(実施の形態1)
本実施の形態におけるエレベータシステムについて説明する。
図1は、実施の形態1におけるダブルデッキエレベータのシステム構成を模式的に示した図である。
ダブルデッキエレベータ10は、上下に配置された下かご11及び上かご12と、下かご11及び上かご12を保持するかご枠13と、かご枠13を昇降させる昇降機構20と、上かご12を昇降させるかご移動機構30と、制御装置50とを備える。
ビルの1階(第1ロビー階)には、下かご11の行先階に向かう利用者用の乗場が設けられ、ビルの2階(第2ロビー階)には、上かご12の行先階に向かう利用者用の乗場が設けられている。第1ロビー階は、例えば、ビルの外部へつながる出入口等を有するフロアであって、出入口から入った利用者がビルの他の階床へ移動する際に利用するフロアである。第2ロビー階には、第1ロビー階から例えばエスカレータ80や階段を利用して移動することができる。第1ロビー階及び第2ロビー階あるいはその近傍には、下かご11及び上かご12の行先階を案内する案内表示が設けられる。
昇降機構20は、モータやプーリ等により構成される巻上機21と、巻上機21のプーリに巻き掛けられたロープ22と、ロープ22の一端に固定された釣合おもり23とを備える。ロープ22の他端にはかご枠13が固定されている。
かご枠13は、上辺部13a,下辺部13b、左辺部13c、及び右辺部13dを有する長方形状の枠であり、ビルの3階床分の高さを有し、枠内に3個分のかごを上下方向に配置可能である。
下かご11は、かご枠13に固定されているが、上かご12は、下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1と、下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2との間で昇降可能なようにかご枠13に取り付けられている。
かご移動機構30は、上かご12を第1高さ位置P1と第2高さ位置P2との間で移動させる。
図2Aは、実施の形態1におけるダブルデッキエレベータ10の構造を模式的に示した正面図である。図2Bは、実施の形態1におけるダブルデッキエレベータ10の構造を模式的に示した側面図である。図2Bでは、構成部材の一部の記載を省略している。
下かご11は、かご枠13の下部側に固定されている。
上かご12は、かご枠13の左辺部13c及び右辺部13dに、上下方向に移動可能なように取り付けられている。例えば、かご枠13の左辺部13c及び右辺部13dには、上下方向に延びるレール部が設けられるとともに、上かご12には、レール部に対して滑動可能に嵌合する嵌合部が設けられ、上かご12は、かご枠13の左辺部13c及び右辺部13dのレール部に案内されて上下方向に移動する。
かご移動機構30は、モータやプーリを有する巻上機31と、巻上機31のプーリに巻き掛けられたロープ32と、ロープ32の一端に固定された釣合おもり33とを備える。ロープ32の他端は上かご12のベースプレート12aに固定される。
かご移動機構30は、上かご12を、下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1と、下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2との間で、1階床分昇降させることができる。
制御装置50は、行先階の入力装置(図示せず)から入力された信号が示す行先階に基づいて、昇降機構20の巻上機21及びかご移動機構30の巻上機31の駆動を制御する。制御装置50は、例えば、演算処理装置や、メモリ等の記憶装置を有するコンピュータを利用して構成することができる。
なお、制御装置50は、昇降機構20によりかご枠13を昇降させている間に、かご移動機構30に上かご12の第1高さ位置P1や第2高さ位置P2への昇降を行わせてもよい。これにより、上かご12をかご枠13内で1階床分昇降させた場合でも、上かご12の昇降に要する時間が昇降機構20によるかご枠13の昇降時間の中に吸収され、戸開を遅らせる等の無駄時間の発生を抑制できる。
上述の構成を有するダブルデッキエレベータ10では、従来のダブルデッキエレベータ同様に、2つのロビー階から、下かご11及び上かご12の2つのかごに利用者を乗車させ、2つのかごで同時に利用者を輸送できる。そのため、かごを1個だけ有するシングルデッキエレベータと比べ、高い輸送能力が得られる。また、オフィスビル等において利用者が特に多くなる出勤時間帯等に利用者を効率的に輸送できる。
本実施の形態のダブルデッキエレベータ10では、さらに、従来のダブルデッキエレベータとは異なり、上かご12を、下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1と、下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2との間で、1階床分昇降させることができる。そのため、隣接する2つの階床と、1階床を挟んだ隣接しない2つの階床とのいずれについても、同時にサービスを行うことができる。
これにより、例えば、従来における隣接する2つの階床にのみ同時にサービス可能なダブルデッキエレベータと比べ、運行中のかご枠の停止回数を減少させることができる。例えば5階と7階のように2階床離れた行先階が存在する場合、従来のダブルデッキエレベータでは、かご枠を1回停止させただけでは、5階と7階の両方の階床について同時にサービスを行うことはできない。5階と7階をサービスするためにはかご枠を各階の側方でそれぞれ停止させる必要がある、つまり2回停止させる必要がある。しかし、本実施の形態のダブルデッキエレベータ10では、かご枠13を5階と7階にまたがらせて停止させるとともに、上かご12を第2高さ位置P2に位置させることで、かご枠13を1回停止させるだけで5階と7階を一度にサービスできる。そのため、従来のダブルデッキエレベータと比べ、運行中におけるかご枠13の停止回数を減少させることができる。また、かご枠13の昇降中に、上かご12を第2高さ位置P2に移動させておけば、かご枠13の停止回数が減少する分、ダブルデッキエレベータ10の1周時間を短縮し、輸送能力を向上させることができる。
なお、上記の例において、7階に6階を行先階とする呼びがある場合は、上かご12による7階のサービス後に、上かご12を第1高さ位置P1に下降させることで、かご枠13を停止させたまま、6階もサービスできる。
また、本実施の形態のダブルデッキエレベータ10では、例えば、かご枠13を3の倍数の階床単位で昇降させてもよい。この場合において、かご枠13の停止位置において、3個の連続する行先階の呼びが登録されている場合には、上かご12に一つの行先階をサービスさせた後、上かご12を一階床分昇降させることで、かご枠13を停止させたまま、上かご12にもう一つの行先階をサービスさせることができる。これにより、1台のダブルデッキエレベータ10が全ての階床をサービスする場合でも、かご枠13の停止回数をできるだけ少なくすることができる。
また、本実施の形態のダブルデッキエレベータ10を複数台有するエレベータシステムでは、例えば、ダブルデッキエレベータ10が基準位置(ロビー階等)に位置するとき以外は上かご12を第2高さ位置P2に位置させ、あるダブルデッキエレベータ10には偶数階を担当させ、あるダブルデッキエレベータ10には奇数階を担当させるような運行が可能となる。これによれば、偶数階と奇数階の両方、つまり全ての階床を担当させる場合よりも、運行中のかご枠の停止回数を減少させることができる。また、例えば、下かご11についてのロビー階が1階、上かご12についてのロビー階が2階であるような場合、上かご12を第1高さ位置P1に位置させることで、これらの隣接する2つの階床(ロビー階)について同時にサービスを行うことができる。ダブルデッキエレベータを導入するビルでは、1階及び2階を下かご及び上かごのロビー階とする場合が多いが、本実施の形態のダブルデッキエレベータ10はこのようなビルにも好適に導入できる。
(実施の形態2)
実施の形態2において、実施の形態1で説明した構成を有するダブルデッキエレベータ10の運行制御についてより具体的に説明する。まず、ビルへのダブルデッキエレベータ10の適用例について説明する。
図3は、実施の形態2におけるダブルデッキエレベータ10の適用例を示した図である。
図3では、18階建て(図1のNが18のとき)のビルに、4台のダブルデッキエレベータ10を配置した例を示している。4台のダブルデッキエレベータ10は、第1の系統の2台のダブルデッキエレベータ10と、第2の系統の2台のダブルデッキエレベータ10とに、2系統に分けられている。制御装置50は、第1の系統のダブルデッキエレベータ10に奇数階の行先階を担当させ、第2の系統のダブルデッキエレベータ10に偶数階の行先階を担当させるように、各ダブルデッキエレベータ10の昇降機構20及びかご移動機構30を制御する。なお、図3では、第1の系統及び第2の系統に2台ずつダブルデッキエレベータ10を配置する例を示したが、各系統に1台あるいは3台以上のダブルデッキエレベータ10が含まれてもよい。
図4Aは、実施の形態2における第1の系統のダブルデッキエレベータ10に対する運行制御の例を示した図である。
制御装置50は、第1の系統のダブルデッキエレベータ10のかご枠13を基準位置に位置させるとき、上かご12を下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1に位置させるように、かご移動機構30を制御する。基準位置は、下かご11が1階に位置することとなるかご枠13の高さ位置である。かご枠13が基準位置に位置するとき、上かご12をかご枠13内で第1高さ位置P1に位置させることで、下かご11は1階に、上かご12は2階に位置することとなる。
制御装置50は、かご枠13を基準位置よりも上方の第2〜第8位置に位置させるとき、上かご12を下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2に位置させるように、かご移動機構30を制御する。また、制御装置50は、かご枠13を、2の倍数の階床単位で昇降させるように、昇降機構20を制御する。これにより、第1の系統のダブルデッキエレベータ10の上かご12及び下かご11は、図4Aに例示したような18階建てのビルでは、1階及び2階から出発した後、3階及び5階、5階及び7階、7階及び9階、9階及び11階、11階及び13階、13階及び15階、15階及び17階というように、いずれも奇数階を担当することとなる。このような構成のダブルデッキエレベータ10によると、例えば18階建てのビルにおいて、基準位置から最大8回の停止で最上方の階床までサービスすることができる。なお、呼びが存在しない階床については、停止させなくてもよいことは言うまでもない。
第1の系統のダブルデッキエレベータ10では、下かご11のサービス可能階は第1ロビー階(1階)、3階、5階、7階、9階、11階、13階、15階となる。また、上かご12のサービス可能階は第2ロビー階(2階)、5階、7階、9階、11階、13階、15階、17階となる。
図4Bは、実施の形態2における第2の系統のダブルデッキエレベータ10に対する運行制御の例を示した図である。
制御装置50は、第2の系統のダブルデッキエレベータ10のかご枠13を基準位置に位置させるとき、第1の系統同様、上かご12を、かご枠13内で下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1に位置させるように、かご移動機構30を制御する。そのため、第1の系統同様、下かご11及び上かご12は1階及び2階に位置することとなる。
制御装置50は、かご枠13を基準位置よりも上方の第2〜第8位置に位置させるとき、第1の系統同様、上かご12を、かご枠13内で下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2に位置させるように、かご移動機構30を制御する。
一方、かご枠13の移動に関しては第1の系統とは異なり、制御装置50は、まずかご枠13を基準位置から第2位置までは3階床分昇降させ、第2位置よりも上方では2の倍数の階床単位で昇降させるように、昇降機構20を制御する。これにより、第2の系統のダブルデッキエレベータ10の上かご12及び下かご11は、図4Bに例示したような18階建てのビルでは、1階及び2階から出発した後、4階及び6階、6階及び8階、8階及び10階、10階及び12階、12階及び14階、14階及び16階、16階及び18階というように、いずれも偶数階を担当することとなる。このような構成のダブルデッキエレベータ10によると、上記の18階建てのビルでは、基準位置から最上方の階床までを、かご枠13を最大で8回停止させるだけでサービスすることができる。なお、呼びが存在しない階床については、停止させなくてもよいことは言うまでもない。
第2の系統のダブルデッキエレベータ10では、下かご11のサービス可能階は第1ロビー階(1階)、4階、6階、8階、10階、12階、14階、16階となる。また、上かご12のサービス可能階は第2ロビー階(2階)、6階、8階、10階、12階、14階、16階、18階となる。
以上説明したように、図4A、図4Bで示した運行制御によると、第1の系統及び第2の系統のいずれにおいても、基準位置から最大8回の停止で最上方の階床までサービスすることができる。
図5は、従来のダブルデッキエレベータの運行制御を説明した図である。
従来のダブルデッキエレベータ110では、上かご112及び下かご111は、かご枠113にそれぞれ固定されている。そして、上かご112及び下かご111を、1階及び2階から出発させた後、3階及び4階、5階及び6階、7階及び8階、9階及び10階、11階及び12階、13階及び14階、15階及び16階、17階及び18階、というように、2階床ずつ上昇させるように、かご枠113を移動させる。このような構成によると、上記の18階建てのビルでは、基準位置から最上方の階床までサービスを行うためには、かご枠13を最大で9回停止させる必要がある。
一方、本実施の形態における運行制御の例によると、第1の系統及び第2の系統のいずれにおいても、かご枠13を最大で8回停止させるだけでサービスすることができる。すなわち、かご枠13の停止回数を少なくできる。よって、ダブルデッキエレベータ10の1周時間を短縮し、輸送能力を向上させることができる。
(実施の形態3)
実施の形態3において、実施の形態1で説明した構成を有するダブルデッキエレベータ10の運行制御の他の例を具体的に説明する。なお、実施の形態2で説明した図3の18階建て(図1のNが18のとき)のビルに、4台のダブルデッキエレベータ10を配置したものとして説明する。
図6Aは、実施の形態3における第1の系統のダブルデッキエレベータ10に対する運行制御の例を示した図である。
制御装置50は、第1の系統のダブルデッキエレベータ10のかご枠13を基準位置に位置させるとき、実施の形態2同様、上かご12を、かご枠13内で下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1に位置させるように、かご移動機構30を制御する。そのため、下かご11及び上かご12は1階及び2階に位置することとなる。
制御装置50は、かご枠13を基準位置よりも上方に位置させるとき、実施の形態2同様、上かご12を、かご枠13内で下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2に位置させるように、かご移動機構30を制御する。
一方、実施の形態2とは異なり、かご枠13を基準位置よりも上方に位置させるとき、制御装置50は、まず、かご枠13を基準位置から2階床分昇降させるが、その後については、かご枠13を4の倍数の階床単位で昇降させるように、昇降機構20を制御する。これにより、第1の系統のダブルデッキエレベータ10の下かご11及び上かご12は、図6Aに例示したような18階建てのビルでは、1階及び2階から出発した後、3階及び5階、7階及び9階、11階及び13階、15階及び17階というように、それぞれ奇数階を担当することとなる。このような構成のダブルデッキエレベータ10によると、例えば18階建てのビルであれば、基準位置から最大5回の停止で最上方の階床までサービスすることができる。なお、呼びが存在しない階床については、停止させなくてもよいことは言うまでもない。
第1の系統のダブルデッキエレベータ10では、下かご11のサービス可能階は第1ロビー階(1階)、3階、7階、11階、15階となる。また、上かご12のサービス可能階は第2ロビー階(2階)、5階、9階、13階、17階となる。
図6Bは、実施の形態3における第2の系統のダブルデッキエレベータ10に対する運行制御の例を示した図である。
制御装置50は、第2の系統のダブルデッキエレベータ10のかご枠13を基準位置に位置させるとき、第1の系統同様、上かご12を、かご枠13内で下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1に位置させるように、かご移動機構30を制御する。そのため、第1の系統同様、下かご11及び上かご12は1階及び2階に位置することとなる。
制御装置50は、かご枠13を基準位置よりも上方に位置させるとき、第1の系統同様、上かご12を、かご枠13内で下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2に位置させるように、かご移動機構30を制御する。
一方、第1の系統とは異なり、かご枠13を基準位置よりも上方に位置させるとき、制御装置50は、まず、かご枠13を基準位置から3階床分昇降させるが、その後については、かご枠13を4の倍数の階床単位で昇降させるように、昇降機構20を制御する。これにより、第1の系統のダブルデッキエレベータ10の下かご11及び上かご12は、例示したような18階建てのビルでは、1階及び2階から出発した後、4階及び6階、8階及び10階、12階及び14階、16階及び18階というように、それぞれ偶数階を担当することとなる。このような構成のダブルデッキエレベータ10によると、例えば18階建てのビルであれば、基準位置から最大5回の停止で最上方の階床までサービスすることができる。なお、呼びが存在しない階床については、停止させなくてもよいことは言うまでもない。
第2の系統のダブルデッキエレベータ10では、下かご11のサービス可能階は第1ロビー階(1階)、4階、8階、12階、16階となる。また、上かご12のサービス可能階は第2ロビー階(2階)、6階、10階、14階、18階となる。
以上説明したように、図6A、図6Bで示した運行制御の例によると、第1の系統及び第2の系統のいずれにおいても、基準位置から最大5回の停止で最上方の階床までサービスすることができる。
そのため、第1の系統及び第2の系統のいずれにおいても、図5で説明した従来の例や上述した実施の形態2と比べ、ダブルデッキエレベータ10の1周当たりの停止回数を約半分に低減できる。よって、ダブルデッキエレベータ10の1周時間をさらに短縮し、輸送能力を一層向上させることができる。
(実施の形態4)
図7は、実施の形態4におけるダブルデッキエレベータ10の構造を模式的に示した正面図である。
実施の形態1では、下かご11は、かご枠13の下部に固定されている。しかし、図7に示すように、下かご11は、ジャッキ35を介して、かご枠13に支持されてもよい。ジャッキ35は、下かご11を昇降させることで、上かご12と下かご11の間隔を微調整する。この構成によると、階高が階床によって一様でないビルにも、本発明に係るダブルデッキエレベータ10を適用できる。なお、ジャッキ35は油圧ジャッキ、電動ジャッキ等で構成できる。
(実施の形態5)
実施の形態4では、ジャッキ35により下かご11の高さ位置を微調整することで、上かご12と下かご11の間隔を微調整する。しかし、ジャッキを有していない実施の形態1の構造においても、上かご12と下かご11の間隔を微調整することは可能である。例えば、上かご12のかご移動機構30の巻上機31で上かご12の第2高さ位置P2を微調整することで、上かご12と下かご11の間隔を微調整することができる。これによれば、ジャッキを設けることなく、簡単な構成で、階高が階床によって一様でないビルに、本発明に係るダブルデッキエレベータを適用できる。
(実施の形態6)
実施の形態1では、かご移動機構30により上かご12を1階床分昇降させるように構成したダブルデッキエレベータ10を説明した。本実施の形態では、上かご12及び下かご11の両方を個別に1階床分昇降させるように構成したダブルデッキエレベータについて説明する。
1.構成
図8は、実施の形態6におけるダブルデッキエレベータ10のシステム構成を示した図である。なお、実施の形態1と同一または対応する構成要素については、同一の参照符号を用いる場合がある。
本実施の形態のダブルデッキエレベータ10は、上下に配置された下かご11及び上かご12と、下かご11及び上かご12を保持するかご枠13と、かご枠13を昇降させる昇降機構20と、かご移動機構30と、制御装置50とを備える。かご移動機構30は、下かご11を昇降させる第1かご移動機構30−1と、上かご12を昇降させる第2かご移動機構30−2とを含む。
ビルの1階(第1ロビー階)には、下かご11に乗車するための乗場が設けられ。ビルの3階(第2ロビー階)には、上かご12に乗車するための乗場が設けられている。第2ロビー階には、第1ロビー階から例えばエスカレータ80や階段を利用して移動することができる。第1ロビー階及び第2ロビー階あるいはその近傍には、下かご11及び上かご12の行先階を案内する案内表示が設けられる。
昇降機構20は、実施の形態1と同じ構成を有する。そのため、説明は省略する。なお、図面上には、昇降機構20の構成部材について、実施の形態1の昇降機構20と同じ符号を付している。
かご枠13は、上辺部13a,下辺部13b、左辺部13c、及び右辺部13dを有する長方形状の枠であり、ビルの4階床分の高さを有し、枠内に4個分のかごを上下方向に配置可能である。
下かご11は、かご枠13内で、かご枠13を基準として設定した第1高さ位置P11と、第1高さ位置P11に対して1階床分上方の第2高さ位置P12との間で昇降可能なようにかご枠13に取り付けられている。
上かご12は、かご枠13内で、第1高さ位置P11に対して2階床分上方の第3高さ位置P13と、第1高さ位置P11に対して3階床分上方の第4高さ位置P14との間で昇降可能なようにかご枠13に取り付けられている。
第1かご移動機構30−1は、下かご11を第1高さ位置P11と第2高さ位置P12との間で昇降させる。
第2かご移動機構30−2は、上かご12を第3高さ位置P13と第4高さ位置P14との間で昇降させる。
図9は、実施の形態6におけるダブルデッキエレベータ10の構造を模式的に示した正面図である。
下かご11及び上かご12は、それぞれ、実施の形態1で説明したのと同様にレール等の構造により、かご枠13の左辺部13c及び右辺部13dに、上下方向に移動可能なように取り付けられている。
第1かご移動機構30−1は、実施の形態1のかご移動機構30と同様に、モータやプーリを有する巻上機31と、巻上機31のプーリに巻き掛けられたロープ32と、ロープ32の一端に固定された釣合おもり33とを備える。ロープ32の他端は下かご11のベースプレート11aに固定される。
第1かご移動機構30−1は、下かご11を、かご枠13を基準として設定した第1高さ位置P11と、第1高さ位置P11に対して1階床分上方の第2高さ位置P12との間で1階床分昇降させることができる。
第2かご移動機構30−2は、第1かご移動機構30−1と同様に、モータやプーリを有する巻上機31と、巻上機31のプーリに巻き掛けられたロープ32と、ロープ32の一端に固定された釣合おもり33とを備える。ロープ32の他端は上かご12のベースプレート12aに固定される。
第2かご移動機構30−2は、上かご12を、第1高さ位置P11に対して2階床分上方の第3高さ位置P13と、第1高さ位置P11に対して2階床分上方の第4高さ位置P14との間で1階床分昇降させることができる。
制御装置50は、行先階の入力装置(図示せず)から入力された信号が示す行先階に基づいて、昇降機構20の巻上機21、第1かご移動機構30−1の巻上機31、及び第2かご移動機構30−2の巻上機31の駆動を制御する。制御装置50は、例えば、演算処理装置や、メモリ等の記憶装置を有するコンピュータを利用して構成することができる。
なお、制御装置50は、昇降機構20によりかご枠13を昇降させている間に、第1かご移動機構30−1に下かご11の第1高さ位置P11や第2高さ位置P12への昇降を行わせてもよいし、第2かご移動機構30−2に上かご12の第3高さ位置P13や第4高さ位置P14への昇降を行わせてもよい。これにより、上かご12や下かご11をかご枠13内で1階床分昇降させた場合でも、上かご12や下かご11の昇降に要する時間が昇降機構20によるかご枠13の昇降時間の中に吸収され、戸開を遅らせる等の無駄時間の発生を抑制できる。
上述の構成を有するダブルデッキエレベータ10では、従来のダブルデッキエレベータ同様に、2つのロビー階から、下かご11及び上かご12の2つのかごに利用者を乗車させ、2つのかごで同時に利用者を輸送できる。そのため、かごを1個だけ有するシングルデッキエレベータと比べ、高い輸送能力が得られる。また、オフィスビル等において利用者が特に多くなる出勤時間帯等に利用者を効率的に輸送できる。
本実施の形態のダブルデッキエレベータ10では、さらに、従来のダブルデッキエレベータとは異なり、第1かご移動機構30−1により、下かご11を、かご枠13を基準として設定した第1高さ位置P11と、第1高さ位置P11に対して1階床分上方の第2高さ位置P12との間で1階床分昇降させることができる。また、第2かご移動機構30−2により、上かご12を、第1高さ位置P11に対して2階床分上方の第3高さ位置P13と、第1高さ位置P11に対して2階床分上方の第4高さ位置P14との間で1階床分昇降させることができる。そのため、下かご11や上かご12を昇降させることで、隣接する2つの階床と、1階床または2階床を挟んだ隣接しない2つの階床とのいずれについても、同時にサービスを行うことができる。
これにより、例えば、従来における隣接する2つの階床にのみ同時にサービス可能なダブルデッキエレベータと比べ、運行中のかご枠の停止回数を減少させることができる。例えば5階と8階のように3階床離れた行先階が存在する場合、従来のダブルデッキエレベータでは、かご枠を1回停止させただけでは、5階と8階の両方の階床について同時にサービスを行うことはできない。5階と8階をサービスするためにはかご枠を各階の側方でそれぞれ停止させる必要がある、つまり2回停止させる必要がある。しかし、本実施の形態のダブルデッキエレベータ10では、かご枠13を5階と8階にまたがらせて停止させるとともに、下かご11を第1高さ位置に位置させ、かつ上かご12を第4高さ位置P14に位置させることで、かご枠13を1回停止させるだけで5階と8階を一度にサービスできる。そのため、従来のダブルデッキエレベータと比べ、運行中におけるかご枠13の停止回数を減少させることができる。また、かご枠13の昇降中に、下かご11及び上かご12を第1高さ位置P1及び第4高さ位置14に移動させておけば、かご枠13の停止回数が減少する分、ダブルデッキエレベータ10の1周時間を短縮し、輸送能力を向上させることができる。
なお、上記の例において、5階と8階に加えてさらに6階と7階も行先階となっている場合は、下かご11による5階のサービス後に、下かご11を第2高さ位置P12に上昇させることで、かご枠13を停止させたまま、6階もサービスできる。また、上かご121による8階のサービス後に、上かご12を第3高さ位置P13に下降させることで、かご枠13を停止させたまま、7階もサービスできる。
また、本実施の形態のダブルデッキエレベータ10では、例えば、かご枠13を4の倍数の階床単位で昇降させてもよい。この場合において、かご枠13の停止位置において、例えば4個の行先階の呼びが登録されている場合には、下かご11と上かご12にそれぞれ一つの行先階をサービスさせた後、下かご11と上かご12をそれぞれ一階床分昇降させることで、かご枠13を停止させたまま、下かご11と上かご12にそれぞれもう一つの行先階をサービスさせることができる。これにより、1台のダブルデッキエレベータ10で全ての階床をサービスする場合でも、かご枠13の停止回数をできるだけ少なくすることができる。なお、かご枠13の停止位置において、例えば3個の行先階の呼びが登録されている場合には、下かご11と上かご12とのうち行先階に関係する方のかごを昇降させればよい。
(実施の形態7)
実施の形態7において、実施の形態6で説明したダブルデッキエレベータ10の運行制御についてより具体的に説明する。まず、ビルへのダブルデッキエレベータ10の適用例について説明する。
図10は、実施の形態7におけるダブルデッキエレベータ10の適用例を示した図である。
図10では、20階建て(図8のNが20のとき)のビルに、4台のダブルデッキエレベータ10を配置した例を示している。本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、4台のダブルデッキエレベータ10は系統分けされておらず、4台のダブルデッキエレベータ10に対して同じ制御が行われる。なお、図10では、4台のダブルデッキエレベータ10を配置する例を示しているが、3台以下あるいは5台以上のダブルデッキエレベータ10が設けられている場合にも適用できる。
図11は、実施の形態7におけるダブルデッキエレベータ10に対する運行制御の例を説明した図である。
制御装置50は、かご枠13を4の倍数の階床単位で昇降させるように、昇降機構20を制御する。
また、制御装置50は、呼びの行先階に基づいて、下かご11を第1高さ位置P11または第2高さ位置P12に位置させるように第1かご移動機構30−1を制御する。また、制御装置50は、呼びの行先階に基づいて、上かご12を第3高さ位置P13または第4高さ位置P14に位置させるように、第2かご移動機構30−2を制御する。
例えば、下かご11の行先階が奇数階であるときは、制御装置50は、下かご11を第1高さ位置P11に位置させるように、第1かご移動機構30−1を制御する。また、下かご11の行先階が偶数階であるときは、制御装置50は、下かご11を第2高さ位置P12に位置させるように、第1かご移動機構30−1を制御する。
また、上かご12の行先階が奇数階であるときは、制御装置50は、上かご12を第3高さ位置P13に位置させるように、第2かご移動機構30−2を制御する。また、上かご12の行先階が偶数階であるときは、制御装置50は、上かご12を第4高さ位置P14に位置させるように、第2かご移動機構30−2を制御する。
図11の例では、制御装置50は、ダブルデッキエレベータ10が上層階側から基準位置に戻る際、下かご11及び上かご12を第1高さ位置P11及び第3高さ位置P13に位置させるように第1かご移動機構30−1及び第2かご移動機構30−2を制御する。これにより、下かご11及び上かご12が1階(第1ロビー階)及び3階(第2ロビー階)に位置する。
例えば、かご枠13が基準位置にあるときに、出発階が1階、行先階が2階の呼びが登録されている場合、制御装置50は、昇降機構20を動作させないが、第1かご移動機構30−1を動作させて、下かご11を第1高さ位置P11から第2高さ位置P12に移動させる。これにより、下かご11が1階から2階に上昇する。
また、かご枠13が基準位置にあるときに、出発階が3階、行先階が4階の呼びが登録されている場合、制御装置50は、昇降機構20を動作させないが、第2かご移動機構30−2を動作させて、上かご12を第3高さ位置P13から第2高さ位置P4に移動させる。これにより、上かご12が3階から4階に上昇する。
また、かご枠13が基準位置にあるときに、行先階が5階〜8階のいずれかである呼びが登録されている場合、制御装置50は、昇降機構20を動作させて、かご枠13を4階床分上昇させて第2位置に位置させるとともに、下かご11及び/または上かご12を行先階に応じた位置に位置させるように、第1かご移動機構30−1及び/または第2かご移動機構30−2を制御する。
例えば、かご枠13が基準位置にあり、かつ下かご11が1階(第1ロビー階)にあるときに(第1高さ位置P1にあるときに)、行先階が5階である呼びが登録されている場合、制御装置50は、かご枠13を4階床分上昇させて第2位置に上昇させる際、下かご11については第1高さ位置P1に保持しておくことで、下かご11に5階をサービスさせる。また、行先階が6階である呼びが登録されている場合、制御装置50は、かご枠13を4階床分上昇させて第2位置に上昇させるのと並行して、下かご11を第1高さ位置P1から第2高さ位置P1に上昇させて、下かご11に6階をサービスさせる。これにより、下かご11の昇降に要する時間がかご枠13の昇降時間の中に吸収され、戸開を遅らせる等の無駄時間の発生を抑制できる。また、行先階が5階の呼びと6階の呼びが登録されている場合、制御装置50は、かご枠13を4階床分上昇させて第2位置に位置させる際、下かご11については第1高さ位置P1に保持しておくことで、下かご11にまず5階をサービスさせ、その後、下かご11を第2高さ位置P2に上昇させることで、6階をサービスさせる。
また、かご枠13が上記のように基準位置にあり、かつ上かご12が3階(第1ロビー階)にあるときに(第3高さ位置P3にあるときに)、行先階が7階である呼びが登録されている場合、制御装置50は、かご枠13を4階床分上昇させて第2位置に上昇させる際、上かご12については第3高さ位置P3に保持しておくことで、上かご12に7階をサービスさせる。また、行先階が8階である呼びが登録されている場合、制御装置50は、かご枠13を4階床分上昇させて第2位置に上昇させるのと並行して、上かご12を第3高さ位置P3から第4高さ位置P4に上昇させて、上かご12に8階をサービスさせる。これにより、上かご12の昇降に要する時間がかご枠13の昇降時間の中に吸収され、戸開を遅らせる等の無駄時間の発生を抑制できる。また、行先階が7階の呼びと8階の呼びが登録されている場合、制御装置50は、かご枠13を4階床分上昇させて第2位置に位置させる際、上かご12については第3高さ位置P3に保持しておくことで、上かご12にまず7階をサービスさせ、その後、上かご12を第4高さ位置P4に上昇させることで、8階をサービスさせる。
また、かご枠13が例えば第2位置にあるときに、行先階が9階〜12階のいずれかである呼びが登録されている場合、制御装置50は、昇降機構20を動作させて、かご枠13を4階床分上昇させて第3位置に位置させるとともに、下かご11及び/または上かご12を行先階に応じた高さ位置に位置させるように、第1かご移動機構30−1及び/または第2かご移動機構30−2を制御する。詳細動作は、かご枠13を基準位置から第2位置に上昇させる場合と同様であり、説明は省略する。
なお、かご枠13が基準位置または第2位置にあるときに、他の行先階が登録されている場合や、かご枠13が第3位置〜第5位置のいずれかにあるときに、ある行先階の呼びが登録されている場合にも、上述したのと同様の動作が行われる。つまり、制御装置50は、かご枠13を、基準位置〜第5位置のうち、行先階に応じた位置に移動させるように昇降機構20を制御するとともに、行先階に応じたかごを行先階に対応する高さ位置に移動させるように、第1かご移動機構30−1及び/または第2かご移動機構30−2を制御する。
このような構成のダブルデッキエレベータ10では、下かご11のサービス可能階は第1ロビー階(1階)、2階、5階、6階、9階、10階、13階、14階、17階、18階となる。また、上かご12のサービス可能階は第2ロビー階(3階)、4階、7階、8階、11階、12階、15階、16階、19階、20階となる。
本実施の形態のダブルデッキエレベータ10によると、上例のような20階建てのビルでは、基準位置から最大5回の昇降(停止)でかご枠13を最上方の位置まで移動させることができる。
(実施の形態のまとめ)
(1)実施の形態1〜7におけるダブルデッキエレベータ10は、上かご12及び下かご11を一体的に昇降させる。
ダブルデッキエレベータ10は、
上かご12及び下かご11を保持するかご枠13と、
かご枠13を昇降させる昇降機構20と、
かご枠13に配置され、上かご12及び下かご11の少なくとも一方を1階床分昇降させるかご移動機構30と、を備える。
これによれば、ダブルデッキエレベータ10の上かご12及び下かご11の少なくとも一方を1階床分昇降させることができる。そのため、隣接する2つの階床と、1階床または2階床を挟んだ隣接しない2つの階床とのいずれについても、同時にサービスを行うことができる。また、かご枠13を一回移動させたときに、上かご12を昇降させることで、3階床分の範囲をカバーできる。
(2)実施の形態1〜5のダブルデッキエレベータ10において、
下かご11はかご枠13に固定され、
かご移動機構30は、上かご12を、下かご11に対して1階床分上方の第1高さ位置P1と、下かご11に対して2階床分上方の第2高さ位置P2との間で1階床分昇降させる。
これによれば、上かご12を昇降させることで、隣接する2つの階床と、1階床を挟んだ隣接しない2つの階床とのいずれについても、同時にサービスを行うことができる。
(3)実施の形態1〜5のダブルデッキエレベータ10は、かご移動機構30を制御する制御装置50をさらに備える。
制御装置50は、
下かご11が第1ロビー階(第1特定階)に位置するように昇降機構20によりかご枠13を昇降させるとき、上かご12を第1高さ位置P1に位置させるようにかご移動機構30を制御し、
下かご11が第1ロビー階(第1特定階)に上方向で隣接する第2ロビー階(第2特定階)よりも上方の階床に位置するように昇降機構20によりかご枠13を昇降させるとき、上かご12を第2高さ位置P2に位置させるようにかご移動機構30を制御する。
これによれば、下かご11が第1ロビー階(第1特定階)に位置するか、あるいは第1ロビー階(第1特定階)に上方向で隣接する第2ロビー階(第2特定階)よりも上方の階床に位置するかに応じて、上かご12の位置が変更される。
(4)実施の形態2,3のエレベータシステムは、
複数台のダブルデッキエレベータ10を備える。
複数台のダブルデッキエレベータ10は、第1の系統のダブルデッキエレベータ10と第2の系統のダブルデッキエレベータ10とに区分される。
第1の系統の各ダブルデッキエレベータ10の制御装置50は、上かご12及び下かご11に、第2ロビー階(第2特定階)及び第1ロビー階(第1特定階)と、偶数階を担当させるように昇降機構20を制御し、
第2の系統の各ダブルデッキエレベータ10の制御装置50は、上かご12及び下かご11に、第2ロビー階(第2特定階)及び第1ロビー階(第1特定階)と、奇数階を担当させるように昇降機構20を制御する。
これによれば、各ダブルデッキエレベータ10に奇数階及び偶数階の両方を担当させる場合よりも、かご枠13の停止回数を半減できる。
(5)実施の形態3のエレベータシステムにおいて、
各ダブルデッキエレベータ10の制御装置50は、下かご11が第2ロビー階(第2特定階)よりも上方では、かご枠13を4の倍数の階床単位で昇降させるように、昇降機構20を制御する。
これによれば、かご枠13の停止回数をより一層減少させることができる。
(6)実施の形態6、7のダブルデッキエレベータ10において、
かご移動機構30は、第1かご移動機構30−1と、第2かご移動機構30−2と、を含み、
第1かご移動機構30−1は、下かご11を、かご枠13を基準として設定した第1高さ位置P11と、第1高さ位置P11に対して1階床分上方の第2高さ位置P12との間で1階床分昇降させ、
第2かご移動機構30−2は、上かご12を、第1高さ位置P11に対して2階床分上方の第3高さ位置P13と、第1高さ位置P11に対して2階床分上方の第4高さ位置P14との間で1階床分昇降させる。
これによれば、上かご12及び/または下かご11を昇降させることで、隣接する2つの階床と、1階床または2階床を挟んだ隣接しない2つの階床とのいずれについても、同時にサービスを行うことができる。また、かご枠13を一回移動させたときに、上かご12及び/または下かご11を昇降させることで、4階床分の範囲をカバーできる。
(7)実施の形態7のダブルデッキエレベータ10において、
昇降機構20は、かご枠13を4の倍数の階床単位で昇降させる。
これによれば、かご枠13の停止回数を減少させることができる。
(その他の実施の形態)
実施の形態1〜5では、上かご12を下かご11に対して1階床分昇降させる。しかし、本発明のダブルデッキエレベータでは、下かごを上かごに対して1階床分昇降させてもよい。
実施の形態1〜7では、かご移動機構は、上かご及び/または下かごを昇降させる巻上機を有する。しかし、本発明におけるかご移動機構は、これに限定されない。かご移動機構は、巻上機に代えてあるいはそれとともに、上かご及び/または下かごを昇降させる油圧ジャッキや電動ジャッキ等のジャッキを有してもよい。
また、下かごのドアを正面扉、上かごのドアを背面扉または下かごのドアを背面扉、上かごのドアを正面扉とする組合せでもよい。