JP6687245B2 - 動脈壁肥厚の程度の検知方法 - Google Patents

動脈壁肥厚の程度の検知方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6687245B2
JP6687245B2 JP2016521042A JP2016521042A JP6687245B2 JP 6687245 B2 JP6687245 B2 JP 6687245B2 JP 2016521042 A JP2016521042 A JP 2016521042A JP 2016521042 A JP2016521042 A JP 2016521042A JP 6687245 B2 JP6687245 B2 JP 6687245B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
desarg
degree
antibody
blood
carotid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016521042A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2015178237A1 (ja
Inventor
次郎 人見
次郎 人見
里百合 及川
里百合 及川
昇 槇
昇 槇
泰博 菅又
泰博 菅又
久美子 飯田
久美子 飯田
千春 大植
千春 大植
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Iwate Medical University
Original Assignee
Iwate Medical University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Iwate Medical University filed Critical Iwate Medical University
Publication of JPWO2015178237A1 publication Critical patent/JPWO2015178237A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6687245B2 publication Critical patent/JP6687245B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、動脈壁肥厚の程度の検知方法に関する。
脳梗塞などの脳血管疾患や心筋梗塞などの心血管疾患の原因となるアテローム血栓症(ATIS:Atherothrombosis)は、動脈壁肥厚が進行した結果、血管内部に動脈硬化性のプラーク(粥腫)が形成され、内皮の損傷やプラークの破綻などによって血小板が活性化されて血栓が形成されるに至った状態であり、近年、死亡原因となる疾患として著しく増加していることは一般にもよく知られた事実である。従って、そのイベントリスクの判定を正確に行い、リスクが高い患者に対して適切な治療を行うことは、生命の危険や重篤な機能障害の発生を回避する上で非常に重要である。現在、アテローム血栓症の診断は、超音波(エコー)、血管造影、MRIなどの画像に基づいて行われている。しかしながら、こうした画像による診断は、画像の良し悪しが撮影者の技術によって左右されるため、いずれもゴールドスタンダードになり得ない。こうした点に鑑み、アテローム血栓症の指標となるバイオマーカーの探索が精力的に行われているが(例えば特許文献1)、動脈壁肥厚の程度の指標として用いることができるバイオマーカーは見出されていないのが現状である。
特表2008−512094号公報
そこで本発明は、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、バイオマーカーを用いた動脈壁肥厚の程度の検知方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意検討を行った結果、アルギニン欠損型補体成分C3a(C3a−desArg)とカルシウム結合性タンパク質であるS100A12のそれぞれが、動脈壁肥厚の程度を検知するためのタンパク質バイオマーカーとして有用であり、これらの血液中の存在量が多いほど動脈壁肥厚の程度が強く、これらの血液中の存在量に基づいて、現在、臨床現場において頸動脈硬化の進行度の指標として用いられている頸動脈IMT(内膜中膜複合体厚)の程度を階層化することができることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の頸動脈IMTの程度を階層化するための方法は、請求項1記載の通り、C3a−desArg、および/または、S100A12の血液中の存在量が多いほど、頸動脈IMTの程度が強いことを示すことによる。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、C3a−desArgの血液中の存在量の測定を、C3a−desArgを特異的に認識する抗体を用いて免疫学的手法によって行うことによる。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、S100A12の血液中の存在量の測定を、S100A12を特異的に認識する抗体を用いて免疫学的手法によって行うことによる。
また、本発明は、請求項4記載の通り、C3a−desArgを特異的に認識する抗体、および/または、S100A12を特異的に認識する抗体の、頸動脈IMTの程度を階層化するための使用である。
また、本発明は、請求項5記載の通り、C3a−desArgを特異的に認識する抗体、および/または、S100A12を特異的に認識する抗体を少なくとも含む、頸動脈IMTの程度を階層化するためのキットである。
本発明によれば、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、動脈壁肥厚の程度を検知する方法として、C3a−desArg、および/または、S100A12の血液中の存在量を指標とする方法を提供することができる。
実施例1における、C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度に基づいて、ATIS関連患者の群とCEA患者の群を区別することができることを示すグラフである。 同、C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度に基づいて、頸動脈IMTの程度を階層化することができることを示すグラフである。 実施例2における、C3a−desArgの血中濃度に基づいて、ATIS関連患者の群とCEA患者の群を区別することができることと、頸動脈IMTの程度を階層化することができることを示すグラフである。
本発明の動脈壁肥厚の程度の検知方法は、C3a−desArg、および/または、S100A12の血液中の存在量が多いほど、動脈壁肥厚の程度が強いと判断することによる。動脈壁肥厚の程度の検知は、C3a−desArgとS100A12のいずれか一方の血液中の存在量に基づいて行ってもよいし、それぞれの血液中の存在量を併用して行ってもよい。
本発明において、動脈壁肥厚の程度を検知するためのバイオマーカーとして用いるC3a−desArgは、補体成分であるC3aの分解産物であり、血液中でC3aのC末端のアルギニンが切除されることで生成し、C3aよりも安定かつ生物活性が低いことが知られている(必要であれば例えば特開2010−210408号公報を参照のこと)。
また、S100A12は、カルシウム結合性タンパク質であるS100タンパク質ファミリーに属し、終末糖化産物AGEの受容体であるRAGEへの新規リガンドEN−RAGE(extracellular newly identified RAGE−binding protein)とも呼ばれ、好中球が産生することが知られている(必要であれば例えばA.KOSAKI et al.,J Clin Endocrinol Metab,November 2004,89(11):5423−5428を参照のこと)。
C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血液中の存在量の測定は、例えば抗原抗体反応を利用する免疫学的手法、具体的には、ELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay)法、ウエスタンブロッティング法、ラテックス凝集比濁法、フローサイトメトリー法などにより、それぞれの方法の標準的なプロトコルに従って行うことができる。こうした方法に用いる抗体は、C3a−desArgとS100A12のそれぞれを特異的に認識する抗体が好適である。抗体は、モノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよい。また、市販の抗体や公知の抗体であってもよいし、自家作製した抗体であってもよい。抗体は、容易かつ簡便に動脈壁肥厚の程度を検知することができるように、洗浄液などとともにキット化してもよい。
本発明の動脈壁肥厚の程度の検知方法において検知対象とする動脈は、壁肥厚が起こりうる動脈であれば体内のどの部位に存在する動脈であってもよいが、検知対象とする好適な動脈としては頸動脈が挙げられる。検知対象とする動脈が頸動脈の場合、本発明の方法は、例えば次のようにして利用することができる。健康診断などにおいて頸動脈におけるアテローム血栓症のイベントリスクの判定を行うために、頸動脈壁肥厚の程度を知ることを目的として、対象者から採取した血液中のC3a−desArgやS100A12の存在量を、頸動脈壁肥厚の程度が軽度と重度のそれぞれの場合の予め定めた標準存在量(例えば超音波(エコー)、血管造影、MRIなどの画像による診断によって確定されたそれぞれの集団の平均存在量)と比較する。比較の結果、対象者の存在量が、壁肥厚の程度が軽度の場合の標準存在量よりも少なければ治療の必要なし、軽度の場合の標準存在量に相当すれば薬物療法を実施する、重度の場合の標準存在量に相当すれば頸動脈内膜剥離術(CEA)を施行するといったように、治療の必要性の有無を判断したり、治療方針を策定したりする。こうした治療の必要性の有無の判断や治療方針の策定を行う際、現在、アテローム血栓症の診断に利用されている、超音波(エコー)、血管造影、MRIなどの画像による診断の結果を参考にしてもよい。また、本発明の方法は、治療を行った対象者の治療後のC3a−desArgやS100A12の血液中の存在量を、治療前の存在量と比較することによる、頸動脈におけるアテローム血栓症に対する治療効果の判定や、対象者のC3a−desArgやS100A12の血液中の存在量を、以前の存在量と比較することによる、頸動脈におけるアテローム血栓症のイベントリスクの経時的変化の判定などにも利用することもできる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
参考例1:標準物質として用いるTrpE−C3a−desArg融合抗原の調製
(A)C3a−desArg遺伝子のクローニング
ヒト肝癌細胞株であるHuh7細胞より、全RNAを、High Pure Viral Nucleic Acid Kit(Roche diagnostics corporation)を用いてメーカーの推奨する方法に従って精製した。得られた核酸にC3ad−asプライマー(5’−ggatccttaggccaggcccaggtggctggcccgcgc−3’:配列番号1)を加え、SuperSucript II reverse transcriptase(Invitrogen)により、メーカーの推奨する条件で、42℃で1時間逆転写反応を行い、cDNAを得た。
得られた反応液にRNaseH(Invitrogen)を加え、37℃で30分反応させ、混在するRNAを分解した。この反応液の一部を用い、C3a−sプライマー(5’−gaattccatcatcatcatcatcattccgtgcagctcacggagaagcgaatggac−3’:配列番号2)とC3ad−asプライマーの存在下で、Takara EX Taq DNA polymerase(宝酒造)を用い、94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で30秒からなる30回のサーマルサイクル反応によるポリメラーゼチェインリアクション(PCR)を行うことにより、C3a−desArg遺伝子のcDNAの増幅を行った。
増幅した断片を1.2%アガロースゲル電気泳動によって分離し、アガロースゲルから、QIAquick gel purification kit(QIAGEN)を用い、メーカーの推奨する方法に従って約260bpのDNA断片を回収した。回収したDNA断片(C3a−desArg cDNA)を、メーカーの推奨する方法に従ってpGEM−T easyベクター(Promega)と連結反応させた後、得られた連結反応液を用いてDH5α株を形質転換した。アンピシリン耐性で、IPTGとX−galを加えた寒天培地上での平板培養で白色コロニーを形成する形質転換体を選び、アンピシリンを100μg/mlとなるよう加えた2YT培地(1.6%トリプトン、1%酵母エキス、0.5%NaCl)にて培養した。培養した菌体からWizard Plus SV Miniprep DNA Purification System(Promega)を用いてプラスミドを精製した。
精製したプラスミドに組み込まれているC3a−desArg cDNAの配列は、ベクターに適合したプライマーを用い、CEQ DTCS Quick Start Kit(BECKMAN・COULTER)により、メーカーの推奨する方法に従って反応を行い、CEQ2000 XL DNA analysis system(Software version 4.0.0、BECKMAN・COULTER)により解析した。得られたデータを基に、Sequencher(Version 4.1.2、Gene Codes Corporation)を用いて配列データの解析を行い、C3a−desArg cDNAの塩基配列を決定した。
(B)TrpE−C3a−desArg融合抗原発現プラスミドの構築
クローニングされたC3a−desArgプラスミド0.5μgを、制限酵素反応液20μl〔50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、1mMジチオスレイトール、100mM NaCl、15単位のEcoRIおよび15単位のBamHI酵素〕中、37℃で1時間消化し、その後、1.2%アガロースゲル電気泳動を行い、QIAquick gel purification kitを用いて、約260bpのEcoRI−BamHI断片を精製した。
次に、発現ベクターであるpATtrpEのプラスミド0.5μgを、制限酵素反応液20μl〔50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、1mMジチオスレイトール、100mM NaCl、15単位のEcoRIおよび15単位のBamHI酵素〕中、37℃で1時間消化し、その後、1.2%アガロースゲル電気泳動を行い、QIAquick gel purification kitを用いて、pATtrpEベクターのEcoRI−BamHI断片を精製した。
C3a−desArgプラスミドのEcoRI−BamHI断片とpATtrpEベクターのEcoRI−BamHI断片の連結反応を、10×リガーゼ用緩衝液〔660mM Tris−HCl(pH7.5)、66mM MgCl、100mMジチオスレイトール、1mM ATP〕5μlとT4リガーゼ1μl(350単位/μl)に水を加えて50μlとし、16℃で一晩保温して行なった。pATtrpE−C3a−desArg発現プラスミドを得るために、得られた連結反応液を用いて大腸菌BL21株を形質転換した。アンピシリン耐性で、寒天培地上での平板培養で生育した形質転換体を選び、アンピシリンを100μg/mlとなるよう加えた2YT培地にて培養した。
1.5mlの菌培養液を遠心して集菌し、プラスミドDNAのミニプレパレーションをアルカリ法〔Manniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982)〕により行なった。得られたプラスミドDNA1μgを、制限酵素反応液20μl〔50mM Tris−HCl(pH7.5)、10mM MgCl、1mMジチオスレイトール、100mM NaCl、15単位のEcoRIおよび15単位のBamHI酵素〕中、37℃で1時間消化し、その後、1.2%アガロースゲル電気泳動を行い、約260bpのEcoRI−BamHI断片が生じるpATtrpE−C3a−desArg発現プラスミドを選別した。
(C)TrpE−C3a−desArg融合抗原の発現および精製
pATtrpE−C3a−desArg発現プラスミドをもつ大腸菌BL21株を、50μg/mlのアンピシリンを含む3mlの2YT培地に接種し、37℃で9時間培養した。得られた培養液1mlを、50μg/mlのアンピシリンを含む100mlのM9−CA培地(0.6%NaHPO、0.5%KHPO、0.5%NaCl、0.1%NHCl、0.1mM CaCl、2mM MgSO、0.5%カザミノ酸、0.2%グルコース)に植え継ぎ、37℃で培養した。OD600=0.3の時に終濃度40mg/lになるようにインドールアクリル酸を加え、さらに16時間培養した。得られた培養液を5Krpmで10分間遠心して集菌した。
集めた菌体に、20mlの0.15M NaClを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.3)(PBS)を加えて懸濁し、再び遠心して、TrpE−C3a−desArg融合抗原の発現している菌体を約2g得た。得られた菌体をPBS10ml中に再懸濁し、超音波破砕により大腸菌膜を破砕した後に遠心し、TrpE−C3a−desArg融合抗原を含む可溶性画分を得た。得られた可溶性画分に、尿素とジチオスレイトールを、それぞれ最終濃度が6Mと2mMになるように添加した後、His GraviTrapカラム(GE Healthcare)を用い、メーカーの推奨する方法に従ってアフィニティークロマトを行い、TrpE−C3a−desArg融合抗原を精製した。
参考例2:抗ヒトC3a−desArg特異的モノクローナル抗体の作製
(A)ハイブリドーマの作製
抗ヒトC3a−desArg特異的モノクローナル抗体を作製するため、マウスへの免疫を以下のようにして行った。免疫抗原はC3a−desArgのC末端11アミノ酸ペプチド(QHARASHLGLA:配列番号3)のKLHコンジュゲートとし、10μg(ペプチド相当)をアジュバントであるTiterMax Gold(TiterMax USA)とともにBALB/cマウスに腹腔内投与した。2〜4週間ごとに同様の追加免疫を行い、さらにPBSに溶解したペプチド10μgを最終免疫として尾静脈内に投与した。
最終免疫後3日目にマウスから脾臓を無菌的に摘出し、ハサミおよび金属メッシュを用いて脾臓を個々の細胞にほぐし、RPMI−1640培地で3回洗浄した。対数増殖期のマウス骨髄腫細胞株Sp2/0−Ag14をRPMI−1640培地で3回洗浄後、この細胞と脾臓細胞を1:5の細胞数比で混合した。200×gで5分間遠心した後、上清を除去し、細胞隗を緩やかに混合しながら50%ポリエチレングリコール(PEG)4000(Merck)を含むRPMI−1640培地1mlをゆっくりと加え、さらにRPMI−1640培地10mlを加えて細胞融合させた。
得られた融合細胞を、200×gで5分間遠心してPEGを除いた後、10%ウシ胎児血清およびヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)を含むRPMI−1640培地に懸濁し、96ウエル細胞培養プレートに播種した。約10日間培養してハイブリドーマのみを増殖させた後、免疫抗原に対して特異的に反応するモノクローナル抗体を産生するクローンをELISA法により検索し、所望のハイブリドーマを得、限界希釈法により単一クローン化を行い、ハイブリドーマを樹立した。
(B)抗ヒトC3a−desArg特異的モノクローナル抗体の作製および解析
(A)で樹立したハイブリドーマの1つ(クローン名:C3ad−5)を、無血清培地(Hybridoma−SFM、GIBCO)を用い、37℃にて5%炭酸ガス中において72〜96時間培養した。培地中に産生されたモノクローナル抗体を精製するため、その培養液を、プロテインAセファロースカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにかけた。
C3ad−5が産生するモノクローナル抗体について、抗マウスIg各アイソタイプ抗体を用いたアイソタイプタイピングキット(Zymed)により、サブクラスを同定した結果、IgG2aであることがわかった。また、C3ad−5が産生するモノクローナル抗体は、市販のヒトC3a−desArg精製物(Calbiochem)に反応するが、市販のヒトC3a精製物(Calbiochem)に反応しないことから、C3a−desArg特異的モノクローナル抗体であることがわかった。
参考例3:ヒトC3a−desArgを検出するためのモノクローナル抗体の作製
免疫抗原としてC3a−desArgのN端側16アミノ酸ペプチド(KRMDKVGKYPKELRKC:配列番号4)のKLHコンジュゲートを用いること以外は参考例2と同様にして、所望のハイブリドーマを樹立した。その1つ(クローン名:C3N−6)が産生するモノクローナル抗体について、参考例2と同様にしてサブクラスを同定した結果、IgG1であることがわかった。また、C3N−6が産生するモノクローナル抗体は、市販のヒトC3a−desArg精製物および市販のヒトC3a精製物に反応することから、ヒトC3a−desArgを検出するためのモノクローナル抗体として用いることができることがわかった。
実施例1:C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度に基づく頸動脈IMTの程度の階層化
頸動脈壁肥厚が認められることでアテローム血栓症およびその危険因子を持つと判断された77名の患者(ATIS関連患者)と、頸動脈壁肥厚の程度が重度であることから頸動脈内膜剥離術(CEA)の施行が必要と判断された39名の患者(CEA患者)について、それぞれの患者から同意を得て、C3a−desArgとS100A12の血中濃度を測定した。C3a−desArgとS100A12の血中濃度の測定は、それぞれ後述するELISA法により行った。結果を表1に示す。
ATIS関連患者の77例とCEA患者の39例の両群のC3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度の測定結果を、Mann−Whitney検定により比較したところ、それぞれp<0.0001とp=0.0102で両群を区分することができた(図1)。さらに、頸動脈IMTの測定を行っているATIS関連患者の77例とCEA患者の31例の合計108例について、左右の総頸動脈の遠位壁(far wall)の最大IMT(IMT−Cmax)の合計値で2群(壁肥厚が3mm未満の軽度な群と3mm以上の重度な群)に分け、C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度の測定結果を、Mann−Whitney検定により比較したところ、それぞれp<0.0001とp=0.0254で両群を区分することができた(図2)。この結果は、Kruskal−Wallis検定による検討においても確認することができた。以上の結果から、C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度が高いほど頚動脈壁肥厚の程度が強く、これらの血中濃度に基づいて、頸動脈IMTの程度を階層化することができることがわかった。また、上記の2群(肥厚が3mm未満の軽度な群と3mm以上の重度な群)の区別の、C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度からの予測可能性を、ロジスティック回帰モデルを用いて10−fold cross−validationで検証したところ、ABI(足関節/上腕インデックス)を説明変数として予測したROC曲線のAUC(曲線下面積)が0.636であるのに対して、C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度の2変数を説明変数として予測したROC曲線のAUCは0.787であり、前者よりも後者の方が予測精度が高いことから、頚動脈壁肥厚の程度を検知する上において、C3a−desArgとS100A12のそれぞれの血中濃度を併用することの有用性を確認することができた。
(C3a−desArgの血中濃度の測定のためのELISA法のプロトコル)
参考例2で作製した抗ヒトC3a−desArg特異的モノクローナル抗体(C3ad−5)を、終濃度が5μg/mlになるように0.5M NaClを含む100mM炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)で希釈し、96ウエルマイクロプレート(ヌンク社)1ウエルにつき100μlづつ分注した。4℃で一晩静置した後、0.15M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)(以下「洗浄液」)0.35mlを用いてそれぞれのウエルを2回洗浄した。その後、0.5%カゼイン−Naを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)(以下「ブロッキング液」)0.35mlをそれぞれのウエルに添加し、さらに室温で4時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.2M NaClと1%BSAと0.07%カゼイン−Naを含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)90μlと、測定試料(血清)または段階的に希釈した標準物質(参考例1で調製したTrpE−C3a−desArg融合抗原)10μlを、それぞれのウエルに添加して100μlとし、室温で1時間反応させた。反応後、洗浄液0.35mlを用いてそれぞれのウエルを5回洗浄した。その後、参考例3で作製したヒトC3a−desArgを検出するためのモノクローナル抗体(C3N−6)をペルオキシダーゼ(POD)標識して調製した標識抗体液(0.2M NaClと1%BSAと0.07%カゼイン−Naを含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3))100μlをそれぞれのウエルに添加し、室温で1時間反応させた。洗浄液0.35mlを用いてそれぞれのウエルを5回洗浄した後、基質(オルトフェニレンジアミン)溶液100μlを添加し、室温暗所で30分間反応させた。反応後、2N硫酸溶液100μlをそれぞれのウエルに添加し、波長630nmの吸光度を対照として波長490nmにおける吸光度(OD490)を測定することで、C3a−desArgの血中濃度を測定した。
(S100A12の血中濃度の測定のためのELISA法のプロトコル)
A.KOSAKI et al.,J Clin Endocrinol Metab,November 2004,89(11):5423−5428に記載のELISA法を改変して行った。具体的には、次のようにして行った。抗ヒトS100A12特異的モノクローナル抗体(hCF128)を、終濃度が0.3μg/mlになるように0.5M NaClとBSA1μg/mlを含む100mM炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)で希釈し、96ウエルマイクロプレート(ヌンク社)1ウエルにつき100μlづつ分注した。4℃で一晩静置した後、0.15M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)(以下「洗浄液」)0.35mlを用いてそれぞれのウエルを2回洗浄した。その後、0.15M NaClと1%BSAを含む20mM HEPES緩衝液(pH7.4)(以下「ブロッキング液」)0.35mlをそれぞれのウエルに添加し、さらに室温で4時間静置した。ブロッキング液を除去した後、0.15M NaClと1%BSAと1mM EDTA−3Naを含む20mM HEPES緩衝液(pH7.4)90μlと、測定試料(血清)または段階的に希釈した標準物質(組換えS100A12抗原)10μlを、それぞれのウエルに添加して100μlとし、室温で30分間反応させた。反応後、洗浄液0.35mlを用いてそれぞれのウエルを4回洗浄した。その後、ヒトS100A12を検出するためのモノクローナル抗体(hCF113)をペルオキシダーゼ(POD)標識して調製した標識抗体液(0.15M NaClと1%BSAと1mM CaClを含む20mM HEPES緩衝液(pH7.4))100μlをそれぞれのウエルに添加し、室温で30分間反応させた。洗浄液0.35mlを用いてそれぞれのウエルを4回洗浄した後、基質(オルトフェニレンジアミン)溶液100μlを添加し、室温暗所で20分間反応させた。反応後、2N硫酸溶液100μlをそれぞれのウエルに添加し、波長630nmの吸光度を対照として波長490nmにおける吸光度(OD490)を測定することで、S100A12の血中濃度を測定した。
実施例2:C3a−desArgの血中濃度に基づく頸動脈IMTの程度の階層化(その2)
C3a−desArgの血中濃度の測定のために、市販のC3a−desArg測定用キット(Human C3a ELISA Kit、BD Biosciences)を用いること以外は、実施例1と同様の実験を行った(但しATIS関連患者は30例でCEA患者は31例)。結果を図3に示す。図3から明らかなように、市販のC3a−desArg測定用キットを用いても、ATIS関連患者の群とCEA患者の群をp<0.0001で区分することができた。また、左右の総頸動脈の遠位壁の最大IMTの合計値が3mm未満の群と3mm以上の群をp<0.0001で区分することができた。
本発明は、アテローム血栓症のイベントリスクの判定や、アテローム血栓症に対する治療効果の判定などを行うために有用な、動脈壁肥厚の程度の検知方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. アルギニン欠損型補体成分C3a(C3a−desArg)、および/または、カルシウム結合性タンパク質であるS100A12の血液中の存在量が多いほど、頸動脈IMT(内膜中膜複合体厚)の程度が強いことを示す、頸動脈IMTの程度を階層化するための方法。
  2. C3a−desArgの血液中の存在量の測定を、C3a−desArgを特異的に認識する抗体を用いて免疫学的手法によって行う、請求項1記載の方法。
  3. S100A12の血液中の存在量の測定を、S100A12を特異的に認識する抗体を用いて免疫学的手法によって行う、請求項1記載の方法。
  4. C3a−desArgを特異的に認識する抗体、および/または、S100A12を特異的に認識する抗体の、頸動脈IMTの程度を階層化するための使用。
  5. C3a−desArgを特異的に認識する抗体、および/または、S100A12を特異的に認識する抗体を少なくとも含む、頸動脈IMTの程度を階層化するためのキット。
JP2016521042A 2014-05-17 2015-05-11 動脈壁肥厚の程度の検知方法 Active JP6687245B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014102917 2014-05-17
JP2014102917 2014-05-17
PCT/JP2015/063511 WO2015178237A1 (ja) 2014-05-17 2015-05-11 動脈壁肥厚の程度の検知方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015178237A1 JPWO2015178237A1 (ja) 2017-06-08
JP6687245B2 true JP6687245B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=54553910

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016521042A Active JP6687245B2 (ja) 2014-05-17 2015-05-11 動脈壁肥厚の程度の検知方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6687245B2 (ja)
WO (1) WO2015178237A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6923212B2 (ja) * 2016-02-17 2021-08-18 国立大学法人 東京医科歯科大学 動脈硬化性疾患の発症の予測因子および検査方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5453667B2 (ja) * 2008-09-30 2014-03-26 株式会社バイオス医科学研究所 動脈硬化症の検出方法及び動脈硬化症マーカー

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015178237A1 (ja) 2015-11-26
JPWO2015178237A1 (ja) 2017-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7064034B2 (ja) 可溶性ヒトst-2抗体およびアッセイ法
US10697963B2 (en) Nucleic acids encoding antibodies with high affinity for Alpha-Klotho
JP2010515668A (ja) アディポネクチン抗体およびアディポネクチンを測定するための方法
JP6759429B2 (ja) 新規抗プレセプシン抗体
US10494430B2 (en) Anti-active GIP antibody
US11143661B2 (en) Antibodies that specifically bind alpha klotho
JP6687245B2 (ja) 動脈壁肥厚の程度の検知方法
JP2022550390A (ja) iRhom2エピトープに結合するタンパク質バインダー
CN113892031B (zh) 混合检测PCT和Presepsin的试剂盒、方法以及应用
JP6667898B2 (ja) 動脈狭窄の程度を検知する方法
WO2024019110A1 (ja) SARS-CoV-2に対する抗体
JP2024014723A (ja) SARS-CoV-2に対する抗体
JP2005314397A (ja) 抗コンドロモジュリン−1特異的抗体及びその利用

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20170124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170321

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180610

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181026

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20190318

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190507

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190906

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200218

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200310

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200326

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6687245

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250