JP6682101B2 - レーザ分光式安定同位体比分析法、装置、および多地点安定同位体比分析システム - Google Patents

レーザ分光式安定同位体比分析法、装置、および多地点安定同位体比分析システム Download PDF

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Description

本発明は、食品や飲料品等の産地や生産履歴をはじめ、様々な物質の起源に関する情報を識別・推定するために用いる安定同位体比分析技術に関する。
近年、食品や飲料品の産地や製法、成分などに関する表示偽装を抑止するため、食品・飲料品の安定同位体比を分析することにより、科学的に産地や製法・成分などの起源に関する情報を判別・推定する技術が注目されている。
しかしながら、安定同位体比分析を行うためには、安定同位体比質量分析法(IRMS:Isotope Ratio Mass Spectrometry)や核磁気共鳴分光法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy)のような、高価で大型で操作が複雑な計測装置を用いる必要があるため、時間とコストがかかるという問題があり、これが普及を妨げる一つの要因となっていた。
一方、半導体レーザを分光用光源として用い、ガス分析計等に応用する波長可変レーザ分光法(Tunable Diode Laser Spectroscopy;以下、レーザ分光法と記す)(非特許文献1)と呼ばれる技術が注目されている。
図12は、一般的なレーザ分光法の動作原理を示す説明図である。図12(a)に示すように、レーザ分光法で用いるレーザ分光式安定同位体比分析装置50は、可変波長のレーザ光Lを、ガスセル52内にあるガス状の被測定物Eに照射するレーザ光源51と、被測定物Eを通過したレーザ光L’の光強度を検出する光検出器53とから構成されている。
レーザ分光法では、図12(b)に示すように、レーザ光源51の発振波長を制御して、レーザ光Lの波長を繰り返し掃引するため、掃引した波長範囲内に被測定物Eの吸収線がある場合、光検出器53で検出されるレーザ光L’の光強度には、図12(c)に示すように、被測定物Eの吸収線に対応したディップDが現れる。このディップDの位置と深さにより被測定物Eのガス種と濃度を測定・分析する。
実際の応用では、図12(b)に示したレーザ光Lの鋸波の上に、より繰り返し周波数の高い正弦波を重畳させ、レーザ光L’の受光信号をロックイン検波する波長変調分光法(Wavelength Modulation Spectroscopy)、または周波数変調分光法(Frequency Modulation Spectroscopy)(非特許文献2)と呼ばれる方法や、ガスセル52内に入射したレーザ光Lを高反射率ミラーを用いた光学キャビティの中に閉じ込めることにより実効光路長を稼ぎ高感度化するキャビティリングダウン分光法(CRDS:Cavity Ring-Down Spectroscopy)(非特許文献3)やキャビティ増強吸収分光法(CEAS:Cavity Enhanced Absorption Spectroscopy)(非特許文献4)など、種々の高感度化手法が多く用いられている。
近年、CRDSやCEASなどのレーザ分光法の高感度化技術の進歩により、同位体比分析に利用できるレーザ分光装置が開発され注目されている。なかでもPicarro社のB2221−i(非特許文献5)は、被検査物を燃焼することにより、二酸化炭素と水蒸気を発生させる燃焼装置と、発生させた二酸化炭素と水蒸気の光吸収をCRDS法により測定し、炭素または水素、またはその両方の安定同位体比を分析することができるレーザ分光装置を具備したレーザ分光式安定同位体比分析装置である。簡単に炭素や水素の同位体比分析を行うことができるため、食品等の産地や製法、成分などの起源に関する情報を判別・推定するのに有効な手段であると考えられ、注目されている。
特開2010−276466号公報
吉村・神徳・藤井・阪本・界:「高感度レーザガスセンシング技術と同位体比分析応用」,NTT技術ジャーナル,Vol.26,No.2,pp.27-30,2014 G. C. Bjorklund,"Frequency-modulation spectroscopy: a new method for measuring weak absorption and dispersion",Opt. Lett. 5(1),pp. 15-17,1980 A. O’Keefe and D. A. G. Deacon:"Cavity ring-down optical spectrometer for absorption measurements using pulsed laser sources",Rev. Sci. Instrum.,Vol.59,No.12,pp.2544-2551,1988 H. R. Barry,L. Corner,G. Hancock,R. Peverall,and G. A. D. Ritchie:"Cavity-enhanced absorption spectroscopy of methane at 1.73 μm",Chem. Phys. Lett.,Vol.333,No.3-4,pp.285-289,2001 B2221-iのデータシート,Picarro社 https://www.si-science.co.jp/product/standard.html http://mypage.iu.edu/~aschimme/files/list%20of%20reference%20materials%20for%20EA-IRMS.pdf
食品などの被検査物の炭素や水素同位体比のサンプルごとの差はごく僅かであるため、極めて高い精度で分析することが必要である。安定同位体比分析装置で測定した測定値そのものを用いるだけでは、装置間の誤差や、測定環境の差などにより生じる測定値の微妙な誤差が問題となり、十分な精度を得られないという問題がある。そのため通常は、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードを2種以上、望ましくは3種以上用意し、その安定同位体比を測定し、その測定値と既知の安定同位体比の真値との関係から校正式を算出し、その校正式を用いてサンプルの測定値を校正するという手法が使われている。
しかしながら、レーザ分光式安定同位体比分析装置を用いた炭素、水素安定同位体比分析用ワーキングスタンダードとして用いることができ、かつワーキングスタンダードとして実用的に用いるために必要な量が入手可能なものは、IAEA(International Atomic Energy Agency)が頒布している国際規格の安定同位体比標準物質であるIAEA−CH−7(Polyethylene:δDVSMOW=-100.3‰,δCVPDB=-32.151‰)の1種類くらいしかなく、有効な校正を行うことができないという問題があった。
一般に、炭素同位体比測定用のワーキングスタンダードとしてはアミノ酸などの試薬類が多く用いられている(非特許文献6)。しかしながら、これらの試薬類は炭素および窒素のワーキングスタンダードにはなるが、構造中に交換性水素を有しているため、水素同位体比は安定ではなく、そのため水素同位体比測定用のワーキングスタンダードとしては用いることができない。
また、インディアナ大学がIRMS用の水素同位体比測定用ワーキングスタンダードとして用いることができる試薬類をいくつか頒布している(非特許文献7)。しかしながら、これらの試薬類は100mg程度のごく僅かな量しか入手できず、また高価であるという問題がある。レーザ分光式安定同位体比分析装置を用いた炭素、水素安定同位体比分析では、1回の測定に必要なサンプルの量は概ね3〜5mgであり、精度を出すために1種のサンプルあたり5〜10回程度繰り返し測定し平均化等の処理をする必要がある。すなわち、1種の試料を測定するためには数十mg程度のサンプル量が必要になる。
したがって、100mg程度の量では2,3回の測定で使い切ってしまうことになるため、常用的に使用するワーキングスタンダードとはなりえない。ワーキングスタンダードとして常用的に使用するためには、少なくとも数g以上の量が入手可能で、かつ安価に入手できることが必要である。また、これらの試薬類の多くは揮発性や昇華性を有する物質であるため、取扱いが難しく、測定の準備・待機中に生じる蒸発や昇華の影響を受け易く、多くの作業負担が必要となるため、精度よく測定することが難しいという問題がある。常用的に使用するワーキングスタンダードとして、少ない作業負担で使用するためには、揮発性や昇華性のない安定した物質であることが望ましい。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、多くの作業負担を必要とすることなく安価に精度よく安定同位体比を測定できる安定同位体比分析技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるレーザ分光式安定同位体比分析法は、被検査物を燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光を照射してレーザ分光することにより、前記被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析するレーザ分光式安定同位体比分析法であって、前記被検査物の炭素、水素、またはその両方の安定同位体比の測定値を校正するために用いる、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードは、石油由来PETフィルムと、バイオPEポリマと、IAEA−CH−7(国際標準)の組み合わせである。
記ポリマの主材料、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリプロピレンからなるものである。
また、前記ポリマのうちの少なくともいずれか1種は、植物系原料を含む原料から作られたバイオプラスチックからなるものである。
また、本発明にかかるレーザ分光式安定同位体比分析装置は、被検査物を燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光を照射してレーザ分光することにより、前記被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析するレーザ分光式安定同位体比分析装置であって、前記被検査物の炭素、水素、またはその両方の安定同位体比の測定値を校正するために用いる、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードは、石油由来PETフィルムと、バイオPEポリマと、IAEA−CH−7(国際標準)の組み合わせである。
本発明にかかる多地点安定同位体比分析システムは、被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析する安定同位体比分析装置を複数の分析拠点に配置し、これら分析拠点間の分析結果を比較する多地点安定同位体比分析システムであって、前記分析拠点のうちの少なくともいずれか1か所以上の分析拠点に配置された前記安定同位体比分析装置が、前記被検査物を燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光を照射してレーザ分光することにより、前記被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析するレーザ分光式安定同位体比分析装置からなり、
前記レーザ分光式安定同位体比分析装置において、前記被検査物の炭素、水素、またはその両方の安定同位体比の測定値を校正するために用いる、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードは、石油由来PETフィルムと、バイオPEポリマと、IAEA−CH−7(国際標準)の組み合わせである。
記ポリマの主材料、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリプロピレンからなるものである。
また、前記ポリマのうちの少なくともいずれか1種、植物系原料を含む原料から作られたバイオプラスチックからなるものである。
本発明によれば、安定同位体比の測定値を校正するために用いるワーキングスタンダードは、安価で常用的に十分な量を入手でき、均質性が高くて炭素同位体比や水素同位体比の同一試料内の変動分布が十分小さく、さらに揮発性や昇華性がなく、安定して取扱い易い。したがって、多くの作業負担を必要とすることなく安価に精度よく安定同位体比を測定することが可能となる。
第1の実施の形態にかかるレーザ分光式安定同位体比分析装置(TDLS)の構成を示すブロック図である。 ポリマ材料の選定結果である。 第1の実施の形態にかかる他のレーザ分光式安定同位体比分析装置(CRDS)の構成を示すブロック図である。 図3におけるレーザ光および吸光度を示す特性図である。 炭素・水素安定同位体比の測定結果(1回目:校正なし)である。 炭素・水素安定同位体比の測定結果(1回目:校正あり)である。 炭素・水素安定同位体比の測定結果(2回目:校正なし)である。 炭素・水素安定同位体比の測定結果(2回目:校正あり)である。 第2の実施の形態にかかる多地点安定同位体比分析システムの構成例である。 炭素・水素安定同位体比の測定結果(別拠点:校正なし)である。 炭素・水素安定同位体比の測定結果(別拠点:校正あり)である。 一般的なレーザ分光法の動作原理を示す説明図である。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるレーザ分光式安定同位体比分析装置10について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるレーザ分光式安定同位体比分析装置(TDLS)の構成を示すブロック図である。
このレーザ分光式安定同位体比分析装置10は、被検査物eを燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光を照射してレーザ分光することにより、被検査物e中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析する装置である。
なお、図1に示したレーザ分光式安定同位体比分析装置10は、波長可変レーザ分光法(TDLS)のうち、最も基本的な構成が例として示されている。
図1(a)に示すように、レーザ分光式安定同位体比分析装置10には、主な機能部として、可変波長のレーザ光Lを、ガスセル12内にあるガス状の被測定物Eに照射するレーザ光源11と、被測定物Eを通過したレーザ光L’の光強度を検出する光検出器13と、投入されたワーキングスタンダードwsや被検査物eを燃焼させることにより、ガス化したガス状の被測定物WS,Eとした後、ガスセル12へ供給する燃焼装置14とが設けられている。
CRDSなどの高感度化技術を利用した分析装置の場合は、適宜その高感度化のための装置が具備される。例えば、B2221−iを代表とするCRDSを用いた分析装置に場合は、レーザ光源11とガスセル12の間にレーザ光Lを遮断するための光スイッチが具備され、ガスセル12の内部にはガスセル12内に入射したレーザ光Lを共振によりトラップするための複数の高反射ミラーが具備され、光検出器13の後段にはトラップされた出力光が、入力光が光スイッチにより遮断された後に減衰する減衰時間(リングダウンタイム)を測定するための高速AD変換器などが具備されている。
この際、ワーキングスタンダードwsや被検査物eは、オートサンプラー(図示せず)などを用いて順番に投入される。これにより、例えば1〜5回目に、第一のワーキングスタンダードws1が燃焼装置14に投入されて、ガス化されガス状の被測定物WS1とした後に、ガスセル12に供給されてレーザ光L’の光強度が光検出器13により検出される。この後、6〜10回目に、第一の被検査物e1が燃焼装置14に投入されて、ガス化されガス状の被測定物E1とした後に、ガスセル12に供給されてレーザ光L’の光強度が光検出器13により検出される。
続く、11〜15回目に、第二の被検査物e2が燃焼装置14に投入されて、ガス化されガス状の被測定物E2とした後に、ガスセル12に供給されてレーザ光L’の光強度が光検出器13により検出される。この後、16〜20回目に、第二のワーキングスタンダードws2が燃焼装置14に投入されて、ガス化されガス状の被測定物WS2とした後に、ガスセル12に供給されてレーザ光L’の光強度が光検出器13により検出されることになる。
なお、以上では、1試料ごとに5サンプルずつ測定する例について説明したが、測定するサンプル数は、5サンプルに限定されるものではなく、測定する試料の特質や目標とする測定精度等を鑑み、適宜設定すればよい。
安定同位体比を分析する場合、図1(b)に示すように、レーザ光源11の発振波長を制御して、レーザ光Lの波長を繰り返し掃引する。このため、掃引した波長範囲内に被測定物Eの吸収線がある場合、光検出器13で検出されるレーザ光L’の光強度には、図1(c)に示すように、被測定物Eの吸収線に対応したディップDが現れる。このディップDの位置と深さにより被測定物Eのガス種と濃度を測定・分析する。
CRDSの場合は、レーザ光Lの波長を離散的に掃引し、それぞれの波長においてリングダウンタイムを測定することにより被測定物Eのガス種と濃度を測定・分析する。
この際、被検査物eを燃焼させて発生させた二酸化炭素(CO2)および水蒸気(H2O)は、二酸化炭素の場合、質量数12の炭素原子と質量数16の酸素原子からなる12162の他にも、質量数13の炭素原子と質量数16の酸素原子からなる13162などが、水蒸気の場合は、質量数1の水素原子2個と質量数16の酸素原子からなるH2Oと、水素原子の一つが質量数2の水素原子である重水素DからなるHDOなどが存在する。1216Oと13162、H2OとHDOでは吸収する波長が異なるため、被検査物eを燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光Lを照射して、吸収波長及び吸収強度を分析することにより、被検査物eに含まれる炭素や水素の同位体比を分析することができる。
一方、動植物などを構成する炭素や水素の同位体比は、地理的情報や植物の種類、食べた餌などの情報と密接に関係していることが知られている。
したがって、被検査物eから発生させた二酸化炭素および水蒸気に含まれる同位体の比率を分析すれば、被検査物eである食品や飲料の産地、製法、成分などの起源に関する情報を判別・推定することができる。
[ワーキングスタンダードの選定]
食品などの被検査物の炭素や水素同位体比のサンプルごとの差はごく僅かであるため、極めて高い精度で分析することが必要である。安定同位体比分析装置で測定した測定値そのものを用いるだけでは、装置間の誤差や、測定環境の差などにより生じる測定値の微妙な誤差が問題となり、十分な精度を得られない場合がある。
本発明では、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードを複数種用意して、その安定同位体比を測定し、その測定値と既知の安定同位体比の真値との関係から校正式を算出し、その校正式を用いて被検査物eの測定値を校正する。
レーザ分光式安定同位体比分析装置10を用いた炭素・水素安定同位体比分析に用いるためのワーキングスタンダードは下記の要件を満たすことが望ましい。本発明では、これらの要件を鑑み、ワーキングスタンダードの選定を行った。
(A)安価であること
(B)常用的に使用できるだけの十分な量(数g以上)が入手できること
(C)炭素、水素同位体比が安定していて経時変化が十分小さいこと
(D)均質性が高く、炭素、水素同位体比の同一試料内の変動分布が十分小さいこと
(E)揮発性や昇華性がなく、安定して取扱い易いこと
(F)校正式が測定値を精度よく内挿できるよう、炭素、水素同位体比の値が、測定したい物質の炭素、水素同位体比が分布する範囲を大方カバーできる程度の差を有すること
水素同位体比のワーキングスタンダードを選定する場合は、特に(C)に注意する必要がある。ヒドロキシル基やカルボキシル基、アミノ基の水素原子は交換性を有することが知られている(特許文献1)。そのため、これらの基を含む物質は、水素同位体比の経時変化が大きいためワーキングスタンダードとしては適していない。したがって、ワーキングスタンダードはヒドロキシル基やカルボキシル基、アミノ基を含まない物質から選定するのが良い。これらの交換性水素を含まず、かつ(A)〜(E)の条件を満たす材料として、ポリエチレン(PE)やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)等のポリマ材料があげられる。そこで、複数のPE、PET、PPのフィルムやパウダーを入手し評価・選定を行った。
コメや小麦、トウモロコシなどの代表的食品類の多くにおいて、水素同位体比δDVSMOWおよび炭素同位体比δ13VPDBは、それぞれ−150〜−20‰および−30〜−10‰の辺りに分布することが多い(特許文献1)。したがって、大方上記の範囲をできるだけ広くカバーできる材料を見つけることが(F)の目標の目安となる。
そこで、入手したPE、PET、PPのフィルムやパウダーの評価をした結果、(A)〜(F)の条件に最も適した材料として、4種のポリマ材料を選定した。図2は、ポリマ材料の選定結果である。
図2に示す水素同位体比δDVSMOWおよび炭素同位体比δ13VPDBのうち、IAEA−CH−7(PE)は、IAEAによって値付けされた値、それ以外はDual Inletタイプの同位体比質量分析計(IRMS)を用いて値付けを行ったものである。
選定したこれら4種のポリマ材料の中でも、(F)の条件を満たすという観点から、(a)バイオPEフィルムが重要であることがわかる。(a)バイオPEフィルムは他のポリマ材料に比べ水素同位体比が小さく、炭素同位体比は大きい。そのため、目標とする同位体比の範囲をできるだけ広くカバーするという観点から重要な役割をしていることがわかる。
(a)バイオPEフィルムは、Braskem社が開発・製造しているサトウキビ由来のバイマスポリエチレン樹脂を原料として製造されたPEフィルムである。通常、PE、PET、PPなどのポリマ材料は石油を原料として製造されるため、極端な同位体比の差は生じにくい。特に、炭素同位体比は石油由来のものの場合、−30‰前後の値になることが知られており、極めて特殊な製法を用いない限り−15‰以上のものを作ることは困難である。
一方、植物の中でもサトウキビやトウモロコシなどC4植物は、炭素同位体比が−15〜−10‰程度の値をとることが知られている。したがって、C4植物を原料としたバイオマスプラスチック樹脂から作られたポリマ材料を採用することにより、石油由来のポリマ材料では困難な(A)〜(E)の条件を満たし、かつ炭素同位体比が−15‰以上のワーキングスタンダードを選定することが可能となり、(A)〜(F)の条件を満足する炭素・水素同位体比分析用ワーキングスタンダードのセットを準備することが可能となる。
なお、本発明において測定する炭素および水素の安定同位体比は、炭素、水素、またはその両方の天然に存在する非放射性同位体についての比を用いればよく、炭素安定同位体比としては12Cと13Cの比を用いればよく、水素安定同位体比としては1HとD(2H)の比を用いればよい。これらの安定同位体比は、通常、絶対比ではなく、標準試料の同位体比からの千分偏差としてそれぞれ以下の数式で示されるδ値で表現される。
炭素同位体比は、次の式(1)で示すことができ、水素安定同位体比は、次の式(2)で示すことができる。なお、これら式中、SAMPは試料における同位体比を示し、STDは標準試料における同位体比を示す。
Figure 0006682101
Figure 0006682101
安定同位体比の標準試料は、水素安定同位体比の標準試料としては、通常、標準平均海水(Vienna Standard Mean Ocean Water:VSMOW)を用いて表記される。炭素安定同位体比の標準試料としては、通常は、PeeDee層のヤイシ類の化石(Vienna Pee Dee Belemnite:VPDB))を用いて表記される。
[炭素・水素安定同位体比の測定例]
次に、選定したワーキングスタンダードを用いた被検査物の炭素・水素安定同位体比の測定例について説明する。ここでは、被検査物として蜂蜜および水飴を例として用いて説明するが、被検査物についてはこれらに限定されるものではない。
図3は、第1の実施の形態にかかる他のレーザ分光式安定同位体比分析装置(CRDS)の構成を示すブロック図である。図4は、図3におけるレーザ光および吸光度を示す特性図である。
実際の測定では、食品サンプル(蜂蜜および水飴)の炭素・水素安定同位体比を、図3に示すような、キャビティリングダウン分光法(CRDS)を用いたレーザ分光式安定同位体比分析装置20を用いて測定し、具体的にはPicarro社B2221−iを用いた。キャビティリングダウン分光法は、被測定ガスを高反射率ミラーを用いた光学キャビティの中に閉じ込めることにより実効光路長を稼ぐ方式であり、高感度化な分光法として一般的に広く用いられている。
図3に示すように、レーザ分光式安定同位体比分析装置20には、主な機能部として、任意の波長Wのレーザ光Lを出力するレーザ光源21と、レーザ光Lを一定期間だけガスセル23内に存在するガス状の被測定物Eに照射する光スイッチ22と、被測定物Eを通過したレーザ光L’の光強度を検出する光検出器24と、投入されたワーキングスタンダードwsや被検査物eをガス化した後、ガスセル23へ供給する燃焼装置25と、光検出器24からの検出出力Qをしきい値と比較して検出された遮断トリガSに基づき光スイッチ22を遮断するしきい値回路26と、検出出力Qを高速でA/D変換するA/D変換回路27と、レーザ光源21に対して出力するレーザ光Lを指示するとともに、A/D変換回路27からの出力と遮断トリガSとに基づきレーザ光Lが光スイッチ22により遮断された後に減衰する減衰時間(リングダウンタイム)を測定するPCなどの制御装置28が設けられている。
また、図3では、ガスセル23内の光学キャビティの構成として、B2221−iで採用されている光周回型の光学キャビティの構成が示されている。この光学キャビティには、高反射率で周回光路を構成する3つのミラー23A,23B,23Cが設けられ構成されている。また、これらミラー23A,23B,23Cには、ピエゾ駆動装置23Eで駆動されるピエゾアクチュエータ23Dが設けられており、ミラー23A,23Bとミラー23Cとの距離が微調整される。
光スイッチ22を介してミラー23Aから入力されたレーザ光Lは、ミラー23B,23C,23Aの順に反射してガスセル23内で周回する。この際、ピエゾ駆動装置23Eによりピエゾアクチュエータ23Dが駆動されて、周回光路の光路長が微調整され、レーザ光Lの波長Wと一定の関係となった時点で、レーザ強度が蓄積され、ミラー23Bから光検出器24へレーザ光L’として出力されることになる。これにより、実質的な光路長が数kmから数十km程度まで延長されたのと同等の効果を得ることが可能となり、高い感度を得ることができる。
CRDS方式では、被測定物Eを通過したレーザ光L’の光強度を絶対的に測定するのではなく、レーザ光L’の減衰時間を測定する。図4(a)に示すように、任意の波長Wを有する一定強度のレーザ光Lのパルスを被測定物Eに照射した場合、被測定物Eを通過したレーザ光L’の光強度は、パルス終端から徐々に減衰する特性を有しており、この減衰特性は、図4(b)に示すように、被測定物Eの吸収線とレーザ光Lの波長Wとの関係によって変化する。
吸光度は、パルス終端時の受光強度P0が限界強度P1まで減衰するのに要する減衰時間(リングダウンタイム)により測定される。例えば、図4(b)に示すように、波長W1のレーザ光L’の減衰時間をT1とし、波長W2のレーザ光L’の減衰時間をT2とし、T1>T2という測定結果が得られた場合、波長W2のレーザ光L’のほうが被測定物Eにより大きく減衰した、すなわち吸光度が大きいということがわかる。したがって、レーザ光Lの波長を変えてレーザ光L’の減衰時間を測定すると、図4(c)のように、波長W0で吸光度がピークとなる光吸収スペクトルが得られる。この光吸収スペクトルから被測定物Eのガス種、及び濃度を特定することができる。
このような減衰時間を測定するには、ガスセル23内の光学キャビティでレーザ強度が蓄積されて、レーザ光L’が出力されたタイミングでレーザ光Lの入力を遮断する必要があるため、実際の装置では、しきい値回路26で光検出器24からの検出出力Qを一定のしきい値と比較し、検出出力Qがしきい値を超えた時点で、光スイッチ22によりレーザ光Lの入力を遮断している。
制御装置28は、A/D変換回路27で得られたしきい値回路26からの遮断トリガSから減衰時間Tの測定を開始し、光検出器24からの検出出力Qが限界強度P1に到達した時点で減衰時間Tの測定を終了することにより、任意の波長Wにおける減衰時間Tを得ている。実際には、この減衰時間Tから、被測定物Eの吸収スペクトルが得られ、その吸収スペクトルから、被測定物Eを構成する分子の種類、及びそれらの濃度が導出される。レーザ分光法では、同じ種類の分子(例えばCO2)でも同位体分子(例えば、1216213162)は吸収特性が異なるため、同位体分子は別の分子としてそれぞれの濃度を測定することができる。そのため安定同位体比を分析することができる。
測定に際し、被検査物である蜂蜜および水飴と、ワーキングスタンダードとして用いる、(a)バイオPEフィルム、(d)IAEA−CH−7(PE)、(b)石油由来PETフィルムとを、それぞれ約3〜6mgずつ取り分け、すずカプセルに包み測定サンプルを作製した。
測定サンプルは、それぞれの試料につき7個ずつ作製した。作製した7個x5種類、計35個の測定サンプルを燃焼装置に附属したオートサンプラーに、(a)バイオPEフィルム7個、(d)IAEA−CH−7(PE)7個、(b)石油由来PETフィルム7個、蜂蜜7個、水飴7個の順にセットしたのち測定をスタートし、炭素・水素安定同位体比分析を行った。
測定した各7セットの同位体比データのうち、始めの2〜3個の、特に水素同位体比のデータはメモリー効果により前の試料の影響を若干受ける可能性があるため、始めの3個の測定値は採用せず、後半4個のデータのみを採用し、この4個のデータの平均を求めそれぞれの測定値とした。図5は、炭素・水素安定同位体比の測定結果(1回目:校正なし)である。
これら3種のワーキングスタンダード(a),(d),(b)の測定値をx軸に、表1に示した真値をy軸にとり、最小二乗法を用いて校正式を算出した。式(3)は炭素同位体比δ13VPDBの校正式であり、式(4)は水素同位体比δDVSMOWの校正式である。
Figure 0006682101
Figure 0006682101
これらの校正式を用いて、図2の蜂蜜および水飴に関する測定値を校正し、安定同位体比を算出する。図6は、炭素・水素安定同位体比の測定結果(1回目:校正あり)である。
この際、測定の再現性・精度を評価するため、同じ測定を同じ装置を用いて数日後に行った。図7は、炭素・水素安定同位体比の測定結果(2回目:校正なし)である。図8は、炭素・水素安定同位体比の測定結果(2回目:校正あり)である。
図5および図7の測定結果(校正なし)から、同一の装置で同一の被検査物の同位体比を測定する場合であっても、微妙な周囲環境等の諸々の条件により、安定同位体比の測定値そのものは変動し誤差が生じていることがわかる。この場合、水素同位体比は5‰以上、炭素同位体比は0.3‰以上の誤差が生じている。
一方、図6および図8の測定結果(校正あり)から、ワーキングスタンダードを用いて算出した校正式で校正すれば、安定同位体比は極めて高い精度で合致していることがわかる。
[第1の実施の形態の効果]
このように本実施の形態は、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードとして、少なくとも2種以上のポリマを用いるようにしたものである。
これにより、例えばIRMS用の水素同位体比測定用ワーキングスタンダードとして頒布されている試薬類(非特許文献7)と比較して、ポリマは、安価で常用的に十分な量を入手でき、均質性が高くて炭素同位体比や水素同位体比の同一試料内の変動分布が十分小さく、さらに揮発性や昇華性がなく、安定して取扱い易い。したがって、多くの作業負担を必要とすることなく安価に精度よく安定同位体比を測定することが可能となる。
また、本実施の形態において、ワーキングスタンダードとして主材料がPE、PET、またはPPであるポリマを用いるようにしてもよい。
これらPE、PET、PP等のポリマ材料は、また、水素同位体比の経時変化が大きい、ヒドロキシル基やカルボキシル基、アミノ基などの交換性水素を含んでいない。このため、測定基準となる炭素、水素同位体比が安定していて経時変化が十分小さいため、高い精度で、被検査物の測定結果を校正することができる。
また、本実施の形態において、ポリマのうちの少なくともいずれか1種は、植物系原料を含む原料から作られたバイオプラスチックを用いるようにしてもよい。
これにより、植物系原料を含む原料から作られたバイオプラスチックである、サトウキビやトウモロコシなどのC4植物は、炭素同位体比が−15〜−10‰程度の値をとるため、コメや小麦、トウモロコシなどの代表的食品類の多くが持つ炭素同位体比−30〜−10‰の分布範囲を大方カバーすることができる。したがって、被検査物がコメや小麦、トウモロコシなどの代表的食品類である場合でも、極めて高い精度で、被検査物の測定結果を校正することができる。
[第2の実施の形態]
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる多地点安定同位体比分析システム30について説明する。図9は、第2の実施の形態にかかる多地点安定同位体比分析システムの構成例である。
この多地点安定同位体比分析システム30は、被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析する安定同位体比分析装置を複数の分析拠点に配置し、これら分析拠点間の分析結果を比較するシステムである。
図9の例では、東京および大阪に本発明にかかるワーキングスタンダードを用いたレーザ分光式安定同位体比分析装置10または20が設置されており、札幌には本発明にかかるワーキングスタンダードを用いた一般的な質量式安定同位体比分析装置31が設置されており、博多には従来のワーキングスタンダードを用いた一般的な質量式安定同位体比分析装置31が設置されている。なお、質量式に代えて他の方式の安定同位体比分析装置を用いてもよい。
食品や飲料品、農産物等は、広い範囲で生産され、また広域に流通する場合が多い。また、特に、生鮮品の場合などは迅速に流通することが必須であり、途中で検査等に長い時間をかけることはできない。したがって、食品等の産地や原料を推定するなどの目的で実施される安定同位体比分析は、複数の分析拠点を持つ多地点安定同位体比分析システム30を用いて迅速に実施されることが望ましい。
しかしながら、安定同位体比を分析する分析装置や、分析装置が設置されている環境が違えば、当然、炭素・水素同位体比の計測値に誤差が生じる。特に、レーザ分光式安定同位体比分析装置の場合、前述したように、ワーキングスタンダードとして用いられていた従来の試薬類の多くは、
高価で十分な量を確保するのが難しいうえに、揮発性や昇華性を有する物質であるため、取扱いが難しく、測定の準備・待機中に生じる蒸発や昇華の影響を受け易く、多くの作業負担が必要となるため、精度よく測定することが難しい。したがって、地点間、装置間の測定誤差を補正することが難しく、複数の分析拠点を有する多地点安定同位体比分析システム30を構築する際は、大きな問題となる。
本実施の形態は、多地点安定同位体比分析システム30を構成する安定同位体比分析装置のうち、レーザ分光式安定同位体比分析装置10,20については、第1の実施の形態を適用して、ワーキングスタンダードとして、少なくとも2種以上のポリマを用いるようにしたものである。これにより、レーザ分光式安定同位体比分析装置10,20における測定誤差を抑制でき、多地点安定同位体比分析システム30全体の測定精度を向上させることができる。
この際、質量式安定同位体比分析装置31におけるワーキングスタンダードとしては、市販のワーキングスタンダードを用いることもできるが、レーザ分光式安定同位体比分析装置10と同じものを用いることが望ましい。同じワーキングスタンダードを用いることにより多地点安定同位体比分析システム30全体でより良い測定精度を得ることができる。
また、多地点安定同位体比分析システム30で用いる安定同位体比分析装置が、すべてレーザ分光式安定同位体比分析装置10,20であってもよく、その場合は、すべてのレーザ分光式安定同位体比分析装置10,20で、同じワーキングスタンダードを用いればよい。
図10は、炭素・水素安定同位体比の測定結果(別拠点:校正なし)である。図11は、炭素・水素安定同位体比の測定結果(別拠点:校正あり)である。
図10を前述した図5および図7と比較すると、測定に使用する装置が異なると、装置の調製状態や、内部の校正パラメータの設定等の違いにより、安定同位体比の測定値そのものには大きな差が生じていることがわかる。
一方、図11を前述した図6および図8と比較すると、レーザ分光式安定同位体比分析装置20において、ワーキングスタンダードとして少なくとも2種以上のポリマを用いた場合、測定値が精度よく校正されて、装置間の測定誤差が極めて小さく抑えられていることがわかる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
10…レーザ分光式安定同位体比分析装置、11…レーザ光源、12…ガスセル、13…光検出器、14…燃焼装置、21…レーザ光源、22…光スイッチ、23…ガスセル、23A,23B,23C…ミラー、23D…ピエゾアクチュエータ、23E…ピエゾ駆動装置、24…光検出器、25…燃焼装置、26…しきい値回路、27…A/D変換回路、28…制御装置、30…多地点安定同位体比分析システム、31…質量式安定同位体比分析装置、L,L’ …レーザ光、e…被検査物、ws…ワーキングスタンダード、E,WS1,WS2…被測定物、D…ディップ、Q…検出出力、S…遮断トリガ。

Claims (3)

  1. 被検査物を燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光を照射してレーザ分光することにより、前記被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析するレーザ分光式安定同位体比分析法であって、
    前記被検査物の炭素、水素、またはその両方の安定同位体比の測定値を校正するために用いる、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードは、石油由来PETフィルムと、バイオPEポリマと、IAEA−CH−7(国際標準)の組み合わせであることを特徴とするレーザ分光式安定同位体比分析法。
  2. 被検査物を燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光を照射してレーザ分光することにより、前記被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析するレーザ分光式安定同位体比分析装置であって、
    前記被検査物の炭素、水素、またはその両方の安定同位体比の測定値を校正するために用いる、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードは、石油由来PETフィルムと、バイオPEポリマと、IAEA−CH−7(国際標準)の組み合わせであることを特徴とするレーザ分光式安定同位体比分析装置。
  3. 被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析する安定同位体比分析装置を複数の分析拠点に配置し、これら分析拠点間の分析結果を比較する多地点安定同位体比分析システムであって、
    前記分析拠点のうちの少なくともいずれか1か所以上の分析拠点に配置された前記安定同位体比分析装置が、前記被検査物を燃焼させて発生させた二酸化炭素および水蒸気にレーザ光を照射してレーザ分光することにより、前記被検査物中に含まれる炭素、水素、またはその両方の安定同位体比を分析するレーザ分光式安定同位体比分析装置からなり、
    前記レーザ分光式安定同位体比分析装置において、前記被検査物の炭素、水素、またはその両方の安定同位体比の測定値を校正するために用いる、安定同位体比が既知のワーキングスタンダードは、石油由来PETフィルムと、バイオPEポリマと、IAEA−CH−7(国際標準)の組み合わせである
    ことを特徴とする多地点安定同位体比分析システム。
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