JP5627566B2 - 石炭焚き火力発電プラントの制御装置及び制御方法 - Google Patents
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具体的には、協調制御によれば、特許文献1に記載されているように、電力需要、則ち負荷に基づいて設定される発電出力指令(MWD)に基づいて、タービンマスタ指令(TM)、則ち、ガバナ弁の開度の設定値が決定される。ガバナ弁の開度が、その設定値に近付けられることによって、ガバナ弁を通じて蒸気が供給されるタービンの回転数が適切に調整される。一方、発電出力指令に基づいて、ボイラマスタ指令(BID)が演算され、ボイラマスタ指令に基づいて、ボイラへの石炭、水及び空気の供給量の設定値が決定される。つまり、ボイラマスタ指令に基づいて、ボイラで発生する蒸気の量が決定される。
更に、従来の再熱蒸気温度制御には、GRFを省略するために、再熱器の上流側におけるスートブロワ噴射時に、給水装置によるボイラへの給水量を増加させるものもある(特許文献8参照)。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされ、その目的とするところは、負荷が変化した場合に、第2タービンに供給される再熱蒸気の温度を高精度に制御する、石炭焚き火力発電プラントの制御装置及び制御方法を提供することにある。
この構成によれば、石炭供給量設定値補正器が、石炭供給量変化率と再熱蒸気流量変化率の差に比例する補正値に基づいて、ボイラへの石炭の供給量の設定値を補正することによって、負荷が変化したときでも、確実に、再熱蒸気温度が高精度に制御される。
この構成によれば、石炭供給量設定値補正器が、石炭供給量変化率と再熱蒸気流量変化率の差の積分値に比例する成分を更に含む補正値に基づいて、ボイラへの石炭の供給量の設定値を補正することによって、負荷が変化したときに、再熱蒸気温度がより高精度に制御される。
この構成によれば、再熱蒸気温度調整手段によって、再熱蒸気の温度が調整されるので、負荷が安定している場合も含め、再熱蒸気温度が高精度に制御される。
この構成によれば、再熱蒸気に水を加える事によって、再熱蒸気の温度が上限値を超えることが確実に防止される。
この構成によれば、バーナの角度を変えることによって、負荷が安定している場合も含め、再熱蒸気の温度が高精度にて制御される。
この構成によれば、ボイラに返戻される排ガスの流量を調整することによって、負荷が安定している場合も含め、再熱蒸気の温度が高精度にて制御される。
この構成によれば、再熱器の加熱に供される排ガスの流量を変化させることによって、負荷が安定している場合も含め、再熱蒸気の温度が高精度にて制御される。
図1は、第1実施形態に係る石炭焚き火力発電プラント(以下、単に発電プラントともいう)10の概略的な構成を示している。発電プラント10は、大別して、蒸気系統、復水系統、石炭供給系統、空気供給系統、排ガス処理系統、及び、これらの動作を制御する制御系統からなる。
蒸気系統は、ボイラ12、ガバナ弁14、高圧タービン(HPT)16、中圧タービン(IPT)18及び低圧タービン(LPT)20を有している。ボイラ12は、節炭器22、蒸発管24、過熱器26及び再熱器28を有し、水の循環路30には、節炭器22、蒸発管24、過熱器26、ガバナ弁14、高圧タービン16、再熱器28、中圧タービン18及び低圧タービン20がこの順序で配置されている。
復水系統は、水の循環路30に配置される復水器42及び給水ポンプ44を有する。復水器42は、低圧タービン20から流出した蒸気を液相の水に戻し、給水ポンプ44は、復水器42で得られた液相の水をボイラ12に供給する。
また、復水系統と蒸気系統とは、主蒸気用スプレー流路46及び再熱蒸気用スプレー流路48によってそれぞれ接続されている。
なお、主蒸気の温度を測定するために、主蒸気流路50には、温度計(主蒸気温度計)54が設けられている。
一方、復水系統には、ボイラ12への給水の温度を上昇させるために、高圧タービン16、中圧タービン18及び低圧タービン20から抽気された蒸気が供給される。
石炭供給系統は、図示しないけれども、原材料の石炭を粉砕して微粉炭にする石炭粉砕装置を有する。石炭粉砕装置には、ホッパからコンベヤを用いて原材料の石炭が供給される。そして、石炭粉砕装置で粉砕された微粉炭は、キャリアガスとしての窒素ガスによってバーナ34に送られる。
〔空気供給系統〕
空気供給系統は、図示しないけれども、空気を送出する押し込み送風機を有する。押し込み送風機によって送られた空気は、排ガスを利用する空気予熱器によって加熱されてから、バーナ34に供給される。
なお、ボイラ12における燃焼方式は、噴流床燃焼方式が好ましいが、流動床燃焼方式や固定床燃焼方式であってもよい。
排ガス処理系統は、ボイラ12から排出された排ガスを処理するために、図示しないけれども、脱硝装置、電気集塵機、脱硫装置、及び煙突を有する。空気供給系統の空気予熱器は、脱硝装置から電気集塵機に向けて流れる排ガスの熱を利用して空気を予備的に加熱する。
なお、ボイラ12から排出された排ガスの一部は、ガス再循環ファンダンパ64及びガス再循環ファン66によって分岐され、ボイラ12に返戻される。ガス再循環ファンダンパ64の開度を調整することによって、ボイラ12に返戻される排ガス量を調整することによっても、再熱器28を流れる蒸気に加える熱量を調整することができる。
図2は、制御系統(制御システム)の全体的な構成を概略的に示すブロック図である。制御システムは、統合的な制御を行う制御装置68を有する。制御装置68は、例えば、演算装置、記憶装置及び入出力装置からなるコンピュータによって構成される。なお、制御装置68は、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。
そして、負荷が変化する場合には、制御装置68は、再熱蒸気の温度の制御として、更に、ボイラ12に供給される石炭の供給量も調整する。
図3及び図4は、制御装置68の機能的な構成を概略的に示す図である。制御装置68には、電力需要、則ち負荷が入力され、入力された負荷にそれぞれ対応する発電出力設定値及び発電出力変化率設定値が、出力変化率制御器70に入力される。出力変化率制御器70は、発電出力設定値の単位時間あたりの変化率が、発電出力変化率設定値の範囲内に収まるように、発電出力設定値を調整して出力する。
出力変化率制御器70で調整された発電出力設定値、及び、関数器72で演算された周波数変動補正量は、加算器74に入力されて加算される。これにより発電出力設定値が補正される。
一方、制御装置68は、負荷が変化した場合には、水及び空気については関数器86,88によって演算された水及び空気の供給量の設定値に基づいて、ボイラ12に供給される水及び空気の供給量を制御しながら、再熱蒸気の温度を制御すべく、関数器84によって演算された石炭の供給量の設定値を補正し、補正された石炭の供給量の設定値に基づいて、ボイラ12への石炭の供給量を調整する。
FFRC=1−(FFs−FFp)/(FFs−FFe) ・・・(1)
=1−ΔFFp/ΔFF
WRHRC=1−(WRHs−WRHp)/(WRHs−WRHe)・・・(2)
=1−ΔWRHs/ΔWRH
なお、再熱蒸気の流量のプロセス値としては、再熱蒸気流量計62によって測定された測定値を用いることができるが、他の測定値に基づく推定値を用いることもできる。
式(1)及び(2)から明らかなように、これらの変化率は、変化前の値を1とし、変化後の値を0とするカウントダウン式の変化率である。
つまり、減算器94、比例制御器96、及び、加算器98は、変化率の差に基づいて石炭の供給量の設定値を補正する石炭供給量設定値補正器99を構成している。
図5の左側には、発電出力指令、石炭の供給量のプロセス値、及び、再熱蒸気の流量のプロセス値の時間変化をそれぞれ示すグラフが描かれており、図5の右側には、発電出力指令、石炭の供給量の変化率、及び、再熱蒸気の流量の変化率の時間変化をそれぞれ示すグラフが描かれている。なお、図5の各グラフにおいて、現在の時刻はT1であるとし、そこから先は、各値は一点鎖線で示されるように推移するものとする。
そして、図6は、図5に対応する変化率の差(FFRC−WRHRC)の時間変化を示している。なお、図6は、時刻T1を超えて変化率の差の時間変化を示している。
なお、石炭の供給量を増大することによって主蒸気の温度が過剰に高くなった場合には、制御装置68は、主蒸気用スプレー弁52の弁開度を調整することによって、主蒸気の温度を下げることができる。
上述した第1実施形態の発電プラントの制御装置68によれば、制御装置68がバーナ34の角度、ボイラ12に返戻される排ガスの流量、及び、再熱器28の加熱に供される排ガスの流量をそれぞれ調整することによって、負荷が変化していない場合も含め、再熱蒸気の温度が高精度に制御される。
以下、第2実施形態の発電プラント10の制御装置68について説明する。
なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の構成要素についての説明を簡略化又は省略する。
かかる第2実施形態の発電プラント10の制御装置68によれば、負荷が変化したときに、再熱蒸気の温度がより高精度に制御される。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、発電プラント10が、再熱蒸気の温度を調整するための手段として、ガス再循環ファン66、ガス再循環ファンダンパ64、再熱器ガスダンパ36、及び、バーナ角度調整装置32を備えていたけれども、これら全てを備えている必要はない。また、発電プラント10は、これら以外の公知の再熱蒸気温度調整手段を備えていても良い。
12 ボイラ
14 ガバナ弁
16 高圧タービン(第1タービン)
18 中圧タービン(第2タービン)
20 低圧タービン
38 発電機
42 復水器
44 給水ポンプ
68 制御装置
90 石炭供給量変化率演算器
92 再熱蒸気流量変化率演算器
99 石炭供給量設定値補正器
ΔFF 予定される石炭の供給量の総変化量
ΔFFp 石炭の供給量の現在の変化量
FFRC 石炭の供給量の変化率
ΔWRH 予定される再熱蒸気の流量の総変化量
ΔWRHp 再熱蒸気の流量の現在の変化量
WRHRC 再熱蒸気の流量の変化率
Claims (9)
- 水の循環路に水の循環方向にて順次配置される蒸発管、過熱器及び再熱器を有するボイラと、
前記循環路に、前記加熱器と前記再熱器の間に位置して配置される第1のタービンと、
前記循環路に、前記循環方向にて前記再熱器の下流に位置して配置される第2のタービンと、
前記第1タービン及び前記第2タービンによって駆動される発電機と、を備える発電プラントに適用され、負荷に応じ設定される発電出力指令に基づいて前記ボイラへの石炭、水及び空気の供給量を制御する石炭焚き火力発電プラントの制御装置において、
前記発電出力指令が変化する場合に、
前記再熱器を流れる蒸気の流量について、前記発電出力指令の変化に伴い予定される総変化量に対する現在の変化量の割合を再熱蒸気流量変化率として求める、再熱蒸気流量変化率演算器と、
前記ボイラに供給される石炭の供給量について、前記発電出力指令の変化に伴い予定される総変化量に対する現在の変化量の割合を石炭供給量変化率として求める、石炭供給量変化率演算器と、
前記石炭供給量変化率と前記再熱蒸気流量変化率の差に基づいて、前記発電出力指令に基づいて設定される前記ボイラへの石炭の供給量の設定値を補正する、石炭供給量設定値補正器とを備え、
前記石炭供給量設定値補正器によって補正された前記石炭の供給量の設定値に基づいて、前記ボイラへの石炭の供給量を制御する
ことを特徴とする石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 前記石炭供給量設定値補正器は、
前記石炭供給量変化率と前記再熱蒸気流量変化率の差に比例する成分を含む補正値を演算し、
前記補正値に基づいて、前記発電出力指令に基づいて設定される前記ボイラへの石炭の供給量の設定値を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 前記石炭供給量設定値補正器は、
前記補正値として、前記石炭供給量変化率と前記再熱蒸気流量変化率の差の積分値に比例する成分を更に含む補正値を演算する
ことを特徴とする請求項2に記載の石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 前記石炭焚き火力発電プラントは、前記第2ボイラに供給される蒸気の温度を調整する再熱蒸気温度調整手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 前記再熱蒸気温度調整手段は、前記再加熱器と前記第2タービンの間の前記循環路の部分に水を供給する
ことを特徴とする請求項4に記載の石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 前記再熱蒸気温度調整手段は、前記ボイラにおけるバーナの角度を調整する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 前記再熱蒸気温度調整手段は、前記ボイラから排出された排ガスを前記ボイラに返戻する
ことを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載の石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 前記再熱蒸気温度調整手段は、前記ボイラにおいて、前記再熱器の加熱に供される排ガスの流量を変化させる、
ことを特徴とする請求項4乃至7の何れか一項に記載の石炭焚き火力発電プラントの制御装置。 - 水の循環路に水の循環方向にて順次配置される蒸発管、過熱器及び再熱器を有するボイラと、
前記循環路に、前記加熱器と前記再熱器の間に位置して配置される第1のタービンと、
前記循環路に、前記循環方向にて前記再熱器の下流に位置して配置される第2のタービンと、
前記第1タービン及び前記第2タービンによって駆動される発電機と、を備える発電プラントに適用され、負荷に応じ設定される発電出力指令に基づいて前記ボイラへの石炭、水及び空気の供給量を制御する石炭焚き火力発電プラントの制御方法において、
前記発電出力指令が変化する場合に、
前記再熱器を流れる蒸気の流量について、前記発電出力指令の変化に伴い予定される総変化量に対する現在の変化量の割合を再熱蒸気流量変化率として求め、
前記ボイラに供給される石炭の供給量について、前記発電出力指令の変化に伴い予定される総変化量に対する現在の変化量の割合を石炭供給量変化率として求め、
前記石炭供給量変化率と前記再熱蒸気流量変化率の差に基づいて、前記発電出力指令に基づいて設定される前記ボイラへの石炭の供給量の設定値を補正し、
補正された前記石炭の供給量の設定値に基づいて、前記ボイラへの石炭の供給量を制御する、
ことを特徴とする石炭焚き火力発電プラントの制御方法。
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