JP6685852B2 - プラント制御装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、プラント制御装置に関する。
コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンと、排熱回収ボイラと、蒸気タービンとを構成要素とする。ガスタービンは、燃焼器からのガスにより駆動される。排熱回収ボイラは、ガスタービンから排出された排ガスの熱を利用して蒸気を発生させる。蒸気タービンは、排熱回収ボイラにて発生した蒸気により駆動される。また、蒸気タービンが高圧タービンと低圧タービンにより構成されている場合には、排熱回収ボイラから排出された蒸気が高圧タービンに供給され、高圧タービンから排出された蒸気が低圧タービンに供給される。
コンバインドサイクル発電プラントでは、排熱回収ボイラにて発生する蒸気の蒸気温度を設定値に制御することが必要となる。このような制御に使用するため、排熱回収ボイラは、蒸気を過熱する過熱器を備えている。また、排熱回収ボイラは、排熱回収ボイラから高圧タービンに供給される蒸気を過熱する過熱器だけでなく、高圧タービンから低圧タービンに供給される蒸気を過熱(再熱)する過熱器(再熱器)を備える場合がある。以下の文中の過熱器は、前者の過熱器と後者の過熱器の両方を意味するものとする。
コンバインドサイクル発電プラントの通常運転時において、排熱回収ボイラでの蒸気温度が設定値よりも高い場合には、蒸気温度が配管材料の許容温度を超過してしまう場合がある。一方、排熱回収ボイラでの蒸気温度が設定値よりも低い場合には、蒸気タービンに供給される蒸気の蒸気温度が低くなるため、蒸気タービンにて発生する動力が低下し、プラントの効率が低下してしまう。
コンバインドサイクル発電プラントの起動時においても、排熱回収ボイラでの蒸気温度を設定値に制御できないことが問題となる。例えば、排熱回収ボイラでの蒸気温度が設定値よりも高い場合には、蒸気タービンでの蒸気温度が高くなるため、蒸気タービンロータの表面と内部の温度差が大きくなり、蒸気タービンに強い熱応力が発生してしまう。この熱応力については、蒸気タービンでの蒸気温度が高いことばかりでなく低いことも問題になる。プラントの起動中の蒸気温度上昇過程において、蒸気温度が低温から高温へと急激に変化すると、蒸気タービンロータの内部の加熱が不十分なまま、蒸気タービンロータの表面の温度が上昇する。その結果、プラントの起動中の蒸気温度上昇過程では、蒸気温度が低温から高温へと急激に変化しない場合と比べて、蒸気タービンロータの熱応力がより強くなる場合がある。
このように、コンバインドサイクル発電プラントでは、排熱回収ボイラでの蒸気温度を設定値に制御することが必要となる。そのため、蒸気温度を設定値に制御するための様々な手法が知られている。
例えば、蒸気温度を減温器により制御する手法がある。この場合、配管材料の許容温度等の問題から、減温器にて蒸気温度を低下させた後で、過熱器にて蒸気温度を上昇させる手法が用いられる。つまり、過熱器の前段に減温器を設置する手法である。この場合、ガスタービンから排出される排ガスの排ガス温度が高くなると、本手法で蒸気温度を設定値に制御することは難しくなる傾向にある。
一方、過熱器の後段に減温器を設置する手法もある。上述のように、排熱回収ボイラでの蒸気温度が設定値よりも高い場合には、蒸気温度が配管材料の許容温度を超過してしまうことが問題となる。そのため、本手法は、主にプラントの起動時に蒸気温度を調整したい場合に有効である。すなわち、排熱回収ボイラでの蒸気温度が設定値よりも高い場合において、蒸気温度をより低下させることができる。ただし、この場合には、減温器で噴霧した水滴が蒸発せずに蒸気タービンに流出することを阻止する対策が求められる。
また、過熱器をバイパスした蒸気と、過熱器を通過した蒸気とを混合して、蒸気温度を制御する手法がある。さらに、ガスタービンでの排ガス温度を制御することで、蒸気温度を制御する手法もある。例えば、燃焼器に導入する空気量をIGV(Inlet Guide Vane)により制御することにより、排ガス温度を低下させ、結果的に蒸気温度を低下させることもできる。
特開2012−82971号公報
上述のように、コンバインドサイクル発電プラントでは、排熱回収ボイラでの蒸気温度を設定値に制御することが必要となり、その制御手法として様々な手法が知られている。しかしながら、これらの手法を組み合わせても、蒸気温度を十分に安定的に制御することは難しい。
そこで、本発明の実施形態は、過熱器および減温器により蒸気温度を安定的に制御することが可能なプラント制御装置を提供することを課題とする。
一の実施形態によれば、プラント制御装置は、蒸気を冷却する上流減温器と、前記上流減温器からの前記蒸気を過熱する過熱器と、前記過熱器からの前記蒸気を冷却する下流減温器と、を備える発電プラントを制御する。前記装置は、前記過熱器と前記下流減温器との間の第1地点での前記蒸気の温度である第1温度を調整するための第1設定値を出力する第1設定部と、前記下流減温器の下流の第2地点での前記蒸気の温度である第2温度を調整するための第2設定値を出力する第2設定部とを備える。前記装置はさらに、前記第1温度が前記第2設定値よりも前記第1設定値だけ高く調整されるように、前記上流減温器を制御する第1制御部と、前記第2温度が前記第2設定値に調整されるように、前記下流減温器を制御する第2制御部とを備える。
第1実施形態の発電プラントの構成を示す模式図である。 第1実施形態の発電プラントの動作を説明するためのグラフである。 第1実施形態の第2過熱器の構成を示す模式図である。 第1実施形態の熱交換量の計算方法を示すフローチャートである。 第1実施形態の制御装置の構成を示す模式図である。 第1実施形態のT設定値の例を示すグラフである。 第1実施形態の比較例の発電プラントの動作例を示すグラフである。 第1実施形態の発電プラントの動作例を示すグラフである。 第1実施形態の変形例の発電プラントの構成を示す模式図である。 第2実施形態の発電プラントの構成を示す模式図である。 第2実施形態の発電プラントの動作を説明するためのグラフである。 第2実施形態の制御装置の構成を示す模式図である。 第2実施形態の第1バイパス制御部の構成を示す模式図である。 第2実施形態の発電プラントの動作例を示すグラフである。 第2実施形態の変形例の発電プラントの構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1から図15において、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の発電プラントの構成を示す模式図である。図1の発電プラントは、排熱回収方式によるコンバインドサイクル火力発電プラントである。
図1の発電プラントは、ガスタービン1と、圧縮機2と、第1発電機3と、排ガス配管4と、排熱回収ボイラ5と、ドラム11と、下降管12と、蒸発器13と、第1過熱器14と、第1減温器15と、第2過熱器16と、第2減温器17と、第1減温器バルブ18と、第2減温器バルブ19と、制御装置20と、主蒸気配管21と、主蒸気弁22と、バイパス蒸気配管23と、バイパス蒸気弁24と、蒸気タービン25と、第2発電機26とを備えている。第1減温器15、第2過熱器16、第2減温器17、第1減温器バルブ18、第2減温器バルブ19、および制御装置20はそれぞれ、上流減温器、過熱器、下流減温器、第1弁、第2弁、およびプラント制御装置の例である。制御装置20は、図1の発電プラントの種々の動作を制御する。
本発電プラントはさらに、ドラム11と第1過熱器14との間の蒸気流路Lと、第1過熱器14と第1減温器15との間の蒸気流路Lと、第1減温器15と第2過熱器16との間の蒸気流路Lと、第2過熱器16と第2減温器17との間の蒸気流路Lとを備えている。
本発電プラントはさらに、排ガス配管4に設けられた温度計31および流量計32と、ドラム11に設けられた圧力計41と、蒸気流路Lに設けられた流量計42と、蒸気流路Lに設けられた温度計43と、蒸気流路Lに設けられた温度計44と、蒸気流路Lに設けられた温度計45と、主蒸気配管21に設けられた圧力計46、温度計47、および流量計48とを備えている。
本発電プラントはさらに、第1減温器バルブ18を介して第1減温器15に水を搬送する水流路に設けられた圧力計51、温度計52、および流量計53を備えている。本発電プラントはさらに、第2減温器バルブ19を介して第2減温器17に水を搬送する水流路に設けられた圧力計54、温度計55、および流量計56を備えている。本発電プラントはさらに、蒸気タービン25の蒸気タービンロータに設けられた回転数計測器57と、第2発電機26に設けられた電気出力計測器58とを備えている。
図1の発電プラントにおいて、圧縮機2は、圧縮機2とガスタービン1との間に配置された燃焼器に圧縮空気を供給し、燃焼器は、圧縮空気を用いて燃料を燃焼させる。これにより、高温・高圧のガスが燃焼器内で発生し、ガスタービン1に供給される。ガスタービン1は、このガスにより回転駆動されることで、ガスタービンロータを回転させる。第1発電機3は、ガスタービンロータの回転を利用して発電を行う。ガスタービン1から排出された排ガスは、排ガス配管4を介して排熱回収ボイラ5に送られる。排熱回収ボイラ5に送られた排ガスは、第2過熱器16、第1過熱器14、蒸発器13の順でその熱が利用され、排熱回収ボイラ5から排出される。
排ガスの状態は、制御装置20により制御される。例えば、制御装置20は、ガスタービン1や排熱回収ボイラ5の動作を制御することで、排熱回収ボイラ5の排ガス入口や排ガス出口における排ガス温度や排ガス圧力を設定値に制御することができる。
一方、ドラム11内の水は、下降管12を介して排熱回収ボイラ5内の蒸発器13に送られ、蒸発器13内で排ガスの熱により加熱されることで、飽和水蒸気となる。この蒸気は、蒸気流路Lを介して排熱回収ボイラ5内の第1過熱器14に送られ、第1過熱器14で過熱された後、蒸気流路Lを介して第1減温器15に送られ、第1減温器15で冷却される。第1減温器15は、第1減温器バルブ18からの水により蒸気を冷却する。第1減温器15で冷却された蒸気は、蒸気流路Lを介して排熱回収ボイラ5内の第2過熱器16に送られ、第2過熱器16で再び過熱された後、蒸気流路Lを介して第2減温器17に送られ、第2減温器17で再び冷却される。第2減温器17は、第2減温器バルブ19からの水により蒸気を冷却する。
蒸気の状態は、制御装置20により制御される。例えば、制御装置20は、第1減温器バルブ18の開度を調整して、第1減温器15でのスプレー水の流量を調整することで、第2過熱器16の出口蒸気温度を設定値に制御することができる。さらに、制御装置20は、第2減温器バルブ19の開度を調整して、第2減温器17でのスプレー水の流量を調整することで、第2減温器17の出口蒸気温度を設定値に制御することができる。
具体的には、第1減温器15は、流入蒸気にスプレー水を混合することで、スプレー水のエンタルピと流入蒸気のエンタルピとを流量比率で加算した状態に流出蒸気を制御することができる。ただし、本実施形態の第1減温器15は、蒸気温度を所定温度(飽和蒸気温度に一定の余裕温度を加えた温度)未満に制御しない。また、第1減温器15におけるスプレー水の流量には上限があるため、蒸気温度を制御可能な範囲はこの上限に依存して決定される。これは、第2減温器17でも同様である。
なお、本実施形態の第2過熱器16は、蒸気の流れに対し、排熱回収ボイラ5の最終段に位置する過熱器である。また、第1減温器15は、蒸気の流れに対し第2過熱器16の前段に位置しており、第2減温器17は、蒸気の流れに対し第2過熱器16の後段に位置している。
第2減温器17で冷却された蒸気(主蒸気)は、主蒸気配管21を介して蒸気タービン25に送られる。蒸気タービン25は、この蒸気により回転駆動されることで、蒸気タービンロータを回転させる。第2発電機26は、蒸気タービンロータの回転を利用して発電を行う。バイパス蒸気配管23は、蒸気タービン25の上流で主蒸気配管21から分岐している。主蒸気配管21には、主蒸気弁22が設けられている。バイパス蒸気配管23には、バイパス蒸気弁24が設けられている。
排熱回収ボイラ5から供給された蒸気の状態は、制御装置20により制御される。例えば、制御装置20は、主蒸気弁22やバイパス蒸気弁24の開度を調整することで、蒸気タービン25の蒸気入口における蒸気圧力や蒸気流量を設定値に制御することができる。
制御装置20は、蒸気タービン25の蒸気入口における蒸気流量を調整することで、蒸気タービン25の回転数を制御し、これにより第2発電機26の電気出力を設定値に制御する。第2発電機26の電気出力は、MW(メガワット)出力とも呼ばれる。なお、蒸気タービン25の回転数は、回転数計測器57により計測され、第2発電機26の電気出力は、電気出力計測器58により計測される。
図2は、第1実施形態の発電プラントの動作を説明するためのグラフである。
図2の横軸は、蒸気流路上の各地点とドラム11との距離を示す。図2の縦軸は、蒸気流路を流れる蒸気の温度を示す。符号Tは、蒸気流路Lを流れる蒸気の温度を示しており、温度計43により計測される。符号Tは、蒸気流路Lを流れる蒸気の温度を示しており、温度計44により計測される。符号Tは、蒸気流路Lを流れる蒸気の温度を示しており、温度計45により計測される。符号Tは、主蒸気配管(主蒸気流路)21を流れる蒸気の温度を示しており、温度計47により計測される。図2は、これらの温度計43、44、45、47による蒸気温度T〜Tの計測値を示している。
以下、蒸気温度T〜Tの計算方法を説明する。
第1減温器15の出口蒸気温度かつ第2過熱器16の入口蒸気温度である蒸気温度Tは、次の式(1)および(2)で与えられる。
=HPT(HT2,PT2) ・・・(1)
T2={FS1×TPH(TS1,PS1)+FT1×TPH(T,PT1)}
/(FT1+FS1) ・・・(2)
ただし、T、PT1、FT1は、温度計43の地点を流れる蒸気の温度、圧力、流量を表す。FT1は、流量計42の地点を流れる蒸気の流量Fに等しい。T、PT2、HT2は、温度計44の地点を流れる蒸気の温度、圧力、エンタルピを表す。PS1、TS1、FS1はそれぞれ、圧力計51、温度計52、流量計53の地点を流れるスプレー水の圧力、温度、流量を表す。HPTは、蒸気のエンタルピ(第1引数)と圧力(第2引数)から蒸気の温度を計算するための関数である。TPHは、蒸気の温度(第1引数)と圧力(第2引数)から蒸気のエンタルピを計算するための関数である。なお、圧力、温度、流量の単位は、MPa、℃、t/hである。
第2過熱器16の出口蒸気温度かつ第2減温器17の入口蒸気温度である蒸気温度Tは、次の式(3)および(4)で与えられる。
=Func(T,F,T,FT2) ・・・(3)
T2=FT1+FS1 ・・・(4)
ただし、T、FT2は、温度計44の地点を流れる蒸気の温度と流量を表す。Tは、温度計45の地点を流れる蒸気の温度を表す。T、Fはそれぞれ、温度計31、流量計32の地点を流れる排ガスの温度と流量を表す。Funcは、第2過熱器16の入口排ガス温度(第1引数)、入口排ガス流量(第2引数)、入口蒸気温度(第3引数)、および入口蒸気流量(第4引数)から第2過熱器16の出口蒸気温度を計算するための関数である。Funcは、後述するように、第2過熱器16内での排ガスと蒸気との熱交換量から出口蒸気温度を計算する。
第2減温器17の出口蒸気温度である蒸気温度Tは、次の式(5)〜(7)で与えられる。
=HPT(HT4,PT4) ・・・(5)
T4={FS2×TPH(TS2,PS2)+FT3×TPH(T,PT3)}
/(FT3+FS2) ・・・(6)
T3=FT2 ・・・(7)
ただし、T、PT3、FT3は、温度計45の地点を流れる蒸気の温度、圧力、流量を表す。T、PT4、HT4は、温度計47の地点を流れる蒸気の温度、圧力、エンタルピを表す。PT4は、圧力計46の地点を流れる蒸気の圧力Pに等しい。PS2、TS2、FS2はそれぞれ、圧力計54、温度計55、流量計56の地点を流れるスプレー水の圧力、温度、流量を表す。
なお、式(1)〜(7)では、蒸気流路における圧力損失はほぼゼロであると仮定している。制御装置20は、温度計43〜45等から取得した計測値を式(1)〜(7)の右辺に代入することで、式(1)〜(7)の左辺の値を計算することができる。上記の圧力損失や温度計43〜45等の計測誤差が小さい場合、これらの式から蒸気温度T〜Tの値を精度よく計算することができる。
次に、図3と図4を参照して、式(3)のFuncの計算方法を説明する。
図3は、第1実施形態の第2過熱器16の構成を示す模式図である。図3は、排ガスと蒸気との熱交換の様子を示している。
符号Qは、第2過熱器16内での排ガスと蒸気との熱交換量[kW]を表す。符号tINは、第2過熱器16の入口蒸気温度を表し、蒸気温度Tに相当する。符号tOUTは、第2過熱器16の出口蒸気温度を表し、蒸気温度Tに相当する。符号TINは、第2過熱器16の入口排ガス温度を表し、排ガス温度Tに相当する。符号TOUTは、第2過熱器16の出口排ガス温度を表す。
蒸気温度tIN、tOUTの間には、以下の式(8)の関係が成り立つ。また、排ガス温度TIN、TOUTの間には、以下の式(9)の関係が成り立つ。
OUT=tIN+Q/c/f ・・・(8)
OUT=TIN−Q/C/F ・・・(9)
ただし、cは蒸気の比熱[kW/℃/kg]を表し、fは蒸気の流量[kg/s]を表す。また、Cは排ガスの比熱[kW/℃/kg]を表し、Fは排ガスの流量[kg/s]を表す。例えば、熱交換量Qが定まると、式(8)を用いて出口蒸気温度tOUTの計測値から入口蒸気温度tINの設定値を計算することができる。
図4は、第1実施形態の熱交換量Qの計算方法を示すフローチャートである。
まず、排ガス温度TOUTと蒸気温度tOUTを仮定する(ステップS1)。次に、第2過熱器16の伝熱係数h[kW/℃]を計算する(ステップS2)。本実施形態では、伝熱係数hは一定値であると想定する。
次に、排ガスの放熱量Q[kW]と蒸気の収熱量Q[kW]を計算する(ステップS3、S4)。放熱量Qは、以下の式(10)で与えられる。収熱量Qは、以下の式(11)で与えられる。
=(TIN−TOUT)×C×F ・・・(10)
=h{(TIN−tOUT)−(TOUT−tIN)}
/log{(TIN−tOUT)/(TOUT−tIN)} ・・・(11)
ここで、排ガス温度TOUTと蒸気温度tOUTの仮定が正しければ、エネルギー保存則より放熱量Qと収熱量Qは一致する。そこで、放熱量Qと収熱量Qとの差の絶対値を閾値εと比較する(ステップS5)。
絶対値|Q−Q|が閾値εより大きい場合には、排ガス温度TOUTと蒸気温度tOUTを修正する(ステップS6)。本方法ではその後、修正された排ガス温度TOUTと蒸気温度tOUTを用いてステップS2〜S5を繰り返す。
一方、絶対値|Q−Q|が閾値εより小さい場合には、ステップS3で計算された放熱量Q(またはステップS4で計算された収熱量Q)を、熱交換量Qに決定する。このようにして、第2過熱器16の熱交換量Qを計算することができ、これにより関数Funcを計算することができる。この際、制御装置20は、排ガス温度TINを変更して本方法を繰り返し実行することで、蒸気温度tOUTが目標温度となる排ガス温度TINの目標温度を探索することができる。
(1)第1実施形態の制御装置20
図5は、第1実施形態の制御装置20の構成を示す模式図である。
制御装置20は、第1設定部61と、第2設定部62と、加算器63と、上限値設定部64と、余裕値設定部65と、減算器66と、選択部67と、第1減温器制御部68と、第2減温器制御部69とを備えている。第1および第2減温器制御部68、69はそれぞれ、第1および第2制御部の例である。図5は、制御装置20の構成要素のうち、蒸気温度の制御に関連する構成要素を示している。
制御装置20は、単一のハードウェアに搭載されたコンピュータや電気回路により実現されてもよいし、複数のハードウェアに搭載されたコンピュータや電気回路により実現されてもよい。後者の場合、制御装置20は、ハードウェア間で相互に通信を行いながら本発電プラントを制御する。本実施形態の制御装置20は、単一のハードウェアにより実現されていると想定する。ただし、以下の説明は、複数のハードウェアにより実現された制御装置20にも適用可能である。
第1設定部61は、温度計45の地点での蒸気温度Tを調整するための設定値として、T負偏差許容値を保持している。温度計45の地点は、過熱器と下流減温器との間の第1地点の例である。蒸気温度Tは、第1温度の例である。T負偏差許容値は、第1設定値の例である。
負偏差許容値は、蒸気温度Tを、蒸気温度Tの設定値と関連して調整するための設定値である。本実施形態のT負偏差許容値は、10℃であり、時間に応じて変化しない定数である。
第2設定部62は、温度計47の地点での蒸気温度Tを調整するための設定値として、T設定値を保持している。温度計47の地点は、下流減温器の下流の第2地点の例である。蒸気温度Tは、第2温度の例である。T設定値は、第2設定値の例である。
設定値は、蒸気温度Tを調整するための設定値である。図6に示すように、本実施形態のT設定値は、時間に応じて変化する。
図6は、第1実施形態のT設定値の例を示すグラフである。
第2設定部62は、図6に示すようなT設定値の時系列値を保持している。よって、第2設定部62から出力されるT設定値は、時間の経過と共に変化していく。図6は、本発電プラントの起動時におけるT設定値の例を示している。
以下、図5を再び参照し、制御装置20の構成を説明する。
加算器63は、第1設定部61から出力されたT負偏差許容値と、第2設定部62から出力されたT設定値とを取得する。そして、加算器63は、T設定値にT負偏差許容値を加算して、T設定値を出力する(T設定値=T設定値+T負偏差許容値)。
上限値設定部64は、本発電プラントの蒸気温度の上限値、具体的には、蒸気温度Tの上限値として、550℃を保持している。余裕値設定部65は、この上限値の余裕値として、3℃を保持している。これは、蒸気温度Tが上限値を超えることを確実に防ぐために、蒸気温度Tを550℃(上限値)を基準として制限する代わりに、蒸気温度Tを547℃(上限値−余裕値)を基準として制限するためである。
減算器66は、上限値設定部64から出力された上限値と、余裕値設定部65から出力された余裕値とを取得する。そして、減算器66は、上限値から余裕値を減算して、蒸気温度Tの修正上限値を出力する(修正上限値=上限値−余裕値)。
選択部67は、加算器63から出力されたT設定値と、減算器66から出力された修正上限値とを取得する。そして、選択部67は、T設定値と修正上限値との低い方の値を出力する。これは、蒸気温度Tが上限値を超えることを防ぐことで、蒸気温度Tが上限値を超えることを防ぐためである。
なお、選択部67は、T設定値と修正上限値(547℃)の低い方を出力する代わりに、T設定値と上限値(550℃)の低い方を出力してもよい。すなわち、本実施形態では、余裕値(3℃)を採用しても採用しなくてもよい。前者の修正上限値と後者の上限値は、いずれも制限値の例である。後者の場合には、余裕値設定部65と減算部66は不要である。一方、前者の場合には、上限値設定部64、余裕値設定部65、および減算器66は、修正上限値を保持する修正上限値保持部に置き換えてもよい。
第1減温器制御部68は、蒸気温度TがT設定値と修正上限値の低い方に調整されるように、第1減温器15を制御する。具体的には、第1減温器制御部68は、これらの低い方に基づいて、第1減温器バルブ18の開度指示値ZS1を算出して出力する。これにより、第1減温器バルブ18の開度が開度指示値ZS1に調整され、蒸気温度TがT設定値と修正上限値の低い方に近づいていく。
第1減温器制御部68は例えば、PID(Proportional-Integral-Derivative)制御により第1減温器15を制御する。具体的には、第1減温器制御部68は、温度計45から蒸気温度Tの計測値を取得し、T設定値と修正上限値の低い方とこの計測値との偏差を算出し、この偏差をゼロに近づけるように開度指示値ZS1を設定する。
第2減温器制御部69は、蒸気温度TがT設定値に調整されるように、第2減温器17を制御する。具体的には、第2減温器制御部69は、T設定値に基づいて、第2減温器バルブ19の開度指示値ZS2を算出して出力する。これにより、第2減温器バルブ19の開度が開度指示値ZS2に調整され、蒸気温度TがT設定値に近づいていく。
第2減温器制御部69は例えば、PID制御により第2減温器17を制御する。具体的には、第1減温器制御部69は、温度計47から蒸気温度Tの計測値を取得し、T設定値とこの計測値との偏差を算出し、この偏差をゼロに近づけるように開度指示値ZS2を設定する。
なお、本実施形態の制御装置20は、定周期で動作する。制御装置20の動作周期は、例えば1秒である。この場合、開度指示値ZS1、ZS2は、1秒ごとに更新される。
ここで、第1設定部61のT負偏差許容値について詳細に説明する。
温度計45は、第2減温器17の入口蒸気温度である蒸気温度Tを計測し、温度計47は、第2減温器17の出口蒸気温度である蒸気温度Tを計測する。蒸気温度TがT設定値よりも高い場合には、第2減温器17は、取り込んだ蒸気の温度をTから冷却により低下させることで、蒸気温度TをT設定値に調整することができる。一方、蒸気温度TがT設定値よりも低い場合には、第2減温器17は、蒸気温度TをT設定値に調整することができない。理由は、第2減温器17は、取り込んだ蒸気の温度をTから過熱により上昇させることはできないからである。
この問題は、蒸気温度TをT設定値よりも高く維持することで回避可能である。そのため、本実施形態では、T設定値をT設定値よりも高く設定するために、T設定値に対するT設定値の偏差を負に設定している(T設定値−T設定値<0)。よって、本実施形態のT設定値は、T設定値とT負偏差許容値との和に設定されている。(T設定値=T設定値+T負偏差許容値)。T負偏差許容値は、正の値であり、例えば10℃である。これにより、T設定値に対するT設定値の偏差を定常的に負に設定することが可能となる。
この場合、蒸気温度Tは蒸気温度Tよりも10℃高く調整される。そのため、蒸気温度Tが上限値に到達するより前に、蒸気温度Tが上限値に到達してしまう。そこで、本実施形態では、蒸気温度TをT設定値と上限値(詳細には、修正上限値)とに基づいて調整する。これにより、本発電プラントの蒸気温度が上限値に到達することを防ぐことが可能となる。
(2)第1実施形態および比較例の発電プラントの動作
図7は、第1実施形態の比較例の発電プラントの動作例を示すグラフである。比較例の発電プラントは、本実施形態の発電プラントと同様の構成を有しているが、比較例のT負偏差許容値は、0℃に設定されている。
図7は、時間tよりも前の期間Rと、時間t〜tの期間Rと、時間t〜tの期間Rと、時間tよりも後の期間Rにおける発電プラントの動作例を示している。
期間Rでは、流量計53の地点でのスプレー流量FS1と、流量計56の地点でのスプレー流量FS2が、いずれも0に設定されている。よって、蒸気温度Tは、蒸気温度Tと同じ値になり、時間と共に上昇していく。同様に、蒸気温度Tは、蒸気温度Tと同じ値になり、時間と共に上昇していく。
期間Rでは、スプレー流量FS1は一定値に設定されている。その結果、蒸気温度Tは、緩やかに低下または上昇している。一方、第1減温器15での蒸気温度の低下速度よりも第2過熱器16での蒸気温度の上昇速度の方が速いため、蒸気温度Tは時間と共に上昇していく。また、T設定値は期間Rの前半にて一定値(400℃)に維持されるため(図6参照)、スプレー流量FS2は、蒸気温度Tが400℃に維持されるように調整される。その後、T設定値は期間Rの後半にて400℃から緩やかに上昇するため(図6参照)、スプレー流量FS2は時間と共に低下していき、蒸気温度Tは時間と共に上昇していく。
期間Rの後半に蒸気温度Tが蒸気温度Tよりも急峻に上昇することで、期間Rでは、蒸気温度Tが蒸気温度Tに到達している(矢印A)。これは、比較例のT負偏差許容値が0℃に設定され、T設定値がT設定値と等しいことに起因する。この場合、蒸気温度Tと蒸気温度Tは共にT設定値に近づくように調整されるため、蒸気温度TがT設定値よりも低くなる場合がある。この場合、第2減温器17は、取り込んだ蒸気の温度を上昇させることができないため、蒸気温度TをT設定値に調整することができない。よって、蒸気温度Tは蒸気温度Tを超えることができない。(矢印A)。その結果、期間Rでは蒸気温度TとT設定値との間に乖離が発生する。
期間Rでは、蒸気温度Tが修正上限値(547℃)に到達している。その結果、蒸気温度Tは547℃に維持され、蒸気温度Tも547℃に維持されている。スプレー流量FS1は、蒸気温度Tを547℃に維持するように調整される。一方、蒸気温度Tと蒸気温度Tは共に547℃に調整されるため、スプレー流量FS2はおおむね0に維持される。スプレー流量FS2は、蒸気温度Tが547℃よりも高くなった場合だけ0から増加する。
図8は、第1実施形態の発電プラントの動作例を示すグラフである。比較例のT負偏差許容値は0℃に設定されているのに対し、本実施形態のT負偏差許容値は10℃に設定されている。
期間Rでは、スプレー流量FS1、FS2が0に設定されている。よって、蒸気温度Tは、蒸気温度Tと同じ値になり、時間と共に上昇していく。同様に、蒸気温度Tは、蒸気温度Tと同じ値になり、時間と共に上昇していく。
期間Rでは、スプレー流量FS1は当初、一定値に設定されている(矢印B)。その結果、蒸気温度Tは、緩やかに低下または上昇している。一方、第1減温器15での蒸気温度の低下速度よりも第2過熱器16での蒸気温度の上昇速度の方が速いため、蒸気温度Tは時間と共に上昇していく。また、T設定値は期間Rの前半にて一定値(400℃)に維持されるため(図6参照)、スプレー流量FS2は、蒸気温度Tが400℃に維持されるように調整される。その後、T設定値は期間Rの後半にて400℃から緩やかに上昇するため(図6参照)、蒸気温度Tは時間と共に上昇していく。
ただし、本実施形態のT負偏差許容値は10℃に設定されており、T設定値がT設定値よりも高い。その結果、期間Rの後半に蒸気温度Tが上昇しても、期間Rに蒸気温度Tが蒸気温度Tに到達していない(矢印A)。よって、本実施形態の第2減温器17は、期間Rにて蒸気温度TをT設定値に調整することができ、蒸気温度TとT設定値との間に乖離が発生することを抑制することができる。期間R、Rにおいて、スプレー流量FS1は、蒸気温度TがT設定値(=T設定値+T負偏差許容値)に近づくように調整される(矢印B、B)。同様に、スプレー流量FS2は、蒸気温度TがT設定値に近づくように調整される。
本実施形態のスプレー流量FS2は、時間t〜tの間に0に到達していないことに留意されたい。これは、時間t〜tの間、第2減温器17が蒸気温度TをT設定値に調整し続けていることを意味する。
期間Rでは、期間Rにて蒸気温度Tが547℃に到達した後、蒸気温度Tが547℃に到達している。その結果、蒸気温度Tは547℃に維持され、蒸気温度Tも547℃に維持されている。スプレー流量FS1は、蒸気温度Tを547℃に維持するように調整される。一方、蒸気温度Tと蒸気温度Tは共に547℃に調整されるため、スプレー流量FS2はおおむね0に維持される。スプレー流量FS2は、蒸気温度Tが547℃よりも高くなった場合だけ0から増加する。
(3)第1実施形態の変形例
図9は、第1実施形態の変形例の発電プラントの構成を示す模式図である。
本変形例の蒸気タービン25は、高圧タービン25aと低圧タービン25bにより構成されている。高圧タービン25aは、蒸気の流れに対し、第2減温器17の下流に設けられている。低圧タービン25bは、蒸気の流れに対し、高圧タービン25aの下流に設けられている。高圧、低圧タービン25a、25bはそれぞれ、第1、第2蒸気タービンの例である。
本変形例の発電プラントは、図1に示す構成要素に加え、第3過熱器101と、第3減温器102と、第4過熱器103と、第4減温器104と、第3減温器バルブ105と、第4減温器バルブ106とを備えている。第3減温器102、第4過熱器103、第4減温器104、第3減温器バルブ105、および第4減温器バルブ106はそれぞれ、上流減温器、過熱器、下流減温器、第1弁、および第2弁の例である。
第3および第4過熱器101、103は、第1および第2過熱器14、16と同様に、排熱回収ボイラ5内に設けられている。第3および第4過熱器101、103は、高圧タービン25aから低圧タービン25bに供給される蒸気を排ガスの熱により再熱する再熱器である。
本発電プラントは更に、高圧タービン25aと第3過熱器101との間の蒸気流路Lと、第3過熱器101と第3減温器102との間の蒸気流路Lと、第3減温器102と第4過熱器103との間の蒸気流路Lと、第4過熱器103と第4減温器104との間の蒸気流路Lと、第4減温器104と低圧タービン25bとの間の蒸気流路Lとを備えている。
本発電プラントは更に、蒸気流路Lに設けられた流量計111と、蒸気流路Lに設けられた温度計112と、蒸気流路Lに設けられた温度計113と、蒸気流路Lに設けられた温度計114と、蒸気流路Lに設けられた圧力計115、温度計116、および流量計117とを備えている。
本発電プラントは更に、第3減温器バルブ105を介して第3減温器102に水を搬送する水流路に設けられた圧力計121、温度計122、および流量計123と、第4減温器バルブ106を介して第4減温器104に水を搬送する水流路に設けられた圧力計124、温度計125、および流量計126とを備えている。
第2減温器17から排出された蒸気は、主蒸気配管21を介して高圧タービン25aに送られる。高圧タービン25aは、この蒸気により回転駆動されることで、蒸気タービンロータを回転させる。また、高圧タービン25aから排出された蒸気は、蒸気配管L〜Lを介して低圧タービン25bに送られる。低圧タービン25bは、この蒸気により回転駆動されることで、蒸気タービンロータを高圧タービン25aと共に回転させる。第2発電機26は、蒸気タービンロータの回転を利用して発電を行う。
バイパス蒸気配管23は、蒸気タービン25の上流で主蒸気配管21から分岐し、蒸気流路Lに合流している。よって、主蒸気弁22とバイパス蒸気弁24とが開いている場合、低圧タービン25bは、高圧タービン25aを通過した蒸気と、高圧タービン25aをバイパスした蒸気により回転駆動される。
蒸気流路Lの蒸気は、排熱回収ボイラ5内の第3過熱器101に送られ、第1過熱器101で過熱された後、蒸気流路Lを介して第3減温器102に送られ、第3減温器102で冷却される。第3減温器102は、第3減温器バルブ105からの水により蒸気を冷却する。第3減温器102で冷却された蒸気は、蒸気流路Lを介して排熱回収ボイラ5内の第4過熱器103に送られ、第4過熱器103で再び過熱された後、蒸気流路Lを介して第4減温器104に送られ、第4減温器104で再び冷却される。第4減温器104は、第4減温器バルブ106からの水により蒸気を冷却する。第4減温器104で冷却された蒸気は、蒸気流路Lを介して低圧タービン25bに送られる。
蒸気流路L〜Lを流れる蒸気の状態は、制御装置20により制御される。例えば、制御装置20は、第3減温器バルブ105の開度を調整して、第3減温器102でのスプレー水の流量を調整することで、第4過熱器103の出口蒸気温度を設定値に制御することができる。さらに、制御装置20は、第4減温器バルブ106の開度を調整して、第4減温器104でのスプレー水の流量を調整することで、第4減温器104の出口蒸気温度を設定値に制御することができる。これは、第1および第2減温器15、17の制御と同様である。
なお、本実施形態の第4過熱器103は、蒸気の流れに対し、排熱回収ボイラ5の最終段に位置する過熱器である。また、第3減温器102は、蒸気の流れに対し第4過熱器103の前段に位置しており、第4減温器104は、蒸気の流れに対し第4過熱器103の後段に位置している。
図2〜図8の説明は、本変形例の第1、第2過熱器14、16および第1、第2減温器15、17にも適用可能である。また、図2〜図8の説明は、第1、第2過熱器14、16および第1、第2減温器15、17を第3、第4過熱器101、103および第3、第4減温器102、104に置き換えることで、本変形例の第3、第4過熱器101、103および第3、第4減温器102、104にも適用可能である。
この場合、図2〜図8の説明において、符号42〜48で示す流量計、温度計、圧力計は、符号111〜117で示す流量計、温度計、圧力計に置き換えられる。また、符号51〜56で示す流量計、温度計、圧力計は、符号121〜126で示す流量計、温度計、圧力計に置き換えられる。また、図5のT負偏差許容値、T設定値、第1減温器バルブ18の開度指示値ZS1、第2減温器バルブ19の開度指示値ZS2は、T負偏差許容値、T設定値、第3減温器バルブ105の開度指示値ZS3、第4減温器バルブ106の開度指示値ZS4に置き換えられる。この場合、蒸気温度Tや蒸気温度Tを、蒸気温度Tや蒸気温度Tと同様に適切に制御することが可能となる。
以上のように、本実施形態の発電プラントは、第2過熱器16の前段および後段に第1および第2減温器15、17を備え、これら2つの減温器により蒸気温度TをT設定値に制御する。よって、本実施形態によれば、1つの減温器により蒸気温度Tを制御する場合に比べて、蒸気温度Tを高精度に制御することや、発電プラントを短時間で起動することが可能となる。
また、本実施形態の発電プラントは、蒸気温度TがT設定値よりもT負偏差許容値だけ高く調整されるように、第1減温器15を制御し、蒸気温度TがT設定値に調整されるように、第2減温器17を制御する。よって、本実施形態によれば、蒸気温度TがT設定値よりも低くなって第2減温器17が蒸気温度Tを調整不能になる事態を抑制することが可能となる。よって、本実施形態によれば、蒸気温度Tを安定的に制御することが可能となる。
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態の発電プラントの構成を示す模式図である。
図10の発電プラントは、図1に示す構成要素に加え、バイパス流路L〜Lを備えている。蒸気流路L〜Lは、ドラム11からの蒸気を第1、第2過熱器14、16および第1、第2減温器15、17を介して搬送するのに対し、バイパス流路L〜Lは、ドラム11からの蒸気を蒸気流路L〜Lの少なくとも一部をバイパスして搬送する。
具体的には、バイパス流路Lは、流量計42の上流の地点において、蒸気流路Lから分岐している。バイパス流路L、Lは、バイパス流路Lから分岐している。バイパス流路Lは、バイパス流路Lからの蒸気を、蒸気流路Lとの合流地点Cに供給する。バイパス流路Lは、バイパス流路Lからの蒸気を、蒸気流路Lとの合流地点Cに供給する。
本発電プラントはさらに、蒸気流路Lに設けられた温度計43’と、蒸気流路Lに設けられた温度計45’とを備えている。温度計43が、合流地点Cの上流に位置するのに対し、温度計43’は、合流地点Cの下流に位置している。同様に、温度計45が、合流地点Cの上流に位置するのに対し、温度計45’は、合流地点Cの下流に位置している。
本発電プラントはさらに、バイパス流路Lに設けられた第1バイパス弁71および第1バイパス流量計73と、バイパス流路Lに設けられた第2バイパス弁72および第2バイパス流量計74とを備えている。
本発電プラントは、蒸気流路Lからの蒸気を第1減温器15により冷却することができ、蒸気流路Lからの蒸気を第2減温器17により冷却することができる。また、本発電プラントは、蒸気流路Lの蒸気をバイパス流路Lからの蒸気により冷却することができ、蒸気流路Lの蒸気をバイパス流路Lからの蒸気により冷却することができる。
この際、合流地点Cの下流の蒸気温度は、合流地点Cの上流の蒸気と、バイパス流路Lの蒸気との流量比率により制御可能である。合流地点Cの下流の蒸気温度の上限は、合流地点Cの上流の蒸気温度となり、合流地点Cの下流の蒸気温度の下限は、バイパス流路Lの蒸気温度となる。これは、合流地点Cでも同様である。
図11は、第2実施形態の発電プラントの動作を説明するためのグラフである。
図11の横軸は、蒸気流路上の各地点とドラム11との距離を示す。図11の縦軸は、蒸気流路を流れる蒸気の温度を示す。符号T、T’は、蒸気流路Lを流れる蒸気の温度を示しており、温度計43、43’により計測される。符号ΔTは、TとT’との温度差を示す(ΔT=T−T’)。符号Tは、蒸気流路Lを流れる蒸気の温度を示しており、温度計44により計測される。符号T、T’は、蒸気流路Lを流れる蒸気の温度を示しており、温度計45、45’により計測される。符号ΔTは、TとT’との温度差を示す(ΔT=T−T’)。符号Tは、主蒸気配管21を流れる蒸気の温度を示しており、温度計47により計測される。図11は、これらの温度計43、43’、44、45、45’、47による蒸気温度T〜Tの計測値を示している。
以下、蒸気温度T〜Tの計算方法を説明する。
合流地点Cと第1減温器15との間の地点での蒸気温度T’は、次の式(12)で与えられる。
’=(TFB1+TT1)/(FB1+FT1) ・・・(12)
ただし、Tは、バイパス流路L〜Lを流れる蒸気の温度を表す。ここでのTは、圧力計41の地点の蒸気の圧力(ドラム圧力)が飽和蒸気圧力であるとして計算された飽和蒸気温度である。T、FT1は、温度計43の地点を流れる蒸気の温度、流量を表す。FT1は、流量計42の地点を流れる蒸気の流量Fに等しい。T’は、温度計43’の地点を流れる蒸気の温度を表す。FB1は、第1バイパス流量計73の地点を流れる蒸気の流量を表す。
第1減温器15の出口蒸気温度かつ第2過熱器16の入口蒸気温度である蒸気温度Tは、式(1)および(2)と同様に、次の式(13)〜(15)で与えられる。
=HPT(HT2,PT2) ・・・(13)
T2={FS1×TPH(TS1,PS1)+FT1’×TPH(T’,PT1’)}
/(FT1’+FS1) ・・・(14)
T1’=FT1+FB1 ・・・(15)
ただし、T’、PT1’、FT1’は、温度計43’の地点を流れる蒸気の温度、圧力、流量を表す。T、PT2、HT2は、温度計44の地点を流れる蒸気の温度、圧力、エンタルピを表す。PS1、TS1、FS1はそれぞれ、圧力計51、温度計52、流量計53の地点を流れるスプレー水の圧力、温度、流量を表す。
第2過熱器16の出口蒸気温度かつ第2減温器17の入口蒸気温度である蒸気温度Tは、式(3)および(4)と同様に、次の式(16)および(17)で与えられる。
=Func(T,F,T,FT2) ・・・(16)
T2=FT1’+FS1 ・・・(17)
ただし、T、FT2は、温度計44の地点を流れる蒸気の温度と流量を表す。Tは、温度計45の地点を流れる蒸気の温度を表す。T、Fはそれぞれ、温度計31、流量計32の地点を流れる排ガスの温度と流量を表す。
合流地点Cと第2減温器17との間の地点での蒸気温度T’は、次の式(18)および(19)で与えられる。
’=(TFB2+TT3)/(FB2+FT3) ・・・(18)
T3=FT2 ・・・(19)
ただし、T、FT3は、温度計45の地点を流れる蒸気の温度、流量を表す。T’は、温度計45’の地点を流れる蒸気の温度を表す。FB2は、第2バイパス流量計74の地点を流れる蒸気の流量を表す。
第2減温器17の出口蒸気温度である蒸気温度Tは、式(5)〜(7)と同様に、次の式(20)〜(22)で与えられる。
=HPT(HT4,PT4) ・・・(20)
T4={FS2×TPH(TS2,PS2)+FT3’×TPH(T’,PT3’)}
/(FT3’+FS2) ・・・(21)
T3’=FT3+FB2 ・・・(22)
ただし、T’、PT3’、FT3’は、温度計45’の地点を流れる蒸気の温度、圧力、流量を表す。T、PT4、HT4は、温度計47の地点を流れる蒸気の温度、圧力、エンタルピを表す。PT4は、圧力計46の地点を流れる蒸気の圧力Pに等しい。PS2、TS2、FS2はそれぞれ、圧力計54、温度計55、流量計56の地点を流れるスプレー水の圧力、温度、流量を表す。
なお、式(12)〜(22)では、蒸気流路とバイパス流路における圧力損失はほぼゼロであると仮定している。制御装置20は、温度計43〜45’等から取得した計測値を式(12)〜(22)の右辺に代入することで、式(12)〜(22)の左辺の値を計算することができる。上記の圧力損失や温度計43〜45’等の計測誤差が小さい場合、これらの式から蒸気温度T’〜Tの値を精度よく計算することができる。
(1)第2実施形態の制御装置20
図12は、第2実施形態の制御装置20の構成を示す模式図である。
制御装置20は、図5に示す構成要素に加え、第1バイパス設定部81と、第2バイパス設定部82と、第1バイパス制御部83と、第2バイパス制御部84と、減算器85とを備えている。第1および第2バイパス設定部81、82は、第3設定部の例である。第1および第2バイパス制御部83、84は、第3制御部の例である。
第1バイパス設定部81は、温度差ΔTを調整するための設定値として、ΔT設定値を保持している。温度差ΔTは、温度計43の地点での蒸気温度Tと、温度計43’の地点での蒸気温度T’との差を表す(ΔT=T−T’)。温度計43の地点と温度計43’の地点は、上流減温器の上流の第3地点と第4地点の例である。蒸気温度Tと蒸気温度T’は、第3温度と第4温度の例である。本実施形態のΔT設定値は、時間に応じて変化しない定数であり、例えば5℃に設定されている。ΔT設定値は、第3設定値の例である。
第1バイパス流量計73の地点での蒸気流量である第1バイパス流量FB1は、この温度差ΔTにより次の式(23)で与えられる。
B1=ΔTT1/(T−ΔT−T) ・・・(23)
式(23)は、式(12)にΔTを代入することで導出される。式(23)のΔTにΔT設定値を代入すると、平衡点における第1バイパス流量FB1が算出される。
第2バイパス設定部82は、温度差ΔTを調整するための設定値として、ΔT設定値を保持している。温度差ΔTは、温度計45の地点での蒸気温度Tと、温度計45’の地点での蒸気温度T’との差を表す(ΔT=T−T’)。温度計45の地点と温度計45’の地点は、過熱器と下流減温器との間の第3地点と第4地点の例である。蒸気温度Tと蒸気温度T’は、第3温度と第4温度の例である。本実施形態のΔT設定値は、時間に応じて変化しない定数であり、例えば20℃に設定されている。ΔT設定値は、第3設定値の例である。
第2バイパス流量計74の地点での蒸気流量である第2バイパス流量FB2は、この温度差ΔTにより次の式(24)で与えられる。
B2=ΔTT3/(T−ΔT−T) ・・・(24)
式(24)は、式(18)にΔTを代入することで導出される。式(24)のΔTにΔT設定値を代入すると、平衡点における第2バイパス流量FB2が算出される。
第1バイパス制御部83は、温度差ΔTがΔT設定値に調整されるように、第1バイパス弁71を制御する。具体的には、第1バイパス制御部83は、式(23)にΔT設定値を代入することにより第1バイパス流量FB1を算出し、第1バイパス流量FB1から第1バイパス弁71の開度指示値ZB1を算出して出力する。これにより、第1バイパス弁71の開度が開度指示値ZB1に調整され、第1バイパス流量FB1が平衡点に達し、温度差ΔTがΔT設定値に近づいていく。
しかしながら、第1バイパス流量FB1が平衡点に達するとは限らないことや、温度計43、43’等に計測誤差があることから、上記の制御により温度差ΔTがΔT設定値にならない場合がある。そこで、第1バイパス制御部83は、蒸気温度T’の計測値と設定値との偏差を用いたPID制御を行い、ΔT設定値から算出された第1バイパス流量FB1にPID制御の操作量を加算することで、第1バイパス流量FB1を補正する。これにより、温度差ΔTをΔT設定値に精度よく調整することができる。
第2バイパス制御部84は、温度差ΔTがΔT設定値に調整されるように、第2バイパス弁72を制御する。具体的には、第2バイパス制御部84は、式(24)にΔT設定値を代入することにより第2バイパス流量FB2を算出し、第2バイパス流量FB2から第2バイパス弁72の開度指示値ZB2を算出して出力する。これにより、第2バイパス弁72の開度が開度指示値ZB2に調整され、第2バイパス流量FB2が平衡点に達し、温度差ΔTがΔT設定値に近づいていく。
しかしながら、第2バイパス流量FB2が平衡点に達するとは限らないことや、温度計45、45’等に計測誤差があることから、上記の制御により温度差ΔTがΔT設定値にならない場合がある。そこで、第2バイパス制御部84は、蒸気温度T’の計測値と設定値との偏差を用いたPID制御を行い、ΔT設定値から算出された第2バイパス流量FB2にPID制御の操作量を加算することで、第2バイパス流量FB2を補正する。これにより、温度差ΔTをΔT設定値に精度よく調整することができる。
図12の第1設定部61、第2設定部62、加算器63、上限値設定部64、余裕値設定部65、減算器66、選択部67、第1減温器制御部68、第2減温器制御部69の動作は、図5の場合と同様である。
ただし、本実施形態のT負偏差許容値は、第1実施形態と同様、T設定値とT設定値との差であるのに対し(T負偏差許容値=T設定値−T設定値)、本実施形態の第2減温器17の入口蒸気温度は、蒸気温度Tではなく蒸気温度T’である。
よって、本実施形態の制御装置20では、加算器63が、T設定値にT負偏差許容値を加算してT設定値を出力した後、減算器85が、T設定値からΔT設定値を減算してT’設定値を出力する(T’設定値=T設定値−ΔT設定値)。また、選択部67は、T’設定値と修正上限値との低い方の値を出力する。また、第1減温器制御部68は、蒸気温度T’がT’設定値と修正上限値の低い方に調整されるように、第1減温器15を制御する。これにより、蒸気温度T’がT’設定値と修正上限値の低い方に近づいていき、さらには、蒸気温度TがT設定値と「修正上限値+ΔT設定値」の低い方に近づいていく。
上述のように、T設定値は「T負偏差許容値+T設定値」で与えられ、T’設定値は「T負偏差許容値+T設定値−ΔT設定値」で与えられる。T負偏差許容値、T設定値、ΔT設定値はそれぞれ、第1、第2、第3設定値の例である。本実施形態では、蒸気温度Tは、第2設定値よりも第1設定値だけ高く調整され、蒸気温度T’は、第2設定値よりも第1設定値と第3設定値との差分値だけ高く調整される。蒸気温度Tは第1および第3温度の例であり、蒸気温度T’は第4温度の例であり、蒸気温度Tは第2温度の例である。
図13は、第2実施形態の第1バイパス制御部83の構成を示す模式図である。
第1バイパス制御部83は、バイパス蒸気温度算出部(以下「温度算出部」と呼ぶ)91と、バイパス蒸気流量算出部(以下「流量算出部」と呼ぶ)92と、減算器93と、PID制御部94と、加算器95と、弁開度算出部(以下「開度算出部」と呼ぶ)96とを備えている。
温度算出部91は、圧力計41のドラム圧力Pが飽和蒸気圧力であるとして飽和蒸気温度を算出し、バイパス流路L〜Lの蒸気温度Tとして飽和蒸気温度を出力する。
流量算出部92は、温度算出部91からの蒸気温度Tと、第1バイパス設定部81からのΔT設定値と、温度計43からの蒸気温度Tと、流量計42からの蒸気流量F(=FT1)とを式(23)に代入して、第1バイパス流量FB1を算出する。
減算器93は、温度計43により計測された蒸気温度TからΔT設定値を減算して、PID制御用に蒸気温度T’の設定値を出力する。
PID制御部94は、蒸気温度T’の計測値を温度計43から取得し、蒸気温度T’の設定値を減算器93から取得し、これら計測値と設定値との偏差を用いたPID制御を行う。具体的には、PID制御部94は、この偏差をゼロに近づけるように第1バイパス流量FB1の補正量を設定する。
加算器95は、流量算出部92により算出された第1バイパス流量FB1にこの補正量を加算し、補正された第1バイパス流量FB1を出力する。
開度算出部96は、補正された第1バイパス流量FB1に基づいて、第1バイパス弁71の開度指示値ZB1を算出して出力する。開度算出部96は例えば、第1バイパス弁71のCV特性を用いて、補正された第1バイパス流量FB1を開度指示値ZB1に変換する。
第2バイパス制御部84の構成は、第1バイパス制御部83の構成と同様である。この場合、式(23)は式(24)に置き換えられ、蒸気流量F(=FT1)、蒸気温度TおよびT’、ΔT設定値はそれぞれ、蒸気流量FT3、蒸気温度TおよびT’、ΔT設定値に置き換えられる。式(15)、(17)、(19)に示すように、蒸気流量FT3は、流量計42からの蒸気流量Fと、第1バイパス流量計73からの蒸気流量FB1と、流量計53からの蒸気流量FS1とを用いて算出可能である(FT3=F+FB1+FS1)。
(2)第2実施形態の発電プラントの動作
図14は、第2実施形態の発電プラントの動作例を示すグラフである。本実施形態において、T負偏差許容値、ΔT設定値、ΔT設定値はそれぞれ、30℃、5℃、20℃に設定されている。
期間Rでは、スプレー流量FS1、FS2が0に設定され、バイパス流量FB1、FB2も0に設定されている。よって、蒸気温度Tは、蒸気温度T、T’と同じ値になり、時間と共に上昇していく。同様に、蒸気温度Tは、蒸気温度T、T’と同じ値になり、時間と共に上昇していく。
期間Rでは、スプレー流量FS1は当初、一定値に設定されている(矢印B)。また、期間Rおよびそれ以降の期間では、バイパス流量FB1、FB2はそれぞれ、温度差ΔT、ΔTをΔT、ΔT設定値に調整するように設定される。その結果、蒸気温度Tは、緩やかに低下または上昇している。一方、第1減温器15と合流地点Cでの蒸気温度の低下速度よりも第2過熱器16での蒸気温度の上昇速度の方が速いため、蒸気温度T’は時間と共に上昇していく。また、T設定値は期間Rの前半にて一定値(400℃)に維持されるため(図6参照)、スプレー流量FS2は、蒸気温度Tが400℃に維持されるように調整される。その後、T設定値は期間Rの後半にて400℃から緩やかに上昇するため(図6参照)、蒸気温度Tは時間と共に上昇していく。
ただし、本実施形態のT負偏差許容値、ΔT設定値はそれぞれ30℃、20℃に設定され、T’設定値がT設定値に比べて10℃だけ高い。その結果、期間Rの後半に蒸気温度Tが上昇しても、期間Rに蒸気温度Tが蒸気温度T’に到達していない(矢印A)。よって、本実施形態の第2減温器17は、期間Rにて蒸気温度TをT設定値に調整することができ、蒸気温度TとT設定値との間に乖離が発生することを抑制することができる。期間R、Rにおいて、スプレー流量FS1は、蒸気温度T’がT’設定値(=T設定値+T負偏差許容値−ΔT設定値)に近づくように調整される(矢印B、B)。同様に、スプレー流量FS2は、蒸気温度TがT設定値に近づくように調整される。
期間Rでは、期間Rにて蒸気温度T’が547℃に到達した後、蒸気温度Tが547℃に到達している。その結果、蒸気温度T’は547℃に維持され、蒸気温度Tも547℃に維持されている。スプレー流量FS1は、蒸気温度T’を547℃に維持するように調整される。一方、蒸気温度T’と蒸気温度Tは共に547℃に調整されるため、スプレー流量FS2はおおむね0に維持される。スプレー流量FS2は、蒸気温度Tが547℃よりも高くなった場合だけ0から増加する。
(3)第2実施形態の変形例
図15は、第2実施形態の変形例の発電プラントの構成を示す模式図である。
本変形例の蒸気タービン25は、第1実施形態の変形例の蒸気タービン25(図9)と同様に、高圧タービン25aと低圧タービン25bにより構成されている。
本変形例の発電プラントは、図9と図10に示す構成要素に加え、バイパス流路L〜Lを備えている。蒸気流路L〜Lは、高圧タービン25aからの蒸気を第3、第4過熱器101、103および第3、第4減温器102、104を介して搬送するのに対し、バイパス流路L〜Lは、高圧タービン25bからの蒸気を蒸気流路L〜Lの少なくとも一部をバイパスして搬送する。
具体的には、バイパス流路Lは、流量計111の上流の地点において、蒸気流路Lから分岐している。バイパス流路L、Lは、バイパス流路Lから分岐している。バイパス流路Lは、バイパス流路Lからの蒸気を、蒸気流路Lとの合流地点Cに供給する。バイパス流路Lは、バイパス流路Lからの蒸気を、蒸気流路Lとの合流地点Cに供給する。
本発電プラントはさらに、蒸気流路Lに設けられた温度計112’と、蒸気流路Lに設けられた温度計114’とを備えている。温度計112が、合流地点Cの上流に位置するのに対し、温度計112’は、合流地点Cの下流に位置している。同様に、温度計114が、合流地点Cの上流に位置するのに対し、温度計114’は、合流地点Cの下流に位置している。
本発電プラントはさらに、バイパス流路Lに設けられた第3バイパス弁131および第3バイパス流量計133と、バイパス流路Lに設けられた第4バイパス弁132および第4バイパス流量計134とを備えている。
本発電プラントは、蒸気流路Lからの蒸気を第3減温器102により冷却することができ、蒸気流路Lからの蒸気を第4減温器104により冷却することができる。また、本発電プラントは、蒸気流路Lの蒸気をバイパス流路Lからの蒸気により冷却することができ、蒸気流路Lの蒸気をバイパス流路Lからの蒸気により冷却することができる。
図11〜図14の説明は、本変形例の第1、第2過熱器14、16、第1、第2減温器15、17、およびバイパス流路L〜Lにも適用可能である。また、図11〜図14の説明は、これらを第3、第4過熱器101、103、第3、第4減温器102、104、およびバイパス流路L〜Lに置き換えることで、本変形例の第3、第4過熱器101、103、第3、第4減温器102、104、およびバイパス流路L〜Lにも適用可能である。
この場合、図11〜図14の説明において、第1実施形態の変形例での置き換えに加えて、符号71〜74で示す弁や流量計が、符号131〜134で示す弁や流量計に置き換えられる。また、図12のT負偏差許容値、T設定値、ΔT設定値、ΔT設定値、開度指示値ZS1、ZS2、ZB1、ZB2は、T負偏差許容値、T設定値、ΔT設定値、ΔT設定値、開度指示値ZS3、ZS4、ZB3、ZB4に置き換えられる。この場合、蒸気温度T、T’、Tを、蒸気温度T、T’、Tと同様に適切に制御することが可能となる。
以上のように、本実施形態の発電プラントは、第2過熱器16の前段および後段に第1および第2減温器15、17を備え、これら2つの減温器により蒸気温度TをT設定値に制御する。よって、本実施形態によれば、1つの減温器により蒸気温度Tを制御する場合に比べて、蒸気温度Tを高精度に制御することや、発電プラントを短時間で起動することが可能となる。
また、本実施形態の発電プラントは、第1および第2減温器15、17と第1および第2バイパス弁71、72により、蒸気温度TをT設定値に制御する。よって、本実施形態によれば、これらの減温器のみで蒸気温度Tを制御する場合に比べて、より高精度の制御やより短時間の起動を実現することが可能となる。
また、本実施形態の発電プラントは、蒸気温度TがT設定値よりもT負偏差許容値だけ高く調整されるように、第1減温器15を制御し、蒸気温度TがT設定値に調整されるように、第2減温器17を制御する。また、本実施形態の発電プラントは、蒸気温度T’がT設定値よりも「T負偏差許容値−ΔT設定値」だけ高く調整されるように、第1バイパス弁71を制御する。よって、本実施形態によれば、蒸気温度T’がT設定値よりも低くなって第2減温器17が蒸気温度Tを調整不能になる事態を抑制することが可能となる。よって、本実施形態によれば、蒸気温度Tを安定的に制御することが可能となる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法、およびプラントは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法、およびプラントの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
1:ガスタービン、2:圧縮機、3:第1発電機、
4:排ガス配管、5:排熱回収ボイラ、
11:ドラム、12:下降管、13:蒸発器、
14:第1過熱器、15:第1減温器、16:第2過熱器、17:第2減温器、
18:第1減温器バルブ、19:第2減温器バルブ、20:制御装置、
21:主蒸気配管、22:主蒸気弁、
23:バイパス蒸気配管、24:バイパス蒸気弁、25:蒸気タービン、
25a:高圧タービン、25b:低圧タービン、26:第2発電機、
31:温度計、32:流量計、
41:圧力計、42:流量計、43、43’:温度計、44:温度計、
45、45’:温度計、46:圧力計、47:温度計、48:流量計、
51:圧力計、52:温度計、53:流量計、
54:圧力計、55:温度計、56:流量計、
57:回転数計測器、58:電気出力計測器、
61:第1設定部、62:第2設定部、63:加算器、
64:上限値設定部、65:余裕値設定部、66:減算器、
67:選択部、68:第1減温器制御部、69:第2減温器制御部、
71:第1バイパス弁、72:第2バイパス弁、
73:第1バイパス流量計、74:第2バイパス流量計、
81:第1バイパス設定部、82:第2バイパス設定部、
83:第1バイパス制御部、84:第2バイパス制御部、85:減算器、
91:バイパス蒸気温度算出部、92:バイパス蒸気流量算出部、
93:減算器、94:PID制御部、95:加算器、96:弁開度算出部、
101:第3過熱器、102:第3減温器、
103:第4過熱器、104:第4減温器、
105:第3減温器バルブ、106:第4減温器バルブ、
111:流量計、112、112’:温度計、113:温度計、
114、114’:温度計、115:圧力計、116:温度計、117:流量計、
121:圧力計、122:温度計、123:流量計、
124:圧力計、125:温度計、126:流量計、
131:第3バイパス弁、132:第4バイパス弁、
133:第3バイパス流量計、134:第4バイパス流量計

Claims (9)

  1. 蒸気を冷却する上流減温器と、
    前記上流減温器からの前記蒸気を過熱する過熱器と、
    前記過熱器からの前記蒸気を冷却する下流減温器と、
    を備える発電プラントを制御するプラント制御装置であって、
    前記過熱器と前記下流減温器との間の第1地点での前記蒸気の温度である第1温度を調整するための第1設定値を出力する第1設定部と、
    前記下流減温器の下流の第2地点での前記蒸気の温度である第2温度を調整するための第2設定値を出力する第2設定部と、
    前記第1温度が、前記第1設定値と前記第2設定値との和と、前記蒸気の温度の制限値との低い方の値に調整されるように、前記上流減温器を制御する第1制御部と、
    前記第2温度が前記第2設定値に調整されるように、前記下流減温器を制御する第2制御部と、
    を備えるプラント制御装置。
  2. 蒸気を冷却する上流減温器と、
    前記上流減温器からの前記蒸気を過熱する過熱器と、
    前記過熱器からの前記蒸気を冷却する下流減温器と、
    前記蒸気を前記上流減温器、前記過熱器、および前記下流減温器を介して搬送する蒸気流路と、
    前記蒸気流路の少なくとも一部をバイパスして前記蒸気を搬送し、前記蒸気を前記蒸気流路との合流地点に供給するバイパス流路と、
    前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、
    を備える発電プラントを制御するプラント制御装置であって、
    前記過熱器と前記下流減温器との間の第1地点での前記蒸気の温度である第1温度を調整するための第1設定値を出力する第1設定部と、
    前記下流減温器の下流の第2地点での前記蒸気の温度である第2温度を調整するための第2設定値を出力する第2設定部と、
    前記合流地点よりも上流の第3地点での前記蒸気の温度である第3温度と、前記合流地点よりも下流の第4地点での前記蒸気の温度である第4温度との温度差を調整するための第3設定値を出力する第3設定部と、
    前記第1温度が前記第2設定値よりも前記第1設定値だけ高く調整されるように、前記上流減温器を制御する第1制御部と、
    前記第2温度が前記第2設定値に調整されるように、前記下流減温器を制御する第2制御部と、
    前記温度差が前記第3設定値に調整されるように、前記バイパス弁を制御する第3制御部と、
    を備えるプラント制御装置。
  3. 前記合流地点、前記第3地点、および前記第4地点は、前記上流減温器の上流に位置する、請求項に記載のプラント制御装置。
  4. 前記合流地点、前記第3地点、および前記第4地点は、前記過熱器と前記下流減温器との間に位置する、請求項に記載のプラント制御装置。
  5. 前記第3地点と前記第3温度はそれぞれ、前記第1地点と前記第1温度であり、
    前記第1制御部は、前記第3温度が前記第2設定値よりも前記第1設定値だけ高く調整され、かつ、前記第4温度が前記第2設定値よりも前記第1設定値と前記第3設定値との差分値だけ高く調整されるように、前記上流減温器を制御する、
    請求項に記載のプラント制御装置。
  6. 前記第1制御部は、前記第4温度が、前記第2設定値と前記差分値との和と、前記蒸気の温度の制限値との低い方の値に調整されるように、前記上流減温器を制御する、請求項に記載のプラント制御装置。
  7. 前記第1制御部は、前記上流減温器に水を供給する第1弁の開度指示値を出力し、
    前記第2制御部は、前記下流減温器に水を供給する第2弁の開度指示値を出力する、
    請求項1から6のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
  8. 前記第2設定部は、時間に応じて変化する前記第2設定値を出力する、請求項1から7のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
  9. 前記発電プラントは、第1蒸気タービンと、前記第1蒸気タービンの下流に設けられた第2蒸気タービンとをさらに備え、
    前記上流減温器、前記過熱器、および前記下流減温器は、
    前記第1蒸気タービンの上流の第1蒸気流路に設けられ、前記下流減温器からの前記蒸気を前記第1蒸気タービンに供給する、または、
    前記第1蒸気タービンと前記第2蒸気タービンとの間の第2蒸気流路に設けられ、前記下流減温器からの前記蒸気を前記第2蒸気タービンに供給する、
    請求項1からのいずれか1項に記載のプラント制御装置。
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