示しないが、断面が逆台形状に形成された凹部152の深さは、凸部150の厚みと同じであり0.5〜1mmの範囲、逆台形状の側面角度は凸部150の側面角度に対して逆傾斜であり−15〜−30°の範囲であることが好ましい。
これにより、ディスク面122A、126A同士の凸部150と凹部152とが更に噛み合い易くなるので、モータ側ディスクク126が常時回転した状態であっても更に一層スムーズなクラッチ接続及びクラッチ切断を行うことができる。
また、円弧曲板状に形成された凸部150及び凹部152の台形状の側150A(又は152A)とディスク面122A(又は126A)とが接する接線Lがディスク面122A(又は126A)の軸芯Pを通る構造に形成されている。これにより、仮にクラッチ接続時にポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126とが少し軸芯ズレした状態で凸部150と凹部152とが噛み合ったとしても軸芯ズレを許容し、スムーズに動力を伝達することができる。
即ち、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126とが軸芯が一致した状態で噛み合う場合には、台形状をした凸部150の側面150Aと逆台形状をした凹部152の側面152Aとが平行になり側面150A,152A同士が面接触する。
これに対して、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126とが軸芯ズレした状態で凸部150と凹部152とが噛み合うと、台形状をした凸部150の側面150Aと逆台形状をした凹部152の側面152Aとが平行にならないので、側面150A、152A同士が面接触せずに点接触した状態になる。
例えば、台形状をした凸部150の側面の角(上側又は下側のコーナー部分)が逆台形状をした凹部152の側面に点接触する。そして、回転するに従って点接触した位置がずれてゆき、台形状をした凸部150の側面150Aと逆台形状をした凹部152の側面152Aとが軸芯ずれ方向と平行になったとき側面150Aと側面152Aとが点接触から面接触になり、そこから更に回転することでまた面接触から点接触になる。このように、点接触と面接触とを繰り返しながら軸芯ズレを許容し、ディスク122,126同士が噛み合って安定に回転を続けることができる。
[塗装装置による塗装方法]
上記の如く構成した塗装装置10により塗料を被塗装物に塗装する方法を説明する。
塗装装置10の5ラインの塗料供給ライン14のうち塗料供給ライン14Aを使用して例えば白色塗料を被塗装物に塗装し、他の例えば赤色、青色、黄色、黒色の各塗料の塗料供給ライン14B〜14Eは塗装待機中であるとする。
前準備として、5ラインの塗料供給ライン14A〜14Eの三方弁42A〜42Eを塗料タンク34A〜34Eとクラッチ付きギアポンプ22A〜22Eとが連通するように設定し、各塗料供給ラインの塗料用ポンプ36A〜36EはOFFの状態に設定しておく。更に、塗料色替装置38の塗料用開閉弁40A〜40Eは閉成した状態に設定する。
また、塗装作業中、ギアポンプユニット28の駆動モータ18は常に駆動状態を維持し、5台のクラッチ付きギアポンプ22A〜22Eのクラッチ20A〜20Eをクラッチ切断に設定する。上記の設定状態から塗装作業を開始する。
<白色塗料の塗装開始>
先ず、最初に塗装する白色塗料の塗料供給ライン14Aに設けられた塗料用ポンプ36AをONにし、塗料色替装置38の塗料用開閉弁40Aを開成すると共に、クラッチ付きギアポンプ22Aの接離手段128を動作させて、クラッチ接続を行う。即ち、クラッチ付きギアポンプ22Aのギアポンプ16Aのみが駆動する。
これにより、塗料タンク34Aに貯留された白色塗料は、塗料用ポンプ36Aでクラッチ付きギアポンプ22Aに送られ、クラッチ付きギアポンプ22Aのギアポンプ16Aによって塗料噴霧機12に圧送され、塗料噴霧機12から被塗装物に吹き付けられる。
<白色から赤色への塗料色替>
白色塗料から赤色塗料への塗料色替を行う場合、白色塗料の塗料供給ライン14Aに設けられた塗料用ポンプ36AをOFFにし、塗料色替装置38の塗料用開閉弁40Aを閉成すると共に、クラッチ付きギアポンプ22Aの接離手段128を動作させて、クラッチ切断を行う。一方、赤色塗料の塗料供給ライン14Bに設けられた塗料用ポンプ36BをONにし、塗料色替装置38の塗料用開閉弁40Bを開成すると共に、クラッチ付きギアポンプ22Bの接離手段128を動作させて、クラッチ接続を行う。
赤色から青色、青色から黄色、黄色から黒色等のように、1つの色から他の色への塗料色替を行う場合にも同様である。
このように、複数のギアポンプ16を単一の駆動モータ18で駆動する塗装装置10であっても、クラッチ付きギアポンプ22を設けて、塗装待機中のギアポンプ16はクラッチ20を切断することで回転駆動しないようにした。これにより、ギアポンプ16が早期に摩耗して塗料の漏洩が生じるという問題を解決することができる。
しかも、本発明の実施の形態の塗装装置10では、ギアポンプ16とクラッチ20とを1つの装置として一体構造に形成した複数のクラッチ付きギアポンプ22と、単一の駆動モータ18と、複数のクラッチ付きギアポンプ22に単一の駆動モータ18の回転駆動力を伝達する動力伝達機構24と、を取り付け台26に取り付けたギアポンプユニット28を設け、複数のクラッチ付きギアポンプ22と複数の塗料供給ライン14とをそれぞれ連通させるようにした。
また、本発明のクラッチ付きギアポンプ22のクラッチ20では、クラッチ接続及びクラッチ切断を行う接離手段128、接離手段128に設けられポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126との軸芯ズレを抑制するスプリング機構130、及びポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のディスク面122A、126A同士が噛み合ってクラッチ接続を行うと共にモータ側ディスク126が回転状態のまま噛み合い可能な噛み合い手段132を上記説明の如く構成した。
これにより、本発明の塗装装置10及び本発明のクラッチ付きギアポンプ22は以下の作用効果を奏する。
[塗装装置及びクラッチ付きギアポンプの作用効果]
(A)塗装装置10の構成要素であるギアポンプ16とクラッチ20とを1つの装置として一体構造に形成したクラッチ付きギアポンプ22として構成した。したがって、クラッチ付きギアポンプ22の製作時に軸芯出しを行えば、従来のようにギアポンプ16とクラッチ20とを取り付け台26に組み付けるたび(メンテナンス後の組み付けも含む)に軸芯出しをする必要がない。
(B)また、クラッチ付きギアポンプ22において、接離手段128に設けられたスプリング機構130の構成要素であるスプリング156は、スプリング156の曲げ復元力によって、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126とのディスク面122A,126A同士が軸芯ズレするのを抑制できる。また、モータ側ディスク126が駆動モータ18によって常時回転していても、スプリング受け部144を回転自在に支持する軸受148とは縁切りされているので、モータ側ディスク126の回転によってスプリング156が捻じれたり摩耗したりすることはない。これにより、接離手段128におけるスプリング156のスプリング力を常に一定に保つことができると共に、クラッチ切断したときにモータ側ディスク126の回転がスプリング156を介してポンプ側ディスク122に伝達されることはない。
(C)クラッチ付きギアポンプ22は、上記した(A)と(B)の構成を有するので、本発明のクラッチ付きギアポンプ22を取り付ける取り付け台26は、従来のように複雑な構造を精密に製作可能であるが加工性の点で劣る鋳物構造物を使用する必要がない。
即ち、クラッチ付きギアポンプ22を固定支持できる程度の簡単な構造の取り付け台26を使用できる。したがって、加工性に優れた材料、例えば鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、及びこれらの合金を使用した加工性の良い金属板を使用して、簡単な構造で且つギアポンプ増設に適した板状構造の取り付け台26を製作することができる。
(D)更には、接離手段128をスプリング156と圧縮エアーによる押圧手段とで構成したので、クラッチ付きギアポンプに防爆性を持たせることができる。
(E)本発明の実施の形態の塗装装置10は、単一の駆動モータ18で複数のギアポンプ16を駆動する方式なので、クラッチを構成する2つのディスク122,126のうちモータ側ディスク126は常時回転していることになる。したがって、本来であれば噛み合い時にはクラッチ20を停止して行うことが原則な噛み合いクラッチは使用できない。
しかし、本発明のクラッチ付きギアポンプ22のクラッチ20の噛み合い手段132は、ディスク面122A,126A同士の凸部150と凹部152とが噛み合う構造であるが、凸部150はディスク面122A(又は126A)に対する断面形状が台形状に形成され、凹部152はディスク面122A(又は126A)に対する断面形状が逆台形状に形成される。更に、凸部150の円弧方向の長さL1が凹部152の円弧方向の長さL2よりも短く形成されている。これにより、モータ側ディスク126を回転させたままでも、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126とに形成された凸部150と凹部152とをスムーズに噛み合わせることができる。更に、ディスク面同士が離間するときも噛み合いがスムーズに外れる。
この場合、凸部150及び凹部152の台形状の側辺の傾斜角度θ3がディスク面122A(又は126A)に対して15〜30°の範囲とすると、一層スムーズに噛み合わせることができる。更に、噛み合い手段132に、ポンプ側ディスク122とモータ側ディスク126のディスク面122A(又は126A)同士の間に潤滑油を供給する潤滑油供給ポケット154を設けることで、更に一層スムーズに噛み合わせることができる。
これにより、クラッチ付きギアポンプ22のクラッチ20として噛み合い方式のクラッチ20を使用することができるので、クラッチ20は滑ることなくトルクをギアポンプ16に伝達することができる。したがって、従来のクラッチ20からギアポンプ16への動力伝達性の問題が解決でき、塗装性能も向上する。
上記(A)〜(E)により、従来課題となっていた軸芯出しや軸芯ズレの問題、メンテナンス性の問題、動力伝達性の問題及びギアポンプ増設の問題等を解決することができる。
10…塗装装置、12…塗料噴霧機、14(14A〜14E)…塗料供給ライン、16(16A〜16E)…ギアポンプ、18…駆動モータ、20(20A〜20E)…クラッチ、22(22A〜22E)…クラッチ付きギアポンプ、24…動力伝達機構、24A…歯車、26…取り付け台、26A…本体用ユニット台、26B…増設用ユニット台、28…ギアポンプユニット、30(30A〜30E)…上流側供給ライン、32(32A〜32E)…下流側供給ライン、34(34A〜34E)…塗料用タンク、36(36A〜36E)…塗料用ポンプ、38…塗料色替装置、40(40A〜40E)…塗料用開閉弁、42(42A〜42E)…三方弁、44(44A〜44E)…溶剤ライン、46(46A〜46E)…溶剤用タンク、48(48A〜48E)…溶剤用ポンプ、50…溶剤用開閉弁、52…溶剤補助ライン、54…溶剤補助タンク、56…溶剤補助ポンプ、58…ポンプ取り付け部、60…モータ取り付け部、62…歯車取り付け部、64…芯金部材、64A…軸受、64B…雄ネジ、64C…鍔部材、65…取り付け孔、66…芯金孔、68…軸受、70…ナット部材、72…回転軸、74…回転軸、76…回転軸、77…ボルト、78…ボルト孔、82…バックプレート、84…シールプレート、86…ピン、96A、96B、96C…連結部、98…係合溝、100…係合突起、102…ボルト孔、103…ボルト、104…駆動ギア、106…従動ギア、108…ギアケース、110…ポンプ回転軸、110A…大径部、110B…小径部、110C…突起部、112…段差構造、113…従動回転軸、116…吸込口、117…吐出口、118…シリンダケース、120…クラッチケース、121…ボルト穴、122…ポンプ側ディスク、122A…ディスク面、124…クラッチ回転軸、124A…大径部、124B…小径部、126…モータ側ディスク、126A…ディスク面、128…接離手段、130…スプリング機構、132…噛み合い手段、134…軸シール構造、136…軸受、138…軸受、140…軸受、144…スプリング受け部、144A…回転軸、146…開口穴、148…軸受、150…凸部、152…凹部、154…潤滑油供給ポケット、156…スプリング、158…押圧手段、160…段差溝、162…シリンダ部材、164…圧縮エアー供給口、165…リング状隙間、166…シリンダ穴、167…エアーホース、167A…連結具、168…Oリング、L…接線、P…軸芯

Claims (7)

  1. ギアポンプとクラッチとを1つの装置として一体構造に形成したクラッチ付きギアポンプであって、
    前記クラッチは、
    前記ギアポンプを回転駆動するポンプ回転軸に支持されたポンプ側ディスクと、
    前記ポンプ側ディスクに対面して設けられ、駆動モータを動力源として前記クラッチを回転駆動するクラッチ回転軸に支持されたモータ側ディスクと、
    前記ポンプ側ディスクと前記モータ側ディスクのディスク面同士を接離することによりクラッチ接続及びクラッチ切断を行う接離手段と、
    前記ポンプ側ディスクと前記モータ側ディスクのディスク面同士が噛み合ってクラッチ接続を行う噛み合い手段と、を有し、
    前記噛み合い手段は、前記モータ側ディスクが回転状態のまま噛み合い可能で且つ前記ポンプ側ディスクと前記モータ側ディスクとの軸芯ズレを許容可能な噛み合い構造に形成され
    前記接離手段は、前記ポンプ側ディスクのディスク面を前記モータ側ディスクのディスク面に対して離間する方向に付勢するスプリングを有するスプリング機構を備え、
    前記スプリング機構は、
    前記スプリングと、
    前記モータ側ディスクのディスク面の中心部から軸芯方向に円柱状に穿設された開口穴と、
    前記開口穴の基端位置に設けられ、前記モータ側ディスクの回転に連動しない軸受と、
    前記軸受に支持されて前記モータ側ディスクと同一軸芯を中心に回転自在なスプリング受け部と、
    前記ポンプ回転軸の先端部に前記ポンプ側ディスクのディスク面の中心部から軸芯方向に突起して設けられ、前記ポンプ側ディスクと同一軸芯を有する突起部と、を備え、
    前記スプリングの一端部が前記スプリング受け部に支持され、前記スプリングの他端部が前記突起部に巻回されると共に前記ポンプ側ディスクのディスク面に形成されたリング状の段差溝に当接状態で支持され、前記接離手段による前記ディスク面同士の離間時にも前記スプリングの他端部が前記突起部から外れないように構成される
    ことを特徴とするクラッチ付きギアポンプ。
  2. 前記噛み合い手段の前記噛み合い構造は、
    前記ポンプ側ディスクと前記モータ側ディスクのそれぞれのディスク面の外周部に沿って形成された円弧曲板状の凸部と円弧曲板状の凹部とが交互に連続形成され、前記ディスク面同士が接触した時に互いのディスク面の凸部と凹部とが噛み合うことによりクラッチ接続し、
    前記凸部が前記ディスク面に対する断面形状が台形状に形成され、前記凹部が前記ディスク面に対する断面形状が逆台形状に形成されると共に、前記凸部の円弧方向の長さが前記凹部の円弧方向の長さよりも短く形成され、
    前記円弧曲板状に形成された前記凸部及び前記凹部の台形状の側辺と前記ディスク面とが接する接線が前記ディスク面の軸芯を通る請求項1に記載のクラッチ付きギアポンプ。
  3. 前記円弧曲板状に形成された前記凸部及び前記凹部の台形状の側辺の傾斜角度が前記ディスク面に対して15〜30°の範囲である請求項2に記載のクラッチ付きギアポンプ。
  4. 前記噛み合い手段には、前記ポンプ側ディスクと前記モータ側ディスクの前記ディスク面同士の間に潤滑油を供給する潤滑油供給ポケットが設けられている請求項1から3の何れか1項に記載のクラッチ付きギアポンプ。
  5. 前記接離手段は、前記スプリング機構と、
    前記スプリングの付勢力に抗して前記ポンプ側ディスクのディスク面と前記モータ側ディスクのディスク面とを接触する方向に圧縮エアーで押圧する押圧手段と、で構成される請求項1から4の何れか1に記載のクラッチ付きギアポンプ。
  6. 被塗装物を塗装する塗料噴霧機に異なる色の塗料を供給する複数の塗料供給ラインと、前記複数の塗料供給ラインにそれぞれ設けられた複数のギアポンプと、前記複数のギアポンプを回転駆動する単一の駆動モータと、前記駆動モータから前記複数のギアポンプへの回転駆動力を接離する複数のクラッチと、を少なくとも構成要素とした塗装装置であって、
    前記ギアポンプと前記クラッチとを1つの装置として一体構造に形成した複数のクラッチ付きギアポンプと、前記単一の駆動モータと、前記複数のクラッチ付きギアポンプに前記単一の駆動モータの回転駆動力を伝達する動力伝達機構と、を取り付け台に取り付けたギアポンプユニットを設け、前記複数のクラッチ付きギアポンプと前記複数の塗料供給ラインとをそれぞれ連通させ
    前記取り付け台は、
    記クラッチ付きギアポンプを取り付ける複数のポンプ取り付け部と前記駆動モータを取り付ける1つのモータ取り付け部とが金属板を用いて加工形成された板状構造の本体用取り付け台と、
    前記クラッチ付きギアポンプを取り付ける少なくとも1つのポンプ取り付け部が金属板を用いて加工形成された板状構造の増設用取り付け台と、を備え、
    前記本体用取り付け台と前記増設用取り付け台とには、互いを着脱自在に連結する連結部が形成されていることを特徴とする塗装装置。
  7. 前記クラッチ付きギアポンプは、請求項1から5の何れか1に記載のクラッチ付きギアポンプである請求項6に記載の塗装装置。
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