JP7184282B2 - 金属アセン錯体を含む薬剤送達システム - Google Patents
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Description
[1]
標的組織を生存させながら前記標的組織に薬剤を送達するための薬剤送達システム組成物であって、
下記式(I):
組成物。
[2]
前記MはFe、Mn、Cr、またはCoである、[1]に記載の組成物。
[3]
標的組織を生存させながら前記標的組織に薬剤を送達するための薬剤送達システム組成物であって、
下記式(I’)
組成物。
[4]
下記式(III):
Aはハロゲン化物イオンであり、
MはFe、Cr、Mn、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、W、Re、Os、Ir、Pt、Nd、Sm、Eu、およびGdからなる群より選択される金属イオンであり、
R1~R6はそれぞれ、水素原子であるか、または、ヒドロキシ基と結合を形成することができる基を有するリンカー化合物に由来するリンカー基であり、
O*は前記金属アセン錯体上のヒドロキシ基に由来する酸素原子であって、前記水素原子とともにヒドロキシ基を形成しているか、または前記リンカー化合物と前記結合を形成しており、
R1およびR2のうちの少なくとも1つ、ならびにR3~R6のうちの少なくとも1つは、前記O*と結合した末端とは別の末端において前記薬剤と結合しているリンカー基である、
[3]に記載の組成物。
[5]
前記MはFe、Mn、Cr、またはCoである、[3]または[4]に記載の組成物。
[6]
前記O*と結合した末端とは別の末端において前記薬剤と結合しているリンカー基は、前記薬剤上のスルフヒドリル基を介して前記薬剤と結合している、[4]に記載の組成物。
[7]
前記R1~R6のうち、前記薬剤と結合しているリンカー基であるものは下記式(V)で表される構造を有し、
[6]に記載の組成物。
[8]
前記O*と結合した末端とは別の末端において前記薬剤と結合しているリンカー基は、前記薬剤上のアミノ基を介して前記薬剤と結合している、[4]に記載の組成物。
[9]
前記R1~R6のうち、前記薬剤と結合しているリンカー基であるものは下記式(VIII)で表される構造を有し、
[8]に記載の組成物。
下記式(I):
または下記式(II):
下記式(III):
図1aは、超伝導量子干渉磁束計(Superconducting quantum interference device: SQUID)カンタム・デザイン社MPMSを用いて行った鉄アセン錯体二量体(acacen)の磁性特性評価の結果を示す。対応する鉄サレン錯体二量体(salen)から得られた結果も比較のために示している。下記に鉄アセン錯体二量体(左)と鉄サレン錯体二量体(右)の構造を示す。
ヒト卵巣癌細胞株であるOVK18細胞を、1.0×104細胞/ウェルの細胞密度になるよう96ウェルプレートに播種した(n=4)。37℃、5%CO2の標準的な条件下で2時間培養したのち、上記と同じ鉄サレン錯体二量体、鉄アセン錯体二量体、および塩化鉄アセン錯体を、2.5mg/L、5mg/L、または10mg/Lになるように細胞に投与した。その17時間後、生細胞を定量化するためのXTTアッセイキット(ATCC社、型番30-1011K)のactivation reagentを1/50 加えたXTT試薬を、ウェルあたり50μL加えた。さらに2時間培養した後、プレートリーダーで、490~655nmの範囲における吸光度を測定した。なお、OVK18細胞の倍加時間は約48時間である。
ハロゲン化金属アセン錯体の合成は以下のスキームに従って行うことができる。塩化鉄アセン錯体の合成は、Bull. Chem. Soc. Jpn., 50(1), 119-122 (1977)にも記述されている。
金属アセン錯体二量体の合成は以下のスキームに従って行うことができる。
上記スキームに従って合成した塩化鉄アセン錯体および鉄アセン錯体二量体の元素分析を行った結果を、対応する理論値とともに下表に示す。
リンカー基および薬剤が結合されたハロゲン化金属アセン錯体の合成は以下のスキームに従って行うことができる。
まず、F. Davis et al., J. Am. Chem. Soc., 112, 6679-6690 (1990)に記述されたいわゆるDavis酸化反応によって、化合物1のケトンのα位にヒドロキシ基を導入する。化合物1に、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF(テトラヒドロフラン)溶液(0.6mL、1M)を加える。0.5mmolの化合物1を0.3mLのTHFに溶解させた溶液を滴下し、30分間撹拌する。さらに、187mg(0.75mmol)の(+)-(カンファリルスルホニル)オキサジリジンを3mLのTHFに溶解させた溶液を滴下する。15分後、-78℃で3mLの飽和NH4I水溶液、および10mLのジエチルエーテルを加えて反応を終了し、室温に戻す。有機層を飽和Na2S2O3および飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水MgSO4で乾燥後、吸引ろ過する。得られた混合物にペンタンを加えて吸引ろ過し、副生成物のカンファースルホンイミンを除去する。フラッシュクロマトグラフィーにて精製し、化合物2を得る。
ステップ2以降の手順は、従来サレン錯体で使用されてきたものと本質的に同様である。Tetrahedron 63 (2007) 6404-6414の記載に従って、リンカー基の結合を行う。まず、THF(20mL)にN,N-ジメチルアミノピリジンを0.1M溶かした溶液を調製する。この溶液に、化合物2(99.4mg、0.338mmol)と化合物3(121.9mg、0.721mmol)と、脱水縮合剤のジイソプロピルカーボジイミド(170μmol)と、NaHCO3(75mg、0.89mmol)を入れ室温で2時間撹拌する。反応溶液を濃縮して得られた液体を、エチルアセテート(酢酸エチル)とヘキサンの1:1混合溶媒を展開溶媒として用い、シリカゲル(20g)によるカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物4を得る。
Bull. Chem. Soc. Jpn., 50(1), 119-122(1977)等に記載されているように、塩化鉄錯体を調製する。200mL二口フラスコに撹拌子と化合物4(2792.7mg、5mmol)を入れ、減圧窒素置換を行う。撹拌しながら脱水メタノール40mLを加え、溶解し、さらに、脱水メタノール40mLに無水FeCl3(0.8g、0.005mol)を溶解させた溶液を室温で加える。ここにトリエチルアミン(1.4mL、10mmol)を加える。これを60℃で10分間加熱し、その後室温で一晩静置する。得られた結晶を冷却メタノールで洗い流しながら吸引ろ過を行い、化合物5を得る。
Tetrahedron 63 (2007) 6404-6414に記載された常法に従い、化合物5のリンカー基に、スルフヒドリル基を有する薬剤を結合させる。この例では、薬剤Xとしてのタンパク質(シグマアルドリッチ社から購入したパパイン凍結乾燥物、10mg)とL-システイン(10mg)を水(H2O、1mL)に入れて30分間撹拌する。その後、リン酸緩衝液(300μL、1M、pH=7.01)を加えて撹拌する。そして、撹拌から6時間後、リンカー基の少なくとも1つにパパイン(X)が結合した化合物6が取得される。
リンカー基および薬剤が結合された金属アセン錯体二量体の合成は以下のスキームに従って行うことができる。
上記の化合物5(324.9mg、5mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、続いて0.5mol/LのKOHを1mL加え、撹拌する。反応溶液を濃縮し、冷蔵庫に一晩静置する。析出物をヘキサンで洗い流しながら吸引ろ過する。得られた固体をジクロロメタンに溶解し、ヘキサンを加えて再結晶させる。吸引ろ過して減圧乾燥することで、化合物7を得る。
上記の化合物2は、Angew. Chem. Int. Ed. 53, 548-552 (2014)に記述された反応を以下のように利用して取得することもできる。
上記の化合物1(112mg、0.5mmol)に、Cs2CO3(0.1mmol)、P(OEt)3(1.0mmol)、およびDMSO(2mL)を加え、酸素雰囲気下(常圧)、室温で48時間撹拌し、化合物2を得る。
上記の化合物2は、Bull. Chem. Soc. Jpn., 51(1), 335-336 (1978)に記述された反応を以下のように利用して取得することもできる。
アセチルアセトン(6.007g、0.06mol)を酢酸(50mL)と無水酢酸(5mL)の混合溶液に溶解し、30℃で撹拌する。5mLの硫酸を加え、温度が30℃に保たれるように30分間隔で(ジアセトキシヨード)ベンゼンを2gずつ加える(総量0.05mol)。30℃で6時間撹拌後、100mLの水で3回抽出し、抽出物を濃縮する。臭化カリウムを濃縮液に添加し、ジアリルヨードニウム塩の白色結晶を沈殿させる。100mLのクロロホルムまたはジエチルエーテルで3回抽出し、減圧下で濃縮する。濃縮液を減圧下で蒸留し、化合物9を得る。
Claims (9)
- 前記MはFe、Mn、Cr、またはCoである、請求項1に記載の組成物。
- 下記式(III):
Aはハロゲン化物イオンであり、
MはFe、Cr、Mn、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pd、W、Re、Os、Ir、Pt、Nd、Sm、Eu、およびGdからなる群より選択される金属イオンであり、
R1~R6はそれぞれ、水素原子であるか、または、ヒドロキシ基と結合を形成することができる基を有するリンカー化合物に由来するリンカー基であり、
O*は前記金属アセン錯体上のヒドロキシ基に由来する酸素原子であって、前記水素原子とともにヒドロキシ基を形成しているか、または前記リンカー化合物と前記結合を形成しており、
R1およびR2のうちの少なくとも1つ、ならびにR3~R6のうちの少なくとも1つは、前記O*と結合した末端とは別の末端において前記薬剤と結合しているリンカー基である、
請求項3に記載の組成物。 - 前記MはFe、Mn、Cr、またはCoである、請求項3または4に記載の組成物。
- 前記O*と結合した末端とは別の末端において前記薬剤と結合しているリンカー基は、前記薬剤上のスルフヒドリル基を介して前記薬剤と結合している、請求項4に記載の組成物。
- 前記O*と結合した末端とは別の末端において前記薬剤と結合しているリンカー基は、前記薬剤上のアミノ基を介して前記薬剤と結合している、請求項4に記載の組成物。
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