JP6681144B2 - 磁性抗体 - Google Patents

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本発明は、医薬等に使用される抗体であって、標的抗原(例えば、タンパク質またはペプチド)の複数の異なるエピトープに対する結合能を実質的に減じられることなく、リンカーを介して、抗体に磁性を発現させるためのエッセンシャルポーションが当該抗体に結合された磁性抗体に関するものである。
従来から、抗体を用いた疾患の治療が行われており、その一つとしてがんの抗体治療が知られている。がんに対する抗体治療は、現在では、血液疾患や固形腫瘍の治療のための重要な治療法の一つとなっている。腫瘍細胞では、細胞表面抗原の過剰発現や変異が見られ、正常組織にはない特異的抗原が腫瘍細胞に出現することが多い。そこで、腫瘍細胞の表面抗原を標的とした抗体治療が検討されている。この検討において、抗体を用いて、表面抗原、受容体機能、そして、免疫系に変化を生じさせたり、特異的薬剤を抗体に結合させたものを、特異的抗原を発現する組織に対する標的薬として用いる等の応用が試みられている。
抗体治療では、標的となる抗原をどのように選択するか、抗体と抗原との親和性は十分か、抗体の標的を何にするか(例えば、腫瘍細胞の抗原、細胞内シグナル伝達、T細胞活性化などの免疫機能等)、抗体の薬物動態特性はどうか等、抗体治療の効果を発揮させる上での様々な影響因子があるため、これら各種の因子による影響を改善しつつ効果的な治療を達成しなければならない。
この種の抗体医薬として、例えば、特表2011−530536号公報に記載の抗膵癌抗体がある。また、本願出願人は、金属サレン錯体に、ジスルフィド結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合の少なくとも一つを備える結合領域を介して、抗体を結合させ得る金属サレン錯体化合物を提案している(国際公開第2011/125331号公報)。
特表2011−530536号公報 国際公開第2011/125331号
従来の抗体治療では、既述のとおり、抗体医薬の薬物動態特性の改良を図ることも実行されてはいるものの、抗体医薬は体内代謝による影響を受けやすいため、抗体医薬の投与量は他の種類の薬剤に比較して多いものとなっていた。即ち、現在、医薬品として承認されている抗体医薬の大部分は、その投与量が1日当たり数mg〜数100mgと非常に多く、かつ高価なものが大半である。抗体医薬品以外の生物医薬品の多くが、1日当たり数十μg〜1mgの投薬量であるのと比較すると、抗体医薬品の一日当たりの投与量はその約10倍から1000倍にもなっていた。
本発明は、抗体の体内における薬物動態を改善して、抗体による生物活性や治療効果を向上しながら、抗体の標的抗原との親和性に実質的に影響を及ぼさない抗体を提供することを目的とする。
前記目的を解決するために、本発明者が鋭意検討したところ、抗原−抗体反応に関係する生体内機能性タンパク(抗原・抗体)の結合部位に実質的に影響がないように金属錯体からなる強磁性体が結合できたことを見出した。この知見に基づいた、第1の発明は、抗原の一つの又は複数のエピトープに対する結合能を実質的に減じられることなく、リンカーを介して、抗体に磁性を発現させるためのエッセンシャルポーションが結合された磁性抗体であることを特徴とするものである。
同様に、第2の発明は、抗体にリンカーを介して磁性金属サレン錯体化合物等の磁性金属錯体が結合された磁性抗体であって、個体に投与された後でも、体外からの磁場によって対象領域に誘導され、当該領域において蓄積されながら、前記磁性金属錯体によって実質的に影響されることなく、前記対象領域の目的抗原との抗原抗体反応が達成される磁性抗体である。
本発明によれば、抗体の体内における薬物動態を改善して、抗体による生物活性や治療 効果を向上しながら、抗体の標的抗原との親和性に実質的に影響を及ぼさない抗体を提供することができる。
本発明に係る磁性抗体の電気泳動法による試験結果を示す、電気泳動バンドの写真である。 後述の化合物7の1HNMRの分析結果である。 化合物7の質量分析結果である。
抗体に磁性を発現させるためのエッセンシャルポーション(有効部位)の好適な形態が磁性金属サレン錯体化合物等の磁性金属錯体である。磁性金属錯体としては、例えば、体外から磁場によって誘導可能な程度の磁性を持つものであれば特に限定されない。磁性金属錯体としては、強磁性を持った金属サレン錯体が好適である。磁性金属サレン錯体化合物としては、出願人によって、後述のとおり提案され、自身で磁性を有する金属サレン錯体、その誘導体、金属サレン錯体の多量体、金属サレン錯体と医薬分子の結合体等の関連形態を含む。金属サレン錯体の磁性は、他の化合物、例えば、鉄化合物のキャリアの援助を必要としない。金属サレン錯体は、(N,N,O,O)を4座配位子として金属に配位させたものであり、例えば、種々の金属サレン錯体誘導体の主骨格として、下記式のものを列挙することができる。
化1の化合物と化2の化合物の違いは、後者は、前者(単量体)が電子供与体である酸素等の介在体を介して結合した多量体(2量体)であるという点である。金属サレン錯体化合物が単量体構造をとるか、多量体構造をとるかは、製造工程、例えば、金属キレート構造を生成させる際に使用するハロゲン化金属のハロゲンの価数、或いは、ハロゲン化金属が水和物であるか否か等によって制御可能である。例えば、2ハロゲン化金属の水和塩(例:FeCl2・4H2O)によって、金属サレン錯体化合物は金属錯体部分の単量体構造(化1)をとり、3ハロゲン化金属(例:FeCl3)によって、金属サレン錯体は金属錯体部分の多量体構造(化2)をとる。金属サレン錯体化合物のうち、多量体構造は単量体構造に比較してより高いレベルの磁性を有していることが発明者によって確認されている。金属サレン錯体化合物が強磁性を有することは、本願発明者に初めて見出された(例えば、国際公開第2010/058280号公報)。金属サレン錯体化合物は、上記のものの他、側鎖の水素が官能基、医薬分子等で置換された誘導体の形態をとることは勿論可能である。また、主骨格が、上記とは異なる、特開2013−28543号公報に記載の金属錯体化合物でもよい。本発明の金属錯体化合物とは、(N,N,O,O)を4座配位子として金属に配位させてものであり、サレンはその一例である。
Mは金属サレン錯体の中心金属であり、例えば、Fe、Cr、Mn、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、W、Re、0s、Ir、Pt、Nd、Sm、Eu、又は、Gdである。金属サレン錯体の多くのものは、自身で強磁性を有している。強磁性を有する金属サレン錯体、及び、その誘導体を本願発明では磁性金属サレン錯体化合物と呼んでいる。金属サレン錯体の誘導体には、化1、化2の側鎖の水素が他の官能基で置換されたものが含まれる。
磁性金属錯体化合物に結合可能な抗体は、特に、限定されるものではないが、ガン等特定の器官、組織の領域に局在する疾患に関係する抗原を標的とするものであることが本発明の効果を発揮する上で好適である。本発明の抗体は、好適には、リンカー等の結合手段を介して磁性金属錯体化合物に結合されることによって、抗体は、磁性抗体として改良されたものになる。本発明に係る改良された抗体は、抗体が磁性金属錯体化合物に結合されても、磁性金属錯体化合物に由来する強磁性を維持する。改良された磁性抗体は、この維持された強磁性によって、人間や動物等の個体に注射、輸液等の全身投与、又は、塗布、噴霧、動注等の局所投与等投与形態の違いに拘わらず、投与の際あるいはその後、外部磁場によって、ガン等の疾患によって影響された、組織、器官等の目的領域に、特異的に、即ち、磁性を持たない化合物からは区別されて誘導される。
本願発明者は、抗原−抗体反応に関係する生体内機能性タンパク(抗原・抗体)の結合部位に実質的に影響がないように強磁性体を結合できること見出している。即ち、抗体に磁性金属錯体化合物が結合しても、抗体と抗原との特異点な結合に影響がないことを、後述のとおり、磁性錯体化合物をIgGに結合させた磁性抗体が、プロテインAと結合できることによって確認している。IgGのFc領域は貪食細胞のFcレセプターに結合する。FcレセプターはIgGのCH2のドメインに結合する。IgGのCH2とCH3間で黄色ブドウ球菌のようなグラム陽性細菌の細胞壁の成分であるプロテインAと結合する。即ち、磁性金属錯体化合物−IgGがプロテインAと結合できるということは、磁性IgGと抗原(Fcレセプター)との結合親和性に影響がないことを証明している。このことは、金属錯体化合物が結合可能なあらゆる種類の抗体や抗原に対しても同様なこととして理解されるべきである。結局、磁性錯体化合物は抗体の抗原識別領域に影響がない部位で抗体に結合することができるということである。換言すれば、抗体に、金属錯体化合物以外の他成分が結合すると、抗体の抗原認識能力に影響を与えるおそれあるが、磁性金属錯体化合物と結合しても標的抗原との結合性能が阻害されないような抗体が、本発明の磁性抗体の要素として好適である。今までの説明によって、抗原に磁性金属錯体を結合させても、目的抗体(例えば、生体内の特定抗体)との結合親和性に影響がないことも十分に論理付けることが可能である。このような抗原として、プロテインAの他、例えば、さらに幅広い抗体に結合する抗原である、G群レンサ球菌由来のプロテインGもある。
本発明に適用可能な抗体としては、既述の要求される属性を維持する限りにおいて、特定の抗体に制限されるべきではない。後述のウサギのIgGは好適な抗体の一例である。その他、例えば、腫瘍壊死因子(TNF−α:Tumor Necrosis Factor α)に対する抗体も本発明に適用可能な抗体の一例である。
本発明に適用可能な抗体のタイプは特定のものに限られない。例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体、一本鎖抗体等種々のタイプの抗体を利用することができる。
本発明のリンカーは、抗体に磁性を付与するためのエッセンシャルポーションと抗体との接合を実現し、エッセンシャルポーションの強磁性、抗体の抗原との結合、抗体の抗原認識機能に不利な影響を及ぼさない限り、特に限定されず、公知のリンカーを使用することができる。
リンカーとしての架橋剤は、ジスルフィド結合、エーテル結合、エステル結合、又は、アミド結合等を有する結合領域を形成して、エッセンシャルポーションと抗体の夫々に直接或いは側鎖、又は官能基を介して結合することによって、エッセンシャルポーションと抗体とを連結する。後述のテレフタル酸の他、N−ヒドロキシコハク酸イミドは、リンカーの一連である。
下記化3は磁性抗体の第1の例(磁性金属サレン錯体と抗体との結合体)であり、下記化4は磁性抗体の第2の例(磁性金属サレン錯体の2量体と抗体との結合体)である。
化3に示す構造においては、a、aの2箇所で抗体が磁性金属サレン錯体に結合し得る。化4に示す構造においては、a1、a2、a3、a4の4箇所で抗体が磁性金属サレン錯体に結合し得る。したがって、磁性金属サレン錯体(2量体)の方が磁性金属サレン錯体(単量体)よりも、抗体を多く結合できる分、抗原に対する効果が向上される。a1、a2、a3、a4、a、aの夫々について、これらが抗体でない場合には、例えば、水素、又は、水素を置換可能な公知の原子又は官能基である。
なお、化3、化4の構造において、
が、リンカー(テレフタル酸)と磁性金属サレン錯体・抗体の反応によって形成された結合領域である。
本発明の磁性抗体は、例えば、特定疾患治療用の抗体医薬として利用される。磁性抗体を含む抗体医薬は、公知のとおり、注射、或いは、輸液用の製剤として提供される。
磁性抗体は、外部磁場によって、体内における目的の領域に誘導されることが可能になるために、磁性抗体の体内動態が、抗体単独の場合(外部磁場による誘導ができない)に比べて、より高い生物活性を示すことができるようになる。さらに、磁性抗体が体内の目的領域に誘導できることによって、非磁性抗体よりも投与量が少なくて済むことになる。磁性抗体では、外部磁場によって、目的領域に到達するまでの所要時間が短縮され、その結果、体内代謝の影響を少なくできることにより、磁性抗体の生物活性の半減期を延長することができる。
4−ニトロフェノール(4-nitrophenol);25g、0.18mol、ヘキサメチレンテトラミン(hexamethylenetetramine);25g、0.18mol、ポリりん酸(Polyphosphoric acid):200mlの混合物を1時間100℃で攪拌した。その後、その混合物を500mlの酢酸エチルと、1lの水の中に入れ、完全に溶解するまで攪拌した。さらに、その溶液に400mlの酢酸エチルを追加で加えたところ、その溶液は2つの相に分離した。そのうちの水の相を取り除き、その後、塩性溶剤で2回洗浄し、無水MgSOで乾燥させた結果、化合物1が17g(収率57%)合成できた。
化合物1:17g、0.10mol、無水酢酸(acetic anhydride):200ml、HSO:少々、を室温で1時間攪拌させた。得られた溶液を2lの氷水中に入れて0.5時間混ぜ、加水分解を行った。次に、得られた溶液をフィルターにかけ、大気中で乾燥させたところ白い粉末状のものが得られた。酢酸エチルを含む溶液を使ってその粉末を再結晶化させたところ、24g(収率76%)の白い結晶(化合物2)を得ることができた。化合物2:24g、77mmolと、メタノール;500mlに10%のパラジウムを担持したカーボン:2.4gの混合物を一晩、1.5気圧の水素還元雰囲気で還元した。終了後、フィルターでろ過したところ茶色油状の化合物3:21gを合成できた。
無水ジクロメタン(DCM):200mlに化合物3:21g、75mmol、テレフタル酸(化合物4):4g、22.1mmolを窒素雰囲気で一晩攪拌した。得られた溶液を真空中で蒸発させたところ化合物5が得られた。化合物5を、メタノール:100mlに溶解させ、その後、摂氏100度で、水酸化ナトリウム:15g、374mmolと水:50mlを加え、5時間還流させた。その後冷却し、フィルターでろ過し、水で洗浄後、真空中て乾燥させたところ茶色の化合物を得た。得られた化合物を、シリカジェルを使ったフラッシュクロマトグラフィーで2回処理して、10g(収率58%)の化合物6が得られた。
無水エタノール;400mlの中に化合物6:10g、42mmolを入れ、加熱しながら還流させ、無水エタノール:20mlにエチレンジアミン:1.3g、21mmolを0.5時間攪拌しながら数滴加えた。そして、その混合溶液を氷の容器に入れて冷却し15分間かき混ぜた。その後、200mlのエタノールで洗浄し、フィルターをかけ、真空で乾燥させたところ、3.5g(収率93.9%)の化合物7(黄色)を合成できた。
化合物7の構造を1HNMRによって配位子の骨格の確認、質量分析によって化合物7の分子量の確認を行った。化合物7の1HNMRの分析結果(使用機種名Bruker 300MHz/54mm UltraShield)を図2に示す。測定方法は、次の通りである。
サンプル作成について、NMR試料管(直径5mm)にサンプル(約2mg)を入れ、ピペットを用いて重溶媒d6-DMSO 0.6 mLを加え、振り混ぜてサンプルを溶かす。次に、NMR 試料管を専用のスピニングフォルダーに差し込む。差し込む長さは,専用のゲージで調整する。スピニングフォルダーの上部を持って、超伝導磁石(SCM)上部に差し込む。最初にスピニングフォルダーがSCMに浮いた状態で、マニュアル通りで操作し、スピニングフォルダーをSCM内部に入れることで1HNMRスペクトルを得た。
化合物7の質量分析結果(使用機種名Agilent G1956B)を図3に示す。測定方法は次の通りである。
移動相: 酢酸アンモニウム溶液0.1%:アセトニトリル(30:70)
カラム: C18 (30 mm× 2.1mm, 3.5 μm);流速 0.4 mL/min
質量分析の測定条件:
印加電圧 70 V
質量範囲 70.00 ― 2000.00
乾燥気流量 7 L/min
噴霧室圧力 25 psig
乾燥気体温度 300 ℃
毛細管電圧 3500 V
サンプル処理は、適量のサンプルを少量のアセトニトリルで溶かし、約100μg/mLまで希釈して測定用サンプル溶液とする。測定用サンプル溶液10μLをHPLC-MASSに注入し、MASSスペクトルを記録した。その結果、質量分析の値で理論値m/Z 594.35に対して、実測値 m/Z 595.3という測定値が得られたため、化合物7が既述の構造式で示されることを確認できた。
通常のメタノール(昭和化学製メタノール、純度99.5%以上);50ml中に化合物7:8.2g、16mmol、トリエチルアミン:22ml、160mmolを入れ、10mlのメタノールの中に、FeCl):2.7g、16mmol(なお、鉄サレン以外の金属サレン、例えば、Mnサレンの場合は、MnCl、Crサレンの場合は、CrClを使用する。)を加えた溶液を窒素雰囲気下で混合した。次いで、室温窒素雰囲気で1時間混合したところ茶色の化合物が得られた。その後、真空中或いはマグネシウムを使う等して十分に水を乾燥或いはマグネシウムに吸着除去させた。得られた化合物は、400mlのジクロロメタンで希釈し、塩性溶液で2回洗浄し、NaS0で乾燥させ、真空中で乾燥させたところ2量体の金属サレン錯体化合物8(化2)が得られた。
化合物8:60mg、0.1mmolとN−コハク酸イミド23mgg、0.2mmolをテトラヒドロフラン:20mLで室温にて2時間攪拌した。その後、エチルアセテートとヘキサンを1:1の溶液と混合し、シリカゲル(20g)を用いたクロマトグラフィーで化合物9を得た。N−コハク酸イミドは、テレフタル酸のカルボン酸と脱水縮合してカルボン酸を活性化し、免疫グロブリンのアミノ基と反応し、アミド結合を介して抗体と磁性金属サレン錯体化合物との結合を可能にする。したがって、N−コハク酸イミドはリンカー又はリンカーのための促進剤、補助剤である。
次いで、化合物9:20g、0.1mmolとシグマアルドリッチ社製ウサギ血清由来のIgG抗体(製品名I5006):150mgとを精製水1mLで30分攪拌した。その後、リン酸緩衝液150mlmL、pH=7.01で撹拌した。そして、攪拌から6時間後に化合物10を得た。
次に、化合物10が強磁性であることは、精製水を入れたシャーレに化合物10の粒子を投入し、シャーレの下から化合物10の粒子が磁石で誘導できたことによって確認した。また、Quantum Design MPMS7を用いて、化合物10について磁場―磁化曲線を測定したところ、−268℃から37℃まで磁場印加とともに磁化が上昇し、外部からの磁場誘導でドラッグデリバリーが可能であることが示唆される結果が得られた。
次に、化合物10が抗体の性質を失っていないことの確認を、化合物10とプロテインAと反応性を試験することによって行った。
プロテインA:Protein A ELISA キット(コスモ・バイオ株式会社製)
プロテインAによる生成に用いた試料:
カラム IgG Purification Kit-A (コスモバイオ#AP01)
抗体 Normal Rabbit IgG(シグマ・アルドリッチ社製)
磁性化合物 化合物8
磁性抗体 化合物10
(磁性Rabbit IgG抗体(0.8mg/200μL(生理食塩水)の50μLをプロテインAの精製に使用)
プロテインAによる精製方法は以下のとおりである。なお、詳細については、コスモバイオ#AP01記載の実験手順書(http://search.cosmobio.co.jp/cosmo_search_p/search_gate2/docs/DMT_/AP01.20060929.pdf)を参照されたい。
(1)化合物10の精製に使用するカラムが詰まると精製できなくなってしまうので、軽く遠心をして、溶解している上清50μLを精製した。
(2)(1)のサンプル50μLとwash buffer 50μLを混合した。
(3)プロテインAカートリッジに(2)を入れた(2min)。
(4)(3)のカートリッジを8000Gで遠心分離した(30秒)。
(5)(4)にwash buffer 200μL
を加えた。
(6)再度、8000Gで遠心分離した(30秒)。
(7)新しいチューブにcatching buffer 60μLを入れ、これに(6)のカートリッジの内容物を移した。
(8)(7)のチューブにElution buffer 70μLを加え、磁性抗体をcatching buffer に溶出させた。
化合物10とプロテインAとの結合を、次のとおり電気泳動法によるバンドによって確認した。図1の左側のバンドは、カラムに充填したたんぱく質であるプロテインAの電気泳動法によるバンドである。中央の領域はカラム洗浄液のみの電気泳動法による結果を示す領域である。図1から明らかなように、中央の領域には、分子量の大きなタンパク質は含まれてなく、バンドのようなものを確認できなかった。右側の領域は、プロテインAを充填したカラムに磁性抗体(化合物10)をカラム洗浄液とともに溶出した後のバンドである。プロテインAと磁性抗体(化合物10)とが抗体―抗原反応によって結合しため、バンドが1本になったことが確認された。もし、磁性抗体(化合物10)の抗体の抗原認識部位が金属サレン化合物によって影響を受け、抗体がプロテインAと結合できない場合には、バンドが2本観察されるはずである。このことより、磁性抗体(化合物10)は抗体―抗原反応をプロテインAと間で起こすことから、磁性抗体の抗体部分は、抗体としての活性を失っていないことが確認できた。
既述の磁性抗体を、例えば、抗ガン剤などの治療薬として用いる場合には、磁性抗体を投与(全身又は局所)後、体外からの磁場によって磁性抗体を目的の組織、器官に誘導する。例えば、磁性抗体の適量を生理食塩水に溶解したものが静脈注射されればよい。また、磁性抗体を目的抗原に対する検査薬として使用する場合には、磁性抗体を全身投与後、MRIによって磁性抗体の造影像を確認すればよい。

Claims (1)

  1. 磁性発現のためのエッセンシャルポーションがリンカーを介して抗体に結合された磁性抗体であって、前記エッセンシャルポーションが金属サレン錯体化合物であり、
    抗原の一つの又は複数のエピトープに対する結合能を有し、
    個体に投与された後でも、体外からの磁場によって目的領域に誘導されて蓄積されながら、前記金属サレン錯体化合物によって、前記目的領域の標的抗原との抗原抗体反応が実現される、
    下記式1で示される磁性抗体であって、
    〔式1〕
    式中、a1、a2、a3、そして、a4は、夫々抗体であり、
    前記金属サレン錯体化合物は、前記抗体のFc領域が前記標的抗原のFcレセプターに結合することが阻害されないように、当該抗体に結合した、
    前記磁性抗体。
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