(実施形態の概要)
初めに、本実施形態に係る蓄電装置の概要について説明する。
本明細書に係る蓄電装置は、電極体を収容するケースと、前記ケースに配置される外部端子と、前記外部端子と前記ケースとを固定する固定部材であって、前記電極体と前記外部端子を電気的に接続する固定部材と、を備える蓄電素子と、前記外部端子と接合されるバスバ部材と、を備え、
前記バスバ部材及び前記固定部材の一方は、凹部を有し、前記バスバ部材及び前記固定部材の他方は、前記凹部に挿入される凸部を有する。
本明細書に係る蓄電装置によれば、外部端子とケースとを固定する固定部材を利用して、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
この場合、前記凹部の底部と前記凸部の先端部との間に、空隙部を有することが好ましい。
この場合、バスバ部材に生じる熱(例えば、充放電に伴う発熱)が固定部材に伝わりにくくすることができる。
本明細書に係る蓄電装置の一態様として、前記固定部材は、中空部を有し、前記凹部は、当該中空部であるようにしても良い。
この蓄電装置によれば、固定部材が備える中空部を利用して、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
又、本明細書に係る蓄電装置の他態様として、前記固定部材は、リベット部を備え、前記凸部は、当該リベット部の先端に形成される鍔状部であるようにしても良い。
この蓄電装置によれば、固定部材が備えるリベット部の先端に形成される鍔状部を利用して、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
本明細書に係る蓄電装置は、前記固定部材は、前記ケースから前記外部端子側に突出したボルト部と、前記ボルト部を挿入する孔部を有するナット部を備え、前記凹部は、前記孔部であるようにしても良い。
この蓄電装置によれば、固定部材が備える孔部を利用して、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
又、本明細書に係る蓄電装置の他態様として、
前記固定部材は、前記ケースから前記外部端子側に突出したボルト部と、前記ボルト部を挿入する孔部を有するナット部を備え、前記凸部は、前記ナット部であるようにしても良い。
この蓄電装置によれば、固定部材が備えるナット部を利用して、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
本明細書に係る蓄電装置は、
前記固定部材は、前記バスバ部材と前記外部端子とが接触する面から突出しないようにしても良い。
この蓄電装置によれば、外部からの接触等によって、固定部材に対して直接応力が加わることを抑制することができる。
又、本明細書に係る蓄電装置の他態様として、前記バスバ部材は、前記外部端子と接触する下面を有し、前記固定部材と前記下面との間に、空隙部を有するようにしても良い。
この蓄電装置によれば、バスバ部材に生じる熱(例えば、充放電に伴う発熱)が固定部材に伝わりにくくすることができる。
本明細書に係る蓄電装置は、前記凹部は、前記凸部の全体を覆っても良い。この蓄電装置によれば、外部端子とバスバ部材とが重なる方向と直交する平面上において、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
又、本明細書に係る蓄電装置の他態様として、前記凹部は、貫通孔であっても良い。この蓄電装置によれば、貫通孔に凸部を挿入することによって、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
本明細書に係る蓄電装置は、前記蓄電素子は、複数の蓄電素子を含み、前記複数の蓄電素子は、第一方向に配列され、前記バスバ部材は、前記第一方向に直交する第二方向において前記外部端子と重ねられ、前記凹部は、前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向視において、互いに対向する一対の側壁を有し、前記凸部は、前記一対の側壁のそれぞれに対向する一対の側部を有しても良い。この蓄電装置によれば、複数の蓄電素子が配列される第一方向において、外部端子とバスバ部材との相対的な移動が規制される。このため、隣り合った蓄電素子同士が相対的に近づくこと及び離れることを抑制できる。
本明細書に係る蓄電装置は、電極体を収容するケースと、前記ケースに配置される外部端子と、前記外部端子と前記ケースとを固定する固定部材であって、前記電極体と前記外部端子を電気的に接続する固定部材と、を備える蓄電素子と、前記外部端子と接合されるバスバ部材と、を備え、
前記バスバ部材は、凸部を有し、前記凸部は、前記固定部材と前記外部端子との間に挿入される。
本明細書に係る蓄電装置によれば、外部端子とケースとを固定する固定部材を利用して、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
本明細書に係る蓄電装置は、電極体を内部に収容する角形状のケースと、前記ケースの外部に配置される外部端子と、前記外部端子と前記ケースとを固定する固定部材であって、前記電極体と前記外部端子を電気的に接続する固定部材と、をそれぞれが有し、第一方向に配列される複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子のうち隣り合った蓄電素子の外部端子の間に接合され、前記第一方向に直交する第二方向において前記外部端子と重ねられるバスバ部材と、を備え、
前記固定部材は、前記ケース及び前記外部端子を貫通するリベット部と、前記リベット部の先端に形成される鍔状部と、を有し、前記鍔状部は、前記外部端子に沿って延びる下面と、前記下面の端部から延びる側部であって、前記外部端子から遠ざかる方向に延びる側部と、を有し、前記バスバ部材は、前記外部端子と接触する下面と、前記下面の反対に位置する上面と、前記鍔状部の前記側部の全周に対向する側壁と、を有し、前記外部端子及び前記バスバ部材は、前記バスバ部材の前記上面、前記バスバ部材の前記下面、及び前記外部端子に亘って形成される溶接部を有する。
本明細書に係る蓄電装置によれば、バスバ部材と外部端子とが重ね合わされる第二方向と直交する平面において、固定部材の鍔状部の全周を覆う側壁を有するバスバ部材を備えている。このため、第二方向と直交する平面(第一方向及び第三方向)において、外部端子とバスバ部材との相対的な移動を規制することができる。
本明細書に係る蓄電装置の製造方法は、電極体を収容するケースと、前記ケースに配置される外部端子と、前記外部端子と前記ケースとを固定する固定部材であって、前記電極体と前記外部端子を電気的に接続する固定部材と、を備える蓄電素子と、前記蓄電素子の前記外部端子と接合されるバスバ部材と、を備える蓄電装置の製造方法であって、
前記外部端子と、前記バスバ部材との位置決めを行う工程と、前記外部端子と、前記バスバ部材との接合を行う工程と、を備え、
前記バスバ部材及び前記固定部材の一方は、凹部を有し、前記バスバ部材及び前記固定部材の他方は、凸部を有し、前記位置決めを行う工程は、前記凹部に前記凸部を挿入する工程である。
本明細書に係る蓄電装置の製造方法によれば、外部端子とバスバ部材との位置決めに、外部端子とケースとを固定する固定部材及びバスバ部材に形成される凹部又は凸部を利用することができる。
以下、本発明に係る蓄電装置の一実施形態である電池モジュールについて、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態においては、複数のリチウムイオン二次電池(以下、単に、「電池」と記載する。)を電気的に接続したリチウムイオン二次電池モジュール(以下、単に、「電池モジュール」と記載する。)について詳細を説明する。
<実施形態1>
図1に示すように、本実施形態に係る電池モジュールの電池1は、ケース2と、ケースの外側に配置された一対の外部端子3とを備えている。複数の電池1は、隣り合った電池1と、バスバ部材4を介して電気的に接続される。これら複数の電池1のそれぞれは、すべて同一の形状及び同一の構造を有するため、以下、単一の電池1の構造について説明する。
図2に示すように、電池1は、ケース2に収容される電極体5を有する。ケース2は、上方に開口部、下方に底部を有する略直方体形状のケース本体21と、該開口部を覆う蓋板22とを備えている。ケース本体21と蓋板22とは、それぞれ、アルミニウム合金で形成され、ケース本体21と蓋板22とは、電極体5を収容した状態で溶接により接合されている。電極体5は、帯状の正極板51と帯状の負極板52とが絶縁性のセパレータ53を介して巻回されて形成されている。以下、必要に応じて、ケース本体21が開口部を有する側を上と表現し、底部を有する側と下と表現する。
本実施形態の正極板51は、アルミニウム合金で形成された正極箔と、該正極箔に形成された正極活物質層とを有する。また、正極板51は、その端部に正極活物質層が形成されていない正極板露出部5aを有する。正極板露出部5aは、例えば、集電体6と超音波溶接により接合され、電気的に接続されている。本実施形態の集電体6は、アルミニウム合金で形成され、正極板露出部5aに沿って形成された電極体接続部61と、蓋板22に沿って形成された外部端子接続部62とを備えたL字形状である。外部端子接続部62は、蓋板22に固定するための固定部材7を有する。該固定部材7は、外部端子接続部62と一体的に形成され、外部端子接続部62からケース2の外側に向かって延びるリベット部71を有する。つまり、リベット部71は、アルミニウム合金で形成される。リベット部71は、その端部に中空部7aを有する中空リベットである。
図3に示すように、集電体6と蓋板22との間には、絶縁性の合成樹脂(具体的には、ポリフェニレンサルファイド)で形成された内部絶縁部材8が配置されている。また、蓋板22の外側には、アルミニウム合金で形成された外部端子3が配置され、蓋板22と外部端子3との間には、絶縁性の合成樹脂(具体的には、ポリフェニレンサルファイド)で形成された外部絶縁部材9が配置されている。このため、集電体6と蓋板22、及び蓋板22と外部端子3は、それぞれ、電気的に絶縁されている。
蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9は、固定部材7を挿通するための貫通孔が形成されている。固定部材7は、これらの貫通孔に挿通された状態で、リベット部71の端部が加締め処理される。加締め処理によって、リベット部71の端部が鍔状に広がった鍔状部7bが形成される。鍔状部7bと集電体6の外部端子接続部62とで、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9を挟み込むことにより、これらの部材が固定される。そして、外部端子3と正極板51とは、固定部材7を介して電気的に接続されている。
リベット部71は、その端部に中空部7aを有しているため、加締め処理を施す際、端部に応力を集中させやすい。そのため、リベット部71の端部から鍔状部7bを形成することが、容易にかつ精度良く行うことができる。容易にかつ精度良く、鍔状部7bと集電体6の外部端子接続部62とで、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9を挟み込むことが可能となる結果、これらの部材の固定を容易に行えるとともに、気密性の確保も容易となる。
また、外部端子3は、その上面32に、リベット部71の鍔状部7bを収容する溝部31を有する。溝部31は、例えば、コイニング加工によって形成される。鍔状部7bが溝部31に収容されることで、本実施形態では、鍔状部7bが外部端子3の上面32から突出しない構成となる。
負極側の構成は、負極板52、集電体6、及び外部端子3が銅合金で形成される点を除いて、正極側の構成と同様である。つまり、負極板52は、その端部に負極活物質層が形成されていない負極板露出部5bを有し、負極側の集電体6と超音波溶接により接合される。また、蓋板22の外側には、負極側の外部端子3が配置され、固定部材7によって蓋板22と外部端子3とが固定されると共に、電気的に接続される。
ここで、図4及び図5を参照し、複数の電池1を組み合わせた電池モジュールについて説明する。複数の電池1は、蓋板22の短手方向(図1及び図4で示されるD1の方向(第一方向))に沿って一列に配列されている。本実施形態においては、10個の電池1が配列されている。以下、必要に応じて、蓋板22の短手方向を配列方向と記載する。
隣り合う一対の電池1は、配列方向に隣り合う外部端子3の極性が反対になるように配置されている。配列方向に隣り合う外部端子3同士は、バスバ部材4によって接続されている。より具体的には、隣り合う電池1において、一方の電池1の正極側の外部端子3と、他方の電池1の負極側の外部端子3とが、バスバ部材4によって接続されている。このため、本実施形態では、10個の電池1は、直列に接続された電池モジュールを形成する。このとき、バスバ部材4は、蓋板22の短手方向(第一方向)と直交する方向(図1及び図4で示されるD2の方向(第二方向))において、外部端子3に重ね合わされている。
1つの電池1において、一対の外部端子3のうち一方は、蓋板22の長手方向(図1及び図4で示されるD3方向(第三方向))における一端部に配置されている。また、一対の外部端子3のうち他方は、蓋板22の長手方向における他端部に配置されている。そして、図4及び図5に示すように、各外部端子3は、バスバ部材4と接続されている。本実施形態では、バスバ部材4は、アルミニウム合金により形成され、四隅が面取りされた平面視長方形状(複数の電池1の配列方向に長手をなす長方形状)である。また、バスバ部材4と外部端子3には、平面視長方形状の溶接部10が形成される。1つの外部端子3とバスバ部材4とは、蓋板22の長手方向に沿って、2つの平面視長方形状の溶接部10を有する。
つぎに、外部端子3とバスバ部材4との接合について、より具体的に説明する。図6に示すように、バスバ部材4は、外部端子3の上面32に配置されている。つまり、外部端子3の上面32と、バスバ部材4の下面43とが接触した状態で配置されている。このとき、バスバ部材4は、鍔状部7bとバスバ部材4の下面43との間に空隙を設けた状態で外部端子3の上面32に配置されている。
バスバ部材4は、その下面43側に突起部41を有する。突起部41は、その先端部4aが丸まった略円錐形状である。バスバ部材4の突起部41は、中空部7aの最も奥に形成される底部7cと、突起部41の最も先に形成される先端部4aとの間に空隙を設けた状態で中空部7aに挿入されている。
そして、外部端子3とバスバ部材4とは、バスバ部材4の上面44(外部端子3と対向する面の反対側の面)からレーザを照射することによって形成される溶接部10を有する。溶接部10は、バスバ部材4の上面44から外部端子3の上面32に亘って形成される。外部端子3とバスバ部材4とは、溶接部10を介して電気的及び物理的に接続される。
ここで、バスバ部材4は、バスバ部材4に形成された突起部41がリベット部71に形成された中空部7aに挿入された状態で外部端子3の上面32に配置されている。このため、外部端子3とバスバ部材4とが接触している面内において、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が規制される。したがって、電池1に振動等が加わった場合であっても、外部端子3とバスバ部材4とが接触している面内において、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置関係が大きく変位することがない。さらに、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が規制された状態で溶接部10を形成することができるため、溶接部10の形成時に、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置関係が大きく変位することがない。
また、バスバ部材4に形成された突起部41がリベット部71に形成された中空部7aに挿入された状態で外部端子3の上面32に配置されることによって、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が規制される。つまり、バスバ部材4に形成された突起部41がリベット部71に形成された中空部7aに挿入する工程は、外部端子3とバスバ部材4との位置決めを行う工程に相当する。
さらに、バスバ部材4の上面44(外部端子3と対向する面の反対側の面)からレーザを照射することによって、外部端子3とバスバ部材4とが接合される。つまり、レーザを照射する工程は、外部端子3とバスバ部材4との接合を行う工程に相当する。
以上より、本実施形態に係る蓄電素子によれば、固定部材7は、中空部7aからなる凹部を有し、バスバ部材4は、中空部7aからなる凹部に挿入され、突起部41からなる凸部を有する。このため、外部端子3とケース2とを固定する固定部材が有する凹部を利用して、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
また、固定部材7が有する凹部の底部7cとバスバ部材4が有する凸部の先端部4aとの間に、空隙を有する。このため、例えば、蓄電素子の充放電に伴ってバスバ部材に生じる熱が、固定部材7に伝わることを抑制することができる。その結果、蓄電素子の内部に熱が伝わるのを抑制できる。また、固定部材7により圧縮されている内部絶縁部材8又は外部絶縁部材9の圧縮応力が減少することを抑制できる。
さらに、固定部材7の凹部は、中空部7aである。このため、外部端子3とケース2との固定を容易ならしめるために形成される凹部を利用して、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
また、固定部材7がバスバ部材4の下面43と接触する外部端子3の上面32から突出しない構成である。このため、外部からの接触等によって、固定部材7に対して直接応力が加わることを抑制することができる。その結果、固定部材の損傷を抑制することができる。また、気密性の低下を抑制することができる。
さらに、バスバ部材4は、固定部材7とバスバ部材4の下面43との間に空隙を設けた状態で外部端子3の上面32に配置されている。このため、例えば、蓄電素子の充放電に伴ってバスバ部材に生じる熱が、固定部材7に伝わることを抑制することができる。その結果、蓄電素子の内部に熱が伝わるのを抑制できる。また、固定部材7により圧縮されている内部絶縁部材8又は外部絶縁部材9の圧縮応力が減少することを抑制できる。
また、本実施形態に係る蓄電装置の製造方法によれば、外部端子3とバスバ部材4との位置決めを行う工程を有する。当該工程は、中空部7aからなる凹部に突起部41からなる凸部を挿入する工程である。このため、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置決めに対して、中空部7aからなる凹部と突起部41からなる凸部を利用することができる。
<実施形態2>
つぎに、本発明に係る第二実施形態の電池モジュールについて、図7を参照しつつ説明をする。第二実施形態の電池モジュールは、外部端子3、固定部材7及びバスバ部材4の構成を除いて、第一実施形態の構成と同じである。このため、特に、外部端子3、固定部材7及びバスバ部材4の構成について説明をする。
図7に示すように、集電体6の外部端子接続部62は、蓋板22に外部端子3を固定するための固定部材7を有する。該固定部材7は、外部端子接続部62と一体的に形成され、外部端子接続部62からケース2の外側に向かって延びるリベット部71を有する。該リベット部71は、その端部が中実に形成される中実リベットである。
固定部材7は、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9に形成された貫通孔に挿通された状態で、リベット部71の端部が加締め処理される。加締め処理によって、リベット部71の端部が鍔状に広がった鍔状部7bが形成される。鍔状部7bと集電体6の外部端子接続部62とで、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9を挟み込むことにより、これらの部材が固定される。そして、外部端子3と電極体5のうち正極板51又は負極板52のいずれかとは、固定部材7を介して電気的に接続されている。このとき、鍔状部7bは、外部端子3の上面32から突出した構成である。
つぎに、外部端子3とバスバ部材4との接続について、より具体的に説明する。図7に示すように、バスバ部材4は、外部端子3の上面32に配置されている。つまり、外部端子3の上面32と、バスバ部材4の下面43とが接触した状態で配置されている。バスバ部材4は、その下面43に側壁42から構成される段部(凹部)を有する。段部は、例えば、コイニング加工によって形成される。バスバ部材4は、側壁42から構成される段部がリベット部71に形成された鍔状部7bの全体を覆った状態で外部端子3の上面32に配置されている。つまり、鍔状部7bは、バスバ部材4の段部に挿入されている。このとき、バスバ部材4の段部は、段部の最も奥に形成される底部4bと、鍔状部7bの最も先に形成される先端部7dとの間に空隙を設けた状態で鍔状部7bを覆っている。
そして、外部端子3とバスバ部材4とは、バスバ部材4の上面44からレーザを照射することによって形成される溶接部10を有する。溶接部10は、バスバ部材4の上面44から外部端子3の上面32に亘って形成される。外部端子3とバスバ部材4とは、溶接部10を介して電気的及び物理的に接続される。
ここで、バスバ部材4は、リベット部71に形成された鍔状部7bがバスバ部材4に形成された段部に挿入された状態で外部端子3の上面32に配置されている。このため、外部端子3とバスバ部材4とが接触している面内において、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が規制される。したがって、電池1に振動等が加わった場合であっても、外部端子3とバスバ部材4とが接触している面内において、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置関係が大きく変位することがない。さらに、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が規制された状態で溶接部10を形成することができるため、溶接部10の形成時に、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置関係が大きく変位することがない。
図8に示すように、バスバ部材4は、略直方体形状に構成されている。バスバ部材4は、下面43の一部に、円形状に延びる側壁42及び底部4dを有する段部が形成されている。リベット部71の鍔状部7bは、外部端子3に沿って延びる下面7fと、下面7fの端部から延びる側部7gであって、外部端子3から遠ざかる方向に延びる側部7gを有する。側部7gは、第二方向視で円形状である。円形状に延びる側壁42は、鍔状部7bの側部7gの全周を覆う。
鍔状部7bの側部7gと、バスバ部材4の側壁42との間には、隙間が形成されている。この隙間の大きさは、0.01以上10mm以下である。バスバ部材4と固定部材7との相対的な位置関係を規制するという観点からは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2mm以下であることが好ましい。隙間の大きさが小さい場合、外部端子4の上面32にバスバ部材4を配置する際に、バスバ部材4と固定部材7とが干渉しやすい。また、隙間の大きさが大きい場合、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が生じやすい。
図7に示すように、側壁42は、少なくとも、電池1の配列方向(D1方向)及びバスバ部材4と外部端子3との重ね合わせ方向(D2方向)と直交する方向(D3方向)視において、互いに対向する一対の側壁42を有している。また、一対の側壁42は、鍔状部7bの一対の側部7g(D1方向における端部)とそれぞれ対向している。
以上より、本実施形態に係る蓄電素子によれば、バスバ部材4は側壁42からなる段部(凹部)を有し、固定部材7は、バスバ部材4の凹部に挿入され、鍔状部7bからなる凸部を有する。このため、外部端子3とケース2とを固定する固定部材7が有する凸部を利用して、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
また、バスバ部材4が有する凹部の底部4bと固定部材7が有する凸部の先端部7dとの間に、空隙を有する。このため、例えば、蓄電素子の充放電に伴ってバスバに生じる熱が、固定部材7に伝わることを抑制することができる。その結果、蓄電素子の内部に熱が伝わるのを抑制できる。また、固定部材7により圧縮されている内部絶縁部材8又は外部絶縁部材9の圧縮応力が減少することを抑制できる。
さらに、固定部材7の凸部は、リベット部71の先端に形成される鍔状部7bである。このため、外部端子3とケース2との固定をするために形成される凸部を利用して、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
また、本実施形態に係る蓄電装置の製造方法によれば、外部端子3とバスバ部材4との位置決めを行う工程を有する。当該工程は、バスバ部材4の側壁42からなる段部(凹部)に鍔状部7bからなる凸部を挿入する工程である。このため、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置決めに対して、バスバ部材4の側壁42からなる段部(凹部)と鍔状部7bからなる凸部を利用することができる。
<実施形態3>
つぎに、本発明に係る第三実施形態の電池モジュールについて、図9を参照しつつ説明をする。第二実施形態の電池モジュールは、外部端子3、固定部材7及びバスバ部材4の構成を除いて、第二実施形態の構成と同じである。このため、特に、外部端子3、固定部材7及びバスバ部材4の構成について説明をする。
図9に示すように、集電体6の外部端子接続部62は、蓋板22に外部端子3を固定するための固定部材7を有する。該固定部材7は、外部端子接続部62と一体的に形成され、外部端子接続部62からケース2の外側に向かって延びるリベット部71を有する。該リベット部71は、その端部が中空部7aを有する中空リベットである。
固定部材7は、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9に形成された貫通孔に挿通された状態で、リベット部71の端部が加締め処理される。加締め処理によって、リベット部71の端部が鍔状に広がった鍔状部7bが形成される。鍔状部7bと集電体6の外部端子接続部62とで、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9を挟み込むことにより、これらの部材が固定される。そして、外部端子3と電極体5のうち正極板51又は負極板52のいずれかとは、固定部材7を介して電気的に接続されている。このとき、鍔状部7bは、外部端子3の上面32から突出した構成である。
リベット部71は、その端部に中空部7aを有しているため、加締め処理を施す再、端部に応力を集中させやすい。そのため、リベット部71の端部から鍔状部7bを形成することが、容易にかつ精度良く行うことができる。容易にかつ精度良く、鍔状部7bと集電体6の外部端子接続部62とで、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9を挟み込むことが可能となる結果、これらの部材の固定を容易に行えるとともに、気密性の確保も容易となる。
つぎに、外部端子3とバスバ部材4との接合について、より具体的に説明する。図9に示すように、バスバ部材4は、外部端子3の上面32に配置されている。つまり、外部端子3の上面32と、バスバ部材4の下面43とが接触した状態で配置されている。バスバ部材4は、その下面43に側壁42から構成される段部(凹部)を有する。段部は、例えば、コイニング加工によって形成される。バスバ部材4は、段部がリベット部71に形成された鍔状部7bの全体を覆った状態で外部端子3の上面32に配置されている。つまり、鍔状部7bは、バスバ部材4の段部に挿入されている。このとき、バスバ部材4の段部は、段部の最も奥に形成される底部4bと、鍔状部7bの最も先に形成される先端部7dとの間に空隙を設けた状態で鍔状部7bを覆っている。
バスバ部材4は、その段部の中央に突起部4cを有する。突起部4cは、その先端部4dが丸まった略円錐形状である。バスバ部材4の突起部4cは、中空部7aの最も奥に形成される底部7cと、突起部4cの最も先に形成される先端部4dとの間に空隙を設けた状態で中空部7aに挿入されている。
そして、外部端子3とバスバ部材4とは、バスバ部材4の上面32からレーザを照射することによって形成される溶接部10を有する。溶接部10は、バスバ部材4の上面44から外部端子3の上面32に亘って形成される。外部端子3とバスバ部材4とは、溶接部10を介して電気的及び物理的に接続される。
ここで、バスバ部材4は、リベット部71に形成された鍔状部7bがバスバ部材4に形成された段部に挿入された状態で外部端子3の上面32に配置されている。さらに、バスバ部材4は、バスバ部材4に形成された突起部4cがリベット部71に形成された中空部7aに挿入された状態で外部端子3の上面32に配置されている。このため、外部端子3とバスバ部材4とが接触している面内において、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が規制される。したがって、電池1に振動等が加わった場合であっても、外部端子3とバスバ部材4とが接触している面内において、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置関係が大きく変位することがない。さらに、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動が規制された状態で溶接部10を形成することができるため、溶接部10の形成時に、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置関係が大きく変位することがない。
以上より、本実施形態に係る蓄電素子によれば、固定部材7は、中空部7aからなる凹部を有し、バスバ部材4は、中空部7aからなる凹部に挿入され、突起部4cからなる凸部を有する。このため、外部端子3とケース2とを固定する固定部材7が有する凹部を利用して、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
そのうえ、バスバ部材4は側壁42からなる段部(凹部)を有し、固定部材7は、バスバ部材4の段部(凹部)に挿入され、鍔状部7bからなる凸部を有する。このため、外部端子3とケース2とを固定する固定部材7が有する凸部を利用して、より効果的に外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
また、固定部材7が有する凹部の底部7cとバスバ部材4が有する凸部の先端部4dとの間に、空隙を有する。このため、例えば、蓄電素子の充放電に伴ってバスバに生じる熱が、固定部材7に伝わることを抑制することができる。
そのうえ、バスバ部材4が有する凹部の底部4bと固定部材7が有する凸部の先端部7dとの間に、空隙を有する。このため、例えば、蓄電素子の充放電に伴ってバスバに生じる熱が、固定部材7に伝わることをより効果的に抑制することができる。
さらに、固定部材7の凹部は、中空部7aである。このため、外部端子3とケース2との固定を容易ならしめるために形成される凹部を利用して、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
また、固定部材7の凸部は、リベット部71の先端に形成される鍔状部7bである。このため、外部端子3とケース2との固定をするために形成される凸部を利用して、外部端子3とバスバ部材4との相対的な移動を規制することができる。
また、本実施形態に係る蓄電装置の製造方法によれば、外部端子3とバスバ部材4との位置決めを行う工程を有する。当該工程は、中空部7aからなる凹部に突起部4cからなる凸部を挿入し、さらに、バスバ部材4の側壁42からなる段部(凹部)に鍔状部7bからなる凸部を挿入する工程である。このため、外部端子3とバスバ部材4との相対的な位置決めに対して、中空部7aからなる凹部と突起部4cからなる凸部を利用することができ、さらに、バスバ部材4の側壁42からなる段部(凹部)と鍔状部7bからなる凸部を利用することができる。
<その他の実施形態>
なお、本発明に係る蓄電装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはもちろんである。また、下記した変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用できることはもちろんである。
上記実施形態では、固定部材7がリベット部71を備えていたが、これに限定されるものではない。例えば、固定部材7は、ケース2から外部端子3側に突出したボルト部72と、該ボルト部72を挿入する孔部7eを有するナット部73とを備えてもよい。
具体的には、図10に示すように、固定部材7は、外部端子3側に突出したボルト部72に、ナット部73に形成される孔部7eを挿入し、締め付ける構成にしても良い。ナット部73を締め付けることによって、蓋板22、外部端子3、内部絶縁部材8及び外部絶縁部材9を挟み込むことにより、これらの部材が固定される。この場合、バスバ部材4は、その下面43側に形成される突起部41を、ナット部73に形成される孔部7eに挿入する構成とすれば良い。
また、図11に示すように、ナット部73が外部端子3の上面32から突出した構成としても良く、ボルト部72がナット部73の孔部7eから突出した構成としても良い。この場合、バスバ部材4は、ナット部73の全体が挿入される段部を備える構成とすれば良い。
上記実施形態では、集電体6と固定部材7とを一体的に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、集電体6と固定部材7とを別体に形成した後に、これらを溶接や加締め処理等によって接続する構成としても良い。
上記実施形態では、バスバ部材4がアルミニウム合金により形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、バスバ部材4が銅合金やニッケル等の金属材料により形成されても良い。また、これらに金属メッキ処理を施された材料により形成されても良い。もちろん、合金に限定されるものではなく、純金属材料により形成されても良い。
上記実施形態では、外部端子3とバスバ部材4とがレーザ溶接により接合されたが、これに限定されるものではない。例えば、抵抗溶接や超音波溶接、冷間圧接、摩擦攪拌接合、接着剤による接合等、外部端子とバスバ部材との接合方法は任意である。
上記実施形態では、ケース本体21と蓋板22とがアルミニウム合金により形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、SUSやニッケル等の金属材料により形成されても良い。他に、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPP(ポリプロピレン)等の樹脂材料により形成されても良い。
上記実施形態では、集電体6と蓋板22との間に内部絶縁部材8が、蓋板22と外部端子3との間に外部絶縁部材9が、それぞれ配置されていたが、これに限定されるものではない。例えば、蓋板22がPPSやPP等の絶縁性材料により形成されている場合、内部絶縁部材8と外部絶縁部材9とが配置されていなくても良い。また、正極側及び負極側のいずれか一方と、蓋板22とを電気的に接続する場合、部絶縁部材8と外部絶縁部材9とが配置されていなくても良い。
上記実施形態では、正極板51と負極板52とが絶縁性のセパレータ53を介して巻回された電極体5を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、複数の正極板と複数の負極板とが、セパレータを介して積層された電極体を用いても良い。その他にも、正極板、負極板、セパレータのいずれか1つを九十九折りにし、その間に残りの2つが積層された電極体を用いても良い。
上記実施形態では、電池1のケース2は、角形状であったが、これに限定されるものではない。例えば、外観直方体形状のケースや、外観円柱状のケース等を用いても良い。
上記実施形態は、蓄電素子としてリチウムイオン二次電池を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の二次電池を蓄電素子として用いたものであっても良い。その他にも、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタを用いたものであっても良い。また、複数の種類の蓄電素子を組み合わせても良い。その他、蓄電素子の電圧や容量は任意である。
上記実施形態の蓄電装置は、複数の電池1を用いた電池モジュールであったが、これに限定されるものではない。例えば、一つの電池とモーターや制御装置等の外部回路とを組み合わせた蓄電装置であっても良い。この場合、一つの電池に備えられた外部端子と外部回路との間の一部を接続するためのバスバ部材を備える蓄電装置であれば良い。また、複数の電池と外部回路とを備える蓄電装置であっても良い。
上記第一実施形態の蓄電装置は、固定部材7のリベット部71に設けられた中空部7aに、バスバ部材4の突起部41が挿入されたが、これに限定されるものではない。図12に示すように、外部端子3の溝部31と、固定部材7との間に空隙部Gが形成され、当該空隙部Gにバスバ部材4の突起部41が挿入されても良い。この場合、突起部41の先端部4dと外部端子3との間、又は突起部41の先端部4dと固定部材7との間には、隙間が形成されていることが好ましい。
上記第二実施形態の蓄電装置は、下面43の一部に、円形状に延びる側壁42及び底部4dを有する凹部が形成されたバスバ部材4を用いたが、これに限定されるものではない。図13に示すように、下面43の一部に、矩形状に延びる側壁42及び底部4dを有する凹部が形成されたバスバ部材4を用いても良い。この場合、矩形状に延びる側壁42は、リベット部71に形成された鍔状部7bの全周を覆うことが好ましい。この場合、電池1の配列方向において、側壁42と鍔状部7bの側部7g(D1方向における端部)とが対向していることが好ましい。
上記第二実施形態及び第三実施形態の蓄電装置は、底部4bを有するバスバ部材4を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、側壁42を有し、底部4bを有さないバスバ部材4を用いても良い。より具体的には、貫通孔を有するバスバ部材4を用い、当該貫通孔に固定部材7が挿入されていても良い。
上記第二実施形態及び第三実施形態の蓄電装置は、鍔状部7bの側部4gとバスバ部材4の側壁42との間に隙間が形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、鍔状部7bの側部4gとバスバ部材4の側壁42とは、接触していても良い。