以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、蓄電装置の説明のための図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
(実施の形態)
まず、蓄電装置1の構成について、説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。例えば、X軸方向が上下方向になってもかまわない。以下の図においても、同様である。
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。中でも、本実施の形態に係る蓄電装置1は、据置用の電源装置として好適に使用される。
まず、図1に示すように、蓄電装置1は、外装体本体100と前壁部200と上壁部300とからなる外装体10を備えている。また、図2に示すように、蓄電装置1は、外装体10の内方に、底面側配置部材20と、蓄電素子40と、端子側配置部材50と、バスバー60と、配線基板70と、計測基板81と、主回路基板82とを備えている。
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱型)の容器(モジュールケース)である。外装体10は、蓄電素子40や基板(配線基板70、計測基板81及び主回路基板82)などを所定の位置に配置し、蓄電素子40や当該基板などを衝撃などから保護する。外装体10は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属などの剛性の高い材料により構成されている。なお、外装体10は、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂等の樹脂材料により構成されていてもかまわない。
ここで、外装体10は、外装体本体100と前壁部200と上壁部300とを有している。外装体本体100は、外装体10の本体を構成する部材であり、矩形状の底壁と、当該底壁から立設した3つの矩形状の側壁とを有している。外装体本体100は、板状の部材を折り曲げた形状を有している。また、前壁部200は、外装体10のもう1つの側壁を構成する矩形状かつ板状の部材である。つまり、外装体本体100と前壁部200とで、有底矩形筒状の部材を形成する。
上壁部300は、外装体10の上壁(蓋)を構成する部材であり、外装体本体100及び前壁部200からなる有底矩形筒状の部材の開口を塞ぐ矩形状かつ板状の部材である。つまり、外装体本体100及び前壁部200の内方に、蓄電素子40や基板(配線基板70、計測基板81及び主回路基板82)等が配置された状態で、当該開口部が上壁部300で閉止される。
底面側配置部材20は、蓄電素子40の底面側に配置される扁平な矩形状の部材であり、蓄電素子40を下方から保持する。つまり、底面側配置部材20は、外装体本体100の底壁に載置されて当該底壁に取り付けられて固定され、蓄電素子40を外装体10に対して所定位置で保持する。
具体的には、底面側配置部材20は、絶縁性の材料により構成されており、上面に形成された凹部に蓄電素子40が挿入されて、蓄電素子40を外装体10内で固定する。このようにして、底面側配置部材20は、蓄電素子40が外装体10等の導電性の部材に接触することを回避するとともに、蓄電素子40等を振動や衝撃等から保護する。
なお、底面側配置部材20は、どのような絶縁性の材料で形成されていてもかまわないが、例えばガラス繊維によって強化されたポリブチレンテレフタレート(GF強化PBT)や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性の高い樹脂で形成されるのが好ましい。これにより、蓄電素子40が発熱した場合でも、底面側配置部材20が損傷して他の蓄電素子40に影響を及ぼすのを抑制することができる。なお、蓄電素子40の絶縁性を確保できるのであれば、底面側配置部材20は、絶縁性の材料で形成されていなくともかまわない。
蓄電素子40は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。本実施の形態では、外装体10内に13個の蓄電素子40が収容されているが、空いたスペースにもう1つの蓄電素子40を追加して、14個の蓄電素子40が収容された構成でもかまわない。また、蓄電素子40は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。蓄電素子40の構成の詳細については、後述する。
端子側配置部材50は、蓄電素子40の電極端子側に配置される扁平な矩形状の部材であり、蓄電素子40を上方から保持する保持部材である。つまり、端子側配置部材50は、蓄電素子40の上方に配置されており、底面側配置部材20とともに、蓄電素子40を上下両側(Z軸方向)から挟み込むことで、蓄電素子40を外装体10に対して所定位置で保持する。
具体的には、端子側配置部材50は、絶縁性の材料により構成されており、下面に形成された凹部に蓄電素子40が挿入されて、蓄電素子40を外装体10内で固定する。このようにして、端子側配置部材50は、蓄電素子40が外装体10等の導電性の部材に接触することを回避するとともに、蓄電素子40等を振動や衝撃等から保護する。
また、端子側配置部材50には、バスバー60及び配線基板70が載置される。つまり、端子側配置部材50は、バスバー60及び配線基板70を蓄電素子40に取り付ける際の蓄電素子40に対する位置決めの機能も有する。なお、端子側配置部材50は、どのような絶縁性の材料で形成されていてもかまわないが、コスト面等から、例えばポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)又はABS樹脂等の樹脂で形成されるのが好ましい。なお、蓄電素子40やバスバー60等の絶縁性を確保できるのであれば、端子側配置部材50は、絶縁性の材料で形成されていなくともかまわない。この端子側配置部材50の構成の詳細については、後述する。
バスバー60は、端子側配置部材50の上方に配置され、複数の蓄電素子40同士を電気的に接続する金属など導電性の板状部材である。具体的には、バスバー60は、隣接する蓄電素子40において、一の蓄電素子40の正極端子又は負極端子と、他の蓄電素子40の負極端子又は正極端子とを接続する。本実施の形態では、バスバー60は、13個の蓄電素子40を直列に接続する。
配線基板70は、端子側配置部材50の上方に配置されている。また、蓄電素子40の電圧を検出するために、配線基板70は、蓄電装置1が備える蓄電素子40のうちの少なくとも1つの蓄電素子40の電極端子(本実施の形態では、全ての蓄電素子40の正極端子)に一端が接続された配線を有している。また、配線基板70は、矩形状を有しており、蓄電素子40の正極端子と負極端子との間に配置される。本実施の形態では、2枚の配線基板70が配置されているが、配線基板70の枚数は限定されない。また、配線基板70に代えて、ハーネス等を用いることもできるが、配線基板70を用いて電極端子と計測基板81とを接続することにより、配線の引き回しが容易となり、組付性が向上する。なお、配線基板70は、サーミスタを実装し、蓄電素子40の温度を検出することができる構成を有していてもかまわない。
計測基板81及び主回路基板82は、蓄電素子40と外装体10の側壁との間に配置され、かつ、蓄電装置1が備える蓄電素子40のうちの少なくとも1つの蓄電素子40と接続されて、蓄電素子40の状態を計測及び制御する基板である。具体的には、主回路基板82は、大電流が流れる主回路部品を実装した基板であり、蓄電素子40の容器の短側面に対向する外装体10の側壁の内面に固定される。また、計測基板81は、小電流が流れる周辺回路部品を実装した基板であり、蓄電素子40の容器の長側面に対向する外装体10の側壁の内面に固定される。
次に、蓄電素子40の構成について、詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子40の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、蓄電素子40は、容器410、正極端子430及び負極端子440を備え、容器410は、容器蓋部420を備えている。また、容器410内方には、電極体、正極集電体及び負極集電体が配置されているが、詳細な説明は省略する。
容器410は、金属からなる矩形筒状で底を備える筐体本体と、当該筐体本体の開口を閉塞する金属製の容器蓋部420とで構成されている。また、容器410は、電極体等を内部に収容後、容器蓋部420と筐体本体とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。このように、容器410は、同図のY軸方向両側の側面に長側面を有し、X軸方向両側の側面に短側面を有する直方体形状の容器である。なお、容器410の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼やアルミニウムなど溶接可能な金属であるのが好ましい。
正極端子430は、正極集電体を介して、電極体の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子440は、負極集電体を介して、電極体の負極に電気的に接続された電極端子であり、いずれも容器蓋部420に取り付けられている。つまり、正極端子430及び負極端子440は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子40の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子40の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
また、蓄電素子40は、さらに、電極端子が正極端子430であることを示す正極識別部421と、電極端子が負極端子440であることを示す負極識別部422とを有している。具体的には、正極識別部421は、容器蓋部420の電極端子側の表面(Z軸方向プラス側の面。以下、「蓄電素子40の上面」という。)における、正極端子430の側方(X軸方向プラス側)に設けられている。また、負極識別部422は、蓄電素子40の上面における、負極端子440の側方(X軸方向マイナス側)に設けられている。
つまり、蓄電素子40は、蓄電素子40の上面において、電極端子の並び方向の一方側(X軸方向プラス側)に設けられ、一方の極性(負極)を示す第一識別部(負極識別部422)を有している。また、蓄電素子40は、蓄電素子40の上面において、電極端子の並び方向の他方側(X軸方向マイナス側)に設けられ、他方の極性(正極)を示す第二識別部(正極識別部421)を有している。
ここで、正極識別部421は、具体的には、正極であることを示す「+」(プラス)の記号を有している。また、負極識別部422は、具体的には、負極であることを示す「−」(マイナス)の記号を有している。なお、正極識別部421は、「+」の記号ではなく、「正」、「プラス」などの文字を有していてもよい。同様に、負極識別部422は、「−」の記号ではなく、「負」、「マイナス」などの文字を有していてもよい。
つまり、正極識別部421と負極識別部422とは、互いに異なる文字又は記号を有していればよい。ここで、正極識別部421及び負極識別部422が互いに異なる文字又は記号を有するとは、一方が文字又は記号を有し、他方が文字又は記号を有さないことも含む。例えば、正極識別部421には「+」の記号又は「正」、「プラス」などの文字が設けられているが、負極識別部422には文字も記号も設けられていない構成、又は、その逆の構成でもかまわない。
また、正極識別部421の色と負極識別部422の色とは、互いに異なるように着色されている。本実施の形態では、正極識別部421は、「+」の記号が赤色に着色されており、負極識別部422は、「−」の記号が白色に着色されている。このように、正極識別部421と負極識別部422とを効果的に識別するために、顕著に異なる色で着色されているのが好ましい。
なお、正極識別部421の色及び負極識別部422の色は、上記の色には限定されない。また、正極識別部421及び負極識別部422は、一方が着色されていない構成でもかまわない。例えば、正極識別部421は、「+」の記号が赤色に着色されているが、負極識別部422の「−」の記号は着色されていない構成、又は、その逆の構成でもかまわない。
次に、端子側配置部材50の構成について、詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る端子側配置部材50の構成を示す斜視図である。また、図5は、本発明の実施の形態に係る端子側配置部材50と蓄電素子40及びバスバー60との位置関係を示す斜視図である。
これらの図に示すように、端子側配置部材50は、複数の蓄電素子40(本実施の形態では、13個の蓄電素子40a〜40m)の電極端子側に配置される部材であり、上方に、複数のバスバー60(本実施の形態では、11個のバスバー60)及び導電部材61〜64が配置される。具体的には、端子側配置部材50は、導電部材配置部510〜550と、上配置部561と、露出部562とを有している。
導電部材配置部510は、蓄電素子40の電極端子に接続される導電部材61が配置される部位である。ここで、導電部材61は、複数の蓄電素子40のうちの端部(X軸方向プラス側及びY軸方向マイナス側の端部)に配置された蓄電素子401の正極端子430に接続される導電性の部材である。なお、導電部材61は、本実施の形態では導電線(金属配線)であるが、金属製の棒状部材や板状部材など、どのような形状であってもかまわない。
導電部材配置部550は、蓄電素子40の電極端子に接続される導電部材63が配置される部位である。ここで、導電部材63は、複数の蓄電素子40のうちの端部(X軸方向マイナス側及びY軸方向マイナス側の端部)に配置された蓄電素子40mの負極端子440に接続される導電性の部材である。なお、導電部材63は、本実施の形態では導電線(金属配線)であるが、金属製の棒状部材や板状部材など、どのような形状であってもかまわない。
導電部材配置部520は、2つの蓄電素子40の電極端子を接続するバスバー60が配置される部位である。ここで、バスバー60は、複数の蓄電素子40のうちの隣り合う蓄電素子40の正極端子430と負極端子440とを接続する導電部材である。
導電部材配置部530は、蓄電素子40の電極端子に接続される導電部材62又はバスバー60が配置される部位である。本実施の形態では、導電部材配置部530には、導電部材62が配置される。
導電部材62は、複数の蓄電素子40のうちのX軸方向プラス側及びY軸方向プラス側の端部に配置された蓄電素子40fの負極端子440と、X軸方向マイナス側及びY軸方向プラス側の端部に配置された蓄電素子40gの正極端子430とに接続される導電性の部材である。つまり、導電部材62は、隣り合わない2つの蓄電素子40を接続する部材である。なお、導電部材62は、本実施の形態では導電線(金属配線)であるが、金属製の棒状部材や板状部材など、どのような形状であってもかまわない。
導電部材配置部540は、蓄電素子40の電極端子に接続される導電部材62又はバスバーが配置される部位である。本実施の形態では、導電部材配置部540には、導電部材62が配置される。
上配置部561は、蓄電素子40の負極識別部422上に配置される部位である。上配置部561は、板状の部位であり、不透明な材料により構成される。つまり、上配置部561は、蓄電素子40の負極識別部422が視認できない又は視認しにくいように、負極識別部422を隠蔽する部位である。
また、上配置部561は、端子側配置部材50に複数設けられており、複数の上配置部561のそれぞれは、複数の蓄電素子40のそれぞれに対応している。つまり、端子側配置部材50は、複数の蓄電素子40に対応する複数の上配置部561を有している。
露出部562は、蓄電素子40の正極識別部421を露出させる部位である。露出部562は、端子側配置部材50に形成され、かつ、端子側配置部材50の厚み方向(Z軸方向)に貫通する開口部である。つまり、露出部562は、蓄電素子40の正極識別部421が視認できるように、正極識別部421を露出させる部位である。
また、露出部562は、端子側配置部材50に複数設けられており、複数の露出部562のそれぞれは、複数の蓄電素子40のそれぞれに対応している。つまり、端子側配置部材50は、複数の蓄電素子40に対応する複数の露出部562を有している。
次に、複数の蓄電素子40上に、端子側配置部材50、バスバー60及び導電部材61〜64を配置した構成について、具体的に説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係る複数の蓄電素子40上に、端子側配置部材50、バスバー60及び導電部材61〜64を配置した構成を示す斜視図である。具体的には、同図は、図1に示された蓄電装置1から、上壁部300及び配線基板70を取り外した場合の構成を示す斜視図である。
また、図7は、本発明の実施の形態に係る複数の蓄電素子40上に、端子側配置部材50、バスバー60及び導電部材61〜64を配置した構成を示す平面図である。つまり、同図は、図6に示された構成をZ軸方向プラス側から見た場合の上面図である。
これらの図に示すように、端子側配置部材50が複数の蓄電素子40の電極端子側に配置された状態で、端子側配置部材50の複数の上配置部561は、複数の蓄電素子40の負極識別部422上に配置される。また、同様の状態で、端子側配置部材50の複数の露出部562は、複数の蓄電素子40の正極識別部421を露出させる。つまり、端子側配置部材50は、複数の蓄電素子40の正極識別部421及び負極識別部422のうちの負極識別部422を選択的に隠蔽する部材である。言い換えると、端子側配置部材50は、複数の蓄電素子40の正極識別部421及び負極識別部422のうちの正極識別部421を選択的に露出させる部材である。
また、複数の上配置部561のそれぞれは、当該上配置部561が対応する蓄電素子40の負極識別部422の全部を覆う位置に配置される。つまり、端子側配置部材50が複数の蓄電素子40の電極端子側に配置された状態では、複数の蓄電素子40の負極識別部422を視認することができない状態となっている。
また、複数の露出部562のそれぞれは、当該露出部562が対応する蓄電素子40の正極識別部421を露出させる開口部である。具体的には、複数の露出部562のそれぞれは、正極であることを示す「+」の記号を露出させる。
ここで、蓄電素子40の正極識別部421及び負極識別部422は、露出部562から露出される正極識別部421の方が負極識別部422よりも識別されやすいように構成されてもよい。具体的には、正極識別部421に設けられた文字又は記号の大きさと、負極識別部422に設けられた文字又は記号の大きさとが異なるように構成されてもよい。この場合、露出部562から露出される正極識別部421の方が負極識別部422よりも大きい文字又は記号が設けられているのが好ましい。正極識別部421の文字又は記号を視認しやすいからである。
また、露出部562から露出される正極識別部421の方が負極識別部422よりも目立つ色で着色されているのが好ましい。これは、目立つ色で着色されている正極識別部421の一部でも視認できれば、蓄電素子40の正極と負極とが逆に配置されていると判断することができるからである。なお、ここで言う「目立つ色」とは、例えば、周囲の色とのコントラストが大きい色であり、具体的には、周囲の色と反対色の関係にある色であってもよいし、周囲の色と所定値以上の輝度の差がある色であってもよい。
また、複数の上配置部561は、端子側配置部材50と一体に形成されている。
また、複数の上配置部561のそれぞれは、複数の蓄電素子40の複数の負極識別部422のそれぞれに個別に対応している。このため、複数の上配置部561のそれぞれの大きさを、当該上配置部561が対応する負極識別部422を隠蔽できる程度の最小の大きさに形成できるため、端子側配置部材50にかかる材料費を低減することができる。
ここで、図5に示すように、複数の蓄電素子40は、一の蓄電素子40の正極端子430及び負極端子440がX軸方向に並ぶ向きで、Y軸方向に配列されたものが2列(蓄電素子40a〜40fと、蓄電素子40g〜40mの2列)並んで配置される。そして、複数の蓄電素子40は、Y軸方向に隣接して並ぶ2つの蓄電素子40において、一方の蓄電素子40の正極端子430と他方の蓄電素子40の負極端子440とが互いにX軸方向の同じ側(X軸方向プラス側又はX軸方向マイナス側)を向くように配置されている。つまり、一の蓄電素子40(例えば蓄電素子40a)の正極端子430と、当該一の蓄電素子40に隣接する蓄電素子40(例えば蓄電素子40b)の負極端子440とがY軸方向に並ぶようにして、複数の蓄電素子40がY軸方向に並んで配置されている。
このように、複数の蓄電素子40は、直列に接続されやすい向きで正極端子430及び負極端子440が互い違いになるように並んで配置されている。このため、互いに隣接する一の蓄電素子40の正極端子430と他の蓄電素子40の負極端子440とをバスバー60で接続することで、複数の蓄電素子40を容易に直列に接続することができている。
また、このように複数の蓄電素子40が配置されるため、各蓄電素子40の負極識別部422及び正極識別部421に対応して設けられる、端子側配置部材50が有する複数の上配置部561及び複数の露出部562は、X軸方向及びY軸方向に交互に並んで形成されている。つまり、端子側配置部材50は、上配置部561と、露出部562とはX軸方向又はY軸方向に隣接して配置されている。これにより、端子側配置部材50は、複数の蓄電素子40のそれぞれに設けられる正極識別部421を露出させ、かつ、複数の蓄電素子40のそれぞれに設けられる負極識別部422を隠蔽することができる。
なお、導電部材配置部510に配置された導電部材61によって、前壁部200に設けられた外部接続端子210の正極側端子と、蓄電素子40aの正極端子430とが接続される。また、導電部材配置部550に配置された導電部材63によって、蓄電素子40mの負極端子440と、主回路基板82とが接続される。また、導電部材64によって、主回路基板82と、前壁部200に設けられた外部接続端子210の負極側端子とが接続される。なお、導電部材64は、本実施の形態では導電線(金属配線)であるが、金属製の棒状部材や板状部材など、どのような形状であってもかまわない。
以上の構成によれば、蓄電素子40は、蓄電素子40の負極(電極端子の一方の極性)を示す負極識別部422(第一識別部)と、正極(他方の極性)を示す正極識別部421(第二識別部)とを有している。そして、端子側配置部材50は、負極識別部422上に配置される上配置部561と、正極識別部421を露出させる露出部562とを有している。つまり、端子側配置部材50は、蓄電素子40の負極識別部422上に上配置部561を有するため、負極識別部422が視認できない又は視認しにくい状態になる。また、端子側配置部材50は、正極識別部421を露出部562から露出させるため、正極識別部421が視認可能な状態になる。このため、露出部562から正極識別部421が露出されていることを確認することで、正しい向きで蓄電素子40が配置されているかを確認できる。これにより、蓄電素子40の正極と負極とが逆に配置されることを抑制でき、蓄電装置1の組み立て時の作業性を向上させることができる。
また、端子側配置部材50は、蓄電素子40の電極端子側(正極端子430側又は負極端子440側)に配置されて、蓄電素子40を保持するため、蓄電素子40との組み付けが行われた後において、負極識別部422が視認できない又は視認しにくい状態に、かつ、正極識別部421が視認可能な状態にできる。つまり、端子側配置部材50と蓄電素子40との組み付けの際に、正しい向きで蓄電素子40が配置されているかを確認できる。このため、蓄電装置1の組み立て時の作業性を効果的に向上させることができる。
また、上配置部561は、負極識別部422の全部を覆う位置に配置される。つまり、上配置部561によって、負極識別部422が視認できない状態になるため、負極識別部422が一部でも視認できていれば蓄電素子40の正極と負極とが逆に配置されていると判断することができる。このため、正しい向きで蓄電素子40が配置されているかを効果的に確認できる。
また、露出部562は、端子側配置部材50に形成された開口部である。つまり、開口部を形成することで、露出部562を容易に形成できるため、端子側配置部材50を簡易に構成することができる。
また、正極識別部421と負極識別部422とは、互いに異なる文字又は記号を有している。つまり、正極識別部421が有する文字又は記号が露出部562から露出しているのを確認することで、正しい向きで蓄電素子40が配置されているかを確認できる。
また、正極識別部421の色と負極識別部422の色とは、互いに異なる。つまり、正極識別部421を示す色が露出部562から露出しているのを確認することで、正しい向きで蓄電素子40が配置されているかを容易に確認できる。また、色を検出することにより正極識別部421を識別できるため、画像検査装置に正極識別部421を検出させることが容易にできる。このため、画像検査装置による蓄電素子40の配置確認が容易となる。
また、上配置部561は、端子側配置部材50と一体に形成されている。つまり、端子側配置部材50を上配置部561と一体で形成することで、端子側配置部材50を簡易に構成することができる。
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、上記実施の形態に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、端子側配置部材50は、複数の蓄電素子40の複数の負極識別部422のそれぞれに個別に対応する複数の上配置部561を有していることとした。しかし、複数の上配置部561は、複数の負極識別部422のそれぞれに個別に対応して形成されていなくてもよい。例えば、図8に示すように、1つの上配置部561Aが複数の蓄電素子40の複数の負極識別部422に対応して形成されている端子側配置部材50Aが採用されてもよい。
図8は、本発明の他の実施の形態に係る複数の蓄電素子40上に、端子側配置部材50、バスバー60及び導電部材61〜64を配置した構成を示す平面図である。
図8に示すように、端子側配置部材50Aは、Y軸方向に配列されたものが2列(蓄電素子40a〜40fと、蓄電素子40g〜40mの2列)並ぶ複数の蓄電素子40の1列毎に対応している2つの上配置部561Aを有する。また、端子側配置部材50Aは、複数の蓄電素子40の複数の正極識別部421のそれぞれに対応する複数の露出部562Aを有する。複数の露出部562Aは、複数の正極識別部421のそれぞれに個別に対応して端子側配置部材50Aに形成されている開口部である。つまり、端子側配置部材50Aは、複数の蓄電素子40の複数の負極識別部422上に配置される上配置部561Aと、複数の正極識別部421を露出させる露出部562Aとを有していれば、複数の負極識別部422に個別に対応している複数の上配置部を有していなくてもよい。また、図示しないが、同様に、複数の正極識別部421に個別に対応している複数の露出部を有していなくても、複数の正極識別部421を露出させる1つの露出部を有する構成の端子側配置部材を採用してもよい。つまり、複数の露出部562Aが連続した1つの開口部を構成していてもよい。
また、上記実施の形態では、正極識別部421及び負極識別部422は、文字又は記号及び色を有していることとした。しかし、正極識別部及び負極識別部は、当該文字等を有していることに代えて、又は当該文字等を有していることに加えて、特徴的な形状を有していてもよい。つまり、正極識別部及び負極識別部は、互いに異なる形状を有していてもよい。なお、正極識別部及び負極識別部が互いに異なる形状を有するとは、双方が異なる形状を有することだけではなく、図9に示すように、一方が特徴的な形状を有し、他方が特徴的な形状を有さないことも含む。
図9は、本発明の他の実施の形態に係る蓄電素子40Aの構成を示す斜視図である。
図9に示すように、蓄電素子40Aにおいて、蓄電素子40Aの正極識別部421Aは、特徴的な形状を有しておらず、蓄電素子40Aの負極識別部422Aは円形の形状を有している。このような蓄電素子40Aとしては、例えば、正極端子430とリベット(正極端子430と正極集電体とを接続する部材)とが一体に形成されており、負極端子440とリベット(負極端子440と負極集電体とを接続する部材)とが別体で構成されている蓄電素子を利用できる。つまり、円形の形状を有する負極識別部422Aとしては、負極端子440の側方に露出するリベットの端部の形状を利用できる。例えば、リベットの材質(銅又は銅合金)と、負極端子440の材質(アルミニウム又はアルミニウム合金)とが異なる場合に、当該リベットと負極端子440とが別体で構成される。なお、負極識別部422Aが有する特徴的な形状は、円形に限らずに、三角形、四角形、星形などの他の形状であってもよい。また、正極識別部が特徴的な形状を有し、負極識別部が特徴的な形状を有していない蓄電素子であってもよい。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、端子側配置部材50、50Aは、蓄電素子40を上方から保持する保持部材であるとした。しかし、端子側配置部材50、50Aは、蓄電素子40を保持しない構成としてもよい。つまり、端子側配置部材50、50Aは、蓄電素子40の電極端子側(正極端子430側又は負極端子440側、つまり上側あるいはZ軸方向プラス側)に配置される部材であれば、蓄電素子40を保持しない部材も含む。
また、上記実施の形態では、正極識別部421と負極識別部422とは、互いに異なる文字又は記号を有し、かつ、正極識別部421の色と負極識別部422の色とは、互いに異なるように着色されていることとした。しかし、正極識別部421と負極識別部422とが同じ文字又は記号を有していてもよいし、ともに文字又は記号を有していなくてもよい。または、正極識別部421と負極識別部422とが同じ色に着色されていてもよいし、ともに着色されていなくてもよい。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、端子側配置部材50、50Aの上配置部561、561Aは、蓄電素子40の負極識別部422の全部を覆う位置に配置されていることとした。しかし、上配置部561、561Aは、負極識別部422が視認しにくい程度に負極識別部422の一部を覆う位置に配置されてもよい。このように負極識別部422を視認しにくい状態とする場合であっても、正極識別部421が露出部562、562Aにより視認可能な状態であるため、視認しやすい正極識別部421を確認することで、正しい向きで蓄電素子40が配置されているかを確認できる。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、端子側配置部材50、50Aの上配置部561、561Aは、不透明な材料により構成されることとした。しかし、上配置部561、561Aは、不透明な材料により構成されていなくてもよく、負極識別部422が視認しにくい程度に半透明な材料で構成されていてもよい。また、上配置部561、561Aは、負極識別部422により反射された光を屈折させることにより負極識別部422を視認しにくくさせるプリズムなどの透明な材料で構成されていてもよい。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、端子側配置部材50、50Aの露出部562、562Aは、端子側配置部材50、50Aに形成された開口部であることとした。しかし、露出部562、562Aは、透明な材料により構成される部位であってもよく、例えば、蓄電素子40の正極識別部421に対応する領域が透明な板状部材であってもよい。なお、蓄電素子40の正極識別部421が目立つ色に着色されている場合には、透明な材料でなくてもよく、光を透過する程度の半透明な材料で構成されていてもよい。これは、正極識別部421が目立つ色に着色されていれば、露出部が半透明な材料で構成されていても、正極識別部421を視認することができるからである。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、端子側配置部材50、50Aの上配置部561、561Aは、端子側配置部材50、50Aと一体に形成されていることとした。しかし、上配置部561、561Aは、端子側配置部材50、50Aと別体に構成されていてもよい。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、複数の蓄電素子40は、正極端子430及び負極端子440が互い違いになるように並んで配置されていることとした。しかし、複数の蓄電素子40は、正極端子430又は負極端子440がX軸方向の同じ側(X軸方向プラス側又はX軸方向−側)を向くようにして、Y軸方向に並んで配置されていてもよい。このように、複数の蓄電素子40が同じ向きで並んで配置されている場合には、隣り合う複数の正極識別部421を露出させる、Y軸方向に延びる空間を露出部としてもよい。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、蓄電装置1は、複数の蓄電素子40を備えていることとした。しかし、蓄電装置は、1つの蓄電素子40を備える構成であってもよい。この場合であっても、端子側配置部材は、1つの蓄電素子40の負極識別部422上に配置される上配置部と、蓄電素子40の正極識別部421を露出させる露出部とを有している構成であればよい。
また、上記実施の形態及び他の実施の形態では、端子側配置部材50、50Aの上配置部561、561Aは、蓄電素子40の負極識別部422上に配置されており、端子側配置部材50、50Aの露出部562、562Aは、蓄電素子40の正極識別部421を露出させることとした。しかし、上配置部561、561Aは、蓄電素子40の正極識別部421上に配置されており、露出部562、562Aは、蓄電素子40の負極識別部422を露出させることとしてもよい。つまり、端子側配置部材は、電極端子の一方の極性を示す第一識別部上に配置される上配置部と、電極端子の他方の極性を示す第二識別部を露出させる露出部とを有していればよい。
また、上記実施の形態では、蓄電素子40は2列(蓄電素子40a〜40fと、蓄電素子40g〜40mの2列)に配置されていることとしたが、これについても、3列以上配置されていてもかまわない。