JP6680721B2 - 感受性化合物を安定化するための組成物および方法 - Google Patents

感受性化合物を安定化するための組成物および方法 Download PDF

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Description

本出願は、その開示が参照により全内容組み込まれる、2011年2月7日に出願された米国特許仮出願第61/440,237号の35U.S.C.§119(e)による恩典を主張するものである。
幾つかの化学物質は、乾燥した配合物中にある場合でさえ、大気中水分の存在下で、または配合物内の他の成分との緩やかな相互作用のいずれかにより、経時的に分解することが知られている。このことは、医薬品工業、食品工業、および細胞培養地工業においてさえ一般に見られ、製品のより短い貯蔵寿命の一因となる。例えば、エタノールアミンは、細胞培養培地中の感受性化合物であり経時的に分解し、細胞培養培地のより短い貯蔵寿命の一因となる。エタノールアミンはまた、2−アミノエタノールまたはモノエタノールアミンとしても知られ、アミン基およびヒドロキシル基の両方の存在を特徴としたアルカノールアミンであり、以下の化学構造を有する。
Figure 0006680721
エタノールアミンは、一般に化学工業において洗浄剤、薬剤、および化粧品中の成分として使用される。例えば、これは、溶解性、還元性、顔料分散およびpH安定性を向上させるために水性および溶媒系塗料の両方において使用される。エタノールアミンはまた、金属成分の腐食を防止するために水処理工業において、とりわけ発電所のスチームサイクルにおいて使用される。またこれは、天然ガスおよび精油所ガスの操業におけるガス流からの硫化水素および二酸化炭素などの酸性成分を洗浄または除去するために使用される。エタノールアミンは、エチレンオキシドのアンモニアとの反応によって、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンという付加的な副産物を伴って生成される。
細胞培養培地は、管理された人工的なインビトロの環境において細胞を維持し増殖するのに必要な栄養素を提供する。培地配合物は、細菌細胞、および動物、植物などの真核細胞を含む多くの細胞型を培養するために使用されている。エタノールアミンは真核細胞培養培地の有用成分であり、一般に、これが感受性成分であるので後で補充される。エタノールアミンはその低い安定性のために特定の組成物において問題になることがある。例えば、細胞培養培地中、アミノ酸の存在下でエタノールアミンは急速に分解する。この不安定性は、乾燥粉末細胞培養培地を調製する工程の間に置かれるようなより暖かい環境において増加し、エタノールアミンの分解および細胞培養培地の貯蔵寿命の短縮をもたらす。同様に、ビタミン、インスリンのような成長因子、およびサイトカインなどの幾つかの細胞培養成分もまた、培地配合物中において、特に、アミノ酸を含む様々な反応性の60〜100個の異なる化学物質を含み得る、単一成分の乾燥型培地配合物中において不安定である場合がある。
細胞培養培地配合物中、特に単一成分の細胞培養培地配合物中、乾燥型培地配合物中などにおいて存在する不安定成分を安定化および/または保護する必要性が存在する。
概要
本開示は、細胞培養培地、細胞培養補充物、薬剤、栄養補助食品、食品補充物、ビタミンに富む配合物、化粧品、洗浄剤などを含むがこれらに限定されない組成物中の、不安定な化合物または成分、敏感なまたは感受性の成分または化合物(交換可能に使用されてもよい用語)の安定性を増加または保護する方法を提供する。
したがって、一実施形態において、本開示は、細胞培養組成物中の細胞培養成分との有害反応が阻止されている、保護された不安定分子を含む細胞培養組成物のような組成物を対象とする。特定の実施形態において、細胞培養組成物は、乾燥型細胞培養粉末であってもよいが、他においては、液体細胞培養培地であってもよい。さらなる実施形態において、保護される不安定分子は、エタノールアミン、成長因子、ビタミン、サイトカインなどのような分子からなる群のいずれかの不安定分子から選択することができる。幾つかの実施形態において、不安定分子は、不安定分子の誘導体化、または不安定分子の隔離(sequesteration)によって保護することができる。この実施形態の一態様において、不安定分子はエタノールアミンである。この実施形態の別の態様において、保護される不安定分子は、インスリンのような成長因子、またはB12のようなビタミン、またはチアミンなどであってもよい。
「不安定な分子、成分または化合物」、あるいは「感受性の分子、成分または化合物」は、分解、または同一組成物中の他の成分との望ましくない相互作用を起こしやすいもの、これらの成分が同一組成物内の他の化学物質との望ましくない相互作用により保管中に急速にまたは経時的に分解する、培養培地、補充物、薬剤、栄養補助食品、食品補充物、ビタミンに富む配合物、化粧品、洗浄剤などの組成物中の、例えば、エタノールアミンのようなポリアミン、ビタミン、成長因子などを意味する。
上記実施形態のさらなる態様において、細胞培養組成物は、保護された不安定分子を含み、ここで保護された不安定分子は細胞培養組成物中で安定性の向上を示し、不安定な分子はエタノールアミンである。さらなる実施形態において、細胞培養組成物は、乾燥型細胞培養粉末または液体細胞培養培地であってもよい。
好ましい実施形態において、エタノールアミンは、誘導体化または隔離のいずれかによって保護される。誘導体化は、糖アルコール、またはアミノ糖、またはウロン酸、またはリン酸化糖との反応によりされてもよい。
さらなる実施形態において、糖アルコールは、アリトール、アルトリトール、フルクチトール(fructitol)、ガラクチトール、グルシトール、グリトール、イジトール、マンニトール、ソルビトール、タリトール、タガチトール(tagatitol)、アラビニトール、リビトール、リブリトール、キシリトール、キシルリトール(xylulitol)、リキシトール、エリトルリトール(erythrulitol)、エリトリトール、およびトレイトールからなる群から選択されてもよい。
また別の実施形態において、アミノ糖は、アロサミン、アルトロサミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、グロサミン、イドサミン、マンノサミン、ソルボサミン、タロサミン、タガトサミン、アラビノサミン、リボサミン(ribosamine)、リブロサミン、キシロサミン、キシルロサミン(xylulosamine)、リキソサミン(lyxosamine)、エリトルロサミン、エリスロサミンエリスロサミン、およびスレオサミンスレオサミンからなる群から選択されてもよい。
別の実施形態において、ウロン酸は、アルロン酸、アルトルロン酸、フルクツロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、ソルブロン酸、タルロン酸、タガツロン酸、アラビヌロン酸、リブロン酸、リブルロン酸、キシルロン酸、キシルルロン(xyluluronic)酸、リキスロン酸、エリトルルロン(erythruluronic)酸、エリトルロン(erythruronic)酸、およびトレウロン酸からなる群から選択できる。
また別の実施形態において、リン酸化糖は、グリセルアルデヒド3−ホスファートおよびジヒドロキシアセトンホスファートからなる群から選択される。
一態様において、不安定分子、例えば、エタノールアミンの隔離は、可溶性マトリックス内における不安定分子のカプセル化、または不溶性マトリックス内における不安定分子のカプセル化によって行うことができる。好ましい実施形態において、カプセル化される不安定分子はエタノールアミンである。他の実施形態において、カプセル化される不安定成分は、ビタミン、成長因子、サイトカインなどである。
別の態様において、不安定分子はカプセル化の前にデンドリマーと複合体形成される。他の態様において、不安定分子は、デンドリマーと複合体形成することなく、直接カプセル化する。
一態様において、カプセル化のための可溶性マトリックスまたは不溶性マトリックスは、保護被膜でさらに被覆されてもよい。さらなる態様において、保護被膜はポリL−リジンまたはポリオルニチンで構成されていてもよい。
一実施形態において、不溶性マトリックスは、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、およびカラギーナンからなる群から選択されてもよい。さらなる実施形態において、マイクロカプセル化は、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドンなどを含むがこれらに限定されない足場マトリックスで処理してもよい。
別の実施形態において、可溶性マトリックスは、アルコール、ケトン、またはアルデヒドを含む分子であってもよい。さらなる実施形態において、可溶性マトリックスは、グルコース、マンノース、フルクトース、マルトデキストリン、およびガラクトースからなる群から選択される六炭糖の糖であってもよい。好ましい態様において、六炭糖の糖はマルトデキストリンであってもよい。
一態様において、エタノールアミン誘導体は、Rがアセチル基またはアミノ酸である、下記式を有する。
Figure 0006680721
好ましい実施形態において、エタノールアミン誘導体は、N−アセチルエタノールアミン(NAE)である。
特定の実施形態において、本開示に記載される組成物は、細胞培養培地、細胞培養補充物、供給材料、および細胞培養培地濃縮物からなる群から選択することができる。
別の態様において、本開示は、1種または複数種の保護された不安定分子を含む細胞培養組成物を作製する方法であって、(a)1種または複数種の不安定分子を誘導化および/または隔離して、該1種または複数種の保護された不安定分子を生成するステップ、(b)該1種または複数種の保護された不安定分子を1種または複数種の細胞培養成分と混合して、該細胞培養組成物を作製するステップをさらに含み、該1種または複数種の保護された不安定分子が、未保護の不安定分子と比較して該1種または複数種の細胞培養成分との有害反応を阻止されており、該保護された不安定分子の少なくとも1つがエタノールアミンである、方法を記載する。
特定の実施形態において、不安定分子の誘導体化は、糖アルコール、またはアミノ糖、またはウロン酸、またはリン酸化糖を用いてもよい。
一態様において、糖アルコールは、アリトール、アルトリトール、フルクチトール、ガラクチトール、グルシトール、グリトール、イジトール、マンニトール、ソルビトール、タリトール、タガチトール、アラビニトール、リビトール、リブリトール、キシリトール、キシルリトール、リキシトール、エリトルリトール、エリトリトール、およびトレイトールからなる群から選択されてもよい。別の態様において、アミノ糖は、アロサミン、アルトロサミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、グロサミン、イドサミン、マンノサミン、ソルボサミン、タロサミン、タガトサミン、アラビノサミン、リボサミン、リブロサミン、キシロサミン、キシルロサミン、リキソサミン、エリトルロサミン、エリスロサミン、およびスレオサミンからなる群から選択されてもよい。第3の態様において、ウロン酸は、アルロン酸、アルトルロン酸、フルクツロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、ソルブロン酸、タルロン酸、タガツロン酸、アラビヌロン酸、リブロン酸、リブルロン酸、キシルロン酸、キシルルロン酸、リキスロン酸、エリトルルロン酸、エリトルロン酸、およびトレウロン酸からなる群から選択されてもよい。第4の態様において、リン酸化糖は、グリセルアルデヒド3−ホスファートおよびジヒドロキシアセトンホスファートからなる群から選択される。
一実施形態において、不安定分子の隔離は、可溶性マトリックス内におけるカプセル化によって、または不溶性マトリックス内における不安定分子のカプセル化によって行われてもよい。一態様において、可溶性マトリックスまたは不溶性マトリックスは、保護被膜でさらに被覆されてもよいが、別の態様においては、可溶性マトリックスまたは不溶性マトリックスは、保護被膜でさらに被覆されなくてもよい。さらなる態様において、保護被膜は、ポリ−Lリジンまたはポリオルニチンで構成されている。
別の態様において、可溶性マトリックスは、アルコール、ケトン、またはアルデヒドを含む分子で構成され、マルトデキストリンなどの糖であってもよい。
また別の態様において、不溶性マトリックスは、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、およびカラギーナンからなる群から選択できる。
一実施形態において、本開示は、組成物内における有害反応から保護するため不安定化合物をカプセル化またはマイクロカプセル化する(交換可能に使用される)方法であって、(a)任意で、該不安定化合物をデンドリマーと反応させてデンドリマー−不安定化合物複合体を生成するステップと、(b)ステップ(a)のデンドリマー−不安定化合物複合体または隔離物質内の該不安定化合物をカプセル化して、カプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体またはカプセル化不安定化合物を生成するステップと、(c)ステップ(c)のカプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体またはカプセル化不安定化合物を、該組成物中の1種または複数種の成分と混合するステップとを含む、方法を提供する。不安定化合物は、エタノールアミン、成長因子、ビタミン、およびサイトカインからなる群から選択されてもよい。
さらなる態様において、マイクロカプセル化またはカプセル化組成物の方法は、細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料を調製するために使用されてもよく、そのうちいずれかは、乾燥培地型であってもよい。好ましい実施形態において、乾燥培地は塊状培地である。様々な態様において、本方法は、可溶性マトリックス内におけるまたは不溶性マトリックス内におけるカプセル化による不安定分子の隔離により得られた不安定分子または化合物を含む培地を使用する。本方法の一態様において、可溶性マトリックスまたは不溶性マトリックスは保護被膜でさらに被覆されてもよいが、別の態様においては、可溶性マトリックスまたは不溶性マトリックスは保護被膜でさらに被覆されていなくてもよい。本方法のさらなる態様において、保護被膜はポリL−リジンまたはポリオルニチンで構成される。本方法の別の態様において、可溶性マトリックスは、アルコール、ケトン、またはアルデヒドを含む分子で構成されてもよく、マルトデキストリンなどの糖であってもよい。
本方法の幾つかの実施形態において、不溶性マトリックスは、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレストン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、およびカラギーナンからなる群から選択できる。
本方法の他の実施形態において、不安定化合物と複合体形成するために使用されるデンドリマーは、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマー、リン酸化デンドリマー、ポリリジンデンドリマー、ポリエチレンイミンデンドリマー、イプチセン(iptycene)デンドリマー、脂肪族ポリ(エーテル)デンドリマー、芳香族ポリエーテルデンドリマー、およびポリプロピルアミン(POP AM)デンドリマーからなる群から選択できる。
特定の態様において、本開示は、細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料の調製のための、上記組成物の使用を対象とする。一態様において、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料は、適切な条件下で細胞の培養のために使用される。その細胞は、所望の産生物を産生する哺乳動物細胞、組換え細胞、組換え哺乳動物細胞であってもよい。好ましい実施形態において、その細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であり、さらなる態様において、CHO細胞は、目的の、または商業的価値のある組換えタンパク質を発現する。
別の実施形態において、本開示は、不安定成分の安定な形態への誘導化によって、または、カプセル化を含むがこれに限定されない方法による不安定成分を隔離することのいずれかによって不安定成分の安定性を増加させるための方法を提供する。したがって、本開示は、例えば、エタノールアミン、ビタミン、成長因子のような不安定成分を含む乾燥型培地の安定性を、低温ではなく室温で長時間増加させるための方法を提供する。本開示は、例えば、ドライアイスが必要でないかまたは冷蔵なしで常温または室温で輸送することができる、エタノールアミン、ビタミン、成長因子などのような不安定成分を含む乾燥型培地の安定性を増加させるための方法を提供する。本開示は、分解を受けやすい化合物の安定した等価物、例えば安定化ポリアミン、または安定化ビタミンなどを含む組成物を含む組成物を提供する。本組成物は、半固体ペースト型、半乾燥型、または乾燥型を含むいずれかの形態であってもよい。乾燥配合物または乾燥型培地において、培地および培地補充物は、乾燥粉末培地(DPM)、塊状の乾燥型(AGT)または先進的粉末培地(APM)のいずれかであってもよい。細胞培養培地は、乾燥型細胞培養培地または液体培地であってもよい。加えて、細胞培養培地は、単一成分の培地、または複数の成分、例えば、2または3種の成分の培地であってもよい。乾燥型培地は、細胞培養の準備ができている細胞培養培地を生成するために溶媒で再構成することができる単一成分培地配合物、または多成分培地配合物であってもよい。幾つかの実施形態において、再構成される配合物は、予め自動pH調節、および、予め自動オスモル濃度調節されていてもよい。このことによって、溶媒で再構成する工程中に酸/塩基またはオスモル濃度を調節する成分をそれ以上培地に添加する必要がなく、それによってエンドユーザにとって再構成を単純なステップにすることを意味する。
本開示はまた、細胞培養培地、医薬品工業、化粧品工業、酵素工業、食品工業におけるような緩衝剤、洗浄剤などの産業用途において、水を処理する方法(腐食の抑制)、塗料工業において、気体などから酸を除去する洗浄剤において使用されるエタノールアミンなどの不安定分子を含む任意の化学組成を含むがこれらに限定されない任意の用途におけるエタノールアミンまたは他の不安定成分を安定化することを対象とする。本明細書において開示される方法および組成物は、分解を起こしやすい化合物を保護するための任意の分野において使用することができ、当業者は、本開示に記載される不安定成分を安定化する方法を他の用途に適応することができる。化合物のマイクロカプセル化は当業界で公知であるが、本開示は、デンドリマーが、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリプロピレンイミンデンドリマー、またはポリプロピルアミン(POPAM)デンドリマーなどを含むがこれらに限定されないデンドリマー−不安定成分複合体をカプセル化する新規の方法を提供する。この方法において、デンドリマーは、エタノールアミンまたはインスリンなどのような敏感な化合物と複合体形成し、次いで、デンドリマー−化合物複合体がカプセル化される。カプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体は、細胞培養培地のような安定化組成物の調製のために使用される。したがって、本開示は、常温での細胞培養培地の保管性、培地の輸送を改善する、カプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体を含む細胞培養培地のような改善された組成物を作製する方法を提供し、長時間にわたるカプセル化複合体からの不安定成分の制御放出を可能にすることができる。
不安定化合物の誘導体化、および/または、隔離(カプセル化、および/または不安定分子−デンドリマーカプセル化におけるように)などの本開示に記載される方法を使用して、不安定化合物は、例えば細胞培養培地などの任意の組成物において保護および/または安定化することができる。したがって、本開示の方法を使用すると、保護された化合物は、同様の組成物中の比較可能な未保護または不安定分子より少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%より安定であり得る。安定性パーセント(%)の測定は、多くの方法によって、例えば、細胞培養の生存細胞密度による尺度またはLCMS分光測定を使用して組成物中の修飾エタノールアミンのような修飾化合物の尺度として、細胞増殖を可能にする保護された/未保護の分子(保護されたエタノールアミン対未保護のエタノールアミン)の能力によって、または組成物などにおけるエタノールアミンの分解%を測定することによって、測定または推量することができる。保護された分子が、高温または低温、放射線(例えば、UV、日光など)への曝露、湿気、ぬれ、極度の乾燥、機械的破砕(輸送中)などの破壊因子に耐え得る場合、同様の条件に曝露される未保護の分子と比較して安定性が向上されたとみなすこともできる。安定性は、上記の任意の1つまたは複数の比較検定法(細胞培養の生存細胞密度、またはLCMS分光測定を使用する組成物中の修飾分子のような修飾化合物の尺度または、分解%の測定によって)で、同様の条件に曝露された未保護の分子より、1.5×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、10×、15×、20×、25×、3×、35×、40×、4×、50×、55×、60×、65×、70×、75×、最大100×まで、安定であると表現することができる。
本開示の一態様において、感受性化合物の安定性は、化合物のアミノ部分でアミド結合を形成することにより、例えばアミノ基で化合物をアセチル化することにより増加される。例えば、エタノールアミンの安定性は、アセチル誘導体、エタノールアミンのアミン基で共有結合を使用することにより増加される。一実施形態において、共有結合はアミド結合である。エタノールアミン誘導体は、Rがアセチル基またはアミノ酸である、下記式を有することができる。
Figure 0006680721
一態様において、感受性化合物の安定性は、感受性化合物を保護するために隔離物質(sequestering agent)を使用することにより増加されることができる。この方法は、交換可能にカプセル化または包埋と呼ぶことができる。隔離物質は、徐々にそれを分解する任意の要素または化合物から離して感受性化合物を「保護する」、「分離する」、「カプセル化する」、「包埋する」任意の剤であってもよい。例えば、エタノールアミンは、有害反応からエタノールアミンを保護する隔離物質内のエタノールアミンをカプセル化することにより安定化することができる。隔離物質は、可溶性カプセル化マトリックスまたは不溶性カプセル化マトリックスであってもよい。
一実施形態において、隔離物質は、糖(例えば、グルコース)、またはその誘導体、またはケト酸を含むがこれらに限定されないケトン含有化合物、またはアルデヒド含有化合物などの可溶性カプセル化マトリックスであってもよい。例えば、隔離物質は、再構成すると水系培地に溶解することができるマルトデキストリンなどのような糖で構成された可溶性、結晶性マトリックスであってもよい。
別の実施形態において、カプセル化マトリックスは、不安定化合物をカプセル化することができる不溶性マトリックス、例えば、アルギナートなどであってもよい。不溶性マトリックスまたはビーズは、水のような溶媒または緩衝剤を用いる再構成でカプセル化不安定物質を溶液へ容易に放出し、例えば濾過によって再構成された培地に対して分別することができる。不溶性マトリックスのカプセル化剤の例は、アルギナート、キトサン、PEGマトリックス、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)、ゼラチンおよびその誘導体、コラーゲンおよびその誘導体、ポリエチレンテレフタラート(PET)、選択透過性材料、膜、樹脂、ゴム、アラビノガラクタン、マルトデキストリン、他のオリゴ糖または多糖類マトリックス、脂質、ワックス、パラフィン、油剤などを含むがこれらに限定されない。さらなる実施形態において、アルギナートなどのカプセル化マトリックスは、不安定化合物のデンドリマー化合物との複合体をカプセル化することができる。不安定化合物−デンドリマー複合体において、デンドリマーは、分解を起こしやすい不安定物質に足場を形成する。可溶性/不溶性マトリックスを用いる不安定化合物−デンドリマー複合体のさらなるカプセル化は、追加の保護層を提供する。さらに、デンドリマー−不安定化合物複合体は、溶媒を用いる再構成で不安定化合物の緩やかな放出をもたらすことができ、これが特定の場合に所望され得る。
カプセルまたはビーズの形成: アルギナートは、例えば、エタノールアミン(または任意の感受性物質)を用いて溶解される架橋ヒドロゲルであり、次いで、この結果として得られた溶液はカルシウム溶液へ滴下され、カプセルを形成する(注射針法)。ビーズを形成する代替法は、スプレー噴霧法による。ビーズは収集され、洗浄されて過剰カルシウムを除去し、乾燥される。乾燥されるとアルギナートは、DPM、APMまたはAGTなどの乾燥粉末培地と混合することができる硬質の、屈折性のビーズを形成し、エタノールアミンが保護される。一実施形態において、カプセル化エタノールアミンのために使用されるアルギナートは、注射針法によって、または別の、スプレー噴霧法のいずれかによってビーズに形成される。スプレー噴霧法はより小さいビーズを生じる。デンドリマー含有エタノールアミンがアルギナート中で同様にカプセル化され、培地が溶媒を用いて再構成される場合、アルギナートおよびデンドリマーはカプセル化物質を溶液へ容易に放出する。カプセルは培地から濾過して除去することができる。
一態様において、エタノールアミンの安定性の増加を有する組成物は、化粧品または薬剤となる。一実施形態において、化粧品組成物または薬学的組成物は、粉末化組成物である。別の実施形態において、化粧品組成物または薬学的組成物は溶液である。
別の態様において、エタノールアミンの安定性の増加を有する組成物は細胞培養培地となる。一実施形態において、細胞培養培地は粉末化細胞培養培地である。別の実施形態において、細胞培養培地は溶液である。この態様は、粉末化または液体の細胞培養培地中のエタノールアミン、ならびにそのような方法によって得られた粉末化または液体の細胞培養培地の安定性を増加させる方法を含む。
一実施形態は、粉末化細胞培養培地中のエタノールアミンの安定性を増加させる方法であって、エタノールアミン誘導体または隔離物質と複合体形成したエタノールアミン(「隔離されたエタノールアミン」)を1種または複数種のアミノ酸を含む粉末化細胞培養培地と混ぜ合わせるステップを含み、1種または複数種のアミノ酸、および該エタノールアミン誘導体または該隔離されたエタノールアミンを含む該粉末化細胞培養培地が、エタノールアミンの安定性の増加を示す、方法を対象とする。特定の実施形態において、本方法は、混ぜ合せるステップの前にエタノールアミンを隔離物質と複合体形成して、隔離されたエタノールアミンを生成するステップをさらに含む。
別の態様において、本開示は、水性細胞培養培地を、エタノールアミン誘導体または隔離物質と複合体形成したエタノールアミン(「隔離されたエタノールアミン」)と混ぜ合せることによって、水性細胞培養培地を調製する方法を提供する。一実施形態において、水性細胞培養培地を調製する方法は、エタノールアミン誘導体または隔離物質と複合体形成したエタノールアミン(「隔離されたエタノールアミン」)を1種または複数種のアミノ酸を含む細胞培養培地溶液と混ぜ合わせるステップを含む。この方法に従って調製された水性細胞培養培地は、任意で乾燥され、エタノールアミン誘導体または隔離されたエタノールアミンを含む粉末化細胞培養培地を生成することができる。別の実施形態において、本開示は、水などの溶媒を、1種または複数種のアミノ酸およびエタノールアミン誘導体、または隔離物質と複合体形成したエタノールアミン(「隔離されたエタノールアミン」)を含む粉末化細胞培養培地と混ぜ合せることによって、水性細胞培養培地を調製する方法を提供する。
同様に、本開示は、本明細書に記載される方法に従って調製された粉末化細胞培養培地を提供する。一実施形態において、粉末化細胞培養培地は、エタノールアミン誘導体または隔離物質と複合体形成したエタノールアミン(「隔離されたエタノールアミン」)および1種または複数種のアミノ酸を含む。粉末化細胞培養培地は、炭水化物(例えば、グルコース)などの他の成分を任意で含む。
特定の実施形態において、細胞培養培地は、エタノールアミン、成長因子、サイトカインなどの1種または複数種の不安定化合物を含有する単一成分培地である。一実施形態において、細胞培養培地はタンパク質を含まない。別の実施形態において、細胞培養培地は、タンパク質を含まず、脂質、水解物または成長因子を含んでいない。幾つかの実施形態において、細胞培養培地は、細菌細胞、酵母菌、植物細胞、藻細胞、または昆虫細胞(例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)細胞、スポドプテラ(Spodoptera)細胞またはイラクサギンウワバ(Trichoplusia)細胞)、線虫細胞(例えば、C. エレガンス細胞)または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、VERO細胞、BHK細胞、AE−1細胞、SP2/0細胞、L5.1細胞、PerC6、ハイブリドーマ細胞、または他のヒト細胞)などの動物細胞の培養に適切であり得る。
別の態様において、本開示は、細胞の培養を支持する条件下で、例えばエタノールアミン誘導体、隔離されたエタノールアミン、隔離された成長因子、隔離されたサイトカインなどの1種または複数種の不安定化合物を含む細胞培養培地と細胞を接触させるステップを含む、細胞を培養する方法を提供する。幾つかの実施形態において、細胞は親細胞であってもよいが、他の実施形態においては、細胞は、目的の遺伝子を担持する組換え細胞または癌細胞などの疾患細胞であってもよい。任意の細胞、例えば、細菌細胞、酵母菌、または藻細胞、植物細胞、または特に動物細胞などの真核細胞を本方法に従って培養することができる。一実施形態において、動物細胞は哺乳動物細胞である。幾つかの実施形態において、培地は、ヒト細胞および/もしくは組織を含む、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、COS細胞、VERO細胞、BHK細胞、AE−1細胞、SP2/0細胞、L5.1細胞、PerC6、ハイブリドーマ細胞を含むがこれらに限定されない哺乳動物細胞、または、他の哺乳動物細胞、ショウジョウバエ細胞、スポドプテラ細胞もしくはイラクサギンウワバ細胞を含むがこれらに限定されない昆虫細胞、C.エレガンス細胞などを含むがこれらに限定されない線虫細胞の培養に使用される。
別の態様は、エタノールアミン誘導体、隔離されたエタノールアミン、隔離された成長因子、隔離されたサイトカインなどの1種または複数種の不安定化合物、および少なくとも1種の上記の細胞などを含む細胞培養培地を含む組成物を提供する。一実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。好ましい一実施形態において、哺乳動物細胞はCHO細胞である。また別の好ましい実施形態において、CHO細胞は、目的の遺伝子を担持する組換えのCHO細胞である。
また別の態様は、細胞の培養に使用されるキットを対象とする。本キットは、例えばエタノールアミン誘導体、隔離されたエタノールアミン、隔離された成長因子、隔離されたサイトカインなどの1種または複数種の不安定化合物、任意で1種または複数種のアミノ酸、を含む細胞培養培地、および1種もしくは複数の細胞または細胞型を含有する1つまたは複数の容器を含んでもよい。さらに、キットは、少なくとも1種の成長因子、少なくとも1種の培地補充物、少なくとも1種の動物組織抽出物、少なくとも1種の動物性器官抽出物、少なくとも1種の動物腺抽出物、少なくとも1種の酵素、少なくとも1種のタンパク質、少なくとも1種のビタミン、少なくとも1種のサイトカイン、少なくとも1種の脂質、少なくとも1種の微量元素、少なくとも1種の細胞外マトリックス成分、少なくとも1種の緩衝剤、少なくとも1種の抗生物質、および少なくとも1種のウイルス阻害薬から選択される少なくとも1種の追加の成分を任意で含んでもよい。
別の態様は、本明細書に記載される培地を使用してウイルスを生産する方法を対象とする。具体的には、本方法は、(a)細胞(例えば、哺乳動物細胞)を、ウイルスによる細胞の感染を促進するのに適切な条件下でウイルスと接触させるステップ、および(b)ウイルス、ウイルス粒子(VLP)またはワクチンの生産を促進するのに適切な条件下において、例えばエタノールアミン誘導体、隔離されたエタノールアミン、隔離された成長因子、隔離されたサイトカインなどの1種または複数種の不安定化合物を含む細胞培養培地中で該細胞を培養するステップを含んでもよい。一実施形態において、細胞は、CHO細胞などの哺乳動物細胞であってもよい。
また別の態様において、本開示は、本明細書に記載される培地を使用して、ポリペプチドを生産する方法を提供する。具体的には、本方法は、細胞によるポリペプチドの発現に適切な条件下で、例えばエタノールアミン誘導体、隔離されたエタノールアミン、隔離された成長因子、隔離されたサイトカインなどの1種または複数種の不安定化合物を含む細胞培養培地でポリペプチドを生産するために遺伝子的に操作された該細胞を培養するステップを含む。一実施形態において、細胞は、CHO細胞などの哺乳動物細胞である。
マイクロカプセル化は、エタノールアミン、ビタミン、成長因子などのような敏感な化合物の保存条件を拡張することができ、低温(例えば、冷蔵またはドライアイス)ではなく室温でのAGT(商標)などのような乾燥培地配合物の輸送と取扱いに好ましい影響を与えることができ、輸送費を低下させることができる。したがって、乾燥型培地中の不安定化合物のマイクロカプセル化は、乾燥型細胞培養培地のより安価な取扱いおよび保管に対する環境保全技術への寄与として考えることができる。
[本発明1001]
保護された不安定分子を含む細胞培養組成物であって、該保護された不安定分子が、該細胞培養組成物中で安定性の向上を示し、該不安定分子がエタノールアミンである、細胞培養組成物。
[本発明1002]
乾燥型細胞培養粉末である、本発明1001の細胞培養組成物。
[本発明1003]
前記エタノールアミンが誘導体化によってまたは隔離によって保護される、本発明1001の組成物。
[本発明1004]
前記誘導体化が、糖アルコール、またはアミノ糖、またはウロン酸、またはリン酸化糖との反応による誘導体化である、本発明1003の組成物。
[本発明1005]
前記糖アルコールが、アリトール、アルトリトール、フルクチトール、ガラクチトール、グルシトール、グリトール、イジトール、マンニトール、ソルビトール、タリトール、タガチトール、アラビニトール、リビトール、リブリトール、キシリトール、キシルリトール、リキシトール、エリトルリトール、エリトリトール、およびトレイトールからなる群から選択される、本発明1004の組成物。
[本発明1006]
前記アミノ糖が、アロサミン、アルトロサミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、グロサミン、イドサミン、マンノサミン、ソルボサミン、タロサミン、タガトサミン、アラビノサミン、リボサミン、リブロサミン、キシロサミン、キシルロサミン、リキソサミン、エリトルロースアミン、エリスロサミン、およびスレオサミンからなる群から選択される、本発明1004の組成物。
[本発明1007]
前記ウロン酸が、アルロン酸、アルトルロン酸、フルクツロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、ソルブロン酸、タルロン酸、タガツロン酸、アラビヌロン酸、リブロン酸、リブルロン酸、キシルロン酸、キシルルロン酸、リキスロン酸、エリトルルロン酸、エリトルロン酸、およびトレウロン酸からなる群から選択される、本発明1004の組成物。
[本発明1008]
前記リン酸化糖が、グリセルアルデヒド3−リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸からなる群から選択される、本発明1004の組成物。
[本発明1009]
前記エタノールアミンの隔離が、可溶性マトリックス内におけるカプセル化によるまたは不溶性マトリックス内におけるカプセル化による隔離である、本発明1003の組成物。
[本発明1010]
前記可溶性マトリックスまたは前記不溶性マトリックスが、保護被膜でさらに被覆されてもよい、本発明1009の組成物。
[本発明1011]
前記保護被膜がポリ−L−リジンまたはポリオルニチンで構成される、本発明1010の組成物。
[本発明1012]
前記可溶性マトリックスが、アルコール、ケトン、またはアルデヒドを含む分子である、本発明1009の組成物。
[本発明1013]
前記可溶性マトリックスが、グルコース、マンノース、フルクトース、マルトデキストリン、およびガラクトースからなる群から選択される六炭糖の糖である、本発明1010の組成物。
[本発明1014]
前記六炭糖の糖がマルトデキストリンである、本発明1009の組成物。
[本発明1015]
前記不溶性マトリックスが、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、およびカラギーナンからなる群から選択される、本発明1009の組成物。
[本発明1016]
エタノールアミン誘導体が、Rがアセチル基またはアミノ酸である下記式:
Figure 0006680721
を有する、本発明1003の組成物。
[本発明1017]
前記エタノールアミン誘導体がN−アセチルエタノールアミン(NAE)である、本発明1016の組成物。
[本発明1018]
細胞培養培地、細胞培養補充物、供給材料、および細胞培養培地濃縮物からなる群から選択される、本発明1001の組成物。
[本発明1019]
1種または複数種の保護された不安定分子を含む細胞培養組成物を作製する方法であって、
(a) 1種または複数種の不安定な分子を誘導体化および/または隔離して、該1種または複数種の保護された不安定分子を生成するステップ、
(b) 該1種または複数種の保護された不安定分子を1種または複数種の細胞培養成分と混合して、該細胞培養組成物を作製するステップ
をさらに含み、
該1種または複数種の保護された不安定分子が、未保護の不安定分子と比較して1種または複数種の細胞培養成分との有害反応を阻止されており、該保護された不安定分子の少なくとも1つがエタノールアミンである、方法。
[本発明1020]
前記不安定分子の誘導体化が、糖アルコール、またはアミノ糖、またはウロン酸、またはリン酸化糖を用いる誘導体化である、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記糖アルコールが、アリトール、アルトリトール、フルクチトール、ガラクチトール、グルシトール、グリトール、イジトール、マンニトール、ソルビトール、タリトール、タガチトール、アラビニトール、リビトール、リブリトール、キシリトール、キシルリトール、リキシトール、エリトルリトール、エリトリトール、およびトレイトールからなる群から選択される、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記アミノ糖が、アロサミン、アルトロサミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、グロサミン、イドサミン、マンノサミン、ソルボサミン、タロサミン、タガトサミン、アラビノサミン、リボサミン、リブロサミン、キシロサミン、キシルロサミン、リキソサミン、エリトルロースアミン、エリスロサミン、およびスレオサミンからなる群から選択される、本発明1020の方法。
[本発明1023]
前記ウロン酸が、アルロン酸、アルトルロン酸、フルクツロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、ソルブロン酸、タルロン酸、タガツロン酸、アラビヌロン酸、リブロン酸、リブルロン酸、キシルロン酸、キシルルロン酸、リキスロン酸、エリトルルロン酸、エリトルロン酸、およびトレウロン酸からなる群から選択される、本発明1020の方法。
[本発明1024]
前記リン酸化糖が、グリセルアルデヒド3−リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸からなる群から選択される、本発明1020の方法。
[本発明1025]
前記不安定分子の隔離が、可溶性マトリックス内におけるカプセル化または不溶性マトリックス内におけるカプセル化による隔離である、本発明1019の方法。
[本発明1026]
前記可溶性マトリックスまたは前記不溶性マトリックスが、保護被膜でさらに被覆されていてもよい、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記保護被膜がポリ−L−リジンまたはポリオルニチンから構成される、本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記可溶性マトリックスが、アルコール、ケトン、またはアルデヒドを含む分子で構成される、本発明1025の方法。
[本発明1029]
前記可溶性マトリックスが糖で構成される、本発明1025の方法。
[本発明1030]
前記糖がマルトデキストリンである、本発明1029の方法。
[本発明1031]
前記不溶性マトリックスが、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、およびカラギーナンからなる群から選択される、本発明1025の方法。
[本発明1032]
組成物内における有害反応から保護するために不安定化合物をカプセル化する方法であって、
(a) 任意で、該不安定化合物をデンドリマーと反応させてデンドリマー−不安定化合物複合体を生成するステップ、
(b) ステップ(a)のデンドリマー−不安定化合物複合体、または隔離物質(sequestering agent)内の該不安定化合物をカプセル化して、カプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体またはカプセル化不安定化合物を生成するステップ、
(c) ステップ(c)のカプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体またはカプセル化不安定化合物を、該組成物中の1種または複数種の成分と混合するステップ
を含む、方法。
[本発明1033]
前記不安定化合物が、エタノールアミン、成長因子、ビタミン、およびサイトカインからなる群から選択される、本発明1032のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1034]
前記組成物が、細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料である、本発明1032のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1035]
前記細胞培養培地、前記細胞培養補充物、または前記細胞培養供給材料が乾燥培地である、本発明1034のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1036]
前記乾燥培地が塊状培地である、本発明1035のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1037]
前記カプセル化が、可溶性マトリックス内または不溶性マトリックス内におけるカプセル化である、本発明1032のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1038]
前記可溶性マトリックスまたは前記不溶性マトリックスが、保護被膜でさらに被覆される、本発明1032のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1039]
前記保護被膜がポリL−リジンまたはポリオルニチンで構成される、本発明1038のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1040]
前記可溶性マトリックスが、アルコール、ケトン、またはアルデヒドを含む分子で構成される、本発明1037のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1041]
前記可溶性マトリックスが糖で構成される、本発明1037のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1042]
前記糖がマルトデキストリンである、本発明1041のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1043]
前記不溶性マトリックスが、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、およびカラギーナンからなる群から選択される、本発明1037のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1044]
前記デンドリマーが、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマー、リン酸化デンドリマー、ポリリジンデンドリマー、ポリエチレンイミンデンドリマー、イプチセンデンドリマー、脂肪族ポリ(エーテル)デンドリマー、芳香族ポリエーテルデンドリマー、およびポリプロピルアミン(POPAM)デンドリマーからなる群から選択される、本発明1032のマイクロカプセル化の方法。
[本発明1045]
細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料を調製するための、本発明1001から1022のいずれかの組成物の使用。
[本発明1046]
適切な条件下で細胞を培養するための、本発明1045の細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料の使用。
[本発明1047]
前記細胞が哺乳動物細胞である、本発明1046の細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料の使用。
[本発明1048]
前記哺乳動物細胞が、所望の産生物を産生する組換え細胞である、本発明1047の細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料の使用。
[本発明1049]
前記細胞がCHO細胞である、本発明1047または1048の細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料の使用。
細胞培養有効性に関して試験した、ホスホリルエタノールアミン(PE)、トリエタノールアミン(TE)、ジエタノールアミン(DE)、モノメチルエタノールアミン(MME)、ジメチルエタノールアミン(DME)、およびN−アセチルエタノールアイン(NAE)を含む一連のエタノールアミン誘導体(X軸)を含有する培地で増殖させた細胞(DG44−EPO)の生存細胞密度(VCD)を示す。NAEおよびPEは、培地中で安定である好ましい誘導体化エタノールアミンであった。詳細は実施例2を参照のこと。 細胞培養有効性に関して試験した、ホスホリルエタノールアミン(PE)、トリエタノールアミン(TE)、ジエタノールアミン(DE)、モノメチルエタノールアミン(MME)、ジメチルエタノールアミン(DME)、およびN−アセチルエタノールアイン(NAE)を含む一連のエタノールアミン誘導体(X軸)を含有する培地で増殖させた細胞(DG44−EPO)の生存細胞密度(VCD)を示す。NAEおよびPEは、培地中で安定である好ましい誘導体化エタノールアミンであった。詳細は実施例2を参照のこと。 誘導体化エタノールアミンであるN−アセチルエタノールアイン(NAE)が、約16〜20×エタノールアミンモル当量で、エタノールアミンに匹敵してエタノールアミンに敏感な株を補充することができる細胞増殖タイトレーションアッセイ法を示す。 任意の所与の試料、例えば細胞培養培地でのLC質量分光測定によってN−アセチルエタノールアイン(NAE)を測定することができることを示す。グラフは、LC質量分光測定によって検出された分析等級の高純度NAEの濃度曲線を示す。 マイクロカプセル化のためにCaClを使用してアルギナートのマイクロビーズを作製し、これが以下の2つの手順を使用して成功裡に形成されたことを示す。i)シリンジおよび針を使用する方法、およびii)ベンチスケールのスプレー噴霧法。スケールアップのために、以下の機器を用いてもよい。カプセル化装置、ジェットカッター(jet cutter)、振動ノズル、静電気発生機またはコアセルベーション混合機。 異なるマイクロカプセル化設定パラメーターの下に生成したアルギナートビーズの特徴を示す。最適なCaClおよびアルギナート濃度が特定された。均質性の試験では、AGT(商標)乾燥型においてマイクロカプセルの偏りはないことを示唆した。1000×で充填したマイクロビーズは、許容されるビーズ特性を与えた。図3Bはまた、不安定物質としてビタミンB12を使用する試験を示す。標準および縮小ビーズは最も良好な結果を示し、さらなる実験のために使用した。 図3B−01の続きを示す図である。 最適なビーズの大きさのさらなる改良が決定した。カプセル化エタノールアミン(2%アルギナートマイクロビーズ内の)の促進貯蔵寿命安定性試験を7日目に実施した。PLLで被覆した、または被覆していないカプセルの結果(分解%)を示す。アルギナートビーズを用いるエタノールアミンのマイクロカプセル化は、温度4℃および30℃での拡張貯蔵寿命安定性試験(7日間)において、エタノールアミン単独の対照と比較して、エタノールアミンの著しくより少ない分解、およびビーズをPLL被覆した場合、はるかに少ない分解(分解は0まで引き下げられた)を示した。標準および縮小マイクロビーズと比較して、より小さいビーズ(スプレー乾燥した)を用いる保護はそれほど望ましくない。結果は、マイクロカプセル化がエタノールアミンを保護し得ることを示す。 安定性試験は、室温で3週間超、最長2か月間の試験でマイクロカプセル化がエタノールアミンを保護したことを示した。 さらなる試験をエタノールアミンのマイクロカプセル化を確証するために行った。促進貯蔵寿命試験では、7日目まで観察し、2%アルギナートマイクロビーズ内のエタノールアミンの安定性を示した。対照エタノールアミンはプロリンと混合した。これらの結果は、エタノールアミンなどの不安定化合物のマイクロカプセル化が、貯蔵寿命を改善し輸送費を低減することができることを示唆する。現在AGT(商標)などのある種の乾燥培地配合物は、国際的にはドライアイスで、または米国内では冷蔵によって輸送されている。改善された保管および取扱い条件は包装廃棄物(グリーン包装)を減少し、輸送費(より少ない重量−環境保全技術)を低減することができる。 DG44−EPO細胞増殖がマイクロカプセル化エタノールアミンによって全面的に支持されることを示す。空のマイクロビーズは細胞増殖を抑制しなかった。さらに、マイクロカプセル化エタノールアミンは、EPOタンパク質を発現する組換えCHO−DG44細胞で見られるように、細胞増殖を抑制しなかった。 マイクロカプセル化デンドリマー成分送達システム。この図は、マイクロカプセル化デンドリマーがどのように作用するかを示す。アルギナートはデンドリマーを保護し、再構成時に敏感な物質と共にデンドリマーを放出する。アルギナートは濾過中に薄膜フィルター上に保持される。一実施形態において、露出したデンドリマーによって、デンドリマーに存在する細胞認識部位の存在のために、エタノーアミンまたは任意の他の分子などの不安定物質が細胞を標的にし、それによって例えば成長因子、ビタミンなどの敏感な物質または低濃度物質の増殖する細胞に対する利用可能性を改善することができる。 図7Aは、デンドリマー(試験物質インスリン含有)のマイクロカプセル化は、非カプセル化デンドリマー(インスリンを含む)、またはインスリン単独と比較して、室温で実質的に安定性を向上した。デンドリマー中のインスリンの有効性は、4℃でインスリン単独のそれと同等である。図7Bは、インスリン−デンドリマー−RGDの共有結合コンジュゲートのマイクロカプセル化のHeLa細胞増殖の増殖への影響。試験では、次の3つのすべての条件、マイクロカプセル化デンドリマービーズ(インスリンを含む)、カプセル化していないデンドリマー(インスリンを含む)、およびインスリン単独がすべて、HeLa細胞の同等の有効性および増殖特性を示した。注:マイクロカプセル化デンドリマービーズ(インスリンを含む)は細胞増殖を抑制しなかった。 リアルタイムの周囲条件保管中のマイクロビーズ保護試験。カプセル化していないエタノールアミンの活性は、AGT(商標)培地中で周囲条件下において急速に低下したが、マイクロカプセル化した場合、何か月もの間強力なままである。 マイクロカプセル化はまたビタミンの安定性を改善する。 マイクロカプセル化はインスリン安定性を改善した。したがって、乾燥型培地での生体分子の保護に潜在能力がある。
詳細な説明
ここで、様々な例示の実施形態が詳細に言及される。以下の詳細な記載は、本開示の特定の実施形態、特色、態様および詳細のより完全な理解を読者に与えるために提供されることが理解されるべきであり、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
1.定義
本開示をより容易に理解することができるように、特定の用語をまず定義する。追加の定義は、詳細な記載の全体にわたって述べられる。
用語「先進的顆粒化技術」またはAGTは、本出願において使用される場合、細胞培養培地を調製する方法であって、濃縮培地成分の水溶液の気中懸濁し摩滅した粉末化培地成分への噴霧、および水の高速蒸発を伴い、大きさが大顆粒で塵を発生しにくいという典型的な特性を有する顆粒状粉末と呼ばれる凝集した顆粒の全体にわたって成分の均一な分布をもたらす、方法を指す。全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Fike et al., Cytotechnology, 2006, 36:33−39を参照のこと。用語「先進的粉末培地」またはAPMは、粒子の大きさがDPM粉末ほど微細でない点で有利な特性を有する乾燥粉末培地型を指す。それは、AGTの有利な特性の幾つかを有している。
用語「感受性化合物」または「敏感な化合物」または「不安定化合物」は、本出願において使用される場合、カプセル化(隔離)によるか、またはアミン部分含有化学物質とN−アセチル結合を形成することによる本開示の本方法を使用して保護されるべき物質、化学物質または化合物を指す。細胞培養培地中のそのような化合物の例は、ビタミン、サイトカイン、成長因子、ペプチド、およびホルモンである。
用語「エタノールアミン誘導体」は、本出願において使用される場合、エタノールアミンのアミン基がアミド結合などの共有結合によって安定化したエタノールアミン化合物を指す。
用語「隔離物質」は、本出願において使用される場合、分解を増強する条件からのまたは以下の他の化学物質からの感受性化学物質または化合物の保護、分離、カプセル化または隔離について言及するものである:アミノ酸など;マンガン、銅などの微量元素;重炭酸ナトリウムおよび他のリン酸ナトリウムなどの無機緩衝剤;MOPS、HEPES、PIPESなどの有機緩衝剤。これらの他の化学物質は、感受性化合物と徐々に反応し、それによって経時的にその望ましい特性を失う。用語「保護する」または「分離する」または「隔離する」または「カプセル化する」は、本開示において交換可能に使用されてもよく、分解条件または分解性化学物質から感受性化学物質または化合物を保護するという概念を伝達する。「可溶性隔離物質」はそれ自体、水性媒体を用いて再構成する際に可溶性であってもよく、ここで、それは「敏感な」カプセル化物質を放出する。または、「不溶性隔離物質」は、水性媒体を用いて再構成する際に不溶性であってもよく、ここで、「敏感な」カプセル化物質を放出した後、再構成された最終生成物から、例えば濾過、傾瀉などの手段によって除去することができる。不溶性隔離物質の例は、アルギナート、ポリL−乳酸(PLL)、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、カラギーナンなどを含むがこれらに限定されない。マイクロカプセル化のために使用することができる他の足場マトリックスは、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ−ホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドンなどを含む。
可溶性隔離物質の例は、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトースのような六炭糖の糖、スクロースのような二糖類、他の可溶性オリゴ糖および可溶性多糖類を含むがこれらに限定されない。
一実施形態において、本組成物は、1種または複数種のアミノ酸およびエタノールアミンを含む細胞培養培地である。細胞培養培地は、好ましくは粉末化細胞培養培地である。一実施形態において、粉末化細胞培養培地は先進的顆粒化技術(AGT)細胞培養培地である。培地はまた、濃縮供給材料補充物、濃縮培地も指し、場合によって、適用できる場合には液体培地も指す。
用語「細胞培養」または「培養」は、本出願において使用される場合、人工的な(例えば、インビトロで)環境での細胞の維持を指す。しかしながら、用語「細胞培養」は総称であり、個々の原核生物(例えば、細菌)または真核生物(例えば、動物、植物および菌類)細胞の培養のみならず、組織、器官、臓器系または全生命体の培養をも包含するように使用することができ、これに対して用語「組織培養」、「器官培養」、「臓器系培養」または「器官型培養」は、用語「細胞培養」と時により交換可能に使用されてもよいことは理解されるべきである。
用語「培養」は、本出願において使用される場合、細胞の活性なまたは無活動の状態における、増殖、分化または継続的な生存を促進する条件下の人工環境中での細胞の維持を指す。したがって、「培養」は、「細胞培養」または上記のその同義語のいずれかと交換可能に使用することができる。
用語「細胞培養培地」、「培養培地(culture medium)」または「培地(medium)」(および各事例において、培地(media))は、本出願において使用される場合、細胞の培養および/または増殖を支持する栄養的な組成物を指す。細胞培養培地は、完全配合物、すなわち、細胞を培養するために補充を必要としない細胞培養培地であってもよいか、不完全配合物、すなわち、補充を必要とする細胞培養培地であってもよいか、または、不完全配合物を補うことができる培地であってもよいか、または完全配合物の場合には、培養もしくは培養結果を改善し得る培地であってもよい。用語「細胞培養培地」、「培養培地」または「培地」(および各事例において、培地(media))は、文脈から他に示されない限り、細胞を用いてインキュベートされていない無調整の細胞培養培地を指す。したがって、用語「細胞培養培地」、「培養培地」または「培地」(および各事例において、培地(media))は、培地の元の成分の多く、ならびに様々な細胞の代謝物および分泌されたタンパク質を含み得る「使用済みの」、または「調整した」培地と区別される。
用語「抽出物」は、本出願において使用される場合、通常機械的に(例えば加圧処理による)、または化学的に(例えば蒸留、沈澱、酵素作用または高濃度の塩処理による)物質を処理することによって形成された物質の成分または物質のサブグループの濃縮した調製品を含む組成物を指す。
用語「エタノールアミン安定性の増加」は、本出願において使用される場合、非誘導体または隔離されていない形態のエタノールアミンを含有する対照組成物と比較して、エタノールアミンのより少ない分解を指す。例えば、粉末化細胞培養培地の状況において使用される場合、用語「エタノールアミン安定性の増加」は、対照培地中にエタノールアミンが非誘導体または非隔離形態で存在する(「対照培地」とする)こと以外同一の成分を有する対照と比較して、エタノールアミンのより少ない分解を指す。対照培地はまた、分散剤として使用されるプロリンなどの1種または複数種の追加の成分を含んでもよい。細胞培養培地が安定性の増加を有するかを測定する目的に合わせて、本出願において使用される場合、エタノールアミンの分解は、異なる温度(例えば、4℃および室温)で7日間粉末化細胞培養培地を保管し、注射用の水(WFI)を用いて粉末化細胞培養培地を再構成し、再構成された細胞培養培地においてエタノールアミンの濃度(mg/L)を測定される。異なる温度で保管された培地中のエタノールアミンの濃度のより小さい差異%は、エタノールアミンのより少ない分解を、したがって安定性の増加を示す。例えば、1種または複数種のアミノ酸およびエタノールアミン誘導体または安定化エタノールアミンを含む粉末化細胞培養培地が、4℃で100mg/Lから室温で95mg/Lのエタノールアミン濃度の低下(5%の差異)を示し、対照培地が4℃で50mg/Lから室温で25mg/Lのエタノールアミンの低下(50%の差異)を示す場合、対照培地よりエタノールアミンのより少ない分解(より小さい差異%)を示すので、1種または複数種のアミノ酸および安定化エタノールアミンを含む粉末化細胞培養培地は、エタノールアミン安定性の増加を有することになる。NAEは、差異の有無を見出すために両方の温度で測定することになる。NAEは、エタノールアミンとは異なる分析判定基準を使用して検出される。図2Aおよび2Bならびに実施例を参照のこと。
用語「原料」は、本出願において使用される場合、細胞増殖を維持または促進するために細胞培養培地において使用することができる、化学的起源であろうとまたは生物学的起源であろうと何らかの化合物を指す。用語「成分」、「栄養素」および「原料」は、交換可能に使用することができ、すべてそのような化合物を指すことを意味する。細胞培養培地に使用することができる典型的な原料は、アミノ酸、塩、金属、糖、炭水化物、脂質、核酸、ホルモン、ビタミン、脂肪酸およびタンパク質などを含む。細胞の培養を生体外で促進または維持する他の原料を、特定の必要性に合わせて、当業者は選択することができる。
用語 「粉末」または「粉末化」は、本出願において使用される場合、水などの溶媒または血清と複合体形成または塊状化していてもいなくてもよい顆粒状で存在する組成物を指す。用語「乾燥粉末」は、用語「粉末」と交換可能に使用することができる。しかし、「乾燥粉末」は、本明細書において使用される場合、単に顆粒状物質の外観全体を指し、特に断らなければ、その物質が複合体形成または塊状化した溶媒を全く含まないということを意味することは意図されない。
用語「隔離物質」は、本出願において使用される場合、エタノールアミンを保護するか、そうでなければエタノールアミン安定性の増加を与える剤を指す。加えて、カプセル化はまた制御放出を提供する。
用語「安定化エタノールアミン」は、本出願において使用される場合、隔離物質と複合体形成したエタノールアミンを指す。
「1×配合物」は、細胞培養培地において見られる一部またはすべての原料を作業濃度で含む何らかの水溶液を指す。「1×配合物」は、例えば、細胞培養培地、またはその培地の原料の任意のサブグループを指すことができる。1×溶液中の原料の濃度は、細胞をインビトロで維持または培養するために使用される細胞培養配合物において見られる原料の濃度とほぼ同じである。細胞のインビトロ培養のために使用される細胞培養培地は、定義によって1×配合物である。幾つかの原料が存在する場合、1×配合物中の各原料は、細胞培養培地中のそれらの原料の濃度とほぼ等しい濃度を有する。例えば、RPMI−1640培地は、0.2g/L L−アルギニン、0.05g/L L−アスパラギン、およびL−アスパラギン酸0.02g/Lを、他の原料は別として、含んでいる。これらのアミノ酸の「1×配合物」は、溶液中にほぼ同じ濃度のこれらの原料を含んでいる。したがって「1×配合物」を指す場合、溶液中の各原料は、記載されている細胞培養培地において見られるものと同じまたはほぼ同じ濃度を有することが意図される。細胞培養培地の1×配合物中の原料の濃度は、当業者に周知されている。全体が参照することによって本明細書に組み込まれるCell Culture Technology for Pharmaceutical and Cell−Based Therapies, 42−50 (Sadettin Ozturk and Wei−Shou Hu eds., Taylor and Francis Group 2006)を参照のこと。しかしながら、オスモル濃度および/またはpHは、特により少数の原料が1×配合物に含まれる場合、培地と比較して1×配合物において異なっていてもよい。
「10×配合物」は、溶液中の各原料が細胞培養培地中の同じ原料より約10倍高濃度である溶液を指すことを意味する。例えば、RPMI−1640培地の10×配合物は、2.0g/L L−アルギニン、0.5g/L L−アスパラギン、および0.2g/L L−アスパラギン酸を、他の原料は別として、含んでいてもよい(上記1×配合物と比較のこと)。「10×配合物」は、1×培地に見られるものの約10倍の濃度で幾つかの追加の原料を含んでいてもよい。即座に明白なように、「5×配合物」、「25×配合物」、「50×配合物」、「100×配合物」、「500×配合物」および「1000×配合物」は、1×細胞培養培地と比較して、それぞれ約5、25、50、100、500または1000倍の濃度の原料を含む溶液を示す。重ねていえば、培地配合物および高濃度溶液のオスモル濃度およびpHは変動し得る。配合物は、特定の細胞培養プロトコールに関して1×の成分または原料を含み得るが、しかし、異なる培養プロトコールまたは異なる基本培地に関しては、例えば、2、2.5、5、6.7、9、12×などの濃度の成分または原料を含み得る。
本開示は、乾燥および液体の形態のエタノールアミンの安定化に関する。一態様は、細胞培養培地、および特に乾燥型(または粉末化)細胞培養培地中のエタノールアミンの安定性を増加させる方法に関する。エタノールアミンは、液体型より乾燥型で不安定である。乾燥型において、エタノールアミンを炭水化物(例えば、グルコース)単独(アミノ酸なし)と混ぜ合せると、結果的にほとんどまたは全くエタノールアミン分解をもたらさない。しかしながら、アミノ酸の存在下では、有意なエタノールアミン分解が、特に高温(例えば30℃)で急速に起る。
本出願人らは、エタノールアミン分解を減少する方法を発見した。これらの方法は、主として細胞培養培地の状況内で例示されるが、エタノールアミン安定性の増加が何らかの乾燥型または半乾燥型において所望される状況において適用することができることが理解される。エタノールアミンが、洗浄剤、薬剤および化粧品などの他の分野において、ならびに水(腐食の抑制)を処理し、気体から酸を除去する方法において使用される場合、当業者は、これらの他の用途においてエタノールアミンを安定化するために本出願中に記載される方法を同様に適応させることができる。
一態様は、エタノールアミンアミン基に共有結合を有するエタノールアミン誘導体の使用によりエタノールアミン安定性を増加させる方法を対象とする。
エタノールアミン安定性を増加させる別の方法は、エタノールアミンと隔離物質との間で複合体形成することを必要としている。一実施形態において、隔離物質は、糖(例えば、グルコース)、もしくはその誘導体、またはケト酸などのケトンまたはアルデヒド含有分子である。別の実施形態において、エタノールアミンは、隔離物質内に包埋またはカプセル化される。
1. アミン基の共有結合
上記のように、エタノールアミンの安定性を増加させるための一方法は、エタノールアミンのアミン基がアミド(またはペプチド)結合などの共有結合によって安定化される、エタノールアミン誘導体を使用することである。アミド結合は、一方の分子のカルボキシル基が他方の分子のアミン基と反応し、それによって水の分子を放出して、2分子間で形成される共有結合である。一実施形態において、エタノールアミン誘導体は、Rがアセチル基またはアミノ酸である次式を有する。
Figure 0006680721
Rがアセチル基である場合、エタノールアミン誘導体はN−アセチルエタノールアミン(NAE)であり、下記構造を有する。
Figure 0006680721
本明細書において例示されるエタノールアミンと同様、アミンを含み、特定の条件で時には敏感であり得る他の物質は、スペルミン、スペルミジン、プトレシン、カダベリン、アナンダミド、ポリリジン、トリリジン、ジアリルジメチル塩化アンモニウム、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチルアミン、ポリブチルアミン、ポリイソブチルアミン、ポリプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N'−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ペンタメチル、ジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1−メチル4−、ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチル−プロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N',N'−ジメチルイソプロピル−プロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチル−ベンジルアミンなどのようなアルカノールアミンまたはポリアミンを含んでもよく、安定化のために本明細書に記載されるアセチル化法をこれらの化合物に同様に適用することができる。
さらに、Rはまた、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンを含むがこれらに限定されない任意のアミノ酸であってもよい。一実施形態において、アミノ酸は無極性の側鎖を有する。別の実施形態において、アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、またはイソロイシンである。
別の実施形態において、エタノールアミン誘導体は、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン(グロタン(Grotan))である。グロタンは、エタノールアミンをホルムアルデヒドと反応させることにより形成することができる。
したがって、本開示の一態様は、組成物中のエタノールアミンの安定性を増加させる方法であって、
本明細書に記載されるエタノールアミンを、例えばアセチル化合物と混ぜ合せるステップ
を含み、N−アセチルエタノールアミンが安定性の増加を示す、方法に関する。別の態様は、本明細書に記載されるエタノールアミン誘導体を含み、エタノールアミン安定性の増加を示す組成物に関する。一実施形態において、本組成物は、1種または複数種のアミノ酸を含む細胞培養培地である。
2. ケトンまたはアルデヒドを含有する分子との相互作用
また、カプセル化剤または隔離物質との相互作用によってエタノールアミンを安定化することも可能であり、ここで、隔離物質は、糖、ケトンまたはアルデヒド含有分子、特に、糖またはケト酸などの代謝経路に関与するものである。このタイプの隔離は、マイクロカプセルが溶質との再構成時に溶解するかまたは実質的に溶解するタイプの保護またはカプセル化を結果としてもたらし、カプセル中の糖、ケトまたはアルデヒドの濃度は、最終の培地利用のために考慮される。いかなる理論によっても束縛されることは意図しないが、ケトンまたはアルデヒド含有分子または糖分子が、エタノールアミンと混ぜ合わせた時、エタノールアミンのまわりに結晶構造を形成し、特にエタノールアミンが乾燥型にある場合、結晶構造は分解からエタノールアミンを保護するのを助けると考えられる。
一実施形態において、隔離物質は糖である。一実施形態において、糖は、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、ソルボース、タロース、もしくはタガトースなどの六炭糖の糖、または糖アルコール、アミノ糖、ウロン酸もしくはリン酸化糖などのその誘導体である。別の実施形態において、糖は、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、もしくはリキソースなどの五炭糖の糖、または糖アルコール、アミノ糖、ウロン酸もしくはリン酸化糖などのその誘導体である。別の実施形態において、糖は、エリトルロース、エリトロースもしくはトレオースなどの四炭糖の糖または糖アルコール、アミノ糖、ウロン酸もしくはリン酸化糖などのその誘導体である。また別の実施形態において、糖は、グリセルアルデヒドもしくはジヒドロキシアセトンなどの三炭糖の糖、または糖アルコール、アミノ糖、ウロン酸もしくはリン酸化糖などのその誘導体である。
エタノールアミンを安定化するために使用することができる糖アルコールは、アリトール、アルトリトール、フルクチトール、ガラクチトール、グルシトール、グリトール、イジトール、マンニトール、ソルビトール、タリトール、タガチトール、アラビニトール、リビトール、リブリトール、キシリトール、キシルリトール、リキシトール、エリトルリトール、エリトリトール、またはトレイトールを含むがこれらに限定されない。エタノールアミンを安定化するために使用することができるアミノ糖は、アロサミン、アルトロサミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、グロサミン、イドサミン、マンノサミン、ソルボサミン、タロサミン、タガトサミン、アラビノサミン、リボサミン、リブロサミン、キシロサミン、キシルロサミン、リキソサミン、エリトルロサミン、エリスロサミン、またはスレオサミンを含むがこれらに限定されない。エタノールアミンを安定化するために使用することができるウロン酸は、アルロン酸、アルトルロン酸、フルクツロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、グルロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸、ソルブロン酸、タルロン酸、タガツロン酸、アラビヌロン酸、リブロン酸、リブルロン酸、キシルロン酸、キシルルロン酸、リキスロン酸、エリトルルロン酸、エリトルロン酸、またはトレウロン酸を含むがこれらに限定されない。エタノールアミンを安定化するために使用することができるリン酸化糖は、グリセルアルデヒド3−ホスファートおよびジヒドロキシアセトンホスファートを含むがこれらに限定されない。
他の実施形態において、糖は、マルトース、ラクトース、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、またはスクロースなどの二糖類である。別の実施形態において、隔離物質は、(1)例えばグルコース、マンノースのような六炭糖などの糖、(2)アセト酢酸などのベータケト酸、または(3)レブリン酸などのガンマケト酸、または(4)ピルビン酸、オキサロ酢酸、グリコール酸、もしくはケトグルタル酸などのアルファケト酸、または(5)マルトデキストリン、他のオリゴ糖もしくは多糖類、ゴム、アラビノガラクタンなどのような糖様の誘導体を含むがこれらに限定されないケト酸または糖である。
エタノールアミンとケトンまたはアルデヒドを含有する分子との間の複合体は、水にエタノールアミンを溶解し、次いで、所与の重量のケトンまたはアルデヒドを含有する分子に添加することにより形成することができる。エタノールアミン/ケトンまたはアルデヒド/糖/糖誘導体/水混合物は、それがペースト状のコンシステンシーを形成するまでスパチュラなどの器具で練られる。そのペーストは平らに広げ、フードの下で終夜乾燥し、任意で次に、デシケーターで最終乾燥する。乾燥した混合物は、粉末化細胞培養培地などの他の組成物とそれをブレンドする前に所望の粒度分級規格でフィッツミルに任意でかけられる。グルコースのような糖がカプセル化マトリックスの一部である場合、マトリックスの調製のためにグルコースの一部のみが使用され、培地の再構成時のグルコースの最終濃度が理想的濃度に維持されるようにグルコース濃度は調節される。
一態様において、本開示は、組成物中のエタノールアミンの安定性を増加させる方法であって、
隔離物質と複合体形成したエタノールアミン(「隔離されたエタノールアミン」)を該組成物と混ぜ合せるステップ
を含み、該隔離されたエタノールアミンを含む該組成物がエタノールアミン安定性の増加を示し、かつ該隔離物質が、本明細書に記載されるケトンまたはアルデヒド含有分子を含む、方法に関する。本方法は、混ぜ合せるステップの前に、エタノールアミンをケトンまたはアルデヒド含有分子と複合体形成して隔離されたエタノールアミンを生成するステップを任意でさらに含む。一実施形態において、ケトンまたはアルデヒド含有分子は、糖もしくはその誘導体、またはケト酸である。一実施形態において、本組成物は、1種または複数種のアミノ酸を含む細胞培養培地である。細胞培養培地は、好ましくは粉末化細胞培養培地である。一実施形態において、粉末化細胞培養培地は、先進的顆粒化技術の細胞培養培地である。ケトンまたはアルデヒド含有分子がエタノールアミン安定性を増加させる能力は、本出願において開示される方法を含む、当業界で公知の技法を使用して評価することができる。
別の態様は、エタノールアミン安定性の増加を示す、本明細書に記載されるケトンまたはアルデヒド含有分子を含む組成物に関する。一実施形態において、ケトンまたはアルデヒド含有分子は、糖もしくはその誘導体、またはケト酸である。一実施形態において、本組成物は、1種または複数種のアミノ酸を含む細胞培養培地である。一実施形態において、細胞培養培地は炭水化物をさらに含む。別の実施形態において、細胞培養培地はタンパク質を含まない。細胞培養培地は、好ましくは粉末化細胞培養培地である。一実施形態において、粉末化細胞培養培地は、先進的顆粒化技術の細胞培養培地である。
3. カプセル化
エタノールアミンまたは他の不安定な培地化合物を安定化する別の方法は、隔離物質内にそれらをカプセル化または包埋することである。いかなる理論によっても束縛される意図はないが、別の分子内のエタノールアミンなどの敏感な成分をカプセル化または包埋することにより、エタノールアミンの分解を促進するかまたはその安定性を減少する他の成分または条件とエタノールアミンとの直接的な接触を減少するように考えられる。自動システムまたは制御可能なシステムは、カプセル化プロセスにも、例えば、カプセル化装置、静電気ビーズ発生機、振動ノズル法、ジェットカッター技術などを使用する共押出しにも利用可能である。ビーズの機能特性に影響を与え得るパラメーターは、マイクロカプセル濃度、CaCl%、アルギナート%、放出速度、溶解性、乾燥プロトコール、ミクロビーズの大きさ、均質性、エタノールアミン保護、被覆手順(PLLなど)などを含み得る。
本出願人らは、マイクロカプセル化法によってエタノールアミン分解を減少する方法を発見した。これらの方法は、エタノールアミン安定化の状況内で主として例示されるが、安定化される必要のあるいかなる感受性の化学物質または化合物を安定化するためにも使用することができる。特に、細胞培養培地中での安定性の状況は、この事例および実施例において言及されている。しかし、マイクロカプセル化法は、ビタミン、不安定なアミノ酸、サイトカイン、成長因子、敏感で貴重なタンパク質またはペプチドなどを含むがこれらに限定されない任意の感受性化合物を安定化するために、および安定化した化合物の増強した送達のために使用することができ、細胞培養培地の開発を越えた分野に応用することができることが理解される。例えば、デンドリマーのカプセル化は、工業分野、薬剤(薬物送達)、栄養補助食品、食品補充物、ビタミンに富む配合物、化粧品工業、酵素工業、食品工業におけるような緩衝剤、洗浄剤などに適用可能であり得る。これらの方法および組成物が他の分野で使用することができるように、当業者は、他の応用分野において他の感受性化合物または分解を起こしやすい化合物を安定化するために本出願に記載される方法を同様に適応させることができる。
一実施形態において、アルギナートのような隔離物質は、エタノールアミンデンドリマー複合体をカプセル化または包埋するために使用される。デンドリマーは、規定された構造的特性および分子量特性を与えるために制御された連続法を使用して作製することができる高度分岐合成高分子である。Astruc et al., Chem. Rev. 2010, 110:1857−1959に概説され、これはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。デンドリマーは、中心コア、繰り返し分岐および表面官能基を有する。繰り返し分岐は、世代と呼ばれる一連の同心層において組織化されている。表面官能基の数、デンドリマーの分子量および大きさは、ポリマーの世代(層数)の関数として指数関数的に増加し、合成中に制御することができる。異なる種類のデンドリマーは、重合工程を開始するコア構造に基づいて合成することができる。本開示のマイクロカプセル化デンドリマーは、図6に記載されている。一実施形態において、デンドリマーは、カプセル中、例えばアルギナート中でカプセル化される。アルギナートは、デンドリマーを保護し、再構成すると敏感な物質と共にデンドリマーを放出する。アルギナートは、濾過中に薄膜フィルター上に保持される。露出したデンドリマーにより、デンドリマーに存在する細胞認識部位の存在のために、敏感な物質が細胞を標的にし、それによって例えば成長因子、ビタミンなどの敏感な物質または低濃度物質の細胞に対する利用可能性を改善することができる。当業者の知るところであろうが、アルギナートに加えて任意のカプセル化剤を、デンドリマーを保護するために使用してもよく、それは、例えば、アルギナート、ポリL−乳酸(PLL)、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、可溶性キサンタンガム、グアーゴム、水、セルロース誘導体、カラギーナンなどである。マイクロカプセル化のために使用されてもよい他の足場マトリックスは、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレストン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドンなどを含む。
デンドリマーのコア構造は、全体形状、密度および表面官能基などの分子の幾つかの特性を示す(Tomalia et al., Chem. Int. Ed. Engl., 1990, 29:5305)。球形デンドリマーは、一般に、三価開始剤コアとしてアンモニア、または四価開始剤コアとしてエチレンジアミン(EDA)を有する。最近記載された棒形デンドリマー(Yin et al., J. Am. Chem. Soc, 1998, 120:2678)は、長さが変動する、つまりコアが長いほど棒が長い、ポリエチレンイミンの直鎖状コアを使用している。デンドリマー巨大分子は、キログラム量で市販されており、ある種の生物工学用途のために現在の適正製造工程(GMP)の下で製造することができる。
デンドリマーは、一般に収束的または発散的経路によって合成される。発散的経路において、組み立ては中心コアから始まり、一連の反応によって外側に延長する。追加の一連の反応はそれぞれ、より高世代のデンドリマーをもたらす。収束的経路において、組み立ては周辺で始まり、内側へ構築され最終的には分岐はコアに結合される。デンドリマーはまた、クリック化学によって(例えば、米国特許出願公開第20050222427号およびPCT/US03/17311参照、これらの両方は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)、ディールス・アルダー反応、チオール−エン反応、およびアジド−アルキン反応を使用して合成することができる。Franc et al., Chem. Eur. J. , 2009, 15(23):5631−39;Killops et al., J Am. Chem. Soc, 2008, 130(15):5062−64;Franc et al., Chem. Comm., 2008, 5267−76;およびCarlmark et al., Chem. Soc. Rev., 2009, 38:352−62を参照のこと。これらのすべては、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
デンドリマーは、超分子化学、電気化学、光化学、ナノ粒子合成、汚染管理、色素着色、単分子膜調製、エポイ樹脂の硬化、触媒作用、薬物送達、および遺伝子導入を含む多くの分野において使用されている。Cheng, et al., J. Pharm.Sciences, 2008, 97:123−43.デンドリマーは、通常、治療薬分子などの化合物をカプセル化するために使用することができる空の内部空洞または開放性の構造(低世代デンドリマーの場合)を有する。表面官能基の存在はまた、カプセル化化合物の溶解性を向上させるのを助ける。
多数の米国特許が、デンドリマーの作製のための方法および組成物を記載している。幾つかの例示の特許は、本出願に記載される方法および組成物において有用であり得るデンドリマー組成物の例として以下に提供される。これらの特許は単に例証となる例であり、多数の他の同様なデンドリマー組成物を、本出願に記載される方法および組成物において使用することができる。
米国特許第4,507,466号、米国特許第4,558,120号、米国特許第4,568,737号、および米国特許第4,587,329号はすべて、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、従来の星形高分子より高い末端密度を有する密集星形高分子を作製する方法を記載している。これらのポリマーは、従来の星形高分子、すなわち、第3世代の密集星形高分子より高い/より均一な反応性を有している。これらの特許には、アミドアミンデンドリマーの性質およびデンドリマーの3次元的分子直径がさらに記載してある。
米国特許第4,631,337号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、加水分解に対して安定なポリマーを記載している。米国特許第4,694,064号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、棒形のデンドリマーを記載している。米国特許第4,713,975号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、ウイルス、細菌および酵素を含むタンパク質の表面を特性評価するための密集星形高分子およびその使用を記載している。架橋した密集星形高分子は、米国特許第4,737,550号に記載されており、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。米国特許第4,857,599号および米国特許第4,871,779号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、イオン交換樹脂、キレート化樹脂、およびそのようなポリマーを作製する方法として有用な、固定化コア上の密集星形高分子を記載している。
米国特許第5,338,532号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、少なくとも1単位の担持された農業用の、薬学的なまたは他の物質と会合したデンドリマーの星状に破裂したコンジュゲートを対象とする。この特許は、単位ポリマー当たり高濃度の担持された物質の送達、制御送達、標的送達および/または多くの種類、例えば、薬物抗生物質、一般的および特異的な毒素、金属イオン、放射性核種、シグナル発生体、抗体、インターロイキン、ホルモン、インターフェロン、ウイルス、ウイルス破片、農薬、ならびに抗菌剤などの手段を提供するためのデンドリマーの使用を記載している。
他の有用なデンドリマー型の組成物は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,387,617号、米国特許第5,393,797号、および米国特許第5,393,795号に記載されており、密集星形高分子は、疎水性の外殻を与えることができる疎水基で覆うことによって修飾される。米国特許第5,527,524号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、抗体コンジュゲート中のアミノ末端デンドリマーの使用を開示している。
金属イオン担体としてデンドリマーの使用は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,560,929号に記載されている。米国特許第5,773,527号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、櫛状に破裂した構造を有する非架橋の多分岐ポリマー、およびそれを作製する方法を開示している。米国特許第5,631,329号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、分岐から保護された第1の組の分岐高分子を形成し、コアにグラフト化し、第1の組の分岐高分子を脱保護し、次いで分岐から保護された第2の組の分岐高分子を形成し、第1の組の分岐高分子を有するコアにグラフト化する、などによって高分子量の多分岐ポリマーを作製する方法を記載している。
米国特許第5,902,863号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、親油性有機シリコーンおよび親水性ポリアニクロアミンのナノスコピック領域を含有するデンドリマー網目構造を記載している。網目は、内側にPAMAM(親水性)またはポリプロイレンイミン、および外側層に有機ケイ素を有するデンドリマーコポリマー前駆体から調製される。
米国特許第5,795,582号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、インフルエンザ抗原用の助けとしてのデンドリマーの使用を記載している。米国特許第5,898,005号および米国特許第5,861,319号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、分析種の濃度を求める特異的免疫結合アッセイ法を記載している。米国特許第5,661,025号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、標的部位に対するヌクレオチドの送達において助けになるデンドリマーポリカチオンを含む自己集合性ポリヌクレオチド送達システムの詳細を提供する。
米国特許第6,471,968号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれ、特異的官能基をそれぞれ有する2種またはそれ以上のデンドリマー、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーおよびポリプロピルアミン(POPAM)デンドリマーを含むデンドリマー複合体などのデンドリマー単一複合体の組み合わせを記載している。
一実施形態において、本出願に記載される方法において使用されるデンドリマーは、ポリアミドアミンである。ポリアミドアミン、またはPAMAMは、生物学的分野において最も一般に使用されるデンドリマーの1つであり、Starburst(商標)PAMAMデンドリマーを販売しているDendritech Nanotechnologies Inc.を含む幾つかの供給源から市販されている。本出願に記載される方法において使用することができる他のデンドリマーは、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマー、亜リン酸デンドリマー、ポリリジンデンドリマー、ポリプロピルアミン(POPAM)デンドリマー、ポリエチレンイミンデンドリマー、イプチセンデンドリマー、脂肪族ポリ(エーテル)デンドリマー、または芳香族ポリエーテルデンドリマーを含むがこれらに限定されない。エタノールアミン安定性を増加させるデンドリマーの能力は、本出願において開示される方法を含む、当業界で公知の技法を使用して評価することができる。
別の実施形態において、エタノールアミンをカプセル化または包埋するために使用される隔離物質は、マイクロカプセル、例えば、アルギナートである。マイクロカプセルは、薬物送達、ならびに細胞増殖および生存率を向上させるための細胞培養において増殖する細胞の固定化を含む多くの目的のために使用されている。例えば、Serp et al., Biotechnology and Bioengineering, 2000, 70(l):41−53;Breguet et. al., Cytotechnology, 2007, 53:81−93;Chayosumrit et al., Biomaterials, 2010, 31:505−14;米国特許第7,482,152号および米国特許第7,740,861号参照、これらはそのすべてが参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、マイクロカプセルは、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、可溶性キサンタンガム、グアーゴム、水、セルロース誘導体、およびカラギーナンから選択される物質で構成される。マイクロカプセルは、典型的には2mmまたはそれ未満の直径、通常0.05〜1.5mmの範囲内の直径を有する球状微粒子である。マイクロカプセルがエタノールアミン安定性を増加させる能力は、本出願において開示される方法を含む、当業界で公知の技法を使用して評価することができる。
マイクロカプセル化エタノールアミンを形成した後、マイクロカプセルに追加の層を与えるために様々な溶液を施すことができる。例えば、マイクロカプセル化エタノールアミンをポリL−リジンまたはポリオルニチンで被覆し、任意で続いて、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、可溶性キサンタンガム、グアーゴム、水、セルロース誘導体、およびカラギーナンから選択される物質で外塗りすることができる。
一実施形態において、マイクロカプセルはアルギナートを含む。典型的には、アルギナートマイクロカプセルは、ポリアニオンアルギナートと塩化カルシウムなどの二価または三価のポリカチオンとの間で架橋することにより形成される。塩化マグネシウム、塩化バリウム、および硫酸アルミニウムなどの二価または三価のカチオンを有する他の塩を使用することができる。一実施形態において、アルギナートマイクロカプセルは、ポリL−リジンまたはポリオルニチンなどの被膜をさらに含む。
一態様において、本開示は、組成物中のエタノールアミンの安定性を増加させる方法であって、
隔離物質と複合体形成したエタノールアミン(「隔離されたエタノールアミン」)を組成物と混ぜ合せるステップ
を含み、該隔離されたエタノールアミンを含む該組成物が、エタノールアミン安定性の増加を示し、かつ該隔離物質が、本明細書に記載されるデンドリマーまたはマイクロカプセルを含む、方法に関する。本方法は、混ぜ合せるステップの前に、エタノールアミンをデンドリマーまたはマイクロカプセルと複合体形成して隔離されたエタノールアミンを生成するステップを任意でさらに含む。
一実施形態において、マイクロカプセルは、アルギナート、ポリL−乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、およびカラギーナンから選択される物質で構成される。マイクロカプセルは、例えば、ポリL−リジンまたはポリオルニチンで任意に被覆される。別の実施形態において、デンドリマーは、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリプロピレンイミンデンドリマー、またはポリプロピルアミン(POPAM)デンドリマーである。一実施形態において、本組成物は、1種または複数種のアミノ酸を含む細胞培養培地である。細胞培養培地は好ましくは粉末化細胞培養培地である。一実施形態において、粉末化細胞培養培地は、先進的顆粒化技術の細胞培養培地である。エタノールアミンを安定化するデンドリマーまたはマイクロカプセルの能力は、本出願において開示される方法を含む、当業界で公知の技法を使用して評価することができる。
本開示は、任意の不安定物質、例えば、エタノールアミンなどの不安定な物質を保護するための、敏感な成分あるいは複数成分を含むマイクロカプセルまたはデンドリマー−不安定成分あるいは成分複合体を含むマイクロカプセルを含む組成物に関する。これらのマイコルカプセルまたはマイクロカプセル/デンドリマー組成物は、乾燥しかつ任意の乾燥型組成物と混合されて、常温などで貯蔵寿命を延ばし、保管性を増大し、不安定物質を保存することができる。好ましい実施形態において、マイクロカプセルおよび/またはデンドリマー組成物は、エタノールアミン安定性の増加を示し、かつ、乾燥され、例えばAGT、DPM、APMなどの任意の乾燥型培地組成物と混合して、常温などで貯蔵寿命を延ばし、保管取扱い性を増大し、乾燥粉末培地中のエタノールアミンを保存する。一実施形態において、乾燥培地組成物は、培地供給材料または培地補充物などにおいて1種または複数種のアミノ酸をより高濃度で含む。一実施形態において、デンドリマー組成物をさらに含む細胞培養培地は、特定の不安定物質または細胞を標的にした物質を効率的に細胞に特異的に送達することができる。好ましい実施形態において、不安定物質または標的物質は、それが標的にする細胞に作用する。一実施形態において、その作用は、細胞増殖、タンパク質産生の増加、耐浸透圧性の増加、または、細胞標的もしくは不安定物質を必要とする他の所望の特性であってもよい。
安定化エタノールアミン(不安定物質)の検出は、NAEに関するLS質量分光測定(LS−MS)(図2B)により、ふるい分けまたは他の手段による乾燥したカプセルまたはビーズの分離、次いで、溶媒にビーズを溶解することによって行うことができる。ビーズが不溶性の場合、濾過して除去することができるが、ビーズが可溶性である場合、薄膜フィルター上には何も残らない。しかし、両事例とも、上澄み中の不安定物質、例えばエタノールアミンは、LS−MSによって検出することができる。
細胞培養培地
細胞培養培地は幾つかの原料で構成され、これらの原料は培養培地毎に変動する。細胞培養培地は、完全配合物、すなわち、細胞を培養するために補充を必要としない細胞培養培地であってもよく、不完全配合物、すなわち、補充を必要とする細胞培養培地であってもよいか、または、不完全配合物を補うために使用される補充物であってもよいか、または完全配合物の場合には、培養または培養結果を改善し得る補充物であってもよい。
一般に、再構成すると、細胞培養培地は、溶質が溶媒に溶解される。溶質は、細胞膜(または壁)を越えて浸透圧を均衡させる浸透力を与える。加えて、溶質は細胞に栄養素を提供する。幾つかの栄養素は、細胞の活動のための化学的燃料になり、幾つかの栄養素は、細胞が同化作用において使用する原材料になり得、幾つかの栄養素は、細胞の代謝を容易にする酵素または担体などの機構になり得、幾つかの栄養素は、細胞が使用するための原料と結合および緩衝するか、または有害な細胞産生物を結合または隔離する結合剤となり得る。
細胞および細胞の意図する使用に応じて、細胞培養培地の原料は、細胞培養性能を最適化するために均衡のとれた濃度で最適に存在する。性能は、1つまたは複数の所望の特性、例えば、細胞数、細胞質量、細胞密度、O消費、グルコースまたはヌクレオチドなどの培養原料の消費、生体分子の産生、生体分子の分泌、廃棄産生物または副生物、例えば代謝物の形成、指標またはシグナル分子などへの活性に従って測定される。それにより、各原料または原料の選択は、好ましくは意図する目的に合わせて作業濃度に最適化される。
基本培地は、通常、細胞培養の維持のために使用され、アミノ酸、ビタミン、有機および無機塩、糖および他の成分を含む幾つかの原料を含むことができ、各原料はインビトロの細胞の培養を支持する量で存在する。
安定化エタノールアミンを含む本明細書に記載される培地は、1×配合物であってもよいか、または、例えば、5×、10×、20×、50×、500×もしくは1000×培地配合物として濃縮されていてもよい。個別の培地原料が別個の濃縮溶液として調製されている場合、適した(十分な)量の各濃縮液を、1×培地配合物を作製するために希釈剤と混ぜ合わせる。通常、使用される希釈剤は水であるが、水性緩衝剤、水性食塩水、または他の水溶液を含む他の溶液を使用することができる。培地は、追加の成分を添加する必要がある基本培地、または追加の添加剤を必要とせず、再構成されると細胞を増殖することができる完全培地であってもよい。
安定化エタノールアミンを含む、本明細書に記載される培地はまた、乾燥粉末培地(DPM)、または水、ビタミン溶液、塩溶液、脂質溶液、または1種もしくは複数の培地成分、または血清および/もしくは成長因子さえ含む任意の溶媒などの溶媒と複合体形成または塊状化した先進的顆粒化調製法(AGT)などの異なる型において、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,383,810号に記載されているような流動層装置によって、またはそうでなければ先進的顆粒化技術−AGT(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用して調製することができる。全体が参照によって本明細書に組み込まれるFike et al., Cytotechnoloy, 2006, 36:33−39を参照のこと。またこれは、先進的粉末培地(APM, Life Technologies, CA)型で調製することができる。APMは、重炭酸ナトリウムなどの添加が必要でなくpH調節が自動的でありまた必要としないという点で、AGT(塊状化培地:先進的顆粒化技術)の有利な幾つかの特性を有する乾燥粉末培地型である。培地はまた、濃縮供給材料補充物、濃縮培地、および、場合によって、適用できる場合には液体培地も指す。
一実施形態において、安定化エタノールアミンを含む乾燥粉末から再構成された培地は、そこに安定化エタノールアミンを含む自動pHおよび/または自動オスモル濃度培地を結果としてもたらし、追加のpHまたは塩濃度の調節なしで特定の細胞型を増殖するのに適切な所望のpHおよびオスモル濃度を自動的に達成することに寄与する緩衝剤濃度および/または塩濃度を均衡させる。
別の実施形態またはさらなる実施形態において、安定化エタノールアミンを含む乾燥粉末から再構成された培地は、化学的に規定された細胞培養培地を結果としてもたらす。培地タンパク質が存在すると、組換えタンパク質の精製が困難になり、時間浪費的で高価になり、また産生物の収量および/または純度が低下し得る。したがって、一実施形態において、細胞培養培地は、血清を含まず、タンパク質を含まず、なおかつそれが特定の細胞の種類型を支持することができるように完全である。その代わりに、乾燥粉末から再構成された培地は、血清を含まないが、植物、酵母、藻、菌、または例えば細菌、菌、植物、酵母、藻などの組換えの供給源からのような1種または複数種の非動物由来の供給源(動物起源を含まない−AOF)に由来するタンパク質を、水解物の形態で、または精製されたタンパク質または水解物分画の形態で含んでもよい。他の事例において、血清を含まない培地は、それでもなおアルブミン、フェチュイン、様々なホルモンおよび他のタンパク質を含む1種または複数種の様々な動物由来の成分を含んでもよい。別の実施形態において、培地または培地補充物は、タンパク質を含まず、さらに、脂質、水解物、または成長因子を含まない。
安定化エタノールアミン、またはカプセル化エタノールアミン、またはカプセル化デンドリマーエタノールアミンなどの保護された不安定分子を含む本開示の培地または補充物は、それらが細胞の増殖にとって有毒でない限り、細胞の半回分培養のために使用することができる(実施例を参照のこと)。細胞の半回分培養は通常、細胞濃度を増加するための、および高い産生物濃度および体積当たりの生産性のための培養寿命を延長するためのタンパク質などの生体分子の工業的生産のために使用される。半回分培養は、グルコースなどの1種または複数種の栄養素、または供給材料の基本培地への制御した添加を必要とする。使用される栄養素または供給材料は、本開示上記の保護された不安定分子を含んでもよい。栄養素は、栄養素の減損または蓄積および副生物の蓄積の阻止により細胞培養の増殖を制御するのを助け、それによって、最適な産生物発現のためにオスモル濃度およびCO濃度などの重要なパラメーターを、細胞増殖を促進するかまたは細胞死を最小限に抑える水準以内に、維持することができる。
細胞およびウイルス
本明細書に記載されるエタノールアミン誘導体または隔離物質で保護されたエタノールアミンを含有する培地は、様々な細胞を培養するために使用することができる。一実施形態において、培地は、哺乳動物細胞、魚類細胞、昆虫細胞、藻細胞、両生類細胞または鳥類細胞などの植物または動物細胞を含む真核細胞を培養するために、またはウイルス、ウイルス様粒子を作製するために使用される。
本明細書に記載された培地で培養することができる哺乳動物細胞は、主要な上皮細胞(例えば、角化細胞、頚部上皮細胞、気管支上皮細胞、気管上皮細胞、腎臓上皮細胞および網膜上皮細胞)および樹立細胞系およびそれらの株(例えば、293胎生腎細胞、BHK細胞、HeLa頚部上皮細胞およびPER−C6網膜細胞、MDBK(NBL−1)細胞、911細胞、CRFK細胞、MDCK細胞、CHO細胞、BeWo細胞、Chang細胞、Detroit562細胞、HeLa229細胞、HeLaS3細胞、Hep−2細胞、KB細胞、LSI80細胞、LS174T細胞、NCI−H−548細胞、RPMI 2650細胞、SW−13細胞、T24細胞、WI−28 VA13、2RA細胞、WISH細胞、BS−C−I細胞、LLC−MK2細胞、クローンM3細胞、1−10細胞、RAG細胞、TCMK−1細胞、Y−l細胞、LLC−PK1細胞、PK(15)細胞、GH1細胞、GH3細胞、L2細胞、LLC−RC256細胞、MH1C1細胞、XC細胞、MDOK細胞、VSW細胞、およびTH−I、Bl細胞、またはその誘導体)、任意の組織または器官からの線維芽細胞(心臓、肝臓、腎臓、大腸、腸、食道、腹部、神経組織(脳、脊髄)、肺、維管束組織(動脈、静脈、毛細管)、リンパ組織(リンパ腺、アデノイド、扁桃腺、骨髄、および血液)、脾臓を含むがこれらに限定されない)、および線維芽細胞および線維芽細胞様細胞株(例えば、CHO細胞、TRG−2細胞、IMR−33細胞、Don細胞、GHK−21細胞、シトルリン血症細胞、Dempsey細胞、Detroit551細胞、Detroit510細胞、Detroit525細胞、Detroit529細胞、Detroit532細胞、Detroit539細胞、Detroit548細胞、Detroit 573細胞、HEL299細胞、IMR−90細胞、MRC−5細胞、WI−38細胞、WI−26細胞、MiCll細胞、CHO細胞、CV−1細胞、COS−1細胞、COS−3細胞、COS−7細胞、Vero細胞、DBS−FrhL−2細胞、BALB/3T3細胞、F9細胞、SV−T2細胞、M−MSV−BALB/3T3細胞、K−BALB細胞、BLO−11細胞、NOR−10細胞、C3H/IOTI/2細胞、HSDM1C3細胞、KLN205細胞、McCoy細胞、マウスL細胞、株2071(マウスL)細胞、L−M株(マウスL)細胞、L−MTK−(マウスL)細胞、NCTCクローン2472および2555、SCC−PSA1細胞、Swiss/3T3細胞、インドムンチャク細胞、SIRC細胞、CII細胞、およびJensen細胞、またはその誘導体)を含む。
藻細胞を含む真核細胞もまた、安定化エタノールアミンを含む本開示の培地組成物で培養し、増殖およびバイオ燃料生産に適切な条件下でバイオ燃料を製造することができる。
本明細書に記載される培地に支持される細胞はまた、任意の動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはマウスまたはヒトに由来してもよい。本明細書において開示される方法に従って培養される細胞は、正常細胞、異常細胞、形質転換細胞、突然変異細胞、体細胞、生殖細胞、幹細胞、前駆細胞または胚細胞であってもよく、このいずれかは、樹立細胞株もしくは形質転換細胞株、または天然起源から得られるものであってもよい。細胞は、実験目的または有用成分の生産のために使用されてもよい。
一実施形態において、本明細書に記載される培地は、CHOS、CHOK1、DG44、RevOなどのような組換えのCHO細胞またはCHO由来の細胞株を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培養するために使用される。CHO細胞という用語は、組換えのCHO細胞、および記載されるすべてのCHOに由来する細胞株に対する言及を含む。CHO細胞は、チャイニーズハムスター卵巣に由来する上皮と線維芽細胞の両方として分類されている。チャイニーズハムスター卵巣(CHO−K1) (Kao, F.−T. And Puck, T. T., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 60 :1275−1281 (1968)から始められた細胞株は、長年培養されてきたが、その同一性は未だ確立されていない。ほとんどの生物薬剤は、現在、ヒトのようなグリコシル化パターン、ヒトウイルスの正確な翻訳後修飾および伝達に関する低い危険性などの、細胞株が有する多くの利点のために、CHO細胞においてタンパク質を生じさせる。
細胞の培養
本明細書に記載される培地に支持される細胞は、本研究者によって決定された実験条件に従って培養することができる。所与の動物細胞型のための最適なプレーティングおよび培養条件を、型通りの実験を使用するだけで当業者は決定することができることは理解されるはずである。本明細書に記載される細胞培養培地を使用する、型通りの単層培養条件に関しては、細胞は、接着因子を含まない培養容器の表面に平板培養することができる。代替として、容器は、天然、組換えもしくは合成接着因子、またはペプチド破片(例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニンなど、またはその天然もしくは合成破片)で前もって被覆することができ、これらは、例えば、Life Technologies, Corp. (Carlsbad, CA R&D Systems, Inc. (Rochester, Minnesota)、Genzyme (Cambridge, Massachusetts)およびSigma (St. Louis, Missouri)から市販されている。細胞はまた、予備形成されたコラーゲンゲルまたは合成バイオポリマー材料などの、天然もしくは合成の三次元支持マトリックスへ、またはそのマトリックス上に播種することができる。懸濁液培養に関しては、細胞は、通常本明細書に記載される培養培地に懸濁され、スピナーフラスコ、灌流装置またはバイオリアクターなどの、懸濁液中で細胞の培養を容易にする培養容器へ導入される。理想的には、培地および懸濁細胞の振とうは、培養中の培地成分の変性および細胞の剪断を回避するために最小限に抑えられる。
各実験条件の細胞播種密度は、使用されている特定の培養条件に関して最適化することができる。懸濁液培養にはより高い播種密度(例えば5〜20×105細胞/cm2)を使用することができるが、プラスチック培養容器中で型通りの単層培養に関しては、1〜5×105細胞/cmの初期播種密度が、好ましい、
哺乳動物細胞は、通常、約37℃において細胞インキュベーターで培養される。インキュベーター雰囲気は加湿すべきであり、空気中に約3〜10%の二酸化炭素、より好ましくは空気中に約8〜10%の二酸化炭素、および最も好ましくは空気中に約8%の二酸化炭素を含むべきであるが、ある種の細胞株の培養で最適な結果のためには空気中に20%もの二酸化炭素を必要とする場合がある。培地pHは、一般に約6.2〜7.8、好ましくは約7.1〜7.4、最も好ましくは約7.1〜7.3の範囲になければならない。細胞は、タンパク質産生を増強する異なる条件(pH、温度および/または二酸化炭素)下で培養することができる。
閉鎖系培養またはバッチ培養の細胞は、細胞が約1.5〜2.0×106細胞/mlの密度に到達したら、完全な培地交換(すなわち使用済みの培地を新鮮な培地に置き換える)を受けなければならない。灌流培養(例えばバイオリアクターまたは発酵槽中で)の細胞は、連続的な再循環に基づいて新鮮な培地を受け入れる。
ウイルスの作製
懸濁液または単層培養の細胞培養に加えて、本培地は哺乳動物細胞からウイルスを作製する方法に使用することができる。そのような方法は、(a)ウイルスによる細胞の感染を促進するのに適切な条件下で該細胞(例えば、哺乳動物細胞)を該ウイルスと接触させるステップと、(b)該細胞によるウイルスの産生を促進するのに適切な条件下において本明細書に記載される培地中で該細胞を培養するステップとを含む。細胞は、培地中での細胞の培養前、培養中、または培養後にウイルスと接触させてもよい。哺乳動物細胞をウイルスに感染させる最適な方法は当業界で周知されており、当業者になじみ深い。本明細書に記載される培養培地で培養されたウイルスに感染した哺乳動物細胞は、本明細書に記載される細胞培養培地以外の細胞培養培地で培養された細胞より高いウイルス力価を生ずると予想することができる(例えば、2、3、5、10、20、25、50、100、250、500、または1000倍のより高い力価)。
これらの方法は、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスなどを含むがこれらに限定されない様々な哺乳動物ウイルスおよびウイルスベクターを作製するために使用することができ、最も好ましくはアデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスを作製するために使用される。本明細書で記載される培地中の感染細胞の培養の後、ウイルス、ウイルスベクター、ウイルス粒子またはその成分(タンパク質、および/または核酸(DNAおよび/またはRNA))を含む使用済みの培地は、ワクチンの作製、動物または細胞培養の細胞導入または遺伝子療法、感染症で使用されるウイルスベクターの作製、ウイルスタンパク質および/または核酸などの試験を含む様々な目的に合わせて使用することができる。代替として、ウイルス、ウイルスベクター、ウイルス粒子またはその成分は、当業者になじみ深い、タンパク質および/または核酸単離の技法に従って使用済み培地から任意で単離することができる。
組換えタンパク質の作製
本開示に記載される組成物および方法は、細胞培養培地を作製するために使用することができ、次には、組換え細胞からのペプチドおよび/またはタンパク質などの、組換え産生物の産生のために使用されてもよい。細胞は、懸濁液中で増殖することができる真核細胞を含む。好ましくは、組換え細胞は哺乳動物細胞であり、特に、哺乳動物細胞は懸濁液中で増殖する。したがって、本明細書に記載される組成物および方法、およびその作製された培地は、本明細書に記載される組成物および方法を使用して調製された培地中でポリペプチドを産生するために遺伝子的に操作された細胞(例えば、哺乳動物細胞)を培養するのに有用である。目的のポリペプチドを発現させるために遺伝子的に哺乳動物細胞を操作する最適な方法は、当業界で周知されており、したがって、当業者になじみ深い。細胞は、本開示の培地での培養前に遺伝子的に操作されてもよい。または、培地での培養にかけられた後に1種または複数種の外因性核酸分子が導入されてもよい。遺伝子的に操作された細胞は、単層培養、またはより好ましくは懸濁液培養いずれかとして、本培地で培養することができる。細胞の培養の後、目的のポリペプチドは、当業者になじみ深いタンパク質単離の技法によって、細胞および/または使用済みの培地から任意で精製されてもよい。
実施例1:アミノ酸の存在下でのエタノールアミンの分解
エタノールアミンは、グルコース単独の存在下で安定であるが、グルコースおよびアミノ酸の組み合わせの存在下で、特に高温(例えば>30℃)で急速に不安定になることが観察された。3種の乾燥粉末細胞培養培地試料を試験した。第1試料は、エタノールアミンおよびグルコースを含むが、アミノ酸は含まなかった。第2試料は、エタノールアミン、グルコースおよびアミノ酸の組み合わせを含んでいた。第3は、エタノールアミン、グルコース、アミノ酸および、加えて、塩化コリン、硝酸カルシウム.4HOおよび二塩基性リン酸ナトリウムを含んでいた。試料は0℃および37℃で7日間保存し、次いで、注射用水(WFI)で再構成し、0.22μフィルターによって濾過し、HPLCによって分析し、エタノールアミン(mg/L)の濃度を測定した。表1に示されるように、エタノールアミンおよびグルコースを含有する乾燥培地(アミノ酸を含まない)は、0℃から37℃(約3%)まででエタノールアミンのわずかな減少を示したが、乾燥培地にアミノ酸を添加した結果、約90%のエタノールアミンが減少した。
(表1)アミノ酸の存在下でのエタノールアミンの急速な分解
Figure 0006680721
実施例2:エタノールアミン誘導体の細胞培養有効性
本発明者らは、細胞培養有効性に関してホスホリルエタノールアミン(PE)、トリエタノールアミン(TE)、ジエタノールアミン(DE)、モノメチルエタノールアミン(MME)、ジメチルエタノールアミン(DME)、およびN−アセチルエタノールアイン(NAE)を含む一連のエタノールアミン誘導体を試験した。最初に、本発明者らは、すべての化合物をエタノールアミンのモル当量で試験し、エタノールアミンに匹敵する水準で細胞増殖を支持する誘導体は見つからなかった。使用した細胞株は、DG44−EPO、良好な増殖のためにエタノールアミンを必要とする組換えのエリトロポイエチンを発現させるCHO細胞株であった。3×l05/mlで細胞を接種し、アッセイ法を始める前に各条件で3つの二次継代に関して隔週に培養した。アッセイ法はまた、3×l05/mlで接種したが、ViCell細胞計数器からの生存細胞密度に関して8日間継続した。
次に、本発明者らは、モル当量の最大64×の化合物の力価を測った。ホスホリルエタノールアミンおよびNAEの両方が、約16×モル当量で、エタノールアミンと同様の潜在増殖力を与えた。図1Aおよび1Bを参照のこと。別の組の実験で、NAEは、約16×エタノールアミンモル当量で、エタノールアミンと同様にエタノールアミンに敏感な株を補うことができることを重ねて示された。これらの後者の実験は、24ウェル培養トレーで実施した。l×l05/mlで細胞を接種し、試料を12日目に収穫した。NAE中の窒素原子がアミド構造内に含まれているので、NAEは安定であるはずであり、細胞培養培地中のエタノールアミンの代りに使用することができることが予想される。
図2Aで、データは、より高濃度(8〜12倍)においてではあるが、細胞増殖アッセイ法においてエタノールアミンに匹敵して、N−アセチルエタノールアミン(NAE)が働くことができることを示す。この時、NAEのモル当量はエタノールアミンと同じ増殖性能を与えることはできない。それにもかかわらず、エタノールアミンがない条件がより低い増殖を示すので、NAEはある種の新規配合物においては使用することができる。図2Bは、LC−MSによるNAEに関する検出アッセイ法を示し、それによって、培地配合物を含む任意の配合物中のNAEを検出することができる。LC−MSクロマトグラムは、NAE濃度変化を検出するために分析等級NAEを使用するN−アセチルエタノールアミンの標準試料を示す。陰性対照はエタノールアミンを含まない。残部より上方の線は、このアッセイ法に関係の無いCD CHOカタログ対照であるので、無視しなければならない。
図2B:分析等級NAEを使用するN−アセチルエタノールアミンに関する検出アッセイ法。NAEの検出は、十分に培地濃度範囲内の19〜20,000μg/mlの間にある。
実施例3:エタノールアミン/グルコース複合体
乾燥粉末細胞培養培地中のエタノールアミン分解を減少する一方法は、エタノールアミンとグルコースなどの糖との間で複合体を形成することである。複合体または結晶性ペーストを形成するために、エタノールアミンを所定量でWFIに溶解し、次いで、所与の重量を超えるグルコースを添加する。直ちにスパチュラを使用して、ペーストのコンシステンシーを形成するまで、エタノールアミン−グルコース−WFI混合物を練る。次いで、ペースト状混合物を平らに広げ、フード下に終夜乾燥し、続いてデシケーターで最終乾燥する。乾燥した混合物は、粒度分級規格でフィッツミルにかけ、乾燥粉末細胞培養培地とブレンドする。エタノールアミンをグルコースと複合体形成するための例示のプロトコールは以下の通りである。
(1) Advanced Granulation Technology−AGT(商標)細胞培養培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)の2000gのロットに関して、AGT(商標)合計重量に対し5%w/wの結晶体の使用:100gのグルコースを使用して結晶体を形成する(AGT(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)法において残存グルコースから100gを差し引く)。
(2) 8mlのWFIを各15gのグルコースに対して使用してWFIの量を計算し結晶体を作製する。したがって、53.33mlのWFIを100gのグルコースに対して使用する。
(3) 結晶体を作製する前にWFIに2.086gのエタノールアミンを添加し、撹拌して溶解し、pHを約7.0にする。
(4) 結晶体の作製:
a.グルコースを非反応性の平坦な浅い皿に入れる。
b.WFI−エタノールアミン溶液すべてを添加する。
c.迅速に金属スパチュラを使用して練り、杓または櫂を使用して液体をグルコースに混ぜ込む。数分間、混合、すりつぶし続ける。グルコース混合物は、グルコースが物理的形態を変化させるにつれてコンシステンシーがざらざらした粉末から滑らかなパテのような状態に変化する。混合物が均質になるまで、混合、練り続ける。次いで、均質な混合物を薄層に広げ、スパチュラでより小さく切り刻み、終夜暗所または控え目な照明で換気フード下に置く。
d.約12時間後、結晶体を収集し、AGT(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)粒度分級パラメーター(例えば、1000rpmでフィッツミルにかける、順方向切削、0.050"ふるい)を使用して、粉砕する。
(5) 結晶体を顆粒化段階後のAGT(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)バルクにブレンドする。
迅速に貯蔵寿命を見積る一方法は、促進貯蔵寿命試験の実施による。促進貯蔵寿命試験を実施する一方法は、低温と高温の両方で時間を7日などに短縮して試験材料をインキュベートすることである。目的の原料の安定性は、7日後に低温と高温の両方の原料の濃度を測定し、原料濃度の差異%を計算することにより求められる。
上記の方法論を用いて試料を調製し、いずれもアミノ酸を含む、2つの異なる市販のAGT(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)細胞培養培地、EfficientFeed(商標)A(Invitrogen, Carlsbad, CA)およびEfficientFeed(商標)C(Invitrogen, Carlsbad, CA)中でエタノールアミン安定性に対するグルコース結晶化の作用を測定した。表2および3を参照のこと。エタノールアミンを含有する試験サンプルを調製し、AGT(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)バルク細胞培養培地に添加した。エタノールアミンを含有する試験サンプルは、少なくとも(1)グルコースと複合体形成したエタノールアミン、(2)乾燥した粉砕エタノールアミンおよびグルコース(エタノールアミンはグルコースと複合体形成していない)、および(3)陽性対照としてのプロリンを有する乾燥した粉砕エタノールアミンを含んでいた。AGTバルク培地に試験サンプルを添加した後、試料は4℃、室温および30℃で7日間インキュベートした。インキュベーションの後、試料をWFIで再構成し、エタノールアミン(mg/L)の濃度を上記のようにHPLCを使用して測定した。細胞培養培地の両方とも、エタノールアミンをグルコースと複合体形成することで、エタノールアミンの分解を減少した(対照試料と比較してより小さい差異%)。下の表2および3を参照のこと。進行中の結果として、グルコース結晶化法は、これまでのところ9か月(9m)の貯蔵寿命を示した。
(表2)エタノールアミン(培地#1)を安定化するためのグルコースの使用
Figure 0006680721
(表3)エタノールアミン(培地#2)を安定化するためのグルコースの使用
Figure 0006680721
実施例4:アルギナートマイクロカプセル中におけるエタノールアミンの隔離
マイクロカプセル化は、特に粉末化細胞培養培地においてアミノ酸からエタノールアミンを物理的に分離または隔離または保護する別のメカニズムを提供する。例として、アルギナートはマイクロカプセル化に使用することができる。
アルギナート−エタノールアミンマイクロカプセルを調製するために、エタノールアミンを水(WFI)中の2%アルギナート溶液に溶解し、脱気し、カルシウム浴(13.32g/Lの塩化カルシウム)中へシリンジまたは針を使用して滴下して、またはエアゾール吹付(スプレー噴霧形成)によって添加した。ここで、アルギナートはカルシウムによって架橋し、ヒドロゲルを形成する。「1000×」濃度のビーズを使用したが、これは、1mlのアルギナート溶液が1000mlの培地中にエタノールアミンの量を含むことを意味する。(すなわち、1LのEfficient FeedA中に0.068gのエタノールアミン)。エタノールアミンは、アルギナートヒドロゲル内に捕らえられ、ごく小さいビーズまたはマイクロカプセルを形成する。次に、エタノールアミンを含有するビーズまたはマイクロカプセルを、気流下に終夜置き、次いで、デシケーター内に真空を用いて棚の下のCaSOと共に置いて数時間乾燥した。マイクロカプセル形成の方法(小滴対スプレー噴霧法)に応じて、この方法は、AGTまたはAPMの培地を含む任意の乾燥粉末培地と直接混合することができる、フラクタイルで硬くより小さい球形ビーズを作製する。
ある種の事例において、エタノールアミン安定化を向上させるためにポリL−リジンを添加する。ポリ−l−リジン(PLL)被膜を、Breguet et al., Cytotechnology, 2007, 53:81−93の技法を使用して、マイクロカプセルに添加した。手短に言えば、0.15%のPLL1mlをビーズ1L−当量の各ビーカーに添加し、時折、渦を起こして約15分間インキュベートし、ビーズがすべて確実に被覆されるようにする。15分後、過剰PLLをピペットで吸引除去する。前記のように、ビーズは乾燥しデシケーターにかける。
エタノールアミン含有アルギナートマイクロカプセルを例えばAGTバルク培地に添加した後、試料を4℃、室温および30℃で7日間インキュベートした。インキュベーション後、試料をWFIで再構成し、エタノールアミン(mg/L)の濃度を上記のようにHPLCを使用して測定した。表4のデータは、アルギナートマイクロカプセルと複合体形成した時、少量成分(この場合エタノールアミン)の分散剤として使用したアミノ酸であるプロリンと共にエタノールアミンを含有する対照試料と比較して、エタノールアミンの有意により少ない分解を示す。図3A、3B、4A、4Bおよび図5もまた参照のこと。
(表4)エタノールアミンを安定化するためのアルギナートマイクロカプセルの使用
Figure 0006680721
AGT(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)バルク培地にマイクロカプセル(PLLを含むかまたは含まない)を添加した後、試料を4℃、室温および30℃で7日間インキュベートした。インキュベーション後、試料をWFIで再構成し、エタノールアミンの濃度(mg/L)を上記のようにHPLCを使用して測定した。表5のデータは、アルギナートマイクロカプセルをPLLで被覆するとエタノールアミン分解を阻止することを示す。図3Aおよび3Bならびに図4Aおよび4Bを参照のこと。
(表5)エタノールアミン安定化を向上させるためのポリL−リジンの使用
Figure 0006680721
実施例5:デンドリマー−感受性試験化合物複合体のカプセル化
1つの実施例において、アルギナートのような隔離物質を、デンドリマー−エタノールアミン複合体をカプセル化または包埋するために使用した。デンドリマーは、規定された構造的特性および分子量特性を与えるために制御された連続法を使用して作製することができる超分岐合成高分子である。これは、敏感な物質を保護するのみでなく所与の培地内の包埋された成分の時間制御放出を主として改善するのに有用であることが報告されている。さらに、細胞認識または細胞接着部分がデンドリマーに組み込まれる場合、デンドリマーは、特異的に細胞に結合し、その内容物を送達することができる。このことは、貴重な物質、または極端に不安定な物質、または非常に敏感な細胞調節分子の標的送達に非常に有用である。この試験は、デンドリマー−不安定分子複合体のマイクロカプセル化が、分解から分子を安定化するか、さらに、乾燥状態でデンドリマーと会合しつつ、室温のような周囲条件下で長時間不安定物質を保存することができるかを調べるために行った。デンドリマーを形成するための手順は、全体が参照によって本明細書に組み込まれるAstruc et al., Chem. Rev. 2010, 110:1857−1959に記載されているように行った。手短に言えば、異なる種類のデンドリマーを、重合工程を開始するコア構造に基づいて合成することができる。本開示のマイクロカプセル化デンドリマーは、図6に記載されている。一実施形態において、デンドリマーは、アルギナートのカプセル中にカプセル化した。アルギナートはデンドリマーを保護し、再構成すると、敏感な物質と共にデンドリマーを放出する。アルギナートは濾過時に膜フィルター上に保持される。露出したデンドリマーによって、デンドリマーに存在する細胞認識部位の存在のために、敏感な物質が細胞を標的にし、それによって例えばインスリンのような成長因子、ビタミンなどの敏感な物質または低濃度物質の細胞に対する利用可能性を改善することができる。その結果を図6、7a、7b、8、9および10に示す。
図8において、未保護のエタノールアミンの有効性は、周囲条件下のAGT(商標)で急速に落ちたが、マイクロカプセル化(マイクロビーズ)によって保護された場合、何か月もの間有効性をより長く維持している。マイクロカプセル化エタノールアミンは、常温で10か月までおよび10か月超さえも有効性の変化を示さないで続いている(図8を参照のこと)。
エタノールアミン以外の不安定化合物をマイクロカプセル化するためのさらなる例を以下に示す。アルギナートのような隔離物質を、デンドリマー−インスリン複合体をカプセル化または包埋するために使用した。不安定化合物であるインスリンは、PAMAMデンドリマーと共に重合し、さらにPLLを含み、または含まずにアルギナートマイクロビーズにマイクロカプセル化した。手短に言えば、デンドリマー世代に関して、PAMAM2.5(カルボナート表面基)を使用した。インスリンは、細胞表面を標的にするためにRGD配列も添加するデンドリマー上に結合した。この複合体中の成分比は、デンドリマー:RGD:インスリン=1:7:12であった。
デンドリマーコンジュゲーションに関するプロトコール:
コンジュゲートおよびアルギナートの濃度を結合時と同じように調節した。次に、コンジュゲートはアルギナートに添加し、数分を混合して均一に分散した。塩化カルシウム浴(13.32g/L)へ1mlのシリンジを使用して26グアジ針によってこれを滴下した。これを30分間インキュベートしマイクロカプセルを凝固した。次いで、またデンドリマーコンジュゲートを含有する溶液中で1×をすすぎ、マイクロカプセルからの成分の喪失を阻止した。次いで、デシカントで真空中において終夜乾燥した。次いで、負荷したマイクロビーズは、AGT乾燥型培地に添加し、または液体培地に直接添加することにより使用した。
インスリン−デンドリマー−RGD希釈プロトコール
デンドリマー−インスリン−RGDコンジュゲートのインスリン濃度は、約2mg/ml(pg165/168)までであると見積られた。約1mg/ml(1000μg/ml)までにするためには半分にそれを希釈する必要があった。
アッセイ用のストックr−インスリンを、10μg/ml濃度の100×である1000μg/mlに設定した。これは、1μg/ml濃度の1000×と同等であり、96ウェルアッセイ法で十分に力価を測ることができるインスリン濃度内であった(pg.160)。したがって、マイクロカプセル化(a、pg 168)のために使用するインスリンの有効な希釈は、1:1000×である。さらに、1:1000は、本発明者らが、マイクロカプセル化の等価物に設定した物である(1mlのアルギナートビーズを1000mlの培地に使用した)。Eugeneコンジュゲートの対照も、最初1:1(上記)で希釈し、次いで、1:1000希釈で使用した。
最終2%のアルギナートを得るために本発明者らはデンドリマー−インスリン−RGDコンジュゲート(液体)を3%のアルギナートに添加する必要があった(1+0.5)。この希釈物は、デンドリマー−インスリン−RGDコンジュゲートの量に影響を与えなかったが、それは添加したデンドリマーがすべて、ビーズに、究極的には特定の培地に入ったからである。実施例:0.1mlのデンドリマーインスリン−RGDコンジュゲートを100mlの最終培地体積(1:1000で)に対して使用した。この0.1mlのデンドリマー−インスリン−RGDを2%のアルギナートと等しい3%のアルギナート0.2mlに添加した。それをすべてカルシウム浴への滴下、pg.167での加工、および100mlの培地への添加によって使用した。同様に、陽性インスリン対照(b、pg.168)を、10μg/mlにではなく1:1000×に希釈した。
図7Aに示されるように、デンドリマーのマイクロカプセル化は、インスリンと共にカプセル化していないデンドリマーに、またはインスリン単独(デンドリマーなし、アルギナートを用いるカプセル化なし)と比較して、室温で実質的に向上した安定性を示した。デンドリマー中のインスリンの有効性は、4℃でインスリン単独のそれに匹敵した。さらに、インスリン単独(対照)を用いる哺乳動物HeLa細胞株の細胞増殖試験で、デンドリマーを含有するマイクロビーズ (試験)、またはデンドリマーがないマイクロビーズはすべて、HeLa細胞と同等な有効性および増殖特性を示し、デンドリマーまたはアルギナートは共に、HeLa細胞の生存率または増殖に干渉せず、このことはマイクロカプセル化手順が細胞にとって有毒でないことを示す(図7B)。促進貯蔵寿命試験は、37℃(図10)で1週間までの間乾燥型培地においてそのマイクロカプセル化(マイクロビーズ)に改善されたインスリン安定性を示した。
さらなる例において、ビタミン(例えば、チアミン、ビタミンB12など)を、マイクロカプセル化および乾燥型培地(図9)への添加に関する試験用不安定化合物試験として使用した。アルギナートのような隔離物質を、カプセル化インスリンとして上に記載されたようにデンドリマー−ビタミン複合体をカプセル化または包埋するために使用した。図9からわかるように、促進貯蔵寿命試験は、マイクロカプセル化が37℃で2週間のビタミン安定性を非常に改善したことを示した。
マイクロカプセル化は、エタノールアミン、ビタミン、成長因子などのような敏感な化合物の保存条件を拡張することができる。低温(例えば、冷蔵またはドライアイス)ではなく室温でのAGT(商標)などのような乾燥培地配合物の輸送および取扱いに好ましい影響を与えることができ、輸送費を低下させることができる。したがって、乾燥型培地中の不安定化合物のマイクロカプセル化は、乾燥型細胞培養培地のより安価な取扱いおよび保管による環境保全技術への寄与として考えることができる。
他に定義されない限り、本明細書において使用される工学および科学用語はすべて当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有している。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。本明細書に記載される方法および用途に対する他の適切な修正および改作は見てすぐわかり、本開示またはその任意の実施形態の範囲から乖離することなく行うことができることは、関連の当業者にとって直ちに明白となろう。さらに、物質、方法、および実施例は、単なる例証であり、限定するようには意図されない。本明細書において引用される特許、特許出願、および刊行された参考文献はすべて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。

Claims (11)

  1. 保護された不安定分子を含む動物細胞培養培地組成物であって、該保護された不安定分子が、該動物細胞培養組成物中の細胞培養成分との有害反応が阻止されており、該保護された不安定分子が不溶性マトリックスによる隔離によって保護され、かつ該保護された不安定分子が、成長因子であり;
    乾燥型細胞培養粉末もしくは乾燥型細胞培養顆粒状物質である、動物細胞培養培地組成物。
  2. 乾燥型細胞培養粉末である、請求項1に記載の組成物。
  3. 乾燥型細胞培養顆粒状物質である、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記隔離が、不溶性マトリックス内における前記不安定分子のカプセル化による、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 記不溶性マトリックスが、保護被膜でさらに被覆されている、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記保護被膜がポリ-L-リジンまたはポリオルニチンから構成される、請求項5に記載の組成物。
  7. 細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料を調製するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  8. 適切な条件下で細胞を培養するための、請求項7に記載の使用により調製された細胞培養培地、細胞培養補充物、または細胞培養供給材料の使用であり、任意で前記細胞が哺乳動物細胞である、使用。
  9. 組成物内における有害反応から保護するために不安定化合物をカプセル化する方法であって、
    (a) 任意で、該不安定化合物をデンドリマーと反応させてデンドリマー−不安定化合物複合体を生成するステップ、
    (b) ステップ(a)のデンドリマー−不安定化合物複合体、または該不安定化合物を、不溶性マトリックスである隔離物質(sequestering agent)内にカプセル化して、カプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体またはカプセル化不安定化合物を生成するステップ、
    (c) ステップ(b)のカプセル化デンドリマー−不安定化合物複合体またはカプセル化不安定化合物を、該組成物中の1種または複数種の成分と混合するステップ
    を含み、
    前記不安定化合物が、成長因子であり、
    該組成物が、動物細胞培養培地、動物細胞培養補充物、または動物細胞培養供給材料であり、該動物細胞培養培地、該動物細胞培養補充物、または該動物細胞培養供給材料が、乾燥培地または塊状培地である乾燥培地である、
    方法。
  10. 前記隔離物質が、アルギナート、ポリL-乳酸、キトサン、アガロース、ゼラチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ゲランガム、キサンタンガム、グアーゴム、水溶性セルロース誘導体、ポリグリコール酸、PLGA(乳酸・グリコール酸共重合体)、コラーゲン、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリウレトラン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、およびカラギーナンからなる群から選択される不溶性マトリックスである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記デンドリマーが、ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマー、ポリプロピレンイミン(PPI)デンドリマー、リン酸化デンドリマー、ポリリジンデンドリマー、ポリエチレンイミンデンドリマー、イプチセンデンドリマー、脂肪族ポリ(エーテル)デンドリマー、芳香族ポリエーテルデンドリマー、およびポリプロピルアミン(POPAM)デンドリマーからなる群から選択される、請求項9または10に記載の方法。
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