JP6684880B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本開示は、吸収性物品に関する。
芳香機能、冷感機能等を備える吸収性物品が知られている。例えば、特許文献1には、表面シートと、裏面シートとの間に、清涼剤を含む冷感材料を備える吸収性物品が記載されている。特許文献1の吸収性物品では、上記清涼剤が、水崩壊性のポリマーセルに保護されており、上記清涼剤は、ユーザーの体液等に触れた後に放出される。
特開2010−234027号公報
特許文献1に記載の吸収性物品では、清涼剤が水溶性のポリマーセル等に内包されているため、体液等の液体に接して初めてその機能を発揮するものの、ユーザーが吸収性物品を開封し、装着し、そして体液を吸収するまでは、その機能は発揮されない。
従って、本開示は、所望の機能を、所望のタイミングで発揮することができ、そして使用時によれにくい吸収性物品を提供することを目的とする。
本開示者らは、液透過性層と、液不透過性層と、上記液透過性層及び液不透過性層の間の吸収層と、機能性組成物とを含み、平面方向及び厚さ方向を有する吸収性物品であって、上記機能性組成物が、揮発性を有する第1機能性成分と、揮発性を有する第2機能性成分と、第2機能性成分を内包する水崩壊性のマイクロカプセルと、第2機能性成分を上記マイクロカプセルに内包させたまま保持する溶媒とを含み、上記吸収性物品が、上記液透過性層及び上記吸収層の間に、上記平面方向に広がる、上記機能性組成物が塗布された機能性組成物塗布領域と、接着剤が塗布された接着剤塗布領域とを有し、そして上記接着剤塗布領域が、上記液透過性層及び上記吸収層を直接又は間接的に接合する接着領域を有することを特徴とする吸収性物品を見出した。
本開示の吸収性物品は、所望の機能を、所望のタイミングで発揮することができ、そして使用時によれにくい。
図1は、本開示の実施形態の1つに従う吸収性物品の平面図である。 図2は、図1のII−II断面における断面図である。 図3は、本開示の別の実施形態に従う吸収性物品の断面図である。 図4は、本開示の吸収性物品の製造工程を説明するための図である。
[定義]
本明細書における、いくつかの用語について、その定義を説明する。
[マイクロカプセル]
本明細書において、マイクロカプセルは、直径1〜1,000μmの大きさを有し、芯材(第2機能性成分)を内包する空間を有するカプセルを意味する。
上記カプセルは、芯材を内包し且つ芯材の放出を制御することができるものであれば、その外観形状は特に制限されず、例えば、球形、不定形等の外観形状が挙げられる。また、上記カプセルは、芯材を保持する空間を1つ有する単核型、又は芯材を保持する空間を複数有する多核型であることができる。上記空間の形状としては、球形、不定形等の空間形状が挙げられる。
上記マイクロカプセルの例としては、外観が球形であり且つ多核型の空間を有するものが挙げられる。
[水崩壊性]
本明細書において、「水崩壊性」は、マイクロカプセルに関する用語であり、体液等の液体(水溶液)と接することにより、内包する第2機能性成分を放出する程度に崩壊する性質を意味する。具体的には、マイクロカプセルが液体と接すると、マイクロカプセルの素材が水に溶解して崩壊する場合、マイクロカプセルが液体と接すると、マイクロカプセルが水に膨潤してその強度が低下し、マイクロカプセルが破壊されることにより崩壊する場合等が挙げられる。
[着用者]
本明細書において、「着用者」は、吸収性物品の着用者を意味し、例えば、使い捨ておむつにおける赤ちゃん、要介護者等、生理用ナプキンにおける女性等を意味する。
[ユーザー]
本明細書において、「ユーザー」は、吸収性物品のユーザーを意味し、上述の着用者に加え、吸収性物品を着用者に着用させる者、例えば、使い捨ておむつにおける母親、介護者等を意味する。
本開示の吸収性物品について、必要に応じて図面を用いて、以下、詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態の1つに従う吸収性物品の正面図であり、より具体的には、生理用ナプキンの正面図である。図2は、図1のII−II断面における断面図である。
図1及び図2に示される吸収性物品1は、液透過性層としてのトップシート2と、液不透過性層としてのバックシート3と、トップシート2及びバックシート3の間の、吸収層としての吸収体4とを有する。
なお、図2は、本開示を理解しやすくするため、特に吸収性物品1の厚さ方向に拡大されている点に留意されたい。例えば、図2では、機能性組成物塗布領域8'及び8''を表示するため、接着剤塗布領域9''と、トップシート2との間にスペースが生じているが、実際には、接着剤塗布領域9''は、吸収体4と、トップシート2とを接合している。
図1に示される吸収性物品1は、吸収性物品1の長手方向の両側部に、吸収性物品1を、着用者の衣服、例えば、ショーツに固定するための、サイドシート5及びバックシート3から形成される、一対のサイドフラップ6を備える。
図1に示される吸収性物品1はまた、トップシート2及び吸収体4の間に、吸収性物品1の平面方向に広がる、接着剤が塗布された、3つの接着剤塗布領域9(9',9'',9''')を有する。3つの接着剤塗布領域9(9',9'',9''')は、吸収性物品1の長手方向に沿って、吸収性物品1の幅方向に一定の間隔をあけて配置されている。各接着剤塗布領域9では、接着剤が、吸収性物品1の幅方向に往復しながら(Z状)、吸収性物品1の長手方向に沿って配置されている。また、3つの接着剤塗布領域9(9',9'',9''')は、吸収体4に接して配置されている。
図1に示される吸収性物品1は、トップシート2及び吸収体4の間に、吸収性物品1の平面方向に広がる、機能性組成物が塗布された、2つの機能性組成物塗布領域8(8',8'')を有する。機能性組成物塗布領域8'及び8''は、それぞれ、接着剤塗布領域9'及び9'''に接して、トップシート2及び吸収体4の間に、面状に配置されている。また、機能性組成物塗布領域8'及び8''は、トップシート2と接して配置されている。なお、機能性組成物の組成については、後述する。
接着剤塗布領域9''は、トップシート2及び吸収体4を直接接合する接着領域10を有する。また、接着剤塗布領域9'及び9'''のそれぞれは、トップシート2及び吸収体4を直接接合する接着領域10と、マイクロカプセル保持領域11とを有する。
なお、接着領域10は、機能性組成物塗布領域8と接しておらず、より具体的には、接着領域10が、機能性組成物の成分である溶媒を含まず、トップシート2と、吸収体4とを接合している。
マイクロカプセル保持領域11では、粘着性を有する接着剤が、機能性組成物を構成するマイクロカプセルを保持している。
図1に示される吸収性物品1は、機能性組成物塗布領域8を間に挟んで、トップシート2と、吸収体4とをエンボスすることにより形成された、複数のエンボス部7を有し、エンボス部7は、機能性組成物塗布領域8と、吸収性物品1の厚さ方向に重複する範囲において、第2機能性成分をマイクロカプセルに内包させたまま保持している。
図1及び図2に示される実施形態では、接着剤塗布領域9は、接着剤を、吸収性物品1の幅方向に往復しながら、吸収性物品1の長手方向に塗布することにより形成されているが、本開示の吸収性物品では、接着剤塗布領域は特に制限されず、当技術分野で公知の様式で配置される。例えば、接着剤塗布領域は、スパイラル状、Z状、線状、ドット状の形状で、吸収性物品の長手方向又は幅方向に沿って配置されることができる。
図1及び図2に示される実施形態では、機能性組成物塗布領域8は、吸収性物品1の長手方向両側部の接着剤塗布領域9の上に、面状に配置されているが、本開示の吸収性物品では、機能性組成物塗布領域8の配置は、図1及び図2に示されるものに限定されない。例えば、機能性組成物塗布領域は、面状、線状、スパイラル状、Z状、ドット状等の形状で、吸収性物品の長手方向又は幅方向に沿って配置されることができる。さらに、機能性組成物塗布領域は、吸収性物品の長手方向の中心に配置されることができ、そして吸収性物品の長手方向の両側部に配置されることができる。
本開示の吸収性物品では、機能性組成物塗布領域は、機能性組成物が塗布された領域である。
上記機能性組成物は、第1機能性成分と、第2機能性成分と、第2機能性成分を内包する水崩壊性のマイクロカプセルと、溶媒とを含む。
なお、上記溶媒は、その粘度にもよるが、毛細管現象により、液透過性層、吸収層、所望による補助シート層等に移行する場合がある。
[第1機能性成分及び第2機能性成分]
第1機能性成分及び第2機能性成分のそれぞれが有する機能は、ユーザーに、当該成分がない場合と比較して快適性を提供する機能であれば、特に制限されず、例えば、芳香機能、冷感機能、消臭機能、抗菌機能、スキンケア機能、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される機能が挙げられる。
なお、本明細書では、第1機能性成分及び/又は第2機能性成分を、単に「機能性成分」と称する場合がある。
上記芳香機能を有する機能性成分としては、当技術分野で香料として用いられているものであれば、特に制限されず、例えば、沸点が約250℃以下の高揮発性香料、沸点が約250〜約300℃の中揮発性香料が挙げられる。
なお、芳香機能を有する機能性成分を、芳香成分と称する場合がある。
上記高揮発性香料としては、例えば、アニソール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ギ酸ベンジル、酢酸イソボルニル、シトロネラール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、パラシメン、デカナール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、l−カルボン、ゲラニアール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、ネロール、酢酸ネリル、酢酸ノニル、リナロール、酢酸リナリル、フェニルエチルアルコール、α−ピネン、β−ピネン、γ−ピネン、α−ヨノン、β−ヨノン、γ−ヨノン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、酢酸テルピニル、テンタローム等が挙げられる。
上記中揮発性香料としては、例えば、アミルシンナムアルデヒド、ジヒドロジャスモン酸メチル、サリチル酸イソアミル、β−カリオフィレン、セドレン、セドリルメチルエーテル、桂皮アルコール、クマリン、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エチルバニリン、オイゲノール、イソオイゲノール、γ−メチルヨノン、ヘリオトロピン、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、フェニルヘキサノール、バニリン、ペンタライド等が挙げられる。
上記香料成分には、グリーンハーバル様香気を有する香料が含まれる。上記グリーンハーバル様香気を有する香料は、月経随伴性症状の中でも特に精神的な不快症状を、身体に物理的刺激を与えることなく、また、経口投与にもよらず、安全かつ簡便に緩和させることができ、そして、ユーザーに快適感も付与する。
上記グリーンハーバル様香気は、グリーン様香気(グリーンノート)又はハーバル様香気(ハーバルノート)を含む香調である。グリーン様香気とは、草や若葉のすがすがしい香調をいう。ハーバル様香気(ハーバルノート)とは、ハーブを用いた自然で、薬草的な香り立ちが特徴の香調をいう。
グリーンハーバル様香気を有する香料としては、例えば、cis−3−ヘキセノール、ギ酸cis−3−ヘキセニル、酢酸cis−3−ヘキセニル、プロピオン酸cis−3−ヘキセニル、酪酸cis−3−ヘキセニル、トランス−2−ヘキセナール、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸ヘキシル、酢酸スチラリル、2−メチル−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−プロパナール(IFF社名、ヘリオナール)、3(4)−(5−エチルビシクロ[2,2,1]ヘプチル−2)−シクロヘキサノール、2−ペンチロキシグリコール酸アリル(IFF社名、アリルアミルグリコレート)、4−メチル−3−デセン−5−オール(Givaudan社名、ウンデカベルトール)、ヘキシルアルデヒド、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシアルデヒド(IFF社名、トリプラール)及びフェニルアセトアルデヒド等が挙げられる。
また、グリーンハーバル様香気を有する香料としては、l−メントール、1,8−シネオール、サリチル酸メチル、シトロネラール、カンファー、ボルネオール、酢酸イソボルニル、酢酸ターピニル、オイゲノール、アネトール、4−メトキシベンジルアルコール及びエストラゴールが挙げられる。
上記冷感機能を有する機能性成分(冷感機能を有する機能性成分を、「冷感成分」と称する場合がある)としては、当技術分野で冷感材として知られているものが挙げられ、例えば、皮膚の神経にある受容体活性化チャネル(TRPM8)に作用するもの、例えば、メントール(例えば、l−メントール)及びその誘導体、サリチル酸メチル、カンファー、植物(例えば、ミント、ユーカリ)由来の精油等が挙げられる。また、上記冷感機能を有する機能性成分としては、気化熱により周囲の温度を下げるもの、例えば、アルコール、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。
上記消臭機能を有する機能性成分(消臭機能を有する機能性成分を、「消臭成分」と称する場合がある)としては、当技術分野で消臭剤として知られているものが挙げられる。
上記スキンケア機能としては、例えば、消炎機能、鎮痒機能、かぶれ防止機能、保湿機能等が挙げられ、そして上記スキンケア機能を有する機能性成分としては、例えば、メントール、サリチル酸メチル等が挙げられる。
なお、上記スキンケア機能を有する機能性成分を、スキンケア成分と称することがあり、消炎機能、鎮痒機能、かぶれ防止機能及び保湿機能を有する機能性成分を、それぞれ、消炎成分、鎮痒成分、かぶれ防止成分及び保湿成分と称する場合がある。
第1機能性成分及び第2機能性成分のそれぞれは、揮発性を有する。
上記揮発性は、機能性成分が発揮すべき機能によって、その好ましい蒸気圧は異なるが、第1機能性成分及び第2機能性成分は、例えば、25℃及び1気圧において、好ましくは30Pa以上、より好ましくは50Pa以上、そしてさらに好ましくは70Pa以上の蒸気圧を有する。上記蒸気圧が低すぎると、所望の機能を発揮しにくくなる傾向があり、そして上記蒸気圧が高すぎると、ユーザーが吸収性物品を使用するまでの間に、機能性成分が揮発し、その量が減少する傾向、着用者の皮膚に過度の機能を発揮する等の場合がある。
[マイクロカプセル]
上記水崩壊性のマイクロカプセルは、第2機能性成分をその内側に保持し、体液等の液体に触れると崩壊し、第2機能性成分を外部に放出させる成分である。なお、放出された第2機能性成分は、着用者の体温等により気化し、着用者の肌にその機能を発揮する。
上記マイクロカプセルの水崩壊性の度合いは、液体と接した後、第2機能性成分をどのように放出させるかによって異なり、例えば、液体と接した後に第2機能性成分を速やかに放出させるためには、上記水崩壊性が高いことが好ましく、そして第2機能性成分を徐放させるためには、上記水崩壊性が低いことが好ましい。
本開示の吸収性物品において、マイクロカプセルが水に溶解することにより崩壊する場合には、マイクロカプセルは、25℃において、水100gに対して、好ましくは10〜300g、より好ましくは20〜200g、そしてさらに好ましくは30〜100gの範囲の水溶解度を有する。
上記水溶解度は、試験温度を25℃にした以外は、OECDガイドラインNo.105フラスコ法に従って測定される。
上記マイクロカプセルは、当該マイクロカプセルの分散媒である溶媒に不溶であることが好ましく、そして当該マイクロカプセルの分散媒である溶媒に膨潤しないことが好ましい。内包する第2機能性成分の保護の観点からである。
例えば、上記マイクロカプセルは、25℃において、マイクロカプセルの分散媒である溶媒100gに対して、好ましくは1.0g以下、より好ましくは0.5g以下、そしてさらに好ましくは0.1g以下の溶媒溶解度を有する。
上記溶媒溶解度は、25℃において、100gの溶媒に、1.0g(0.5g,0.1g)の試料を添加し、24時間静置し、必要に応じて軽く攪拌し、次いで、試料が溶解したか否か目視で評価することにより評価する。
上記マイクロカプセルの素材としては、例えば、糖類、例えば、単糖類(例えば、ブドウ糖)、二糖類(例えば、ショ糖)、多糖類(例えば、デキストリン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、水溶性でんぷん等)、ゼラチン、水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等)等が挙げられる。
上記マイクロカプセルは、目開き75μmのふるいを通過し且つ目開き45μmのふるい上に残存するものを、好ましくは50質量%以上、そしてより好ましくは70質量%以上含む。マイクロカプセルの溶媒への分散性、塗工性等の観点からである。
上記マイクロカプセルは市販されており、例えば、Symrise社から市販される、INCAP(商標)等が挙げられる。
また、上記マイクロカプセルはまた、水にマイクロカプセルの素材を溶解させて水溶液を形成し、当該水溶液に第2機能性成分及び界面活性剤を混合し、上記水溶液をスプレーしながら減圧乾燥することにより製造することができる。
[溶媒]
上記溶媒としては、第2機能性成分をマイクロカプセルに内包させたまま保持し且つ第1機能性成分を保持するものであること、すなわち、第1機能性成分を溶解させるが、マイクロカプセルを溶解又は膨潤させないものであることが好ましい。
なお、マイクロカプセルを分散させる溶媒は、後述のマイクロカプセルに内包されうる第2溶媒と区別するために、第1溶媒と称される場合がある。
水崩壊性のマイクロカプセルを崩壊させない観点からは、上記溶媒は、親油性溶媒であることが好ましい。
上記溶媒は、親油性の観点からは、後述のIOBが、0.00以上且つ好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下、そしてさらに好ましくは0.6以下である。
IOB(Inorganic Organic Balance)は、親水性及び親油性のバランスを示す指標であり、本明細書では、小田らによる次式:
IOB=無機性値/有機性値
により算出される値を意味する。
上記無機性値と、有機性値とは、藤田穆「有機化合物の予測と有機概念図」化学の領域Vol.11,No.10(1957)p.719−725)に記載される有機概念図に基づく。
藤田氏による、主要な基の有機性値及び無機性値を、下記表1にまとめる。
Figure 0006684880
また、上記溶媒は、機能性組成物の塗工性の観点からは、40℃における0.01〜80mm2/sの動粘度を有することが好ましい。
上記動粘度は、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、40℃の試験温度で測定する。
上記溶媒は、1気圧及び25℃において、好ましくは0.00〜0.01Pa、より好ましくは0.000〜0.001Pa、そしてさらに好ましくは0.0000〜0.0001Paの蒸気圧を有する。本開示の吸収性物品が、人体に接して用いられることを考慮すると、上記溶媒は、1気圧及び40℃において、好ましくは0.00〜0.01Pa、より好ましくは0.000〜0.001Pa、そしてさらに好ましくは0.0000〜0.0001Paの蒸気圧を有する。蒸気圧が高いと、保存中に気化し、溶媒及び第1機能性成分の量の減少、着用時の臭気等の問題が発生する場合があるからである。
上記溶媒としては、例えば、親油性のアルコール系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒が挙げられる。
上記炭化水素系溶媒の例としては、例えば、流動パラフィンが挙げられ、そして上記エステル系溶媒の例としては、ミリスチン酸イソプロピルが挙げられる。
また、上記溶媒は、0.00〜0.60のIOBと、40℃における0.01〜80mm2/sの動粘度と、0.01〜4.0質量%の抱水率と、1,000未満の重量平均分子量とを有する成分(以下、「体液滑性付与剤」と称する場合がある)を含んでもよい。
上記体液滑性付与剤は、本件出願人の出願である、国際公開第2012/133724号パンフレットに記載の「血液改質剤」と同様の成分であり、そして同じく国際公開第2013/129236号パンフレットに記載の「血液滑性付与剤」と同一の成分である。
上記溶媒が体液滑性付与剤を含むことにより、長時間にわたり、液透過性層に到達した体液等を、吸収体の内部に迅速に滑落させることができる。
上記体液滑性付与材の例としては、例えば、トリグリセリド、例えば、日油株式会社製のパナセート810s,パナセート800、炭化水素、例えば、日油株式会社製のパールリーム6が挙げられる。
上記溶媒は、PPG−4ブチルエーテル、PPG−12ブチルエーテル、PPG−17ブチルエーテル、PPG−20ブチルエーテル、PPG−24ブチルエーテル、PPG−33ブチルエーテル、PPG−40ブチルエーテル、PPG−52ブチルエーテル、PPG−3ミリスチルエーテル、PPG−10セチルエーテル、PPG−11ステアリルエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、PPG−2ラノリノルエーテル、PPG−5ラノリノルエーテル、PPG−10ラノリノルエーテル、PPG−20ラノリノルエーテル、PPG−26オレエート、PPG−36オレエート、PPG−5.5キャストラート、PPG−6グリセリルエーテル、PPG−8グリセリルエーテル、PPG−10グリセリルエーテル、PPG−16グリセリルエーテル、PPG−9ジグリセリルエーテル、PPG−14ジグリセリルエーテル、PPG−25ソルビトール、及びPPG−33ソルビトール、並びにそれらの任意の組み合わせからから成る群から選択される成分を含むことができる。
上記溶媒は、PPG−30セチルエーテル、PPG−15イソヘキサデシルエーテル、PPG−4ラウリルエーテル、PPG−20ジステアラート、PPG−12ジラウラート、PPG−15ジココアート、PPG−10セチルホスフェート、PPG−9ラウラート、PPG−8ジオクタート、PPG−15ステアラート、PPG−8ジエチルヘキシラート、PPG−10グリセリルステアラート、PPG−2コカミド、PPG−10タローアミン、PPG−10オレアミド、PPG−5スクロースココアート、PPG−20メチルグルコースエーテルジステアラート、PPG−20メチルグルコースエーテルアセタート、PPG−20ソルビタントリステアラート、PPG−20メチルグルコースエーテルジステアラート、PPG−15ステアリルエーテルベンゾアート、PPG−10ソルビタンモノステアラート、PPG−10硬化ヒマシ油、PPG−10セチルエーテルホスフェート、PPG−10ジノニルフェノラート、PPG−7ラウリルエーテル、PPG−5ラノリンワックスエーテル、PPG−5ラノリンワックス、PPG−4ホホバアルコールエーテル、PPG−3ミリスチルエーテルプロピオナート、PPG−3ベンジルエーテルミリスタート、PPG−3硬化ヒマシ油、PPG−3−ヒドロキシエチルソヤミド、PPG−2ラノリンアルコールエーテル、及びPPG−1ヤシ脂肪酸イソプロパノールアミド、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される成分を含むことができる。
[機能性組成物]
本開示の吸収性物品において、機能性組成物塗布領域に存在する機能性組成物が、所望の機能を所望のタイミングで発揮するメカニズムは、以下の通りである。
ユーザーが吸収性物品を開封すると、上記溶媒(第1溶媒)に溶解した第1機能性成分が揮発し、ユーザーに第1機能性成分の機能が付与される。例えば、第1機能性成分が芳香成分である場合には、ユーザーが周囲に漂う芳香を感じることができる。
また、第1機能性成分が消臭成分である場合には、ユーザーが吸収性物品を開封すると、第1機能性成分が消臭機能を発揮し、ユーザーが、交換すべき吸収性物品が吸収した液体に由来する臭気を感じにくくなる。
第1機能性成分の放出量は、第1機能性成分の量、第1機能性成分の蒸気圧等により変化させることができる。
例えば、吸収性物品に含まれる第1機能性成分の量を増やすこと、蒸気圧の高い第1機能性成分を選択すること等により、第1機能性成分を、短時間に高い濃度で周囲に放出することができる。
一方、例えば、蒸気圧の低い第1機能性成分を選択することにより、第1機能性成分を、長時間にわたり周囲に放出させることができる。
なお、吸収性物品が、個包装の吸収性物品をまとめてパッケージ化して市販されている場合において、個包装の形態、並びにパッケージ化の形態を調整すること、例えば、通気性を有する不織布で吸収性物品を個包装化し、そして個包装化された複数の吸収性物品をポリマーフィルムによりパッケージ化することにより、ユーザーがパッケージを開封した際から、第1機能性成分はその機能を発揮することができる。
次いで、着用者が吸収性物品を着用すると、着用者の体温等によって、第1機能性成分の気化が促進され、第1機能性成分の機能が促進される。例えば、第1機能性成分が芳香成分、冷感成分、消臭成分、抗菌成分又はスキンケア成分である場合には、それぞれ、芳香機能、冷感機能、消臭機能、抗菌機能又はスキンケア機能が促進される。
次いで、吸収性物品が液体を吸収すると、吸収した液体が水崩壊性のマイクロカプセルを崩壊させ、マイクロカプセルから第2機能性成分が放出され、その機能を発揮する。例えば、第2機能性成分が、芳香成分、冷感成分、消臭成分、抗菌成分又はスキンケア成分である場合には、それぞれ、芳香機能、冷感機能、消臭機能、抗菌機能又はスキンケア機能を発揮することができる。
第2機能性成分の放出量は、第2機能性成分の量、第2機能性成分の蒸気圧、マイクロカプセルの水に対する溶解度、マイクロカプセルの層の厚さ、マイクロカプセルの粒径等により変化させることができる。
例えば、吸収性物品に含まれる第2機能性成分の量を増やすこと、蒸気圧の高い第2機能性成分を選択すること、マイクロカプセルの素材として水に対する溶解度の高いものを選択すること、マイクロカプセルの層の厚さを薄くすること、マイクロカプセルの粒径を小さくすること等により、第2機能性成分を、短時間に高濃度で周囲に放出することができる。
また、例えば、吸収性物品に含まれる第2機能性成分の量を減らすこと、蒸気圧の低い第2機能性成分を選択すること、マイクロカプセルの素材として水に対する溶解度の低いものを選択すること、マイクロカプセルの層の厚さを厚くすること、マイクロカプセルの粒径を大きくすること等により、第2機能性成分を、徐放させることができる。
なお、上記マイクロカプセルは、第2機能性成分の放出性を制御するため等の観点から、第2機能性成分の他に、溶媒をさらに含んでもよい(当該溶媒を、「第2溶媒」と称する場合がある)。
第2溶媒としては、第1溶媒と同様のものが挙げられる。
上記機能性組成物において、第1機能性成分の量は、第1機能性成分の機能等によって異なるが、一般的には、上記機能性組成物は、第1機能性成分を、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜15質量%、そしてさらに好ましくは0.1〜10質量%の比率で含む。
上記機能性組成物は、第2機能性成分を含むマイクロカプセルを、好ましくは0.1〜60質量%、より好ましくは5〜40質量%、そしてさらに好ましくは10〜30質量%の比率で含む。機能性組成物の塗工性の観点からである。
なお、機能性組成物中の第2機能性成分の量は、第2機能性成分の機能等によって異なるが、一般的には、上記機能性組成物は、第2機能性成分を、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、そしてさらに好ましくは1〜15質量%の比率で含む。
[吸収性物品]
本開示の吸収性物品の機能性組成物塗布領域では、機能性組成物の坪量は、機能性成分の濃度等によっても変化するが、好ましくは1〜12g/m2、そしてより好ましくは2〜10g/m2である。上記坪量が1g/m2を下回ると、機能性成分がその機能を発揮しにくくなる場合があり、そして上記坪量が12g/m2を上回ると、溶媒(第1溶媒)が接着剤による接合を阻害する場合がある。
本開示の吸収性物品では、接着剤塗布領域が、吸収性物品の厚さ方向において、液透過性層と、吸収層とを直接又は間接的に接合する接着領域を有する。従って、吸収性物品が、使用時によれにくい。上記接着領域は、機能性組成物を構成する溶媒を含まないことが好ましい。上記溶媒は、接着剤が、液透過性層と、吸収層とを直接又は間接的に接合することを阻害する傾向があるからである。
なお、本明細書において、接着領域が機能性組成物を構成する溶媒を含まないとは、接着領域を構成する接着剤が、上記溶媒を0〜5質量%の量で含むことを意味する。
また、本開示の実施形態の1つに従う吸収性物品では、図1及び図2に示されるように、接着剤塗布領域が、マイクロカプセルを保持するマイクロカプセル保持領域をさらに有する。当該実施形態では、マイクロカプセル保持領域が、マイクロカプセルを保持するため、使用時に、第2機能性成分の位置がずれにくくなる。
なお、上記接着剤塗布領域を形成する接着剤としては、当技術分野で公知の接着剤、例えば、ホットメルト接着剤が挙げられる。
また、液透過性層の非肌当接面にマイクロカプセル保持領域が存在することにより、液透過性層を通過した液体をすばやくマイクロカプセルに到達させることができるため、少ない液体量で第2機能性成分を放出させることができる。
本開示の別の複数の実施形態に従う吸収性物品は、図1及び図2に示されるように、機能性組成物塗布領域を間に挟んで、少なくとも液透過性層及び吸収層をエンボスすることにより形成されたエンボス部を有する。機能性組成物塗布領域では、機能性組成物を構成する溶媒により、接着剤が、液透過性層と、吸収層とを直接又は間接的に接合することを阻害する傾向がある。吸収性物品がエンボス部を有することにより、液透過性層と、吸収層との接合が強固になり、使用時に、吸収性物品がよれにくくなる。
また、当該実施形態の1つでは、当該エンボス部が、第2機能性成分をマイクロカプセルに内包させたまま保持している。それにより、マイクロカプセル、ひいては第2機能性成分を特定の位置に保持し続けることができる。また、エンボス部は、繊維密度の高さから、液体を優先的にエンボス部に導く傾向があるので、少ない液体量で第2機能性成分を放出させることができる。
本開示の別の実施形態に従う吸収性物品では、吸収層が高吸収性材料を含む。当該実施形態では、高吸収性材料が機能性組成物の溶媒をその周囲に保持、吸着等するため、吸収した液体がマイクロカプセルに接触しやすくなり、マイクロカプセルが溶解しやすくなる。
上記高吸水性材料としては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性材料が挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸水性材料としては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられ、合成ポリマー系の高吸水性材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸水性樹脂等が挙げられるが、これらのうちポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸水性樹脂が好ましい。
本開示の吸収性物品では、第1機能性成分及び第2機能性成分は、任意の観点から選択される。例えば、第1機能性成分を芳香成分から選択し且つ第2機能性成分を冷感成分から選択することにより、吸収性物品を開封した後、着用者に芳香を提供し、そして体液を吸収後、着用者に冷感を提供する。また、夜用の吸収性物品はそのサイズが大きくなることから、着用時に蒸れやすくなる傾向にあるが、第2機能性成分として冷感成分を採用することにより、着用者が不快感を覚えにくくなる。
第1機能性成分及び第2機能性成分を、それぞれ、異なる香料成分から選択することにより、機能性成分を、ユーザー、特に、使い捨ておむつにおける母親、介護者等に体液が吸収されたことを知らせる、インジケーター材として用いることができる。
また、第1機能性成分及び第2機能性成分を、それぞれ、同一の香料成分から選択し、そしてその量を変えることにより、香りにアクセントを付けることができる。例えば、液体を吸収する前は、第1機能性成分に由来するほのかな香りが漂い、そして液体を吸収した後は、第2機能性成分に由来する、液体を吸収する前よりも強い同一の香りを漂わせることができる。
また、第2機能性成分として、消臭成分、又は香料成分、好ましくは香りの強度の高い香料成分を採用することにより、機能性成分を香りのマスキング材として用いることができる。
図3は、本開示の別の実施形態に従う吸収性物品の断面図である。図3は、図1のII−II断面に相当する。図3に示される吸収性物品1は、トップシート2と、吸収体4との間の補助シート12を含み、機能性組成物塗布領域8が、補助シート12及び吸収体4の間に形成されている。図3に示される吸収性物品1ではまた、接着剤塗布領域9が、補助シート12及び吸収体4の間、具体的には、吸収体4と接して配置されている。その他の部分は、図1及び図2に示される実施形態と同様であるので説明を省略する。
図3に示されるような実施形態では、機能性組成物と、着用者との間に、補助シートの層が追加されるため、機能性成分の着用者の皮膚に対する作用が、より穏やかになる傾向がある。
なお、補助シートの素材としては、トップシートと同様のもの、例えば、不織布が挙げられる。
図3に示される実施形態では、機能性組成物塗布領域及び接着剤塗布領域の両方が、補助シート層と、吸収層との間に配置されていたが、本開示のさらに別の実施形態に従う吸収性物品では、機能性組成物塗布領域及び/又は接着剤塗布領域が、液透過性層と、補助シート層との間に配置されている。そうすることにより、吸収した液体が、マイクロカプセルを溶解しやすくなり、第2機能性成分が放出されやすくなる。
[吸収性物品の製造]
上記機能性組成物は、例えば、上述の溶媒に、第1機能性成分と、第2機能性成分を内包するマイクロカプセルを添加し、混合することにより形成される。第2機能性成分を内包するマイクロカプセルは、市販されているほか、上述のように形成することができる。
上記機能性組成物は当技術分野で公知の塗工機、例えば、ロール型塗工機、カーテン型塗工機、スリット型塗工機、スプレー型塗工機、ディップ型塗工機、ビード型塗工機、フレキソ型塗工機、グラビア型塗工機等を用いて塗工されうる。
上記機能性組成物は、機能性組成物の塗出口が、塗布すべき面と接している接触型塗工機により塗布されることが好ましい。機能性組成物を飛散させることなく、機能性組成物を所望の位置に配置することができる、すなわち、機能性組成物塗布領域を、所望の位置に配置することができるからである。
上記接触型塗工機としては、ロール型塗工機、スリット型塗工機、ディップ型塗工機、ビード型塗工機、フレキソ型塗工機、グラビア型塗工機が挙げられる。
機能性組成物の塗工例を含む吸収性物品の製造例を、図4に示される塗工例を用いて説明する。
(i)ホットメルトガン(図示せず)を用いて、液透過性層としてのトップシート2を、接着剤で塗工し、トップシート2の上に接着剤塗布領域9を形成する。
(ii)コーター13を用いて、トップシート2を、接着剤塗布領域9を間に挟んで、機能性組成物で塗工し、トップシート2及び接着剤塗布領域9の上に機能性組成物塗布領域8を形成する。
(iii)トップシート2の上に、接着剤塗布領域9及び機能性組成物塗布領域8を間に挟んで、吸収体(図示せず)を積み重ねて、積み重ね物を形成する。
(iv)上記積み重ね物を、一対のエンボスロール(図示せず)に通して、機能性組成物塗布領域8を間に挟んで、トップシート2及び吸収体4をエンボスし、エンボス部(図示せず)を形成する。
(v)吸収体4の上にバックシート(図示せず)を積み重ね、その周囲をエンボスすることにより、吸収性物品を形成する。
なお、(ii)において、機能性組成物は、第1機能性成分と、第2機能性成分を別個に塗装してもよい。例えば、第1機能性成分及び溶媒を含む塗布液と、第2機能性成分を含むマイクロカプセル及び溶媒とを含む塗布液とを、別個のノズルから塗出し、トップシート2及び接着剤塗布領域9の上に機能性組成物塗布領域8を形成してもよい。
上記製造例により、図1に示される吸収性物品1において、接着剤塗布領域9と、機能性組成物塗布領域8との位置が逆転したものが製造される。
すなわち、図1に示される吸収性物品1を製造するためには、接着剤塗布領域9を形成する工程と、機能性組成物塗布領域8を形成する工程とを入れ替えればよい。
本開示の吸収性物品の例としては、生理用ナプキン、パンティーライナー、使い捨ておむつ、尿取りパッド等が挙げられる。
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1]
第2機能性成分を内包するマイクロカプセルとして、Symrise社製のINCAP MENTHOL/IPMを準備した。INCAP MENTHOL/IPMは、第2機能性成分として、冷感成分(メントール)を含有し、そしてマイクロカプセルの素材は、材質変性デンプンであった。
第1機能性成分としての香料成分を含有する溶媒を準備した。上記溶媒は、IPM(ミリスチン酸イソプロピル)であった。
上記マイクロカプセルと、溶媒とを、50:50の質量比で混合することにより、機能性組成物No.1を準備した。
図4に示される製造工程を用いて、図1に示される生理用ナプキンNo.1を製造し、次いで、生理用ナプキンNo.1を、ポリエチレンフィルムにより個包装した。
なお、機能性組成物塗布領域において、機能性組成物の坪量は、4g/m2であった。
生理用ナプキンNo.1を、複数のボランティアの被験者に使用してもらったところ、個包装の開封後、並びに着用中において、生理用ナプキンNo.1から香料の香りが漂い、そして生理用ナプキンNo.1が経血を吸収した後では、吸収性物品No.1と接している部分に冷感を覚えたとの回答を得た。
具体的には、本開示は以下のJ1〜J11に関する。
[J1]
液透過性層と、液不透過性層と、上記液透過性層及び液不透過性層の間の吸収層と、機能性組成物とを含み、平面方向及び厚さ方向を有する吸収性物品であって、
上記機能性組成物が、揮発性を有する第1機能性成分と、揮発性を有する第2機能性成分と、第2機能性成分を内包する水崩壊性のマイクロカプセルと、第2機能性成分を上記マイクロカプセルに内包させたまま保持する溶媒とを含み、
上記吸収性物品が、上記液透過性層及び上記吸収層の間に、上記平面方向に広がる、上記機能性組成物が塗布された機能性組成物塗布領域と、接着剤が塗布された接着剤塗布領域とを有し、そして
上記接着剤塗布領域が、上記液透過性層及び上記吸収層を直接又は間接的に接合する接着領域を有する、
ことを特徴とする、上記吸収性物品。
[J2]
上記接着剤塗布領域が、上記マイクロカプセルを保持するマイクロカプセル保持領域を有する、J1に記載の吸収性物品。
[J3]
上記接着領域が、上記溶媒を含まない、J1又はJ2に記載の吸収性物品。
[J4]
上記吸収性物品が、機能性組成物塗布領域を間に挟んで、少なくとも上記液透過性層及び吸収層をエンボスすることにより形成されたエンボス部を有し、当該エンボス部が、上記マイクロカプセル及び第2機能性成分を保持している、J1〜J3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
[J5]
上記溶媒が、0.00〜0.60のIOBと、40℃における0.01〜80mm2/sの動粘度と、1気圧及び25℃における0.00〜0.01Paの蒸気圧を有する、J1〜J4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
[J6]
上記吸収層が、高吸収性材料を含む、J1〜J5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
[J7]
第1機能性成分及び第2機能性成分のそれぞれが、芳香機能、冷感機能、消臭機能、抗菌機能、スキンケア機能、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される機能を有する、J1〜J6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
[J8]
第2機能性成分が、冷感機能を有する、J1〜J7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
[J9]
第1機能性成分が、芳香機能を有する、J1〜J8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
[J10]
上記吸収性物品が、上記液透過性層と、上記吸収層との間の補助シート層を含み、上記機能性組成物塗布領域が、上記液透過性層及び上記補助シート層の間、又は上記補助シート層及び上記吸収層の間に形成されている、J1〜J9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
[J11]
上記接着剤塗布領域が、上記液透過性層及び上記補助シートの間、又は上記補助シート及び上記吸収層の間に形成されている、J10に記載の吸収性物品。
1 吸収性物品
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 サイドシート
6 サイドフラップ
7 エンボス部
8 機能性組成物塗布領域
9 接着剤塗布領域
10 接着領域
11 マイクロカプセル保持領域
12 補助シート
13 コーター

Claims (12)

  1. 接着剤の、吸収性物品への使用であって、
    前記吸収性物品が、液透過性層と、液不透過性層と、前記液透過性層及び液不透過性層の間の吸収層と、機能性組成物とを含み、平面方向及び厚さ方向を有し、
    前記機能性組成物が、水崩壊性のマイクロカプセルと、前記マイクロカプセルに内包されていない、揮発性を有する第1機能性成分と、前記マイクロカプセルに内包されている、揮発性を有する第2機能性成分と、第2機能性成分を前記マイクロカプセルに内包させたまま保持する溶媒とを含み、
    前記吸収性物品が、前記液透過性層及び前記吸収層の間に、前記平面方向に広がる、前記機能性組成物が塗布された機能性組成物塗布領域と、前記接着剤が塗布された接着剤塗布領域とを有し
    記接着剤塗布領域が、前記液透過性層及び前記吸収層を直接又は間接的に接合する接着領域を有
    前記吸収性物品が個包装されている、
    ことを特徴とする、前記使用。
  2. 前記接着剤塗布領域が、前記接着領域を、前記機能性組成物塗布領域と隣接して有する、請求項1に記載の使用。
  3. 前記接着剤塗布領域が、前記マイクロカプセルを保持するマイクロカプセル保持領域をさらに有し、前記マイクロカプセル保持領域と、前記接着領域とが隣接して配置されている、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 液透過性層と、液不透過性層と、前記液透過性層及び液不透過性層の間の吸収層と、機能性組成物とを含み、平面方向及び厚さ方向を有する吸収性物品であって、
    前記機能性組成物が、水崩壊性のマイクロカプセルと、前記マイクロカプセルに内包されていない、揮発性を有する第1機能性成分と、前記マイクロカプセルに内包されている、揮発性を有する第2機能性成分と、第2機能性成分を前記マイクロカプセルに内包させたまま保持する溶媒とを含み、
    前記吸収性物品が、前記液透過性層及び前記吸収層の間に、前記平面方向に広がる、前記機能性組成物が塗布された機能性組成物塗布領域と、接着剤が塗布された接着剤塗布領域とを有し、そして
    前記接着剤塗布領域が、前記液透過性層及び前記吸収層を直接又は間接的に接合する接着領域を有
    前記吸収性物品が個包装されている、
    ことを特徴とする、前記吸収性物品。
  5. 前記接着剤塗布領域が、前記接着領域を、前記機能性組成物塗布領域と隣接して有する、請求項に記載の吸収性物品。
  6. 前記接着剤塗布領域が、前記マイクロカプセルを保持するマイクロカプセル保持領域をさらに有し、前記マイクロカプセル保持領域と、前記接着領域とが隣接して配置されている、請求項又はに記載の吸収性物品。
  7. 前記接着領域が、前記溶媒を含まない、請求項のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 前記吸収性物品が、前記機能性組成物塗布領域を間に挟んで、少なくとも前記液透過性層及び吸収層をエンボスすることにより形成されたエンボス部を有し、当該エンボス部が、前記マイクロカプセル及び第2機能性成分を保持している、請求項のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  9. 上記溶媒が、0.00〜0.60のIOBと、40℃における0.01〜80mm2/sの動粘度と、1気圧及び25℃における0.00〜0.01Paの蒸気圧を有する、請求項のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  10. 前記吸収層が、高吸収性材料を含む、請求項のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  11. 第1機能性成分及び第2機能性成分のそれぞれが、芳香機能、冷感機能、消臭機能、抗菌機能、スキンケア機能、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される機能を有する、請求項10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  12. 第2機能性成分が、冷感機能を有する、請求項11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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