以下に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図8)に基づいて説明する。なお、以下の説明において必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図1において紙面に直交した方向を正面視とし、これを基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
まず、図1を参照しながら、画像形成装置1の概要を説明する。実施形態の画像形成装置1は、タンデム方式のカラーデジタルプリンター(以下、単にプリンターと記載する)である。図1に示すように、プリンター1は、筐体2内に、画像プロセス装置3、給紙装置4及び定着装置5等を備えている。図示は省略するが、プリンター1は、例えばLANといったネットワークに接続されていて、外部端末(図示省略)等からの印刷ジョブを受け付けると、当該ジョブに基づいて印刷を実行するように構成されている。
筐体2内の下部に位置する給紙装置4は、記録材Pを収容する給紙カセット21、給紙カセット21内の記録材Pを最上層から繰り出すピックアップローラー22、繰り出された記録材Pを1枚ずつに分離する一対の分離ローラー23、及び、1枚に分離された記録材Pを所定のタイミングにて画像プロセス装置3に搬送する一対のタイミングローラー24等を備えている。各給紙カセット21内の記録材Pは、ピックアップローラー22及び分離ローラー23の回転にて、最上層のものから1枚ずつ搬送経路30に送り出される。搬送経路30は、給紙装置4の給紙カセット21から、タイミングローラー対24のニップ部、画像プロセス装置3の二次転写ニップ部、及び定着装置5の定着ニップ部33(図2参照)を経て、筐体2上部にある排出ローラー対26に至る。
給紙カセット21内の記録材Pは、通紙幅(矢印S方向と直交する幅寸法)の中央を基準にして、搬送経路30に向けて矢印S方向に搬送するセンター基準にセットされる。図示は省略するが、給紙カセット21内には、給紙前の記録材Pをセンター基準に幅寄せする一対の側部規制板を備えている。一対の側部規制板は、通紙幅方向に互いに連動して遠近移動するように構成されている。給紙カセット21内の記録材Pを一対の側部規制板にて通紙幅方向両側から挟持することによって、給紙カセット21内の記録材Pがその規格に拘らずセンター基準にセットされる。従って、画像プロセス装置3での転写処理や、定着装置5での定着処理もセンター基準で実行される。
給紙装置4の上方に位置する画像プロセス装置3は、像担持体の一例である感光体ドラム13上に形成されたトナー像を記録材Pに転写する役割を担うものであり、中間転写体としての中間転写ベルト6、並びに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する計4つの作像部7等を備えている。
中間転写ベルト6は導電性を有する素材からなる無端状のものであり、像担持体の一例でもある。中間転写ベルト6は、筐体2内の中央部右側に位置する駆動ローラー8と、同じく中央部左側に位置する従動ローラー9とに巻き掛けられている。中間転写ベルト6のうち駆動ローラー8に巻き掛けられた部分の外側に二次転写ローラー10が配置されている。主モーター(図示省略)の動力伝達にて駆動ローラー8を図1の反時計方向に回転させることにより、中間転写ベルト6は図1の反時計方向に周回する。
中間転写ベルト6のうち駆動ローラー8に巻き掛けられた部分の外周側には、二次転写ローラー10が配置されている。二次転写ローラー10は中間転写ベルト6に当接していて、中間転写ベルト6と二次転写ローラー10との間(当接部分)が二次転写領域としての二次転写ニップ部になっている。二次転写ローラー10は、中間転写ベルト6の回転に伴って、又は二次転写ニップ部に挟持搬送される記録材Pの移動に伴って、図1の時計方向に回転する。中間転写ベルト6のうち従動ローラー9に巻き掛けられた部分の外周側には、中間転写ベルト6上の未転写トナーを除去する転写ベルトクリーナー12が配置されている。転写ベルトクリーナー12は中間転写ベルト6に当接している。
4つの作像部7は、中間転写ベルト6の下方において、図1の左からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、中間転写ベルト6に沿って並べて配置されている。図1では説明の便宜上、各作像部7に、再現色に応じて符号Y,M,C,Kを添えている。各作像部7は、図1の時計方向に回転する像担持体の一例としての感光体ドラム13を備えている。感光体ドラム13の周囲には、図1における時計回りの回転方向に沿って順に、帯電装置14、露光装置19、現像装置15、一次転写ローラー16及び感光体クリーナー17が配置されている。
感光体ドラム13は負帯電性のものであり、主モーターからの動力伝達によって図1の時計方向に回転するように構成されている。帯電装置14は、感光体ドラムの表面を一様に帯電させるものである。現像装置15は、負の極性を呈するトナーを利用して、感光体ドラム13上に形成された静電潜像を反転現像にて顕在化させるものである。
一次転写ローラー16は中間転写ベルト6の内周側に位置していて、中間転写ベルト6を挟んで、対応する作像部7の感光体ドラム13に対峙している。一次転写ローラー16も、中間転写ベルト6の回転に伴って図1の反時計方向に回転する。中間転写ベルト6と一次転写ローラー16との間(当接部分)は一次転写領域としての一次転写ニップ部になっている。感光体クリーナー17は、感光体ドラム13上に残留する未転写トナーを除去するためのものであり、感光体ドラム13に当接している。4つの作像部7の下方には露光装置19が配置されている。露光装置19は、外部端末等からの画像データに基づき、レーザー光によって各感光体ドラム13に静電潜像を形成するものである。
中間転写ベルト6の上方には、各作像部7(再現色)に対応したボトル収容部39が設けられている。ボトル収容部39内には、各現像装置15に供給されるトナーを収容するトナーボトル40が着脱可能に配置されている。なお、図1では説明の便宜上、ボトル収容部39及びトナーボトル40にも、再現色に応じて符号Y,M,C,Kを添えている。
各作像部7において、帯電装置14にて帯電される感光体ドラム13に、露光装置19から画像信号に対応したレーザー光が投射されると、静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置15から供給されるトナーにて反転現像されて各色のトナー像となる。各感光体ドラム13上のトナー像は、それぞれ対応した一次転写ニップ部において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体ドラム13から中間転写ベルト6の外周面に一次転写されて重ねられる。感光体ドラム13に残った未転写トナーは感光体クリーナー17にて掻き取られ、感光体ドラム13上から取り除かれる。そして、記録材Pが二次転写ニップ部を通過する際に、重ね合わせられた4色のトナー像が記録材Pに一括して二次転写される。中間転写ベルト6に残った未転写トナーは転写ベルトクリーナー12にて掻き取られ、中間転写ベルト6上から取り除かれる。
二次転写ローラー10の上方に位置する定着装置5は、定着ローラー31と加圧ローラー32とを備えている。定着ローラー31と加圧ローラー32との当接部分が定着領域である定着ニップ部33になっている。二次転写ニップ部を通過して未定着トナー像を載せた記録材Pは、定着ローラー31と加圧ローラー32との間の定着ニップ部33を通過する際に加熱・加圧され、記録材P上にトナー像が定着される。定着ニップ部33を通過後の記録材Pは、定着ニップ部33の下流側に設けられた分離部材34により定着ローラー31から分離され、搬送経路30上を搬送されたのちに排出ローラー対26の回転にて排紙トレイ27上に排出される。
筐体2の内部の画像プロセス装置3と給紙装置4との間には、プリンター1の制御全般を司る制御部28が配置されている。制御部28は、定着ニップ部33でのオフセットトナーの発生を予見するオフセットトナー予見手段として機能するものである。
次に、図2を参照しながら、定着装置5の詳細について説明する。定着装置5は、通紙幅方向に延びて互いに平行な回転軸を有する定着ローラー31、加圧ローラー32、均熱体としての均熱化ローラー41及び清掃体としての回転ブラシ42を備えている。定着ローラー31、加圧ローラー32、均熱化ローラー41及び回転ブラシ42は、それぞれの軸受部材によって両端部が回転可能に支持されている。加圧ローラー32は、ばね等の付勢手段によって定着ローラー31に向けて付勢されている。定着ローラー31に加圧ローラー32が押圧されている。
より詳しく説明すると、定着ローラー31の外周側には無端状の定着ベルト37が巻き掛けられている。定着ベルト37は通紙幅方向に長い筒形状のものであり、定着ローラー31及び自身の張力によって筒形状を保持している。定着ベルト37は、外側から順に、離型層、弾性を有する弾性層、並びに発熱層を有する構成である。定着ベルト37の発熱層が後述する加熱部35の誘導加熱によって加熱される。定着ローラー31(定着ベルト37を含む)と加圧ローラー32との組合せが定着回転体対を構成している。
定着ローラー31(定着ベルト37)と加圧ローラー32との間が定着ニップ部33になっている。トナー像が転写された記録材Pが定着ニップ部33を通過することによって、トナー像が記録材Pに定着する。この場合、記録材Pのうちトナー像を転写した面が定着ローラー31(定着ベルト37)に接するように、記録材Pが搬送される。定着ローラー31(定着ベルト37)によってトナー像が加熱されて溶融し記録材Pに定着する。
図2においては、定着ローラー31(定着ベルト37)及び加圧ローラー32の回転方向、並びに記録材Pの搬送方向をそれぞれ実線の矢印で示している。駆動源である加圧モーター(図示省略)から歯車やベルト等の動力伝達系を経由して、加圧ローラー32に動力伝達され、加圧ローラー32が図2の時計方向に回転駆動する。加圧ローラー32の回転や定着ニップ部33を通過する記録材Pに伴い、定着ローラー31及び定着ベルト37が圧接摩擦力によって加圧ローラー32の回転方向と逆向き(図2の反時計方向)に回転する。
定着ローラー31(定着ベルト37)の回転方向において定着ニップ部33の下流側には、加熱部35が配置されている。実施形態の加熱部35は、定着ベルト37の幅方向にわたって巻回された励磁コイル36を有する磁束発生部であり、誘導加熱によって定着ベルト37の発熱層を加熱する。励磁コイル36には、高周波電源(図示省略)から20〜90kHz、100〜1500Wの高周波電流が供給される。励磁コイル36で誘起された磁束によって、定着ベルト37の発熱層に渦電流が誘起され、発熱層がジュール熱で発熱し、定着ベルト37が加熱される。図示は省略するが、定着ベルト37には温度センサーを接触又は近接配置している。温度センサーの検出結果に応じて加熱部35を制御することによって、定着ベルト37が所定の定着温度に維持される。
加圧ローラー32の回転方向において定着ニップ部33の下流側には、加圧ローラー32の表面に接触して通紙幅方向の温度分布を均一化する均熱化ローラー41を配置している。均熱化ローラー41は、ばね等の付勢手段によって加圧ローラー32に向けて付勢されている。均熱化ローラー41は、加圧ローラー32との圧接摩擦力によって加圧ローラー32の回転方向と逆向き(図2の反時計方向)に回転する。実施形態の均熱化ローラー41は、ソレノイド等の移動アクチュエーター43(図3参照)を介して、加圧ローラー32に対して圧接位置と離間位置とに移動可能に構成している。なお、本発明で用いられる均熱化ローラー41は、定着ローラー31(定着ベルト37)及び加圧ローラー32の少なくとも一方の通紙幅方向の温度分布を均一化する作用を奏するものであればよく、ハロゲンヒーター等の加熱手段やヒートパイプ等の放熱手段を有していてもよい。
均熱化ローラー41の近傍には、均熱化ローラー41の表面に接触する回転ブラシ42を回転可能に設けている。回転ブラシ42は、専用の駆動源であるブラシモーター(図示省略)から歯車やベルト等の動力伝達系を経由して動力伝達され、均熱化ローラー41の回転方向と同じ向き(図2の反時計方向)に回転する。回転ブラシ42の回転速度は、均熱化ローラー41の回転速度に対して速度差を設けるのが好ましい。なお、回転ブラシ42は、ソレノイド等の移動アクチュエーターを介して、均熱化ローラー41に対して圧接位置と離間位置とに移動可能に構成することが可能である。均熱化ローラー41と移動アクチュエーター43との組合せ(又は回転ブラシ42と移動アクチュエーターとの組合せ)が、制御部の判断情報に基づき回転ブラシ42にオフセットトナーが蓄積されない状態にするオフセットトナー蓄積防止手段を構成している。
次に、図3を参照しながら、制御部28の詳細について説明する。制御部28は、主な構成要素として、通信インターフェイス(I/F)部51、画像処理部52、画像メモリー53、CPU57、ROM58、RAM59、カウンター60、タイマー61及びバックアップメモリー62等を備えている。これら各部51〜53,57〜62はバス65を介して相互に通信可能に構成されている。
通信I/F部51は、LANカードやLANボード等のLANに接続するためのインターフェイスであり、外部からの印刷ジョブのデータを受信して、受信データを画像処理部52に伝送する。画像処理部52は、通信I/F部51からの印刷ジョブのデータを各再現色の画像データに変換して画像メモリー53に出力し、当該画像データを再現色ごとに格納させる。
CPU57は、ROM58から必要なプログラムを読み出して、画像処理部52での画像データの変換処理や、画像メモリー53における画像データの書き込み/読み出し、並びに、タイミングを取りつつ画像プロセス装置3や給紙装置4等の動作を制御して、円滑な印刷ジョブを実行する。更に、各現像装置15内部のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合)を検出するトナー濃度センサー44、各トナーボトル40のトナー残量を検出するトナー残量センサー45、各トナーボトル40の着脱交換を検出するボトルセンサー46等からの検出信号を受け付けると共に、駆動源としての各種モーターの回転制御や、移動アクチュエーター43の駆動制御等を実行する。
ROM58には、印刷動作に関する制御プログラム、画像安定化処理、並びにトナー補給処理等に関する制御プログラムのほか、画像安定化処理において形成される各色の基準パターンのデータ等が格納されている。RAM59は、CPU57のワークエリアとして用いられる。カウンター60は、印刷に供された記録材Pの累積枚数(累積印刷枚数)等を計数し、計数した数値をバックアップメモリー62の所定格納領域に格納させる。
タイマー61は、内部電池(図示省略)等から電力供給を受けて、各種モーターの駆動時間等を計時する。バックアップメモリー62は不揮発性の記憶手段であり、累積印刷枚数等が格納される。
次に、図4を参照しながら、制御部28で実行されるオフセットトナー蓄積防止制御の第1実施例について説明する。定着装置5でオフセットトナーが発生し易い例として、中間調濃度パターンを含む画像データを印刷した場合が挙げられる。この場合、孤立ドットが多く存在して未定着トナー像が溶融し難いため、オフセットトナーが発生し易い。発生したオフセットトナーは最終的に、回転ブラシ42の表面に蓄積することになる。そこで、第1実施例では、中間調濃度パターンを含む画像データを印刷する場合に、オフセットトナー蓄積防止制御を実行する。
図4に示す第1実施例では、外部端末等からの印刷ジョブを受け付けて(S01)、印刷ジョブから得られる画像データを取得したのち(S02)、ステップS02で取得した画像データ中に中間調濃度パターンを含むか否かを判別する(S03)。画像データ中に中間調濃度パターンを含んでいれば(S03:YES)、当該中間調濃度パターンが設定閾値以上か否かを判別する(S04)。ここで、設定閾値は、記録材Pの搬送方向長さに対する中間調濃度パターンの長さで決めるのが好適である。例えばA4横通紙の場合、搬送方向長さ(短辺)に対して25%(50mm程度)を設定閾値とすれば、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積防止効果(詳細は後述する)が十分に得られる。
中間調濃度パターンが設定閾値以上であれば(S04:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32から離れる離間位置に移動させる(S05)。その後、印刷ジョブに基づく印刷を実行する(S06)。このため、定着ニップ部33で発生したオフセットトナーが均熱化ローラー41に付着せず、その結果、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積が防止される。オフセットトナーの塊が定着回転体対に逆流するのを少なくでき、記録材Pに吐き出し汚れが生ずるのを抑制できる。定着ニップ部33で発生したオフセットトナーは、後続の記録材Pに付着することになるが、極めて微小な量であり且つ分散しているため、画像不良として認識されるおそれはほぼない。
印刷終了後は(S07)、先に均熱化ローラー41を離間位置に移動させていれば(S08:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32に接触する圧接位置に移動させ(S09)、終了する。もちろん、回転ブラシ42の移動によって上記のオフセットトナー蓄積防止制御を行っても、同様の効果が得られる。均熱化ローラー41と回転ブラシ42との両方を移動させる態様でも差し支えない。なお、均熱化ローラー41の移動によってオフセットトナー蓄積防止を実現する場合、記録材Pのサイズによっては非通紙箇所の過昇温に配慮する必要があり、生産性に影響を及ぼす可能性がある。このため、サービスマンやユーザーの操作によって設定閾値を変更可能にするのが好ましい。
次に、図5を参照しながら、オフセットトナー蓄積防止制御の第2実施例について説明する。定着装置5でオフセットトナーが発生し易い例として、現像装置15の交換時期に達した場合が挙げられる。この場合、現像装置15が寿命に近づくとトナーの荷電性能が低下して、弱帯電トナーや逆帯電トナーが多くなる。弱帯電トナーや逆帯電トナーは、中間転写ベルト6等を介して記録材Pの白地部分に移動してかぶりトナーと化し、一部が定着ニップ部33でオフセットトナーとなる。発生したオフセットトナーは最終的に、回転ブラシ42の表面に蓄積することになる。現像装置15の寿命は一般に定着装置5よりも短いため、現像装置15の寿命末期には、オフセットトナー発生の機会が多くなりがちである。そこで、第2実施例では、現像装置15の交換時期に達した場合に、オフセットトナー蓄積防止制御を実行する。図5に示す第2実施例は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する計4つの現像装置15毎に個別に並行して実行される。後述する他の実施例についても同様である。
図5に示す第2実施例では、外部端末等からの印刷ジョブを受け付けて(S11)、バックアップメモリー62に記憶させた累積印刷枚数を取得したのち(S12)、累積印刷枚数が交換閾値(例えば12600枚)に達したか否かを判断する(S13)。第2実施例では、現像装置15の累積印刷枚数が14000枚に達すると、現像装置15の寿命がきたものとし、その手前の値(例えば約90%)を交換閾値と設定し、交換閾値に達したら、ユーザーに現像装置15の交換を促すものとしている。なお、累積印刷枚数は随時更新されているものとする。
累積印刷枚数が交換閾値に達していれば(S13:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32から離れる離間位置に移動させる(S14)。その後、印刷ジョブに基づく印刷を実行する(S15)。このため、定着ニップ部33で発生したオフセットトナーが均熱化ローラー41に付着せず、その結果、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積が防止される。この場合も、定着ニップ部33で発生したオフセットトナーは、後続の記録材Pに付着することになるが、極めて微小な量であり且つ分散しているため、画像不良として認識されるおそれはほぼない。
印刷終了後は(S16)、先に均熱化ローラー41を離間位置に移動させていれば(S17:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32に接触する圧接位置に移動させ(S18)、終了する。もちろん、回転ブラシ42の移動によって上記のオフセットトナー蓄積防止制御を行っても、同様の効果が得られる。均熱化ローラー41と回転ブラシ42との両方を移動させる態様でも差し支えない。
次に、図6を参照しながら、オフセットトナー蓄積防止制御の第3実施例について説明する。定着装置5でオフセットトナーが発生し易い例として、感光体ドラム13の交換時期に達した場合が挙げられる。この場合、感光体ドラム13が寿命に近づくと感光体ドラム13上の潜像電位が低くなって非画像部にもトナーが移動し易くなり、かぶりトナーとなる。かぶりトナーの一部が定着ニップ部33でオフセットトナーとなる。発生したオフセットトナーは最終的に、回転ブラシ42の表面に蓄積することになる。感光体ドラム13の寿命は一般に定着装置5よりも短いため、感光体ドラム13の寿命末期には、オフセットトナー発生の機会が多くなりがちである。そこで、第3実施例では、感光体ドラム13の交換時期に達した場合に、オフセットトナー蓄積防止制御を実行する。
図6に示す第3実施例では、外部端末等からの印刷ジョブを受け付けて(S21)、バックアップメモリー62に記憶させた累積印刷枚数を取得したのち(S22)、累積印刷枚数が交換閾値(例えば12600枚)に達したか否かを判断する(S23)。第3実施例では、感光体ドラム13の累積印刷枚数が14000枚に達すると、感光体ドラム13の寿命がきたものとし、その手前の値(例えば約90%)を交換閾値と設定し、交換閾値に達したら、ユーザーに感光体ドラム13の交換を促すものとしている。なお、累積印刷枚数は随時更新されているものとする。
累積印刷枚数が交換閾値に達していれば(S23:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32から離れる離間位置に移動させる(S24)。その後、印刷ジョブに基づく印刷を実行する(S25)。このため、定着ニップ部33で発生したオフセットトナーが均熱化ローラー41に付着せず、その結果、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積が防止される。この場合も、定着ニップ部33で発生したオフセットトナーは、後続の記録材Pに付着することになるが、極めて微小な量であり且つ分散しているため、画像不良として認識されるおそれはほぼない。
印刷終了後は(S26)、先に均熱化ローラー41を離間位置に移動させていれば(S27:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32に接触する圧接位置に移動させ(S28)、終了する。もちろん、回転ブラシ42の移動によって上記のオフセットトナー蓄積防止制御を行っても、同様の効果が得られる。均熱化ローラー41と回転ブラシ42との両方を移動させる態様でも差し支えない。
次に、図7を参照しながら、オフセットトナー蓄積防止制御の第4実施例について説明する。定着装置5でオフセットトナーが発生し易い例として、トナーボトル40を交換した場合が挙げられる。かぶりトナーの原因となる弱帯電トナーや逆帯電トナーは、帯電量の異なるトナーを混合したとき、すなわち、トナーボトル40を交換したときにも発生し易い。トナーボトル40を交換した場合は、現像装置15内において、帯電している旧トナーに帯電の弱い新トナーが補給されるため、帯電量差によって凝集し、弱帯電トナーや逆帯電トナーが一時的に増加する。一時的に増加した弱帯電トナーや逆帯電トナーはかぶりトナーと化し、定着ニップ部33でオフセットトナーが発生し易くなる。その後しばらく現像装置15が駆動すれば、トナーの帯電が立ち上がって新旧トナーが十分に混合され、弱帯電トナーや逆帯電トナーの発生は収束する。従って、トナーボトル40交換直後の所定時間だけオフセットトナー蓄積防止制御を実行すれば、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積を防止できる。そこで、第4実施例では、トナーボトル40交換直後の所定時間中に、オフセットトナー蓄積防止制御を実行する。
図7に示す第4実施例では、外部端末等からの印刷ジョブを受け付けて(S31)、ボトルセンサー46によってトナーボトル40交換を検出したら(S32:YES)、現像装置15の駆動時間の計測をリセットして新たに開始し(S33)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32から離れる離間位置に移動させ、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積を防止する(S34)。その後、印刷ジョブに基づく印刷を実行する(S35)。
印刷が終了したら現像装置15の駆動時間計測を終了し(S36)、均熱化ローラー41を離間位置に移動させていれば(S37:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32に接触する圧接位置に移動させる(S38)。その後、計測していた現像装置15の駆動時間をバックアップメモリー62に記憶させ(S39)、終了する。現像装置15の駆動時間の計測は次回のトナーボトル40交換まで累積される。
印刷ジョブ受け付け後にトナーボトル40交換を検出しなければ(S32:NO)、バックアップメモリー62に記憶させた現像装置15の駆動時間(トナーボトル40を交換してからの累積駆動時間)を取得し(S40)、現像装置15の駆動時間が交換時間閾値より短ければ(S41:YES)、ステップS34に移行して、均熱化ローラー41を加圧ローラー32から離れる離間位置に移動させる。現像装置15の駆動時間が交換時間閾値より長ければ(S41:NO)、ステップS35に移行して、印刷を実行する。
ここで、交換時間閾値は例えば60秒程度に設定すれば足りる。ただし、オフセットトナー発生が収束するか否かは、トナー補給量や帯電の立ち上がり、新旧トナーが十分に混合されるまでの時間によって決まるものであり、使用環境や使用状況によっても変化するため、例示の値に限定するものではない。また、サービスマンやユーザーの操作によって交換時間閾値を変更可能にするのが好ましい。もちろん、回転ブラシ42の移動によって上記のオフセットトナー蓄積防止制御を行っても、同様の効果が得られる。均熱化ローラー41と回転ブラシ42との両方を移動させる態様でも差し支えない。
次に、図8を参照しながら、オフセットトナー蓄積防止制御の第5実施例について説明する。定着装置5でオフセットトナーが発生し易い例として、例えば高印字率で連続印刷して現像装置15に多量のトナーを補給した後が挙げられる。帯電量差による弱帯電トナーや逆帯電トナーは、トナーボトル40交換直後と同様に、現像装置15に多量のトナーを補給した直後も発生し易い。従って、多量のトナーを補給した後の所定時間だけオフセットトナー蓄積防止制御を実行すれば、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積を防止できる。そこで、第5実施例では、多量のトナーを補給した後の所定時間中に、オフセットトナー蓄積防止制御を実行する。
図8に示す第5実施例では、外部端末等からの印刷ジョブを受け付けて(S51)、バックアップメモリー62に記憶させた前回ジョブでの現像装置15へのトナー補給量を取得し(S52)、取得したトナー補給量が補給量閾値より多いか否かを判別する(S53)。ここで、現像装置15へのトナー補給量は、トナー濃度センサー44で検出される補給前後のトナー濃度の差から求めることが可能である。補給量閾値は、例えば約2g(トナー濃度でいえば約1%)程度に設定すれば足りる。取得したトナー補給量が補給量閾値より多ければ(S53:YES)、前回ジョブでのトナー補給後からの現像装置15の駆動時間を取得し(S54)、現像装置15の駆動時間が交換時間閾値より短ければ(S55:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32から離れる離間位置に移動させ、回転ブラシ42へのオフセットトナーの蓄積を防止する(S56)。その後、印刷ジョブに基づく印刷を実行する(S57)。現像装置15の駆動時間が交換時間閾値より長ければ、ステップS57に移行して、印刷を実行する。
ここで、交換時間閾値は例えば60秒程度に設定すれば足りる。補給量閾値や交換時間閾値は、使用環境や使用状況によっても変化するため、例示した値に限定するものではない。また、サービスマンやユーザーの操作によって交換時間閾値を変更可能にするのが好ましい。
印刷終了後は(S58)、均熱化ローラー41を離間位置に移動させていれば(S59:YES)、移動アクチュエーター43の駆動によって、均熱化ローラー41を加圧ローラー32に接触する圧接位置に移動させる(S60)。その後、今回ジョブでの現像装置15へのトナー補給量をバックアップメモリー62に記憶させると共に(S61)、現像装置15の駆動時間(累積駆動時間)をバックアップメモリー62に記憶させ(S62)、終了する。もちろん、回転ブラシ42の移動によって上記のオフセットトナー蓄積防止制御を行っても、同様の効果が得られる。均熱化ローラー41と回転ブラシ42との両方を移動させる態様でも差し支えない。
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、画像形成装置としてプリンターを例に説明したが、これに限らず、複写機、ファクシミリ又はこれらの機能を複合的に備えた複合機等でもよい。また、加熱部35の他の態様としては、抵抗発熱体やハロゲンヒーターであってもよい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。