以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
図1は、一実施形態による射出成形機に備えられる第1射出装置のノズルタッチ時の状態を示す図である。図2は、一実施形態による射出成形機に備えられる第2射出装置のノズルタッチ時の状態を示す図である。図1および図2は、フレーム2におけるY方向スライドプレート72との対向面(例えばフレーム2の上面)に対し垂直な方向から視た図である。図1および図2において、スペースの都合上、第1射出装置40と制御装置90との間の信号伝達経路、および第2射出装置50と制御装置90との間の信号伝達経路の図示を省略する。
図1および図2に示すように、射出成形機は、金型装置30の型閉、型締および型開を行う型締装置10と、金型装置30内に成形材料を充填する射出装置と、型締装置10および射出装置を制御する制御装置90とを有する。射出装置としては、第1射出装置40と、第2射出装置50とが用いられる。また、射出成形機は、フレーム2と、フレーム2に対し射出装置をX方向にスライドさせるX方向スライド装置60と、フレーム2に対し射出装置をY方向にスライドさせるY方向スライド装置70とを有する。
先ず、型締装置10について説明する。型締装置10の説明では、型閉時の可動プラテン13の移動方向(図中X2方向)を前方とし、型開時の可動プラテン13の移動方向(図中X1方向)を後方として説明する。
型締装置10は、制御装置90による制御下で、金型装置30の型閉、型締および型開を行う。型締装置10は、型開閉方向が水平方向の横型である。型締装置10は、固定プラテン12、可動プラテン13などを有する。固定プラテン12は、フレーム2に対し固定される。固定プラテン12における可動プラテン13との対向面に固定金型32が取り付けられる。一方、可動プラテン13は、フレーム2上に敷設されるガイド(例えばガイドレール)17に沿って移動自在とされる。可動プラテン13における固定プラテン12との対向面に可動金型33が取り付けられる。固定金型32と可動金型33とで金型装置30が構成される。
固定プラテン12に対し可動プラテン13を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。可動プラテン13をX2方向に前進させ、可動金型33を固定金型32に接触させることで型閉が行われる。続いて、可動プラテン13をX2方向にさらに前進させ、型締力を生じさせることで型締が行われる。型締時に可動金型33と固定金型32との間にキャビティ空間34が形成され、キャビティ空間34に液状の成形材料が充填される。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間34の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。その後、可動プラテン13をX1方向に後退させ、可動金型33を固定金型32から離間させることで型開が行われる。
次に、第1射出装置40および第2射出装置50について説明する。第1射出装置40および第2射出装置50の説明では、型締装置10の説明とは異なり、図中X1方向を前方とし、図中X2方向を後方として説明する。
第1射出装置40は、制御装置90による制御下で、金型装置30の内部に成形材料を充填する。第1射出装置40は、第1シリンダ41、第1ノズル42、第1スクリュ43、第1スクリュ駆動装置45、第1加熱器48、第1温度検出器49などを有する。
第1シリンダ41は、第1シリンダ41の内部に供給された成形材料を加熱する。第1シリンダ41の外周には、バンドヒータなどの第1加熱器48と、第1温度検出器49とが設けられる。第1シリンダ41は軸方向に複数のゾーンに区分され、各ゾーンに第1加熱器48と第1温度検出器49とが設けられる。ゾーン毎に、第1温度検出器49の実測温度が設定温度になるように、制御装置90が第1加熱器48を制御する。
第1ノズル42は、第1シリンダ41の前端に設けられ、第1シリンダ41で加熱された成形材料を射出する。第1ノズル42は、金型装置30(例えば固定金型32)にタッチされ、金型装置30内に成形材料を充填する。第1ノズル42の外周には、第1加熱器48と第1温度検出器49とが設けられる。第1ノズル42の実測温度が設定温度になるように、制御装置90が第1加熱器48を制御する。
第1スクリュ43は、第1シリンダ41内において回転自在に且つ進退自在に配設される。
第1スクリュ駆動装置45は、第1スクリュ43を回転させることにより、第1スクリュ43の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。成形材料は、前方に送られながら、第1シリンダ41からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料が第1スクリュ43の前方に送られ第1シリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、第1スクリュ43がX2方向に後退させられる。その後、第1スクリュ駆動装置45は、第1スクリュ43をX1方向に前進させることにより、第1スクリュ43の前方に蓄積された液状の成形材料を第1ノズル42から射出する。
第2射出装置50は、制御装置90による制御下で、金型装置30の内部に成形材料を充填する。第2射出装置50で使用される成形材料と、第1射出装置で使用される成形材料とは、異なる種類であってよい。第2射出装置50は、第2シリンダ51、第2ノズル52、第2スクリュ53、第2スクリュ駆動装置55、第2加熱器58、第2温度検出器59などを有する。
第2シリンダ51は、第2シリンダ51の内部に供給された成形材料を加熱する。第2シリンダ51の軸方向と、第1シリンダ41の軸方向とは平行とされる。第2シリンダ51の外周には、バンドヒータなどの第2加熱器58と、第2温度検出器59とが設けられる。第2シリンダ51は軸方向に複数のゾーンに区分され、各ゾーンに第2加熱器58と第2温度検出器59とが設けられる。ゾーン毎に、第2温度検出器59の実測温度が設定温度になるように、制御装置90が第2加熱器58を制御する。
第2ノズル52は、第2シリンダ51の前端に設けられ、第2シリンダ51で加熱された成形材料を射出する。第2ノズル52は、金型装置30にタッチされ、金型装置30内に成形材料を充填する。第2ノズル52の軸方向と、第1ノズル42の軸方向とは平行とされる。第2ノズル52の外周には、第2加熱器58と第2温度検出器59とが設けられる。第2ノズル52の実測温度が設定温度になるように、制御装置90が第2加熱器58を制御する。
第2スクリュ53は、第2シリンダ51内において回転自在に且つ進退自在に配設される。
第2スクリュ駆動装置55は、第2スクリュ53を回転させることにより、第2スクリュ53の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。成形材料は、前方に送られながら、第2シリンダ51からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料が第2スクリュ53の前方に送られ第2シリンダ51の前部に蓄積されるにつれ、第2スクリュ53がX2方向に後退させられる。その後、第2スクリュ駆動装置55は、第2スクリュ53をX1方向に前進させることにより、第2スクリュ53の前方に蓄積された液状の成形材料を第2ノズル52から射出する。
複数のX方向スライド装置60、およびY方向スライド装置70は、金型装置30に成形材料を射出する射出装置の入れ替えに用いられる。X方向は、例えば第1シリンダ41の軸方向や第2シリンダ51の軸方向である。Y方向は、例えばX方向に対し垂直な水平方向である。
複数のX方向スライド装置60、およびY方向スライド装置70は、第1射出装置40および第2射出装置50を移動させることで、金型装置30の成形材料注入口35に正対する成形位置に位置する射出装置を入れ替える移動装置を構成する。以下、Y方向スライド装置70、X方向スライド装置60の順で説明する。
Y方向スライド装置70は、金型装置30に対し第1射出装置40および第2射出装置50をまとめてY方向にスライドさせる。Y方向スライド装置70は、例えばY方向スライドガイド71と、Y方向スライドプレート72と、Y方向駆動装置73と、Y方向位置検出器74と、Y方向ロック装置79とを有する。
Y方向スライドガイド71は、例えばフレーム2に固定され、Y方向スライドプレート72を案内する。
Y方向スライドプレート72は、第1射出装置40および第2射出装置50を支持する。Y方向スライドプレート72をY方向にスライドさせることで、金型装置30の成形材料注入口35の正面に位置する射出装置が入れ替わる。Y方向スライドプレート72が、特許請求の範囲に記載のベースプレートに対応する。
Y方向駆動装置73は、例えば油圧シリンダや空気圧シリンダなどの流体圧シリンダで構成されてよい。この流体圧シリンダは、Y方向に平行とされ、シリンダ本体73aと、シリンダ本体73aから伸縮自在に突出するロッド73bとを有する。例えば、シリンダ本体73aがY方向スライドプレート72に固定され、ロッド73bの先端がフレーム2に固定される。流体圧シリンダがY方向に伸縮することで、Y方向スライドプレート72がY方向にスライドし、第1射出装置40および第2射出装置50がY方向にスライドする。
尚、流体圧シリンダの代わりに、電動モータが用いられてもよい。電動モータの回転運動は、ボールねじなどの運動変換機構によって、Y方向スライドプレート72の直線運動に変換される。また、電動モータの代わりに手動のハンドルが用いられてもよく、Y方向スライド装置70は手動で作動してもよい。
Y方向位置検出器74は、第1射出装置40および第2射出装置50のY方向位置を検出する。Y方向位置検出器74は、例えばY方向スライドプレート72のY方向位置を検出することで、第1射出装置40および第2射出装置50のY方向位置を検出する。
Y方向位置検出器74としては、例えば非接触式の近接スイッチや接触式のリミットスイッチが用いられる。近接スイッチやリミットスイッチは、Y方向スライドプレート72が所定位置に存在するか否かを検出する。
尚、Y方向位置検出器74としては、Y方向スライドプレート72のY方向変位を検出する変位センサも使用可能である。Y方向駆動装置73として電動モータが用いられる場合、電動モータの回転角を検出するエンコーダがY方向位置検出器74として用いられてもよい。
図3は、図1のIII−III線に沿った断面図であって、第1当接部の第1ストッパ部への当接時の状態を示す断面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図であって、第2当接部の第2ストッパ部への当接時の状態を示す断面図である。
図3および図4に示すように、フレーム2は、Y方向スライドプレート72との対向面に、第1ストッパ部7と第2ストッパ部8とを有する。第1ストッパ部7は、図3および図1に示すようにY方向スライドプレート72のY1方向のスライドを止める。一方、第2ストッパ部8は、図4および図2に示すようにY方向スライドプレート72のY2方向のスライドを止める。
また、図3および図4に示すように、Y方向スライドプレート72は、フレーム2との対向面に、第1当接部77と第2当接部78とを有する。第1当接部77が第1ストッパ部7に当接することで、Y方向スライドプレート72のY1方向のスライドが止まる。一方、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接することで、Y方向スライドプレート72のY2方向のスライドが止まる。
尚、図3および図4では、第1当接部77と第2当接部78とが、Y方向スライドプレート72におけるフレームとの対向面に、Y方向に間隔をおいて設けられるが、Y方向に間隔をおかずに一体に設けられてもよい。当接部の数は、1つでもよく、3つ以上でもよい。同様に、ストッパ部の数も、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
また、図3および図4では、第1当接部77と第2当接部78とが、Y方向スライドプレート72におけるフレームとの対向面に、凸部として設けられているが、図6および図7に示すように凹部として設けられていてもよい。凹部のY方向一端面が第1当接部77A、凹部のY方向他端面が第2当接部78Aとして用いられる。第1ストッパ部7と第2ストッパ部8について同様である。
図5は、図2のV−V線に沿った断面図であって、Y方向ロック装置によるY方向スライドプレートのロック時の状態を示す図である。Y方向ロック装置79は、制御装置90による制御下で、Y方向スライドプレート72を所定位置でロックする。
Y方向ロック装置79は、例えば図5に示すように、エアクランプで構成され、空気圧シリンダ79aと、アーム79bと、スイング軸79cと、偏心軸79dと、レバー79eと、主軸79fとを有する。空気圧シリンダ79aのロッドの先端部には、アーム79bの一端部がピン止めされている。空気圧シリンダ79aのロッドが軸方向に移動すると、アーム79bおよびアーム79bに連結された偏心軸79dがスイング軸79cを中心にスイングし、偏心軸79dを保持するレバー79eが主軸79fを中心に回動する。
空気圧シリンダ79aのロッドが図5中左方向に移動すると、レバー79eがY方向スライドプレート72の上面を押さえ、Y方向スライドプレート72がロックされる。一方、空気圧シリンダ79aのロッドが図5中右方向に移動すると、レバー79eがY方向スライドプレート72の上面から離れ、Y方向スライドプレート72のロックが解除される。
空気圧シリンダ79aは、Y方向スライドプレート72のロック後、内部と外部とを通じる流路を閉じることで、圧力を発生させる圧力発生装置の停止後も圧力を維持でき、Y方向スライドプレート72をロックし続けることができる。空気圧シリンダ79aの代わりに油圧シリンダなどが用いられてもよい。
尚、Y方向ロック装置79は、Y方向スライドプレート72の上面以外の面を押さえてもよい。例えば、Y方向ロック装置79は、第1当接部77における第1ストッパ部7との接触面とは反対側の面を押さえることで、Y方向スライドプレート72を所定位置でロックしてもよい。また、Y方向ロック装置79は、第2当接部78における第2ストッパ部8との接触面とは反対側の面を押さえることで、Y方向スライドプレート72を所定位置でロックしてもよい。
また、Y方向ロック装置79は、図5に示す構成に限定されない。例えば、Y方向ロック装置79は、空気圧シリンダ79aなどの流体圧シリンダが直接にY方向スライドプレート72を押さえる構成であってもよい。
X方向スライド装置60は、射出装置ごとに設けられる。複数のX方向スライド装置60は、金型装置30に対し第1射出装置40および第2射出装置50を独立にX方向にスライドさせる。各X方向スライド装置60は、例えばX方向スライドガイド61と、X方向スライドプレート62と、X方向駆動装置63と、X方向位置検出器64とを有する。
X方向スライドガイド61は、例えばY方向スライドプレート72に固定され、X方向スライドプレート62を案内する。
X方向スライドプレート62は、射出装置を支持する。第1射出装置40と第2射出装置50とは、異なるX方向スライドプレート62に対し固定される。複数のX方向スライドプレート62は、金型装置30に対し第1射出装置40および第2射出装置50を独立にX方向にスライドさせる。
X方向駆動装置63は、例えば油圧シリンダや空気圧シリンダなどの流体圧シリンダで構成されてよい。この流体圧シリンダは、X方向に平行とされ、シリンダ本体63aと、シリンダ本体63aから伸縮自在に突出するロッド63bとを有する。例えば、シリンダ本体63aがX方向スライドプレート62に固定され、ロッド63bの先端がY方向スライドプレート72に固定される。流体圧シリンダがX方向に伸縮することで、X方向スライドプレート62がX方向にスライドし、第1射出装置40や第2射出装置50がX方向にスライドする。
尚、流体圧シリンダの代わりに、電動モータが用いられてもよい。電動モータの回転運動は、ボールねじなどの運動変換機構によって、X方向スライドプレート62の直線運動に変換される。また、電動モータの代わりに手動のハンドルが用いられてもよく、X方向スライド装置60は手動で作動してもよい。
X方向位置検出器64は、射出装置のX方向位置を検出する。一のX方向位置検出器64は第1射出装置40のX方向位置を検出し、他のX方向位置検出器64は第2射出装置50のX方向位置を検出する。X方向位置検出器64は、例えばX方向スライドプレート62のX方向位置を検出することで、射出装置のX方向位置を検出する。
X方向位置検出器64としては、例えば非接触式の近接スイッチや接触式のリミットスイッチが用いられる。近接スイッチやリミットスイッチは、X方向スライドプレート62が所定位置に存在するか否かを検出する。
尚、X方向位置検出器64としては、X方向スライドプレート62のX方向変位を検出する変位センサも使用可能である。X方向駆動装置63として電動モータが用いられる場合、電動モータの回転角を検出するエンコーダがX方向位置検出器64として用いられてもよい。
制御装置90は、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリなどの記憶媒体92と、入力インターフェイス93と、出力インターフェイス94とを有する。制御装置90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、型締装置10、第1射出装置40、第2射出装置50、X方向スライド装置60、Y方向スライド装置70などの制御を行う。また、制御装置90は、入力インターフェイス93で外部からの信号を受信し、出力インターフェイス94で外部に信号を送信する。
例えば、制御装置90は、第1射出装置40と第2射出装置50を図1に示す状態から図2に示す状態に変更する場合、先ず、第1射出装置40を金型装置30からX2方向に後退させ、固定プラテン12の貫通穴から引き抜く。次いで、制御装置90は、Y方向ロック装置79によるY方向スライドプレート72のロックを解除し、Y方向スライドプレート72をY2方向にスライドさせ、第2射出装置50を金型装置30の成形材料注入口35に正対させる。その後、制御装置90は、Y方向ロック装置79によるY方向スライドプレート72のロックを実行し、第2射出装置50をX1方向に前進させ、第2射出装置50を金型装置30にタッチさせる。
一方、制御装置90は、第1射出装置40と第2射出装置50を図2に示す状態から図1に示す状態に変更する場合、先ず、第2射出装置50を金型装置30からX2方向に後退させ、固定プラテン12の貫通穴から引き抜く。次いで、制御装置90は、Y方向ロック装置79によるY方向スライドプレート72のロックを解除し、Y方向スライドプレート72をY1方向にスライドさせ、第1射出装置40を金型装置30の成形材料注入口35に正対させる。その後、制御装置90は、Y方向ロック装置79によるY方向スライドプレート72のロックを実行し、第1射出装置40をX1方向に前進させ、第1射出装置40を金型装置30にタッチさせる。
図1に示すように第1射出装置40が金型装置30にタッチされている時、第2射出装置50が金型装置30から外されている。また、図2に示すように第2射出装置50が金型装置30にタッチされている時、第1射出装置40は金型装置30から外されている。よって、第1射出装置40および第2射出装置50のうち、いずれか一方では成形品の成形を行いながら、残りの一方ではシリンダの昇温やパージなどの段取を行うことができる。
ここで、段取りとは成形準備のことであり、パージとはシリンダ内の成形材料の入れ替えのことである。パージでは、シリンダ内に残留する古い成形材料をシリンダ内から排出し、新しい成形材料をシリンダ内に供給する。入れ替えられる古い成形材料と新しい成形材料とは、同じ種類でも異なる種類でもよく、同じ色でも異なる色でもよい。
パージは、例えば、成形品の成形と同様に、スクリュの回転とスクリュの進退とによって行われてよい。スクリュ駆動装置がスクリュを回転させることにより、スクリュの螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。シリンダの前部に成形材料が蓄積されるにつれ、スクリュが後退させられる。その後、スクリュ駆動装置がスクリュを前進させることにより、スクリュの前方に蓄積された成形材料がノズルから排出される。
尚、パージは、スクリュの回転のみによって行われてもよい。スクリュ駆動装置がスクリュを定位置で回転させることにより、スクリュの螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られ、シリンダ内の成形材料がノズルから排出される。
金型装置30の成形材料注入口35の正面の位置を成形位置、成形位置からY方向スライドプレート72のスライド方向にずれた位置を待機位置と呼ぶ。図1〜図2に示すように、成形位置を挟んで、片側(Y2側)に第1射出装置40の待機位置が、反対側(Y1側)に第2射出装置50の待機位置が存在する。
ところで、図1に示すように、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接する時に、第1ストッパ部7はY方向スライドプレート72の外周縁72aの内側にあり、第1ストッパ部7はY方向スライドプレート72の下に隠れている。よって、第1当接部77と第1ストッパ部7との間に物が挟まることを抑制できる。
第1当接部77が第1ストッパ部7に当接する時に第1ストッパ部7がY方向スライドプレート72の下に隠れるように、第1当接部77における第1ストッパ部7との当接面はY方向スライドプレート72の外周縁72aの内側に形成されている。
Y方向スライドプレート72のスライド時に第1ストッパ部7がY方向スライドプレート72の外周縁72aの内側にあってよく、第1ストッパ部7はY方向スライドプレート72の下に常に隠れていてよい。よって、第1当接部77と第1ストッパ部7との間に物が挟まることをより抑制できる。
尚、図8および図9に示すように、第1ストッパ部7Bは、Y方向スライドプレート72の下に常に隠れていなくてもよい。第1当接部77Bが第1ストッパ部7Bに当接する時に、第1ストッパ部7BがY方向スライドプレート72の下に隠れていれば、第1当接部77Bと第1ストッパ部7Bとの間に物が挟まることを抑制できる。
第1当接部77が第1ストッパ部7に当接する時に、第1射出装置40の第1ノズル42が金型装置30の成形材料注入口35と正対してよい。これにより、第1ノズル42と成形材料注入口35との芯合わせの精度を向上できる。
尚、本実施形態では、第1当接部77と第1ストッパ部7とが、第1ノズル42と成形材料注入口35との芯合わせに用いられるが、フレーム2からのY方向スライドプレート72の脱落防止に用いられてもよい。
同様に、図2に示すように、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接する時に、第2ストッパ部8はY方向スライドプレート72の外周縁72aの内側にあり、第2ストッパ部8はY方向スライドプレート72の下に隠れている。よって、第2当接部78と第2ストッパ部8との間に物が挟まることを抑制できる。
第2当接部78が第2ストッパ部8に当接する時に第2ストッパ部8がY方向スライドプレート72の下に隠れるように、第2当接部78における第2ストッパ部8との当接面はY方向スライドプレート72の外周縁72aの内側に形成されている。
Y方向スライドプレート72のスライド時に第2ストッパ部8がY方向スライドプレート72の外周縁72aの内側にあってよく、第2ストッパ部8はY方向スライドプレート72の下に常に隠れていてよい。よって、第2当接部78と第2ストッパ部8との間に物が挟まることをより抑制できる。
尚、図8および図9に示すように、第2ストッパ部8Bは、Y方向スライドプレート72の下に常に隠れていなくてもよい。第2当接部78Bが第2ストッパ部8Bに当接する時に、第2ストッパ部8BがY方向スライドプレート72の下に隠れていれば、第2当接部78Bと第2ストッパ部8Bとの間に物が挟まることを抑制できる。
第2当接部78が第2ストッパ部8に当接する時に、第2射出装置50の第2ノズル52が金型装置30の成形材料注入口35と正対してよい。これにより、第2ノズル52と成形材料注入口35との芯合わせの精度を向上できる。
尚、本実施形態では、第2当接部78と第2ストッパ部8とが、第2ノズル52と成形材料注入口35との芯合わせに用いられるが、フレーム2からのY方向スライドプレート72の脱落防止に用いられてもよい。
Y方向ロック装置79は、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接する位置でY方向スライドプレート72をロックする。第1ストッパ部7で規定される位置からのY方向スライドプレート72の位置ずれを抑制できる。
尚、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接する時に、第1ストッパ部7はY方向スライドプレート72の下に隠れておらず露出していても、Y方向ロック装置79はY方向スライドプレート72をその可動範囲の端の位置で固定できる。
Y方向ロック装置79は、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接し且つ第1射出装置40の第1ノズル42が金型装置30の成形材料注入口35と正対する位置で、Y方向スライドプレート72をロックしてよい。第1ノズル42と成形材料注入口35との芯合わせ後のずれを抑制できる。
制御装置90は、Y方向ロック装置79によるY方向スライドプレート72のロックの前に、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接したことを確認し、その確認の後にロックを実施してもよい。これにより、確認前のロックを禁止でき、誤った位置でのロックを防止できる。
第1当接部77が第1ストッパ部7に当接したことの確認には、例えばY方向位置検出器74が用いられる。
また、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接したことの確認には、Y方向駆動装置73が流体圧シリンダを含む場合、流体圧シリンダの圧力を検出する圧力検出器が用いられてもよい。第1当接部77が第1ストッパ部7に当接すると、流体圧シリンダの圧力が上昇する。流体圧シリンダの圧力が所定値以上である場合、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接したと判断される。一方、流体圧シリンダの圧力が所定値未満である場合、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接していないと判断される。
また、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接したことの確認には、Y方向駆動装置73が電動モータを含む場合、電動モータのトルクを検出するトルク検出器が用いられてもよい。第1当接部77が第1ストッパ部7に当接した後、電動モータのトルクが上昇する。電動モータのトルクが所定値以上である場合、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接したと判断される。一方、電動モータのトルクが所定値未満である場合、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接していないと判断される。
尚、第1当接部77が第1ストッパ部7に当接したことの確認は、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。確認の精度を向上できる。
Y方向ロック装置79は、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接する位置でY方向スライドプレート72をロックする。第2ストッパ部8で規定される位置からのY方向スライドプレート72の位置ずれを抑制できる。
尚、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接する時に、第2ストッパ部8はY方向スライドプレート72の下に隠れておらず露出していても、Y方向ロック装置79はY方向スライドプレート72をその可動範囲の端の位置で固定できる。
Y方向ロック装置79は、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接し且つ第2射出装置50の第2ノズル52が金型装置30の成形材料注入口35と正対する位置で、Y方向スライドプレート72をロックしてよい。第2ノズル52と成形材料注入口35との芯合わせ後のずれを抑制できる。
制御装置90は、Y方向ロック装置79によるY方向スライドプレート72のロックの前に、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接したことを確認し、その確認の後にロックを実施してもよい。これにより、確認前のロックを禁止でき、誤った位置でのロックを防止できる。
第2当接部78が第2ストッパ部8に当接したことの確認には、例えばY方向位置検出器74が用いられる。
また、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接したことの確認には、Y方向駆動装置73が流体圧シリンダを含む場合、流体圧シリンダの圧力を検出する圧力検出器が用いられてもよい。第2当接部78が第2ストッパ部8に当接すると、流体圧シリンダの圧力が上昇する。流体圧シリンダの圧力が所定値以上である場合、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接したと判断される。一方、流体圧シリンダの圧力が所定値未満である場合、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接していないと判断される。
また、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接したことの確認には、Y方向駆動装置73が電動モータを含む場合、電動モータのトルクを検出するトルク検出器が用いられてもよい。第2当接部78が第2ストッパ部8に当接した後、電動モータのトルクが上昇する。電動モータのトルクが所定値以上である場合、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接したと判断される。一方、電動モータのトルクが所定値未満である場合、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接していないと判断される。
尚、第2当接部78が第2ストッパ部8に当接したことの確認は、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。確認の精度を向上できる。
第1ストッパ部7と第2ストッパ部8とはY方向スライドプレート72の可動範囲の両端位置を規定し、Y方向ロック装置79は図1および図2に示すように可動範囲の両端位置でのY方向スライドプレート72のロックに共通で用いられてよい。部品点数が削減できる。尚、Y方向スライドプレート72の可動範囲の両端位置を規定するためのストッパ部の数や形は特に限定されない。
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
上記実施形態では型締装置10として、型開閉方向が水平方向である横型締装置が用いられるが、型開閉方向が上下方向である竪型締装置が用いられてもよい。同様に、上記実施形態では第1射出装置40および第2射出装置50として、シリンダの軸方向が水平方向である横射出装置が用いられるが、シリンダの軸方向が上下方向である竪射出装置が用いられてもよい。
上記実施形態では第1射出装置40および第2射出装置50として、インライン・スクリュ式の射出装置が用いられるが、プリプラ式の射出装置が用いられてもよい。プリプラ式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
上記実施形態ではY方向スライドプレート72に支持される射出装置の数が2つであるが、1つでもよいし、3つ以上でもよい。第1射出装置40と第2射出装置50とは、独立にY方向に移動してもよく、異なるY方向スライドプレート72に支持されてもよい。
上記実施形態では成形位置を挟む両側に待機位置が設けられるが、片側のみに待機位置が設けられてもよい。この場合、移動装置は、第1射出装置40と第2射出装置50とをX方向にずらした状態で、第1射出装置40や第2射出装置50をY方向に移動させることで、成形位置に位置する射出装置を入れ替える。入れ替え時の射出装置の移動経路は、特に限定されない。