JP6690038B1 - 汚泥処理方法及び汚泥処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】重力濃縮設備において、スカムの発生が抑制される汚泥処理方法及び汚泥処理設備を提供する。【解決手段】汚泥処理場88に備わる重力濃縮設備に、下水処理場70から送られた汚泥38を流入させ、重力により沈降させて濃縮汚泥を得る汚泥処理方法であって、前記汚泥38の流れの中で、この汚泥38に含まれる夾雑物を所定のサイズに切断して切断物を得て、前記切断物を含む汚泥39を前記重力濃縮設備89,90に流入させることを特徴とする汚泥処理方法及び、汚泥処理設備。【選択図】図1

Description

本発明は、汚泥処理方法及び汚泥処理設備に関するものである。
従来より、家庭排水や事業場排水、工場排水等の下水は、下水管に排水され、中継ポンプ場や下水道幹線を経て、下水処理場に集水されて処理される。処理された水は、河川や海に放流される。
この排水される下水には、一例にプラスチック類や下着、雑巾、脱脂綿等の繊維類、ウエス、トイレットペーパー、毛髪等の様々な夾雑物が含まれる。これら夾雑物は、下水処理場で処理された水と共に河川や海に放流することができず、例えば、中継ポンプ場や下水処理場の沈砂池に設置されるスクリーンによって捕集され、産業廃棄物として処理される。
夾雑物のうちにはスクリーンを透過してしまうものも多く、スクリーンを透過された夾雑物は下水に含まれたまま沈砂池の下流に設けられる最初沈殿池に流入することになる。
最初沈殿池に流入した夾雑物のうち沈降したものは、生汚泥として最初沈殿池から引き抜かれ汚泥処理場に送られる。沈降せずに最初沈殿池から流出(越流)した夾雑物のうち、最終沈殿池に流入したものは、活性汚泥の沈降と共に沈降し、これら沈降物が最終沈殿池から引き抜かれ、余剰汚泥として汚泥処理場に送られる。汚泥処理場に送られた汚泥(生汚泥及び/又は余剰汚泥)は、重力濃縮設備で濃縮され、下流設備である脱水機や焼却炉で減容化処理される。
ところで、下水処理場及び汚泥処理場それぞれの諸設備ではスカムが発生する問題がある。スカムは、汚泥や夾雑物が存在する箇所で少なからず発生するが、特に汚泥が一時的に貯留される重力濃縮設備で大量に発生する。このスカムは、設備配管の閉塞や硫化水素の発生、返流水の悪化、設備容積の減少等の不具合をもたらすため極力排除されるのが望ましい。
スカムの排除手法としては、例えば、人力、吸引装置による回収や破砕装置による破砕、水圧洗浄によるスカムの破壊及び成長の抑制等の手法を挙げることができるが、スカムの発生の都度排除しなければならず根本的な対応策とはなっていない。
スカムが発生する原因とされる夾雑物の処理手法に関する技術に、特許文献1及び特許文献2がある。特許文献1は、有機性汚泥に混入される夾雑物を破砕する破砕ポンプを設けることで設備のコンパクト化する技術であり、特許文献2は、生汚泥破砕機で濃縮生汚泥を破砕し、破砕汚泥を脱窒槽に流入しBOD源とする技術であるが、いずれの技術もスカムの発生を抑制するものではない。
特許第4235091号公報 特開2001−205300号公報 特表2012−521285号公報 特表2013−537103号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、重力濃縮設備において、スカムの発生を抑制する汚泥処理方法及び汚泥処理設備を提供することにある。
上記課題を解決した本発明の代表的態様は以下のとおりである。
<第1の態様>
汚泥処理場に備わる重力濃縮設備に、下水処理場から送られた汚泥を流入させ、重力により沈降させて濃縮汚泥を得る汚泥処理方法であって、
前記汚泥の流れの中で、この汚泥に含まれる夾雑物を所定のサイズに切断して切断物を得て、
前記切断物を含む汚泥を前記重力濃縮設備に流入させる、
ことを特徴とする汚泥処理方法。
汚泥に含まれる夾雑物は、重力濃縮設備でスカムを発生させる要因の一つである。夾雑物は相互に付着し絡み合って束(夾雑物群)になる。この夾雑物群に汚泥が多数付着し、大きな塊となる。
また、重力濃縮設備に流入した汚泥は時間経過により重力により沈降して濃縮され濃縮汚泥の層となる。この濃縮汚泥の層内には酸素分が溶解しており、嫌気状態下においては、この酸素分が濃縮汚泥で消費され、窒素や二酸化炭素、硫化水素等のガス(気泡)が発生する。ガス(気泡)は液よりも軽比重であり、液中から液面へ浮上する。このガス(気泡)の浮上の際、ガス(気泡)が付着した前述の大きな塊も浮上し、水面に漂う。この漂う大きな塊がスカムである。
スカムの原因となる夾雑物を、夾雑物群になってしまう前にあらかじめ所定のサイズに切断して切断物とすると、切断物相互が付着し絡み合い難くなるので、夾雑物群が発生し難くなる。
<第2の態様>
第1の態様に追加して、
前記切断物を含む汚泥を間欠に前記重力濃縮設備に流入させる、
態様を挙げることができる。
下水処理場から汚泥処理場に送られた汚泥には、少なからず酸素分子が溶解している。つまり、溶存酸素が含まれる。溶存酸素を含む汚泥を重力濃縮設備に流入させると、嫌気状態が緩和され、ガス(気泡)化が抑制される。また、間欠に流入させる場合、生汚泥や余剰汚泥がある程度沈降され、適度な濃度となるので、重力濃縮設備での濃縮効率が良い。
<第3の態様>
第1の態様に追加して、
前記汚泥は生汚泥である、
態様を挙げることができる。
夾雑物は、最終沈殿池で沈降した活性汚泥よりも、最初沈殿池で沈降した生汚泥に圧倒的に多く含まれる。生汚泥に含まれる夾雑物を切断することで、夾雑物群化が抑制されるという効果を有する。
<第4の態様>
第1の態様に追加して、
前記重力濃縮設備で発生したスカムを前記下水処理場から送られた汚泥に混入させる、
態様を挙げることができる。
例えば、水圧洗浄でスカムを破壊すると、破壊されたスカムは沈む。換言すると、スカムが破壊されることによりスカムに付着されたガス(気泡)がスカムから分離されるので、スカムは液面に浮いた状態を保てなくなり沈む。
スカムを汚泥に混入させて切断装置に流入させる過程で、スカムに含まれるガス(気泡)がスカムから分離される。切断装置から流出された汚泥を重力濃縮設備に流入させることで、結果として、系外に排除されるスカムの量が減少する。
<第5の態様>
第1の態様に追加して、
前記切断物は切断装置により切断され、
前記切断装置は、前記汚泥の流れ方向の回転軸線周りに回転するホルダーに保持された切断刃と、前記汚泥の流れと交差して設けられた、複数の透過孔を有する対向板とを備え、前記対向板に近接又は接した対向状態で前記切断刃が回転するものである、
態様を挙げることができる。
切断装置に送られた汚泥に含まれる夾雑物のうちの、対向板の透過孔を透過できないサイズの夾雑物は、対向板に留まる(引っ掛かる)。この対向板に留まった(引っ掛かった)夾雑物は、切断刃の回転で切断される。対向板に留まっていた夾雑物は切断され、汚泥の流れに沿って、透過孔を透過する。
夾雑物が対向板に付着したままだと、汚泥の継続的または断続的な流入で次第に対向板に夾雑物が堆積し、固化したり、肥大化したりして、対向板の閉塞をもたらすおそれがある。切断刃を対向板に接近又は接触した対向状態で回転させると、対向板に付着した夾雑物を切断刃が掻き剥がすように落とす。これにより、対向板に夾雑物が堆積するのを防止できる。
<第6の態様>
前記下水処理場から送られた汚泥を前記重力濃縮設備の上流側に備わる切断装置に流入させ、
前記切断装置は、前記汚泥が流入される流入部と、前記汚泥に含まれる夾雑物が切断される切断部と、切断されて得られた切断物が流出される流出部を有し、
前記流入部と前記切断部と前記流出部が前記汚泥の流れに沿って、同一直線上に順に配置されるものである、
態様を挙げることができる。
流入部と切断部と流出部が汚泥の流れに沿って、同一直線上に順に配置されているので、流入部から流出部に至るまでに汚泥の流れ方向が大きく変わらず、汚泥の流れによる圧力の損失が小さいという効果を有する。また、一直線方向に汚泥が流れるので圧力の損失が少なく、切断装置内の特定箇所に汚泥が滞留して腐食するのを抑制できる。
<第7の態様>
下水処理場から送られた汚泥に含まれる夾雑物が、前記汚泥の流れの中で切断されて切断物を得る切断装置と、
前記切断物を含む汚泥が重力により沈降されて濃縮汚泥が得られる重力濃縮設備とを備える、
ことを特徴とする汚泥処理設備。
第1の態様と同様の効果が得られる。
本発明によると、重力濃縮設備において、スカムの発生が抑制される。
下水を処理するフローを示す図である。 下水を処理するフローを示す図である。 切断装置の説明図である。 対向板と、前記流入部における汚泥の流入方向と、でなす角度の説明図である。 切断装置の破砕の要部を示す図である。 対向板の一例を示す図である。 切断装置の別の形態を示す図である。 重力濃縮槽を示す図である。 下水を処理するフローを示す図である。 切断装置の説明図である。
本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は、本発明の一例である。
(下水)
従来、下水は主に家庭排水や工業排水、事業場排水等で構成されていた。また、下水には枝葉や茎、草等の植物、土壌等も混入することがあった。近年では下水処理場のスケールメリットを生かし、浄化槽排水、農集排水、生ごみ、おむつ等を下水道に集約して処理することで発生する汚泥を焼却して、エネルギー化する傾向にある。しかしながら、これらを下水と共に下水処理場に流入させ集約処理すると、夾雑物の量も増加することになる。
(夾雑物)
下水処理施設(例えば、ポンプ場や貯留管、下水配管、下水管渠、下水道幹線、圧送汚泥配管、下水処理場等、汚泥処理場)の下水に含まれる夾雑物には、プラスチック類や下着、雑巾、脱脂綿等の繊維類、ウエス、トイレットペーパー、毛髪、生ごみ、オイルボール、油脂、おむつ片、泥塊、砂塊等を例示できるがこれらに限定されるものではない。
(下水処理施設)
下水の処理工程はおおよそ以下のとおりである。家庭や事業場から排水される下水は、汚水ますから、下水管、下水道幹線に流れ込み、また中継ポンプ場を経由して下水処理場70に流入される。下水処理場70に流入された下水10は、一例に順次、着水井、沈砂池、最初沈殿池71、反応槽72、最終沈殿池73、場合により高度処理設備74、塩素混和池75等を経て、放流される。沈砂池には、一例にスリットを複数有するスクリーンが設けられている。下水10に含まれる夾雑物のうちのスリットを透過されないものは、このスクリーンにより捕集され取り除かれる。しかしながら、このスクリーンを透過された夾雑物は、下水10中に含まれたまま、その下流に備わる最初沈殿池71に流入される。最初沈殿池71では流入された下水10に含まれる夾雑物のうちの重量物が重力により沈降(沈殿)される。夾雑物のうちの沈降されないものは、最終沈殿池73から流出(越流)される。なお、最初沈殿池71で沈降する物には、夾雑物に限らず、下水配管や下水道幹線に堆積された砂や泥等であって、下水10と共に流入されたものも、含まれる(以下、最初沈殿池71で沈降されたものを「生汚泥62」ともいう。)。最初沈殿池71の越流堰から流出(越流)された水、すなわち、一次処理水82は、後述する返送汚泥61aと共に反応槽72に流入され、空気や高濃度酸素等による曝気を受けた後、汚泥混合水83として反応槽72から流出される。汚泥混合水83は、最終沈殿池73に流入され、同汚泥混合水83のうち汚泥分が沈降(沈殿)される。このとき、汚泥混合水83に含まれる夾雑物も汚泥分と共に沈降(沈殿)される(なお、最終沈殿池73で沈降した沈降物を「活性汚泥61」ともいう。)。最終沈殿池73の越流堰から流出(越流)された水、すなわち、二次処理水84は、場合により備わる、オゾン処理設備その他の高度処理設備74に流入され、高度処理され、高度処理水85として流出される。この高度処理水85は塩素混和池75で消毒され、放流水86として河川に放流される。一方、活性汚泥61は、その一部が余剰汚泥61bとして汚泥処理場88に送られ、残りが返送汚泥61aとして反応槽72に流入される。
(汚泥処理場)
生汚泥62と余剰汚泥61bは混合され、又は別々に汚泥処理場88に送られる。生汚泥62及び/又は余剰汚泥61b(以下、単に「汚泥38」ともいう。)は、汚泥処理場88に備わる切断装置30に流入され、汚泥38に含まれる夾雑物がこの切断装置30により切断される。切断装置30から流出された、切断物を含む汚泥39は、その後の設備である重力濃縮設備(汚泥分配槽89及び重力濃縮槽90をいう。汚泥分配槽89を備えない場合は重力濃縮槽90のみをいう。)に送られる。重力濃縮設備で濃縮された汚泥は、順次、消化タンク91、脱水機92、焼却炉94で処理される。一方、消化タンク91で発生される消化ガスは、脱硫装置93を経て、例えば、ボイラや焼却炉94、ガスエンジン発電機などに送気される。なお、消化タンク91、脱硫装置93および焼却炉94は、設けない場合もある。
また、重力濃縮設備ではスカムが発生するが、発生したスカムを下水処理場から送られた汚泥に混入させてもよい。スカムを下水処理場から送られた汚泥に混入させる手段として、例えば、重力濃縮設備の液面の高さにスカムを捕集するスカムスキマー等の機器を取り付ける。そして、捕集されたスカムを、配管で同下水処理場から送られた汚泥に返送し、混入させる手段を採ることができる。
なお、汚泥分配槽89を設けない汚泥処理場88の場合には、切断物を含む汚泥39は重力濃縮槽90に流入される。また、生汚泥62と余剰汚泥61bのそれぞれが別々の経路(配管)で汚泥処理場88に送られる場合には、生汚泥62のみを切断装置30に流入させ、余剰汚泥61bを切断装置30に流入させずに直接に重力濃縮設備に流入させてもよい。
「汚泥38」には夾雑物が含まれているものとし、「汚泥39」には切断装置30により切断された夾雑物(切断物)が含まれるものとする。
夾雑物は、ポンプ場や沈砂池に備わるスクリーンで捕集することが可能であるが、一般に夾雑物の形態(例えば、大きさや長さ)は、様々であるため、同スクリーンで捕集されずに透過される夾雑物もある。同スクリーンを透過された夾雑物は、最初沈殿池71から生汚泥62として引き抜かれ、また最終沈殿池73から余剰汚泥61bとして引き抜かれ、汚泥処理場に送られることになる。
(スカム)
重力濃縮設備に送られた汚泥は、その後の脱水をし易いように重力により沈降されて固液分離を行い濃縮される。この固液分離を行う際、夾雑物を含む汚泥が液中から液面に浮上されスカムとなる。スカムとは、下水処理場70を流れる下水及び汚泥処理場88を流れる汚泥の液面に浮く、スポンジ状又は塊状の異物をいう。また、スカムの中には液面に漂っているうちに次第に硬化されるものもある。特に重力濃縮設備においては、同設備に送られた、夾雑物を含む汚泥のうち、液面に浮上されたものをいう。
スカムの発生原因は種々ある。汚泥中でガスが発生することにより、発生するスカムは、一例として次のように発生するものと考えられている。
スカムが重力濃縮設備に送られる汚泥38の汚泥固形物濃度はおよそ10〜4kg/m3であり、この汚泥を含む液には硝酸性窒素や亜硝酸性窒素等が溶存されている。重力濃縮設備に汚泥が貯留されると、汚泥を含む液が嫌気状態(すなわち溶存酸素が少ない状態)となり硝酸性窒素や亜硝酸性窒素等に結合されている酸素原子や水素原子、すなわち、酸素分、水素分が消費され、無数の窒素ガスが生成される化学反応が促進される、すなわち、次式(1)に示す、脱窒反応が促進される。
[化1]
aHNOX → bH2O + cN2↑ ・・・式(1)
ここで、X=2又は3であり、a、b、cは係数である。
窒素ガスは同液に対して比重が小さく液中から液面に上昇する。このとき、夾雑物を含む汚泥が窒素分と共に浮上してスカム化される。
また、重力濃縮設備では、重力濃縮設備に貯留された汚泥を含む液中に酸素が溶解されている。この酸素のことを溶存酸素といい、この溶存酸素が減少すると、汚泥を含む液が嫌気状態になる。この状態下では一例として硫酸塩還元細菌により硫酸塩が還元されて、硫化水素ガスが発生される。また、酸性発酵も生じうる。さらに、汚泥を含む液が油脂に起因して粘性を帯びることもある。
汚泥中の夾雑物のうち、例えば、毛髪や繊維類、トイレットペーパー、生ごみ、油脂、泥、砂等は相互に、又は汚泥を介して、付着し合い肥大化される場合がある。肥大化された夾雑物には汚泥が多量に付着されて塊となる。この塊が液面に浮上してスカム化すると、諸設備のバリやレーキ、越流部に容易に引っ掛かる。また、複数のスカムが液面に漂うと徐々に他のスカムと付着し合い、スカムの大きな塊が形成され、かつ成長していく。このスカムの大きな塊を放置しておくと、重力濃縮設備の液面全体がスカムの塊で覆われ、結果、重力濃縮設備の稼働に重大な支障をきたす。
また、スカムが腐敗すると固化して、固化したスカムが配管内で閉塞をもたらす原因となり得る。スカムからは毒性ガスである硫化水素が発生し、設備を腐食させたり、腐臭をもたらしたりして、作業環境の悪化を引き起こすこともある。スカムに含まれる夾雑物の中には50cm〜100cm又はそれ以上のものがあり、夾雑物を含むスカムが、次工程に送られると消化タンク91、脱水機92、設備配管、水路等に絡まったり、停滞したりして適切な操業に不具合をもたらす。
このような悪化を回避するため、現状では、スカムを定期的に人力で除去したり、吸引装置で吸引したり、水圧洗浄したりするなどの対策をして、スカムが成長するのを抑制している。しかしながら、これらの対策は、スカムの発生及び成長することの根本的な解決とはなっていない。
そこで、夾雑物の肥大化を阻止する手段を採ることが、結果としてスカムの発生や成長を抑制できる。夾雑物の肥大化を抑制する手段には、公知の手段を採ることができるが、次に示す切断装置30を用いることが好ましい。切断装置30で適切なサイズに切断された夾雑物は、相互に絡まりにくく束になり難いので、結果、肥大化され難い。
(切断装置)
切断装置としては、切断刃で破砕するものであればその切断装置の構成は特に制限されるものではないが、夾雑物を切断するには、本実施形態に示す切断装置30を好適に利用できる。また、特許文献3や特許文献4に開示される切断装置や月島テクノメンテサービス株式会社が販売する製品「ロタカット」であってもよい。本実施形態に示す切断装置30は、汚泥38の流れの中に、汚泥38の流れ方向38bの回転軸線周りに回転するホルダー32に保持された切断刃35と、汚泥38の流れ方向38bと交差して設けられた、複数の透過孔34aを有する対向板34とを備えることができる。また、流れ方向38bとホルダー32の回転軸線は平行であってもよいし、鋭角であってもよい。切断刃35は、切断刃本体が刃となっている形態であってもよいし、回転羽根35bに刃先35aを備えた形態であってもよい。夾雑物は、切断刃35と、対向板34とで挟まれ、せん断力を受け切断される。図3を参照しつつ説明すると、切断装置30には、切断刃35(回転羽根35bと回転羽根に備わる刃先35a)が、対向板34面と対向して備わっている。対向板34面には同対向板34を貫通する透過孔34aが複数設けられている。対向板34は、刃を備えてもよいし、備えなくてもよい。刃を備える場合は、刃は、例えば、対向板34における汚泥38の上流側面34A上に設けてもよいし、透過孔の縁を刃状に形成して設けてもよい。対向板34の形態として、網状のものでもよく、この網自体が刃先となっている、いわゆる網刃でもよい。また、穴あき板や篩板、格子板でもよく、穴あき板や篩板、格子板における透過孔の縁が刃先で形成されている形態を提示できる。さらに、図6に示すように、中心から外方へ渦状に次第に広がりながら、ほぼ四角形状やほぼ三角形状の透過孔34aを並べた対向板の形態であってもよい。
切断刃35は、対向板34に近接又は接触させた対向状態で回転するように設置するとよい。このように配置すると、切断装置30を流れる第1処理液に含まれる夾雑物のうちの対向板34に留まった(又は、引っ掛かった)夾雑物が、回転する切断刃35により切断され好ましい。切断刃35は対向板34に対して汚泥流れ方向の上流側に設置するとよい。
切断刃35は回転自在なホルダー32に備わり、ホルダー32が回転すると切断刃35は、同上流側平面34Aに沿って回転する。切断刃35aと、対向板34の上流側平面34Aとは、近接又は接触した対向状態で回転する。
切断刃35と、対向板34の上流側平面34Aとが接触していると、切断刃35の回転により切断刃35が同上流側平面34Aに付着した夾雑物を掻き剥がすとともに、夾雑物が確実に切断され好適である。切断刃35の刃先35aを上流側平面34Aに接触させた状態が維持される手段の一例として、切断刃35に備わるホルダー32を、切断刃35から対向板34へ向かう方向(付勢方向)42に付勢する手段33aを挙げることができる。これにより切断刃35は、付勢方向42に引っ張られた(付勢された)状態で、対向板34の上流側平面34Aに接触したまま回転することが可能となる。付勢手段33aとしては、バネや油圧シリンダ等、公知の手段を利用できる。なお、ホルダー32はギアモータ等で回転させるとよい。
切断刃35は回転羽根状に形成できる。この場合、羽根の枚数を適宜、設定することができる。例えば、1枚としてもよいし、2枚、3枚、4枚、5枚、8枚等、2〜8枚のいずれかの枚数としてもよい。
対向板34の透過孔34aの形状は、特に限定されないが、例えば、ほぼ円形、ほぼ三角形〜ほぼ六角形からなる多角形を複数設けたり、格子状、網状等にしたりすることができる。透過孔34aの幅(又は径)は適宜設定することができ、例えば10〜40mmとすると、夾雑物が適度に切断されて透過孔34aを透過されるので好ましい。
本実施形態の切断装置30には、下水処理場から送られた汚泥38が流入される流入部36と、この汚泥38に含まれる夾雑物が切断されて得られた切断物が流出される流出部37を備えることができる。対向板34は流入部36の下流側で、かつ流出部37の上流側に備わる。そして、対向板34は流入部36における汚泥38の流入方向38aに対して交差するように備わっている。汚泥38は、流れ方向38aで流入部36に流入され、流れ方向38aを変えずに対向板34を透過して、流出部37から流出される態様にすることができる。しかしながら、流れ方向38aで流入部36に流入された汚泥38が、流れ方向38bを変えて対向板34を透過して、流出部37から流出される態様にすることもできる。対向板34(すなわち、対向板34面の傾き34r)と、切断装置30の流入部36における汚泥38の流入方向38aと、でなす角度θは直角でもよいが、図4に示すように鋭角にすると好ましい。特に、鋭角にしたときの角度θを15・以上にすると好適である。鋭角にすると、夾雑物が対向板34に引っ掛かって留まりやすくなるので、切断される夾雑物が多くなり、結果、切断された夾雑物を多く含む汚泥39が切断装置30から流出される。角度θが15・より小さいと汚泥38の流入方向38aと対向板34の平面が平行に近くなり、水理学的に汚泥38が対向板34面を透過する速度が小さくなる。対向板34を透過する汚泥38の流量が低減し、結果として、単位時間当たりの汚泥の処理量が減少する。
図4、図10に示すように対向板34と切断刃35はケーシング内に備えることができる。ケーシングは2室で構成でき、第1室40と第2室41とを仕切るように対向板34を設けるとよい。第1室には前述の切断刃35と流入部36が備わり、第2室には流出部37が備わる。この場合、切断刃35に備わるホルダー32を、第2室側に延ばし、同第2室の上部に備わる付勢手段33aまで延在するように配するとよい。第1室に流入された汚泥38は、対向板34を透過して第2室に導かれ、切断装置30通過後の汚泥39として流出部37から流出される。なお、第1室40内における汚泥38の流れ方向は、第1室を形成する内壁40aにより随時変化する。第1室内で対向板34を透過する方向に流れる汚泥38が対向板34を透過する。また、一例に流入部36において汚泥38の流入方向38aに見て(すなわち図4において紙面左から右に投影して見た場合)、流出部37の位置は、その全部または一部が、流入部36の位置に重なって備わってもよい。換言すると、流入部36と切断部と流出部37が汚泥38の流れに沿って、同一直線上に順に備わるものとしてもよい。また、流出部37の位置は、その全部または一部が、流入部36を流れる汚泥38の流入方向の延長線上に重ならないように備わってもよい。一例に図10紙面において、流出部37全体が、流入部37の下端から流入方向に伸ばした仮想線36aよりも下に位置する。重なって備えた場合、汚泥38の流れに対する抵抗が小さく、重ならないように備えた場合、汚泥38の流れに対する抵抗が大きい。具体的には、流出部が流入部における汚泥の流入方向軸線上に位置せず、流入方向軸線に対してずれて配置されていると、流入部から流出部に至るまでに汚泥の流れ方向が変わってしまい、水圧の損失が相対的に大きい。一方で、流出部が流入部における汚泥の流入方向軸線上に位置するので、流入部から流出部に至るまでに汚泥の流れ方向が大きく変わらず、水圧の損失が相対的に小さい。
また、ケーシングを設けず、汚泥38が流れる水路内や配管内に、対向板34と切断刃35を有する切断装置を備えてもよい。この場合、言うまでもないが汚泥38の流れ方向に対して、上流側に切断刃35を、その下流側に対向板34を対向させて配置させる。
汚泥38は、その全てを対向板34に透過させてもよいし、その一部を透過させてもよいが、全てを透過させるのが好ましい。
汚泥38に含まれる夾雑物、特に糸状物や帯状物は、回転自在な切断刃35及び/又は対向板34により切断力(せん断力)を受け、切断される。よって、切断装置30通過後の汚泥39に含まれる夾雑物の大部分が、長さが50mm以下となるので、本切断装置30よりも下流側に備わる諸設備に付着したり、絡まったりすることを抑制することができる。
切断装置の別の実施形態を図7を参照しつつ説明すると、切断装置130には、切断刃135(回転羽根135bに取り付けられた刃135a)が、対向板134と対向する側に備わっている。対向板134には同対向板134を貫通する透過孔が複数設けられている。切断刃135にはギアモータ152等で回転するホルダー132が備わり、切断刃135はホルダー132の回転により対向板134の面に沿って回転する。切断刃135と、対向板134における汚泥38の上流側面とは、接触している。切断刃135を対向板134に接触させるために切断刃135から対向板134へ向かう方向(付勢方向)に付勢する手段133が備わっている。また、切断しきれず対向板134を透過できない夾雑物は、切断装置130の下部に備わる取り出し部151から取り出すことができる。また、本体の運転停止時には、本体130に備わる支点軸100を中心に切断装置130の上部(対向板134よりも上部)を、図7の紙面に対して反時計回りに動かして開けることができる。そうすると、上方からケーシング136内を視認することができ、本体内部のメンテナンスを容易に行うことができる。なお、切断装置130の上部を閉じた状態において切断装置130の運転を行うと、切断装置130に送られた汚泥38が対向板134を透過して、結果、切断装置30通過後の汚泥39が得られる。
切断装置30、切断装置130に流入させる汚泥38の流量は、15〜300m3/hとするとよく、特に、20〜180m3/hとするのが好ましい。15m3/hよりも少ないと、汚泥処理場における汚泥の全体としての処理量が少なく処理工程に支障をきたす。300m3/hより多いと、切断装置30、切断装置130内や設備配管で夾雑物の閉塞をきたしたり、切断部を通過する汚泥の速度が速くなるため、夾雑物のせん断長さが長くなり所望のせん断長さ(サイズ)を得にくくなったりするおそれがある。
(重力濃縮槽)
切断装置30を通過した汚泥39は、重力濃縮設備に送られる。重力濃縮設備は、汚泥分配槽89とその下流に設置される重力濃縮槽90とで構成される。なお、重力濃縮設備は、汚泥分配槽89を設けずに重力濃縮槽90のみから構成されてもよい。
切断装置30から流出された、切断物を含む汚泥39は重力濃縮設備に連続に流入させてもよいし、間欠に流入させてもよい。連続に流入させる場合には、下水処理場から送られる汚泥38の濃度が低くなり過ぎないようにするとよい。例えば、最初沈殿池71の汚泥引抜ホッパに溜まった生汚泥を連続的に引き抜くと、引き抜かれた汚泥の濃度は時間経過とともに徐々に低くなる。低濃度の汚泥を重力濃縮設備に流入させても、濃縮されるまで長時間かかるため好ましくない。この点を考慮すると、汚泥38の汚泥固形物濃度は5kg/m3以上とするとよい。一方間欠に流入させる場合には、例えば、汚泥38の汚泥固形物濃度が5kg/m3を下回らないように汚泥38を重力濃縮設備に流入させるとよい。間欠の間隔については、例えば、重力濃縮設備への汚泥38の流入を停止させてから、6時間(好ましくは4時間)経過させ、その後、汚泥38の流入を再開させるとよい。
汚泥分配槽89は、切断された夾雑物を含む汚泥39を一時的に貯留しておく槽である。重力濃縮槽90の処理流量に応じて重力濃縮槽90に流入させる汚泥流量を調節する流量緩衝(バッファ)用の槽としての機能を有する。
重力濃縮槽90は、流入された汚泥39を重力により沈降させて濃縮汚泥とし、上澄み液103と分離する槽である。また、濃縮汚泥の掻き寄せを担う槽である。重力濃縮設備に備わる掻き寄せ機96は、重力濃縮設備の底部に沈降した濃縮汚泥を同底部に備わる汚泥引抜部に誘導するものである。汚泥引抜部と消化タンク91との間は汚泥配管等で接続される。この汚泥配管等に備わる汚泥引抜ポンプ97により、汚泥引抜部に堆積された濃縮汚泥が消化タンク91に送られる。掻き寄せ機96は公知のものを適宜用いることができ、本実施形態の掻き寄せ機96は一例である。掻き寄せ機96は、重力濃縮設備の底部に近接又は接触して回転する掻き寄せ羽根96rと、この掻き寄せ羽根96rを回転させる回転軸96sと、回転軸96sを回転させるモータ96mを含むものである。掻き寄せ羽根96rが重力濃縮設備の底部に沈降した濃縮汚泥を汚泥引抜部に掻き寄せ、汚泥引抜部から汚泥引抜ポンプ97で引き抜かれた濃縮汚泥が次工程である、消化タンク91に送られる。重力濃縮槽90の周壁上部に備わる越流堰から上澄み液103が流出(越流)される。
掻き寄せ羽根96rの周速度は1〜5m/分とするとよく、2〜4m/分とするとより好ましい。周速度が5m/分を超えると濃縮汚泥が希釈化されてしまい、汚泥の濃縮が不十分になる。1m/分未満だと過度に濃縮した濃縮汚泥の抵抗が強くなり掻き寄せ羽根96rにトルクが掛かり過ぎ早期摩耗の原因となる。
相対的に大きいサイズの夾雑物は相互に付着し合い肥大化し、粘性を帯びたり、固化したりするため、掻き寄せ機96を損傷させる原因となる。このことからも夾雑物を含む汚泥38を重力濃縮設備に流入させるに先立ち、切断装置30で夾雑物を適切なサイズに切断されるのが好ましい。切断された夾雑物は相対的に小さいサイズになるので、相互に付着し難くなり、夾雑物の肥大化が抑制される。
重力濃縮設備に流入された汚泥39は時間経過するほど沈降して濃縮されて濃縮汚泥の層を形成する。この濃縮汚泥の層のうちの下層101は上層102からの圧密を受け、過度に濃縮され、高密度化された濃縮汚泥の層となる。高密度化された濃縮汚泥の層は、粘性が高く、汚泥配管等の閉塞(詰まり)をもたらす場合がある。このような場合、汚泥引抜ポンプ97を稼働させても所望の流量の汚泥を消化タンク91に送ることができなくなり、汚泥処理場88の連続操業に支障をきたす。また、汚泥を長時間、重力濃縮設備に滞留させておくと、槽内が嫌気状態となり、脱窒反応が促進されたり、硫化水素や二酸化炭素が発生する。そうすると、液内におけるこれら気体ガスの浮上と共に夾雑物を含む汚泥が浮上し、結果、スカムが発生し、増殖し、肥大化する原因となる。
濃縮汚泥の高密度化を防ぐ手段として公知の手段を用いることができるが、一例に重力濃縮設備での汚泥の滞留時間を制御する手法を挙げることができる。重力濃縮設備の滞留時間(h)とは、次式で定義されるものである。なお、重力濃縮設備が汚泥分配槽89と重力濃縮槽90からなる場合には、重力濃縮設備の滞留時間(h)は、汚泥分配槽89の滞留時間と重力濃縮槽90の滞留時間との合計時間をいう。また、重力濃縮設備が重力濃縮槽90のみからなる場合には、重力濃縮設備の滞留時間(h)は、重力濃縮槽90の滞留時間をいう。
[数1]
(重力濃縮設備の滞留時間)=(重力濃縮設備の容積(m3))/(重力濃縮設備に流入される汚泥流量(m3/h))
同様に、汚泥分配槽89の滞留時間(h)は、次式で定義されるものである。
[数2]
(汚泥分配槽89の滞留時間)=(汚泥分配槽89の容積(m3))/(汚泥分配槽89に流入される汚泥流量(m3/h))
同様に、重力濃縮槽90の滞留時間(h)は、次式で定義されるものである。
[数3]
(重力濃縮槽90の滞留時間)=(重力濃縮槽90の容積(m3))/(重力濃縮槽90に流入される汚泥流量(m3/h))
重力濃縮設備における汚泥の滞留時間は、12時間以内とするとよく、好ましくは10時間以内、さらに好ましくは8時間以内とすると好適である。12時間を超えると汚泥が腐敗したり、スカムが肥大化したりしてしまう。また、重力濃縮設備に流入される汚泥39の乾燥固形物濃度にもよるが30分以上滞留させておくとよい。30分未満だと汚泥の沈降が不十分で所望の濃縮がなされず、その後の工程での汚泥焼却に支障をきたす。
また、濃縮汚泥の高密度化を防ぐ手段として公知の手段を用いることができるが、他の一例に重力濃縮設備における固形物負荷(kg/(m2・日))を制御する手法を挙げることができる。固形物負荷とは、次式で定義されるものである。
[数4]
(固形物負荷)=(投入汚泥量((m3/日))・(投入汚泥固形物濃度(kg/m3))・(重力濃縮設備水面積(m2))
ここで、投入汚泥固形物濃度とは、重力濃縮設備に流入させる汚泥39の濃度をいう。
固形物負荷は、100kg・DS/(m2・日)以下とするとよい。また、30〜90kg・DS/(m2・日)とするとよりよく、50〜60kg・DS/(m2・日)とすると好適である。本実施形態では切断装置で夾雑物がせん断され所定のサイズとなるので、重力濃縮設備でのスカムの発生が抑制される。しかしながら、スカムの発生が100kg・DS/(m2・日)を超えると汚泥の腐敗やスカムの大量発生、肥大化の原因となる。
所定の固形物負荷を超えて汚泥が重力濃縮設備に流入されると、同重力濃縮設備内の汚泥濃度が高くなり過ぎ、ガス(気泡)の発生を速めてしまう。結果として、液中の大きな塊の浮上が速まり、スカムの大量発生をもたらす。
所定の固形物負荷以下にすることで、ガス(気泡)の発生を抑制でき、結果として、スカムの発生が抑制される効果を有する。
濃縮汚泥の汚泥引抜部からの引抜は連続的に行われてもよいし、断続的に行われてもよい。
重力濃縮設備の有効水深は4m以上とするとよく、汚泥界面は液面から2mよりも下になるよう制御すると、汚泥が越流する危険を防止でき好ましい。
前述のとおり、大きいサイズの夾雑物は、汚泥処理場の緒設備に付着したり、絡まったりするが、特に毛髪は粗大化していくため、適宜切断されることが望ましい。毛髪が汚泥38中に存在すると、毛髪の表面に有するキューティクル部に、有機物や油脂類、別の毛髪が付着する。また、これらが付着すると、細菌が繁殖する。毛髪はエナメル質状の組織で形成されているため硬度があり、生物分解され難く下水処理施設内に残存されたままとなる。毛髪が複数存在すると相互に絡みついて束になったり、長さ方向に繋がったりして、50cmを超える場合もある。さらに、束になった毛髪群に繊維物や汚泥その他の夾雑物が付着して肥大化し大きな塊となる。この大きな塊が配管や諸設備に付着し、汚泥の流れを閉塞させたり、設備機器の安定稼働を阻害させたりすることになる。
汚泥分配槽89及び重力濃縮槽90はそれぞれ1槽以上設けてもよい。例えば、図9に示すように汚泥分配槽89と重力濃縮槽90をそれぞれ2槽ずつ設けた場合は、第1汚泥分配槽の流入部に接続される上流配管(すなわち、汚泥39a1が流れる配管)に第1切断装置301を設置し、第2汚泥分配槽の流入部に接続される上流配管(すなわち、汚泥39a2が流れる配管)に第2切断装置302を設置するとよい。この場合、第1切断装置301及び第2切断装置302のそれぞれに汚泥38が流入されるよう配管しておく。また、第1切断装置301と第2切断装置302から流出されたそれぞれの汚泥が混ざり合うバイパス配管を設けておくこともできる。第1汚泥分配槽891の流出部に接続される第1下流配管(すなわち、汚泥39b1が流れる配管)と第2汚泥分配槽892の流出部に接続される第2下流配管(すなわち、汚泥39b2が流れる配管)は、それぞれ別々に第1重力濃縮槽901と第2重力濃縮槽902に接続されてもよい。また、第1下流配管と第2下流配管が一旦合流される合流配管(バイパス配管)を設けて、第1汚泥分配槽891から排出された汚泥39b1と、第2汚泥分配槽892から排出された汚泥39b2とが混合可能となる形態としてもよい。第1下流配管の下流から汚泥が第1重力濃縮槽901に流入され、第2下流配管の下流から汚泥が第2重力濃縮槽902に流入されるようすると好ましい。このように配管を設けておくと、例えば、第1重力濃縮槽901が故障した場合に、第1重力濃縮槽901への汚泥の流入を停止させて汚泥39b1を合流配管を経由させて、第2重力濃縮槽902に流入させることが可能となる。そうすると、第1切断装置301、第2切断装置302、第1汚泥分配槽891及び第2汚泥分配槽892、第2重力濃縮槽902を使用し、汚泥処理場88の操業を緊急停止させることなく継続運転できるものとなる。
切断装置30を汚泥分配槽89に接続される上流配管と、下流配管(例えば、汚泥分配槽89と重力濃縮槽90とを接続する配管部)とにそれぞれ設ける形態も好ましい。同上流側に設けた切断装置30により汚泥38が切断され、汚泥分配槽89でのスカムの発生は抑制される。また、汚泥分配槽89から流出した汚泥が、同下流配管に設けた切断装置30により、さらに切断され、重力濃縮槽90でのスカムの発生がより抑制される。
本明細書では、汚泥処理場88のうちの、切断装置30、重力濃縮槽90(汚泥分配槽89を設ける場合は汚泥分配槽89も含まれる)、を含めて汚泥処理設備という。
本実施形態の下水とは特に限定されないが、一例に、浄化槽排水、農業・漁業集落排水、雨水、工場排水、事業場排水、不明水、伏流水、湧水、地下水、工業用水、下水管水、下水道幹線水、生汚泥、活性汚泥、下水処理場及び/又は汚泥処理場の各処理工程を流れる工程水等を挙げることができる。
本明細書に記載される用語は、「日本下水道協会:下水道施設計画・設計指針と解説 2001年版」に記載される用語に基づく。
本発明で開示される汚泥処理方法及び汚泥処理設備は、特に限定されないが、例えば、公共下水道、流域下水道、都市下水路の下水処理施設で利用することができる。
10 下水
30 切断装置
32 ホルダー
34 対向板
34A 対向板における第1処理液の上流側平面
34a 透過孔
35 切断刃
38 汚泥
39 汚泥
89 汚泥分配槽
90 重力濃縮槽

Claims (6)

  1. 汚泥処理場に備わる重力濃縮設備に、下水処理場から送られた汚泥を流入させ、重力により沈降させて濃縮汚泥を得る汚泥処理方法であって、
    前記汚泥の流れの中で、前記汚泥に含まれる夾雑物を所定のサイズに切断して切断物を得て、
    前記切断物を含む汚泥を前記重力濃縮設備に流入させ、
    前記重力濃縮設備で発生したスカムを、前記下水処理場から送られた汚泥に混入させる処理を行い、
    前記下水処理場から送られた汚泥は、当該下水処理場で沈降した生汚泥を含むものである、
    ことを特徴とする汚泥処理方法。
  2. 前記切断物を含む汚泥を間欠に前記重力濃縮設備に流入させる、
    請求項1に記載の汚泥処理方法。
  3. 前記汚泥は生汚泥である、
    請求項1に記載の汚泥処理方法。
  4. 前記切断物は切断装置により切断され、
    前記切断装置は、前記汚泥の流れ方向の回転軸線周りに回転するホルダーに保持された切断刃と、前記汚泥の流れと交差して設けられた、複数の透過孔を有する対向板とを備え、前記対向板に近接又は接した対向状態で前記切断刃が回転するものである、
    請求項1に記載の汚泥処理方法。
  5. 前記下水処理場から送られた汚泥を前記重力濃縮設備の上流側に備わる切断装置に流入させ、
    前記切断装置は、前記汚泥が流入される流入部と、前記汚泥に含まれる夾雑物が切断される切断部と、切断されて得られた切断物が流出される流出部を有し、
    前記流入部と前記切断部と前記流出部とが前記汚泥の流れに沿って、同一直線上に順に配置されるものである、
    請求項1に記載の汚泥処理方法。
  6. 下水処理場から送られた汚泥に含まれる夾雑物が、前記汚泥の流れの中で切断されて切断物を得る切断装置と、
    前記切断物を含む汚泥が重力により沈降されて濃縮汚泥が得られる重力濃縮設備と、
    前記重力濃縮設備で発生したスカムを、前記下水処理場から送られた汚泥に混入させる手段とを備え、
    前記下水処理場から送られた汚泥は、当該下水処理場で沈降した生汚泥を含むものである、
    ことを特徴とする汚泥処理設備。
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