以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
まず、蓄電装置10の構成について、説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
なお、同図では、Z軸方向を上下方向(設置状態での重力の作用する方向)として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。以下の図においても、同様である。
なお、以下において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示しており、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、具体的には、1以上の蓄電素子を外装体に収容した蓄電モジュール(電池モジュール)である。これらの図に示すように、蓄電装置10は、外装体100と、外装体100に収容される複数の蓄電素子を有する蓄電ユニット200とを備えている。
外装体100は、蓄電装置10の外装体を構成する矩形状(箱状)の部材である。外装体100は、蓄電ユニット200を所定の位置に配置し、蓄電ユニット200を衝撃などから保護する。また、外装体100は、例えば樹脂などの絶縁性の材料により構成されており、蓄電ユニット200が外部の金属部材などに接触することを回避する。
ここで、外装体100は、外装体本体110と外装体蓋体120とを有している。外装体本体110は、外装体100の本体を構成する有底矩形筒状の部材である。外装体蓋体120は、外装体100の蓋を構成する部材であり、外装体本体110の開口部を塞ぐ扁平な矩形状の部材である。
また、外装体蓋体120には、正極外部端子121と負極外部端子122とが設けられている。つまり、蓄電装置10は、正極外部端子121及び負極外部端子122を介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
次に、蓄電ユニット200の具体的な構成について、以下に詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る蓄電ユニット200の外観を示す斜視図である。また、図4は、本発明の実施の形態に係る蓄電ユニット200を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
これらの図に示すように、蓄電ユニット200は、複数の蓄電素子300と、配線部210と、締結部220と、制御部230と、リレー部240と、カバー部材250とを備えている。
蓄電素子300は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。なお、蓄電素子300は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、本実施の形態では、4個の蓄電素子300が備えられているが、蓄電素子300の数は限定されず、1以上の蓄電素子300が備えられていればよい。
ここで、蓄電素子300の具体的な構成について、以下に詳細に説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子300の構成を容器内部を透視して示す斜視図である。なお、同図では、図4に示された蓄電素子300の電極端子が上方に向くように(Y軸マイナス方向が上方に向くように)図示している。
また、図6は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子300の容器310の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、図5に示した蓄電素子300の容器310をXY平面に平行な面で切断した場合の容器310の上部の断面を示す図である。
図5に示すように、蓄電素子300は、容器310と、正極端子320と、負極端子330とを備えている。また、容器310は、容器本体311と、容器蓋部312とを有しており、容器310内方には、電極体340と、正極集電部材350と、負極集電部材360とが配置されている。なお、容器310の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
容器310は、矩形筒状で底を備える容器本体311と、容器本体311の開口を閉塞する板状部材である容器蓋部312とで構成されている。また、容器310は、電極体等を内部に収容後、容器本体311と容器蓋部312とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、容器本体311及び容器蓋部312の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼など溶接可能な金属であるのが好ましい。
ここで、図6に示すように、容器蓋部312には、容器本体311との位置決めを容易に行うために、表面312aから突出する突出部312bが形成されている。つまり、この突出部312bが容器本体311の先端部311a上に載置されることで、容器本体311に対する容器蓋部312の位置決めを容易に行うことができる。これにより、容器本体311と容器蓋部312との溶接を容易に行うことができる。
ここで、突出部312bは、容器蓋部312の表面312aの周縁から突出したフランジ部である。具体的には、突出部312bは、容器蓋部312の表面312aの周縁から外方(Y軸マイナス方向)へ突出している環状の突起である。つまり、突出部312bは、矩形状の表面312aの周囲を囲うように突出して形成された、矩形状に繋がった環状の部位である。
そして、この突出部312bにより、容器310は、突出領域310aと非突出領域310bとを有することになる。つまり、突出領域310aは、容器310の容器蓋部312の表面312aから突出する突出部312bが形成された領域であり、非突出領域310bは、突出部312bが形成されていない領域である。
具体的には、突出領域310aは環状の領域であるため、非突出領域310bは、突出領域310aの内方の領域である。つまり、突出領域310aにはフランジ部(突出部312b)が配置されているため、非突出領域310bは、フランジ部(突出部312b)の内方の領域である。
なお、本実施の形態では、突出部312bは、容器蓋部312の表面312aの周縁から突出したフランジ部であるが、突出部312bは、容器本体311のいずれかの面に形成されていてもよい。つまり、突出部312bは、容器310のいずれかの面の周縁から突出したフランジ部であってもよい。
また、容器310の容器蓋部312には、円形状の安全弁313が設けられている。安全弁313は、容器310内方の圧力の上昇により容器310の密閉状態を開放することで、容器310内方の圧力を開放する安全弁である。なお、安全弁313の形状は円形状には限定されない。また、本実施の形態では、安全弁313は、容器蓋部312に設けられているが、安全弁313が容器本体311に設けられている構成でもかまわない。
電極体340は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる発電要素である。具体的には、電極体340は、正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻回されて形成された巻回型の電極体である。なお、電極体340の形状は円形状または楕円形状でもよい。
正極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO4、LiMSiO4、LiMBO3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
負極は、銅または銅合金からなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4Ti5O12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
正極端子320は、正極集電部材350を介して、電極体340の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子330は、負極集電部材360を介して、電極体340の負極に電気的に接続された電極端子である。
つまり、正極端子320及び負極端子330は、電極体340に蓄えられている電気を蓄電素子300の外部空間に導出し、また、電極体340に電気を蓄えるために蓄電素子300の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子320及び負極端子330は、電極体340の上方に配置された容器蓋部312に取り付けられている。
具体的には、蓄電装置10に備えられた複数の蓄電素子300のうち正極外部端子121側に配置された蓄電素子300の正極端子320が正極外部端子121と接続され、当該蓄電素子300の負極端子330は、隣接する蓄電素子300の正極端子320と接続される。また同様に、当該複数の蓄電素子300のうち負極外部端子122側に配置された蓄電素子300の負極端子330が負極外部端子122と接続され、当該蓄電素子300の正極端子320は、隣接する蓄電素子300の負極端子330と接続される。また、その他の蓄電素子300の正極端子320または負極端子330は、隣接する蓄電素子300の負極端子330または正極端子320と接続される。
正極集電部材350は、電極体340の正極と容器310の側壁との間に配置され、正極端子320と電極体340の正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電部材350は、当該正極の正極集電箔と同様、アルミニウムを主成分とする金属で形成されている。
負極集電部材360は、電極体340の負極と容器310の側壁との間に配置され、負極端子330と電極体340の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電部材360は、当該負極の負極集電箔と同様、銅を主成分とする金属で形成されている。
図4に戻り、配線部210は、複数の蓄電素子300の監視や制御を行うための配線が配置された部位である。配線部210は、複数の蓄電素子300の電極端子(正極端子320及び負極端子330)が配置されている面(Y軸方向マイナス側の面)に配置されている。つまり、配線部210は、複数の蓄電素子300と後述する締結部材226との間に配置されている。配線部210の詳細な説明については、後述する。
締結部220は、複数の蓄電素子300を締結する部位である。締結部220は、一対の挟持板221及び222と、第一梁部材223と、第二梁部材224と、第三梁部材225と、締結部材226とを有している。
一対の挟持板221及び222は、対向する矩形状の一対の板状部材であり、配列された複数の蓄電素子300を配列方向(X軸方向)の両側方から挟み込むように配置されている。つまり、挟持板221は、複数の蓄電素子300のX軸方向プラス側に配置され、挟持板222は、複数の蓄電素子300のX軸方向マイナス側に配置されている。
また、一対の挟持板221及び222は、鋼板など金属製の部材によって形成されている。なお、挟持板221及び222の材質は、強度が確保できれば金属には限定されず、樹脂などによって形成されていてもかまわない。
第一梁部材223は、一対の挟持板221及び222の縁端同士を接続している平板状の部材であり、配列された複数の蓄電素子300の配列方向に沿って、締結部材226とは反対側に、当該複数の蓄電素子300のそれぞれと対向して配置されている。つまり、第一梁部材223は、複数の蓄電素子300の電極端子(正極端子320及び負極端子330)が配置されている面とは反対側の底面(Y軸方向プラス側の面)に対向して配置されており、一対の挟持板221及び222の側面部同士に固定されている。
また、第一梁部材223は、軽量化のために、複数の蓄電素子300の配列方向に沿って、長円形状の開口部が形成されている。また、第一梁部材223は、鋼板など金属製の部材によって形成されている。なお、第一梁部材223の材質は、強度が確保できれば金属には限定されず、樹脂などによって形成されていてもかまわない。
第二梁部材224は、一対の挟持板221及び222の底面部同士を接続している平板状の部材であり、配列された複数の蓄電素子300の配列方向に沿って、第三梁部材225とは反対側に、当該複数の蓄電素子300のそれぞれと対向して配置されている。つまり、第二梁部材224は、複数の蓄電素子300の短側面(Z軸方向マイナス側の面)に対向して配置されており、一対の挟持板221及び222の底面部同士に固定されている。
また、第二梁部材224は、複数の蓄電素子300の配列方向に沿って、長円形状の開口部または凸部が形成されている。また、第二梁部材224は、鋼板など金属製の部材によって形成されている。なお、第二梁部材224の材質は、強度が確保できれば金属には限定されず、樹脂などによって形成されていてもかまわない。
第三梁部材225は、一対の挟持板221及び222の上部同士を接続している棒状の部材であり、配列された複数の蓄電素子300の配列方向に沿って、第二梁部材224とは反対側に、当該複数の蓄電素子300のそれぞれと対向して配置されている。つまり、第三梁部材225は、複数の蓄電素子300の短側面(Z軸方向プラス側の面)に対向して配置されており、一対の挟持板221及び222の上部同士に固定されている。
また、第三梁部材225は、複数の蓄電素子300の配列方向に沿って、長円形状の凸部が形成されている。また、第三梁部材225は、鋼板など金属製の部材によって形成されている。なお、第三梁部材225の材質は、強度が確保できれば金属には限定されず、樹脂などによって形成されていてもかまわない。
締結部材226は、一対の挟持板221及び222に固定されて当該複数の蓄電素子300を締結する部材であり、配列された複数の蓄電素子300の配列方向に沿って、第一梁部材223とは反対側に、当該複数の蓄電素子300のそれぞれと対向して配置されている。具体的には、締結部材226は、鋼板などの金属板を中空の箱状に加工してなる長尺状の部材であり、複数の蓄電素子300の安全弁が配置されている面(Y軸方向マイナス側の面)に対向して配置されている。
つまり、締結部材226は、複数の蓄電素子300の安全弁と繋がる空間が内方に形成されており、当該複数の蓄電素子300の安全弁からの排気を外方へ排出する。このように、締結部材226は、複数の蓄電素子300を締結する機能に加えて、複数の蓄電素子300の安全弁からの排気を外方へ排出する排気パイプとしての機能も有している。
また、締結部材226は、複数の蓄電素子300の電極端子側の面に配置された配線部210を、複数の蓄電素子300とで挟み込むように配置されている。なお、締結部材226の材質は、強度及び耐熱性が確保できれば金属には限定されず、樹脂などによって形成されていてもかまわない。
以上のように、複数の蓄電素子300の周囲を覆うように、一対の挟持板221及び222と第一梁部材223と第二梁部材224と第三梁部材225とがネジ締めなどにより取り付けられて、複数の蓄電素子300の電極端子側の面に配線部210が配置される。そして、複数の蓄電素子300とで配線部210を挟み込むように、締結部材226の両端部が一対の挟持板221及び222に接続されて、ボルトなどで締め付けられることで、複数の蓄電素子300を締結する。
制御部230は、複数の蓄電素子300の充電状態や放電状態などの電気的な状態を監視したり、複数の蓄電素子300の充放電を制御する機能を有する電気機器であり、挟持板221の側面にネジ締めなどにより取り付けられている。具体的には、制御部230は、内方に制御基板を有しており、当該制御基板が配線部210の配線に接続されることで、当該制御基板と複数の蓄電素子300の電極端子(正極端子320または負極端子330)とが電気的に接続される。
リレー部240は、リレー機能を有する電気機器であり、挟持板222の側面にネジ締めなどにより取り付けられている。具体的には、リレー部240は、内方にリレー回路を有しており、当該リレー回路が配線部210の配線に接続されることで、当該リレー回路と制御部230の制御基板とが電気的に接続される。
カバー部材250は、後述する複数の蓄電素子300の電極端子同士を接続するバスバー213を保護するためのカバーである。カバー部材250は、高強度な樹脂などの絶縁性の材料により形成されており、機械的及び電気的にバスバー213を保護する。
次に、複数の蓄電素子300に取り付けられる配線部210の具体的な構成について、以下に詳細に説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係る複数の蓄電素子300に取り付けられる配線部210を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
同図に示すように、配線部210は、配線配置部211と、配線接続部212と、バスバー213と、第一配線214と、第二配線215とを備えている。
配線配置部211は、第一配線214及び第二配線215などの配線が配置されるハーネストレーであり、樹脂など絶縁性の部材からなる矩形状の板状部材である。配線配置部211は、複数の蓄電素子300の電極端子(正極端子320及び負極端子330)が配置されている面(Y軸方向マイナス側の面)上に配置され、配線配置部211上に第一配線214及び第二配線215が載置されて保持される。配線配置部211の詳細な説明については、後述する。
配線接続部212は、複数の蓄電素子300の電極端子(正極端子320または負極端子330)と、第一配線214などの配線とを電気的に接続する矩形状の板状部材であり、金属などの導電性部材によって形成されている。配線接続部212は、当該配線が接続された状態で、ボルトなどによって複数の蓄電素子300の電極端子に固定されることで、当該電極端子と配線とを電気的に接続する。
バスバー213は、複数の蓄電素子300の電極端子間を接続する金属などの導電性の部材である。つまり、バスバー213は、隣り合う蓄電素子300同士の正極端子320と負極端子330とを電気的に接続する。つまり、バスバー213は、隣接する蓄電素子300において、1の蓄電素子300の正極端子320または負極端子330と、他の蓄電素子300の負極端子330または正極端子320とを接続する。
第一配線214は、蓄電素子300の電圧を計測するための複数の電圧計測線と、蓄電素子300の温度を計測するための複数の温度計測線とを有している。ここで、電圧計測線は、一端が複数の蓄電素子300それぞれの電極端子(正極端子320または負極端子330)と接続され、他端が制御部230の制御基板に接続された配線である。また、温度計測線は、一端が蓄電素子300の電極端子に設けられている温度計測点301(同図では2箇所)に接続され、他端が制御部230の制御基板に接続された配線である。
第二配線215は、複数のリレー作動用の配線を有しており、リレー部240と制御部230とを接続している。つまり、第二配線215は、一端がリレー部240のリレー回路に接続され、他端が制御部230の制御基板に接続されている。なお、第二配線215は、例えば、複数のリレー作動用の配線が束ねられて、絶縁テープで巻かれたテープ巻線である。
以上のように、複数の蓄電素子300の電極端子側の面に配線配置部211が配置され、第一配線214が接続された配線接続部212とバスバー213とが複数の蓄電素子300の電極端子に接続される。そして、配線配置部211に第一配線214及び第二配線215が配置される。
次に、配線配置部211の具体的な構成について、以下に詳細に説明する。
図8は、本発明の実施の形態に係る配線配置部211の構成を示す図である。具体的には、同図の(a)は、図7に示された配線配置部211をY軸方向マイナス側から見た場合の平面図であり、同図の(b)は、配線配置部211をX軸方向プラス側から見た場合の側面図であり、同図の(c)は、配線配置部211を同図の(a)に示されたA−A断面(XY平面に平行な面)で切断した場合の断面を示す図である。
また、図9は、本発明の実施の形態に係る配線部210が複数の蓄電素子300に配置された状態を示す斜視図である。また、図10は、本発明の実施の形態に係る配線部210が複数の蓄電素子300に配置された状態を示す平面図である。具体的には、同図は、図9に示された配線部210及び複数の蓄電素子300をY軸方向マイナス側から見た場合の平面図である。
これらの図に示すように、配線配置部211は、配線の経路を形成する配線経路形成部211aと、配線を固定するための配線固定部211bとを有している。
配線経路形成部211aは、蓄電素子300の正極端子320に接続された第一配線214を負極端子330側に案内する、または、蓄電素子300の負極端子330に接続された第一配線214を正極端子320側に案内する経路が形成された部位である。つまり、配線経路形成部211aは、蓄電素子300の容器310の容器蓋部312の長辺(Z軸方向の辺)に沿って延びるように形成されている。
具体的には、配線経路形成部211aには、第一配線214が有する2本の電圧計測線が配置されるように、両側に2つの配線の経路が形成されている。なお、配線経路形成部211aに形成されている配線の経路は、2つには限定されない。
配線固定部211bは、第一配線214及び第二配線215が配線配置部211から外れないように、第一配線214及び第二配線215を配線配置部211に固定するための部位である。つまり、配線固定部211bは、配線配置部211の表面とで第一配線214または第二配線215を挟み込むように、配線配置部211の表面との間に第一配線214または第二配線215が配置されるように形成されている。
具体的には、配線固定部211bは、配線配置部211に形成された溝部の内壁から内側に突起した一対の突起部である。なお、配線固定部211bの形状は、当該突起部には限定されず、配線を固定できる形状であれば、適宜公知の形状を適用できる。
なお、図10では、説明の便宜のため、第一配線214として、配線経路形成部211aを通る2本の電圧計測線しか図示していないが、第一配線214は、配線経路形成部211aを通ることなく制御部230に接続される電圧計測線及び温度計測線も有している。そして、これらの電圧計測線及び温度計測線も、配線固定部211bにより固定されている。また、第二配線215は、複数のリレー作動用の配線が束ねられた1本のテープ巻線として図示している。
以上のように、配線経路形成部211a及び配線固定部211bによって、第一配線214及び第二配線215は、配線配置部211上において、蓄電素子300の容器310の容器蓋部312に沿って配置される。
次に、第一配線214及び第二配線215が配置される位置について、詳細に説明する。
図11は、本発明の実施の形態に係る配線経路形成部211aにおいて第一配線214が配置される位置を示す断面図である。具体的には、同図は、図10に示された配線部210をB−B断面(XY平面に平行な面)で切断した場合の断面を示す図である。
また、図12は、本発明の実施の形態に係る配線固定部211bにおいて第一配線214及び第二配線215が配置される位置を示す断面図である。具体的には、同図は、図10に示された配線部210をC−C断面(YZ平面に平行な面)で切断した場合の断面を示す図である。
まず、図11に示すように、第一配線214は、配線経路形成部211aにおいて、容器310の非突出領域310bと対向する位置に配置されている。ここで、非突出領域310bと対向する位置とは、非突出領域310bの直上の位置であり、非突出領域310bにおける容器蓋部312の表面312aに対して垂直方向(同図のY軸マイナス方向)の位置である。また、同様に、突出領域310aと対向する位置とは、突出領域310aの直上の位置であり、突出部312bの突出方向(同図のY軸マイナス方向)の位置である。
つまり、第一配線214のうちの容器310と他の部材とで挟まれる部分は、非突出領域310bと対向する位置に配置されている。具体的には、第一配線214は、配線経路形成部211a上に配置されることで、非突出領域310bと、当該他の部材である締結部材226などの高強度部材との間に配置されている。
つまり、第一配線214は、高強度部材と対向する位置に配置されている部分については、非突出領域310bと対向して配置されている。言い換えれば、第一配線214は、高強度部材と対向する位置に配置されている部分については、突出領域310aとは対向して配置されていない。なお、第一配線214は、高強度部材とは対向して配置されていない部分については、突出領域310aと対向して配置されていてもよい。このように、第一配線214は、突出領域310aと高強度部材との間に挟まれないように、配置されている。
ここで、高強度部材とは、第一配線214を断線させるような高強度の部材であり、少なくとも第一配線214(特に第一配線214の芯線)よりも強度の高い部材である。高強度部材は、例えば、複数の蓄電素子300を締結する部材(締結部材226)、蓄電素子300の安全弁からの排気を外方へ排出する排気パイプ(締結部材226)、高強度な絶縁部材(カバー部材250)、または、テープ巻線などの太い或いは硬い配線(第二配線215)などである。なお、高強度部材は、高強度の部材であればよく、上記例示した部材には限定されない。
具体的には、第一配線214は、配線経路形成部211aにおいて、容器310の突出領域310aを形成するフランジ部(突出部312b)の内方の領域である非突出領域310bと対向する位置に配置されている。つまり、第一配線214のうちの容器310と他の部材(本実施の形態では締結部材226)とで挟まれる部分は、当該フランジ部の内方の領域である非突出領域310bと対向する位置に配置されている。
さらに具体的には、第一配線214は、配線経路形成部211aにおいて、当該フランジ部の長辺に沿って配置されている。つまり、図10に示したように、配線経路形成部211aは、容器蓋部312のフランジ部の長辺(Z軸方向の辺)に沿って延びるように形成されているため、第一配線214は、当該フランジ部の長辺に沿って配置されている。このように、第一配線214のうちの容器310と他の部材(本実施の形態では締結部材226)とで挟まれる部分は、当該フランジ部の長辺に沿って配置されている。
また、図11に示すように、突出部312bは、容器310の表面から突出する高さが、第一配線214の芯線の直径以上の高さとなるように形成されている。つまり、突出部312bは、容器蓋部312の表面312aから突出する高さHが、第一配線214の芯線の断面における直径の長さ以上の大きさとなるように形成されている。第一配線214の芯線とは、第一配線214から絶縁皮膜を取り除いた導電性の芯材である。
なお、第一配線214の芯線の直径が場所によって異なる場合には、突出部312bの高さHは、第一配線214のうちの容器310と他の部材(本実施の形態では締結部材226)とで挟まれる部分の芯線の直径以上の高さとなるように形成されていればよい。
ここで、配線経路形成部211aと高強度部材(本実施の形態では締結部材226)とは、近接または当接(密着)して配置されている。
また、図12に示すように、第一配線214は、配線固定部211bにおいて、容器310と、第二配線215が束ねられたテープ巻線などの高強度部材が配置されていない領域との間に配置されている。つまり、第一配線214は、容器310と高強度部材(第二配線215)とで挟まれる位置には配置されていない。なお、高強度部材とは、上述の図11において説明した通りである。
具体的には、第一配線214は、配線固定部211bの位置において、高強度部材の側方(Z軸方向プラス側)に配置されている。つまり、配線固定部211bの位置においては、第一配線214を挟む位置(Y軸方向の両側)に、容器310の突出領域310aは配置されておらず、高強度部材も配置されていない。
これにより、第一配線214が突出領域310aや高強度部材に挟まれることがないため、第一配線214が断線することを防ぐことができる。なお、第一配線214は、複数の配線を束ねてテープ巻線として配置していてもよい。
これに対し、図13に示すように、配線固定部211bの位置において、第一配線214の上方(Y軸方向マイナス側)に高強度部材が配置されている場合には、第一配線214が高強度部材に挟まれて断線する虞がある。なお、図13は、本発明の実施の形態に係る配線固定部211bでの第一配線214及び第二配線215の配置によって奏する効果を説明するための図である。
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置10によれば、第一配線214は、容器310の突出部312bが形成されていない非突出領域310bと対向する位置に配置されている。つまり、蓄電素子300の容器310に沿って配置される第一配線214を、容器310の突出部312bが形成された突出領域310aと対向する位置とは異なる位置に配置する。これにより、蓄電装置10に衝撃が加わった場合でも、容器310の突出部312bが第一配線214に対して強い衝撃を与えるのを抑制し、蓄電素子300の容器310に沿って配置された第一配線214が断線することを抑制することができる。
また、突出部312bは、第一配線214の芯線の直径以上の高さとなるように形成されているため、第一配線214が容器310に押さえ付けられるような力が加わった場合でも、突出部312bが支えとなって第一配線214を保護し、第一配線214が断線することを抑制することができる。
また、容器310の製造時において、容器本体311と容器蓋部312とを位置決めして溶接しやすいように、容器本体311または容器蓋部312にフランジ部としての突出部312bを形成している。このため、当該フランジ部によって第一配線214が断線することを抑制することができる。
つまり、第一配線214を蓄電素子300に押し付ける方向の力が加わった場合であっても、突出部312bが支えとなり、第一配線214の断線を防止することができる。なお、この場合には、容器310は金属製の容器であるなど、突出部312bが少なくとも第一配線214よりも高い強度を有しているのが好ましい。
また、第一配線214を、フランジ部の外方(蓄電素子300の外方)に配置する場合には、隣接する蓄電素子300同士の間に第一配線214が配置されることになるため、蓄電素子300同士によって第一配線214が挟まれて、第一配線214が断線する可能性がある。このため、第一配線214を、フランジ部の内方に配置することで、当該フランジ部によって第一配線214が断線することを抑制することができる。
また、第一配線214を、容器310の表面312aの長辺に沿って配置する場合には、当該表面312aの長辺に沿って形成されたフランジ部上に第一配線214が乗り上がった状態で配置されやすい。つまり、表面312aの短辺よりも長辺の方が長いので、当該フランジ上に第一配線214が乗り上がる確率が高くなる。また、隣り合う蓄電素子300が長辺を向い合せた状態で配列され、お互いに近づく方向に力を加えられているために、隣り合う蓄電素子300のフランジの長辺の間に、隙間ができにくくなる。このため、第一配線214が、当該フランジの長辺の間に入り込みにくくなり、結果としてフランジ上に乗り上げ易くなる。
このため、第一配線214を、容器310の表面312aの長辺に沿って配置する場合であっても、フランジ部上に乗り上げないようにフランジ部に沿って配置することで、当該フランジ部によって第一配線214が断線することを抑制することができる。
また、第一配線214が、容器310と高強度部材との間に配置されている場合には、容器310と高強度部材との間に第一配線214が挟まれて、第一配線214が断線する可能性がある。このため、第一配線214を、非突出領域310bと高強度部材との間に配置することで、当該高強度部材によって第一配線214が断線することを抑制することができる。
また、第一配線214を、容器310と、高強度部材が配置されていない領域との間に配置することで、さらに、当該高強度部材によって第一配線214が断線することを抑制することができる。
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。図14は、本発明の実施の形態の変形例1に係る配線部210aが複数の蓄電素子300に配置された状態を示す平面図である。
上記実施の形態では、配線部210が有する配線配置部211は、突出領域310aに対向する位置の近傍に、配線固定部211bを有していることとした。しかし、本変形例では、配線部210aが有する配線配置部211は、突出領域310aに対向する位置とは異なる位置に、配線固定部211cを有している。
特に、配線固定部211cは、蓄電素子300の容器蓋部312の短辺に沿った方向の中央部分(X軸方向の中央部分)に配置されているのが好ましい。言い換えれば、配線固定部211cは、非突出領域310bの短辺に沿った方向の中央部分に配置されているのが好ましい。蓄電素子300の両側の突出部312bから配線固定部211cまでの距離を大きくとることができるからである。
このように、配線固定部211cは、突出領域310aに対向する位置から離間して配置されている。
なお、配線固定部211cは、蓄電装置に衝撃が加わった場合でも、突出領域310aとで第一配線214を挟み込んで第一配線214を断線させないような位置まで、突出領域310aに対向する位置から離間して配置されていればよい。つまり、配線固定部211cは、突出領域310aの突出部312bとで第一配線214を挟み込んでも、第一配線214に対して第一配線214を断線させるよりも小さい張力しか発生させないような位置に配置されていればよい。
以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電装置によれば、配線固定部211cを、突出領域310aに対向する位置とは異なる位置に配置することで、配線固定部211cによって第一配線214が断線することを抑制することができる。
特に、本変形例においては、図13に示されたように、第一配線214の上方(Y軸方向マイナス側)に高強度部材が配置されている場合でも、第一配線214が高強度部材に挟まれて断線することを抑制することができる。
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。図15は、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子の容器370の構成を示す断面図である。
上記実施の形態では、容器蓋部312の表面312aから突出する突出部312bによって、突出領域310aが形成されていることとした。しかし、本変形例では、容器蓋部372の表面372aから突出する突出部372bと、容器本体371の先端部371aとで、突出領域370aが形成されている。
つまり、突出領域370aは、容器370の表面372aから突出する突出部(突出部372b及び先端部371a)が形成された領域であり、非突出領域370bは、当該突出部が形成されていない領域である。
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電装置によっても、上記実施の形態と同様の効果を奏し、蓄電素子の容器370に沿って配置された第一配線214が断線することを抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、突出部は、第一配線214の芯線の直径以上の高さとなるように形成されていることとしたが、突出部は、第一配線214の芯線の直径よりも小さい高さとなるように形成されていてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、突出部は、容器のいずれかの面の周縁から突出したフランジ部であることとしたが、突出部は、例えば、正極端子320、負極端子330、または容器の表面から突出した部位(注液栓、端子を固定するための部材、極性(正極、負極)識別のための凸部を設けた場合はその凸部等)であってもよいし、容器の角部が突出している場合には、当該角部であってもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、第一配線214をフランジ部の内方に配置することとした。しかし、第一配線214を隣接する蓄電素子300同士の間に配置できる場合には、第一配線214をフランジ部の外方(隣接する蓄電素子300同士の間)に配置することにしてもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、第一配線214を、容器の表面の長辺に沿って配置することとしたが、第一配線214は当該長辺に沿うことなく、当該長辺から離隔して配置されていることにしてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電素子300は、電極端子が水平方向を向くように横向きに配置されていることとしたが、蓄電素子300は、電極端子が鉛直方向を向くように縦向きに配置されていてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例では、蓄電装置10は、複数の蓄電素子300を締結部220で締結して外装体100内に配置していることとしたが、蓄電装置10は、複数の蓄電素子300を外装体内に1つずつ挿入して配置する構成であってもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、第一配線214は、電圧計測線及び温度計測線であり、第二配線215は、リレー作動用の配線であることとしたが、第一配線214及び第二配線215は、上記には限定されず、どのような種類の配線であってもかまわない。また、第二配線215は、テープ巻線でなくてもかまわない。
また、上記実施の形態及びその変形例では、はじめから突出部が形成されていない位置に第一配線214を配置することとした。しかし、第一配線214を配置する位置に突出部が形成されている場合には、当該突出部を削り取ったり折り曲げたりして変形させることにより、第一配線214を非突出領域と対向する位置に配置することにしてもよい。